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専門重視の相互作用型eラーニング実践

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電気通信大学紀要 19 巻1・2合併号 pp.197-202(2006)
〔報告〕
専門重視の相互作用型eラーニング実践
中 山 健 *,
岡 本 敏 雄 **
The Practice of Interactive e-Learning in Higher Education
Ken Nakayama, Toshio Okamoto
Abstract
本学では,e ラーニング推進センターを中核として(1)全学向け学習管理システム WebClassRAPSODY の運用と研究開発,(2)e ラーニングコンテンツの開発支援,(3)学内外を対象としたフォー
ラムの開催等による貢献活動等を通じて,学内組織間や教員と学習者間の相互作用を重視する e ラーニ
ング教育実践を展開している.この取組は文部科学省の現代 GP e-Learning 部門にも採択(平成 16 ∼ 18
年度)され支援を受けている.本学の e ラーニング活動について報告する.
キーワード e ラーニング推進センター,e ラーニング教育実践,現代 GP
The University of Electro-Communications has been carrying out a university-wide e-Learning
practice project through (1) running and improving LMS (Learning Management System), (2)
supporting enhancement of e-Learning contents, and (3) organizing conferences on e-Learning.
The Center for Developing e-Learning (CDEL) plays the central role in the project which has focus
on interaction among divisions in the university and among students and teachers. The project is
partially supported by the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT)
of Japan under a three-year (2004-2006) grant“Selected Efforts of the Distinctive University
Education Support Program (Good Practice Project, or Gendai-GP)”. In this article, the overview
of e-Learning activities in the university is described.
Keywords: The Center for Developing e-Learning,e-Learning Practice, MEXT GP Project
1.はじめに
1.1.e ラーニングの特徴
(遠隔学習),あるいは録画等によって時間的な制約をな
くすだけ(非同期学習)の教育システムとは異なり,教
員は学習コンテンツ毎の利用状況や学習履歴データを参
e ラーニングは,学習管理システム(Learning Manage-
照・解析することによって,学習者個々の学習過程や学
ment System: LMS)を用いて自由度の高い学習を提供す
習効果,理解状態を把握し,学習者へのより良いフィー
る学習者中心の教育システムであり,情報・通信技術の
ドバックが可能である[5].e ラーニングは,学習管理
進歩により実践段階に入っている[1]
∼[4]
.教員は学習
システムを利用して教員がメンタリングを効率的・効果
管理システム上に教材や課題などを用意し,学習者はイ
的に行なうことと一体であり,教員が教育サービスにか
ンターネット等を介して学習管理システムにアクセスし
けられるリソースを有効利用する手段であると言える.
て学習する.
情報・通信技術を得意とする本学は,技術的側面から
先進的な e ラーニングシステムにおいては,単に物理
e ラーニングに取り組む素地があり,情報・通信技術を
的に離れた場所での学習を通信によって可能とするだけ
利用した講義の取組の本学における歴史は古い.個々の
Received on October 23, 2006
** eラーニング推進センター
** 大学院情報システム学研究科
198
(2006 年 12 月)
中山健,岡本敏雄
教員の判断によって講義の e ラーニング化が試行され,
も自らの学習履歴を閲覧することができるほか,設定に
e ラーニングの実践および要素技術やシステムの開発,
よってはコースメンバー(そのコースの受講者)全体の
e ラーニングのための教授法の研究双方において多くの
中での自らのパフォーマンスを知ることもできる.
経験があった.衛星通信による外国大学との大学院正規
WebClass-RAPSODY で個々の授業科目に相当するも
科目遠隔講義が実践レベルで継続して行われているのを
のはコースと呼ばれる.コースは公開にできるほか,そ
はじめ,平成 12 ∼ 14 年度には文部科学省高等教育局専
のコースに登録している利用者しか内容が閲覧できない
門教育課の支援を受け,大学院情報システム学研究科に
メンバー限定モードにも設定できる.教材には,教科書
おける産学協同教育プログラム「IT 分野」の実施にお
に相当する解説と,解説を学習する前や後に理解度をチ
いて,社会人を対象とした正規の単位履修(科目等履修
ェックするための問題(クイズ)がある.解説には,文
生を含む)を目的とする大学院専門科目が e ラーニング
字や画像から構成される Web ページや,PDF,動画像
を用いて行われた.また,平成 15 年度からは,遠隔講
などが使える.教材以外には,学習者が教員や TA など
義による大学院単位互換事業として工科系単科大学によ
のメンターに質問をするためのメールや,学習者同士で
る大学院専門科目の講義が e ラーニングによって実施さ
議論を行なうための電子会議室もある.
