講演会予告 ぜひご参加ください!! 非歯原性歯痛 ~非歯原性歯痛:誤って抜髄、抜歯をしてしまわないために~ 講 師 井川 雅子先生(静岡市立清水病院口腔外科 口腔顔面痛専門医) X-P では異常がないにもかかわらず歯に強い痛みを訴える患者が受診し、原因が特定でき ないまま、やむをえず抜髄や抜歯をしてしまったことはありませんか? 実は近年、歯とは無関係の疾患でありながら「歯痛」が主訴になる(「非歯原性歯痛」を 生じる)疾患が多数あるということが知られるようになり、2012 年には日本口腔顔面痛 学会から「非歯原性歯痛のガイドライン」が発行されました。不要で無意味な治療をして、 患者とのトラブルに巻き込まれたりしないためにも、すなわち「歯科医自身の危機管理」 のためにも必要な知識です。 1)筋・筋膜痛は、咀嚼筋の疲労により生じた筋痛が「歯痛」のように感じられるもので す。軽微ですが持続性の鈍痛であるため、患者は歯の精査を希望します。 2) 群発頭痛は、片頭痛と同じメカニズムで起こる神経血管性頭痛です。発作時には、上 顎最後臼歯の激痛と自覚されるため、患者の 30%が歯科医院を受診し、16%が誤診により 抜歯されていると報告されています。 3)三叉神経痛の患者さんのほとんどは、発作性の疼痛を「歯の痛み」だと自覚するため、 最初に歯科を受診します。本疾患も誤診による抜髄・抜歯が多い疾患です。 4)特発性(非定型)歯痛は、今世紀に入ってから知られるようになった要注意疾患です。 初発時には歯髄疾患のように見えます。X-P では何の異常もないのに、患者が痛みを訴え 続けるため抜髄。しかし痛みは存在し続けるため、最終的に抜歯が行われます。しかし抜 歯をしても痛みは消えず、他の歯に拡大していく傾向があります。痛みの原因は脳内の神 経伝達物質の異常、すなわち中枢性の疼痛ですから、歯の治療では解決しません。治療の 第一選択は三環系抗うつ薬による薬物療法です。 5)精神疾患による歯痛:慣れているはずの義歯が急に「あわなくなり、食事が出来ず夜 も眠れない」 。インプラント埋入後、ありえないような激痛が数ヶ月も続いているなど。 このようなケースは、精神医学的な知識で説明可能な場合が多く、身体表現性障害・うつ 病などの概念が役に立ちます。 講演では項目2,3,4についてお話しさせていただきます。 <履歴> 1984 年 3 月 1984 年 4 月-1990 年 6 月 1990 年 6 月-現在 2004 年 2004-2007 20102011 年4月2011 年7月2012 年 10 月 東京歯科大学卒業 慶應義塾大学医学部歯科口腔外科学教室助手 静岡市立清水病院口腔外科 (非常勤歯科医師) 北海道大学歯学部 非常勤講師 日本大学歯学部 非常勤講師 日本歯科大学 非常勤講師 日本歯科大学臨床教授 国際医療福祉大学 歯科口腔外科 非常勤講師 神奈川歯科大学 非常勤講師 認定医 米国口腔顔面痛学会認定医、fellow 日本口腔顔面痛学会暫定専門医・指導医、評議員 日本頭痛学会専門医、評議員 日本顎関節学会 顎関節症専門医 出版物 著書・翻訳 1)「TMD を知る」 Charles.McNeill 監修、Greg Goddard, 和嶋浩一 、井川雅子、クインテッセンス出 版、東京,1997 2)「口腔顔面痛 –基礎から臨床へ-」 James P Lund / Gilles J Lavigne / Ronald Duber / Barry Sessele クインテッセンス出版、東京 (訳 24 章「口腔顔面痛におけるサイエンス・トラン スファー」)), 2001 3)「頭痛診療のコツと落とし穴」坂井文彦編集、中山書店、2003 共著(筋由来の緊張型頭痛、口腔顔面領域に疼痛を生じさせうる神経血管性頭痛) 4)「OFP を知る」井川雅子、今井昇、山田和男 クインテッセンス出版、東京,2005 5) 「歯科医のための口腔顔面痛ハンドブック、その痛みにこの処方」 監修 中西修 編集 椎葉俊司 永末書店、2008(神経血管性疼痛 P32-33) 6) 「口腔顔面痛 歯痛および顎関節症と誤診しやすい疾患について---誤って抜髄・抜歯をし ないために---」井川雅子 日本歯科医師会雑誌 第 60 巻 第9号 (2007 年 12 月) 7) 「口腔顔面痛を治す」講談社医学ライブラリー 2009 8) 「改訂第2版 TMD を知る」井川雅子、大久保昌和、村岡渡 クインテッセンス出版、東京,1997 si
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