報告書 憲法9条を変えることに反対する 意見広告運動の経過と反響 市民意見広告運動・事務局 2005年5月27日 今年の憲法記念日(5月3日) 、市民意見 広告運動は、沖縄から北海道までの文字通 り全国から7776の個人と団体の賛同を 得て、意見広告「九条実現̶憲法9条を変 えることにみんなで反対しましょう・改憲 のための国民投票法案の成立をみんなで阻 止しましょう̶」を『朝日新聞』と『毎日新聞』 両紙の全国版に一面全部を使って掲載しま した。広告の掲載を実現するために協力し て下さった皆さんに心から厚く御礼申し上 げます。 市民意見広告運動は2003年5月以来、 今回を含めて4度にわたり、全国紙や地方 紙に意見広告を掲載してきました。しかし その中で今回は、賛同件数 ( 約8900) 、 賛同者・賛同団体数(7776、これは賛 同の期限だった4月16日現在の数でそれ 以降も賛同が相次ぎました) 、 賛同金総額 (約3250万円)のいずれも最高を記録し ました。広告掲載の規模についても同様で す。一市民団体が全国紙2紙の全国版に一 面全面の広告を掲載したのはこれまでに例 がありません。 これほどの規模の意見広告の掲載が実現 したのは、まず何より改憲の足音が急速に 近づいている、極度に危うい政治情勢に非 常に多くの人が危機感を募らせているから だと思います。しかしマスメディアがどん どん右傾化している現状では、市民一人ひ とりが自分の声を反映する場は著しく狭め られています。ですから意見広告運動の存 在を知ればすぐ参加を求める気運は満ちあ ふれています。実際、5月3日早朝から数 日間、事務局の2台の電話は鳴りっ放しで、 かかってくる電話の8割は次期運動への参 加の仕方の問い合わせでした。 もう一つ大切なことがあります。それは 4度にわたる運動の持続の中で、反戦の思 いを《世論に訴え世論を変える方法》とし て意見広告が大きな意味を持っていること が広く理解されるようになってきたという ことです。今回全国に送付された振替用紙 付きのチラシは23万4千枚でこの数も過 去最高ですが、これだけのチラシを手渡し や郵送で配布する人が無数にいたからこそ 莫大な賛同金が寄せられたのです。昨年 10 月初めから今年4月中旬の賛同の期限まで 事務局にはFAXや電話、メールでチラシ の送付要請が休みなく連日相次ぎました。 それに対応してチラシを送り続けたのは今 首都圏で今後の運動についての相談会をやります! ! 市民意見広告運動相談会 ◆と き 6月17日(金) 午後6時30分から (開場午後6時) ◆ところ 文京区民センター 3C会議室 文京区本郷 4-15-14 TEL 03-3814-6731 都営地下鉄三田線・春日駅下車0分(駅の真上) 事務局による改憲の動きについての報告のあと、今後の運動について 話し合います。 主催市民意見広告運動 1 回運動に参加した10数名のボランティア の皆さんでした。膨大な数の賛同者・賛同 団体名簿をパソコン数台を使って作成し続 けたのもボランティアの皆さんでした。 チラシの大量配布が可能になったのは、 「自分が動かないと広告の掲載は実現しな い。9条改憲は阻止できない」と確信する 市民主体が全国に無数に生まれたからです。 自宅で闘病中の人や入院中の人が病床から 友人・知人に手紙を添えてチラシを送ると いうケースも少なくありませんでした。職 場や学校、デモ・集会などでチラシが配布 され、それを受け取った人がさらにチラシ の送付を求めてくるという動きが無限運動 のように繰り返され広がっていきました。 意見広告運動には、出産や肉親の介護、病気、 障害など様々な事情でデモや集会に参加で きない人も参加できます。その点はこの運 動の強みです。 今回の意見広告運動は「反改憲・反戦の 短歌・狂歌・川柳」を公募しました。その 結果、全国から259首もの作品が寄せら れました。作家の中山千夏さんと詩人の石 川逸子さんの選考により6首が広告に掲載 されましたが、作品はどれも好評です。し かし、賛同の件数が余りに多かったので名 簿の掲載に多くのスペースを割くことにな り、作品の掲載は6首に限定せざるを得ま せんでした。