高速ピエゾ式ジェットバルブによる 最新のモジューラー

高速ピエゾ式ジェットバルブによる
最新のモジューラーディスペンス
ソリューション
発行元:Nordson EFD, 40 Catamore Boulevard, East Providence, RI 02904
©2014 Nordson Corporation www.nordsonefd.com
もくじ
はじめに ....................................................................................................................................3
ピエゾテクノロジーによる吐出サイクルの高速化 ........................................................4
高速ジェットディスペンスの特長 ......................................................................................6
高速ジェットディスペンステクノロジーの活用 ............................................................8
交換可能なモジュラー式ジェットバルブの登場による、
様々なアプリケーションへの汎用性向上..........................................................................9
まとめ ....................................................................................................................................10
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©2014 Nordson Corporation www.nordsonefd.com
はじめに
Terry Dunbar、Ivica Sustic、ノードソンEFD
自動化された多くのディスペンス工程で、高速性を兼ね備えたジェットディスペ
ンステクノロジーは、従来の接触式ニードルディスペンスに取って代わる革新的
な技術となります。
高速ジェットディスペンスは非接触式(吐出対象ワークとの接触がないディスペ
ンス方式)であるため、より高い柔軟性を備えてあり、 ハイトセンサーおよび位
置決め機能を搭載した高価格なZ軸の制御システムがなければ実現できなかった
幅広い用途に使用することができます。
真の高速ジェットディスペンスはピエゾテクノロジーにより実現します。ピエゾ
テクノロジーを採用することで、ジェットバルブは液剤を最大500Hzの速度で連
続吐出することができるようになります。
複数のアプリケーションに対して構成することが可能なモジュラー式ジェットバ
ルブは、高速ジェットディスペンス技術、ピエゾテクノロジー、優れた塗布を実
現するための柔軟性を兼ね備えております。そのため、限定的なアプリケーショ
ンへの対応に制限されることが多い従来型のディスペンスバルブに代わる強力な
選択肢となります。
サポートをご希望の場合、当社の製品担当者まで、お電話(03-5762-2760)ま
たはEメール([email protected])でご連絡ください。
本書がみなさまのお役に立てれば幸いです。
PICO® xMOD™バルブは、モジュラーデザインにより交換可能なため、高度なカスタマイズが可能です。
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ピエゾテクノロジーによる吐出サイクルの高速化
ピエゾテクノロジーを組み込んだ高速ジェットバルブは、基板へ液剤をジェッ
ト噴出させるための非常に高速な開閉サイクルを実現します。
「ピエゾ」とはギリシャ語で「圧力」を意味します。石英などの結晶性物質に
圧力がかかると、電圧が発生します。
反対に、結晶に電圧をかけると結晶の形状が変化します。ピエゾ式ジェットバ
ルブの場合、バルブ内に配置されているピエゾアクチュエーターに電圧がかか
ります。
電源ケーブル
ピエゾアクチュエーター
カンチレバーアーム
断熱材
駆動ステム
ノードソンEFD PICO xMODバルブ内のピエゾアクチュエーター内部構造
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ピエゾテクノロジーによる吐出サイクルの高速化(続き)
ピエゾアクチュエーターは、電圧をかけると、その電圧に従って形状が変化す
る圧電セラミックディスクを積層したスタック2本から構成されています。この
ため、駆動シャフトと付属のボールの垂直運動をより精密に制御することがで
きます。
ボールがセラミックシートから持ち上がると、そこにできたスペースに液剤が
充填されます。ボールが再びシートに戻ると、バルブから液剤が滴下されます。
ピエゾジェットバルブの場合、このボールとシートの運動は一般的に数百マイ
クロ秒で発生します。このスピードはエアーまたはバネ駆動式バルブでは実現
できません。
PAピエゾアクチュエーターステム
スナップリング
カートリッジ
バネ
Oリング(Isolast)
液体パッキン
Oリング(NBRまたはIsolast)
ボールステム
最大ストローク165μm
ノズルプレート
セラミックボール
閉
開
PICO xMOD(開位置)
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PICO xMOD(閉位置)
高速ジェットディスペンスの特長
非接触式の高速ジェットディスペンスは、従来の接触式ディスペンス方式に対して以下
