地域おこし協力隊 活躍中! 特集

元気はつらつ、川上村地域おこし協力隊のみなさん。
特集
地域おこし協力隊
活躍中!
最近奈良県内でも耳にすることが増えている「地域おこし協力隊」。総務
省の財政支援を受けて、「人口減少や高齢化等の進行が著しい地方におい
て地方自治体が都市住民を受け入れ、委嘱。地域おこし活動の支援や農林
漁業の応援、住民の生活支援など『地域協力活動』に従事してもらい、あ
わせてその定住・定着を図りながら、地域の活性化に貢献(総務省 HP よ
り)」するもの。住民票を移すことが条件に含まれ、支援は最長3年をめ
どとしています。100 年住みたい奈良を思う俚志としては、注目です。
奈良県内で活躍中の協力隊員さんの中から川上村、吉野町、奈良市の 3 ヶ
所を訪ね(全地域、全員とはいきませんでしたが…)、取り組みやこれか
らのことなどをうかがってみました。
03 2014
Autumn Vol.19
大滝ダムのほとり、ホテル杉の湯
と並ぶ川上村役場の一角に、川上村
地域おこし協力隊、通称「かわかも
ん」たちの拠点があります。本誌「森
とともに生きて」のコーナーでもお
か
歳)
としていること
愛でつながるナガス
ギプロジェクト/原木
丸太1本買いプロジェ
クト(1 本買いの丸太
か ら 林 業 BAR セ ッ
トに必要なバーカウン
むら
月8日海作りプレイ
ター、樽丸、わり箸、枡、ナガスギ
等を作る)/
月 1・2・3 日 匠 の 聚
林業界に関わりたかった。海が好
きすぎて、海を守るために林業をし
以前友だちが協力隊であったため
●応募したわけ
こと、山のこと、木のことを発信し
のために。という気持ちで、林業の
業種も同じ。人が減っても、山は動
けない。ならば、私が動きます。海
ようかと思って、大阪での仕事を辞
いました。
たら3ヶ月後くらいには村に住んで
から通うつもりだったのが、気づい
会って、山のことを学ぶために大阪
た。 最 初 は 川 上 村 で 辻 谷 さ ん に 出
=吉野で山に関わることをしたかっ
なりたかったというよりは、川上村
てゆきます。
山に関わることは続けます。林業
界には色々と問題はあるけれど、他
●協力隊を終えたら…
「山のふぃゑすた」
ベント/
10
04
2014 Autumn Vol.19
全国の林業にまつわる地酒を飲みかわ
し村民が交流。お祭り等に出店。ブース
に必要なものを原木 1 本から作るプロ
ジェクトを画策中。
海が好きだから山を守りたかった。
山は動けないから、私が動きます。
ゆ
鳥居由佳さん (
●移住前の住まい
11
して協力隊になりました。協力隊に
大阪府東大阪市
●協力隊のことを知ったきっかけ
31
●取り組んでいること/取り組もう
林業 BAR
吉野の小径木(細目の木)を使った、折り畳
み式のベンチ「ナガスギ」を強力プッシュ中。
「これを運んで PR に大阪の町を歩きます」
世話になっている辻谷達雄さんにご
案内いただき、訪ねてみると、そこ
は和気あいあいとした空気に満ちて
いました。現在のかわかもんの顔ぶ
れは、2013年から赴任した5人
と今年から加わった2人。このごろ
川上村からの発信が生き生きしてい
るように感じるのは、彼らの活躍が
あるのではないでしょうか。
愛でつながるナガスギプロジェクト
川上村
川上村への人の流れを積極
的に作り出すかわかもんた
ち。9 月には、サロン文化
大学の「人に愛に行く遠足
シリーズ」で川上村編を企
画した。
「かわかもん
の部屋」案内板。
川上村地域おこし協力隊の FB ページ(トップ画像)。若い感性を
感じさせるこまめな発信で、1000 以上のいいね!を集めている。
歳)
としていること
●取り組んでいること/取り組もう
動機となりました。
移住者向けの宿を開きたい。
横堀 美穂さん (
●移住前の住まい 岐阜県岐阜市
●協力隊のことを知ったきっかけ
にあるモノ・コトで村内外にかかわ
「HANARE 計 画 」 中 奥 川 で 移
住の窓口となる宿をすること/村内
知人
●応募したわけ
●協力隊を終えたら…
源と林業が基幹産業だったことなど
「 な ん と な く 」 が 大 き い で す。 実