れている.その他,教員個人レベルでの e ラーニング実
践も多くある.
教材等のコンテンツを作成するためのオーサリングに
は,特別なシステムは必要ない.Web ページは直接テ
e ラーニング推進センターは本学の「中期目標・中期
キストを打ち込む方法のほか,Microsoft PowerPoint や
計画」の柱の 1 つであり,e ラーニング実践環境を全学
Word,LaTeX,などから自動変換する方法も提供して
向けに提供することにより e ラーニングを実践的に展開
いる.また,学習者が一般の Web ブラウザを用いて閲
するとともに,e ラーニングに関する研究開発を行なう
覧するので,Java Applet を用いた Web ページ上のシミ
全学組織である.e ラーニング推進センターでは,開発
ュレーションなども使用できる.WebClass-RAPSODY
した独自機能を搭載した学習管理システム WebClass-
の画面例を図2に示す.
RAPSODY を全学向けに運用している.学習者は「いつ
でも,どこでも,何度でも」学習が可能で,非同期サー
ビスを基本にしながらも相互作用と対話性を重視したフ
ィードバック型の教育を可能にし,自由度の高い学習環
境を提供している.
本稿では,e ラーニング推進センターが全学向けに提
供している学習管理システム WebClass-RAPSODY につ
いて述べたあと,本学が平成 16 年度より3年間支援を
受けている文部科学省「現代的教育ニーズ取組支援プロ
グラム(現代 GP)」の取組について概説し,本学におけ
る e ラーニング活動の現状と今後の課題について述べる.
図1 WebClass-RAPSODY の概要
2.学習管理システム WebClass-RAPSODY
2.1.概要
WebClass-RAPSODY は,コンテンツ開発者(多くの
場合は教員)が登録した教材に学習者がアクセスして学
習し,学習状況に基づいて教員がメンタリングを行なっ
たり評価を行なったりするための学習管理システムであ
る.Web サーバをインターフェースとしており,教員
も学習者も Web ブラウザを用いてアクセスする(図1).
インターネット経由で学内外を問わずどこからでもアク
セスできるが,教員も学習者も予め付与されたユーザ
ID とパスワードで認証されるためセキュリティは確保
される.学習者が WebClass-RAPSODY へアクセスして
行なった学習行為は自動的に記録され,コースを担当す
る教員や TA はそれらを閲覧できる.また,学習者自身
図2 WebClass-RAPSODY の画面例
専門重視の相互作用型eラーニング実践
2.2.システム構成
サブシステムとして,音声付き動画とプレゼンテーシ
199
相関を調査するなど予備的解析は行なっているが,より
体系的な解析が求められる.
ョンを同期して蓄積・配信できる P4Web と,音声付き
協調学習支援に関しては,学習者同士が,空間的ある
動画のみをストリーミング配信するサーバの2つがサブ
いは時間的に離れていても協調的な学習が行えるように
システムとなっている.これらのサブシステムに保持さ
するため,電子掲示板や内部メール機能を追加した[9].
れる教材は,学習者に対しては WebClass-RAPSODY の
また,これらの機能の利用活性化手法についても実践経
教材に埋め込まれたものとして提示される.P4Web[6]
験を踏まえた検討を行っている.
は,PowerPoint[7]を用いて行なわれる講義をホワイト
システム運用上,管理機能は非常に重要である.管理
ボードへの板書や講師の音声付き動画などの情報と共に
機能としては,学務情報システムからの学習者登録情報
記録し,オンデマンドで配信できるシステムである.こ
連携により学習管理システムのアカウント発行とコース
れにより,講義収録も含めた多様で教育効果の高いコン
作成が容易になりつつあるほか,情報基盤センターとユ
テンツ提供が可能となった.
ーザ ID 共通化により LDAP 認証が利用できるようにな
り,パスワード管理が一元化された.