のような複数のメリットがあります。
対象ワーク表面に接触不要
接触式ディスペンスでは、吐出サイクルのたびにディスペンシングニードルの先端を対
象ワークの表面ぎりぎりまで接近させる必要があります。
高速ジェットディスペンスではこの表面への接近が必要なくなるため、奥まった部分、
凹凸面、不規則な形状の表面、繊細な物質(ワイヤーボンディングなど)、ディスペン
シングニードルを使用できない場所に液剤を塗布することができます。
ニードルの接近がなくなることで、以下のような接触式ディスペンスのいくつかの問題
点を解決することもできます。
・ 先に塗布した液剤がワークの他の部分にまで引きずられる
・ 表面高さにばらつきのあるワークの場合、
ワークとのギャップが変動し、塗布量が安定しない
・ 精密な高さ調整(Z軸方向の動作)が必要
・ プリント基板(PCB)、リードフレーム、その他の電子部品へのディスペンス用途
では基板の裏側に支持部材が多くの場合で必要
従来の接触式ディスペンスではワー
クとのクリアランスのばらつきの影
響で不安定な塗布結果を発生させる
より優れたパターニング能力
ジェットバルブはニードルディスペンスでは不可能であった、以下のようなパターンを
作成することができます。
・ 同じ場所に複数のショットをジェットディスペンスし、より大きなドットを作成
・ ドットを連続してジェットディスペンスすることで、ラインや複雑な形状を作成
・ 液剤を垂直方向、水平方向、背面方向にも吐出可能
微小かつ精密な吐出
微細なマイクロエレクトロニクスなどの部品メーカーにとって、非常に微小かつ精密な
量の液剤を吐出することがますます重要になっています。
ジェットバルブは、以下のような特徴を備えた、微小量の液剤を極めて正確に吐出する
ことができます。
・ 吐出量:0.5ナノリットル
・ 塗布径:200 μm
・ 液剤噴射:75 μm
・ フィレットサイズ:300 μm
(フィレットとは、直交する直線の交差部にできる広がり部分のことです)
凹凸のある基板への吐出
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小さいドットをつなげてラインを作成
非接触式ジェットディスペンスは優
れた液切れ性を備えます
高速ジェットディスペンスの特長(続き)
安定した性能と強固な構造
ジェットバルブは正確で高い再現性のあるショットを作成することができ、ニ
ードル式バルブと比較してより優れた安定吐出が期待できます。これは主に高
デューティサイクル向けに特別に設計されたピエゾアクチュエーターの性能と
高い信頼性によるものです。
xMODバルブに使用されているピエゾアクチュエーターは、何十億回ものサイ
クルにわたり、一貫した高性能を維持することができます。
さらに、ピエゾ式ジェットバルブの強固な構造と、短い接液経路、可動部品の
少なさにより液剤の無駄が減り、故障も少なくなり、消耗部品の数も少なくす
みます。ジェットバルブではニードルを使用しないため、ニードルの摩耗やニ
ードルの洗浄も不要になり、サービスや保守のためのダウンタイムの短縮につ
ながります。
高速かつ短いサイクルでのディスペンス
ピエゾアクチュエーターは、ジェットバルブの構造を強化するうえ、極めて高
速な動作を可能にします。
ジェットバルブは最大500Hzもの速度で動作できます。このため、高速ジェッ
トディスペンスシステムでは140μsの最少吐出時間を実現します。これは
10μsごとに調整可能です。
コスト削減
ジェットシステムでは、ハイトセンサーおよび位置決め機能を搭載したZ軸の制
御システムが必要ありません。
他のディスペンスシステムでは、操作教育を受けた作業者による適切な取り付
け、プログラミング、メンテナンスが必要です。ジェットディスペンスシステ
ムにはZ軸方向の駆動システムが必要ないため、セットアップのコストが減り、
作業者の専門的な教育の必要もなくなります。
ジェットディスペンスは非常に均一かつ再現性のある吐出を実現します
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高速ジェットディスペンステクノロジーの活用
マイクロエレクトロニクス分野の絶え間ない改善と発展により製品の小型化
が進み、一般的な電化製品等に使用される部品の複雑さは増すばかりです。
ジェットディスペンステクノロジーは液剤を小型部品の実装や傷つきやすい
表面のあるデリケートな基板上に高速で塗布するために選択可能な最新の方
式です。
ジェットディスペンステクノロジーは以下の用途に最適です。
・ 表面実装用接着剤(SMA)の塗布。はんだペーストの塗布後にPCB(ま
たは他のアセンブリ)へSMAを塗布します。
ジェットディスペンスがSMAの塗布に適している理由は、同じ位置に繰
り返し塗布を行ない接着剤を積み上げることで所望のドットをすばやく形
成できるため、はんだペーストの塗布後に、ペーストを邪魔することなく
SMAを塗布できる点です。
・ コーナーボンドの塗布。ボールグリッドアレイ(BGA)を取り付ける前
に、SMAをPCB上のBGA取り付け位置の角に塗布します。
コーナーボンドの塗布にジェットディスペンスを行うメリットは、スピー
ドと、集積回路の端に正確に液剤を塗布できる能力にあります。
・ ダイスタッキングまたはチップスタッキング。単独の半導体パッケージの
中で複数のチップを重ねてマウントします。
この用途にジェットディスペンスを行う利点としては、すでにスタッキン
グされダイの側面に液剤を非接触でディスペンスすることができるため、
側部の接点を傷つけることなくスタックされた部品の間に毛管現象により
液剤を充填することができます。
・ フリップチップ実装。ICチップやマイクロエレクトロニクスシステム
(MEMS)など、外部回路に接続されている半導体部品を物理的に固定す
