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ポスター発表抄録集 - 日本野外教育学会

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青少年の体験活動等に関する実態調査(平成24年度調査)の報告
○齋藤
雄(国立青少年教育振興機構 青少年教育研究センター/
総務企画部調査・広報課)
キーワード:青少年、体験、自己肯定感、保護者、経年比較
1.調査の概要
当機構では、青少年教育関係者が実施する事業の企
画立案、運営等に資することを目的とし、平成18年か
ら青少年の体験や意識等についての全国規模の調査を
行っている。平成24年度の調査では、「保護者の子供
図3.自然体験と生活体験の関係
※自然体験(9項目)や生活体験(6項目)に関する質問項目の回答を得点化し、5
つの群に分けて、分析を行った。
との関わり(しつけ等)」等に注目し、子供の体験等
(3)自己肯定感
との関係について、分析を行った。また、平成18年以
「学校の友だちが多い方だ」「今の自分が好きだ」
前の類似調査との比較も行い、青少年の体験等の実態
などの自己肯定感は、中高生になると、
「とても思う」
の経年比較も行った。
と答えた割合が、急激に低くなる傾向にある。
2.調査対象・時期
(1)子供調査
全国小学校4~6年生、全国公立中学校2年生、全国公
立全日制高等学校2年生の合計17,900人
(2)保護者調査
全国公立小学校1~3年生の保護者、子供調査対象小
図4.自己肯定感の学年別比較
(4)自然体験、生活体験と自己肯定感の関係
自然体験などの体験が豊富な青少年ほど、自己肯定
感※が高い傾向がある。
学校4~6年生の保護者の合計15,861人
(3)調査時期
平成25年2月~3月
図5.自然体験と自己肯定感の関係
※自己肯定感に関する質問項目(6項目)の回答を得点化し、5つの群に分けて、
分析を行った。
3.主な調査結果
(5)保護者の子供のとの関わり(しつけ等)と体験、自
(1)自然体験
小中学生(小4・小6・中2)が「海や川で泳いだこと」
などの自然体験をこれまでにしたことがある割合は、
平成10年以来、減少していたが、平成21年に比べ平成
己肯定感の関係
保護者の子供との関わり(しつけ等)が多い子供(小
学生)ほど、自然体験などの体験が豊富であり、自己
肯定感が高い傾向にある。
24年は、増加傾向にある。
図6.保護者の子供との関わり(しつけ等)と子供の自然体験の関係
図1.海や川で泳いだこと
図2.キャンプをしたこと
(2)自然体験と生活体験の関係
自然体験※が豊富な青少年ほど、生活体験※が豊富な
傾向が見られる。
図7.保護者の子供との関わり(しつけ等)と子供の自己肯定感の関係
※保護者の子供との関わり(しつけ等)に関する質問項目(21項目)の回答を得
点化し、3つの群に分けて、分析を行った。
キャンプ体験が児童のコーピングと自尊感情に及ぼす影響
The Effects of Camp Experience on the Coping and Self-Esteem of Elementary School Children
兄井 彰(福岡教育大学)
キーワード:長期キャンプ,ストレス,メンタルヘルス
はじめに
3.キャンプ体験
子どもは,学校生活の中でさまざまなストレスに
キャンプを通して体験した内容を測定するために,
さらされる状況にあり,ストレスに対処しきれずに,
西田ら(2002)が作成した児童用組織キャンプ体験
自尊感情が低下する等の問題が生じてきている.こ
評価尺度を使用した.
のような状況の中,子どもが適応的に学校生活を送
結果と考察
るためには,さまざまなストレスに対処するコーピ
キャンプ前後での児童のコーピングと自尊感情の
ングの獲得や自尊感情の低下を抑制するための援助
変容について検討を行うため,対応のある 1 要因分
が必要となっている.このような援助方策の一つと
散分析を行った.その結果,問題解決(F(1,42)
して,自然環境の中で集団生活を行うキャンプ体験
=12.01,p<.01)と行動的回避(F(1,42)=5.48,p<.05)
,
が有効だと考えられている.
サポート希求(F(1,42)=5.18,p<.01)
,自尊感情(F
そこで,キャンプ体験を子どものコーピングを獲
(1,42)=9.03,p<.01)で有意な得点変化が認められた.
