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シスコ ユニファイド コンピューティング システム導入事例
株式会社 鳥取県情報センター
Vblock を基盤として新たにクラウド サービスを開始
これを積極展開することでビジネスの拡大を目指す
導入の背景 / 課題
・ 自治体業務のコスト削減、
業務の標準化、
シス
テム共同利用を推進するため、クラウド化への
ニーズが高まっていた。
・ その一方で鳥取県情報センター自身も、
クラウド
サービスによるビジネス拡大を検討していた。
・ 同社にとってクラウド基盤の構築は初めての
ことであり、しかも構築期間も限られていた。
短期間で確実にクラウド サービスを開始する
ため、技術コンサルティングに優れたシスコを
パートナーに選択、導入製品としては Vblock
を採用することになった。
・ ネットワークを重視したコンセプトも、高い将
来性があると評価されている。
導入ソリューション
・ Vblock
– Cisco Unified Computing System
- Cisco UCS 6120(ファブリック インター
コネクト)× 2
- Cisco UCS 5108(ブレード シャーシ)× 2
- Cisco UCS B200 M2(ブレード サーバ)
× 10
- Cisco MDS 9148 × 2
– Cisco Nexus 1000 v(仮想スイッチ)
– VMware vShere 4.1 ESX(仮想化ソフト
ウェア
– EMC Celerra NS-120(ユニファイド スト
レージ システム)
・ Cisco Catalyst 4500 シリーズ
導入効果
・ 物理サーバの設置や配線が不要になったため、
サービス開始時の負担が大幅に軽減された。
・ データ バックアップ等のルーチンワークもほ
とんどなくなり、システム監視の一元化も可能
になった。
・ 省 エ ネ 効 果 も 高 い。2015 年 ま で に 年 間
1200 万円以上の電気料金と、721 トンの温
室効果ガス排出量を削減できる見込み。
・ 自治体との SLA 契約への道も拓かれた。HA
(High Availability)構成が必要なサービス
も、専用のバックアップ サーバを用意する必
要がないので、
低コストで実現できる。
・ 今後は県外にもサービスを展開、ビジネス拡
大が期待されている。
鳥取県や県内市町村に対し、業務システムや情報通信インフラの提供を 40 年
以上にわたって行っている株式会社 鳥取県情報センター。ここでは 2010 年
9 月から新たにクラウド サービスが開始されており、その基盤として Cisco
Unified Computing System(UCS)と EMC のストレージ製品、VMware
の仮想化ソフトウェアを組み合わせた Vblock が活用されている。採用の決め
手になったのは、シスコの充実した技術コンサルティング。ネットワークを重視し
たコンセプトも高く評価されている。現在までに 86 サーバが Vblock 上で仮
想化されており、2015 年には鳥取県の 200 以上のシステムがクラウド化さ
県外へもサービスを積極的に展開し、
ビジネスを拡大していく計画だ。
れる予定。
短期間で確実に構築するため
クラウド基盤に Vblock を採用
クラウド コンピューティングを電子自治体の基盤として活用するため、総務省や各自治体が取
り組みを進めている自治体クラウド。これは自治体業務のコスト削減、業務の標準化、システ
ム共同利用を可能にするものとして、大きな期待が寄せられている。自治体にサービスを提供
している IT 企業にとっても、これは重要な動きだといえる。クラウド化は顧客である自治体に
メリットをもたらすだけではなく、自社のビジネスを大きく拡大するチャンスにもつながるか
らだ。
このような観点からクラウド化を積極的に進めつつあるのが、株式会社 鳥取県情報センターで
ある。同社は 40 年以上にわたり鳥取県庁や県内市町村を対象に、各種業務システムの構築や
運用、行政業務のサポートを行っている企業。地方公共団体の運営近代化と民間企業の経営合
理化に寄与するため、1969 年に財団法人として設立され、2009 年 4 月に株式会社となった。
2010 年 9 月には同社にとって初となるクラウド サービスを開始。そのクラウド基盤として