2.3.WebClass-RAPSODY の特徴
コンテンツ管理には,LOM(Learning Object Meta-
WebClass-RAPSODY には,e ラーニング推進センター
data)
[10]
[11]が使える.これは,メディア教材・素材
を中心として開発した先進的独自機能がある(表1).e
などのコンテンツ等の学習対象に関する情報を,国際標
ラーニング実践の効果を高めるためには,学習者の多様
準に沿った項目群として表したものである.WebClass
性を考慮した十分なメンタリングを行なって,教員から
RAPSODY では,個々の解説に対して LOM データを入力
学習者へのより良いフィードバックが可能な相互作用型
可能となるようにした.LOMID,タイトル,URL が
e ラーニング環境が必要である.WebClass-RAPSODY で
LOM データの必須項目となっている.これにより,将
は,高品質・高効率なメンタリング支援機能の中心とし
来,教材の共有機能が必要になった場合にコンテンツの
て,電子カルテ(デジタルポートフォリオ)機能を開発
検索が容易になる.
した.これは,医療で用いられるカルテと同様,学習者
の指導上必要な学習履歴を入学から卒業まで蓄積し,必
要に応じてそれを提示する機能である.学習用ポートフ
ォリオは,もともと物理的なファイルに学習物を収集し
ていく形でつかわれてきたものである[8].学習履歴に
表1 WebClass-RAPSODY の特徴的機能
機能カテゴリー
学習カルテ
デジタルポートフォリオ
は,修学状況(授業科目の履修状況,成績評価),学習
コンテンツごとの利用状況,学習者からの質問とそれに
対する教員の回答,学習者が参考にした資料や成果物,
教員と学習者の対話性向上
協調学習支援
演習課題の提出状況などが含まれる.
メンターと学習者自身の両者が電子カルテを使用する
ことにより,学習効果や理解状態等の学習状況が学習者
自身および教員双方から把握し易くなり,学習計画立案
や個別指導が容易となる.例えばメンターは,他科目の
学習履歴の分析など関連する情報もまとめて参考にしな
がら助言や履修計画アドバイスが行える.また学習者は,
閲覧が許可された範囲内で他の学習者と自分を比べるこ
とで自分の学習状況が相対的に分かる.
機能例
試験結果一覧,
利用回数・時間,他コ
ースの利用状況,指導(メッセージ)
利用履歴,
学習時間のグラフ化
学習者支援に特化したメッセー
ジング機能
レポート未提出者に一斉にメッ
セージを送る等
➢WebClass-RAPSODY内部メール
➢外部メール(SMTPを利用する
一般のメール)
● 電子会議室
学習者/学習者グループ/教員の相
互作用促進
会議室はコース設計に応じてい
くつでも設置可
●
モバイル学習
●
テスト機能
●
また,学習履歴の評価とログデータの分析を活かした
教育を可能とするために,学習ログ・履歴統計からのフ
ィードバックを支援する学習履歴分析機能がある.基本
統計量を初めとして,メンターごとにさらに高度な分析
を行なえるように,原データのダウンロードもできる.
将来的には,ログデータに基づいて学習パターンや学習
行動を分析できるようにすることを目標としている.た
とえば,ある e ラーニング科目の学習項目ごとに,学習
者の解説へのアクセス回数と当該項目のテストの成績の
学習履歴分析
Webブラウズ機能をもつ携帯電
話や携帯情報機器からの閲覧に
適したユーザインターフェース
学内無線LANでも閲覧可能
豊富なテスト形式
択一式,複数選択式,並べ替え,
自由記入,その他
テスト結果の統計的解析
● 基本統計量の算出
● さらに高度な解析のためのデー
タダウンロード
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(2006 年 12 月)
中山健,岡本敏雄
学内他部門との連携
学務情報システムとの連携
学生の履修情報および時間割情
報取り込み
● 情報基盤センターのLDAP認証サ
ービスとの連携
ユーザIDとパスワード共通化
良維持支援資金も原則として支給している.
●
この枠組みで開発されたコンテンツは科目・コンテン
ツ形態ともに多様であり,学習者が自ら操作してシミュ
レーションができる Java Applet を含むものや,ビデオ
講義形式のもの,小問題とレポート問題が教材間に系統
的に配置されたものなど,教材ファイルの単なる HTML
コース・ユーザ管理機能
コース管理
● 大学院/学部や学科ごとの階層的
コース分類
● LOM
(Learning Object Metadata)
対応
ユーザ管理
● システム内の権限の細分化
たとえばTAは,状況に応じて学
習者権限であることもコース管
理者権限であることも必要
化に留まらないマルチメディアコンテンツが開発されて
いる.