家まで車で帰れる場所だったこと
て、人に来てもらうこと。ただ、観
「この地にあるもの」の観光を通じ
光客を誘致して、お金を落としても
や、宿をしたいと思っていたことも
うことには疑問があります。その土
地で暮らす人に喜びをもたらすアイ
歳)
地域資源の活用による若者の雇用
創出が活動テーマ。現在は川上村産
としていること
●取り組んでいること/取り組もう
と考えたためです。
なく、少しは自分でつくってみたい
いて、今あるものに頼り切るのでは
働 く こ と( お 金 を 得 る と い う こ
と )、 食 べ る こ と、 暮 ら す こ と に つ
若者の雇用創出が活動テーマ。
とくにまだありません。
らず楽しいこと、粋なことをする
らうことが地域活性化なのか?とい
さびれてるけど、暮らしを紡ぎ林
業を支えているもの、 %の森林資
そ の 土 地 に 根 づ い て こ そ で き る こ と、
ここでしかできないことを。
みどり
ディアを探りたい。/「匠の聚(※)」
が好きで、「アート」を「ものづくり」
歳)
33
22
早稲田純さん (
●移住前の住まい
ととらえ、今あるものを集めていき
マオモイ帖」の発行
たい。/情報誌「ゆかとみどりのヤ
な い ) か ら 横 浜 生 ま れ 川 崎 育 ち、
中学からは東京都町田市
●協力隊を終えたら…
わたる
村上 航さん (
野菜の販売を行う「や
まいき市」の運営を
し て い ま す。 今 後 は
「やまいき市」を展開
し、 都 市 部 へ の 出 店
を企画中です。
●協力隊を終えたら
… 未定です。
Autumn Vol.19
千葉県浦安市(1年しか住んでい
●協力隊のことを知ったきっかけ
とりあえず住み続けようと思いま
す。
鳥居さんと早稲田さんが作る
「ユカとみどりのヤマオモイ帖」
求人サイト「日本仕事百貨」の川
上村の記事を読んで
●移住前の住まい
東京都調布市
●知ったきっかけ
チコピーは「生きるように働く人の仕事さ
●応募したわけ
会社員として観光協会の観光資料
づ く り を し て い ま し た が、「 と り あ
えず作りました」みたいな感じの仕
事 で し た の で、 土 地 に 根 づ く こ と、
求 人 サ イ ト「 日
本仕事百貨」に掲
載されていた求人
がし」
ここでしか出来ないことをやってみ
ようと思いました。制度自体はなん
でもよかった。協力隊は手段です。
記事を読んで。
●応募したわけ
なった求人サイト「日本仕事百科」のキャッ
2014
05 ●取り組んでいること/取り組もう
としていること
川上村地域おこし協力隊のページ https://www.facebook.com/kawakamon?fref=ts
98
※匠の聚 芸術家の居住・アトリエ、ギャラリー、カフェ、工房室、
研究室、コテージ等を備えた川上村村内の施設
早稲田さんや村上さんの応募のきっかけと
28
まさゆき
竹中雅幸 さん(
歳)
よる観光ガイドの立ち上げ/
歳)
まだ決まっていませんが、地域資
源を生かして仕事を作りたい。
●協力隊を終えたら…
に関する仕事を見つけること。
山間地の気候を生かした冬野菜の
生産・販売。畑や山その他いろいろ
としていること
とも背中を押しました。 ●取り組んでいること/取り組もう
た。川上村の方と知りあっていたこ
い歴史のある川上村への移住を決め
山 仕 事 に た ず さ わ り、 将 来 は 地 域 資 源
を生かして仕事をつくりたい。
じんぼひろき
神保大樹 さん(
●移住前の住まい
ゆ
り
村山祐理 さん(
●移住前の住まい
歳)
奈良県奈良市
●協力隊のことを知ったきっかけ
総務省の HP
●応募したわけ
手に職をつけたい。/インバウン
ド(※)観光に関わりたい。/祖父
味でも川上村を選ぶポイントとなり
感じた。また地元の奈良で働ける意
●協力隊を終えたら…
ニューアル
村内を案内する広報物の作成/役
場 と 協 働 し て 移 住 者 向 け HP の リ
地 域 づ く り の 活 動 に 興 味 が あ り、
仕事として取り組めることに魅力を
