Chapter 15 Cisco Unified MeetingPlace Express

C H A P T E R
15
Cisco Unified MeetingPlace Express
Cisco Unified MeetingPlace Express 2.0 は音声、ビデオ、および Web コラボレーションに使用される
リッチメディア アプライアンスです。この章では、Cisco Unified MeetingPlace Express
(Unified MPE)を Cisco Unified Communications 環境に統合する場合のシステム レベルでの設計に関
する考慮事項について説明します。製品に関する詳細については、次から入手可能な Cisco Unified
MeetingPlace Express の製品マニュアルを参照してください。
http://www.cisco.com
この章の新規情報
表 15-1 に、この章に新しく追加されたトピック、またはこのマニュアルの以前のリリースから大幅に
改訂されたトピックの一覧を示します。
表 15-1
新規情報、またはこのマニュアルの以前のリリースからの変更情報
新規トピックまたは改訂されたトピック
キャパシティとサイズ選定情報
説明箇所
「容量とサイズ設定」(P.15-15)
Segmented Meeting Access(SMA)オプション 「セグメント化会議アクセス オプション」
を使用した Unified MPE の導入
(P.15-9)
サポートされるプロトコル
「サポートされるプロトコル」(P.15-3)
概要
Cisco Unified MeetingPlace Express(Unified MPE)は中規模市場から小規模企業を対象とした音声、
ビデオ、および Web 会議ソリューションです。ソリューションでは H.323 や Session Initiation
Protocol(SIP; セッション イニシエーション プロトコル)などの一般的な業界プロトコルを採用して
おり、ネットワーク上の多様なデバイスとの相互運用性を保証します。Unified MPE では、予約済み
および予約なしの音声、ビデオ、および Web 会議がサポートされます。音声、ビデオ、および Web 会
議は Unified MPE システム固有のソフトウェア制御のミキシング機能によってミキシングされます。
ビデオ ミキシング機能は Cisco Unified Videoconferencing MCU 3500 システムを使用せず、システム
に搭載された高度ビデオ ソリューションに統合できません。Unified MPE システムでは、音声起動型
ビデオ切り替えなどの、基本的なビデオ会議機能のみがサポートされます。高度なビデオ会議機能が必
要な場合は、スタンドアロンの Cisco Unified Videoconferencing MCU 3500 または Cisco Unified
MeetingPlace システムを使用してください。
Cisco Unified Communication SRND (Cisco Unified Communications Manager 7.x)
OL-16394-04-J
15-1
第 15 章
Cisco Unified MeetingPlace Express
概要
Unified MPE Video Telephony(Unified MPE VT)は Unified MPE と同じテクノロジーを採用してい
ますが、異なる製品で、ad-hoc システムとしてのみ販売されています。Unified MPE VT は Cisco
Unified Communications Manager に登録できるビデオ会議メディア リソースとして配置され、ad-hoc
ビデオ会議機能を提供します。予約済み会議または予約なし会議はサポートされません。また、
Unified MPE に関連して導入することもできません。1 台の Cisco Media Convergence Server には、
Unified MPE または Unified MPE VT のいずれかをインストールできますが、両方を同時にインス
トールできません。
(注)
いずれも類似したテクノロジーに基づいていますが、Unified MPE と Unified MPE VT の設計基準は
一部異なります。たとえば、G.729 オーディオ コーデックは Unified MPE でサポートされますが、
Unified MPE VT ではサポートされません(この場合、Unified CM がトランスコーダを提供する必要
があります)。Unified MPE VT の詳細は、Unified MPE VT データシートを
http://www.cisco.com/en/US/products/ps6533/products_data_sheets_list.html で参照してください。
サポートされる会議機能
次のコール処理エージェントと統合すると、Unified MPE でさまざまな会議機能をサポートできます。
• Unified CM 4.1 以降と併用すると、予約済みおよび予約なしの音声、ビデオ、および Web 会議を
サポートします。
• Cisco Unified Communications Manager Express (Unified CME)と併用すると、予約済みおよび
予約なし音声会議および Web 会議がサポートされます。
• Survivable Remote Site Telephony(SRST)と併用すると、予約済みおよび予約なし音声会議およ
び Web 会議がサポートされます。
サポートされるビデオ
Unified MPE によって提供されるビデオ会議に参加する H.323、SIP、または Unified CM SCCP エン
ドポイントはすべて Mid-call video escalation 機能を備えている必要があります。ITU-T H.323 仕様ま
たは SIP RFC-3261 に準拠する業界標準ビデオ エンドポイントはすべて Unified MPE のビデオ セッ
ションに参加できます。また、さまざまな Unified CM リリースに対応した、ソニー、Tandberg、
Polycom などのサードパーティ製の SCCP エンドポイントも Unified MPE のビデオ会議に参加可能で
す。H.323 標準のエンドポイントは Cisco IOS Gatekeeper または Unified CM のいずれかに登録でき、
Unified MPE ダイアルイン番号に Unified MPE システムへのコール ルーティングを提供する必要があ
ります。
Unified MPE ビデオ セッションに参加するビデオ エンドポイントでは、次のビデオ属性がサポートさ
れる必要があります。
• Common Intermediate Format(CIF)に準拠した H.263 または H.264 ビデオ コーデック
• G.711 または G.729a オーディオ コーデック
• Mid-call video escalation(エンドポイントは初めに Unified MPE にダイアルインし、会議 ID を入
力します。ビデオ ポートが予約済みの場合に、ビデオが起動します)。
• RFC-2833、SIP KPML、または H.323 Out-of-Band DTMF サポート
Cisco Unified Communication SRND (Cisco Unified Communications Manager 7.x)
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第 15 章
Cisco Unified MeetingPlace Express
概要
• Unified MPE では H.263 および H.264 ビデオ コーデックがサポートされますが、ビデオ ストリー
