心筋梗塞から救う - 紋別市ホームページ

第8回
講演記録
「心筋梗塞から救う」
~心臓血管病に対するカテーテル治療の最新情報~
開催日
2011年3月23日(水)
会
紋別市文化会館
場
紋別市保健医療福祉連携推進会議
平成23年3月23日
いて、最後に簡単に腎臓の動脈硬化につい
保健・医療・福祉連携市民フォーラム
て、という流れでご説明します。
初めに心筋梗塞からお話しようと思いま
講
演
遠軽厚生病院
循環器科医長
鈴木
す。心臓の表面に冠動脈という血管が走っ
孝英
先生
ていて、心臓の右側に右冠動脈、心臓の左
前に行く血管と左後ろに行く血管と、大き
ご紹介ありがとうございます。遠軽厚生
く 2 本に分かれていて、大体 3 本に分かれ
病院の鈴木です。皆さんこんばんは。
ていると通常ご説明しています。
今日はカテーテル治療、主に僕が専門に
これは MRI ですが、この様に心臓の表面
させて頂いているものですが、まず、心筋
に血管が走っているのがご覧頂けると思い
梗塞の話からスタートして、順次、足の血
ますが、この様に MRI でも冠動脈というも
管や腎臓の血管までご説明させて頂きたい
のをみる事が出来ます。
と思います。
ちなみに、これは僕の心臓ですが、今の
まず、地震で被災された皆様、関係者の
所は病気はないようですが、いずれ病気に
皆様に心よりお見舞い申し上げます。一日
なってしまうのかも知れませんが、簡単に
も早い復興を願っております。
みることが出来ます。
心臓血管病という事ですが、代表例とい
模式図ですけれども、血管が狭くなって
うのは胸が苦しい急性心筋梗塞ですとか、
血管が詰まってしまう。こういうふうにな
血管病という事で言えば、言葉がでない脳
ってしまうと心筋梗塞、心臓の冠動脈にこ
梗塞ですね。
ういう状況が起こると、心筋梗塞という状
こういった心筋梗塞、脳卒中、脳梗塞と
態になります。
いうものが代表的な病気という事になりま
一般的に一番多いのは、胸が苦しいとい
す。
う症状になりますし、あるいは、息切れが
原因は何かというと、殆どの場合は動脈
する、息が出来ない、こういった症状が出
硬化、血管が硬く細くなり詰まってしまい
てくる場合もあります。
ます。これが原因になっています。
少ないですが、肩が痛い、左肩がだるい
動脈硬化というのは、何が原因で起こっ
といった症状になる場合もありますし、さ
て来るかと言いますと、高血圧やコレステ
らに少ないですけれども、左の奥歯が痛い、
ロール、あるいは糖尿病、タバコ、他にも
そういったようなものが症状として出てく
ありますが、こういった物が原因で動脈硬
る場合もあります。
化が徐々に進行してきます。
主には、胸が苦しい、息苦しい、そうい
動脈硬化は心臓や頭だけなのかというと、
全身に血管がある訳ですが、全身の血管に
った事が症状の代表例です。
急性心筋梗塞、ちょっとイメージの動画
起こってきます。
をご覧頂きたいのですが、今お話したよう
まず、今日は冠動脈疾患、心筋梗塞や狭
に心臓の表面に冠動脈、冠状動脈、心臓に
心症のお話。さらに手や足の動脈硬化につ
酸素や栄養を運ぶ大事な血管ですね。
1
この血管、通常であればこのように赤い
不全のガイドラインがありましたが、急性
のが赤血球で酸素を運んでいます。
心筋梗塞のガイドラインがあります。
黄色く見えるのがコレステロールです。
小さくて見づらいかと思いますが、緊急
こういうのが増えてきますと、特に悪玉の
PCI というのは、カテーテルでの治療の事
コレステロールといった様な物が血管の壁
を PCI と言います。
に取り込まれていきます。