母の住む鹿児島の家をどうにかした
ました。
)とは、外から入ってくる旅行、一般的に訪日外国人旅行を指す。
inbound
い/辻谷さんの山の技術を受け継ぎ
たい。
※ インバウンド(
まだ決まっていません。
としていること
地域づくりに興味あり。
山仕事に携わるために、林業の古
●応募したわけ
の方から話を聞いたこと。
動で川上村に通っていた中で、地元
学生団体(高校生対象の聞き書き
甲子園で出会った学生の団体)の活
京都府京都市
●協力隊のことを知ったきっかけ
23
●取り組んでいること/取り組もう
●協力隊を終えたら…
販売)
上 の 情 報 発 信( FaceBook
よりブロ
グ重視)/やまいき市(野菜の集荷
web
岸(東側)道路の活用検討/村民に
ハイキングコース化/大滝龍神湖対
村内登山道の正確なハイキング
マップづくり/古道の再発見、整備、
としていること
●取り組んでいること/取り組もう
募には全く興味なしでした。
のが川上村だったから。他の村の応
竹中雅幸さん(右)と神保大樹さん(左)
06
2014 Autumn Vol.19
●移住前の住まい
大阪府枚方市(京都育ち)
●協力隊のことを知ったきっかけ
制度自体は京都府立大学(山岳部
所 属 ) 在 学 中 か ら 知 っ て い ま し た。
川上村で協力隊を募集していること
を 知 っ た の は、 今 年 2 月 に 大 阪 で
行われたイベントがきっかけです。
●応募したわけ
学生時代から登山をしていたの
で、もともと山に住みたいと思って
いました。大阪でのサラリーマン生
活( 登 山 ツ ア ー 専 門 旅 行 社 に 勤 務 )
は 長 く 続 け ら れ な い と 感 じ て い た。
川上村を選んだのは、最初に知った
NHK 奈良放送局の『ならナビ』という番組で紹
介され、大盛況となった 9 月某日の「やまいき市」。
川上村産の旬の野菜が並ぶ。
24
24
山岳部出身で、山に住みたかった。
山の技術を受け継ぎたい。
竹中さんのブログ「川上村地域おこし協力隊 ちくちゅーの山暮らし日記」https://masa0222.wordpress.com
やまいき市
川上村滝マップ
俚志が2011年に企画した交流
イベントに参加いただいたことが縁
の部分
た。つまり、地域の元気を生み出す
市民活動を続けるために、
は、 そ の ま ま「 地 域 お こ し 協 力 隊 」
経験や能力を真剣に「棚卸し」する
るだけ早いうちに自分の持っている
りました。奈良県南部東部は人口減
語有限責任事業組合(LLP)を作
市民活動については、地域プラン
さん と
ナー&コーディネータ4名で山都物
を充実させようと考えました。
の存在を知るきっかけにもなりまし
必要性を感じながら、吉野町へ引っ
少や高齢化に伴う諸課題を抱えてお
地域づくりに興味があったので即決。
「半市民活動半 X」的な生き方を選ぶ。
た。奥さまとともに、ご夫妻で協力
越してきました。
り、それらの解決を支援していこう
で、今では本誌のコラムも担当して
隊という点が印象的でしたが、たし
●取り組んでいること/取り組もう
という組合です。今年
くださっている吉村さんとの出会い
かに稀なケースとのことです。吉野
としていること
月には、奈
町からは、県下での協力隊としての
先発組み的存在であり、今年度で任
生 ま れ も 育 ち も 大 阪 の 私 で す が、
吉野町地域おこし協力隊(以下、協
大学の恩師から聞きました。
●応募したわけ
兵庫県姫路市
●協力隊のことを知ったきっかけ
●移住前の住まい
います。生活に身近な電気と地域の
ており、廃業したところもあるとい
の上、地域の電気屋さんが高齢化し
でないと電気工事ができません。そ
を満たす小水力発電は、電気工事士
かび上がって来ました。一定の条件
で、「 電 気 」 と い う キ ー ワ ー ド が 浮
みに誘われ、活動に関わっていく中
平成 年夏のこと、着任早々に町
内殿川地区での小水力発電の取り組
先述の「棚卸し」の答えの一つは、
意外なほど早く見つかりました。
域の活性化に取り組んでいきたいと