るため、アンダーフィル剤を使用します。
高速ジェットディスペンスにより実現する精密かつ高い再現性を持った塗
布は、多くのMEMSおよびICチップ用途で利点となります。
・ IC封止。UV硬化型接着剤を使用してフレキシブル基板やリジット基板上
の部品を封止します。封止により、変化する環境条件に必要な強度と耐性
が基板面に付与されます。
ジェットディスペンスはIC封止に理想的な技術です。
・ シリンジと内視鏡内部の潤滑、光学シリコン接着剤によるレンズのボンデ
ィング、UV接着剤によるニードルボンディング、製品へのタンパク質の
塗布。
ジェットディスペンスはスピードと塗布サイズが重要なこれらの用途に最
適なソリューションです。
・ 生体材料のインスリン/血糖値試験紙または獣医用試験紙、および、試薬
の試験紙への塗布。材料を試験紙に塗布するためにジェットディスペンス
を行う利点としては、高速性、再現性、精度などがあります。
ジェットディスペンスでは塗布面との接触がないため、汚染のない状態を
維持し、相互汚染を防ぐのに役立ちます。
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ジェットディスペンス用バルブは生体材料を試験紙
に塗布するために理想的です。
交換可能なモジュラー式ジェットバルブの登場による
様々なアプリケーションへの汎用性向上
ジェットディスペンステクノロジーを検討する一方で、ニードル式パター
ンの塗布機能が必要な場合や、様々な用途に幅広い材料を吐出できる柔軟
性が必要な場合には、そのどちらにも構成できるモジュラー式バルブを組
み込んだシステムが最適です。
モジュラー式ジェットバルブは接触式ジェットディスペンスにも非接触式
ディスペンスにも構成可能であり、また加温用途にも非加温用途にも構成
できるため、モジュラー式ジェットバルブを使用する高速ジェットディス
ペンスシステムでは、これまでに述べたものをはるかに上回る利点があり
ます。
特長:
・ 吐出可能な液剤および液剤粘度の範囲が大幅に広がります。モジュラー
式ジェットバルブシステムはアンダーフィルエポキシ、表面実装接着剤
(SMA)、封止材、コンフォーマルコーティング、UV接着剤、導電性
接着剤、一部の充填材料など、多種多様な液剤を塗布できます。
・ システムを使用可能な用途の範囲が大幅に増加します。
たとえば、試験紙に接着剤を塗布するために使用されているジェットデ
ィスペンスを使用した生産ラインを、スピードと吐出間隔が重要な接触
式ニードルディスペンス構成に迅速かつ容易に再構成することができます。
ジェットバルブはより高い精度と高度な制御が可能で、中心間の間隔を
より小さく、高速で吐出できるため、対象ワークが微細な場合には従来
のニードル式バルブよりも適しています。
・ モジュラー式バルブでは接液部品を新しい清潔な部品に迅速に交換する
ことができるため、より素早く、効率的に生産に戻ることができます。
これは保守費用やダウンタイムの大幅な削減につながります。
・ 取り付けたモジュラー式バルブは生産ラインから完全に取り外さずに再
構成することができます。これは頻繁な交換が必要な受託生産や多品種
少量生産に特に便利です。
推奨仕様:
モジュラー式ジェットバルブを選択する際は、以下の特長を備えたバルブ
が最適です。
・ 駆動シャフトの開閉動作をピエゾアクチュエーターにより制御
・ バルブシートを交換するだけで非接触式(ジェットディスペンス)から
接触式(ニードルディスペンス)に容易に切り替え可能
・ ノズルまたはニードルの交換が容易、および、10分未満でオリフィス径
を変更可能
・ 塗布可能な液剤の幅を増やすため、様々な種類のシール部材(Oリング
等)を選択可能
*例として、シール部材には各種液剤に対する適性があります。FFKMや
NBRなどのシール部材を選択することで、塗布可能な液剤や液剤粘度の
種類が広がります。
・ 部品の洗浄と交換は、生産ラインからバルブ全体を取り外さずに実施可能
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xMODバルブシートとカートリッジアセンブリ
の断面図
まとめ
ピエゾ式ジェットディスペンステクノロジーは、マイクロエレクトロニクス
業界、医療業界、自動車業界において、これまで以上に微細かつ複雑な製品
を製造していくメーカーに向けた、効率と安定性の大幅な改善を実現するテ
クノロジーです。
ピエゾ式ジェットディスペンステクノロジーと、交換可能なモジュラー式ジ
ェットバルブを組み合わせることで、製造の柔軟性と汎用性に全く新たな動
きが加わることでしょう。
著者について
Terry Dunbar(PICO製品担当グローバルビジネス開発部門マネージャー)
とIvica Sustic(製品ラインマネージャー)は、ノードソンEFDのグローバ
ルPICOサポートチームのメンバーです。
PICO xMODの詳細や、動作中のPICO xMODの動画をご覧いただくには、
www.nordsonefd.com/xMODにアクセスするか、Eメール
([email protected])またはお電話(03-5762-2760)でお問い合わ
せください。
以下のメールアドレスから著者に直接お問い合わせいただくこともできます。
[email protected][email protected].
お読みいただきありがとうございます。
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ノードソン株式会社 EFDビジネスグループ
Tel:03-5762-2760
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+1-401-431-7000
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