心筋梗塞を起こした患者さん、色々書い
徐々に大きくなっていって、白血球の一
てありますが、最終的に一番下ですが、PCI
種のマクロファージがそこに入っていきま
カテーテル治療が出来る施設に直ぐに行っ
す。そうすると血管に炎症が起こり、徐々
てください、というのがガイドラインにな
に狭くなって、にきびの様に血管の中に狭
っています。
く内側に出てきます。これをプラークと言
ですから、心筋梗塞を起こしたという事
い、血流が悪くなってしまいます。
が分かれば、直ちに緊急の治療が一般的に
そこの断面、剖検(解剖)した断面です
は必要であると考えて頂いて結構です。
が、丁度この部分がコレステロールが主な
ただ、時間は 3 時間以内、あるいは 12
ものですが、プラークです。
時間以内となっていますので、若干の時間
このプラークがある日突然「プチン」と
的余裕はあると思います。
弾けます。これがいつなのか分かりません。
多分、脳卒中、脳梗塞に比べると、心臓
弾けた時にここに血栓が出来てしまうと、
の方がやや時間的な余裕があるのだろうと
ここで詰まります。
思います。
必ずしも、段々狭くなって詰まってしま
カテーテルですが、カテーテルというの
うというより、ある日突然「プチン」とい
は管の事を意味しますが、どこから管を入
くと、詰まってしまう。それが心筋梗塞と
れるかと言いますと、手首の所から入れる
いう病気です。
か、肘から入れるか、太ももから入れるか
心筋梗塞を起こすと、その部分の筋肉が
大体三通りあります。
壊死してきますので、胸が苦しいという症
これは、手首の所から管を入れている例
状になり現れてきます。
ですが、血管の中を通って心臓の血管まで
胸が苦しいという事で病院に行きますと、
届けます。
心電図、血液検査、こういった検査で心筋
狭くなっている所をステントという金網
梗塞かどうかというのは、先ずは分かりま
ですけども風船で広げて、狭くなった所を
す。
広げる、という治療がカテーテル治療にな
血液検査をすれば心筋梗塞を今起こして
ります。
いるかどうか、少し御幣があるかもしれま
管を入れる部分というのは色々あります
せんが、心筋梗塞を起こして直ぐの場合は、
が、手首から入れる事が最近は多いのでは
分からない場合もあるのですが、両方でき
ないかと思います。
れば大体は診断が出来ます。
足から入れるとその後安静が必要になっ
ちょっと専門的になりますが、先程も心
たりしますが、手首からだと安静の必要が
2
ないという事で、手首からやった方が患者
取りに行きます。
さんにとっては非常に楽という事です。
この方の場合には、このような血栓が取
よくカテーテル、カテーテルと言います
れてきました。大きさはかなり小さいです
が、何の事かといいますと、端的に言いま
が、こういった血栓が詰まって、先程のよ
すと管の事です。
うに血管が詰まってしまうという事になり
色々な管がありまして、検査用の管もあ
ます。
れば治療用の管もあり、
太さが 1 ㎜から 2.5
こういう血栓を取ってあげれば、詰まっ
㎜位の太さになります。
ていた血管は流れていきます。丁度ここが
検査だと 1~1.5 ㎜位の太さのもの、治療
詰まっていた血管です。この太い血管が詰
だと 2 ㎜の太さの管を使うのが一般的です。
まっていた血管ですね。
実際にこれは、緊急の冠動脈の検査、カ
血栓を吸引しただけでは、さっきの動脈
テーテル検査をしている動画になります。
硬化の図を思い出して頂ければお分かりい
ちょうど左前に行く、左前下行枝という
ただけるかと思いますが、血栓を吸っただ
血管の途中、お分かりになるでしょうか?
