ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 概要 本文書では、階層型モデルを使用したキャンパス ネットワークの最適な設計方法について説明し ます。また、本文書で説明する各種トポロジについて、コンバージェンス時間などの包括的なテ スト結果を『High Availability Campus Recovery Analysis』で提供します。この文書は、次の Web サ イトで入手できます。 http://www.cisco.com/application/pdf/en/us/guest/netsol/ns432/c649/cdccont_0900aecd801a89fc.pdf 本文書は、次の項目で構成されています。 • キャンパス ネットワーク設計の概要(p.2) • 設計上の推奨事項の概要(p.2) • 階層型ネットワーク設計モデル(p.7) • ネットワークおよびシャーシ内の冗長性(p.12) • 使用される基礎的なテクノロジー(p.14) • 設計のベスト プラクティス(p.42) • まとめ(p.58) 対象読者 本文書は、企業のキャンパス ネットワークの設計、構築を担当されている方で、設計のベスト プ ラクティス、推奨事項、および構成例を必要としているお客様や企業のシステム エンジニアの 方々を対象としています。 本文書の目的 本文書では、キャンパス ネットワークの推奨設計を提示し、信頼性の高いハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計に関わるさまざまなトポロジ、ルーティング プロトコル、構成の ガイドライン、およびその他の考慮事項について説明します。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 1 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 キャンパス ネットワーク設計の概要 キャンパス ネットワーク設計の概要 現在のキャンパス ネットワークでは、従来の Web/メール等のアプリケーション、および業務系ア プリケーションに加え、IP テレフォニー、IP ビデオ、ワイヤレスなど様々なサービスに対応する ことが要求されており、これらの新しいアプリケーション/サービスを安定して稼働させるために は、基盤となるキャンパス ネットワークには高い安定性と柔軟性が不可欠となります。 本文書で説明するネットワーク デザインおよび実装のベスト プラクティスは、長年に渡り蓄積さ れた様々な事例、そして多岐に渡る検証により実証されたデザインを基にしています。これらの デザインを適用することにより、新しいアプリケーション/サービスに対して柔軟に対応、拡張が 可能でかつ信頼性の高い安定したサービスを提供するキャンパス ネットワークを構築することが できます。 設計上の推奨事項の概要 この項では、本文書で説明する設計上の推奨事項を概説します。次の項目で構成されます。 • 最適なコンバージェンスのためのチューニング(p.2) • デザイン ガイダンスの概説(p.4) 最適なコンバージェンスのためのチューニング この項では、アクセス、ディストリビューション、およびコアの各レイヤで最適なコンバージェ ンスを実現するための推奨事項を概説します。次の項目で構成されます。 • アクセス レイヤのチューニング(p.2) • ディストリビューション レイヤのチューニング(p.3) • コア レイヤのチューニング(p.4) アクセス レイヤのチューニング 最適なアクセス レイヤのコンバージェンスを実現するための推奨事項を示します。 • 一つの VLAN の範囲をできるかぎり単一のクローゼットに制限する。 最も確実でアベイラビリティの高いネットワーク トポロジを実現するには、さまざまな理由 から、STP/RSTP コンバージェンスを避けるべきです。一般的に、STP/RSTP でのコンバージェ ンスよりもルーティングでのコンバージェンスの方がコントローラブルで確実な調整が可能 になります。 また、キープアライブ(BPDU またはルーティング プロトコルの Hello)が失われるソフト障 害の状態では、L2 環境が Fail Open の状態となり、すべてのポートで宛先不明のトラフィック が転送されてブロードキャスト ストームが発生する可能性があります。一方、L3 環境では ルーティングのネイバー関係が切断され、Fail Close の状態となりループ、ストームの発生を 防ぐことができます。 • STP が必要な場合は、Rapid PVST+ を使用する。 アプリケーションの要件上 L2 アクセス構成が必要であり、STP によってコンバージェンス イ ベントを解決しなければならない場合は、Rapid PVST+ を使用します。Rapid PVST+ は、コン バージェンスの面から見て、802.1d だけでなく PVST+(802.1d にシスコの機能拡張を加えた もの)と比べてもはるかに高速なコンバージェンス時間を実現します。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 2 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 設計上の推奨事項の概要 • トランクはネゴシエーションなしの on/on に設定し、使用されていない VLAN はトランクか ら削除し、VTP トランスペアレント モードを使用する。 複数の VLAN でスイッチ間をトランク接続する場合には、DTP をネゴシエーションなしの on/on に設定し、DTP プロトコルのネゴシエーションを回避します。このチューニングによっ て、リンク/ノード障害からの復旧時の停止時間を短縮することができます。使用されていな い VLAN は、ブロードキャストの伝搬を避けるために、トランキングしたインターフェイス から手動で削除する必要があります。また、共有 VLAN データベースの必要性が減少するた め、VTP トランスペアレント モードを使用する必要があります。 • CatOS と Cisco IOS ソフトウェア間で PAgP の設定値を一致させる。 Cisco IOS ソフトウェア デバイスを CatOS デバイスに接続するときは、PAgP の設定値が両側 で同じになるようにします。デフォルト値は異なります。EtherChannel が設定されていない場 合、CatOS デバイスでは、Cisco IOS ソフトウェア デバイスに接続するときに PAgP がオフに 設定されている必要があります。 • アクセス レイヤでは EIGRP/ルーティングを考慮する。 EIGRP のようなルーティング プロトコルは、正しくチューニングを行うことにより、STP に よるコンバージェンスよりも優れたコンバージェンス結果を達成できます。これまで多く使 用されてきた L2/L3 での階層型設計と比べても、より高速で安定したコンバージェンスが行 えます。ただし、この設計には多少の複雑さ(中継リンクのサブネット化、VLAN/サブネッ トの細分化)が伴い、従来よりもサブネット設計に注意が必要となります。さらに、このデ ザインは現在はまだ L2/L3 での階層型モデルほどには現場で広くは導入されていません。 ディストリビューション レイヤのチューニング 次に、最適なディストリビューション レイヤのコンバージェンスを実現するための推奨事項を示 します。 • コアへの等コスト冗長接続を使用してコンバージェンス速度を最大化し、ブラック ホールを 回避する。 パーシャルメッシュ設計でディストリビューション ノードからコアへのリンク数を少なくす ることによってコストを削減することは魅力的ではありますが、この設計はネットワークの 複雑度とコンバージェンスのトレードオフを伴い、最終的にははるかに高コストになります。 • 必要に応じて、ディストリビューション ノード間を接続して集約を容易にし、複数のアクセ ス レイヤ スイッチにまたがる L2 VLAN を利用できるようにする。 最適な EIGRP または OSPF コンバージェンスを行うにはアドレスの集約が必要です。集約を ディストリビューション レイヤで行う場合は、ルーティングのブラック ホールを防ぐために、 ディストリビューション ノード間を接続する必要があります。 さらに、VLAN が複数のアクセス レイヤ スイッチにまたがるような設計では、ディストリ ビューション ノード間を L2 接続でリンクする必要があります。 • GLBP/HSRP ミリ秒タイマーを利用する。 L2/L3 ディストリビューション モデルにおけるリンクまたはノード障害によるコンバージェ ンスは、デフォルト ゲートウェイのフェイルオーバーに依存します。ミリ秒タイマーを使用 することにより、HSRP/GLBP のフェイルオーバーに基づいて 1 秒未満(800 ミリ秒)のコン バージェンスを実現することが可能です。 • GLBP/HSRP のプリエンプションのディレイを調整してブラック ホールを回避する。 コアへの接続が再確立される間にトラフィックが廃棄されないよう、HSRP/GLBP でのアク ティブ ゲートウェイの切り戻りの前に、ディストリビューション ノードとコア間のコンバー ジェンスが完了できるようにします。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 3 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 設計上の推奨事項の概要 • EtherChannel と CEF ロード バランシングをチューニングして、等コスト冗長リンクの利用率 を最適化する。 EtherChannel または CEF ロード バランシングを階層型モデルにおいて使用する場合には、バ ランシングをより均等に行いリンクの利用率を最大化するために、バランシングのパラメー タを調整します。 EtherChannel の接続では、L3 および L4 情報(UDP/TCP ポート)を使用して最適な利用率を 達成します。L3 での等コスト冗長パスを使用するときは、CEF ハッシュ アルゴリズムでの使 用パラメータを、コア ノードについてはデフォルトの L3 情報を使用し、ディストリビュー ション ノードについては L3 および L4 情報を使用することにより、ポラライゼーション(偏 り)を防ぎ各階層での最適なバランシングを実現します。 コア レイヤのチューニング コア レイヤのコンバージェンスを最適化するには、四角形ではなく三角形のトポロジを構築し、 等コスト冗長パスを利用して最も確実なコンバージェンスを実現します。 コア ノードと他ノードの接続にはポイントツーポイント リンクを使用することにより、リンク アップ/ダウン時のトポロジ変更は、ルーティング プロトコルに対して即時に通知されます。それ によって、等コスト ロード シェアリング リンクを備えたトポロジにおいては、ミリ秒単位のコ ンバージェンスを確実に行えるようになります。 他のプロトコルによる間接的な障害の検出、またはタイマーベースの検出を利用するトポロジで は、コンバージェンスの確実さは低くなり、より長い時間がかかることになります。 デザイン ガイダンスの概説 この項では、キャンパス ネットワーク設計の推奨事項を概説します。次の項目で構成されます。 • レイヤ 3 基礎サービス(p.4) • レイヤ 2 基礎サービス(p.5) • 設計上の一般的な考慮事項(p.6) レイヤ 3 基礎サービス 次に、レイヤ 3 基礎サービスの設計上の推奨事項を示します。 • 確実なコンバージェンスを実現する設計を行う(四角形ではなく三角形のトポロジ)。 ポイントツーポイントの物理リンクが導入されたトポロジでは、最も確実なコンバージェン スが行われます。物理リンクのアップ/ダウンは、タイマーベースのコンバージェンスよりも 高速です。 • アクセス レイヤのリンクはルーティング設定でパッシブ インターフェイスとする。 階層型キャンパス モデルでアクセス レイヤを L2 アクセスとする場合、ディストリビューショ ン ノードがアクセス レイヤのリンク上で不要なネイバー関係を確立するのを防ぐため、ディ ストリビューション ノードではアクセス レイヤのリンクはパッシブ インターフェイスとし ます。 • 集約はディストリビューションで行う。 EIGRP と OSPF のいずれについても、ディストリビューション ノードからコアへの部分で、 ルーティング情報を集約することが重要です。このネットワーク レイヤで集約をすることで、 EIGRP クエリー または OSPF LSA/SPF 伝搬に関しての境界が設定されます。これによって、 ルーティング プロトコルはコンバージェンスに対して最適化されます。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 4 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 設計上の推奨事項の概要 • CEF の最適化により冗長 L3 パスの利用率を最大化する。 階層型キャンパス モデルでは、多くの L3 等コスト冗長パスが実装されます。キャンパス内の 標準的なトラフィック フローは、アクセス レイヤからディストリビューションとコアを介し てデータセンターへ流れるにしたがって、複数の冗長パスを通過します。コアおよびディス トリビューション レイヤにおいて CEF ハッシュ アルゴリズムの決定入力を変更しないと、 CEF ポラライゼーションによって冗長パスの利用率が低下する場合があります。 レイヤ 2 基礎サービス 次に、レイヤ 2 基礎サービスの設計上の推奨事項を示します。 • VLAN を導入する必要がある場合は、Rapid PVST+ を使用する。 アプリケーションの要件上、複数のアクセス スイッチに VLAN が存在する必要があり、STP によってコンバージェンス イベントを解決する場合は、Rapid PVST+ を使用します。これは、 コンバージェンスの面から見て、802.1d ばかりでなく、PVST+(802.1d にシスコの機能拡張 を加えたもの)と比べてもはるかに高速なコンバージェンスを実現します。 • Rapid PVST+ を使用してユーザ側のループから保護する。 推奨される設計ではノード間のリンクまたはノードの障害によるトポロジ変更を解決するた めに STP を使用することはありませんが、ユーザ側で発生するループからネットワークを保 護するには STP が必要です。ユーザ側のアクセス レイヤ ポートでは、配線ミス、端末の誤設 定、悪意のあるユーザによるループの作成など、さまざまな形でループが発生する可能性が あります。ループのないトポロジを保証し、ネットワーク全体をアクセス レイヤで発生する 問題から保護するには、STP が必要です。 • スパニングツリー ツールキットを使用して、予期しない STP の変更を防止する。 