得させ,自尊感情を向上させる方策と捉え,キャン
このことから,キャンプ体験により,困難な場面で
プ体験による児童のコーピングと自尊感情の変容に
その問題を解決する方法を考えたり,人に援助を求
ついて,検討することを本研究の目的とする.
めたりする行動やストレスに対して直接対処するの
方法
ではなく回避的に対処する行動及び自分自身を受容
調査対象者
できる自尊感情が向上したと考えられる.
独立行政法人国立青少年教育振興機構国立夜須高
次に,キャンプ体験によるコーピングや自尊感情
原青少年自然の家が実施した平成 25 年度教育事業
の変容の関係について検討を行った.その結果,行
「夜須高原長期チャレンジキャンプ」に参加した児
動的回避の変容には,自己開示体験(β=-.46,p<.05)
童 43 名(男子 29 名,女子 14 名)であった.
が有意な関係を示していた.また,サポート希求の
調査時期
変容において,他者協力体験(β=-.52,p<.01)と
キャンプの開講式後と閉講式前に調査を行った.
挑戦・達成体験(β=.33,p<.05)が有意な関係を示
調査内容
していた.しかし,問題解決と自尊感情に有意な関
1.コーピング
係は示されなかった.このことから,行動的回避の
児童がストレス場面で用いるコーピングを測定す
変容には,自己開示体験が関与し,サポート希求の
るために,大竹ら(1998)が作成した小学生用スト
変容には,他者協力体験と挑戦・達成体験が関与し
レスコーピング尺度を使用した.
ていると考えられる.
2.自尊感情
以上のことから,キャンプ体験により,ストレス
児童の自尊感情を測定するために,Rosenberg
に対処するコーピングと自尊感情が高まったといえ
(1965)が開発した自尊感情尺度について,須﨑・
る.また,このようなコーピングの獲得には,キャ
兄井(2013)が信頼性と妥当性を確認したものを使
ンプのさまざまな体験が関与しているといえる.
用した.
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The effects of lifestyle improvement long-term camp upon children's
body activities and competence
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(158.42)
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16.95
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(2280.57)
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大学スキー実習中における参加者の疲労状態
The study on fatigue of participants during the college ski course
○中丸信吾,菅波盛雄(順天堂大学スポーツ健康科学部)
キーワード:大学スキー実習,疲労部位,経験・技能レベル
1.はじめに
野外活動においてその教育効果を十分に引き
出すためには最後まで安全にプログラムを遂行
することが必要不可欠である.特に大学スキー実
習のような多人数で経験・技能レベルが混在して
いる活動では,障害予防の観点から参加者の疲労
状態を把握することは重要であるといえる.
表1. 実習期間中における疲労部位の訴え率
プレ(1日目昼) 1日目夜
2日目夜
n=52
n (%)
n (%)
n (%)
肩
0 (0.0)
2 (3.8)
2 (3.8)
上腕後面
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
前腕
0 (0.0)
1 (1.9)
3 (5.8)
大腿前面
0 (0.0)
1 (1.9)
2 (3.8)
大腿後面
0 (0.0)
0 (0.0)
3 (5.8)
すね
0 (0.0)
0 (0.0)
8 (15.4)
ふくらはぎ
0 (0.0)
2 (3.8)
9 (17.3)
3日目夜
n (%)
7 (13.5)
5 (9.6)
6 (11.5)
5 (9.6)
6 (11.5)
15 (28.9)
18 (34.6)
4日目夜 5日目昼
p値
n (%)
n (%)
9 (17.3)
6 (11.5)
***
3 (5.8)
2 (3.8)
*
7 (13.5)
2 (3.8)
*
5 (9.6)
4 (7.7)
n.s.
2 (3.8)
2 (3.8)
*
15 (28.9) 15 (28.9)
***
13 (25.0) 10 (19.2)
***
*:p<0.05, **:p<0.01, ***:p<0.001
経験・技能レベル別にみてみると,中上級者で
本研究では大学スキー実習の期間中における
は実習の経過とすねの痛みに関連があり,初心者
参加者の各部位の疲労状態の変化について調査
では実習の経過と大腿前面,ふくらはぎに関連が
し,スキー実習における障害予防および疲労状況
みられた(表 2)
.全体的には初心者の訴え率が
に応じたプログラムのための基礎資料とするこ
高い傾向がみられた.また,有意ではないものの
とを目的とした.