けで、動脈硬化が無くなる訳ではありませ
ここに枝がありますが、この先が詰まって
んので、そこを、ここでお観せしているス
いる血管です。
テント、金網ですね。金属の金網でしっか
ちなみに、ここにあるのがカテーテルで
り広げてあげる事で、また詰まってしまわ
す。これ検査用のカテーテルです。
ないようにしてあげる。
ずっと管が大動脈の所から入って、これ
これが今の急性心筋梗塞に対する、一番
が左の冠動脈の入り口です。そこにカテー
の一般的な治療という事になります。
テルを引っ掛けて造影剤を入れると、血管
これが最終結果ですけれども、先程詰ま
がどうなっているかがはっきり分かります。
っていたのは、丁度この辺だったのですが、
今の例でいうと、ここの丁度枝の出した
このようにきれいに治療する事が出来ます。
後ですね、そこが詰まってしまっていたと
ここの血管が詰まっていたという事です。
いう訳です。丁度ここですね。
急性心筋梗塞に対するカテーテル治療と
治療をこの後やっていく訳ですが、どう
いう事をちょっとまとめますが、急性心筋
いうふうに治療をして行くのかというと、
梗塞というのは、何で怖いのか命にかかわ
まず治療用のちょっと太目の管に入れ替え
るのかというと、不整脈の発作が起きたり、
ます。
あるいは、心臓が動かなくなって心不全に
その後で、ここに見えるのがワイヤーで
なってしまったり、心臓が破裂してしまう
見えづらいかもしれませんが、先端がこの
とか、こういった合併症、殆どの場合突然
辺にありますが、0.3 ㎜くらいのワイヤー
死する場合は不整脈が原因と言われていま
を詰まった血管に通して行きます。
すが、こういった合併症が非常におっかな
その後、大体詰まっている血管に対して
い訳です。
血栓吸引と言いまして、血栓を取ってあげ
詰まったままにして置くと、こういう合
るよう、吸ってあげるような道具で血栓を
併症が起きる可能性が非常に高くなります。
3
血管を拡げて治療をしてあげる事で、心
ります。
筋梗塞の被害を受ける領域を減らしてあげ
ですから詰まってしまう前に、狭くなっ
る。それ以上進めない。
ているのも、狭くならないようにすること
これは、カテーテルで治療したら心筋梗
が重要ですが、なるべく詰まってしまう前
塞が治る訳ではありません。それ以上心筋
に、治療してあげる事が大事になってきま
梗塞を進めないというのがカテーテル治療
す。
です。だから早い方がいいのです。
こういったリスクの管理という事が動脈
こういうカテーテル治療で血液を通す事
硬化を進めない、心筋梗塞を予防するとい
で、合併症を減らす事が出来るというよう
う点で大事ですが、リスクが多くなればな
に考えられています。
るほど危険性が高い、心筋梗塞等起こしや
急性心筋梗塞の病院に来た患者さんの死
すいという事が分かっています。
亡率は、10%は無いと思います。色々な背
危険因子が 3 つ 4 つあると、ない人に比
景があるので難しいと思いますが、10%以
べると 30 倍位心筋梗塞を起こしやすくな
下です。最近の医療の進歩によって、心筋
るという事が言われているので、こういう
梗塞による死亡率はかなり減ってきていま
動脈硬化の危険因子を沢山お持ちの方で、
す。
心臓の検査をしていない方は、一度受けて
但し、病院にたどり着かないものがどの
おかれたほうがいいと思います。
くらい有るのかというと、実は良く分から
詰まる前の狭くなった段階で検査をした
ない所もあります。
方がいいという話をしましたが、心電図、
突然死と言われるものの中に、急性心筋
血液検査、心筋梗塞の時は、大体これで分
梗塞が結構含まれていたりするので、20~
かりますと話をしましたが、これで分かる
30%位死亡率があるのではないかと。少し
のか。
多いデータですが、そういうふうに言われ
狭い時の事を狭心症と言いますが、狭心
ている事もあります。
症の場合は、心電図と血液検査だけでは分
心筋梗塞自体の死亡率は減っているけれ
かりません。発作が起こっている時は心電
ども、病院にたどり着けたらの話で、病院
図で分かりますが、発作が起こっている時
にたどり着く前に、亡くなってしまう場合
でなければ分かりません。
もあるという事は、よく覚えてほしいと思
では、その為にどういう検査をしていっ
います。
たらいいか、やはり画像を診ていくしかあ
心筋梗塞で命を落とさないようにするに