特定のバージョンの STP が動作しているスイッチまたはワークステーションがネットワーク に接続されることがよくあります。会議室で追加のポートや接続を一時的に提供するためスイッ チを接続する場合などは、必ずしも問題にはなりません。問題となるのは、追加されるスイッチ が、接続先 VLAN の STP ルートになるように設定されているような場合です。BPDU ガードと ルート ガードは、こうした状況を防ぐことができるツールです。BPDU ガードでは、STP が動作 している管理外のスイッチが勝手にネットワークに接続されることのないよう、接続の際は必ず オペレータの操作を必要とします。ルート ガードは、ネットワークに接続される時に STP コン バージェンスが実行されるような設定のスイッチからネットワークを保護します。 • UDLD を使用して、片方向通信による障害から保護する。 キャンパス環境で一般的な、光ファイバ接続が使用されるファイバ トポロジでは、物理的な 接続ミスによって、一致しない一連の送信/受信ペアがあるときにもリンクが Up/Up と認識さ れる場合があります。そうした物理的な接続ミスが発生すると、STP のようなプロトコルで はネットワークが不安定な状態になる場合があります。UDLD は、こうした物理的な接続ミ スを検出し、問題のポートを無効化します。 • トランクはネゴシエーションなしの on/on に設定し、使用されていない VLAN はトランクか ら削除し、VTP トランスペアレント モードを使用する。 複数の VLAN でスイッチ間をトランク接続する場合には、DTP をネゴシエーションなしの on/on に設定し、DTP プロトコルのネゴシエーションを回避します。このチューニングによっ て、リンク/ノード障害からの復旧時の停止時間を短縮することができます。使用されていな い VLAN は、ブロードキャストの伝搬を避けるために、トランキングしたインターフェイス から手動で削除する必要があります。また、共有 VLAN データベースの必要性が減少するた め、VTP トランスペアレント モードを使用する必要があります。 • CatOS と Cisco IOS ソフトウェア間で PAgP の設定値を一致させる。 Cisco IOS ソフトウェア デバイスを CatOS デバイスに接続するときは、PAgP の設定値が両側 で同じになるようにします。デフォルト値は異なります。EtherChannel が設定されていない場 合、CatOS デバイスでは、Cisco IOS ソフトウェア デバイスに接続するときに PAgP がオフに 設定されている必要があります。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 5 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 設計上の推奨事項の概要 設計上の一般的な考慮事項 次に、設計上の一般的な考慮事項を示します。 • デフォルト ゲートウェイの冗長性のために HSRP または GLBP を使用する。 デフォルト ゲートウェイの冗長性は、階層型ネットワーク設計のコンバージェンスにおいて 重要な要素です。ディストリビューション階層型モデルでの L2/L3 の境界では、HSRP/GLBP のタイマーを確実に調整して、リンク/ノードの障害に対して 1 秒未満のコンバージェンス時 間を実現することが可能です。 • QoS(Quality of Service)をエンドツーエンドで導入して適正なトラフィックを保護し、不正 なものを排除する。 QoS の適用の目的は、もはや音声やビデオにとどまりません。インターネット ワームや DoS 攻撃(サービス拒絶攻撃)は、キャンパス環境においてもトラフィックのフラッディングを 引き起こし、ネットワークに大きな影響を与える可能性があります。正しく QoS ポリシーを 適用することによって、疑わしいトラフィックに低いサービス クラスを割り当てながら、ミッ ションクリティカルなアプリケーションを保護できます。 • スタック可能なスイッチをデイジー チェーン構成にしない。 デイジー チェーンの構成をとると、ネットワークの複雑さが増し、場合によっては不連続な VLAN/ サ ブ ネ ッ ト、ル ー テ ィ ン グ の ブ ラ ッ ク ホ ー ル、ア ク テ ィ ブ/ ア ク テ ィ ブ 状 態 の HSRP/GLBP などが発生することがあります。こうした複雑化を防ぐには、Cisco Catalyst 3750 ファミリの StackWise テクノロジー、またはモジュラ シャーシを使用します。 • 非対称ルーティングによるユニキャスト フラッディングを防ぐ。VLAN はアクセス レイヤ全 体にまたがらないようにする。 最適でないトポロジでは、ARP テーブルと CAM テーブルのエージング タイマー間の差異に よって、定常的にフラッディングが発生する可能性があります。VLAN が複数のアクセス レ イヤ スイッチにまたがっている場合、リターン パスのトラフィックがすべてのアクセス レイ ヤ スイッチとエンド ポイントに対してフラッディングされることがあります。これは、VLAN の範囲を 1 つのアクセス レイヤ スイッチに限定することによって、容易に防ぐことができま す。これができない場合は、CAM エージング タイマーより値が小さくなるように、ARP エー ジング タイマーを調整します。 • 冗長構成をシンプルにする。 階層型設計において 3 つの冗長リンクや 3 つの冗長ノードを使用して二重の障害から保護し ても、アベイラビリティは向上しません。逆に、複雑度が増すことによりサービサビリティ や確実性が下がるため、アベイラビリティは低下します。 • VLAN が複数のアクセス レイヤ スイッチにまたがるようにするのは、必要な場合に限る。 本文書ではこれまで、VLAN が複数のアクセス レイヤ スイッチにまたがる環境に関わる問題 を説明してきました。この設計は、コンバージェンスの面から見て最適ではありませんが、ア プリケーション要件によっては必要となることがあり、適切に使用すれば L2 でのコンバー ジェンスを実現できます。しかし、よりアベイラビリティを向上させ、コンバージェンスを 最適化できる設計は、ほかにも数多くあります。 • HSRP または GLBP による L2/L3 ディストリビューション モデルは、多くの実績のある設計 である。 L2/L3 の境界をディストリビューション レイヤに置くトポロジは、多くの実例があり実証済 みの設計であり、1 秒未満(900 ミリ秒)のコンバージェンスを実現できます。正しい構成で 適切にチューニングが行われていれば、この設計が推奨されるベスト プラクティスです。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 6 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 階層型ネットワーク設計モデル アクセス レイヤまで L3 を拡張する設計は、最新のベスト プラクティスである。 • ルーティング プロトコルとキャンパス ハードウェアの進歩によって、アクセス レイヤ スイッ チまで L3 を拡張してルーティング プロトコルを導入し、アクセスおよびディストリビュー ション レイヤ スイッチ間で L3 ポイントツーポイント ルーテッド リンクを使用することが可 能になっています。この設計は、多くの点で従来の L2/L3 ディストリビューション モデルよ り改善をもたらします。とりわけ 60 ~ 200 ミリ秒の範囲で信頼性のあるコンバージェンスを 実現できます。 階層型ネットワーク設計モデル この項は、次の項目で構成されています。 • 階層型ネットワーク設計の概要(p.7) • コア レイヤ(p.8) • ディストリビューション レイヤ(p.9) • アクセス レイヤ(p.10) 階層型ネットワーク設計の概要 階層型モデルを使用すると、スケーラブルな「ビルディング ブロック」を使用してモジュラ トポ ロジを設計でき、多様なビジネス ニーズに対応するネットワークを構築できます。モジュラ設計 では、適切なトラフィック パターンを促進することによって、ネットワークの容易な拡張、解析、 およびトラブルシューティングができます。 シスコは、1999 年にネットワーク機器を役割によって階層化する階層型設計モデルを導入しまし た(図 1 を参照)。ビルディング ブロックのコンポーネントは、アクセス レイヤ、ディストリ ビューション レイヤ、およびコア(バックボーン)レイヤです。このモデルの主な利点は、その 階層型の構造とモジュール性にあります。 図1 階層型キャンパス ネットワーク設計 ⇈⇕⇡⇟ ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ ⇙⇈ ⇈⇕⇡⇟ WAN ࠺࠲ࡦ࠲ ࠗࡦ࠲ ࡀ࠶࠻ 119801 ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 7 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 階層型ネットワーク設計モデル 階層型設計では、特定のデバイスのキャパシティ、特長、および機能が、ネットワークでの位置、 およびそれが果たす役割に合わせて最適化され、これによって、高いスケーラビリティと安定性 が実現されます。フローの数とそれに伴う帯域幅の要件は、アクセスからディストリビューショ ン、コアへと階層構造を上へ昇るにしたがって増大します。ネットワークで必要となる機能は各 レイヤに分散して導入されます。階層型設計では、すべてのネットワーク ノードが相互接続され るフルメッシュ型ネットワークが不要になります。 モジュラ ネットワークのビルディング ブロックは、容易に複製、再設計、および拡張することが できます。モジュールの追加や削除のたびにネットワーク全体を再設計する必要はありません。 各ビルディング ブロックは、ネットワークの他の部分に影響を与えることなく拡張することが可 能です。この機能によって、トラブルシューティング、問題発生部分の隔離、およびネットワー ク管理が容易になります。 コア レイヤ 標準的な階層型モデルでは、各ビルディング ブロックがコア レイヤを使用して相互接続されま す。コアは、ネットワークのバックボーンとして機能します(図 2 を参照) 。すべてのビルディン グ ブロック間の接続がコアに依存するため、コアは高速できわめて高い復元力を持つ必要があり ます。ハードウェアで高速化された現在のシステムは、複雑なサービスをワイヤスピードで提供 する能力を持っています。しかし、ネットワークのコアでは、できるだけシンプルな構成が推奨 されます。コアを最小構成にすれば、構成の複雑度が低下し、運用上のミスが発生しにくくなり ます。 図2 コア レイヤ ⇙⇈ ⇈⇕⇡⇟ 119802 ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ フルメッシュ型または高メッシュ型トポロジで冗長化を実現することは可能ですが、そのタイプ の設計では、リンクやノードで障害が発生した場合に一貫性のあるコンバージェンスを実行でき ません。また、フルメッシュ設計ではピアリングと隣接関係の問題が存在するため、ルーティン グの設定が複雑になり拡張が困難になります。さらに、ネットワークが拡張または変更されるに したがって、ポート数の増大により不必要なコストが発生し、ネットワークの複雑度も増すこと となります。次に、設計上留意すべきその他の主な問題をいくつか示します。 • コア レイヤは、ハードウェアで高速化されたサービスのみを利用する高速レイヤ 3(L3)ス イッチング環境として設計します。レイヤ 3 コア設計は、次の点でレイヤ 2 やその他の設計 よりも優れています。 – リンクまたはノード障害に対するコンバージェンスが高速 – ルーティング ネイバー関係とメッシュが減少するため、スケーラビリティが向上 – 帯域利用率が向上 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 8 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 階層型ネットワーク設計モデル • コアでは可能なかぎり冗長ポイントツーポイント L3 相互接続を使用します(四角形ではなく 三角形のトポロジ)。この設計を使用すると、最も確実で最も高速なコンバージェンス結果が 得られます。 • L2 ループ、複雑な L2 冗長化(STP など) 、L3 ビルディング ブロック間では間接的障害検出 を使用しないでください。 ディストリビューション レイヤ ディストリビューション レイヤは、アクセス レイヤのノードを集約し、高密度のピアリングから コアを保護します(図 3 を参照)。さらに、ディストリビューション レイヤは障害の境界を形成 し、アクセス レイヤで発生した障害の論理的な分離点を提供します。通常、L3 スイッチのペアが 導入されるディストリビューション レイヤでは、ネットワーク コアへの接続に L3 スイッチング を使用し、アクセス レイヤへの接続に L2 サービスを使用します。ロード バランシング、QoS (Quality of Service)、およびプロビジョニングの容易さが、ディストリビューション レイヤの主な 考慮事項です。 図3 ディストリビューション レイヤ ⇈⇕⇡⇟ 119803 ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ ディストリビューション レイヤのハイ アベイラビリティは、ディストリビューション レイヤか らコア、およびアクセス レイヤからディストリビューション レイヤへの二重化された等コストパ スによって提供されます(図 4 を参照)。これによって、リンクまたはノード障害発生時には高速 で確実なコンバージェンスが実現されます。冗長パスが存在するときは、フェイルオーバーはタ イマーベースのソフトウェア障害検出ではなく、主にハードウェア リンク障害検出を利用します。 これらの機能に基づいたコンバージェンスは、ハードウェアで実装され、最も確実なものです。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 9 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 階層型ネットワーク設計モデル 図4 ディストリビューション レイヤ — ハイ アベイラビリティ ⇈⇕⇡⇟ ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ ⇙⇈ ⇈⇕⇡⇟ WAN ࠺࠲ࡦ࠲ ࠗࡦ࠲ ࡀ࠶࠻ 119801 ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ L3 の等コスト ロード シェアリングでは、コアとディストリビューション レイヤ間のリンクを両 方とも利用できます。