大腿前面については中上級者は実習前半に疲労
2.方法
を訴える件数がいくつかあり,初心者は実習後半
(1)被験者
平成 23 年 2 月に実施した体育・スポーツを専
に疲労を訴えるケースが多かった.
寝前),5 日目昼(実習終了時)とした.記入さ
表2. 経験・技能レベル別にみた実習期間中における疲労部位の訴え率
プレ(1日目昼) 1日目夜
2日目夜
3日目夜
4日目夜
5日目昼
p値
n (%)
n (%)
n (%)
n (%)
n (%)
n (%)
肩
中上級
0 (0.0)
2 (8.3)
1 (4.2)
2 (8.35)
2 (8.3)
2 (8.3)
n.s.
初心者
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (5.3)
3 (15.8)
4 (21.1)
2 (10.5) n.s.
上腕後面 中上級
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
2 (8.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
n.s.
初心者
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
2 (10.5)
2 (10.5)
2 (10.5) n.s.
前腕
中上級
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (4.2)
0 (0.0)
1 (4.2)
0 (0.0)
n.s.
初心者
0 (0.0)
1 (5.2)
2 (10.5)
5 (26.3)
4 (21.1)
1 (5.3)
n.s.
大腿前面 中上級
0 (0.0)
1 (4.2)
2 (8.3)
1 (4.2)
0 (0.0)
0 (0.0)
n.s.
初心者
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
3 (15.8)
5 (26.3)
4 (21.1)
*
大腿後面 中上級
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
n.s.
初心者
0 (0.0)
0 (0.0)
3 (15.8)
5 (26.3)
2 (10.5)
2 (10.5) n.s.
すね
中上級
0 (0.0)
0 (0.0)
4 (16.7)
7 (29.2)
9 (37.5)
9 (37.5) ***
初心者
0 (0.0)
0 (0.0)
4 (21.1)
5 (26.3)
3 (15.8)
3 (15.8) n.s.
ふくらはぎ 中上級
0 (0.0)
2 (8.3)
3 (12.5)
5 (20.8)
3 (12.5)
4 (16.7) n.s.
初心者
0 (0.0)
0 (0.0)
4 (21.1)
9 (47.4)
5 (26.3)
3 (15.8) **
中上級:n=24, 初心者:n=19
*:p<0.05, **:p<0.01, ***:p<0.001
れた調査用紙から各部位の件数を求め,実習期間
以上のことから,スキー実習において疲労しや
門としない学部のスキー実習に参加した学生男
女 52 名を対象とした.
(2)調査方法
自作の調査用紙を用い,
「だるさ」
「痛み」のあ
る部位について疲労調査を行った.調査は実習開
始前(1 日目昼)を事前値とし,1~4 日目夜(就
中における疲労部位の発生件数について全体お
すい部位や実習の経過とともに疲労が蓄積する
よび経験・技能レベル別に検討した.
点に加え,経験・技能レベルによって疲労を訴え
3.結果および考察
るタイミングが異なることが明らかとなった.し
訴えの多かった疲労部位は肩,上腕後面,前腕,
たがって,大学スキー実習において障害予防とい
大腿後面,すね,ふくらはぎであり,実習の経過
う観点から経験・技能レベルによる疲労状況に応
と疲労部位には関連がみられた(表 1).特にす
じたプログラムについて,今後さらに検討を重ね
ね,ふくらはぎについては高い値を示した.
る必要があると考えられた.