りません。
は、どうしたら良いかという事ですが、ま
これは CT で、造影剤を使い CT で血管を
ずこういうふうに詰まってしまうというの
評価していっています。丁度この部分、こ
は駄目ですね。
の方の場合はここから血管がこういうふう
これが心筋梗塞ですけども、詰まってし
に出ていますが、ここが狭くなっていると
まうと色々な事が起こってくる可能性があ
いう事が、CT を撮ってあげれば分かります。
りますので、未だ狭いうちならば余裕があ
あるいは、先程お観せしましたが、MRI
4
という検査でも、最近はある程度こういう
荷をかけた患者さん、冠動脈造影、治療の
様に、病気があるかどうかという事も評価
為にこういうカテーテル検査をします。
する事が出来ます。
丁度動画で見づらいかもしれませんが、
実はこれは MRI ですが、心臓が動いてい
この部分が狭くなっているのが分かるかと
るのも、こういうふうに非常にきれいに観
思います。CT でここ、MRI でここ、血管造
る事が出来ます。時間もかかりますが、色々
影ではここという事で、大体病気の場所と
な事が MRI 検査で分かります。
いうのはあっているかなと思います。
MRI のお話しをしましたが、CT と MRI と
治療する場合、先程お話したようにカテ
いう輪切りの機械がありますが、CT という
ーテルという管を入れてやっていきます。
のは放射線を使い、造影剤という薬を使っ
これは血管の中の超音波検査の写真です。
て検査をしなければならないのですが、MRI
血管の中から超音波で、中がどうなってい
というのは被爆がない、造影剤という薬を
るのかをみる事が出来ます。
使わないというメリットがありますが、体
ちょっと小さくて見づらいかもしれませ
に金属が入っていると駄目とか、時間がか
んが、この先の所は太くなっていますから
かったり、画像の質としてはやはり CT の方
血管の中は太い。ここ丁度狭くなっている
が良いとか、そういったメリット、デメリ
所は、中が狭い。丁度ここがプラークです。
ットがあります。
手前がまた太くなっています。
後、負荷シンチ、負荷をかけて心臓の血
先程お見せしたこういうのと見比べて頂
流がいいかどうかをみる検査、こういう検
くと分かると思いますが、血管の中はこう
査もあります。
で、プラークがここにあります。
心臓の筋肉を拡げてあげて、地図のよう
この部分を血管の中の超音波検査を使っ
に表したものです。こちらが前側になりま
て、ステント(金網)を正常な所から正常
すが、前側の壁、こちら左側負荷をかけた
な所まで入れてあげて、こういうプラーク
時です。こちらが安静にした時です。
をしっかり拡げてあげるというのが、カテ
負荷をかけると、丁度この部分の血流が
ーテルの治療です。
悪くなるという事が分かります。
今の患者さんもこのようにステント(金
先程の CT や MRI というのは、血管がどう
網)を入れて拡げてあげる事で、狭かった
なっているかという事が分かりますし、こ
血管がこのようにきれいに拡げてあげる事
ういう負荷検査をすると、狭くても問題が
が出来ます。
ない場合もあります。たいした事が無いよ
「動くと苦しい」という症状があったのが、
うに見えても問題がある場合があります。
こういうふうに拡げてあげると、直ぐに症
必ずしも、CT や MRI で血管が狭いからと
状がとれて、動いても苦しくない。症状が
いって治療が必要だという訳ではなく、ど
取れるという事です。
の程度血流経過があるか、問題があるかと
治療前と治療後で拡がっているのがお分
いう事を評価する事が大事になります。
かり頂けるかと思います。
今の CT、MRI を検査した方、あるいは負
今お話したカテーテル治療、それ以外に
5
も外科的なバイパス手術というものもあり
ってしまっている、ここ右冠動脈というの
ます。
はこの様になっていますが、完全に詰まっ
勿論、バイパス手術が必要な患者さんも
ています。完全に詰まっちゃっている血管
おられる訳ですが、最近はカテーテル治療
も、この様に治療する事が出来ます。
というのが、狭心症、心筋梗塞の場合には
検査から治療の流れでお話して来ました
カテーテル治療で、殆どが解決する事が出
が、運動負荷、あるいは CT や MRI、カテー
来るようになっています。
テル検査、最後に治療という事で、色々検
実は、ステントという金網を使って治療