ディストリビューション レイヤでは、Gateway Load Balancing Protocol(GLBP; ゲートウェイ ロード バランシング プロトコル)、Hot Standby Router Protocol(HSRP; ホットスタ ンバイ ルータ プロトコル)、または Virtual Router Redundancy Protocol(VRRP; 仮想ルータ冗長プ ロトコル)を使用して、デフォルト ゲートウェイの冗長性を提供します。これによって、ディス トリビューション ノードの 1 つで障害が発生したり、1 つが取り除かれたりしても、デフォルト ゲートウェイへのエンド ポイント接続が失われることはありません。 アクセス レイヤからディストリビューション レイヤへのアップリンクでは多くの方法でロード バランシングを実現できますが、最も容易な方法は GLBP を使用することです。GLBP は、HSRP に似た冗長性と障害検出機能を提供します。また、アクセス レイヤ デバイスに対してデフォルト ゲートウェイのラウンドロビン式分散が可能なため、エンド ポイントは、2 つのディストリビュー ション ノードのいずれかにトラフィックを送信できます。 デフォルト ゲートウェイの冗長性の詳細については、「HSRP、VRRP、または GLBP を使用した デフォルト ゲートウェイの冗長化」(p.34)を参照してください。 アクセス レイヤ アクセス レイヤは、エッジ デバイス、端末、および IP 電話にとってネットワークへの最初のエン トリ ポイントです(図 5 を参照) 。アクセス レイヤのスイッチは、冗長性を確保するために 2 つ の別々のディストリビューション レイヤ スイッチに接続されます。ディストリビューション レ イヤ スイッチ間の接続が L3 接続である場合、ループは発生せず、すべてのアップリンクがトラ フィックをアクティブに転送します。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 10 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 階層型ネットワーク設計モデル 図5 アクセス レイヤ ࠦࠕ߳ 119804 ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ ⇈⇕⇡⇟ アクセス レイヤは、主に次の機能を提供します。 • 多くのハードウェアおよびソフトウェアの属性によってサポートされる High Availability (HA; ハイ アベイラビリティ)機能。 • IP テレフォニーやワイヤレス アクセス ポイントのインライン パワー(PoE)。お客様は音声を データ ネットワークに統合でき、ユーザにはローミング WLAN アクセス機能が提供されます。 • 基礎的なサービス。 ハイ アベイラビリティをサポートするアクセス レイヤのハードウェアおよびソフトウェアには、 次のものが含まれます。 • 冗長スーパーバイザ エンジンと冗長電源を使用したシステムレベルの冗長性。これによって、 重要なユーザ グループにハイ アベイラビリティが提供されます。 • GLBP、HSRP、または VRRP を使用する冗長システム(ディストリビューション レイヤ ス イッチ)への二重接続を使用したデフォルト ゲートウェイの冗長性。これによって、ディス トリビューション レイヤで 1 つのスイッチからバックアップ スイッチへの高速フェイルオー バーが実現されます。 • よりシンプルな構成でより広い実効帯域幅を提供するリンク アグリゲーション(EtherChannel または 802.3ad)機能。 • QoS を使用したミッションクリティカルなネットワーク トラフィックの優先順位付け。これ により、ネットワークの入口にできるだけ近いところでのトラフィックの分類とキューイン グが提供されます。 • 未認証のネットワーク アクセスからの保護を強化するセキュリティ サービス。802.1X、ポー ト セキュリティ、DHCP スヌーピング、ダイナミック ARP インスペクション、IP ソース ガー ドといったツールを使用します。 • Internet Group Membership Protocol(IGMP)スヌーピングなど、ソフトウェア機能を使用した 効率的なネットワークおよび帯域幅管理。IGMP スヌーピングは、マルチキャスト アプリケー ションのマルチキャスト パケット フラッディングの抑制に役立ちます。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 11 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 ネットワークおよびシャーシ内の冗長性 ネットワークおよびシャーシ内の冗長性 キャンパス ネットワークを設計するとき、ネットワーク技術者は高い冗長性を持つデバイスの最 適な使用を計画する必要があります。復元力のあるハイ アベイラビリティ ネットワークを構築す るため、冗長性への投資を行うタイミングと場所については、慎重な検討が必要です。 図 6 に示すとおり、階層型ネットワーク モデルは、2 つのアクティブ転送コア ノードで構成され ます。これらは、いずれかのノードで障害が発生した場合にもネットワーク全体にサービスを提 供するため、十分な帯域幅とキャパシティを備えています。このモデルでは、冗長化されたコア をサポートする、冗長化されたディストリビューション ペアも必要です。コアと同様、ディスト リビューション レイヤは、十分な帯域幅とキャパシティを持つように設計されます。そのため、 ディストリビューション ノードの 1 つで完全な障害が発生しても、帯域幅やスイッチング キャパ シティの面でネットワークのパフォーマンスが影響を受けることはありません。 図6 冗長ネットワーク ノード ⇈⇕⇡⇟ ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ ౬㐳ࡁ࠼ ⇙⇈ ⇈⇕⇡⇟ WAN ࠺࠲ࡦ࠲ ࠗࡦ࠲ ࡀ࠶࠻ 119976 ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ キャンパス ネットワーク デバイスは、現在、個々のノード内で高レベルのアベイラビリティを提 供できます。Cisco Catalyst 6500 および 4500 スイッチは、冗長スーパーバイザ エンジンをサポー トし、L2 Stateful Switchover(SSO; ステートフル スイッチオーバー)を提供できます。これによ り、スタンバイ スーパーバイザ エンジンは L2 上で同期され、1 つのスーパーバイザに障害が発 生した場合はただちに L2 フォワーディングを引き継ぐことができます。 Catalyst 6500 および Catalyst 4500 スーパーバイザ エンジン Ⅳ 以上では、L3 Non-Stop Forwarding (NSF; ノンストップ フォワーディング)も提供します。これにより、冗長スーパーバイザは、プ ライマリ スーパーバイザで障害が発生した場合にも、周囲の L3 ピアとの間でネイバー関係の再 設定や再確立を行うことなく L3 フォワーディングを引き継ぐことができます。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 12 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 ネットワークおよびシャーシ内の冗長性 最大限のハイ アベイラビリティが実現されるようにネットワークを設計するときは、アベイラビ リティをさらに引き上げようと、冗長トポロジに冗長スーパーバイザを追加しようとする場合が あります。しかし、ネットワークの冗長なコアおよびディストリビューション レイヤに冗長スー パーバイザを追加すると、スーパーバイザで障害が発生した場合のコンバージェンス時間が増大 することがあります。 階層型モデルでは、コアおよびディストリビューション ノードは、ポイントツーポイントの L3 ルーテッド リンクによって接続されます。スーパーバイザが冗長化されていないノードでスー パーバイザが障害を起こした場合は、リンク障害が発生し、第 2 のコアまたはディストリビュー ション ノードにより停止した部分を避けるようにネットワークのコンバージェンスが行われま す。これにより、ネットワークは EIGRP および OSPF において、60 ~ 200 ミリ秒でコンバージェ ンスを実行できます。 (注) 詳細については、『High Availability Campus Recovery Analysis』を参照してください。 冗長スーパーバイザを導入すると、1 つのスーパーバイザが障害を起こしても、SSO または NSF コンバージェンスの間でもリンクはアクティブなままです。SSO が実行される間、トラフィック は失われますが、間接障害の検出は行われません。SSO は、問題のデバイスの物理構成に応じて 1 ~ 3 秒で復旧します。NSF を使用した L3 の復旧は SSO コンバージェンス イベントのあとに発 生するため、L3 の中断とコンバージェンスは最小限に抑えられます。コアまたはディストリ ビューションでデュアル スーパーバイザ ノードが使用された場合、冗長スーパーバイザなしで 60 ~ 200 ミリ秒のパケット ドロップが発生した障害イベントについて、同条件で 1.8 秒のパケッ ト ドロップが測定されました。 ネットワークのアクセス レイヤは、通常シングル ポイント障害になります(図 7 を参照)。 図7 潜在的なシングル ポイント障害 ẜ⊛ߥ ࠪࡦࠣ࡞ ࡐࠗࡦ࠻ 㓚ኂ ⇈⇕⇡⇟ ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ 119977 ⇙⇈ アクセス ノードはディストリビューション レイヤに二重接続されますが、通常ネットワーク上の エンド ポイントを冗長アクセス レイヤ スイッチに二重接続することはありません(データセン ター内を除く)。このため、冗長スーパーバイザがアクセス レイヤで使用され、L2/L3 境界がネッ トワークのディストリビューション レイヤにあると、SSO によってアベイラビリティが向上しま す。このトポロジでは、SSO は、スーパーバイザ ハードウェアまたはソフトウェアの障害からの 保護を提供します。この場合、1 ~ 3 秒のパケット ドロップが発生しますが、ネットワーク コン バージェンスは実行されません。SSO なしで 1 つのスーパーバイザだけを使用する場合、このア クセス スイッチに接続されたデバイスは、スーパーバイザが物理的に交換されるか、ソフトウェ ア障害の場合は装置がリロードされるまで、全面的なネットワーク機能停止に見舞われます。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 13 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー L2/L3 境界がネットワークのアクセス レイヤにある場合、つまりルーティング プロトコルがアク セス レイヤで動作する設計の場合は、NSF/SSO によってアベイラビリティのレベルが向上しま す。L2/L3 ディストリビューション レイヤ トポロジと同様、障害を起こしたスーパーバイザが物 理的に交換されるまで全面的に機能が停止するのに比べて、NSF/SSO では 1 ~ 3 秒のパケット ド ロップが発生するだけで、ネットワーク コンバージェンスは発生しません。 冗長ネットワーク パスを備えたキャンパス トポロジは、冗長スーパーバイザによってコンバー ジェンスを行うトポロジよりも高速なコンバージェンスを実行できます。NSF/SSO は、シングル ポイント障害が存在する環境において最も有効です。キャンパス トポロジでは、それはアクセス レイヤです。L2 アクセス レイヤ設計を採用している場合は、SSO を備えた冗長スーパーバイザの 導入が最も有効です。ルーテッド アクセス レイヤ設計を採用している場合は、NSF/SSO を備えた 冗長スーパーバイザの導入が最も有効です。 使用される基礎的なテクノロジー この項では、キャンパス ネットワークで使用される基礎テクノロジー、および推奨される構成に ついて説明します。次の項目で構成されます。 • レイヤ 3 ルーティング プロトコル(p.14) • レイヤ 2 での冗長性 — STP のバージョン(p.22) • トランキング プロトコル(p.25) • UDLD による片方向通信からの保護(p.30) • リンク アグリゲーション — EtherChannel プロトコルと 802.3ad(p.31) • リンク アグリゲーション プロトコル(p.32) • HSRP、VRRP、または GLBP を使用したデフォルト ゲートウェイの冗長化(p.34) • GLBP(p.36) • オーバーサブスクリプションと QoS(p.39) レイヤ 3 ルーティング プロトコル この項は、次の項目で構成されています。 • 三角形トポロジの使用(p.14) • トランジット リンクへの L3 ピアリングの制限(p.15) • 障害発生時の接続の保証(p.16) • CEF によるロード バランシングのチューニング(p.19) 三角形トポロジの使用 レイヤ 3 ルーティング プロトコルは、通常、ネットワークのコア間およびコア/ディストリビュー ション レイヤ間で導入され、アクセス レイヤに対しても使用できます。現在、フルルーテッド ア クセス レイヤ設計が導入されることはまだあまり多くはありませんが、アベイラビリティの向上 には非常に有効な方法です。ルーテッド アクセス レイヤ設計の詳細については、 「アクセス レイ ヤでのルーティング」 (p.51)を参照してください。ルーティング プロトコルは、階層型ネット ワーク設計で障害のあるリンクやノードを迂回してルート変更するために利用されます。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 14 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー すべての冗長ノードへの等コスト パスを備え、三角形を使用したトポロジを構築する場合は、タ イマーベースの不確実なコンバージェンスを避けることができます。Hello およびデッド タイマー を使用した間接的なネイバーまたはルート損失の検出ではなく、物理リンクの損失に基づいてパ スを使用不能としてマーキングし、すべてのトラフィックを代替パスにルート変更することがで きます。図 8 に、三角形と四角形の両方のネットワーク トポロジを示します。 三角形および四角形のネットワーク トポロジ ਃⷺᒻ㧦ࡦࠢ/ࡁ࠼㓚ኂߢ࡞࠹ࠖࡦࠣ ࡊࡠ࠻ࠦ࡞ߩࠦࡦࡃࠫࠚࡦࠬߪᔅⷐߥ ྾ⷺᒻ㧦ࡦࠢ/ࡁ࠼㓚ኂߢ࡞࠹ࠖࡦࠣ ࡊࡠ࠻ࠦ࡞ߩࠦࡦࡃࠫࠚࡦࠬ߇ᔅⷐ ਃⷺᒻ ྾ⷺᒻ 119807 図8 四角形ではなく三角形のトポロジを使用することは、推奨事項に過ぎません。