の両面で奈良県南部東部の中山間地
このように、協力隊終了後は吉野
町に定住して、市民活動と電気工事
く取り組んでいきます。
力やバイオマス発電の普及まで幅広
あります。電球1個の交換から小水
ドイツ語で「発電所」という意味が
を 行 い ま し た。 ク ラ フ ト ワ ー ク は、
「 」については、「クラフトワー
ク」という名前で電気工事業の登録
隊員による報告会を開催します。
良県下で来年任期満了を迎える協力
力隊)になるまで、吉野へ来たこと
元気を生み出したい、そう思いなが
考えています。
歳)
大学の恩師から吉野町での協力隊募
ら協力隊2年目以降を過ごしまし
さ ん(
集の話をいただき、二つ返事で引き
た。
こうじ
受けました。以前から田舎暮らしを
●協力隊を終えたら…
共感していました。では、自分の半
」でし
はいったい何か。悩んだ末に
出た答えは「半市民活動半
X
期を終えた後も定住を選択されたお
したいと思っていましたし、地域づ
年の冬、
くりや地域おこしに関わってきてい
以 前 か ら、「 半 農 半 」 の 提 唱 者
である塩見直紀さん(※)の思考に
がありませんでした。平成
たからです。
○半
12
こ の 時、 協 力 隊 終 了 後 の「 稼 ぎ 」
についてはまだはっきりと心には描
吉村耕治
X
殿川地区の小水力発電の取り組み
に誘われたことが吉村さんの定住
につながっている。写真は殿川地
区での視察のようす。
Autumn Vol.19
37
けていませんでした。しかし、でき
X
2014
07 X
23
24
X
二人にお話をうかがいました。
吉野町
※塩見直紀さん 大学卒業後、カタログ通販会社「フェリシモ」入社。33歳を機に綾部へUターン
し、翌 2000 年4月「半農半X研究所」を設立。半自給的な農業とやりたい仕事を両立させる生き方
を提唱している。著書に『半農半 X という生き方』ソニーマガジンズなど。
※ 吉野町の地域おこし協力隊員は
吉村耕治さん・寿代さんと同年に
着任した野口あすかさん、渡会奈
央(わたらいなお)さん、今年か
ら山本訓弘(くにひろ)さん、古
賀文子(あやこ)さん、廣瀬佑子
(ひろせゆうこ)さんが加わり、7
名となっています。
素朴さと美しさ、使う楽しさと豊か
さを知っていただきたいと思いま
す。
は何ができるだろう」と考えるよう
じ 取 れ る よ う に な る に つ れ、「 自 分
で、心の奥にある気持ちに触れ、感
になり、ゆっくりと時間をかける中
デザイン業に携わる。複数の仕事を
手伝う。事務所で働きながら家では
山行きさんをしながら工場の仕事も
は異なる生き方があることでした。
地方へ移住して気付いたのは、一
つの職業を生業とする都会の生活と
●協力隊を終えたら…
になりました。吉野町国栖の地区担
しながら大変でしょうけど、精神的
たのですが、地域の方々と顔見知り
当として入らせていただいているの
に豊かに暮らしておられる方々に出
ず
ですが、国栖に古くから伝わる手漉
会いました。
く
き和紙の素朴な美しさと、職人さん
08
2014 Autumn Vol.19
一つの職業にこだわらず、
精神的に豊かな暮らし方を探りたい。
ひさよ
私も今取り組んでいる仕事だけを
生業にはできないでしょうが、複数
非現実的です。そこで、和紙をまず
兵庫県姫路市(駅から徒歩 分で
した)
●応募したわけ
案できるような試みができないかと
達の人柄に魅力を感じました。この
和紙を少し使うだけで豊かな気持ち
の仕事をしながら関わりを持ち、生
歳)
になり、しゅっと心も引き締まる。
寿代さんは兵庫県内の高専の教員で
吉村寿代 さん(
しかし、和紙を使ってもらおうに
も、 触 れ る 機 会 が な く、 価 格 が 高
もあります=編集部注)
夫が応募すると決めましたが、私
は移転先で仕事をすぐ見つけること
考えました。
今年の殿川夏祭りでは、耕治さんが司会を担当。ひょうき
んな一面も披露しつつみんなを楽しませた。
写真右端が吉村寿代さん、左端が耕治 さん。
●移住前の住まい
く、使い方が今一つわからないとな
は難しいだろうと考えました。夫婦