そこで中山さんと石川さんに よる第一次選考で選ばれた作品をこの報告 の末尾で紹介します。 掲載紙の選択について 今回は最終的に掲載紙として『朝日新聞』 『毎日新聞』両紙の全国版を選択しました。 しかしそこに至る道のりはきわめて困難な ものでした。 広告の掲載については掲載の約一ヶ月 前に広告主が掲載紙を選択し交渉を始めね ばなりません。あらかじめ紙面を確保しな ければならないからです。今回の賛同金の 目標額は三大全国紙( 『読売新聞』 『朝日新 聞』 『毎日新聞』 )への一斉掲載を想定して 4500万円でした。しかし掲載紙を選択 せねばならない4月初めの時点では賛同金 はまだやっと1900万円台に乗ったとこ ろで、そこで足踏みが続いていました。後 述するように、賛同金は賛同の期限である 4月16日が近づくにつれ激増しましたが、 掲載紙の選択は現に寄せられた賛同金の額 をベースにせざるを得ません。その時点で は三大全国紙への一斉掲載は残念ながら不 可能でした。 『読売新聞』もむろん選択肢に入っていま したが、同社は4月から新年度を迎えたと いう理由で広告掲載料を大幅に値上げし税 抜きで2100万円を求めてきました。こ れではとうてい支払いのメドが立ちません し、赤字を抱え込む危険性大です。そこで 事務局は全国紙として『朝日新聞』か『毎 日新聞』のどちらかを選択することとし、 その後の賛同金の集まり具合によっては、 イラク派兵が続く西日本の地方紙を加える という方針を立てました。これは全国に送っ たチラシで「しかし同時期に同様の企画が 並立するときは、全国紙とできるだけ多く の地方紙の組み合わせなども検討します」 と約束したことに基づいています。4月初 めに事務局は別の運動主体による反改憲意 見広告が同じ5月3日に少なくとも全国紙 1紙と相当数の地方紙に掲載されることを キャッチしていました。 しかし事態は思わぬ展開をみせました。 賛同金が十分集まらないことに焦り苦しみ、 事務局は3月末に「最後のお願いです!」 という緊急アピールを発しました。それに 全国の心ある皆さんが応えて下さったので す。賛同期限の4月16日が近づくにつれ 賛同金が爆発的に増えました。これはもう 奇跡に近いと言わざるを得ませんが、最後 の10日間に連日60万円から200万円 もの賛同金が寄せられ、賛同金総額はあっ という間に3000万円に達しました。そ れまでにチラシの印刷費、発送・通信費な どで約600万円を支出していましたが、 これなら何とか赤字を出さずに掲載を実現 できます。そこで急遽 『朝日新聞』 『毎日新聞』 2 両紙の全国版への広告掲載をめざすことと し、連日のしのぎを削る交渉の結果、両社 合わせて2415万円(税込み)の掲載料 で妥結しました。このような経過で、三大 全国紙への一斉掲載はできませんでしたが、 「全国紙数紙への掲載」という当初の目的は なんとか達成できました。 市民意見広告運動は2003年5月から これまで4回広告の新聞掲載を実現してき ましたが、回を重ねても賛同金の集まり方 についての予測はほとんど不可能です。チ ラシの送付要請の増加がすぐ送金につなが るとは限りません。ですから掲載紙の選択 については、募金の状況をにらみながら毎 回非常に苦労します。今回は目標額が巨額 であるだけにとりわけ厳しい局面が続き、 事務局一同に笑顔が戻ったのは賛同期限の やっと数日前でした。 広告掲載を実現するためにご協力下さっ た全国の皆さんに重ねて御礼申し上げると ともに、事務局による掲載紙選択の経過に ついてご理解をいただきたいと思います。 「九条実現」という表現について 今回の運動は昨年の10月に始まり7ヵ 月も続きましたので、途中でいかに中だる みを避けるかが課題でした。そこで今年2 月、ポスターを作りました。その作成にあ たって、これまでずっとボランティアとし て広告の紙面作りを担当して下さっている デザイナーの鈴木一誌(すずき・ひとし) さんは「守る」という受け身の表現ではな く積極的な表現のメインコピーを考えてほ しいと要請されました。