物理的なファイバ 接続の制約を補ったり、コストを削減したりするために、等コスト冗長パスを使用しないトポロ ジを構築することは可能です。しかし、リンクまたはノード障害が発生した場合に三角形トポロ ジと同様の確実なコンバージェンスを達成することは不可能であり、同等のアベイラビリティを 得ることはできません。 トランジット リンクへの L3 ピアリングの制限 階層型モデルでは、ディストリビューション ルータは、デフォルト設定では、ディストリビュー ション ペアで収容した各 VLAN について、アクセス レイヤを介してルーティング ピア関係を確 立できます(図 9 を参照)。しかしこれは、予期せぬ望ましくないルーティング動作を引き起こす 場合があります。 レイヤ 3 ピア関係 ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ ⇈⇕⇡⇟ ࡞࠹ࠖࡦࠣ ࠕ࠶ࡊ࠺࠻ 119808 図9 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 15 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー この冗長 L3 ピアリングは、HA の面から見て利点はありません。メモリ、ルーティング プロトコ ル アップデートのオーバーヘッド、および複雑度の増大という点で負荷が増すだけです。さらに、 リンク障害が発生した場合は、トラフィックが別のアクセス レイヤ スイッチ経由で伝送される可 能性がありますが、これは望ましくありません。したがって、アクセス レイヤへのリンク以外の リンクだけをルーティングのネイバーまたはピア関係の確立に使用することが推奨されます。そ のために、L3 ピアリングが望ましくないインターフェイスをパッシブ インターフェイスに設定し ます。 個々のインターフェイスをパッシブにするには、次のコマンドを実行します。 router eigrp 1 passive-interface Vlan 99 また、すべてのインターフェイスをパッシブに設定してから、no passive コマンドを使用してピ アリングが望ましいインターフェイスのみでルーティングのネイバー関係を有効化することも可 能です。次に例を示します。 router eigrp 1 passive-interface default no passive-interface Vlan 99 いずれかの方式を使用してディストリビューション ノード間でのピア関係の数を最小化すること により、トランジット リンクとして想定されたリンクのみでピアリングを実行できるようにしま す。コンフィギュレーションに最小限の行数しか必要としないか、管理が最も容易な方式を使用 します。 障害発生時の接続の保証 接続の観点から、ネットワーク設計者によっては、それぞれのコア ノードに対して個別に接続さ れたデュアル ディストリビューション ノードを推奨する場合があります。このモデルでは、コア におけるピアリング関係とインターフェイスの数が減少します。ただし、コア リンクまたはノー ドで障害が発生した場合は、HSRP などでインターフェイス トラッキングによりディストリビュー ション-アクセス間が収束するまでトラフィックが廃棄されることがあります(図 10 を参照)。 図 10 コアへの単一パス ⇙⇈ ࠦࠕ߳ߩන৻ࡄࠬ ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ 119809 ࠦࠕ߳ߩ࡞࠻߇ߥߚ ࠻ࡈࠖ࠶ࠢߪᑄ᫈ ⇈⇕⇡⇟ A B ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 16 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー 推奨される設計は、コアへの代替パスを用意することです(図 11 を参照)。 図 11 コアへの代替パス ⇙⇈ ࠦࠕ߳ߩ౬㐳ࡄࠬ 119810 ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ ⇈⇕⇡⇟ A B 追加する必要のあるリンクは、ディストリビューション A/B とコア B/A 間の追加リンクだけでは ありません。2 つのディストリビューション ノード間にもリンクが必要です。この要件について は、次の項で詳しく説明します。推奨されるトポロジを図 12 に示します。 図 12 推奨されるトポロジ(2 つのディストリビューション ノード間のリンク) ⇙⇈ ࠦࠕ߳ߩ౬㐳ࡄࠬߣ ࠺ࠖࠬ࠻ࡆࡘ࡚ࠪࡦ㑆 ࡦࠢ 119811 ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ ⇈⇕⇡⇟ A B ディストリビューション スイッチ間の追加リンクは、ディストリビューション レイヤからコアへ 向かうルーティング情報の集約をサポートするために必要です。コアへ向かうルーティング情報 が集約されない場合、Enhanced Interior Gateway Routing Protocol(EIGRP)と Open Shortest Path First (OSPF)では、障害が発生したノードに対するコンバージェンスを実行するために多数のピアと の相互作用が必要になる可能性があります(図 13 を参照) 。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 17 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー 図 13 障害が発生したノードに対するコンバージェンス 㓸⚂ߥߒ ࠢࠛߪࠦࠕએᄖߦ߽વㅍ ࡀ࠶࠻ࡢࠢߩઁߩㇱಽ ⇙⇈ ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ 119812 IGP ߩࠦࡦࡃࠫࠚࡦࠬ߇ቢੌ ߔࠆ߹ߢ࠻ࡈࠖ࠶ࠢߪᑄ᫈ ⇈⇕⇡⇟ 10.1.1.b/24 10.1.1.a/24 次の設定例では、集約ルートがコアへ送信されます。 interface Port-channel1 description to Core#1 ip address 10.122.0.34 255.255.255.252 ip hello-interval eigrp 100 1 ip hold-time eigrp 100 3 ip summary-address eigrp 100 10.1.0.0 255.255.0.0 5 ルート集約が使用されると、ディストリビューション ノードは、リンクまたはノード障害に対す るコンバージェンスを実行するときに、限られた数のルーティング ピアと相互作用します。EIGRP を使用するか、または OSPF のエリア境界を使用した集約は、ディストリビューション/コア レイ ヤ間の L3 接続で推奨されるルーティング構成です。 ディストリビューション ノード間では L3 リンクが必要です。ディストリビューション ノード間 の L3 リンクが存在しない場合、アクセス レイヤのリンクに障害が発生し、ディストリビューショ ン ノードが L3 リンクで相互接続されていなければ、コアからアクセス レイヤへの戻りのトラ フィックが廃棄されることがあります(図 14 を参照) 。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 18 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー 図 14 集約によるコアでのクエリー停止 㓸⚂ߦࠃࠅࠦࠕߢ ࠢࠛ߇ᱛ ࡀ࠶࠻ࡢࠢߩઁߩㇱಽ ⇙⇈ ᨼኖ≝ 10.1.0.0/16 ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ 119813 IGP ߩࠦࡦࡃࠫࠚࡦࠬ߇ቢੌ ߔࠆ߹ߢ࠻ࡈࠖ࠶ࠢߪᑄ᫈ ⇈⇕⇡⇟ 10.1.1.b/24 10.1.1.a/24 ディストリビューション ノードが集約された情報をコアに送信するため、個々のディストリ ビューション ノードは単一の VLAN またはサブネットへの接続の損失をコアへアドバタイズし ません。これは、リンクに障害のある、トラフィックを送信できないディストリビューション メ ンバーをコア ノードはわからないということです。ディストリビューション スイッチ間で L3 リ ンクを追加すると、特定の VLAN またはサブネットへの接続を失ったディストリビューション ノードは、ディストリビューション間リンクでトラフィックのルート変更を実行し、その VLAN またはサブネットへの接続性を維持できます。その際、ディストリビューション間リンク用に選 択されるアドレス空間は、集約されるアドレス空間に含まれなければなりません。 CEF によるロード バランシングのチューニング 推奨されるネットワーク トポロジでは、多数の冗長パスが提供されます。アクセス レイヤから見る と、別のビルディング ブロック(データセンターなど)へ到達するまでに 3 つ以上の冗長リンク を通過します。冗長リンクの利用率が低下する場合がある Cisco Express Forwarding(CEF)のポラ ライゼーションを防止するには、CEF の等コスト パス選択パラメータを調整する必要があります。 CEF は、一貫した決定性を持つアルゴリズムです。図 15 に示すとおり、入力に同じ情報を使用す ると、常に同じ結果が得られます。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 19 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー 図 15 CEF のロード バランシング ᡛ̮Ψ IP ܮέ IP ᡛ̮Ψ∃∞⇮ ܮέ∃∞⇮ ࡂ࠼࠙ࠚࠕ ࡞࠶ࠢࠕ࠶ࡊ ࡂ࠶ࠪࡘߦ ၮߠߡ ․ቯߩ㓞ធ 㑐ଥࠍㆬᛯ MAC ↝ⅼ੭ⅷ ᡛ̮Ψ IP ܮέ IP ᡛ̮Ψ∃∞⇮ ܮέ∃∞⇮ 119814 ࡂ࠶ࠪࡘ CEF は、次のようなプロセスでフォワーディングの最終決定を下します。 1. CEF は、ハードウェア ルックアップによって、宛先アドレスに一致する最長パスを決定します。 2. 特定のインデックスがそれぞれネクストホップの隣接テーブルと関連付けられます。 – デフォルトでは、パケットの送信元と宛先の IP アドレスが使用されるハードウェア ハッ シュによって、隣接関係のうちの 1 つが選択されます。 – もう一つの方法として、パケットの送信元と宛先の IP アドレスのほかに L4 ポート情報を 使用するハードウェア ハッシュによって、隣接関係の 1 つを選択することもできます。 3. 新しい宛先 MAC アドレスが選択され、パケットが転送されます。 ハッシュへの入力を変更すると、出力も変化します。送信元と宛先のデフォルトの入力値は L3 で す。この入力値を L3 および L4 に変更すると、出力のハッシュ値も変化します。 すべて同じ入力値を使用する複数の冗長パスを持つネットワークをパケットが通過するときは、 「右へ行く」か「左へ行く」かの決定が各冗長パスについて行われます。その結果、冗長リンクの 中で利用率の低下するものが生じ、ネットワークで CEF による選択パスの偏りが発生します(図 16 を参照)。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 20 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー 図 16 CEF のポラライゼーション ౬㐳ࡄࠬߪήⷞ ⇭⇉⇟⇮∐⇹∋∞⇝∍∙ ⇭⇻⇏∑⇮↝ L3 ⇵⇩⇝∋ Ꮐ ฝ ⇙⇈ ⇭⇻⇏∑⇮↝ L3 ⇵⇩⇝∋ Ꮐ ฝ 119815 ⇭⇉⇟⇮∐⇹∋∞⇝∍∙ ⇭⇻⇏∑⇮↝ L3 ⇵⇩⇝∋ CEF のポラライゼーションを防ぐには、ネットワークの各レイヤで CEF アルゴリズムへの入力を 変更する必要があります。ディストリビューション レイヤでは、デフォルトの CEF ロード バラ ンシング動作を変更し、CEF ハッシュ アルゴリズムへの入力値として L3 および L4 情報を使用し ます。これを実行するには、ディストリビューション ノードで mls ip cef load-sharing full コマン ドを使用します。 コア レイヤでは、デフォルトのまま L3 情報だけを使用します。このように交互に変更すること によって、 「常に右」や「常に左」のような偏ったパス決定が行われなくなり、ネットワーク内の 等コスト冗長リンク全体にわたってトラフィックを分散できます(図 17 を参照)。 図 17 CEF のポラライゼーションの防止 ߔߴߡߩࡄࠬࠍ↪ ⇭⇉⇟⇮∐⇹∋∞⇝∍∙ L3/L4 ⇵⇩⇝∋ Ꮐ Ꮐ ฝ ฝ ⇙⇈ ⇭⇻⇏∑⇮↝ L3 ⇵⇩⇝∋ 119816 ⇭⇉⇟⇮∐⇹∋∞⇝∍∙ L3/L4 ⇵⇩⇝∋ ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 21 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー レイヤ 2 での冗長性 — STP のバージョン この項は、次の項目で構成されています。 • STP のバージョン(p.22) • 最適なコンバージェンスのためのベスト プラクティス(p.23) STP のバージョン ハイ アベイラビリティ ネットワークでは、ノードまたはリンク障害が発生した場合に接続を保証 するため、冗長パスが必要になります。冗長 L2 ループを含む環境では、さまざまなバージョンの Spanning Tree Protocol(STP; スパニングツリー プロトコル)が使用されます。STP によって、ネッ トワークはインターフェイスを確実にブロックし、冗長リンクを含むネットワークでループのな いトポロジを実現できます(図 18 を参照)。 STP の動作 A STOP B 119817 図 18 STP は次のようなバージョンを経て発展してきました。 • DEC STP ― IEEE 以前 • 802.1D ― Classic STP • 802.1w ― Rapid STP(RSTP) • 802.1s ― Multiple STP(MST) • 802.1t ― 802.1d メンテナンス シスコのスパニングツリー ツールキットには、次のような 802.1(d、s、w)の機能拡張が含まれ ています。 • PortFast ― アクセス ポートがリスニング フェーズとラーニング フェーズをバイパスできます。 • UplinkFast ― リンク障害発生時、3 ~ 5 秒でのコンバージェンスを提供します。 • BackboneFast ― 間接的障害の場合でも、MaxAge の設定によってコンバージェンス時間を短 縮します。 • ループ ガード ― Bridge Protocol Data Unit(BPDU; ブリッジ プロトコル データ ユニット)が 受信されない場合、代替ポートまたはルート ポートが誤ってフォワーディング ステートに移 行しないようにします。 • ルート ガード ― 外部スイッチがルート ブリッジにならないようにします。 • BPDU ガード ― PortFast を使用したポートで BPDU が受信された場合に、そのポートを無効 にします。 • BPDU フィルタ ― PortFast を使用したポートで、BPDU を送受信しないようにします。 シスコは、これら多数の機能を次のバージョンの STP に組み込んでいます。 • Per-VLAN Spanning Tree Plus(PVST+)― ネットワーク上で設定された VLAN ごとに別々の 802.1D スパニングツリー インスタンスを提供します。PortFast、UplinkFast、BackboneFast、 BPDU ガード、BPDU フィルタ、ルート ガード、およびループ ガードをサポートします。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 22 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー • Rapid PVST+ ― VLAN ごとに RSTP(802.1w)のインスタンスを提供します。PortFast、BPDU ガード、BPDU フィルタ、ルート ガード、およびループ ガードをサポートします。 • MST ― 最大 16 個の RSTP(802.1w)インスタンスを提供し、同じ物理および論理トポロジを 持つ多数の VLAN を組み合わせて 1 つの共通 RSTP インスタンスを作成します。PortFast、 BPDU ガード、BPDU フィルタ、ルート ガード、およびループ ガードをサポートします。 最適なコンバージェンスのためのベスト プラクティス やむを得ない場合にのみ L2 ループのあるトポロジを使用してください。一般的に、コンバージェ ンス、信頼性、および管理性の面で最も確実かつ最適に動作するネットワークでは L2 ループを推 奨しません。また、通常の条件下では、コンバージェンス イベントを解決するために STP は必要 とされません。ただし、アクセスまたはユーザ側のインターフェイスで予期しないループを防ぐ には、STP を有効にする必要があります。 L2/L3 ディストリビューション モデルでは、アクセス ノードとディストリビューション ノード間 で L2 リンクが導入されます。ただし、複数のアクセス レイヤ スイッチにまたがる VLAN は存在 しません。さらに、ディストリビューション間のリンクは、L3 ルーテッド リンクです。その結 果、L2 ループのないトポロジとなり、アクセス レイヤからの両方のアップリンクが L2 でフォ ワーディングを行い、リンクまたはノード障害が発生した場合もただちに使用可能です(図 19 を 参照) 。 図 19 レイヤ 2 ループのないトポロジ HSRP ࠕࠢ࠹ࠖࡉ VLAN 20ޔ140 HSRP ࠕࠢ࠹ࠖࡉ VLAN 40ޔ120 ࠗࡗ 3 ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ ࠗࡗ 2 ࡦࠢ ࠗࡗ 2 ࡦࠢ 10.1.20.0 VLAN 20 ࠺࠲ 10.1.120.0 VLAN 120 㖸ჿ 10.1.40.0 VLAN 40 ࠺࠲ 10.1.140.0 VLAN 140 㖸ჿ 119818 HSRP ∈⇭∑ ⇈⇕⇡⇟ データセンターでは、サーバは通常、アクセス スイッチに二重に接続されフェイルオーバー /負 荷分散などの機能を提供するため、L2 接続が必要になります。この場合、L2 ループのあるトポ ロジを使用するのが一般的です(図 20 を参照)。 データセンターでのレイヤ 2 ループのあるトポロジ ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ HSRP ࠕࠢ࠹ࠖࡉ STP ࡞࠻ VLAN 20ޔ30 ࠗࡗ 2 ࠻ࡦࠢ ࠗࡗ 2 ࡦࠢ HSRP ࠬ࠲ࡦࡃࠗ STP ࠞࡦ࠳ ࡞࠻ VLAN 20ޔ30 ࠗࡗ 2 ࡦࠢ STP ∈⇭∑ ⇈⇕⇡⇟ VLAN 20 ࠺࠲ 1 VLAN 30 ࠺࠲ 2 VLAN 20 ࠺࠲ 1 VLAN 30 ࠺࠲ 2 20 119819 図 20 30 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 23 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー この L2 ループのあるトポロジは、多くの設定と管理が必要です。STP ルートとデフォルト ゲー トウェイ(HSRP または VRRP)が一致するようにする必要があります。 (注) STP 設定をチューニングしないと、GLBP ロード バランシング動作により、トラフィックがデフォ ルト ゲートウェイまでのパスとして、ディストリビューション間リンクを経由する 2 ホップの L2 パスを取る場合があります。この問題の詳細については、「GLBP」 (p.36)を参照してください。 いくつかのコンバージェンス イベントでは、STP/RSTP コンバージェンスが必要です。STP のバー ジョンによっては、コンバージェンスに 90 秒もかかる場合があります。 スパイニングツリー コンバージェンスを必要とするトポロジを使用する場合は、Rapid PVST+ が 最適なバージョンです。Rapid PVST+ は、802.1w の高速コンバージェンスを提供しますが、802.1s ほど複雑ではありません。設定の面では、シスコのお客様が長年導入してきた PVST+ に似ていま す。しかし、コンバージェンスの面では大幅に改良されています(図 21 を参照) 。 PVST+ と Rapid PVST+ のパフォーマンス 35 ኻࠕࠢࠬ ኻࠨࡃ ࡈࠔࡓ 30 25 20 30 ⑽ߩ ㆃᑧ/៊ᄬࠍ ⸃ᶖ 15 10 119820 ࠦࡦࡃࠫࠚࡦࠬᤨ㑆㧔⑽㧕 図 21 5 0 PVST+ Rapid PVST+ Rapid PVST+ では、間接障害(L2 ディストリビューション間リンク)またはリンク アップ(アッ プリンク)での復旧イベントの検出が大幅に向上しています。 STP は、ユーザ側またはエンド ポイント側のアクセス レイヤ ポートで発生する意図しないルー プを防ぐためにも必要です。こうしたループは、ホストの設定を誤ると簡単に発生します。たと えば、デフォルトでは、Windows XP ホーム ネットワーク ウィザードはマシン上のすべてのイン ターフェイスをまとめてブリッジします。 これによって、ワイヤレス LAN インターフェイスとイーサネット インターフェイス間、または 2 つのイーサネット インターフェイス間がブリッジされる場合があります。ループは、ネットワー ク内のアップリンクで動作しているプロトコルが L3 だけの場合でも発生する可能性があります。 そのため、安全装置として使用するだけであっても、STP または RSTP を有効にして確実にルー プの起きないトポロジにする必要があります。 ソフト障害や不正なデバイスからネットワークを保護するには、次の STP 機能を追加して有効に する必要があります。 • ルート ガード • BPDU ガード • ループ ガード ルート ガードまたは BPDU ガードのいずれかをアクセス レイヤ ポートで有効にします。ルート ガードは、スパニングツリー コンバージェンス イベントを引き起こす可能性のある BPDU 生成ブ リッジ デバイスの導入を阻止します。また、ルート ポートやパスの選択を変更する原因になる BPDU がポートで伝送されないようにします。STP または RSTP コンバージェンスを引き起こす 不良 BPDU が検出された場合、そのポートでは、不良 BPDU が停止するまですべてのトラフィッ クが無視されます。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 24 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー BPDU ガードは、未認証のブリッジング デバイスの導入を防止するために使用します。ブリッジ ング ソフトウェアを実行しているスイッチまたは PC が検出されると、BPDU ガードは、ポート をエラーとして無効にし、未認証デバイスがネットワークに参加することを防止します。 BPDU ガードでは、エラーによって無効になったポートを再度有効にするために、オペレータの 操作またはエラー回復メカニズムの設定が必要です。BPDU ガードを使用すると、スイッチなど のすべてのブリッジ デバイスがネットワークに追加されることを防止できます。また、ルート ガードを使用すると、未認証ブリッジ デバイスの追加により発生する予期しないスパニングツ リー コンバージェンス イベントを防止できます。BPDU ガードは、エラーで無効になったポート を手動で再度有効にできる場合にのみ使用します。 ループ ガードを使用すると、物理接続やパケット フォワーディングが正常で、STP(BPDU 生成、 フォワーディング、計算)が機能しないようなソフト障害からネットワークを保護できます。 トランキング プロトコル この項は、次の項目で構成されています。 • 単一イーサネット リンクへの複数の VLAN の導入(トランキング)(p.25) • VTP:Virtual Trunk Protocol(p.26) • DTP:Dynamic Trunk Protocol(p.27) • 二重 802.1Q カプセル化 VLAN ホッピングの防止(p.28) 単一イーサネット リンクへの複数の VLAN の導入(トランキング) VLAN は、ハイ アベイラビリティ ネットワークに必要な、ブロードキャスト範囲の限定、ポリ シーの実装、および障害の隔離といった利点を提供します。 トランキング プロトコルを使用すると、ネットワーク ノードの相互接続(アップリンク)におい て単一の物理リンクで複数の VLAN をサポートできます(図 22 を参照)。 複数の VLAN を単一の相互接続で運用 㖸ჿ ࠺࠲ WLAN 119821 図 22 現在利用可能なトランクは、次の 2 種類です。 • 802.1Q • Inter-Switch Link(ISL; スイッチ間リンク) 802.1Q は、IEEE(電気電子学会)標準の実装です。シスコは、この標準が確立される前に ISL ト ランキングを開発しました。一般的に、いずれかを使用すべきだという技術的理由はありません。 ISL は、二重の CRC チェックを実行するため、少量の帯域幅を余分に消費します。現在のベスト ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 25 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー プラクティスは、単純さ、互換性、効率性に優れた 802.1Q トランクを使用することです。シスコ の 802.1Q の拡張機能を実装すると、802.1Q タグなしネイティブ VLAN に関連したセキュリティ の問題を防止できます。 次に、単一のスイッチ間相互接続またはトランクで複数の VLAN を導入するときに使用するベス ト プラクティスを示します。 • アクセスおよびディストリビューション レイヤ間の相互接続上に VLAN を導入する。 • VLAN Trunking Protocol(VTP; VLAN トランキング プロトコル)をトランスペアレント モー ドで使用して、運用上のミスの可能性を減らす。 • トランク モードを on に、カプセル化ネゴシエーションを off に固定して、最適なコンバー ジェンスを実現する。 • ネイティブ VLAN を未使用の ID に割り当てるか、タグ付きネイティブ VLAN オプションを 使用して、VLAN ホッピングを防止する。 • 不要な VLAN をトランクからすべて手動で除去する。 • 次のコマンドを使用して、ホスト ポートでトランキング/VLAN タギングを無効にする。 – CatOS ― set port host – Cisco IOS ソフトウェア ― switchport host (注) set port host マクロは、トランキングを無効にするほか、EtherChannel を無効にし、STP PortFast を 有効にします。 VTP:Virtual Trunk Protocol Virtual Trunk Protocol(VTP; 仮想トランク プロトコル)を使用すると、ネットワーク管理者は VLAN データベースを集中管理できます。VTP は VLAN トランキングの基本的なコンポーネント です(図 23 を参照) 。 図 23 VTP の動作 VLAN 50 ⇁ᚨܭ A ࠕ࠶ࡊ ࠺࠻ࠍ ࡄࠬࠬ࡞ ⇛∞⇶ ࠻ࡦࠬࡍࠕࡦ࠻ ࠻ࡦࠢ ࠻ࡦࠢ B ⇕∏⇊⇈∙⇮ VTP ࠕ࠶ࡊ ࠻ࡦࠢ ࠺࠻ࠍ ᑄ᫈ ⇐⇻ ⇕∏⇊⇈∙⇮ OKޔ VLAN 50 ࠍ ⼂ C 119822 OKޔ VLAN 50 ࠍ ⼂ VTP は、トランク上でのみ動作し、次の 4 つのモードがあります。 • サーバ ― クライアントとサーバのデータベースを更新します。VTP サーバ スイッチは、VTP データベースを VTP クライアント スイッチに伝搬します。 • クライアント ― アップデートを受信しますが、変更を加えることはできません。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 26 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー • トランスペアレント ― アップデートをパススルーします。 • オフ ― VTP アップデートを無視し、廃棄します。 同じ VLAN が任意の 2 つのアクセス レイヤ スイッチに存在するトポロジは推奨されません。通 常、VLAN の追加や削除は、頻繁に行われるネットワーク管理作業ではありません。ほとんどの 場合、VLAN は、スイッチのセットアップ時に一度定義され、アクセス レイヤ スイッチの VLAN データベースに少しの追加修正を加える(ある場合)程度です。ネットワークで VLAN 情報を動 的に伝搬することは、運用上のミスによって予期しない動作が発生する可能性に見合うほどの価 値はありません。この理由から、推奨される設定オプションは VTP トランスペアレント モードです。 802.1X 対応の VLAN 割り当てや検疫 VLAN を使用する Cisco Network Admission Control(NAC) といった新しいテクノロジーは、トランスペアレント モードで使用する必要があります。これら のテクノロジーには、各アクセス レイヤ スイッチで共通の名前を持つ一意の VLAN データベー スが必要です。 