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6
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Keywords
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キャンプにおける自己概念の変容に関するメタ分析
A Meta-Analysis of the effects of organized camps on self-concept
○向後佑香(筑波大学)、坂本昭裕(筑波大学)
キーワード:キャンプ、自己概念、メタ分析、システマティックレビュー
1.はじめに
野外教育が青少年の自己の発達、社会性の育成、
ルを用いて、自己概念全体及び、4つの下位尺度そ
れぞれについて、発達段階ごと(小学校、中学・高校、
自然認識などの心理的成長に与える影響はこれまで
大学)に効果サイズを算出し、比較した。
様々な研究で報告されてきた。とりわけ自己概念に
3.結果と考察
関する研究は心理的側面の中でも中心的課題であり、
総サンプル数は 1,126 で、メタ分析の結果、全体
様々な年齢層やプログラムを対象として従来盛んに
の平均 Effect Size は 0.22 であった(表 1)。95%信頼
研究が行われている。しかしながら、その多くは単
区間は 0.127~0.311(z=4.67)で、信頼区間が 0 を
発のキャンプを評価しているため、研究によっては
含んでいない事から、キャンプ前後で自己概念が有
結果が異なるなど、一貫した知見が得られていない。
意に変化するという結果であった。
表1 自己概念の分析結果(Pre-Post)
自己概念の分析結果(Pre-Post)
よって、これまでの個々の研究成果を統合し、キャ
ンプ体験が自己概念の変容に与える影響について、
全般的に評価をすることが必要であると考える。
ES
自己概念(全体)
- 達成動機
- 努力主義
- 自信と自己受容
- 他者からのまなざし
0.22
0.23
0.27
0.03
-0.02
k
15
17
16
16
16
n
95%CI
901 0.127
1126 0.152
1059 0.179
986 -0.063
986 -0.111
~
~
~
~
~
z-Value (p)
0.311 4.67
0.317 5.57
0.364 5.77
0.113 0.56
0.065 -0.51
***
***
***
n.s.
n.s.
Q
6.82
5.87
12.16
8.00
10.94
df
n.s.
n.s.
n.s.
n.s.
n.s.
14
16
15
15
15
***p<.001
そこで本研究では、メタ分析という手法を用いて
達成動機因子では ES=0.23(95%CI=0.15~0.32,
キャンプ研究のシステマティックレビューを行い、
z=5.57,p<.001)
、努力主義因子では ES=0.27(95%
キャンプ体験が参加者の自己概念に与える影響につ
CI=0.18~0.36, z=5.77,p<.001)となり、キャンプ前
いて、過去の研究から総合的かつ定量的に示す事を
後において得点は有意に変化する結果となった。し
目的とした。また、これまでの研究動向及び今後の
かし、
自信と自己受容因子ではES=0.03と低く、
95%
課題についても検討を行う。
CI は-0.06~0.11(Z=0.56,n.s.)と、有意な差は認め
2.研究方法
られなかった。同様に他者からのまなざし因子にお
1)研究対象
いても ES=-0.02、95%CI は-0.11~0.07(Z=-0.50,
調査対象となる組織キャンプに関する論文は、デ
n.s.)と、有意な差は認められなかった。
ータベース CiNii を用いて検索し、そのうち以下の
つまり、先行研究を統合すると、キャンプ体験は
5 つの基準を満たす論文を選定した。(1)事前事後テ
達成動機因子や努力主義因子へ大きく影響する一方、
ストデザインを用いている。(2)メタ分析に必要な統
自信と自己受容因子、他者からのまなざし因子に対
計値(平均、標準偏差、標本数)が記載されている。
しては影響を与えないという結果であった。これは、
(3)小学生から大学生までを対象者としている。(4)
自己概念に含まれる下位因子の中でも、体験によっ
自己概念を測定するために梶田が作成した自己成長
て影響を受けやすい概念と、変容しにくい概念が存
性検査を用いている。 (5)全体得点及び下位因子ご
在することが伺える結果であった。
との得点が記載されている。その結果、最終的に今
当日は、さらに発達段階やその他の要因毎の結果
回のメタ分析の対象となる論文は 17 件であった。
についても報告し、より詳細に自己概念の変容につ
2)効果量の算出
いて検討する。
効果量(Effect Size)及び 95%信頼区間、
z 値、
p 値、
参考文献
Q 値 の 算 出 の 際 に は Comprehensive Meta-
梶田叡一(1988)
:自己意識の心理学〔第2版〕.東京
Analysis V.2 を用いた。メタ分析には混合効果モデ
大学出版会,東京.