日に「和紙と落ち葉で包む吉
美しい和紙をまずは触って、その
を吉野山で開催します。
漉き和紙と葛菓子のコラボイベント
野のお土産作り」と題して、吉野手
月
触ってもらい、日常的な使い方を提
での採用は可能とのことで、私もな
今取り組んでいるのは、和紙と吉
野 の 産 業 と の コ ラ ボ イ ベ ン ト で す。
にかできることがあればと思い、応
募しました。
●取り組んでいること/取り組もう
としていること
16
活 し て い き た い と 思 い ま す。( 吉 村
●協力隊のことを知ったきっかけ
れば、日常的に使うなどというのは
10
夫の恩師から募集がでていること
を教えていただきました。
39
移住したばかりの頃は、生活の変
化の大きさにとまどうことも多かっ
11
町の集合住宅から引っ越す予定
の殿川地区にある自宅を、ゆっ
くり改修中。
「吉野貯木」と呼ばれる林業の工業団地を
案内する無料本「ちょぼくブック」の編集
長は、協力隊の野口あすかさん。
吉野町地域おこし協力隊員のページ https://www.facebook.com/kyouryokutai.yoshino
奈良市は総務省の財政支援の対象
外ですが、奈良市の東部には「人口
減少や高齢化等の進行が著しい地
なあと思っていますが、明確にはわ
かりません。
政地区として協力隊を受け入れてお
では、昨年から都祁と月ケ瀬が、行
移住対策/農業実践=たんぼ、畑で
すこと、便利な存在になること。/
者 の 中 に 多 い「 打 た れ 弱 い タ イ プ 」
も田舎でも、どこでもうまくやって
す。多才で行動力のある人は都会で
地元の人の話をたくさん聞き、
かゆいところに手の届く存在に。
り、今年9月からはさらに、田原や
自家栽培 田
( 村さんは明日香村に移
住し、農業を学んだ経験がある=編
「仕事で少し病んでいる」という人
家と仕事があれば、田舎に移住し
たい人はもっとたくさんいるはずで
柳生地区等へ奈良市の奈良ブランド
集 部 注 )、 と う ふ、 し ょ う ゆ、 お 酒
たちが、家と農的な仕事があること
奈良市 都祁地域おこし協力隊のページ https://www.facebook.com/pages/ 奈良市 - 都祁地域おこし協力隊 /232748923542063
方」にあたる地域があります。ここ
推進課が新たに採用した人たちが
など、農作物を使った加工品研究/
によって、田舎で自立していけるの
な夢を描き、調整役になれたらとも
い け る で し ょ う。 む し ろ、 今 の 若
やってきました。都祁の田村さんの
日の出マーケットのサポート
き
ご自宅にて、取材当日スケジュール
ゆ
ではないか…移住対策の中で、そん
の都合のつく全ての方が集まってく
歳)
●協力隊を終えたら…
ださり、お話を聞くことができまし
田村由貴 さん(
思っています。
写真は奈良市東部地域おこし協力隊FBページより
農業をしながら都祁の農産物を
使った加工品の販売ができたらいい
●移住前の住まい
健一自然農園に滞在中に、この地
域・下深川の住民たちと一緒に茶苅
●応募したわけ
た。
力隊を募集していることを知りまし
伝っていたときに、このエリアで協
知人の縁で、下深川にある茶農家、
健一自然農園で茶摘み・農作業を手
大和高原日の出マーケットと
地域の在来・固定種を残す取り組みを。
たかえ
り作業をし、とても仲よくなりまし
た。地域がひとつの共同体としてお
歳)
●移住前の住まい
がら暮らしているこの地域の人々
加納孝恵 さん(
の で、「 自 分 の 代 で 終 わ り 」 と 言 わ
大阪府吹田市
●協力隊のことを知ったきっかけ
互いに助け合いながら、思いやりな
れることの多い農家の方の話をたく
いところに手が届く存在になりたい
ると気づきました。地元の人のかゆ
やサポートはむしろ自分に合ってい
イベントなどを引っ張るのは得意
ではなかったけれども、細かい調整
としていること
娘を静かなところで育てたくて。
●取り組んでいること/取り組もう
●応募したわけ
索で見つけました。 どこか田舎暮らしできる場所はな
いか探していたらインターネット検