ムのコーデックを別の種類にトランスコードできません。システム管理者は、ビデオ会議タイプご
とにビデオ コーデック設定を詳細に指定する必要があります。会議をスケジュールする担当者は、
利用可能な会議タイプをリストから選択します。Unified MPE Profiles ユーザには、ユーザ エクス
ペリエンスを制御する次の 3 つのレベルのいずれかが割り当てられます。
1. ビデオ会議への参加、ビデオ会議の開催、およびビデオ ポートの予約が可能
2. ビデオ会議への参加、ビデオ ポートが利用可能な場合(別の会議にスケジュールされてい
ない)のみビデオ会議の開催が可能
3. ビデオ会議への参加が可能
ビデオ会議に参加できるビット レートは 64 ~ 768 kbps です。設定上限を超過するビット レートの参
加者は会議に参加できません。参加者のビット レートが上限以下の場合は、システム全体のキャパシ
ティ プールに余裕ができ、ほかの参加者が利用できます。Unified MPE では、異なるコール スピード
をレート変換できません。したがって、確立されたビデオ セッションに使用されるビット レートは、
会議ごとに、参加している最も遅いビット レートに合わされます。
Unified MPE のビデオ会議では音声起動型ビデオ切り替えモードが使用されます。このモードでは、
参加者の中から声が最も大きく、長時間話している参加者を判断して会議の主要発言者を選択します。
発言中の参加者のビデオ ストリームは、会議に接続されたすべてのエンドポイントに送信され、前回
の発言者のビデオ ストリームは発言中の参加者に送信されます。会議中に条件が変わると、Unified
MPE は自動的に新しい主要な発言者を選択し、その参加者が表示されるようにビデオを切り替えます。
発言中の参加者(イメージ 1 つまたは 1x1 レイアウト)は Common Intermediate Format(CIF)のみ
を使用します。
サポートされるプロトコル
表 15-2 には Cisco Unified Communications 環境で Unified MPE によって使用される標準プロトコル
とトランスポートレイヤのポートが一覧表示されています。
表 15-2
Unified MPE によってサポートされるプロトコル
プロトコル
トランス
ポート
ポート
使用方法
SSH
TCP
22
セキュアなアクセス、音声会議イベント
RTMP
TCP
1935
Web 会議(オプション)
HTTP、
HTTPS
TCP
80, 443
SIP
UDP
5060
Web 管理、Web 会議、Cisco Unified Personal
Communicator、Microsoft Outlook1、HTTPS 経由で
AXL/SOAP を Unified CM に接続(ディレクトリ統合)
SIP
H.225
TCP
1720
H.323 で Unified CM またはゲートキーパーに接続
H.245
TCP
62000 ~
62999
H.323 で Unified CM またはゲートキーパーに接続
RTP
UDP
16384 ~
32767
音声パケット
RTP
UDP
20480 ~
24576
ビデオ パケット
NTP
UDP
123
ネットワーク タイム プロトコル2
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第 15 章
Cisco Unified MeetingPlace Express
配置モデル
表 15-2
Unified MPE によってサポートされるプロトコル (続き)
プロトコル
トランス
ポート
ポート
使用方法
SMTP
TCP
25
SNMP
UDP
161
E メール通知(サーバに発信)
SNMP
1. HTTP または HTTPS を使用して Unified MPE サーバと通信するプラグインによって Microsoft Outlook が統合さ
れます。
2. Unified MPE を使用して会議をスケジュールし、正確な時刻を記載した会議の通知を送信できるよう
Unified MPE は適切な NTP サーバに関連付けてください。
DTMF サポート
Unified MPE では次の標準 Dual Tone Multifrequency(DTMF)転送方法がサポートされます。
• H.323 の使用時、H.245 Alphanumeric および H.245 Signal DTMF 送信
• SIP 使用時の RFC2833 および KPML DTMF 送信
DTMF 送信に関する詳細は、「メディア リソース」(P.6-1)の章を参照してください。
配置モデル
ここでは、Unified MPE を次の Cisco Unified Communications 配置モデルと統合する場合の推奨設計
について説明します。
• 「単一サイト」(P.15-4)
• 「集中型コール処理を使用するマルチサイト WAN」(P.15-6)
• 「分散型コール処理を使用するマルチサイト WAN」(P.15-7)
• 「WAN を介したクラスタ化」(P.15-8)
次の配置モデルに加えて非武装地帯(DMZ)が含まれる配置についても説明します。DMZ が含まれ
る配置では、Segmented Meeting Access(SMA)を使用して実装します。上記に一覧表示された配置
モデルはそれぞれ SMA オプションをサポートします(「セグメント化会議アクセス オプション」
(P.15-9)を参照)。さまざまな配置モデルの設計ルールの詳細については、「Unified Communications
の配置モデル」(P.2-1)の章を参照してください。
単一サイト
単一サイトの配置では、すべてのコール処理および参加者はローカルです。このモデルでは、
Unified MPE から Unified CM に H.323 または SIP によって接続されます(図 15-1 を参照)。単一サ
イトの配置では、G.711 コーデックを使用することをお勧めします。これは、マルチサイト設置の場合
より帯域幅が重要ではないためです。H.323 ビデオ エンドポイントは Cisco IOS Gatekeeper または
Unified CM のいずれかに登録でき、Unified MPE ダイアルイン番号に Unified MPE システムへのコー
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第 15 章
Cisco Unified MeetingPlace Express
配置モデル
ル ルーティングを提供できます。Cisco Unified Videoconferencing 3500 Series Gateways を配置する
ことで、H.320 ビデオ クライアント(DTMF 送信の H.245 Alphanumeric または H.245 Signal をサ
ポート)がビデオ会議に参加できるようになります。
図 15-1
単一サイトの配置
M
M
M
V
M
MPE
IP
ISDN
191942
M
PSTN
Cisco Unified Communication SRND (Cisco Unified Communications Manager 7.x)
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第 15 章
Cisco Unified MeetingPlace Express
配置モデル
集中型コール処理を使用するマルチサイト WAN
集中型コール処理を使用するマルチサイト WAN 配置では通常、コール処理が発生する中央サイトに
Unified MPE サーバを配置します(図 15-2 を参照)。
図 15-2
集中型コール処理を使用するマルチサイト WAN 配置
ɶ‫ځ‬ǵǤȈ
ૅᅈ A
M
M
M
ISDN
M
M
IP
V
ૅᅈ B
V
PSTN
IP WAN
IP
IP
V
191943
MPE
リモート参加者はローカル参加者と異なり、通常次の事項を考慮する必要があります。