そこで「九条実現」 と大書したポスターが出来上がりました(B 2版とA4版) 。そのポスターは子どもも関 心を寄せる、温かみがある、やさしく力強 いと非常に好評で、個人宅の玄関先、労働 組合の事務所や寺院の門前、教会の内部な どに掲示され、それを見た人が賛同金を送っ てくるという効果を生みました。 ですから意見広告の紙面作りにあたって 「九条実現」をドカンと大書することにため らいはありませんでした。この表現は小泉 政権への要求、私たち自身が9条を実現す るという決意の表明、あるいはこれまで9 条を実現する努力を怠ってきたことへの反 省など様々に受け取られています。しかし それら多様な解釈は、今こそ9条を実現す る努力が求められているという思いで一致 していると思います。この4文字がまず目 に飛び込んできて感動したという声がたく さん寄せられています。それは攻勢的な憲 法改悪反対運動の広がりが求められている ということの証でしょう。 まだまだ発揮されていない《民衆の平和力》 去る4月、衆参両院の憲法調査会は改憲 を想定した最終報告書をまとめました。国 民投票法案の審議を可能にする国会法の改 悪が迫り、自民党は立党50年にあたる今 秋11月15日に新憲法の草案を発表しま す。憲法改悪の動きは加速しています。し かし憲法改悪反対運動にはまだまだごく 一部の人びとしか参加していません。これ から無数の運動主体が生まれ新たな動きが 次々に奔出しないと憲法改悪の動きを押し とどめることはできません。 《民衆の平和力》 はまだ十分掘り起こされていません。 今年の5月3日、全国紙と地方紙に掲載 された反改憲意見広告は最低でも25あっ たと思われます(調査中です) 。この数も前 代未聞で今春それぞれに響き合う意見広告 はまさに〈花盛り〉でした。むろん意見広 告は憲法改悪反対運動の一つの手段にすぎ ず、 《民衆の平和力》を存分に噴出させるこ とは諸反改憲運動の共通の課題です。 今回の私たちの広告には、改憲派の人び とや右翼団体が激して反応し、電話や FAX で抗議や罵詈雑言が数多く寄せられました。 しかしそれはかえってこの広告の大きな政 治的な意味を明らかにしています。 「九条実 現」広告は、憲法9条を変えることに反対 する市民の強い意思の存在を世論にアピー ルするとともに、憲法改悪に反対する人び 3 らもいっそう努力を続けます。 ︵第一次選考作品、広告に掲載した作品を除く︶ 偽りに偽り重ね半世紀ついに居直り三軍闊歩 寺井 拓也 ︵田辺市︶ 戦 い ( くさ 世 ) は千代に八千代にただれ人間 ひ (と の ) 傷あと癒えず膿の出つくすまで ・君が代の替え歌 お前もか儲かるならば改憲か 伊藤 法子 ︵所沢市︶ 古屋 敷一葉︵東京都︶ 野瀬 吉夫 ︵赤穂市︶ 天野 義裕 ︵岡崎市︶ 四方 公代 ︵大阪市︶ 小泉は大野は我子 あ (こ を ) 前線に送ることなく安全を説く 九条に苦情を申すこの窮状 成田 強 ︵江別市︶ ファルージャの虐殺に吾を知らぬ間に加担させたる小泉憎し 戦後でも戦前でもなし今まさに非戦の国は戦時なりけり 軍隊を持つのが普通の国ならばそんな国にはならなくて良し 吉川 邦良 ︵東京都︶ 幼き日父の戦死を告げし母昨夜の夢に再び顕 た 鈴木 ( た )す 広 ︵山形県︶ わたしなぜこんなめにあうの傷つきし少女の瞳に不変の問いが 仲川 真紀 ︵大阪市︶ おかあさん死にゆく兵の口をつき出 い (で し ) 言葉はただおかあさん 曇れども五月の空に旗を立つ 磯谷佳世子︵東京都︶ 諸岡 研介︵大牟田市︶ 石黒比呂秋︵名古屋市︶ 真田かずこ︵京田辺市︶ 九条が生きる喜び濃くしてる 児ら挙ぐる遊びの声の届くとき世の行く先に心を砕く 赤紙が携帯に来る新世紀 北阪 英一︵河内長野市︶ 高山 知之︵新潟市︶ おお声で千代に八千代に9条こそ 4 ︿憲法改悪反対﹀反戦歌壇 来年の憲法記念日には47都道府県すべ ての地方紙に反改憲広告が掲載される、そ んなすばらしいことが起きるよう、あなた もあなたが住む地域で努力してみませんか。 