4.e ラーニング推進センターの活動
e ラーニング推進センターは,学内他部門との連携体
制の強化を図りつつ e ラーニング実践環境を全学向けに
提供して e ラーニングを実践的に展開するとともに,e
3.現代 GP の取組「専門重視の相互作用型 e ラー
ニング実践」
3.1.取組の概要
ラーニングに関する研究開発を行なう全学組織である.
本学の「中期目標・中期計画」の柱の1つであり,これ
まで学内で個別に実施されてきた様々な e ラーニング実
践の経験を踏まえて大学全体として総合し,教育的・技
本学の全学的な e ラーニング化の取組は,平成 16 年
術的観点から e ラーニングによる教育サービスを支援し
度の文部科学省現代的教育ニーズ取組支援プログラム
ている.また,上述の現代 GP の取組を主体的に担って
(現代 GP)
[12]に「専門重視の相互作用型 e-ラーニング
いる.
実践」として採択され,3年間にわたって支援を受けて
いる[13]∼[15].キーワードは「専門重視」「相互作用
型」である.
4.1.e ラーニング実践環境の整備と全学向け提供
e ラーニング推進センターは,学習管理システム
e ラーニング推進センターを中心として,本学の特色
WebClass-RAPSODY を全学向けの e ラーニング実践基盤
である情報・通信技術を主とした専門性の高い授業科目
として提供している.電子カルテ(デジタルポートフォ
について,教員と学習者間の相互作用を重視した e ラー
リオ)を活用した相互作用型教育環境を特徴の1つとし,
ニング化を進めている.これを実現するため,大学教育
ストリーミング動画配信サブシステムや,講義収録配信
センター・教務部門・情報基盤センター・国際交流セン
サブシステムも含まれる.また,e ラーニングを利用す
ターその他の学内組織との密な連携により,e ラーニン
るための情報通信インフラ整備の一環として,学内無線
グを用いた全学的な教育サービスの強化を図るとともに,
LAN プロジェクトに協力する形で,学生向け無線 LAN
将来の大学教育のモデルを実践的に探求している.
アクセスポイントを最新規格対応のものに更新したこと
これにより,高度コミュニケーション社会における新
しい高等教育の在り方を実践的に探求し,個別学習,グ
により,学内の多くの場所で学習者が e ラーニングシス
テムへアクセスし易くなった.
ループ学習(協調学習),一斉学習(通常の講義),ゼミ
運用面では,e ラーニング実践の準備・実行・維持の
学習などの従来の教育方法と組み合わせながら,多様性
統一的支援と通常授業の e ラーニング化のためのアドバ
を持たせた e ラーニング実践を展開している.
イスを提供している.準備には,コンテンツ開発に関す
る技術的支援,企画・設計・制作の支援,e ラーニング
3.2.学内公募による e ラーニングコンテンツ開発・
維持・改良支援
e ラーニングコンテンツの開発支援は,正規授業科目
を担当する常勤教員を対象とした学内公募によって支援
スタジオ等のコンテンツ制作環境の提供,録画機材や編
集ソフトなどの貸し出し等がある.e ラーニングスタジ
オは撮影環境の整った防音室で,動画を中心としたコン
テンツの収録ができ,動画編集機器も使用できる.
科目を募っている.審査を通過した開発案件には現代
e ラーニング実行支援としては学習用 PC が設置され
GP 補助金から支援資金が与えられ,これを用いて担当
た e ラーニング学習室がセンター内にあり,学習者が来
教員は開発用機材を購入したり開発補助の TA を雇用し
訪して自由に e ラーニングによる学習ができるほか,e
たりしてコンテンツを開発する.開発したコンテンツは
ラーニングを併用した対面授業を行なうための教室とし
通常授業で利用される.また,開発支援の翌年度には,
ても使える.維持と改善については,開発した e ラーニ
実践経験に基づいてコンテンツ改良を行えるように,改
ングコンテンツの管理・保存のほか,教育サービス基盤
専門重視の相互作用型eラーニング実践
201
の開発と運用や,利用履歴や学習者に対する聞き取り等
な学習を欲する学習者向けには,通常の講義時間(1講
の反映から,より使いやすいコンテンツへの改善のアド
義半期2単位分)を超える内容を,e ラーニングコンテ
バイスなども行う.
