Global Market Outlook 2017 年 1 月 5 日号 12 月の市場動向と 1 月の注目点 1. 内外株が続伸、為替円安も継続 右のグラフ 1 は内外 4 資産ベンチマーク収益率 2015年度末基準 の推移です。内外株は 12 月も米国大統領選挙後 の急上昇が継続、休暇ムードが強まった月半ば以 降は勢いをやや失ったものの、月間では 3~5%程 度のプラスを記録し、年度初来ではいずれも 2 ケ タのプラスとなりました。長期金利も上昇しまし たが、為替市場で円安が進行したことから、外国 債券も 2%台のプラス、年度初来のマイナス幅も 18% 16% 14% 12% 10% 8% 6% 4% 2% 0% -2% -4% -6% -8% -10% -12% -14% 国内債券 収益率(%) 年度初来 (12月) 国内株式 +14.04 (+3.47) 国内株式 外国債券 外国株式 +12.32 (+4.99) 外国株式 国内債券 -0.81 (-0.56) 外国債券 -1.82 (+2.37) 4月 1%台まで縮小しました。国内債券は長期金利が グラフ1:ベンチマーク収益率推移 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 資料:ブルームバーグ、弊社 やや上昇したため、小幅ながらマイナスとなりました。 2. 12 月の主な出来事 ① イタリア国民投票(4 日) 2016 年 6 月の英国国民投票、11 月の米国大統領選挙と予想外の結果が続いたことから、イタリアに も市場の注目が集まりました。本来、上院改革を問う国民投票でしたが、レンツィ首相(当時)が否 決されれば辞任すると発言したため、首相の信任投票という色彩が強まりました。世論調査では当初、 賛成派が優勢でしたが、投票日が近づくにつれ反対派が巻き返し、結果も反対多数となったことから 上院改革は頓挫しました。レンツィ首相は投票日前の発言通り辞任しましたが、側近とされる外相が 11 日に新首相に選出され、政治の混乱は限定されたことから、金融市場への影響もほとんど見られ ず、むしろイタリア国債は反発(長期金利は低下しドイツとの利回り格差は縮小)しました。 ② 欧州中央銀行金融政策決定会合(8 日) 政策金利は予想通り据え置いたものの、2017 年 3 月に期限を迎える資産購入(量的緩和)を 9 ヶ月 延長しました。市場では 6 ヶ月程度の延長とみる見方が多かっただけにハト派的といえますが、月間 購入額を現行の 800 億ユーロから 600 億ユーロへ削減するとしたため、市場の一部ではタカ派的と解 釈されました。ただし、ドラギ総裁は記者会見の席上で「テーパリング(縮小を継続し近い将来には ゼロとする)ではなく、2016 年 3 月の増額は不透明感が一時的に高まったため」とし、「現在はやや 落ち着きを示し始めたことから、元の金額に戻した」と繰り返し発言、市場の動揺を抑えました。 1 ③ 米国金融政策決定会合(14 日) 予想通り政策金利目標を 1 年振りに引き上げ 0.50~0.75%としました。経済見通しをほぼ据え置い た一方、政策金利予想をやや引き上げたことから、一部では今後の利上げペースが加速するのではと いう見方も浮上しました。記者会見でイエレン議長は「労働市場の現状に鑑みると、完全雇用を達成 するための財政刺激策は必要ない」と発言、次期大統領が大型財政政策を打ち出した場合、利上げ加 速の可能性を示唆しました。 ④ 米国次期大統領関連 先月もトランプ次期大統領関連の話題が市場を賑わせました。「1 つの中国政策」に疑義を呈する 発言や、筆頭閣僚である国務長官にロシアとの強いパイプを持つ人物を指名した件等は、今後、地政 学的懸念を高めかねず、市場に影響が及ぶことも想定されます。一方、日本の実業家との会談(米国 への大型投資を誘致)、メキシコに工場移転を計画している企業に乗り込み移転を翻意させるといっ た、国内経済浮揚に繋がる話題もありました。 3. 1 月の注目点 ① トランプ大統領誕生 1 月 20 日に就任式が行なわれ、正式にトランプ政権が発足します。昨年 11 月の選挙後、「トラン プラリー」が継続していますが、「うわさで買って事実で売る」という古い格言のような展開も否定 できないと思います。また指名された新閣僚の承認手続きが上院で行われます。国務長官のみならず、 財務長官に対しても金融機関経営に携わっていた時代の、不適切な行動(強引な差し押さえ等)を批 判する声もあります。新政権船出の最初の躓きにもなりかねず、審議の行方を見守りたいと思います。 ドル高円安を牽制するような発言が出るかどうかにも注意が必要でしょう。 ② 米国経済指標 常に市場に対する影響が大きいわけですが、現在、「新政権の財政政策次第では利上げペースが加 速するのでは」という懸念が市場で高まっており、内容次第では米国長期金利上昇、ドル高が加速す ることも否定できません。6 日の雇用統計、賃金上昇率、13 日の小売売上高、27 日の GDP 成長率(10 ~12 月期)等に注目です。 ③ 新興国経済、金融市場の動向 昨年秋から米国長期金利の上昇、ドル高が急激に進行しています。特に米国との関係が強い新興国 への影響が懸念されます。欧米、日本で長期間、異常に低い金利が継続しているわけで、資金の流れ に変調が見られた場合、想定以上に混乱が拡大することも考えられます。 2 ※ 2016 年 11 月以降のレポート 11 月 1 日号 10 月の市場動向と 11 月の注目点 11 月 10 日号 米国選挙結果と金融市場 11 月 18 日号 「トランプラリー」は持続するのか 12 月 1 日号 11 月の市場動向と 12 月の注目点 12 月 5 日号 「レーガノミクス」と「トランプノミクス」 12 月 12 日号 2016 年グローバル金融市場 10 大ニュース 12 月 13 日号 2016 年金融市場の「初夢」、その結果は? 12 月 15 日号 米国は 1 年ぶりの利上げを決定 12 月 26 日号 「トランプラリー」の行く手を阻む 10 のハードル 1 月 4 日号 2017 年金融市場の「初夢」 MU投資顧問株式会社 登録番号 金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第 313 号 一般社団法人日本投資顧問業協会会員 一般社団法人投資信託協会会員 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台2-3-11 電話 03-5259-5351 *本資料に含まれている経済見通しや市場環境予測はあくまでも作成時点に おけるものであり、今後予告なしに変更されることがあります。 *本資料は情報提供を唯一の目的としており、何らかの行動ないし判断をする ものではありません。また、掲載されている予測は、本資料の分析結果のみ をもとに行われたものであり、予測の妥当性や確実性が保証されるものでも ありません。予測は常に不確実性を伴います。本資料の予測・分析の妥当性 等は、独自にご判断ください。 *なお、資料中の図表は、断りのない限りブルームバーグ収録データをもと に作成しております。 3
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