• G.711 mu-law および a-law コーデック サポートに加え、IP WAN 全体の最適な帯域幅を使用でき
るように Unified MPE ではネイディブで G.729a をサポートします。
• ネイティブ G.729a コーデックのサポートにはさまざまな Unified MPE システム リソースが必要で
す。単一の G.729a オーディオ コールには、システム キャパシティ プール全体から 5 SRU 消費し
ます。G.729a または G.711 以外のコーデックから G.711 コーデックへのトランスコーディングに
外部コード変換リソースを配置すると、Unified MPE のスケーラビリティが向上します。ビデオ
会議は外部トランスコーディング リソースとの互換性がないため、外部トランスコーディング リ
ソースは音声会議でのみ使用してください。
• Web コラボレーションにはプロビジョニングが必要な大幅な帯域幅を要します (「Web アプリケー
ションと画面の共有に関する帯域幅の考慮事項」(P.15-10)を参照)。
• 通常のオペレーションでは、遠隔地のオフィスから送信されるすべての音声、ビデオおよび Web
トラフィックは、IP WAN 経由で送信され、中央サイトの Unified MPE で終端します。
Unified CM フォールバック モードでは、会議に参加するにはリモート エンドポイントから PSTN
経由で音声トラフィックが、中央サイトに設置された Unified MPE に送信されます。Unified CM
フォールバック モードで動作しているエンドポイントに対してビデオ会議はサポートされません。
• 既存の Cisco Unified Communications と同一の QoS およびコール アドミッション制御メカニズム
が必要です。コール アドミッション制御を目的とする場合、中央サイトで Unified MPE をテレ
フォニー ゲートウェイとして扱います。
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第 15 章
Cisco Unified MeetingPlace Express
配置モデル
分散型コール処理を使用するマルチサイト WAN
分散型コール処理を使用したマルチサイト WAN 配置では通常、Unified MPE は、Unified CM のロー
カル サイトに配置されます。図 15-3 では、分散型コール処理を使用したマルチサイト WAN 配置の例
を挙げます。
図 15-3
分散型コール処理を使用したマルチサイト WAN 配置
ૅᅈ A
M
M
M
ɶ‫ځ‬ǵǤȈ
M
M
ࠥ࡯࠻ࠠ࡯ࡄ࡯
MPE
M
M
M
ISDN
M
V
M
IP
ૅᅈ B
PSTN
M
V
M
M
M
IP WAN
IP
V
M
MPE
IP
191944
MPE
分散型コール処理モデルの各サイトは、次のいずれかになります。
• 独自のコール処理エージェントを使用する単一サイト
• 集中型コール処理サイトとそれに関連したすべてのリモート サイト
• Voice over IP(VoIP)ゲートウェイを備えたレガシー PBX
これまでに説明した 2 種類のコール処理モデルの設計考慮事項は、分散型コール処理マルチサイト
WAN 配置にも適用できます。
Unified MPE は単一のサーバで、カスケード化またはミラーリングされておらず冗長性機能を備えて
いません。したがって、一般的に単一サイトの単一の稼動中サーバが使用されます。Unified MPE
サーバ間で通信することはありません(たとえば、図 15-3 のように中央サイトに設置された
Unified MPE サーバとの支社 A に設置されたサーバ間での通信)。
支社サイトのコール処理エージェント(たとえば、図 15-3 の支社 B)は中央サイトの Unified MPE に
直接コールをルーティングできます。これを実行するには中央サイトの Unified MPE を指す H.323
ゲートウェイまたは SIP トランクを支社コール処理に定義します。できるだけ複数のコール処理エー
ジェントが同一の Unified MPE を指さないようにしてください。支社 B に設置された Unified CM か
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15-7
第 15 章
Cisco Unified MeetingPlace Express
配置モデル
ら中央サイトの Unified MPE にコールをルーティングするには、最初に中央サイトの Unified CM に
コールをルーティングし、中央サイトの Unified CM によってコールが Unified MPE に転送されるよ
うに配置してください。コール アドミッション制御は中央サイトのコール処理エージェントまたはク
ラスタ間コール処理の役割を果たすゲートキーパーによって実行されます。
WAN を介したクラスタ化
WAN を介したクラスタ化を使用した配置では、Unified CM クラスタは 1 つ以上のロケーションで分
割されます。クラスタは大容量、高速の WAN または MAN リンクによって分割されます (図 15-4 を
参照)。このコール処理モデルでは、すべての優先 Intra-Cluster Communication Signaling(ICCS)ト
ラフィックは任意の 2 つの Unified CM 6.0 サーバ間について、片方向の最大遅延の合計ラウンドト
リップ時間(RTT)が 40 ms 以下でなければなりません。また、Unified CM 6.1 以降のリリースでは
80 ms RTT 以下でなければなりません。
(注)
WAN 経由のクラスタ化には、RTT 要件に加えて、帯域幅に厳しい要件があります。詳細については、
「IP WAN を介したクラスタ化」(P.2-23)を参照してください。
図 15-4
WAN を介したクラスタ化
ɶ‫ځ‬ǵǤȈ
ૅᅈ
M
M
M
M
M
MPE
V
V
IP
191945
IP
Unified MPE にはサーバ間の冗長性機能がないので、このコール処理モデルに備えられている高可用
性を十分に活用できません。
このモデルに関する Unified MPE の設置および設計の考慮事項は、「分散型コール処理を使用するマル
チサイト WAN」(P.15-7)で説明されている従来の設置モデルと同じです。
マルチサイトの冗長性を付加し、分散型コラボレーション システムを構築するには、Cisco Unified
MeetingPlace の配置も検討してください。詳細については、「Cisco Unified MeetingPlace」(P.14-1)
の章を参照してください。
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第 15 章
Cisco Unified MeetingPlace Express
配置モデル
セグメント化会議アクセス オプション
Unified MPE を非武装地帯(DMZ)に配置すると、外部ユーザ(プライベート ネットワーク外部の
ユーザ)が Unified MPE の会議に参加できるようになります。また、プライベート ネットワーク上に
音声、ビデオ、およびプライベート会議を維持したまま外部ユーザがインターネット経由で会議に参加
できるようになります。これをセグメント化会議アクセス(SMA)と言います。この設置オプション
では、プライベート Web 会議および公開 Web 会議を区別して、音声、ビデオ、および Web 会議の配
置に安全性を確保します。ほとんどのお客様シナリオに強く推奨されるアプローチで、この章で既に説
明した任意の設置モデルにも適用できます。
SMA 設計には 2 台のサーバが必要です。1 台は、内部ネットワーク上に設置する Unified MPE サーバ
で、もう 1 台は、公開会議に使用する DMZ 内の Unified MPE Web サーバです。図 15-5 に標準的な