大阪府寝屋川市
●協力隊のことを知ったきっかけ
36
さん聞き、いろんなところに顔を出
Autumn Vol.19
2014
09 35
た。
都祁・月ケ瀬・
奈良市東部
と、なつかしい古里の美しさ、茶畑
や山々、田畑を囲む風景が気に入っ
て応募しました。
●取り組んでいること/取り組もう
としていること
「 大 和 高 原 日 の 出 マ ー ケ ッ ト 」 地
域のおいしさ、茶・米・野菜を中心
歳)
里山を
残したい。
川﨑健次 さん(
●移住前の住まい
10
2014 Autumn Vol.19
●取り組んでいること/取り組もう
としていること
※ゲストハウス奈良日和り
〒 630-8254 奈良県奈良市菖蒲池町 2-1 TEL 0742-93-3605
に 販 売。「 農 業 + 音 楽 」 が 古 く か ら
京都市
●協力隊のことを知ったきっかけ
街でも田舎でも楽しめるライフ・スタイルを。
文化として人々の暮らしを支えてき
月ケ瀬の梅林の保全・調査
●協力隊を終えたら…
ひとつの農泊もしくは民泊をしていることでしょう。
たことも伝えるためにステージも設
インターネットで
●応募したわけ
ており、東部地区では、山間部(里山)におけるもう
けています。/「大和高原シェアシー
すでに奈良市街地において夫婦で宿泊業(※)をし
ドプロジェクト」大和高原に残る在
新 規 就 農 田 舎 を 体 験 で き る 宿
( 人 が 来 れ る し く み・ 移 住 の き っ か
の仲間と活動できる新しいフィールドを求めて応募。
日本の里山が衰退していくのを感
じて、昔ながらの文化や里山を守る
です。
来種・固定種を地域で残していこう
合える)、新しい「都市農村交流」のモデルを作りたい
ことはできないだろうかを考え、ま
つくり(同じキーワードで集まることができれば支え
というプロジェクトです。
ンを誘致したり、新規就農者を受け入れやすい環境を
けづくり)
里 山 再 生 空 き 家 再 生
(新規就農と連動)
空き家をシェアハウス等として活用し、若者の I ター
ずは田舎で暮らすために応募しまし
た。
活動で、残りの任期でできることが少なくなり、複数
●協力隊を終えたら…
田原、柳生、大柳生、東
里、狭川の各地区へ、今年
9月に着任したばかりの奈
良市から委嘱を受け、活動
をスタートさせた地域おこ
し協力隊員は男女4人。取
材の日は、奈良市の奈良ブ
ランド推進課の方までお会
いできました。
山で協力隊を 2 年 4 ヶ月務めましたが、ひとりきりの
都祁で生まれたおいしいお米やお茶、野菜を中心に約 20 店が出店するマーケッ
ト。針インターから徒歩 10 分の都祁交流センターで隔月開催されている。
定住を考えている方がほ
とんどという、みなさんか
めとする「心の豊かな生活」を求めていました。和歌
日の出マーケットPRブース
写真右が加納さん
シェアシードブースの近畿大学農学
部の学生さん
32
消費一辺倒の生活に疑問を感じ、自給・生産をはじ
日の出マーケット
らの今後の発信が楽しみで
す。
大柳生地区担当
野﨑弘之さん(40 歳)
ひろゆき
マイペースに生きていきたい。
写真は奈良市東部地域おこし協力隊FBページより
和歌山県伊都郡かつらぎ町から
※取材時には都合があいませんでしたが、月ケ瀬には、川﨑さんのほか、
後藤智さん ( アフリカのガボンから ) が活躍中です。
東里、
狭川地区担当
しゅうこ
田原地区担当
けいか
奥瀬周子さん(33 歳)
瀬戸山景香さん(32 歳)
東京都台東区から
愛知県から
東日本大震災を経験し、それまで
協力隊のことは、twitter で情報
の人生における価値観ががらりと変
が流れてきたので知りました。もと
わりました。
もと奈良が好きで、正倉院展には毎
今、子どもが3歳ということもあ
年きていたし、奈良に住みたいと
り、食の大切さに気づき、自然に対
思っていましたし、I ターンに興味
する負荷をなるべく少なく生きる生き方を追求したくなりまし
がありました。今後は、自分の目で実際に見て生産者とふれあっ
た。東京ではなく地方に根づく生き方を模索する中で、奈良市