魯迅は「歩く人が多くなれば、それが道に なるのだ」とのべています。 とを励まし共に手を携える決意を強化する ことに役立っています。 広告に触れて、現役の自衛官の家族が電話 で賛意を表明するということもありました。 そのように広告は対話のきっかけにもなっ ています。率直に思いをのべあい思想豊か で強力な憲法改悪阻止パワーが形成されね ばなりません。市民意見広告運動はこれか 《会計報告について》 皆さんのご協力により賛同金は3000万円を超えました。おかげ さまで全国紙2紙の広告掲載料2415万円(税込み)と約600万円の経費(印刷費・ 通信費など)をまかなうことができました。賛同者・賛同団体の皆さんに厚く御礼申し上 げます。なお詳細な会計報告については、まもなくホームページに掲載する予定です。ま たご連絡をいただき次第、メール・FAX・文書などで報告します。 事務局 qqqqqqqqqqqqq 5月3日、朝8時ごろ、寝床でラジオを聞いておりましたら電話。元の職場の知人か らで、「『毎日新聞』で意見広告を見ました。磯谷さんの名前が出てます。『ごまめにも まとまりゃ出せる平和力 鮫のアメリカかまぼこにする 磯谷佳世子 (東京都)』と白 抜きで」と知らせてくれました。 それで気分が良くなり、顔を洗ったかどうか思い出せませんが、郵便受けから朝日新 聞を取ってきて広げて見ました。真っ先に「九条実現」が目に入りました。「少なくと も朝日と毎日には全面広告が出たのだぁ」と感激しました。私が生まれて初めて作った 狂歌?も載っていました。作家の中山千夏さんの選考でした。感激してだんだん嬉しく なりました。 事務局の皆様と大勢の皆様方のお陰です。 市民意見広告運動のお仲間になれましたことを、心から光栄に存じます。 ありがとうございました。 (磯谷佳世子 東京都) qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq qqqqqqqqqqqqq qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq 「九条実現」広告の掲載が実現して(ボランティア さはし・やよい) 平和を知らない子らがいる オギャーと生まれたその日から 母に抱かれて逃げまどい 歩き始めたその日から 母の手にぎり逃げまどう 平和を知らない子らがいる そんな現実を見聞きした時から、戦争をなくす為に何かできる事はないかと思い続け、あ る日出会ったのが“市民意見広告運動ボランティア”だった。今年に入って、チラシ送付、 賛同金振込みがすごい勢いで増え続け、週1度のはずの事務所行きが2度3度に. . . 。30年 以上、家事以外に頭を使った事のなかった私は、4月末に知恵熱 !? でダウン。 しかし5月3日朝刊の一面を覆う『九条実現』の広告を見た途端、 蒲団を飛び出し事務所へ。 8時半着。開けたドアの向うには、 カーテンも開けず、 ひとり事務局の井上澄夫氏が静かに座っ ておられた(ワインの瓶が机上にあった事は内緒にしておこう) 。目の前の本棚には、既に意 見広告が貼ってあった。興奮したままの私は、 「九条実現の黒々とした文字も良いし、薄い9 の字も素敵! 何より賛同者全員の名が載り、しかも読める印刷技術もすごい! 直線の中 に殺すなバッジの丸も目立って良かった! さすが鈴木デザイナー. . . 」と一気にまくしたて た。土日もなくホテル・事務所に泊まり込み、疲労困憊の井上氏がぽつりと「もう一つ全面 広告が出ましたね」 。 「はっ?. . . 」 。そちらの方は私の目には、まったく入らなかったのです。 “平和を知らない子”など、ひとりもいない世界になるよう、市民意見広告運動ボランティ アを今後も続けるつもりでいる。体がもつ限り. . . 。 ******************************************************************************* 《事務局からのお詫び》 今回の運動では、報告に記しましたように、賛同の期限直前に爆 発的に賛同金が寄せられたため、賛同者・賛同団体の名簿の作成は大変でした。