SMA 配置図を示します。
図 15-5
デュアルサーバ DMZ 配置
ɶ‫ځ‬ǵǤȈ
M
M
M
ISDN
M
M
V
MPE
PSTN
DMZ
MPE
DMZ
Web
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IP
191947
‫ٳ‬ᢿӋьᎍ
プライベート会議(音声、ビデオ、および Web)はすべて内部 Unified MPE サーバでホストされます。
このサーバは内部ネットワーク上に存在しますが、DMZ にはありません。内部参加者は、プライベー
ト会議と公開会議のいずれもスケジュールできますが、外部参加者は公開会議に参加のみできます。公
開会議の場合、Web および音声ストリームが内部参加者から内部 Unified MPE サーバに送信されます
が、外部参加者からは、Web トラフィックがインターネット経由で DMZ 内部の Unified MPE Web
サーバ に送信されます。外部ユーザの音声ストリームは、内部ネットワーク上の音声ゲートウェイを
介して内部 Unified MPE サーバ に接続されます。公開 Web コラボレーションの場合、会議は 2 つの
Unified MPE Web インスタンスによってホストされます。1 つは内部ネットワーク上の内部
Unified MPE サーバで実行され、もう 1 つは DMZ 上の Unified MPE Web サーバで実行されます。
Unified MPE DMZ Web サーバ上の Web コンポーネントは内部 Unified MPE サーバの統合された Web
コンポーネントと Web 会議情報を TCP ポート 1935 経由で Real Time Messaging Protocol(RTMP)
を使用して共有します。TCP ポート 1935 を使用して接続を確立できない場合は、TCP ポート 443
(HTTPS)を使用して接続を試みます。HTTPS 経由で接続を確立できない場合は、TCP ポート 80 を
使用して接続を試みます。これにより、RTMP が HTTP 内部でトンネリングされます。内部
Unified MPE サーバによって音声会議イベントも SSH プロトコルを使用して外部 Unified MPE Web
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15-9
第 15 章
Cisco Unified MeetingPlace Express
コール アドミッション制御、帯域幅、および QoS
サーバに送信されます(TCP ポート 22)。2 つのサーバ間で通信するため、内部ファイアウォールの
Web ポート(TCP 1935、443、または 80)と音声ポート(TCP 22)のいずれも開放している必要があ
ります。Web ユーザ ライセンス(UL)は内部 Unified MPE サーバと Unified MPE DMZ Web サーバ
で共有されています。
次のポートを内部企業ファイアウォールで開いてください。開いていない場合は、内部 Unified MPE
サーバと Unified MPE DMZ Web サーバ間の通信がブロックされます。
• Web 会議の場合、TCP ポート 1935、80、または 443 のいずれか。
• 音声会議イベントをリレーするには、内部ネットワーク上のサーバから TCP ポート 22 経由で
Secure Shell(SSH)を使用してアクセスする必要があります。また、Cisco Technical Assistance
Center(TAC)では、Unified MPE を適切にサポートするため、SSH によるアクセスが必要な場
合があります。
このデュアルサーバを使用した SMA 配置オプションにはシステムのスケーラビリティを向上する別の
方法があります。この場合、2 台目の Unified MPE DMZ Web サーバ を、Web 会議すべてをホストす
るように設計します。この場合、DMZ 要件に従うことなく、Unified MPE を配置できます。2 台目の
Web のみのサーバは、プライベート Web 会議には内部(DMZ ではない内部ネットワーク上)に配置
し、外部参加者を公開 Web 会議に参加できるようにする場合、DMZ 上に配置します。このように配置
することで、内部 Unified MPE サーバはシステム リソースをすべて音声およびビデオ 会議に割り当て
ることができるようになります。この配置では、内部 Unified MPE サーバによって音声会議とビデオ
会議の要求のみがサービスされるので、G.729a コーデック会議および高帯域幅ビデオ会議のキャパシ
ティを向上できます。内部参加者はプライベート会議と公開会議のいずれの場合も Web 会議すべてで
常に Web トラフィックを 2 台目の Web サーバに送信します。この配置はお客様の用途に応じて特定の
高キャパシティが要求される場合にのみ使用してください。通常の配置で使用することはお勧めしませ
ん。MCS モデルと関連するキャパシティの完全な一覧は Unified MPE 2.0 データシートを次からダウ
ンロードしてください。
http://www.cisco.com/en/US/products/ps6533/products_data_sheets_list.html
コール アドミッション制御、帯域幅、および QoS
ここでは、Unified MPE 配置のコール アドミッション制御、帯域幅、および QoS に関する重要な考慮
事項について説明します。
コール アドミッション制御
Unified MPE は、コール アドミッション制御を目的として使用する場合、テレフォニー ゲートウェイ
として扱います。Unified CM は Unified MPE によってホストされる音声およびビデオ会議で、静的ロ
ケーション コール アドミッション制御および RSVP 対応ロケーション アドミッション制御を実行でき
ます。コール アドミッション制御の詳しい説明については、「コール アドミッション制御」(P.9-1)の
章を参照してください。
Web アプリケーションと画面の共有に関する帯域幅の考慮事項
ユーザの共有するコンテンツに応じて画面の共有には多くの帯域幅が消費されます。多くの色調、写真
が含まれるコンテンツなどは多くの帯域幅を必要とします。メディア イメージ、写真、または高解像
度画像を共有すると、ネットワーク帯域幅に多くのキャパシティが必要になります。増加した帯域幅と
画面共有の持つバースト性を考慮して次の事項を検討する必要があります。
Cisco Unified Communication SRND (Cisco Unified Communications Manager 7.x)
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第 15 章
Cisco Unified MeetingPlace Express
コール アドミッション制御、帯域幅、および QoS
設計上の考慮事項
100 Mbps の LAN 接続を使用すると、同時に実行できる Web コラボレーション セッション数が制限さ
れます。可能な限り、1 Gbps の 2 つのスイッチポートを使用してください。
リモート サイトにいるユーザが WAN 経由で Web コラボレーションを実施する場合は、特別の考慮が
必要になります。このようなユーザ用のクライアント フラッシュ セッション帯域幅または余剰帯域幅
の設定値を下げて、WAN 上の負荷を減らす必要があります。Web コラボレーション データはユニ
キャストで配信されるため、最大データ バーストにリモート サイトのクライアント数を掛ける必要が
あります。たとえば、100 人のユーザがリモート サイトを利用しており、そのうちの 10 人が同時に
Web コラボレーションを実施しているとします。リモート サーバからユーザに送信されるバースト