発達障害児におけるキャンプが及ぼす効果について
自尊感情に着目して
Effect of camping for children with developmental disabilities on self-perception
大友あかね(筑波大学大学院)・坂本昭裕(筑波大学体育系)・澤江幸則(筑波大学体育系)
キーワード:キャンプ、発達障害、自尊感情、プログラム
【目的】
たところ、有意差はみられなかった。
一般的に発達障害児は、日々の生活の中での失
そこで 6 つの下位尺度について性別と調査時期
敗経験や周囲からの叱責に起因して自尊感情が低
および学年と調査時期を要因とする 2×2 の分散
いとされている。キャンプは野外活動体験や生活
分析を行った。その結果、
「行い」の下位尺度にお
体験によって得られる達成感や自信等から参加者
いて性別と調査時期の交互作用に有意差が見られ
の自己意識の改善に効果があると言われている。
(F(1,29)=9.07,p<.01)、多重比較を行うとキャン
したがって発達障害児においてもキャンプ体験に
プ後の男子の得点は女子に比べ有意に高く(F(1,
よって自尊感情等の自己意識の改善が期待される。
29)=5.61,p<.05)、キャンプ前後で女子の得点に有
本研究では、発達障害児を対象としたキャンプに
意差がみられた(F(1,29)=8.39,p<.01)。また、
「友
おける自尊感情に及ぼす効果について検討した。
人」の下位尺度において、性別の主効果に有意差
【方法】
がみられた(F(1,29)=4.90,p<.05)。性別と調査時
1)対象
期の交互作用についても有意傾向がみられたため
発達障害または、発達障害が疑われる児童生徒
(F(1,29)=3.75,p<.10)、多重比較を行ったところ、
31 名。内訳は、小学生 13 名、中学生 16 名、高校
キャンプ後の男子の得点は女子と比べて有意に高
生 2 名(男子 24 名、女子 7 名)であった。
いという結果が得られた(F(1,29)=8.69,p<.01)。
2)調査内容
【考察】
2013 年に YMCA が主催した 3 つのキャンプにて
キャンプ後の「行い」の女子の得点は、有意に
自尊感情に関するアンケート調査を行った。調査
低下し、かつ性差が認められた。女子はキャンプ
で は Harter の Self-perception profile for
で集団のルールや規律を守って生活する中で、自
children を元に、田中ら(2005)が作成した、
「日
分の行いについて厳しく評価したことが窺え、男
本語版自己認識尺度」を一部修正し使用した。質
子よりも消極的な評価をしたことが推測される。
問項目は「勉強」
「友人」
「スポーツ」
「行い」
「容
また、
「友人」のキャンプ後の得点についても性差
貌」の自己評価に関する質問各 3 項目と、
「全体的
が認められたが、キャンプでは女子の参加者が少
自己価値」に関する 6 項目の計 21 項目であった。
なく、同性の仲間関係を作ることができなかった
同意が得られた参加者に対し、キャンプ前後で同
ことが考えられる。本研究では全般的に言える事
一内容のアンケートを行い、4 件法で得られた結
であるが、女子の対象者数が少ないため、今後は、
果についてt検定及び 2 要因の分散分析を行った。
女子の対象者数を増やして再検討する必要がある。
3)プログラム
対象児童生徒が参加したキャンプは、3 泊 4 日
本研究のキャンププログラムは、冒険的要素と
言うよりは、比較的レクリエーション要素が強く、
または 2 泊 3 日のキャンプであり、野外炊事、ハ
参加者の自尊感情を肯定的に変化させるには至ら
イキング、牧場散策、酪農体験、アイス作り、プ
なかったと思われる。しかし参加者の自尊感情に
ラネタリウム鑑賞、街探検、電車旅などのプログ
おいて、意味のある変化も見られたことから、キ
ラムが含まれていた。
ャンプは発達障害児の自尊感情に影響することが
【結果】
窺われ、プログラム次第でより大きな効果が期待
キャンプ前後の合計得点について t 検定を行っ
できるのではないかと考えられる。
大学生を対象とした農業体験学習における教育効果の検討
―農業イメージ尺度とキャリア意識の関連から―
Examination of effect in rural learning experience
○居﨑時江 1・谷伊織 2・小島雅生 1(非会員)・ほしの竜一 2(非会員)
(1 東海学園大学教育学部・2 東海学園大学人文学部)
キーワード: 農業体験学習,野外学習,キャリア意識
目 的
近年、農村滞在や農業体験が持つ教育的機能への期待
が高まってきており(農林水産省, 2013)、学校教育の一
環として農業体験学習が盛んに行われている(稲垣ら,
2010)。これらの体験学習においては、さまざまな教育効
果が認められており、「農業・農村に対する理解の促進」
「生きる力の育成」「食育・健康教育」など多側面にわた
っているが、単に農業に対する理解を促すだけでなく、
体験を通して派生する視野の広がりや就労意識の向上な
ど、心理的な側面も含めた教育効果が期待されているの
が特徴であろう。
しかし、その効果については実証的に検討された研究