採用されているのが、Cisco Unified Computing System(UCS)と EMC のストレージ製品、
VMware の仮想化ソフトウェアを組み合わせた「Vblock」なのである。
「私どもは長年にわたって行政システムの支援を行ってきましたが、これをクラウド化するこ
とで自治体の負担は大幅に軽減されると考えています」というのは、株式会社 鳥取県情報セン
ター 代表取締役社長の谷口 真澄氏。ネットワーク経由で サービスとして IT を活用すること
で、機器導入に必要なコストが縮減され、業務の全体最適化も可能になるからだ。株式会社 鳥
取県情報センター 運用サービス部 副部長 兒島 誠氏は「クラウド化はサーバ提供までの時間短
縮にも効果があります」と指摘。以前は新しいサーバを立ち上げるのに約 1 ヶ月必要だったが、
クラウド環境であれば最短 1 時間のサーバ立ち上げも不可能ではないはずだという。
「このインフラは自治体クラウドとして最先
端であると自負しています。今後はこれを
積極的に展開することで、ビジネス拡大を
目指していきます」
クラウド サービスの検討が始まったのは、株式会社化が行われた 2009 年春頃。ちょうどこの
頃に鳥取県でも「システム全体最適化委員会」立ち上がり、クラウド化に向けた両者の方向性
が一致したという。2010 年 3 月には「システム全体最適化委員会」の報告書が提出され、よ
り具体的な検討がスタート。2010 年 6 月には鳥取県から調達に関する公告が行われ、その翌
株式会社
月には Vblock を採用した、鳥取県情報センターの提案が提出されている。
代表取締役社長
しかし「クラウド化の目的は県内サービスの効率化だけではありません」と説明するのは、株
鳥取県情報センター
谷口 真澄 氏
式会社 鳥取県情報センター 営業企画部 部長の奥田 敏行氏だ。県外へとサービスを拡大するこ
とも、重要な目的の 1 つなのだという。鳥取県内だけでは市場の大きさが限られてしまい、ビ
ジネスの拡大余地も制約されてしまうからである。県外に対して競争力の高いサービスを提供
していくには、より一層のコスト低減と、柔軟性の向上を実現しなければならない。これを可
能にするのがクラウド化なのだ。
「今後売上を増やしていくには、新たな市場を開拓する必要があります」と谷口氏。「クラウド
「競争力の高いサービスを提供していくに
は、より一層のコスト低減と、柔軟性の向
上を実現しなければなりません。これを可
能にするのがクラウド化です」
株式会社
鳥取県情報センター
営業企画部
部長
奥田 敏行 氏
はそのための手段でもあるのです」
ネットワーク重視のコンセプトと
シスコの技術コンサルティングを高く評価
クラウド サービス検討の初期段階では、シスコ製品の採用は考えていなかったと兒島氏は振り
返る。シスコ製品 が検討対象として視野に入ってきたのは 2010 年春頃。この時期に 3 社か
ら導入機器の提案を受けていたが、そのうちの 1 社の提案に Cisco UCS が含まれていたのだ。
それではなぜ最終的に Vblock の採用が決まったのか。その最大の理由として挙げられている
のが、充実した技術コンサルティングの存在である。
「運用支援までの提案が含まれていたのはシスコだけでした」と兒島氏。また Vblock はシスコ
と EMC、ヴイエムウェアが緊密に連携して提供しているため、仮に問題が発生してもシスコ
を窓口に、迅速な対応が可能な点も評価されたという。「私どもはクラウド構築の経験がない上、
今回は非常に短期間でシステムを作り上げる必要がありました。そのため信頼性の高いベンダー
を選択する必要があったのです」
鳥取県情報センターがシスコを「信頼性の高いベンダー」であると評価した背景としては、こ
れまでの両社の関係も見逃せない。実は鳥取県情報センターは、2000 年に「鳥取情報ハイウェ
イ」を構築した時からシスコと付き合いがあり、
10 年以上にわたって SMARTnet というサポー
トサービス プログラムを契約し続けているのだ。SMARTnet とは、利用者側にある程度のスキ
ルがあることを前提に、リーズナブルな価格で提供されるサポートサービス。ハードウェアと
システム ソフトウェアのサポート、Web による技術情報の提供、障害発生時の復旧支援とハー
ドウェア代替品の発送等が含まれている。
また 2009 年 12 月から 2010 年 2 月にかけてこの鳥取情報ハイウェイの拡張(ATM + 1G