データが 1.5 Mbps の場合、WAN 上のバーストは 15 Mbps になります。
過剰な Web コラボレーション データまたはその他のソースによって WAN リンクが輻輳すると、パ
ケット損失、再送信、および遅延の増大が原因ですべてのトラフィックが低下します。輻輳が持続すれ
ば、すべてのリモート コラボレーション セッションに悪影響が及びます。
クライアントの Web コラボレーション セッションに関する次の設定によって、参加者がデータを受信
する速度だけでなく、プレゼンターがデータを送信する速度が制御されます。
• Modem : 帯域幅の上限を 28 kbps に設定
• DSL : 帯域幅の上限を 250 kbps に設定
• LAN : 帯域幅の上限を 1,500 kbps に設定
高解像度の画像または写真が共有された場合は、1,500 kbps 以上の帯域幅バーストに対応できます。複
雑さが標準以上のプレゼンテーションまたはドキュメントを共有する場合は、サイズの大きな複雑なイ
メージが埋め込まれていない限り、1,500 kbps を超えるバーストを発生させないでください。輻輳が
発生しても帯域幅設定値が自動的に調整されないため、手動で調整する必要があります。帯域幅のデ
フォルト値は LAN に基づきます。したがって、コラボレーション セッションの初期化時に設定してく
ださい。以前の設定に関係なく、新しいセッションは LAN に設定されます。
帯域幅の設定は、Web コラボレーション クライアント画面の次のロケーションで変更できます。
• 接続速度
– Unified MPE から各ユーザに配信されるデータの速度を制御します。
– プレゼンターから Unified MPE データが送信されるデータの速度を制御します。
– プレゼンターのデータ送信速度は参加者がデータを受信するレートを制御しません。
• 余剰帯域幅の最適化
– ユーザすべてにデータが送信されるレートを制御します。
– 現在、WAN 帯域幅の利用に影響を及ぼす可能性があるデータ バーストの問題が発生していま
す。
(注)
プレゼンターと参加者のクライアント Web インターフェイスにある My Connection Speed 設定は独立
しています。プレゼンターのデータ送信速度は参加者がデータを受信するレートを制御しません。プレ
ゼンターから Unified MPE へのデータ速度がモデム速度(28 kbps)に設定され、参加者のデータ受信
速度が LAN の速度(1,500 kbps)に設定されている場合、参加者のデータ受信速度は最大 1,500 kbps
です。
Cisco Unified Communication SRND (Cisco Unified Communications Manager 7.x)
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15-11
第 15 章
Cisco Unified MeetingPlace Express
コール アドミッション制御、帯域幅、および QoS
(注)
Optimize Room Bandwidth 設定はユーザに送信されるレートを低減しますが、依然データの配信に
よってバーストが発生する可能性があり、WAN リンクを輻輳します。参加者のクライアントで My
Connection Speed を変更すると、バーストを抑制し、データを安定したレートでクライアントに配信
できます。Optimize Room Bandwidth 設定のバーストに関する問題は今後のリリースで対応される予
定です。
イメージごとのビット数を制限すると、クライアントの解像度設定も使用帯域幅に影響します。
640x480 ピクセルに設定された会議室では通常、1280x1024 ピクセルに設定された場合に比べて 3 分
の 1 以下のトラフィックが生成されます。
推奨設計のまとめ
• Unified MPE の両方のインターフェイスを 1 Gbps で LAN に接続します。
• リモート ユーザが参加する会議では、リモート ユーザは My Connection Speed を DSL に設定し
ます。輻輳が発生した場合、設定を Modem に下げるか、画像の解像度を下げます。
QoS
パケット損失、遅延、および遅延変動などの品質低下を最小限に抑えるため、Quality of Service
(QoS)をネットワークに実装してください。これにより、会議中の高いユーザ エクスペリエンスを得
ることができます。Unified MPE ではトラフィックのマーキングと分類に Differentiated Services
Code Point (DSCP)メカニズムを採用しています。
Unified MPE から送信されるトラフィックは次の通り分類またはマーキングされます。
• SIP、H.323、および呼制御:マーキングなし
• 音声メディア(RTP):EF としてマーキング(Unified MPE で変更可能)
• ビデオ メディア(RTP):AF41 としてマーキング(Unified MPE で変更可能)
• Web トラフィック(HTTP および HTTPS):マーキングなし
• Flash Web コラボレーション(RTMP):マーキングなし
音声および呼制御トラフィック
音声および呼制御トラフィックは標準的に分類してください。詳しくは、「ネットワーク インフラスト
ラクチャ」(P.3-1)の章を参照してください。Unified MPE とコール処理エージェントの接続が WAN
接続を経由する場合、呼制御トラフィックのマーキングを CS3(DSCP 24)に変更します。
Web インターフェイス トラフィック
主要 Web に推奨される優先順位はありません。Unified MPE に送信される Web トラフィックは他の内
部 Web アプリケーション サーバのトラフィックと同様に扱います。
Flash Web コラボレーション トラフィック
大量の帯域幅が消費され、前の章で説明したようにデータにはバースト性があるので、WAN 全体で
Web コラボレーション トラフィックを優先することはお勧めしません。Web コラボレーション トラ
フィックを優先する場合は、他の優先データとは異なる下位の分類を割り当てます。
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第 15 章
Cisco Unified MeetingPlace Express
Unified CM 経由の外部ディレクトリ統合
Unified CM 経由の外部ディレクトリ統合
Unified CM 経由で Unified MPE を外部ディレクトリと統合すると、次の 2 つの機能が主に利用できる
ようになります。
• Unified MPE での自動プロファイル作成
• サードパーティ製ディレクトリを使用した外部認証
Unified MPE が Unified CM に統合されると(外部 LDAP を使用して統合)、ユーザが初めて
Unified MPE にログインする際、ユーザ プロファイルが自動的に作成されます。ユーザはこのプロ
ファイルを使用してその場で会議をスケジュールしてシステムを使用できます。
Unified MPE にログインするには、ユーザは正しいユーザ ID とパスワードのプロファイルが
Unified MPE でネイティブに設定されている必要があります。あるいは、ユーザは Unified CM が統合
されている企業外部ディレクトリで認証されている必要があります。
Cisco Unified CM 3.3 以降のリリースおよび、4.x の外部 LDAP ディレクトリとの正常な統合には、
Unified CM LDAP プラグインのアプリケーションが必要ですが、Unified CM 5.x、6.x、および 7.x で
は外部 LDAP システムに対するスキーマの変更は不要です。Unified MPE では、Unified CM でサポー