集中管理される共通 VLAN データベースが必要な場合は、VTP バージョン 3 の使用を検討してく ださい。VTPv3 には、セキュリティと信頼性に関するさまざまな拡張機能が含まれています。 DTP:Dynamic Trunk Protocol Dynamic Trunk Protocol(DTP; ダイナミック トランク プロトコル)は、スイッチの相互接続上で 動作し、トランキング インターフェイスを形成します(図 24 を参照)。 図 24 DTP の設定 on/on ࠻ࡦࠢ auto/desirable desirable/desirabel ࠻ࡦࠢ off/onޔautoޔdesirable ࠻ࡦࠢߥߒ 119823 off/off ࠻ࡦࠢߥߒ 次に、図 24 に示されている DTP の設定を説明します。 • トランキングされるスイッチ間の相互接続の自動形成 – on ― 常にトランクを形成します。 – desirable ― 自分からネゴシエーションを行い、相手のスイッチが了解する場合にトラン クを形成します。 – auto ― 相手のスイッチからネゴシエーションが行われた場合にそれを了解しトランクを 形成します。 – off ― トランクを形成しません。 • 802.1Q または ISL カプセル化のネゴシエーション – ISL ― ISL トランク カプセル化の使用を試みます。 – 802.1Q ― 802.1Q カプセル化の使用を試みます。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 27 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー – negotiate ― ISL または 802.1Q カプセル化を相手のスイッチとネゴシエートします。 – no negotiate ― 固定されたカプセル化を常に使用します。 通常は、相互接続の一方(通常はアクセス)を auto に設定し、もう一方(通常はディストリビュー ション)を desirable に設定します。この設定により、相互接続上で動作する DTP を使用してト ランクの自動形成が行われ、ハードウェアの障害やソフトウェアの誤設定から保護できます。も う 1 つの方法として、トランクの両側を desirable に設定することもできます。これには、show コ マンドを使用して正常なトランキング接続を明示できるという操作上の利点があります。ただし、 DTP と 802.1Q または ISL ネゴシエーションが有効になっているときは、ノードまたはインター フェイスの復元時に、トランク設定のネゴシエーションに相当な時間がかかる場合があります。 このネゴシエーションが行われている間、L2 上ではリンクがアップになるため、トラフィックは 廃棄されます。 図 25 に示すとおり、トランキング インターフェイスを静的にトランク モードに設定し、トラン ク タイプ(ISL または 802.1Q)の動的なネゴシエートを行わないよう設定することによって、2 秒 間ものパケット ドロップを解消できます。 トランキング インターフェイスのパフォーマンス 2.5 2 2 ⑽ߩ ㆃᑧ/៊ᄬࠍ ⸃ᶖ 1.5 1 0.5 0 3550㧔IOS㧕 4507㧔IOS㧕 4006㧔CatOS㧕 6500㧔CatOS㧕 119824 ࠦࡦࡃࠫࠚࡦࠬᤨ㑆㧔⑽㧕 図 25 ࠻ࡦࠠࡦࠣ desirable ࠻ࡦࠠࡦࠣ no negotiate この設定変更をする場合に、正しい順序で実効しないと、インバンドの変更を加えるスイッチか ら対向または離れたスイッチに対して接続が失われる可能性があることに留意してください。離 れたスイッチに対してアウトオブバンドの接続を持つか、変更プロセスを十分確認し、接続が失 われないように注意してください。 次に、この設定を実行する方法を例示します。 CatOS の場合: set trunk <port> nonegotiate dot1q <vlan> Cisco IOS ソフトウェアの場合: switchport mode trunk switchport nonegotiate この設定は、トランキング インターフェイスを常にトランクに設定し、ISL または 802.1Q トラン キング形式のネゴシエーションを防止することによって、コンバージェンスを最適化します。 二重 802.1Q カプセル化 VLAN ホッピングの防止 わずかながら、攻撃者が二重 802.1Q カプセル化パケットを作成できる可能性があります。攻撃者 が 802.1Q ネイティブ VLAN について特定の知識を持っている場合、パケットが処理されて、タ グなしネイティブ VLAN にスイッチされるときに、最初(最も外側)のタグが削除されるような パケットを作成できます。パケットがターゲット スイッチに到達すると、内側(2 番目)のタグ が処理されて、悪意のあるパケットがターゲット VLAN にスイッチされる可能性があります(図 26 を参照)。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 28 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー 二重 802.1Q カプセル化パケット ⇻−∞∆ 1Q ⇻−∞∆ 1Q .1Q ࠬࠗ࠶࠴ 1 ࠕࠢࠬ ࡐ࠻ VLAN Blue ࠻ࡦࠢ ⇻−∞∆ ࠬࠗ࠶࠴ 2 ࡀࠗ࠹ࠖࡉ VLAN Blue ࠕࠢࠬ ࡐ࠻ VLAN Red 119825 図 26 一見すると、これには重大なリスクがあるように思われます。しかし、この攻撃シナリオのトラ フィックは単一方向であり、このメカニズムによってリターン トラフィックをスイッチすること はできません。さらに、攻撃者がネイティブ VLAN ID を知っていないかぎり、この攻撃は機能し ません。 この攻撃のリスクを緩和するには、ネイティブ VLAN を、ネットワークの実際のトラフィックに は使用されない分かりにくい ID に設定します。さらに、ホストに接続されているすべてのポート で 802.1Q トランキングを無効にする必要があります(図 27 を参照)。 この手順に従うと、二重タグ付きパケットがネットワークに侵入することは不可能です。たとえ 侵入できても、タグなしネイティブ VLAN またはターゲット VLAN にスイッチされるような正し いタグを持つ可能性は非常に低くなります。 二重タグ付きパケット攻撃の防止 ⇻−∞∆ 1Q ⇻−∞∆ .1Q ࠬࠗ࠶࠴ 1 ࠕࠢࠬ ࡐ࠻ VLAN Blue ࠻ࡦࠢ ࠬࠗ࠶࠴ 2 ࡀࠗ࠹ࠖࡉ VLAN Green ࠕࠢࠬ ࡐ࠻ VLAN Red 119826 図 27 次の設定例は、802.1Q ネイティブ VLAN を 1(デフォルト)以外に変更する方法を示しています。 これにより、パケットに正しくタグ付けすることが困難になるため、VLAN ホッピング攻撃の防 止に役立ちます。 CatOS の場合: set vlan 207 1/1 clear trunk 1/1 1-6,8-49,52-106,108-206,208-554,556-4094 set trunk 1/1 nonegotiate dot1q 7,50-51,107,207,555 Cisco IOS ソフトウェアの場合: switchport trunk native vlan 207 switchport trunk allowed vlan 7,50-51,107,207,555 次の設定例は、タグ付きトラフィックがサポートされないように、ユーザ側ポートの設定を変更 する方法を示しています。 CatOS の場合: set port host Cisco IOS ソフトウェアの場合: switchport host アクセス ポートを設定する場合は、host マクロを使用することを推奨します。CatOS の set port host または Cisco IOS ソフトウェアの switchport host コマンドを使用すると、トランキングと EtherChannel を無効にし、STP PortFast が有効にされます。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 29 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー さらに、シスコ スイッチのオペレーティング ソフトウェアでは、すべてのネイティブ VLAN ト ラフィックをタグ付けできるようになりました。これによって、二重 802.1Q タグ付けパケットが VLAN をホッピングする可能性がなくなります。 次の設定例では、すべてのネイティブ VLAN トラフィックのタグ付けを強制します。 CatOS の場合: set dot1q-all-tagged enable Cisco IOS ソフトウェアの場合: switchport native vlan tag UDLD による片方向通信からの保護 光ファイバ環境では片方向通信が可能なため、双方向での通信が確立されていない場合でも、送 信/受信ペアの不一致があると、リンクが Up/Up 状態になることがあります。こうした物理配線の エラーが発生すると、送信/受信ペアの不一致により、STP や RSTP などのプロトコルでループが 発生する場合があります(図 28 を参照) 。 ⺋ߞߚ‛ℂ᭴ᚑ 119827 ା ฃ ㅍା ା ᱜߒ ฃ ㅍା ฃା ㅍା 送信/受信ペアの不一致 ㅍା ฃା 図 28 UniDirectional Link Detection(UDLD; 単方向リンク検出)は、このような片方向通信による問題か らネットワークを保護します。UDLD は Hello メッセージを監視して、宛先デバイスから応答が 受信されることを確認します(図 29 を参照)。 図 29 UDLD 119828 Hello ߦᔕ╵ ߒߡࠆ߆? 送信元マシンのポートとノード情報を含む Hello が受信されない場合は、誤設定であることがわ かり、ポートはエラーにより無効になります。 光ファイバの相互接続が使用されるすべての環境で、UDLD アグレッシブ モードを有効にします。 以前は、UDLD アグレッシブ モードによって旧式の機器の CPU リソースが悪影響を受ける場合 があるため、デフォルトのスロー モードが使用されていました。しかし、これは最新のハード ウェアを採用したキャンパス トポロジでは問題にならなくなりました。すべての光ファイバ イン ターフェイスでそれぞれ UDLD を有効にしなくてすむように、UDLD をグローバル モードで有効 にします。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 30 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー 次の設定例は、CatOS と Cisco IOS ソフトウェアで UDLD を有効にする方法を示しています。 CatOS の場合: set udld enable set udld aggressive-mode en <mod/port> Cisco IOS ソフトウェアの場合(グローバル コンフィギュレーション モード): udld aggressive リンク アグリゲーション — EtherChannel プロトコルと 802.3ad 複数の冗長リンクを単一の論理エンティティにグループ化することをリンク アグリゲーションと 呼びます。これには、先行標準の Cisco EtherChannel 実装と、IEEE 802.3ad 標準ベースの実装の 2 種 類があります。前者は制御メカニズムとして Port Aggregation Protocol(PAgP; ポート アグリゲー ション プロトコル)を使用し、後者は Link Aggregation Control Protocol(LACP)を使用します。 これら 2 つのプロトコルは、手動設定が多少は必要ですが、相互運用可能です。本文書の残りの 部分では、両方のプロトコルを EtherChannel という用語で表します。 EtherChannel は、冗長リンクの帯域幅を集約し、シングル ポイント障害を防止します。この論理 的なグループ化を行わない場合は、ループのないトポロジを維持するために STP/RTSP によって 冗長インターフェイスがブロッキング ステートにされます(図 30 を参照) 。 図 30 EtherChannel 119829 EtherChannel スイッチ間には、最大 8 つのパラレル リンクを使用したチャネルを作成できます。また、これら のチャネルは複数の物理ラインカード上のインターフェイスに作成できます。これにより、1 つ のラインカードで障害が発生しても接続が完全に失われることがなくなるため、アベイラビリ ティが向上します。3750 スタッカブル スイッチ ファミリでは、EtherChannel のメンバーが複数の スタック メンバー上に存在するようなクロススタック チャネルを作成することにより、非常に高 いアベイラビリティを実現できます。 EtherChannel は通常、 アベイラビリティの向上と帯域幅の拡張が要求されるディストリビューショ ン/コア間およびコア間の相互接続に導入されます。複数の個別のポイントツーポイント L3 イン ターフェイスを使用すると、L3 ネイバー関係が大幅に増加するため、メモリと設定の要件が不必 要に増大します。 シスコのスイッチでは、パケットが伝送される特定の EtherChannel リンクの選択に使用される ハッシュ アルゴリズムを調整できます。デフォルトでは送信元/宛先 IP 情報をハッシュ入力値と して使用しますが、入力値として L4 TCP/IP ポート情報を追加することによって、さらに高レベ ルのロード バランシングを使用することもできます。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 31 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー 現在のベスト プラクティスは、EtherChannel アルゴリズムへの入力として可能なかぎり多くの情 報を使用して、EtherChannel メンバーを最も均等に利用することです。 RFC 1918 のプライベート アドレス空間を使用し、VLAN ごとに 1 つのサブネット、およびアクセ ス スイッチごとに 2 つの VLAN がある標準的な IP アドレス指定方式を使用したテスト環境では、 デフォルトの L3 アルゴリズムによる利用率は、およそ 1/3 対 2/3 でした。L4 情報を含むようにア ルゴリズムを変更すると、同じトポロジとトラフィック パターンにおいて、利用率はほぼ均等に なりました(図 31 を参照) 。 