ンツに発展的学習として組み込むことができる.逆に,
基礎学力の乏しい学習者においては,その講義を理解す
4.2.e ラーニングに関する研究開発
るための補完的内容を前もって組み込んでおくこともで
e ラーニングに関する研究開発としては,コンテンツ
きる.そのような内容を準備しておくことによって,本
自体とその評価システムの開発,学習管理システムの要
来の講義を理解するための足場を固められる.このよう
素技術[16]
[ 17]や情報システム面[18]∼[20]での開発,
な内容の学習を学習者が主体的,自主的に取り組める環
e ラーニングによる講義手法の研究,大学組織としての
境を提供することの意味も大きい.このような条件整備
e ラーニング運営体制の研究開発などがある.
によって,他人には見えない形で学習者自身の学力向上
学習管理システムの開発は,商用学習管理システムで
ある WebClass[21]を開発メーカーと共同で機能拡張す
を促す機会が提供できる.
本学の将来像の中における e ラーニングの戦略的な位
るという形式で行っている.開発された機能は Web-
置づけをさらに明確にしていく必要がある.e ラーニン
Class 製品版へも反映されている.学習管理システムは
グの長所と短所を見極めながら,高等教育に求められる
運用しつつ,随時問題点や改良点のフィードバックを行
新たな教育方法・技術の必要性を理解しながら取組を遂
い改良する体制となっている.
行することが重要である.たとえば,学習の自由度の高
e ラーニングによる講義手法の研究も行なっている.
さには,「いつでも」「どこでも」自律的に学べるといっ
教員は,e ラーニングで効果的に講義を行うための教材
た学習機会の面だけでなく,いろいろな学習タイプが実
構成,ログデータ利用法,フィードバックなどに関する
現できるという多様性の面がある.専門性の高い科目は,
知識が無い.そもそも,専門性の高い講義科目では,コ
コンピューターリテラシーや資格取得のための科目等と
ンピュータリテラシー講義や,企業における資格取得用
最適な学習タイプが異なると考えられ,実践を通じてこ
e ラーニングとは最適な講義形態が異なる可能性があり, れを模索する必要がある.なお,専門性が高くても単に
教員からの実践経験を基にして模索している.そのほか,
知識を学ぶだけの分野もあるが,ここでは,大学院教育
学習者の評価・学力向上のための教育サービスとして学
等における研究的専門性の高さを指している.
習者の特性に合致する教育カリキュラムの提供や授業科
目の推奨などの支援体系も探求している.
e ラーニング実践のための教育基盤やインタラクティ
ブ性の高い e ラーニングコンテンツ,応用ソフト(演習
e ラーニング実践体制についての研究としては,個々
実験のシミュレータなど)は,学内に蓄積するだけでな
の授業の e ラーニング化の支援に留まらず,全学規模で
く,可能な場合はそれを学外に広く公開することによっ
中期的な観点からどのような e ラーニングコンテンツ開
て,高品質な高等教育の拡大を促進できると同時に,そ
発体制を採ることが望ましいのかというコンテンツ開発
れらを利用した新しい教育形態およびサービスのモデル
体制自体の研究や,学習者個々の能力や修学状況に合わ
を提供することが可能である.品質の高いデジタルコン
せた効率・効果の高い教育方法・技術などの学習指導の
テンツ自体が,社会が共有する有益な財産となる.
きめ細かいメンタリング手法や,評価のあり方も実践的
に研究している.
e ラ ー ニ ン グ 実 践 に 関 す る 学 内 外 向 け の UEC eLearning フォーラム[22][23]を実施し,取組の活動と成
果を報告するとともに評価を受けている.
5.まとめ
本学では,これまでの e ラーニングによる教育実践に
おける様々な実績を得て e ラーニング推進センターが設
置された.e ラーニング推進センターを軸として,教育
活動の中心としての e ラーニング実施体制が整い,授業
科目の e ラーニング化が急速に進み学習者の主体的な学
習機会が充実してきている.
e ラーニングによる学習では,発展的な内容の学習や
課題解決的,創造的な学習活動が可能となる.そのよう
文 献
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