トされている外部 LDAP システムおよびバージョンのみがサポートされます。Unified MPE は Cisco
AVVID XML Layer(AXL)Simple Object Access Protocol(SOAP)を使用して Unified CM 5.x、
6.x、および 7.x と統合されます。Unified MPE では LDAP を直接使用して企業外部ディレクトリと統
合できません。
(注)
LDAP 統合は Cisco Unified Communications Manager Express(Unified CME)、音声ゲートウェイ、
または SIP システムではサポートされません。
詳細については、『Administrator's Configuration and Maintenance Guide for Cisco MeetingPlace
Express』を次から参照してください。
http://www.cisco.com
H.323 および SIP を使用した Unified CM との統合
Unified CM との統合には複数の方法があります。ここでは、そのうちの H.323 および SIP 直接統合を
使用した 2 つの方法を解説します。3 つ目の方法については、(H.323 経由のゲートキーパー)次のセ
クションで説明します。
Unified MPE システムは、IP ゲートウェイ ソフトウェアを搭載しており、標準ベースの H.323 および
SIP システムと統合できます。ただし、これらのシステムの統合ポイントには Unified CM が頻繁に使
用されます。Unified CM と統合すると、Unified MPE でホストされる会議のダイヤル プラン解決、通
話料金詐欺の防止、および、コール アドミッション制御を実行できるようになります。これにより、
Unified MPE システムの構成を変更することなく任意の呼制御システムから Unified MPE に着信コー
ルを送信できるようになります (音声ユーザ ライセンスが適用されるまで Unified MPE によって受信
はブロックされません。ライセンスが適用されると、発信者にはビジー トーンが発信されます)。
H.323 または SIP ゲートウェイ(同時は不可)への発信ダイヤル要求に必要なのは Unified MPE の
「outdial」設定のみです。Unified MPE には通話料金詐欺の防止やルーティングなどを提供する機能が
搭載されていないため、発信ダイヤル コールはこれらの機能があるコール処理システムを使用して解
決します。
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第 15 章
Cisco Unified MeetingPlace Express
ゲートキーパーの統合
Unified MPE 音声システムおよびビデオ システムにダイヤルインできる番号は最大 4 つパブリッシュ
できます。パブリッシュされた番号は通知テンプレートで自動的に利用できるようになります。番号に
は次のタイプがあります。
• フリー ダイヤル(例:800-XXX-XXXX)
• DID または Direct CO(例:408-XXX-XXXX)国際通話の場合)
• ローカルの 3 桁、4 桁、または 5 桁の内部番号(例:4000)
• プライベート ネットワーク ダイヤル プラン(例:774-4000)
H.323 ゲートウェイ
最も手軽に統合するには Unified MPE を Unified CM で H.323 ゲートウェイとして定義します。この
方法を実行する場合、管理者は Unified CM で Unified MPE システムにコールをルーティングする定
義済みの H.323 ゲートウェイを使用する 1 つ以上のルート パターンも設定します。
SIP トランク
Unified MPE を SIP 接続経由で Unified CM に統合するには、SIP トランクを Unified CM から
Unified MPE に直接設定できます。この統合には次の設計ルールが適用されます。
• SIP トランクから Unified MPE に個別の SIP セキュリティ プロファイルを作成して関連付ける必
要があります。セキュリティ プロファイルではトランスポートを UDP に設定します。デフォルト
では TCP が設定されていますが、Unified MPE では利用できません。
• SIP トランクには Unified MPE で SIP アーリーオファーと SIP ディレイドオファーの両方がサ
ポートされているため、MTP は不要です。SIP トランクの MTP Required オプションのチェック
ボックスはオンにしないでください。
• 関連メディア リソース グループ リストで MTP が利用可能であることを確認します。一部のエン
ドポイントでは Unified MPE へのコールが完了すると動的に MTP を呼び出すことができます。
(注)
任意のビデオ セッションで Cisco Unified Personal Communicator を使用する場合は、SIP トランクを
Unified CM と統合することをお勧めします。
ゲートキーパーの統合
Unified MPE は、ここで紹介する設計の考慮事項に従ってゲートキーパー環境に統合することができ
ます。ゲートキーパーの登録方法は、単一の E.164 アドレスを使用してゲートウェイとして行います。
Unified MPE のビデオ会議では常にオーディオのみのセッションとして開始され、システムによって
ビデオ対応エンドポイントが特定されるとビデオ会議にエスカレーションされます。Unified MPE か
ら帯域幅要求(BRQ)メッセージがゲートキーパーに送信され、ビデオ エンドポイントとのメディア
機能の交信が開始される前に要求される帯域幅が確認されます。ビデオにエスカレーションするために
必要な帯域幅がない場合は、オーディオのみセッションが持続されます。
ゲートキーパー環境で使用する Unified MPE システムを設計する際、ここで紹介する設計上の考慮事
項に配慮してください。
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第 15 章
Cisco Unified MeetingPlace Express
容量とサイズ設定
設計上の考慮事項
(注)
Unified MPE は特定のゾーンに登録されません。複数のローカル ゾーンが存在する場合は、デフォル
トの(または初期の)ローカル ゾーンが常に使用されます。
Unified MPE で強制的に特定のローカル ゾーンを使用するには、Unified MPE を登録しないすべての
ゾーンで no zone コマンドを使用します。たとえば、次のコマンドを入力すると、Unified MPE(アド
レスは 10.20.110.50 を指定)が強制的に testzone2 に登録されます。
gatekeeper
zone local mp2-gk1 mp2.com 10.20.105.50
zone local testzone2 mp2.com
no zone subnet mp2-gk1 10.20.110.50/32 enable
(注)
Unified MPE 直接会議のダイアルイン機能では、追加のゲートキーパー設定が必要です。
Unified MPE は単一の E.164 アドレスを使用して H.323 ゲートウェイ として登録されます。したがっ
て、会議への直接ダイアルインの内線番号は、手動でゲートキーパーに次の例で示すいずれかを入力し
ないとゲートキーパーを介して接続できません。
オプション 1:ルーティングにゾーン プレフィックスを使用する(推奨)
この例では内線番号 1000 ~ 1009 を Unified MPE にルーティングします。
gatekeeper
zone local mp2-gk1 mp2.com 10.20.105.50
zone prefix mp2-gk1 100.