図 31 EtherChannel のテスト結果 L3 ࡂ࠶ࠪࡘ ࡦࠢ 0 ߩ⽶⩄㧦68% 70 68% 60 ࡦࠢ 1 ߩ⽶⩄㧦32% 50 52% 48% 40 L4 ࡂ࠶ࠪࡘ ࡦࠢ 0 ߩ⽶⩄㧦52% 30 32% 20 0 ࡦࠢ 1 ߩ⽶⩄㧦48% ࡦࠢ 0 ߩ⽶⩄ ࡦࠢ 1 ߩ⽶⩄ ࡦࠢ 0 ߩ⽶⩄ L3 ⇵⇩⇝∋ ࡦࠢ 1 ߩ⽶⩄ 119830 10 L4 ⇵⇩⇝∋ 次の設定例は、CatOS を使用する Cisco Catalyst 6000 シリーズ スイッチで EtherChannel 入力アル ゴリズムを変更する方法を示しています。 port-channel load-balance src-dst-port リンク アグリゲーション プロトコル PAgP または LACP を使用すると、相互接続されたスイッチ間で EtherChannel トンネルを自動形成 できます(図 32 を参照)。 図 32 PAgP の動作 on/on ࠴ࡖࡀ࡞ on/off ࠴ࡖࡀ࡞ߥߒ auto/desirable ࠴ࡖࡀ࡞ 119831 off/onޔautoޔdesirable ࠴ࡖࡀ࡞ߥߒ ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 32 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー PAgP には、バンドルされた冗長スイッチ間相互接続の自動形成に関連して 4 つのモードがあり ます。 • on ― 常に EtherChannel メンバーになります。 • desirable ― 相手がメンバーになることを要求します。 • auto ― 相手が要求してきた場合メンバーになります。 • off ― メンバーになりません。 トランキング/DTP と同様に、EtherChannel/PAgP では長年にわたり、相互接続の一方(通常はア クセス スイッチ)を auto に設定し、もう一方(通常はディストリビューション スイッチ)を desirable に設定していました。この設定では、設定が完了したときにトランクが確立され、チャ ネルが完全に確立されていなくても、リモート スイッチへの接続が常に利用可能です。 このオプションでは最も安全な導入が可能ですが、リンクまたはノードが復旧した時にネゴシ エーションのための時間を要します。そのため、最適なパフォーマンスに調整するときは、PAgP を無効にし、チャネル メンバーを on/on に設定します。この最適化を行うときには、考慮すべき マイナス面があります。auto/desirable 設定を使用した場合には、PAgP が有効になり、STP ループ の発生原因になる構成ミスやハードウェア障害からネットワークを保護しますが、on/on 設定を使 用すると、PAgP は有効にならず、構成ミス(ペアの不一致)やハードウェア障害によって、予期 しない STP 動作が発生する場合があります。 レイヤ間で CatOS と Cisco IOS ソフトウェアが混在するような特殊な状況においては、チャネル のネゴシエーション時に相当な時間パケット ドロップが発生する場合があります。CatOS での PAgP のデフォルト ステートは desirable であるため、CatOS のスイッチは EtherChannel のネゴシ エーションを試みます。Cisco IOS ソフトウェアのデフォルト ステートは off です。ポート チャネ ル インターフェイスを明示的に作成し、EtherChannel の物理インターフェイスを作成しないかぎ り、PAgP は有効にならず、EtherChannel ネゴシエーションは行われません。 CatOS デバイスと Cisco IOS ソフトウェア デバイス間のリンクでは、EtherChannel が必要でない場 合、PAgP ネゴシエーションを無効にする必要があります。EtherChannel ネゴシエーションを無効 にしない場合は、CatOS と Cisco IOS ソフトウェアのデフォルト ステートの不一致によって、リ ンク ネゴシエーション時に 7 秒間もの損失が発生することがあります(図 33 を参照)。 PAgP のパフォーマンス結果 7 6500㧔CatOS㧕 4006㧔CatOS㧕 6 5 4 7 ⑽߽ߩ ㆃᑧ/៊ᄬࠍ ⸃ᶖ 3 2 119832 ࠦࡦࡃࠫࠚࡦࠬᤨ㑆㧔⑽㧕 図 33 1 0 PAgP ਇ৻⥌ PAgP ࠝࡈ PAgP ネゴシエーションを無効にするには、次のコマンドを使用します。 CatOS の場合: set port channel <mod/port> off さらに、ポート アグリゲーションをエンド ユーザ側のインターフェイスで無効にする必要があり ます。これは、set port host マクロを使用することによって最も効果的に実現できます。このマク ロは、トランキングと EtherChannel を無効にし、STP PortFast を有効にします。 CatOS の場合: set port host ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 33 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー Cisco IOS ソフトウェアの場合: switchport host 次の設定例は、最適なコンバージェンスを実現する EtherChannel の設定を示しています。 Cisco IOS ソフトウェア(グローバル コンフィギュレーション モードの場合): port-channel load-balance src-dst-port interface GigabitEthernet2/1 description to 6k-Core-left CH#1 no ip address mls qos trust dscp channel-group 1 mode on ! interface GigabitEthernet2/2 description to 6k-Core-left CH#1 no ip address mls qos trust dscp channel-group 1 mode on ! interface Port-channel1 description to cr2-6500-1 CHANNEL #1 ip address 10.122.0.34 255.255.255.252 mls qos trust dscp HSRP、VRRP、または GLBP を使用したデフォルト ゲートウェイの 冗長化 デフォルト ゲートウェイを冗長化(ファースト ホップの冗長性)すると、ハイ アベイラビリティ ネットワークにおいて、アクセス セグメントの端末のデフォルト ゲートウェイとして動作してい るデバイスの障害から回復できます(図 34 を参照)。 図 34 ファースト ホップ デフォルト ゲートウェイの冗長性 VIP㧦10.88.1.1 MAC㧦0000.0c123.3456 VMAC㧦0000.0c07ac00 VIP㧦10.88.1.1 MAC㧦0000.0c78.9abc Ᏹߦ Ḱ⁁ᘒ ࠕࠢ࠹ࠖࡉ ࠬ࠲ࡦࡃࠗ .4 .5 .6 119833 .7 .3 ࠥ࠻࠙ࠚࠗ .1 ࠥ࠻࠙ࠚࠗ .1 ࠥ࠻࠙ࠚࠗ .1 推奨される階層型モデルでは、ディストリビューション スイッチが L2/L3 境界であり、それらが サポートする L2 ドメイン全体のデフォルト ゲートウェイとしても動作します。こうした環境は 大規模になる場合があり、デフォルト ゲートウェイとして動作しているデバイスが障害を起こす と深刻な機能停止が発生する可能性があるため、何らかの冗長性が要求されます。 シスコは、このニーズに対処するために Hot Standby Router Protocol (HSRP; ホットスタンバイ ルータ プロトコル)を開発しました。さらに IETF がデフォルト ゲートウェイの冗長性を提供す る標準規格ベースの方式として Virtual Router Redundancy Protocol(VRRP; 仮想ルータ冗長プロト コル)を承認しました。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 34 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー HSRP と、シスコの拡張機能を加えた VRRP は、両方ともデフォルト ゲートウェイをバックアッ プする安定した方式を提供し、適切にチューニングを行うことにより冗長ディストリビューショ ン スイッチへの 1 秒未満のフェイルオーバーを実現できます。推奨されるプロトコルは HSRP で す。HSRP はシスコ独自の規格であるため、VRRP よりも迅速に新しい機能の開発が行われます。 シスコ以外のデバイスとの相互運用が必要なときは、VRRP も許容される選択肢です。ただし、シ スコ以外のデバイスと相互運用すると、標準的な機能しか使用できず、VRRP に対するシスコの 拡張機能は利用できません。 次の設定例は、キャンパス環境において 1 秒未満でコンバージェンスを実行できるよう HSRP を 調整する方法を示しています。 interface Vlan5 description Data VLAN for 6k-Access ip address 10.1.5.3 255.255.255.0 ip helper-address 10.5.10.20 standby 1 ip 10.1.5.1 standby 1 timers msec 200 msec 750 standby 1 priority 150 standby 1 preempt standby 1 preempt delay minimum 180 HSRP を調整するときに考慮すべき 1 つの重要な要素は、プリエンプションです。プリエンプショ ンによって、プライマリ HSRP ピアは、障害またはメンテナンス イベント後にオンライン状態へ 戻ったときに、プライマリ ロールを再び引き受けます。 STP/RSTP ルートは特定のサブネットまたは VLAN について HSRP プライマリと同じデバイスで あることが必要なため、プリエンプションは望ましい動作です。HSRP と STP/RSTP が同期してい ない場合は、ディストリビューション スイッチ間の相互接続がトランジット リンクになることが あり、トラフィックはデフォルト ゲートウェイまでマルチホップ L2 パスを通過します。 HSRP のプリエンプションは、スイッチのブート時間とネットワークの他の部分への接続を考慮 する必要があります。プライマリ スイッチがコアに L3 接続する前に、HSRP ネイバー関係が形成 され、プリエンプションが実行される可能性があります。こうなると、トラフィックは完全な L3 接続が確立されるまで廃棄される場合があります。 推奨されるベスト プラクティスは、システムのブート時間を測定し、HSRP preempt delay の値を、 この値よりも 50% 大きな値に設定することです。こうすると、HSRP プライマリ ディストリビュー ション ノードがネットワークのすべての部分への完全な接続を確立してから、HSRP のプリエン プションが実行されます(図 35 を参照)。 35 プリエンプション ディレイのテスト結果 ࠹ࠬ࠻ ࠷࡞ߩ࠲ࠗࡓࠕ࠙࠻㧦30 ⑽ 30 25 20 30 ⑽ࠍ߃ࠆ ㆃᑧ/៊ᄬࠍ ⸃ᶖ 15 10 5 0 3550㧔IOS㧕 2950㧔IOS㧕 4006㧔CatOS㧕 4507㧔IOS㧕 6500㧔CatOS㧕 6500㧔IOS㧕 119834 ࠦࡦࡃࠫࠚࡦࠬᤨ㑆㧔⑽㧕 図 35 ࡊࠛࡦࡊ࡚ࠪࡦߩ ࠺ࠖࠗߥߒ ࡊࠛࡦࡊ࡚ࠪࡦߩ ࠺ࠖࠗࠍ⺞ᢛ ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 35 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー Cisco IOS ソフトウェアを使用したベスト プラクティスを、次の設定例で示します。 interface Vlan5 description Data VLAN for 6k-Access ip address 10.1.5.3 255.255.255.0 ip helper-address 10.5.10.20 standby 1 ip 10.1.5.1 standby 1 timers msec 200 msec 750 standby 1 priority 150 standby 1 preempt standby 1 preempt delay minimum 180 GLBP Gateway Load Balancing Protocol(GLBP)は、HSRP や VRRP と同様、ルータまたは回線の障害か らデータ トラフィックを保護するとともに、冗長ルータ グループ間でパケットのロード シェア リングを可能にします。 HSRP または VRRP を使用してデフォルト ゲートウェイを冗長化すると、ピア関係のバックアッ プ メンバーはアイドル状態になり、障害イベントの発生に備えて待機し、障害発生時には役割を 引き受け、トラフィックをアクティブに転送します(図 36 を参照) 。 図 36 アイドル状態のバックアップ キャパシティ VIP㧦10.88.1.1 MAC㧦0000.0c123.3456 VMAC㧦0000.0c07ac00 VIP㧦10.88.1.1 MAC㧦0000.0c78.9abc ࠕࠗ࠼࡞ ⁁ᘒ ࠕࠢ࠹ࠖࡉ ࠬ࠲ࡦࡃࠗ .4 .5 .6 119835 .7 .3 ࠥ࠻࠙ࠚࠗ .1 ࠥ࠻࠙ࠚࠗ .1 ࠥ࠻࠙ࠚࠗ .1 GLBP が開発される前は、アップリンクを効率よく利用する方式を実装して管理することは困難 でした。1 つの手法では、HSRP プライマリおよび STP/RSTP ルートをディストリビューション ノード ピア間で VLAN ごとに分散させ、偶数の VLAN は一方のピアをホームとし、奇数の VLAN はもう一方のピアをホームとします。別の手法では、複数の HSRP グループを単一のインターフェ イスで使用し、DHCP を使用して複数のデフォルト ゲートウェイを交互に使用します。これらの 手法は問題なく動作はしますが、設定、メンテナンス、または管理の面から見ると最適とはいえ ませんでした。 GLBP は、HSRP と同様に設定および機能します。HSRP では、エンド ポイントが Address Resolution Protocol(ARP; アドレス解決プロトコル)を使用してデフォルト ゲートウェイの物理 MAC アド レスを学習するときに、単一の仮想 MAC アドレスを通知します(図 37 を参照)。