「PCトラブル対策」関連解説メモ 1「セーフモード」について 【要旨】 「セーフモード」とは何らかの不具合によりコンピュータに問題が生じたときのための診断用の起 動モードのことです。診断を容易にするために、必要最低限の機能だけにして他の機能を無効にし てPCが立ち上げられた状態になります。 具体的な立ち上げ方法はPCのバージョンでの違いもあるが、一般的には「パソコンの電源を押 し、Windows の起動画面(横棒がくるくる回ってる画面)が表示されるまでにキーボードの F8 キ ーをトン・トン・トンと何回か押します(ほとんどの場合、メーカーロゴが表示された直後あたりか らキーボードをトン・トン・トンと押すのが良いといわれています)。 何かの原因でPCの通常の起動立ち上げができなくなったときに、セーフモード起動なら立ち上が ることがあるので試みてみるとよい。 簡単に言えばOSファイルが壊れているか、機械が壊れているか、判断できる機能で: ① 変な表示になったり、OSが立ち上がらなくなったりした時にこれで立ち上がったら、 OSが壊れている状態 ② セーフモードさえも受け付けない状態なら機械の故障の可能性が高い ということです。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【Windows XP 向け説明の例】 「 セ ー フ モ ー ド 」 と は 、 起動に必要な最小限のプログラムだけでウィンドウズを動かした状態 です(図2)。後から組み込んだドライバーソフトや機能拡張ソフトに原因があってウィンドウズ が正常に起動しないような場合でも、セーフモードなら起動することができます。この状態で問題 のあるドライバーソフトなどを削除すれば、次からウィンドウズを正しく起動できるというわけで す。 セーフモードはウィンドウズが必要最小限のプログラムで動作している状態なので、後から 入れたドライバーソフトなどが原因でパソコンが起動しないようなトラブルでも、セーフモードで なら起動できます。 パ ソ コ ン に ト ラ ブ ル が 発 生 し て 異 常 終 了 し た 後 で 起 動 す る と 、図 1 の よ う な 画 面 が 表 示 さ れ る こ と も あ り ま す 。こ の 画 面 で「 セ ー フ モ ー ド 」を 選 ん で「 Enter」キ ー を 押 す と 、 いつもとは違うデスクトップ画面が表示されます。 な お「 セ ー フ モ ー ド 」は 、手 動 で も 起 動 で き ま す( 方 法 は「 セ ー フ モ ー ド と は:要 旨 」 参照) 1 図1 トラブル時に見えるのが「セーフモード」を選ぶ画面 図2 図 1 の 画 面 で 矢 印 キ ー を 押 す こ と で 、 幾 つ か の メ ニ ュ ー を 選 べ ま す ( 図 3) 図3 セーフモード起動画面のメニュー選択の内容 項目名 セーフモード 内 容 マウスやキーボード、モニター、大容量ディスクなどを中心に、最低 限のドライバーのみを使って起動する セーフモードとネットワーク セーフモードとコマンドプロンプト セーフモード」に加え、ネットワークが使える状態で起動 「セーフモード」に加え、デスクトップ画面ではなく「コマンドプロ ンプト」画面で起動する[注] 前回正常起動時の構成 最後に正常に動作したときの機能拡張プログラムやドライバーソフト (正しく動作した最新の設定) の組み合わせで起動する Wi nd o ws を 通 常 起 動 す る セーフモードを使わずに通常の状態で起動する 2 メモリーの定期メンテナンス (2004.11.07 の研究会資料「パソコンのメモリー清掃」を再掲:一部語句を変更) ① デフラグ ハードディスクを良い状態に保つための機能の一つで、ディスクの中に断片化して散らばったフ ァイル情報を連続するように並び替えることをいう。連続した場所に並べることでハードディスク のヘッドの移動が最小限になり、実効速度が速くなる。 {詳しくは} 2 この機能は、最近の WINDOWS には標準装備されている。「スタート」から「プログラム」→ 「アクセサリ」→「システムツール」を開いて選んでもいいし、「マイコンピュータ」からハード ディスクのプロパティを開いて「ツール」の画面を選んでもいい。後者の場合、「最適化」はデフ ラグを意味している。 デフラグは、ハードディスクの中のデータの断片化を解消する機能。断片化というのは、ハード ディスクの中にムラができたり、データが分割されたりしてあっちこっちに保存されている状態で、 これをフラグメンテーションともいう。 たとえば、ソフトのインストールとアンインストール、データの保存と削除を頻繁に繰り返して いると、ハードディスクの中でデータが記録されている部分と記録されていない部分が混ざって、 いわば虫食い状態のようになる。そのまま容量ギリギリまで使うと、後から入れたソフトや大きな データを、ひとまとまりで保存できない。そのため、あっちこっちに分割して保存されてしまう。 それでも起動できるけど、少し時間がかかったりして効率が悪い。 デフラグを行うと、同じ種類のデータを集めて、順番にキッチリ詰めて保存し直してくれる。