gw-type-prefix 1#* default-technology gw ipaddr 10.20.110.50 1720
オプション 2:静的 E.164 アドレスを使用する(非推奨)
gatekeeper
alias static 10.20.110.50 1720 gkid mp2-gk1 gateway voip ras 10.20.110.50 62675 e164
1005 e164 1008 e164 1007 e164 1006
show gatekeeper endpoints
CallSignalAddr Port RASSignalAddr
Port Zone Name
--------------- ----- --------------- ----- --------10.20.110.50
1720 10.20.110.50
62675 mp2-gk1
E164-ID: 1000
H323-ID: MeetingPlace
E164-ID: 1005 (static)
E164-ID: 1008 (static)
E164-ID: 1007 (static)
E164-ID: 1006 (static)
Type
Flags
-------UNKN-GW S
容量とサイズ設定
1 台の Cisco Media Convergence Server(MCS)7845 H2 上の Unified MPE は G.711 コーデックを使
用した音声会議で最大 200 の ユーザを同時にサポートします。また、ビデオ会議では最大 150
(384 kbps まで、ビデオ エンドポイントの音声 ポートが 1 つ、会議で使用されるビデオ ポートが 1 つ
の場合)、Web 会議では最大 200 のユーザを同時にサポートできます。Segmented Meeting Access オ
プションをすべての Web 会議 が 2 台目の MCS 7845 H2 でホストされるように配置されている場合は、
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第 15 章
Cisco Unified MeetingPlace Express
冗長性
同時にサポートされるユーザの上限はオーディオのみの場合は 200、ビデオの場合は 200、Web 会議の
「セグメント化会議ア
場合は 200 になります。Segmented Meeting Access の配置オプションの詳細は、
クセス オプション」(P.15-9)を参照してください。
(注)
旧サーバ モデルを配置するとキャパシティが低下します。MCS モデルと関連するキャパシティの完全
なリストは Unified MPE 2.0 データ シート
(http://www.cisco.com/en/US/products/ps6533/products_data_sheets_list.html)を参照してください。
システム リソース ユニット(SRU)
G.729a コーデックと高帯域ビデオ会議(384 kbps 以上)の使用はシステム全体のキャパシティに影響
します。Unified MPE のシステム キャパシティを推定する場合、システム リソース ユニット(SRU)
の概念を理解する必要があります。システムで利用可能な SRU は、配置された Media Convergence
Server(MCS)の種類に基づいて決定されます。結果は特定のコーデックとビデオを指定すると、
Web 管理センターの会議設定ページで参照できます。ユーザ セッション 1 つに必要な音声、ビデオ、
または Web SRU はそれぞれ対応するシステムの音声、ビデオ、または Web ユーザ ライセンス(UL)
を 1 つ使用します。
ビット レートが 384 kbps 以下のビデオ セッションには 1 SRU が必要です。384 ~ 768 kbps のビデオ
セッションには 2 SRU 必要です。G.711 コーデックを使用した音声セッションには 1 SRU、G.729a
コーデックを使用した音声セッションには 5 オーディオ SRU が必要です。Web 会議 にはユーザ セッ
ションあたり、2 SRU 必要です。
参加者が G.711 コーデックを使用して 384 kbps ビデオ ビット レート(またはそれ以下)でビデオ会議
に参加すると、Unified MPE によって 2 SRU、ビデオ ユーザ ライセンス(UL)1 つ、オーディオ UL
1 つがこの参加者に割り当てられます。同じビデオ エンドポイントが G.729a コーデックを使用して会
議に参加した場合、コールの音声とビデオ部分に 6 SRU が割り当てられます。
Unified MPE では、システムのキャパシティ計算にフロー コントロール ビット レートは考慮されませ
ん。たとえば、384 kbps の参加者が会議に 768 kbps ビデオ セッション ビット レートで参加すると、
セッション ビット レートは 384 kbps まで低減されますが、既存のセッションでは Unified MPE に
よってビデオ UL が 2 つ維持されます。
(注)
ソリューション エキスパート ツールは設計基準に基づいて MCS モデル サイズを特定する支援をしま
す。このツールは(適切なログイン認証を経て)http://www.cisco.com/go/sx から利用できます。
冗長性
ここでは次の冗長性について説明します。
• 「Unified MPE サーバの冗長性」(P.15-17)
• 「ゲートキーパーを使用した冗長性」(P.15-17)
• 「H.323 ゲートウェイ統合を使用した冗長性」(P.15-18)
• 「SIP トランク統合を使用した冗長性」(P.15-18)
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第 15 章
Cisco Unified MeetingPlace Express
冗長性
Unified MPE サーバの冗長性
Unified MPE は冗長性が組み込まれていないスタンドアロン サーバですが、一部のサーバ コンポーネ
ント自体に冗長性が備えられています。ミラーリングされたドライブ、二重化電源、冗長ファンなどに
よって内部サーバに高度の冗長性と可用性が実現されます。Unified MPE には Ethernet ポートが 2 つ
備えられていますが、それぞれは異なる目的で使用されます。1 つは呼制御、Web スケジューリング、
管理インターフェイス、およびメディアに使用します。もう 1 つは Web コラボレーションに使用しま
す。
Unified MPE サーバ間のカスケード化された会議は実行できません。Segmented Meeting Access
(SMA)オプションを使用すると、Unified MPE サーバと Unified MPE DMZ Web サーバで内部デー
タベースを共有します。Unified MPE はスタンドアロン サーバですが、同じ Unified CM ディレクト