は不十分である。また、多くの研究は小中学生を対象と
しているため(山本,2008)、大学生に対する効果はほと
んど示されていないのが実情である。現代の大学生を取
り巻く現状として、フリーターやニート、引きこもり、
メンタルヘルス、キャリア形成に関する諸問題(杉本,
2012)が頻繁に指摘されていることを鑑みると、農業体
験は①心理・情緒的に好ましい効果、②視野の広がりや
就業意識、生きる力の向上が報告されているため、今後
の活用がおおいに期待されるプログラムであると言えよ
う。鈴木(2007)によると、農業体験とは「農業を体験
することを通して、自分につながる先人たちの労働成果
を取り入れ、吟味し、学習することで自分の中に潜在し
ている可能性や感受性が覚醒されていく過程」であり、
自然に囲まれた農村で、農家の方々と共に作業をしなが
ら、コミュニケーションをとることは、食への感謝の気
持ちの醸成にとどまらず、社会性やキャリア・仕事に対
する意識にも目覚めることが期待される。
そこで、本研究においては、大学生が「農業体験活動」
および「農村滞在経験」や「野外学習」を通して、「農業
や農村への理解」はもちろんのこと、就労に関する「キ
ャリア意識」といった心理的側面についても発達的変化
が促されるかどうかを検討する。
方 法
大学生を対象に、講義時間の一部を利用して質問紙調
査を行った。
調査協力者 大学生 305 名を対象とした。内訳は男性 90
名、女性 208 名(無記入 7 名)であり、平均年齢は 19.28
歳(SD =0.89 歳)であった。
質問紙の構成 質問紙は、調査協力者の概要を把握する
ためのフェイス項目および 2 つの尺度によって構成され
た。①農業に対する態度 農業に対する理解と態度を測
定するために、居崎ら(2014)によって作成された「農業
に対するイメージ尺度」を用いた。24 項目、6 件法によ
って回答を求めた。②就職イメージ尺度 大学生のキャ
リアに関する意識を測定するために、杉本(2012)によ
って作成された就職イメージ尺度を用いた。「拘束」「希
望」「制度」「自立」の 4 つの側面から構成される。全 25
項目、7 件法で回答を求めた。
手続きと倫理的配慮 東海学園大学研究倫理委員会にて
承諾された研究の趣旨と個人情報保護についての説明を
行い,同意を得たものを対象に調査を行った。
結 果
就職イメージ尺度の各下位尺度の得点を基準変数、農
業イメージ尺度の各下位尺度の得点を説明変数として、
強制投入法による重回帰分析を行った。結果を Table 1
示す。その結果,全ての就職イメージの下位尺度につい
て、農業イメージ尺度からの説明が有意であり、農業に
関する態度から一貫してキャリア意識への影響が見られ
た。特に説明力が高かった基準変数である下位尺度は「希
望イメージ」と「自立イメージ」であり、これらはいず
れも農業への理解・共感からの正の標準回帰係数が有意
であった。
Table 1 基準変数を就職イメージ、説明変数を
農業イメージとした重回帰分析の結果
拘束
希望
制度
自立
基準変数
イメージ イメージ イメージ イメージ
β
β
β
β
説明変数
農業への興味関心
-.06
農村への興味関心
-.16
農業への理解共感
R
*
2
.05
*
-.03
.04
*
-.07
.25 **
.36
**
.28
**
-.05
.00
-.07
.44
**
.55 **
.18
**
.27 **
p <.05, ** p <.01
考 察
本研究の結果、農業への興味関心・理解が高い者は、
就労観が好ましくなる傾向が明らかとなった。特に、農
村への興味関心が高い者は拘束イメージが低くなり、希
望イメージが高くなることが示された。また、農業への
理解・共感が高い者は希望イメージ・制度イメージ・自
立イメージが高くなることが認められた。すなわち、農
業に対する興味関心等が向上し、好ましい態度が形成さ
れることが、就労観の変化に繋がっている可能性が示唆
された。
本調査の協力者である大学生は農業を専門としたり、
関連する業種への就職を希望する学生が集まっているわ
けでもないため、農業への興味関心の高さが、希望する
就労イメージと直接結びついているとは考え難い。それ
にも関わらず、このような関連が見出されたことは、希
望業種以外にも幅広く興味関心を抱き、理解を示し、共
感を抱くことが、好ましい就労観の形成の一助となるこ
とを示唆していると考えられる。また、農業に関心を持
つこと自体が、働く意義や人間の生活のあり方について
考える良い機会となり、そのことが就労観や将来展望の
形成に結びついているという可能性がある。従って、農
業体験学習等を通して農業に対する理解や関心を深め、
イメージを変化させていくことによって、キャリア意識
を向上させる効果も期待できると考えられる。
さらに、ここで得られた知見を生かして実際に農村で
農作業体験や宿泊経験を行い、農村や自分自身のキャリ
アに対する意識や精神状況をどのように変化させている
のかを実証する研究に繋げていく予定である。
航海計画を伴うセーリング実習による心理的影響に関する研究
Psychological Effects of Sailing Programs including Navigation Planning.