査の種類があります。
するという話をしましたが、金網の内側に、
都会の病院とかですと、患者さんも病院
こういう様に膜が張ってきます。膜が厚く
が沢山ありますから、簡単に検査が出来て
張ってくると、又中が狭くなってしまうの
簡単に治療が受けられるという事で、CT の
で、そういうのを再狭窄と言います。
検査でパッと狭窄が分かり治療するという
再狭窄が起こると又治療しなければいけ
のも、最近は結構増えてきていますが、CT
ないという事で、単なる金網の時代には再
や MRI、先程の検査だけでいいのかという
狭窄というのが、非常に問題になっていま
事になると、運動負荷、運動して苦しい症
した。
状があるのかどうかとか、形だけでなくて、
再狭窄、再発率といってもいいのかもし
機能的に問題がないかどうか、きちんと見
れませんが、再狭窄を抑制するような薬剤
極めて治療していくという事が大事です。
溶出性ステントといいますが、新しいステ
天皇陛下が 2 月に心臓の検査をしたとい
ントが 7~8 年前から使われるようになっ
うのを、報道で聞いた事がある方もいるか
て、その後カテーテルの治療が大幅に増え
もしれませんが、運動負荷試験をして冠動
てきた事になります。
脈造影検査を受けて、それで経過観察にな
第一世代、色々ありますが、第二世代、
ったという事で、CT や MRI とかではありま
徐々に少しずつ欠点を改良して、どんどん
せん。
新しいものが出てきています。
CT や MRI も非常に大事な検査ではありま
今年は、日本製の薬剤溶出性ステント、
すが、最近、結構患者さんの中でも「CT や
テルモという会社が作ったステント、日本
MRI で分かるでしょう」と言われる事があ
製の物も使えるようになりました。
りますが、それは検査の一部であって、運
話は変わりますが、今お話したステント、
動負荷試験や冠動脈造影の検査をしなけれ
新しいステントがどんどん使われるように
ばいけないものもあります。
なって、従来であればバイパス手術の適用
あと典型的なものが、動脈硬化以外の血
だった患者さんについても、こういうカテ
管がここ細くなっているのがお分かり頂け
ーテルで治療する事が出来る様になってき
るかと思いますが、こういう血管が痙攣を
ています。
起こして、発作を起こすタイプの狭心症と
左主幹部と言って、左の血管の入り口近
いうのもあります。
くの病気。あるいは、この様に完全に詰ま
これが発作の起こしていない時で、こち
6
らが発作を起こしている時で、血管の痙攣
持ちの方も多いと思いますが、一番多い症
スパズムと言いますが、そういった事が原
状というのは跛行と言いまして、歩いてい
因で起こる狭心症もあるので、これも CT、
ていると段々足が痛くなります。休み休み
MRI だけでは全てが分る訳ではありません。
だと歩ける。こういう間欠性跛行、こうい
一応心臓の病気を中心にお話をしてきま
う症状が足の血管の主な症状です。
した。一番お話を今日させて頂きたかった
段々酷くなっていくと、黙っていても足
事は以上ですが、後残りの時間を使って、
が痛い。あるいは足が腐ってしまうといっ
手足の血管、あるいは、最後、腎臓の動脈
た様な症状にもなる場合があります。
の話を少しさせて頂きたいと思います。
これは腸骨動脈、丁度右足のここが大腿
これは、血圧脈波という検査で、難しい
骨頭といって足の付け根です。そこの少し
検査ではありません。手足の血圧を測った
上くらい、ここに狭窄があります。この血
だけです。こういうふうに拡大しますと、
管もこの様に、ステントが拡がっていくの
手足の血圧が測られるこういう検査です。
がお分かり頂けるかと思います。
遠くの方は見えづらいかもしれませんが、
心臓の血管の場合は、風船で拡げてあげ
右手の血圧が今 132 と出ています。これで
る。足の血管の場合は、こういうふうにス
一体何が分かるのかという事ですが、左の
テントが勝手に拡がっていく、こういうタ
血圧が 104、右手と左手で血圧が 30 位違い
イプのステントもあります。
があります。という事は、左手にいく血管
こういうステント(金網)を入れて、そ
に狭窄、狭い所があるのではないかという
の後風船で拡げてあげると、狭かった所が
事が、こういう検査で分かります。
このようにきれいに治療する事ができます。
今度は、足に目を向けると、左足の血圧