特 に WINDOWS 98 以降は、よく使うソフトやデータを効率よく起動できるように配置してくれるの で、さらに起動時間が短縮される効果もある。 というわけで、デフラグは定期的に行う方がいい。システムツールの中には、スキャンディスク という機能も入っている。両方を同時に行うと、なおいい。ただし、マッキントッシュには今のと ころ、どちらの機能も標準装備されていない。必要な人は市販ソフトを使おう。 ② スキャンディスク ハードディスクを良い状態に保つための機能のひとつである。この機能は、最近の WINDOWS には標準装備されていて、「スタート」→「プログラム」→「アクセサリ」→「システムツール」 から起動できる。あるいは「マイコンピュータ」を開いてハードディスクのアイコンを右クリック し、プロパティの「ツール」面から呼び出すこともできる。この場合は「エラーチェック」が「ス キャンディスク」になる。 ハードディスクの中には、データを保存するための区画があって、この区画をクラスタと呼ぶ。 スキャンディスクは、このクラスタに異常がないか、クラスタの中のデータが壊れていないか点検 してくれる。そして異常があると自動的に修復してくれる(ただし、異常の程度による。必ずしも 修復できるとは限らない)。 スキャンディスクは定期的に行う方がいい。システムツールの中には、デフラグ(最適化)とい う機能も入っている。両方を同時に行うと、なおいい。ただし、スキャンディスクには時間がかか る。特に最近の大容量ハードディスクだと、数時間かかることが珍しくない。また、スクリーンセ ーバーを使っていると、いつまで経っても終わらない。スキャンディスクを開始する前に切ってお こう。 3 ③ ディスククリーンアップ Windows 98 以降にある「ディスククリーンアップ」は、使用頻度の低いファイルを削除または 圧縮する機能で、不要なファイルを削除してハード ディスク ドライブの空き容量を増やすことが できるプログラムです。パソコンを長い期間使っていると、パソコンが自動的に保存したファイル などが少しずつ溜まり、ハード ディスク ドライブの空き容量が減少していきます。 ディスク クリーンアップを使用すると、これらの不要なファイルや、ごみ箱に溜まったファイ ル、使わなくなったプログラムなどを簡単な操作で削除して、ハード ディスク ドライブの空き容 量を増やすことができます。 この機能は、最近の WINDOWS には標準装備されていて、 「スタート」→「プログラム」→「ア クセサリ」→「システムツール」から起動できる。 {詳細} ディスククリーンアップの主な項目と内容 (Windows XP の場合) 検索方法 実行する内容 ダウンロードされたプログラムファイル Web ページに含まれる ActiveX や Java アプレットファイルを削除 Temporary Internet Files IE で生成された Web ページのキャッシュファイルを削除 一時ファイル プログラムやアプリケーションの実行中に使用したファイルを削除 一時オフラインファイル ネットワーク上でアクセスしたファイルのキャッシュを削除 ネットワークを切断した状態でも使えるようパソコンに保存された オフラインファイル ファイルを削除 オフライン Web ページ IE のオフライン機能で保存した Web ページを削除 古いファイルの圧縮 一定期間ユーザーがアクセスしてないファイルを圧縮 コンテンツインデックス作成ツールの カタログファイル ファイル検索を速くするためのディスク上に作成された索引を削除 ハードディスク(HDD)の空き容量を増やせるのが魅力ですが、実行すると見慣れないファイ ルが表示されて戸惑うのも事実です。 処理対象の多くは、一時ファイルか(5ページの「一時 ファイルとは」を参照)オフラインファイルです。オフラインファイルとは、ネットワーク上にあ るファイルを HDD などにコピーして、ネットワークの切断(オフライン)状態でも開けるように したものです。Windows のファイル同期機能で使われます。ネットワーク上のファイルを HDD へキャッシュした「一時オフラインファイル」や、Internet Explorer のオフライン機能で保存し た Web ページ「オフライン Web ページ」も該当します。 いずれも元のコピーかデータの残骸です。削除しても基本的に問題はありません。ただキャッシ 4 ュ(「一時ファイル」の別名)などを削除すると速度低下することがありますので、対象のファイ ル容量が小さい場合は実行しない方が無難です。 3 その他の関連用語の解説 「タスクマネージャー」とは Windows で同時に起動している複数のアプリケーションの切り替えや、CPU・メモリーの使用 状態の監視する管理用プログラムである。タスクマネージャーでは、現在実行されているアプリケ ーション間でのアクティブウィンドウの切り替え、アプリケーションの強制終了、タイル表示、カ スケード表示などが行える。 「Ctrl+Alt+Delete」キー、または「Ctrl + Shift + Esc」キー、を押すとタスクマネージャダ イアログボックスが表示され、内部のリストボックスに現在実行されているプログラムが一覧され るようになった。このダイアログでは、特定のプログラムの強制終了、システムのシャットダウン が行える。 