リを使用して複数の Unified MPE サーバを配置できます。この構成では、共通のディレクトリから別
のサーバにログインできるので、通常使用するサーバが停止した場合でも素早く会議をスケジュールし
なおすことができます。このオプションでは完全にライセンスが取得された複数の Unified MPE サー
バ が必要です。
ゲートキーパーを使用した冗長性
着信コール
着信コールに関連した冗長性はゲートキーパーの冗長性です。これは発信コールにも適用されます。
ゲートキーパーの冗長性は次のいずれかの方法によって実装できます。
• 代替ゲートキーパー
この方法では、ゲートキーパーは冗長ゲートキーパー クラスタに設定されます。Unified MPE で
は定義済みのゲートキーパーを使用して登録されます。登録が完了すると、ゲートキーパーによっ
て Unified MPE にクラスタの代替ゲートキーパーが通知されます。このゲートキーパーはエラー
発生時に使用されます。
• ゲートキーパーのホットスタンバイ ルータ プロトコル(HSRP)
この方法では、2 つのゲートキーパーによって単一の HSRP IP アドレスが共有されます。エラー
が発生すると、Unified MPE は同じゲートキーパー IP アドレスを使用してセカンダリ ゲートキー
パーに登録されます。
(注)
代替ゲートキーパー情報は登録時に送信され、Unified MPE に恒久的に保存されていないため、プラ
イマリ ゲートキーパーにアクセスできない場合にサーバを起動または再起動すると Unified MPE は代
替ゲートキーパーに登録できません。
ゲートキーパーの冗長性に関する詳細については、「ゲートキーパーの冗長性」(P.8-31)を参照してく
ださい。
発信コール
冗長性を得るために、単一クラスタ内の複数の Unified CM サーバを単一のゲートキーパーに登録でき
ます。この場合、Unified MPE からの発信ダイヤルを完了するのに、ゲートキーパーによってアク
ティブな Unified CM が選択されます。
前セクション(「着信コール」(P.15-17))で説明したように、ゲートキーパーの冗長性は発信コールに
も適用されます。
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15-17
第 15 章
Cisco Unified MeetingPlace Express
冗長性
H.323 ゲートウェイ統合を使用した冗長性
着信コール
Unified MPE を H.323 ゲートウェイとして統合すると、着信コールはクラスタ内の利用可能な
Unified CM サーバから送信されます。サーバが停止すると、着信コールはクラスタ内の別のサーバか
ら自動的に送信されます。
発信コール
Unified MPE では、Unified CM、Unified CME、およびその他の H.323 対応コール処理エージェント
をポイントする複数の H.323 発信ダイヤル接続を定義できます。発信コールは発信ダイヤル コール エ
ラーが発生するまで Unified MPE によってリストの 1 つ目にある H.323 対応コール処理エージェント
に継続して送信されます。エラーが発生すると、Unified MPE によって H.225 セットアップ メッセー
ジがリストにある次の利用可能なコール処理エージェントに自動的に送信されます。コール処理エー
ジェントが停止しても既存のコールには影響しません。ユーザが切断すると、既存のメディア接続が失
われます。
SIP トランク統合を使用した冗長性
着信コール
SIP トランクを使用して Unified MPE を統合すると、着信コールはクラスタ内の利用可能な
Unified CM サーバ から送信されます。サーバが停止すると、着信コールはクラスタ内の別のサーバか
ら自動的に送信されます。
発信コール
Unified MPE では、Unified CM、Unified CME、およびその他の SIP 対応コール処理エージェントを
ポイントする複数の SIP 発信ダイヤル接続を定義できます。発信コールは発信ダイヤル コール エラー
が発生するまで Unified MPE によってリストの 1 つ目にある SIP 対応コール処理エージェントに継続
して送信されます。エラーが発生すると、Unified MPE によって SIP INVITE メッセージがリストにあ
る次の利用可能なコール処理エージェントに自動的に送信されます。コール処理エージェントが停止し
ても既存のコールには影響しません。ユーザが切断すると、既存のメディア接続が失われます。
(注)
Unified MPE では H.323 と SIP 接続を同時に使用した発信ダイヤル機能は利用できません。H.323 お
よび SIP 発信ダイヤル機能は Unified MPE で片方のみ利用できます。
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15-18
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第 15 章
Cisco Unified MeetingPlace Express
その他の重要な設計上の考慮事項
その他の重要な設計上の考慮事項
ここでは、これまでに説明していないその他の重要な設計上の考慮事項について説明します。
ネットワーク接続
• Unified MPE では接続にネットワーク インターフェイス カード(NIC)が 2 枚使用されています。
ここでは、両方の NIC は同じサブネットに取り付けて、同じデフォルト ゲートウェイを指定しま
す。NIC が異なるサブネットに取り付けられると接続の問題が発生します。
• Unified MPE サーバの IP アドレスを変更するには、net コマンドを使用して、サーバに SSH 経由
で接続します。ログインには mpxadmin を使用します。その他の方法で IP アドレスを変更すると
Unified MPE の設定が正しく変更されない場合があり、設定エラーの原因となります。システム
のホスト名とドメイン名を変更するには、パッチを適用します。パッチは Cisco Technical
Assistance Center(TAC)から入手できます。
IP テレフォニー ゲートウェイ
• Unified MPE で使用するゲートウェイは「ゲートウェイ」(P.4-1)の章で説明されている標準の推
奨設定を行います。
• Unified MPE に影響する主な ゲートウェイに関する問題はエコー キャンセレーションです。この
問題が発生した場合、ゲートウェイのテール割り当てを 128 ms に増加することをお勧めします。
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15-19
第 15 章
Cisco Unified MeetingPlace Express
その他の重要な設計上の考慮事項
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