これが更にひどい血管の状態ですが、右
が 85 となっています。これは、足の血管に
足の腸骨動脈、ここが大動脈でこっちが右
病気があるのではないかという事が分かり
足、左足ですね。右足の血管の分かれた所
ます。ですから両手、両足の血圧を測る検
が狭くなっています。さらには左足の血管
査をしただけで、血管のどこが狭くなった
はずっと詰まってしまっています。
り詰まったりしているのかというのが簡単
こうなるとかなり足が痛くなります。10
に分かります。
~20m 歩いただけでも足が痛い。場合によ
今の患者さんですが、左手の血圧が低く、
っては黙っていても足が痛いというような
これが大動脈で左手に行く血管です。丁度
症状になってくる場合もあります。
ここが完全に詰まってしまっていました。
これは CT の画像です。CT ではこれきれ
この部分を拡げてあげて治療すると、左
いに血管がどうなっているかが分かります。
手の血圧も正常になります。この患者さん
この場合血管造影ですが、こういうステン
は左手がだるいという症状がありましたが、
ト(金網)を入れてあげて、最終的にはこ
こういう治療を、これもステント(金網)
の狭く詰まっていた血管がこういうふうに
を入れて治療してあげる事が出来ます。
きれいに治療してあげる事が出来ます。
後足、足が結構痛くなるという症状をお
お分かり頂けますね。動いているとちょ
7
っと分かりにくいかもしれないので、CT で
す。
見比べてみると分かるかと思いますが、こ
こちらも足が腐ってきています。これは
の詰まっていた所をステント(金網)が入
どういう血管の状態でこうなってしまって
って、きれいに空けてあげる事が出来まし
いるかというと、これが CT ですが、丁度腸
た。
骨動脈が両方詰まっていて、右側は大腿動
こんな感じですね。丁度この部分が狭く
脈も詰まっています。こういう閉塞の部分
て、こっちが詰まっている所ですね。左が
が多くなると、先程の様に足が壊死してく
治療した後ですけれども、右足の狭かった
る場合が出てきます。
所もきれいに拡がっていますし、左足の詰
拡大すると、この腸骨動脈部分ですが、
まっている所も、きれいに拡げてあげる事
ここ血管が通っているように見えますが、
が出来ています。これで足の症状も無くな
CT だと白く観えています。石灰化といって
り、好きな事が出来るということです。
硬くなっている部分が白く観えるので、必
もうちょっと別な場所の足の血管の病気、
ここ丁度太ももの部分になります。先程は
ずしもその部分が通っている訳ではありま
せん。
腸骨動脈という事で上の血管でしたが、こ
実は MRI を見ていくと、石灰化の部分は
の下の大腿動脈が詰まってしまう事があり
観えませんので、実は大動脈の部分で詰ま
ます。
っていて、ここから両足とも腸骨動脈が詰
これが血管造影ですが、丁度ここから本
まっている事が分かります。大腿部膝下で
管があって、
ここから先が詰まった先です。
すね。
丁度この部分ですが、大腿動脈が詰まって
血管造影を行いました。大動脈ここから
いる場合ですね。
詰まっていて、先の血管がうっすら見えて
この場合にも同じようにステント(金網)
来ますけど、ちょっと会場では分かりにく
を入れて、このように治療してあげる事が
いかもしれません。
出来ました。
同じように、これも非常に難しい治療で
詰まっている部分を治療していくという
したが、ワイヤー、針金をなんとか詰まっ
事なので、それなりに技術は必要ですけど
ている所を通してステントを入れて、最終
も、かなり成功率は高いです。
的には詰まっていた血管が、こういうふう
CT で観てみますと、詰まっていた所を先
にきれいに治療する事が出来ています。
程と同じようにステント(金網)を入れて
こういうふうに治療してあげる事で、始
治療する事が出来ています。
めこういう足の状態だったのが、結構ここ
あと、あまりこういう画像に弱い方もい
まで酷いと治るのに時間がかかるのですが、
るかもしれませんが、足ですね。丁度足の
半年くらいの結果で、こういうふうに傷も
部分が腱が出て足が腐っています。
治ってきます。
酷くなってしまうと、こういう状態にな
こうなる前に治療していく事が大事です
ってしまう場合もあります。こうなってく
が、もしこういう状態になってしまったと
ると、本当に命に関わる問題になってきま