久保田 秀明(創価大学 教育学部)
キーワード:セーリング教育、航海計画、協同性、生きがい感、主観的幸福感
Ⅰ.はじめに
セーリングの体験回数について、日本の大学
Ⅲ.結果
質問紙調査の得点を実習の前後で比較し、t
生と海外からの留学生を比較すると、アジア、
検定を行った。協同作業認識尺度の各因子の得
オセアニア、北・中・南米、ヨーロッパ出身の
点は、個人志向因子は実習前の 2.813 から実習
留学生に比べて、日本人学生の体験数は極端に
後は 2.376 に下がり、1%水準で有意であった。
少ない。その理由については推測の域を出ない
協同効用因子は 4.559 から 4.692 に上がり、1%
が、風上への帆走を可能にし、目的地に到達す
水準で有意であった。互恵懸念因子に有意な差
る性能を飛躍的に向上させた帆船の技術革新を
は認められなかった。生きがい感スケールの合
経験していない、わが国の歴史に起因している
計点は、実習前の 73.638 から実習後は 78.241
という見方もできる。世界各地でセーリングに
に上がり、1%水準で有意であった。主観的幸福
よる航海術が急速に進歩した時代の日本の鎖国
感尺度の合計点は、実習前の 35.431 から実習後
政策と、幕末以降に受けた動力船の軍事力によ
は 36.845 に上がり、1%水準で有意であった。
る他国からの開国圧力によって、本土に住む日
本人がセーリングの文化を熟成させる機会を失
った可能性は否定できない。
Ⅳ.考察
特に差が認められなかった互恵懸念因子を除
本研究は、セーリングを体験する機会の乏し
いて、協同作業に対する認識の向上がみられた
いわが国の大学生が、航海型のセーリング実習
ことより、セーリングが協同性を育む活動であ
に参加することによって受ける心理的影響に関
ると考えることができる。また、風と波を読ん
する知見を得ることを目的とする。
で自然と密接に交流するセーリングの特性に加
えて、安全に目的地に到達することを目指す航
Ⅱ.方法
海型の実習課題を行った。それにより参加者の
海上法規と海図の活用法、航海計画の立案、
達成感や満足感に技術の巧拙が影響する度合い
ロープワークと救助法に関する事前講習を行っ
が減じ、生きがい感と主観的幸福感をより強く
た上で、延べ 58 名に対し 1 日~3 日間のセーリ
得ることにつながったと考えることができる。
ング実習を行った。一定レベルのスキルを獲得
した学生は、16ft セーリングカタマランによる
Ⅴ.結論
往復 18 海里の東京湾横断航海や 48ft セーリン
航海計画を伴うセーリング実習によって、参
グクルーザーによる 100 海里の東京-新島間の
加者の協同性、生きがい感、主観的幸福感が向
航海に参加した。実習の前後に、
「協同作業認識
上する傾向が認められた。実習の効果の詳細な
尺度」、「生きがい感スケール」
、
「主観的幸福感
分析と、その他の身体活動の影響との違いを見
尺度」を用いた質問紙調査を行った。
出すことが、今後の課題である。
Can outdoor activities become genuine Experiential Education?
The focusing on facilitation process
Keyword
1
1
Association for experiential education, 1995
2
E
J
36
O
3
2
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