イーサネットだった構成を 20G 化)を行った際にも、鳥取県情報センターはシスコのサービ
スを積極的に活用している。SMARTnet に加えシスコ アドバンスド サービスも採用、さらに
シスコのアカウントチームも加わり、ネットワークの構築と運用支援が行われたのだ。
「エンジニアの知識レベルは非常に高く、様々なことを教えてもらいました」と兒島氏。奥田氏
も「鳥取情報ハイウェイは鳥取県が IT 立県になるための基盤ですが、これを適切に構築・運用
できたのは、シスコのサポートに負うところが大きいと感じています」という。
これに加え、ネットワークの性能や機能が他社製品に比べて優れていた点も、採用理由の 1 つ
だったと兒島氏はいう。特に仮想サーバ毎の仮想リンクで QoS や ACL (Access Control List)
が利用できるのは、サービスの全国展開を行う際に大きな利点になると説明する。「ほとんどの
ベンダーはサーバをクラウドの土台に位置付けていますが、本当に重要なのはネットワークで
す。ネットワークをプラットフォームとするシスコのコンセプトは、他のベンダーに比べて将
来性が高いと感じました」
「短期間で確実にクラウド サービスを実現
するため Vblock を選びました。ネットワー
クを重視したコンセプトにも将来性を感じ
ています」
運用管理の負担を大幅に軽減
グリーン IT 実現にも期待
Vblock の採用を盛り込んだ鳥取県情報センターの提案が、鳥取県側に提示されたのは 2010
株式会社
年 7 月 9 日。7 月 13 日には提案採用が決定、7 月 28 日に契約が締結されている。そしてそ
副部長
だろう。
鳥取県情報センター
運用サービス部
兒島 誠 氏
のわずか 1 ヶ月後の 9 月 1 日にはクラウド環境の稼働を開始。驚異的な短期導入だといえる
クラウド基盤のシステム構成は図に示す通り。Cisco UCS 6120(ファブリック インターコ
ネクト)× 2、Cisco UCS 5108(ブレード シャーシ)× 2 が導入され、この中に 10 台の
Cisco UCS B200 M2(ブレード サーバ)が格納されている。Cisco UCS 6120 は Cisco
MDS 9148 経由で EMC Celerra NS-120(ユニファイド ストレージ システム)と接続され
ている。また Cisco Catalyst 4500 シリーズを介して鳥取県情報センターのコア スイッチに
つながっている。設置場所としては災害時でも運用継続できるように、強固な電源システム
を持つ NTT 局舎のデータセンターを選択。2011 年 3 月現在、電子調達システムや対外的な
Web サーバ等、鳥取県のサーバ 86 台が VMware で仮想化され、このクラウド基盤上で稼働
している。
クラウド化によってサービス開始時の負担は大幅に軽減された。新たなサーバを立ち上げる時
に、物理サーバの設置やネットワーク等の配線が不要になったからだ。「以前はサーバの置き場
所や電源確保方法などにも配慮しなければならなかったのですが、クラウド環境ではこのよう
な悩みすべてから解放されています」と兒島氏。またデータ バックアップ等のルーチンワーク
データセンターに設置されている Vblock 。ブレード シャーシ
は 2 セット導入されており、合計で 10 台のブレード サーバ
が格納されている。
もほとんどなくなり、システム監視も一元化できるため、オペレータが行うべき作業も削減さ
れている。コスト削減効果はまだ定量化できていないが、同じ台数のサーバを物理的に運用す
鳥取県情報センター 県庁データセンター
鳥取県庁
Cisco Catalyst
4500シリーズ
インターネット
DMZ
FireWall
鳥取県情報ハイウェイ
鳥取県情報センター クラウドセンター
Cisco Catalyst
4500シリーズ
ネットワークコンポーネント:
­ C4507E(2 x Sup6-E / 6 x 10G / 48 x 1G)
­ 2 x UCS 6120 (8G FC Module)
C4K
8GFC
Cisco MDS9148
10GB
ブレードサーバ(B200M2) :
­ 10 x B200M2 (2.93GHz x 2 / 48GB Mem / VIC)
­ vSphere4.1 ESX(or ESXi) /w Nexus 1000V