したら、一刻も早く治療が必要になるとい
8
う事です。
ここまでいくと治療をしても、どこまで機
手、足の血管検査という事でお話しまし
能が回復するかというのは分からないので
たが、まずこの血圧脈波は非常に簡単です。
すが、しないよりはましだという事で、こ
両手両足、まあ逆にいうと家でも出来るか
れも治療させて頂きました。
もしれません。あまり時間をおくと血圧変
もう右側の腎臓が駄目になってしまうと
動しているので、分かりにくい事もあるか
左側だけですから、左側に問題が起こると
も知れませんが、大体同じくらいの時間で
腎不全になってしまう事もあります。
右手、左手、両足、足の血圧を測るのは血
血管造影をすると、こういう形で狭くな
圧計によっては難しいかもしれませんが、
っていました。ステントを入れて治療して、
足首で巻いて測ってあげると、測る事が出
このようにきれいになっています。
来る場合があります。
始め造影して余り血流が周りに観えなか
後は、エコーですとか CT や MRI、さらに
ったのですが、造影剤が回り腎臓の形に観
画像造影という事で検査をして治療してい
えるようになってきました。血流がよくな
く事になります。
ったから、こういうふうに見えるのです。
最後ですが、腎動脈狭窄、これも余り聞
今、お話したように血圧が急に高くなっ
きなれない病気かと思いますが、実は結構
てきた、腎臓の機能が悪化してきた、こう
知らないだけで、腎動脈狭窄があるという
いった場合には腎動脈狭窄の検査としては
患者さんも、症状が無いものですから、腎
まずエコーですね。それで怪しかったら CT、
臓が痛いとか症状にはならないので、分か
MRI、血管造影検査になります。
らないうちに進行しているという場合もあ
まずは、エコーの検査を受けて頂くとい
ります。
うのが、腎動脈狭窄の原因に繋がるという
腎動脈狭窄、腎臓にいく動脈が狭くなる
ことです。
とどういう事が起こるかというと、高血圧
以上ですが、心臓の心筋梗塞のカテーテ
あるいはは腎不全、心不全の原因になるこ
ル治療のお話から、その後、足の血管ある
ともあります。
いは手の血管、腎臓の血管という事でお話
高血圧の場合というのは、今まで良かっ
をさせて頂きました。
た血圧が急に上がるとか、50~60 歳になっ
遠軽厚生病院でも、このようにカテーテ
て急に血圧が上がるとか、そういう場合に
ルの治療を積極的にさせて頂いていますが、
は腎動脈狭窄を疑う必要があるというふう
紋別から患者さんも沢山来て頂いています。
に言われています。
中には途中でふれましたが、都市部の病
これは、先程からお見せしている CT です
院で CT の検査で簡単に分かって「狭いから
が、こちらが左の腎臓、こちら右の腎臓で
治療しましょう」という事で、治療されて
す。明らかにこうなると大きさが違うのが
帰って来るという場合が結構あります。
お分かり頂けると思います。
後で問題になって、結局運ばれてくるの
これは右側に行く腎臓の動脈が途中で狭
は地域の病院なのです。他でどこかで治療
くなり殆ど詰まりかけてしまっています。
して来ても、結局何か問題があった時に、
9
例えば当院に運ばれて来ます。でも状況は
分からないという事が、結構あります。
ですから、こういう血管の病気、心臓の
血管の病気、狭心症、心筋梗塞、あるいは
足の血管の病気とか、特に心臓ですね。
一刻を争うような病気になる事態の場合
には、もし可能であれば、地元で治療を受
けられるというメリットがあるのではない
かと思います。
その為に、頑張って治療をしていきたい
と思いますので、何かお困りの事がありま
したら、ご相談にいらして頂ければと思い
ます。
以上です。ありがとうございます。
10
質問①
す。
大分前に国立保健医療科学院の調査で、
繰り返しになりますけれど、CT を撮っ
医療機関にかからない人が、突然状態が悪
て終りという訳ではありませんので、色々
化して、取り返しのつかない事になる率が
な患者さんにとって、必要な検査をチョイ
とても高いという結果が出ています。
スしてやっていく事が大事です。
それと、紋別市は救急搬送に限って言え
ば、昨年の実績では、搬送された人の中で
質問②
脳と心臓でいうと、脳の疾患の重症度の高
大変興味深い講演で、ありがとうござい
い人は比較的少なくて、心臓の疾患で運ば
ます。私は、紋別市の急病センターでいつ