た農産物を誰かに届けたいですし自分でも作りたい、またその
のホームページから協力隊募集のことを知りました。
場を作っていきたいと思っています。
地方に根づくにあたり、まず仕事や家を探しました。地域に
今は地元の方との顔合わせや人脈作りが主ですが、市内外の
とけこみ、活性化しながら起業に向けて動けるという協力隊の
直売所の調査・地元の方との打ち合わせをして田原の直売所の
活動を魅力的に感じています。
もり立て役や、歴史的遺産(太安万侶の墓や光仁天皇陵など)
現在・活動を始めたばかりで日々お互いのやりたい事、やっ
の整備や、マップづくり、古墳ツアーなどをしたいです。
ていく事を確認しながらの毎日です。
将来は、定住したいと思っています。ふんわりとした思いと
「東京一ヶ所集中ではなく、地方の元気な日本」というのが
しては、自分で栽培した農作物を使った事業をしたいと思って
私が思っていることの一つです。いずれは、子どもが地産地消
いますが、まだ具体的に「これ!」といったものは、見えてい
の安心できる食べものを食べ、のびのびと地域で子育てできる
ないのも現状です。空き家を改修して農家民泊などもやりたい。
ような暮らしをイメージしています。
自分の姿を見て将来自分も奈良に住みたいと思ってくれる人が
出てくるのが目標です。
柳生地区担当
あつし
黒田篤史さん(41 歳)
ぐに家に戻れる距離のところで協力隊をしたかった
大阪府寝屋川市から
ので、奈良市の募集に応募しました。当面、柳生地
区の観光の建て直しとともに、一泊一組の宿など観
残りの人生は地域貢献をする仕事がしたいと思っ
光客・定住促進の仕組みづくりを行い、いずれは、
ていました。「限界集落の挑戦」がテーマです。
地域コーディネーターとして他の地域の活性化を効
前の仕事(コンサル業)の時には外出が多く、息
率・効果的に行うことができるコンサルティング支
子の出産の立ちあいにも出張で間に合いませんでし
援や、宿の運営と定住化促進の基地づくりがしたい
た。大阪に住んでいる家族のもとへ、何かあればす
です。
受け入れ自治体の担当さんの声も聞いてみました。
地域振興への取り組みを地元
で 続 け て い く た め に は、 行 政 か
ら で は な く、 地 域 主 体 で あ る 必
要 が あ り ま す。 ま た、 事 業 に あ
る程度の採算性を確保すること
が重要になってきます。
し か し、 地 域 に は そ の ノ ウ ハ
ウや主体的に動く人材が必ずし
【菱田達也さんより】
菱田達也さん ( 左)と山本敏正さん(右)
もいるとは限りません。そこで、
私が地域おこし協力隊に期待するものは、今ま
で培ってこられたスキルを最大限活用し地域住
民と手をとりあい、活性化事業の主体となって
Autumn Vol.19
いただくことです。今回特に、定住志向があり、
2014
主体的に活動できる人を採用させていただきま
11 した。協力隊のみなさんには、〃地域のため〃
奈良市 東部地域おこし協力隊のページ https://www.facebook.com/narachiikiokoshi
と同時に〃自分の人生のため〃に地域振興に携
わり、活動終了時には何らかの地域振興ビジネ
スを起業していただきたいと考えています。
奈良市東部地域には、豊かな自然や歴史遺産
が数多くあるものの、それらをうまく情報発信
しアウトプットさせることがこれまで全くと
いっていいほどありませんでした。世間一般に
言われる〃大仏商法〃的な感覚が我々行政職員
も含め、奈良市民には根強く残っているように
思います。それらの殻を破って積極的に地域住
民に溶け込み、触れ合い、地元を発掘して地域
住民も巻き込んで地域を変えてもらえるような
人を選ばせてもらいました。採用してまだ1週
間(取材当時=編集部注)ですが、まさに理想
的な隊員たちが来てくれたと、今後の活動にも
強く期待しています。おそらく近い将来、我々
が望んでいるような『おもしろいもの』を作り
あげてくれると思います。
取材 構成 阿南誠子
【山本敏正さんより】
奈良市総合政策部 奈良ブランド推進課 東部振興係