­ PowerPath /VE
ストレージ: EMC Celerra NS-120
­ 16TB FC HDD / 20TB SATA II HDD
­ 2 x 8G FC I/F(FC-SAN), 4 x 1G I/F(CIFS)
Cisco UCS 6120
Cisco UCS B200
GbE
UCSシャーシ:
­ 2 x UCS 5108(2 x IOM / 8 x 10G SFP+ Cable)
Cisco UCS B200
Celerra NS-120
るのに比べ、30 ∼ 40 %は削減できるはずだという。
株式会社 鳥取県情報センター
グリーン IT 実現への期待も高い。鳥取県の試算によれば、クラウド化によってエネルギー消費
を 90 %削減できるという。鳥取県では 2015 年までに 200 以上のシステムを Vblock 上に
載せていく計画だが、これによって年間 1200 万円以上の電気料金が節減され、温室効果ガス
排出量も年間 721 トン削減できる見込みだ。
さらに奥田氏は「仮想化によって SLA 契約への道も拓けました」という。SLA 契約の導入は
総務省が「公共 IT におけるアウトソーシングに関するガイドライン」に盛り込んでおり、自治
体からの要求も高い。しかし物理サーバによるサービス提供では対応が難しかった。「経済産業
省が提示している SLA ガイドラインに基づいた稼働率計算なども、仮想環境なら比較的簡単に
行えます。HA(High Availability)構成が必要なサービスも、専用のバックアップ サーバを用
意する必要がないので低コストで実現できます」
所在地
鳥取県鳥取市寺町 50 番地 NTT 寺町ビル 6 階
設立
2008 年 12 月(2009 年 4 月開業)
資本金
なお今回の Vblock の導入でも、シスコのサービスは重要な役割を果たしている。SMARTnet
に加え、シスコ アドバンスド サービスによる運用支援も行われているのだ。これによって問
題発生時の解決を迅速化。わずか 3 時間で原因を究明し、その後 10 分で対処したケースもあ
8,000 万円
るという。また各種トレーニングも運用支援の一環として行われている。鳥取県情報センター
従業員数
はこのサービスによってクラウド運用に必要なすべてのスキルを、クラウド サービスの運用に
75 名
関わるすべてのスタッフが身につけることを目指しているという。
1969 年に財 団 法人として設 立。以後
40 年以上にわたり、鳥取県や県内市町
村を対象にした行政業務のサポートや情
報システムの計画・立案・導入・運用管
理、鳥取情報ハイウェイのサポートを行っ
ている。2009 年 4 月に株式会社化し、
2010 年 9 月にクラウド サービスを開始。
最先端のクラウド インフラによって
県外へも積極的にビジネスを拡大
鳥取県は今後、部署毎の個別システムを中心にクラウド化を進めていく計画だ。すでに述べた
通り 2015 年までに、200 以上のシステムが Vblock 上に移行することになっている。鳥取県
今後は鳥取県内だけではなく、クラウド
内の市町村システムをクラウド化する取り組みも始まっている。今年度(2010 年度)中には
基盤を活用した県外向けサービスの展開
1 システムが Vblock 上に移行することが決まっており、2011 年度には数団体のシステムが
も計画されている。
クラウド化される予定になっている。
県外へのサービス提供も推進していく。Vblock でクラウド基盤を確立したことで運用負担が
大幅に抑制されたため、システム規模がある程度まで拡大しても、増員することなく対応可能
だと兒島氏はいう。鳥取県情報センターのクラウド化事例は 2010 年秋に行われた「都道府県
CIO フォーラム」でも報告されたが、すでに他県からいくつかの問い合わせが来ているという。
「このインフラは自治体クラウドとして最先端であると自負しています」と谷口氏。今後はこれ
を積極的に展開することで、ビジネス拡大を目指していくという。「そのためには社員のさらな
る能力向上が欠かせません。シスコにはこれからもご支援をお願いしたいと考えています」
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(0809R)
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