れた人の重症度が非常に高い。
も遠軽厚生病院には、特に心臓疾患中心に
そこを考えまして、どのタイミングで、
大変お世話になっています。
どの頻度できちんとした検査を受けるべき
質問としては、遠軽厚生病院でカテーテ
か、というアドバイスをして頂ければと思
ル検査は年間何例くらい、緊急でやるとい
います。
う事もあると思いますが、トータルで大雑
把に何例位あって、病院全体のマンパワー
回答①
と施設の能力として、フルに出来る件数の
殆どですね、検査をした事がないとか、
今何パーセント位実例としてやっているか、
病院嫌いで病院に行ったことがない人が、
大雑把でいいので教えて頂ければありがた
急に心筋梗塞になると、結構重症例が多い
いと思います。
のです。
ですから、日頃からまず近くの病院にか
回答②
かり、先程、動脈硬化の危険因子と言うの
カテーテル検査・治療の総数としては、
が、血圧だったりコレステロールだったり
年間で 500 件位だと思います。治療が
糖尿だったり、まずはタバコは禁煙して頂
200~250 で、多い時では 300 近い場合
くという事が大事ですけど、リスクの管理
もありましたが、大体 200 ちょっとくら
というのがすごく大事になります。
いです。
それを、先ず近くの病院でやって頂いて、
心臓の治療が 150~200 弱位です。足
病院にかからないという事自体が、非常に
の血管の治療も 50~100 の間です。
大きなリスクになると思います。
マンパワーですが、それは凄く大事な問
何か異常にあったら、先ずはちゃんと対
題ですが、実はカテーテル治療をする事自
応していく。それでかなり減らすことが出
体においては、まだまだ余裕はあります。
来ると思います。
何パーセントと言われたので、50%と言
もしそういう危険因子が幾つかある場合
っておいたらいいでしょうかね。未だ倍く
には、早めに血管に異常がないかという事
らいになっても対応は出来るかと思います。
を、色々な症状や病状によって検査の中身
ちょっと話はずれますが、是非紋別の皆
というのが、今お話したように違ってきま
さんにも、ご協力というかご理解頂きたい
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のは、僕らがいるのは皆さんが来てくれる
先程、急病センター長からも質問があり
から、遠軽にもこういう治療が出来る病院
ましたが、急病センターでも厚生病院に送
として存続でき訳です。遠軽だけでは、こ
る時に、どういう疾患についてはどういう
ういう病院は北見でもいいじゃないかとい
処置をしていくという連絡を取り合いなが
う事になってしまうのです。
ら、なるべく情報がきちんと行渡るように、
僕らも遠軽が安泰な訳ではないので、ひ
全く知らないうちに戻って来ると先程先生
ょっとしたら遠軽も無くなってしまうかも
がおっしゃいまいしたが、非常に危ない。
しれないのです。
きちんと整備出来るような、地域で皆で
マンパワー的には中々厳しい状況ですが、
こういう緊急を要する様な治療とういう事
育てていくのが医療資源ではないかという
ふうに思います。
に関しては、優先して必ず断らないという
先生、今日はどうもありがとうございま
事でやっていますので、その辺はどうぞご
した。
安心して来て頂いたり、ご紹介して頂いて
大丈夫だと思います。
今、先生が遠軽に患者さんが集まって頂
くという事で、医療資源がきちんと担保さ
れるという事でおっしゃっていましたが、
まさにその通りで、例えば地域、札幌、東
京の病院に行って、検査や治療をして戻っ
て来ても、きちんとここに医療機関があり、
高い質の医療を受けられるというのは、一
つはあるというのが大事ですし、それを使
うというのも大事です。そこで集約して行
くのが大事だろうと思います。
又、色々病気はそれぞれ関係している訳
ですから、脳の疾患で、例えば北見の道東
脳神経外科病院に送る時も、何か急変があ
れば遠軽にお世話になるとか、あるいは市
内の病院にお世話になるという、そういう
連携が非常にこれから大事だろうと思いま
す。
一つは、西紋で広域病院を育てていく事
が大事ですし、遠紋で一つ完結した医療を
皆で行っていくという事が非常に大事だと
思います。
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