「一時ファイル」とは 「一時ファイル」は別名「キャッシュファイル」ともいい、PC 内部で使用頻度の高いファイルを 一時的に保存したファイルのことを言います。 コンピュータが作業中のデータの保存のために一時的に作るファイルで、巨大なファイルの一部 を一時待避させたり、編集中のファイルのバックアップを取ったり、クリップボードの内容を保管 しておくなど、様々な用途に使われます。ほとんどの場合、ソフトウェアの終了と同時に消去され るため、ユーザーが意識する必要はほとんどありません。 (テキストエディタなど、一時ファイルの中にはテンポラリファイルの上限容量をユーザーが設 定できるようになっているものもありますが) 例えば「インターネット一時ファイル」とは、Internet Explorer が閲覧したホームページのフ ァイルをパソコン内に保存したものです。 Web ページを閲覧するとき、ブラウザはサーバと通信 してHTMLや画像などのデータをダウンロードしてくることになりますが、同じページを再び見 る場合、同じデータをダウンロードしてくるよりも前回のデータを保存しておいてそれを使えば、 無駄がなくなるわけです。その保存してあるデータが「インターネット一時ファイル」です。 インターネット一時ファイルの利点は、そのパソコンで訪問したことがあるサイトに、再度、訪 問した場合に、ページの表示が早くなることです。しかし、もちろんデメリットもあります。イン ターネットでいろいろな Web ページを見ていると、まれに Web ブラウザである Internet Explorer 自体のトラブルが起こることがあります。例えば、Web ページのレイアウトが崩れてし まったり、表示できなくなったり。あるいは突然 Internet Explorer (IE)が正常に動作せずに凍 結(フリーズ) したり、動作が急に遅くなったりすることもあります。時には Internet Explore 5 そのものが起動しなくなるケースもあります。 「インターネットオプション」を使って「一時ファイル」を残さないように PC を設定すること もできますが、代わりにメリットを失うことになります。 「リカバリー」とは パソコンを初期化して工場出荷時買の状態に戻し、さらに必要なインストレーションを行って 当初使い始めたときの状態にまで戻す作業のことをいいます。 パソコンというものは、現在では多くの製品が耐用年数は 5 年程度になっており、酷使している と必ずと言って良いほど、何らかのトラブルに見舞われます。一般に、エラーメッセージが頻繁に 現れる、アプリケーションソフトの動作が異常、著しく遅い、OS が起動しないなど、動作が不安 定になることがあります。こうした場合には、不要なアプリケーションソフトやファイルのアンイ ンストールを行ったり、Windows では「システムの復元」機能(自動的または任意で、その時点 のシステム設定を復元ポイントとして保存し、その地点に溯って状態を復元できる機能)を使って、 システムを以前の状態まで戻したりしますが、どうしても現象が解消されない場合が生じます。 こうなってくると、一般ユーザーでは機械的な要因なのか、OS の不具合なのか、またはハード ディスクの故障なのかといったことを判断するのは非常に困難になり、メーカーや専門業者に修理 を依頼する他ありません。 ただし、パソコンがなんとか起動するのであれば、一般ユーザーでも「最終手段」を行使するこ とができます。それは、パソコンの状態を工場の出荷状態にまで戻すという究極の手段です。 つまり、パソコンを全くサラの状態に戻すということで、この作業のことを、リカバリ(または、 初期化)と言います。リカバリ/初期化(以下、リカバリ)を行うと、ゼロの状態に戻るわけです から、当然、パソコンの購入以降にインストールしたアプリケーションソフトも作成したファイル も、インターネットや各種の設定ともども消えてなくなるわけです。 また、「工場の出荷状態」まで戻るので、Word や Excel などの Office アプリケーションもその 時点ではインストールされていないため、再インストールが必要になります。(古いパソコンでは Windows などの OS も再インストールしなければならない場合があります)通常、パソコンの購 入時に、Office などのアプリケーションソフトの再インストール用 CD が付属されていますので、 リカバリ後にそれを使って再インストールすることになります。 リカバリを行うと工場の出荷状態に遡って初期化されるわけですから、当然、ハードディスクに 保存しているユーザーが作成した「ファイル」も全て消えてなくなってしまいます。したがってリ カバリは、どうしようもなくなった時の「最終手段」であるほか、原状復帰をしたい場合に行う作 業になります。そのため、リカバリを行う前には、大切なファイルは必ず外部メディア等にバック アップしておかなければなりません。 実際のリカバリの方法は、メーカー、機種、さらにはパソコンの世代などによって方法が違うの で製品添付の説明書で調べてください。 6
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