連日4台の パソコンに向かい皆さんの思いに応えようと奮闘しましたが、広告に掲載された名簿で一部 の方のお名前が欠落しました。事務局として心から深くお詫びします。 4回にわたる活動で賛同名簿の作成はかなりシステム化され、入力ミスの点検も繰り返し やったのですが、完璧というわけにはいきませんでした。ミスが起きないシステムをめざし て一同いっそう努力するつもりです。 事務局一同 5 小さな名前に9条守る喜び 農業 徳永厚良(愛媛県西条市 73 歳) 憲法記念日の3日、朝刊のページを急いで開いた。あったぞ。 「九条実現」の大きな文字が 目立つ全面広告。そのすき間をぎっしりと埋めるように、 「憲法9条を変えることにみんなで 反対しましょう」と全国の意見広告主の氏名が掲載されていた。 わずかではあるが送金して、広告主になった。老眼鏡をかけた上にルーペをかざして、自分 の名前を探す。普通なら大きな活字を喜ぶだろうが、今回は反対であった。活字が小さけれ ば小さいほど、多くの同志の名前が書き込まれていることになるのではないか。 戦争は絶対に嫌だ。9条を日本の宝物にして世界に広めなければならない。意見広告の私の 名前は小さかったが、多くの同志の名前を拝見した喜びは、とっても大きかった。 (2005年5月13日付『朝日新聞』東京本社版「声」欄) ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 実務の現場から ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ●5月3日に「九条実現」広告の新聞掲載が実現してから数日後、 「M 県の○○だが、どうし て私の名前が載っているのか調べてほしい」という電話がありました。パソコンで名前を検 索し届いた振替用紙を手元に置いて「お名前は○○○○さんですね。ご住所は……、お電話は ……ですね。昨年の12月○○日に○○郵便局からご送金いただいています」 「えっ」 「通信 欄にこうお書きになっています(と文面を読み上げる) 」 「あっ、そりゃわしだ。うーん、と すると送金したのか」としばし沈黙されたあと、 「あー、あー、あー、思い出した。そうだ、 確かに送った」……。まったく忘れておられたのでした。 ●これは 4 月中旬、賛同者名簿を作成中のこと。余りに達筆で住所が読めないので、確認の ため電話をすると、相手はご高齢の女性で娘さんが応対されました。しかし「母はそういう ものを送った覚えがないと言ってます」とのこと。いろいろ調べて判明したのは、あるお寺 の住職が檀家の人びとに市民意見広告運動のチラシを送って賛同を勧誘したのですが、その 高齢女性は「お寺さんへの寄付」と勘違いして送金したということでした。むろんすぐ返金 しました。 ●「友人からあなたの名前が載っていると言われて驚いた。私の名前は珍しいから私に間違 いない。削除してほしい」 という電話もありました。調べてみたら、 確かに珍しいお名前ですが、 電話してきた人は東京の人、意見広告にお名前を掲載した人は九州の人でした。 「その方は自 分が電話してもいいとおっしゃっていますが」と告げると「いやそこまでは……そうですか、 分かりました」でケリがつきました。 事務局で実務を続けていると、実にいろんなことがあります。7ヶ月続いた運動ですから、 賛同された方のうち亡くなった方もいます。詩人の井之川巨さんと国際ジャーナリストの芝 生瑞和さんです。お二人は(故人)と付記して賛同名簿に掲載させていただきました。謹ん でご冥福を祈ります。また昨年末逝去された男性のおつれあいから「代わりに私が賛同させ ていただきます」というご連絡をいただきました。お悔やみと御礼の手紙を送らせていただ きました。 「年金暮らしなので少しですみません」と通信欄に記して賛同金を寄せられる方が 大勢いらっしゃいます。その方々の思いに打たれつつ活動を続けています。 (井上澄夫) 6
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