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 36 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー 図 37 HSRP の動作 VIP 10.88.1.10 HSRP 1 IP 10.88.1.10 VMAC 0000.0000.0001 HSRP 1 IP 10.88.1.10 VMAC 0000.0000.0001 ARP ᔕ╵ .1 .2 10.88.1.0/24 .4 A B 10.88.1.10 ߦኻߔࠆ ARP MAC 0000.0000.0001 ࠍขᓧ 119836 10.88.1.10 ߦኻߔࠆ ARP MAC 0000.0000.0001 ࠍขᓧ .5 GLBP では、2 つの仮想 MAC アドレス(各 GLBP ピアに 1 つ)が存在します(図 38 を参照) 。 図 38 GLBP の動作 VIP 10.88.1.10 GLBP 1 IP 10.88.1.10 VMAC 0000.0000.0001 GLBP 1 IP 10.88.1.10 VMAC 0000.0000.0002 ARP ᔕ╵ .1 .2 10.88.1.0/24 .4 A B 10.88.1.10 ߦኻߔࠆ ARP MAC 0000.0000.0002 ࠍขᓧ 119837 10.88.1.10 ߦኻߔࠆ ARP MAC 0000.0000.0001 ࠍขᓧ .5 エンド ポイントがデフォルト ゲートウェイに対する ARP を要求すると、仮想 MAC がラウンド ロビン方式でチェックされます。フェイルオーバーとコンバージェンスは HSRP とまったく同様 に機能します。障害発生時には、バックアップ ピアは、障害が発生したデバイスの仮想 MAC を 引き継ぎ、障害が発生したピアに代わってトラフィックの転送を開始します。 その結果、わずかの設定でアップリンクがより均等に利用されます。副次的効果として、アップ リンクまたはプライマリ ディストリビューション ノードでコンバージェンス イベントが発生し ても半数のホストにしか影響を与えないため、平均 50% の影響が削減されます(図 39 を参照) 。 図 39 GLBP、HSRP、および VRRP のテスト結果 2 1.8 1.6 1.4 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 VRRP HSRP GLBP GLBP ߢߪ ࡈࡠߩ 50% ߇ ៊ᄬߥߒ GLBP ߢߪ 50% ะ 119838 ࠦࡦࡃࠫࠚࡦࠬᤨ㑆㧔⑽㧕 ⇭⇉⇟⇮∐⇹∋∞⇝∍∙/⇈⇕⇡⇟᧓∐∙⇕↝ᨦܹ ⇈⇕⇡⇟ⅺ↸⇛∞⇶ ⇻⇇∞∆ ᦨ㐳 ᦨ⍴ ᐔဋ ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 37 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー 次の設定例は、これらの結果を達成するために GLBP を設定する方法を示しています。 interface Vlan7 description Data VLAN for 4k-Access ip address 10.120.7.3 255.255.255.0 ip helper-address 10.121.0.5 glbp 1 ip 10.120.7.1 glbp 1 timers msec 250 msec 750 glbp 1 priority 150 glbp 1 preempt delay minimum 180 図 40 に示すとおり、STP がアクセス レイヤ アップリンクの 1 つをブロックしているトポロジで GLBP を使用すると、アップストリーム トラフィックの L2 でのパスが 2 ホップになる可能性があ ることに注意してください。 STP でアップリンクがブロックされた GLBP ⇙⇈ ⇙⇈ ࠗࡗ 3 ࠺ࠖࠬ࠻ ࡆࡘ࡚ࠪࡦ B GLBP ᗐ MAC 2 ࠺ࠖࠬ࠻ ⇭⇉⇟⇮∐ ࡆࡘ࡚ࠪࡦ A ⇹∋∞⇝∍∙ GLBP ᗐ ࠗࡗ 2/3 MAC 1 F2 ⇈⇕⇡⇟ ࠗࡗ 2 B2 F2 B2 F㧦ࡈࠜࡢ࠺ࠖࡦࠣ B㧦ࡉࡠ࠶ࠠࡦࠣ VLAN 2 VLAN 2 119856 図 40 こうした状況を避けるには、ディストリビューション スイッチ間の L2 リンクがブロッキング リ ンクである一方、アクセス レイヤ スイッチからのアップリンクがフォワーディング ステートに なるように、スパニングツリー環境を調整する必要があります。これは、STP セカンダリ ルート スイッチ上のディストリビューション レイヤ スイッチ間インターフェイスのポート コストを変 更することによって、最も容易に実現できます。プライマリ ルート スイッチ側のインターフェイ スにおいて、上記を実現するために、次の Cisco IOS コマンドをインターフェイス コンフィギュ レーション モードで入力します。 spanning-tree cost 2000 図 41 は、セカンダリ ルート スイッチのプライマリ ルート スイッチ側のインターフェイス(ディ ストリビューション間リンク:B2)で STP ポート コストを変更したあとの STP トポロジを示し ています。これによって、トラフィックは、アクセス レイヤ スイッチから両方の GLBP 仮想 MAC アドレスへ両方のアップリンクを通って流れます。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 38 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー 図 41 STP でディストリビューション間リンクがブロックされた GLBP ⇙⇈ ࠗࡗ 3 ⇙⇈ ࠺ࠖࠬ࠻ ࠺ࠖࠬ࠻ ࡆࡘ࡚ࠪࡦ B GLBP ᗐ MAC 2 B2 ⇭⇉⇟⇮∐ ࡆࡘ࡚ࠪࡦ A ⇹∋∞⇝∍∙ GLBP ᗐ MAC 1 ࠗࡗ 2/3 STP ࡐ࠻ ࠦࠬ࠻ࠍჇട F2 F2 ࠕࠢࠬ A VLAN 2 F2 ࠕࠢࠬ B F㧦ࡈࠜࡢ࠺ࠖࡦࠣ B㧦ࡉࡠ࠶ࠠࡦࠣ VLAN 2 119966 F2 ⇈⇕⇡⇟ ࠗࡗ 2 オーバーサブスクリプションと QoS この項では、QoS が必要とされる理由、および QoS が最も役立つ具体的な事例について説明し ます。 (注) 詳細については、QoS SRND(http://www.cisco.com/go/srnd)を参照してください。この Web ペー ジには、設定例やその他の技術的問題の詳細な説明があります。 キャンパス ネットワークは通常、オーバーサブスクリプションで設計されています。アクセス/ ディストリビューション間のスイッチ、ディストリビューション/コア間のスイッチ、またはコア 間のリンクでも、これらのスイッチやリンクからのアップストリーム ポートすべてにライン レー トを提供することは、通常は実用的ではありません。帯域幅容量が 1 Gbps、数 Gbps、さらには 10 Gbps まで増大しても、アクセス レイヤ スイッチ全体のすべてのポートをライン レートで同時 に動作させるだけの帯域幅を提供することは非現実的です。 アクセス/ディストリビューション間のアップリンク上のアクセス ポートについて、オーバーサブ スクリプションのおおまかな推奨割合は 20:1 です。ディストリビューション/コア間のリンクにつ いては、4:1 が推奨割合です。データセンターでは、1:1 の割合が必要です。 これらのオーバーサブスクリプションの割合を使用すると、設計上、アップリンクで輻輳が発生 します(図 42 を参照) 。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 39 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー 図 42 オーバーサブスクリプションによる輻輳 ⍍ᤨߩࠗࡦ࠲ ࡈࠚࠗࠬߩユマ ⇙⇈ ㅢᏱ 4:1 ߩ࠺࠲ߩ ࠝࡃࠨࡉࠬࠢࡊ࡚ࠪࡦ ⇭⇉⇟⇮∐⇹∋∞⇝∍∙ ㅢᏱ 20:1 ߩ࠺࠲ߩ ࠝࡃࠨࡉࠬࠢࡊ࡚ࠪࡦ ⇈⇕⇡⇟ IP IP IP IP IP IP IP IP IP IP IP IP 119839 㖸ჿ ࠺࠲ 輻輳が発生するときは、ミッションクリティカルなデータ アプリケーション、音声、ビデオと いった重要なトラフィックを保護するために QoS が必要です。さらに、QoS を使用して、不要な トラフィックの優先順位を下げることができます。たとえば、Slammer のようなインターネット ワームが侵入すると、ネットワーク内の多数のリンクで輻輳が発生する場合がありますが、QoS を利用すれば、こうしたイベントの影響を最小化できます。 Cisco Catalyst スイッチのインターフェイスで、オーバーサブスクリプションや異常なインター ネット ワームなどによって輻輳が引き起こされることは稀ですが、そうした状況が発生しても音 声やビデオを含むミッションクリティカルなアプリケーションが保護されるように、予期せぬ事 態に備えた設計が必要です。 キャンパス ネットワークで一般的な輻輳は、送信キュー(Tx キュー)の枯渇と呼ばれるタイプで す。LAN から WAN への通信時に、ルータでは、10/100 Mbps イーサネットから WAN 速度への レート変換を行う必要があります。このとき、ルータではパケットをキューに入れ、QoS を適用 して重要なトラフィックが最初に伝送されるようにします(図 43 を参照) 。 WAN 速度への変換 10/100 M ࠠࡘ 128 K ࠕ࠶ࡊࡦࠢ WAN 119840 図 43 ࡞࠲ ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 40 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 使用される基礎的なテクノロジー 図 44 に示すとおり、受信パケットが送信パケットより高速でキューに入ってくる場合に、Tx キューの枯渇が発生します。パケットはキューに入れられ、より低速のリンクへの送信を待ち受 けます。 図 44 LAN での速度変換 ࠠࡘ 100 M ࡦࠢ 119841 1 G ࡦࠢ ࠺ࠖࠬ࠻ࡆࡘ ࡚ࠪࡦ ࠬࠗ࠶࠴ ࠕࠢࠬ ࠬࠗ࠶࠴ キャンパスでは、デスクトップに向けて 10 Gbps または 1 Gbps から 10/100 Mbps に変換するとき に、パケットをキューに入れ、10 Mbps または 100 Mbps のリンクへの送信を待ち受ける必要があ ります。WAN ルータとキャンパス スイッチの相違は、インターフェイスの数、およびそれぞれ に関連付けられるメモリの量です。キャンパスでは、Tx キュー スペースの量は、WAN ルータで 使用できるメモリの量に比べてはるかに小規模です。メモリ容量が小さいため、Tx キューの枯渇 によってトラフィックが廃棄される可能性は比較的高くなります。 キャンパス ネットワーク設計で QoS を使用すると、重要なトラフィックは正しく設定された キューに配置されるため、優先順位の高いトラフィックのメモリが不足することはありません。 通常の状態において、ネットワークでは、優先順位の低いベストエフォート型トラフィックを含 めて、すべてのネットワーク トラフィックに対して十分なレベルのサービスを提供する必要があ ります。 輻輳発生時には、帯域幅が優先順位の高いトラフィック用に予約されるため、スカベンジャ クラ スのトラフィックで最初に Tx キューの枯渇やパケット ドロップが発生します。通信量の増加ま たはキャパシティの減少とともに、ベストエフォート型トラフィックも影響を受けることになり ます。ハイ アベイラビリティ ネットワーク設計の最低限の目標は、優先順位の高いミッションク リティカルなデータ アプリケーションや音声/ビデオがネットワークの輻輳によって影響を受け ないようにすることです(図 45 を参照)。 図 45 QoS による Tx キューの枯渇の緩和 ࡐࠪࡦࠣߣ ࡑࠠࡦࠣ ࠬࡠ࠶࠻࡞ ࠬࠞࡌࡦࠫࡖ ࠠࡘߪ Ⓧᭂ⊛ߦᑄ᫈ RX ࠺࠲ RX ࠬࠞࡌࡦࠫࡖ RX 㖸ჿ RX 㖸ჿߪㆃᑧ/ᑄ᫈ ⼔ࠠࡘ߳ࠆ TX 119842 ࠧ࡞࠼ ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 41 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 設計のベスト プラクティス 設計のベスト プラクティス この項では、キャンパス ネットワークでハイ アベイラビリティを保証するための推奨されるベス ト プラクティスについて説明します。次の項目で構成されます。 • デイジー チェーンの危険性(p.42) • 非対称ルーティングとユニキャスト フラッディング(p.44) • 冗長性の設計(p.46) • 複数のアクセス レイヤ スイッチにまたがる VLAN(p.49) • ディストリビューション レイヤでの L2/L3 境界の導入(p.50) • アクセス レイヤでのルーティング(p.51) デイジー チェーンの危険性 ネットワークのアクセス レイヤで複数のスイッチが使用される場合は、リンクまたはノード障害 の発生時にブラック ホールが発生しないように注意してください。図 46 では、ディストリビュー ション ノード間に L3 接続が存在します。このトポロジでは、STP/RSTP の面から見てブロックし ているリンクがないため、アップリンクは両方ともアクティブにトラフィックの送受信に使用で きます。 図 46 ディストリビューション ノード間の L3 接続 HSRP ࠕࠢ࠹ࠖࡉ HSRP ࠕࠢ࠹ࠖࡉ ࠗࡗ 3 ࡞ࡊࡃ࠶ࠢ ࠤࡉ࡞ HSRP ࠕࠢ࠹ࠖࡉ 119843 HSRP ࠬ࠲ࡦࡃࠗ ディストリビューション ノードは両方とも、ネットワークの他の部分からのリターン パス トラ フィックを、スタックまたはチェーンのすべてのメンバーに接続されているデバイスに向けてア クセス レイヤに転送できます。チェーンまたはスタックの途中にあるリンクまたはノードで障害 が発生した場合は、2 つのことが起こり得ます。 第 1 のケースでは、プライマリ ピアへの接続が失われたためスタンバイ HSRP ピアがアクティブ になり、接続されているデバイスの送信トラフィックを転送します。プライマリ HSRP ピアはア クティブのままで、同様にスタックの半分の送信トラフィックを転送します。これは最適ではあ りませんが、送信トラフィックだけを見ると問題がないように思えます。 しかし、受信トラフィックを考えると問題が発生します。リターン パス トラフィックが、そのト ラフィックの宛先である分断されたスタックに対して接続性のないディストリビューション ス イッチに到達する可能性は 50% です。間違ったディストリビューション スイッチに到達すると、 トラフィックは廃棄されます(図 47 を参照)。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 42 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 設計のベスト プラクティス 図 47 トラフィックの廃棄 ⇙⇈ ࠗࡗ 3 ⇙⇈ ⇭⇉⇟⇮∐⇹∋∞⇝∍∙ ࠗࡗ 2/3 ࠻ࡈࠖ࠶ࠢ߇ធ⛯ᕈ ߩߥࡄࠬࠍᵹࠇࠆ น⢻ᕈߪ 50% ࠗࡗ 3 ࡦࠢ ࠺ࠖࠬ࠻ ࡆࡘ࡚ࠪࡦ A ࠺ࠖࠬ࠻ ࡆࡘ࡚ࠪࡦ B VLAN 2 VLAN 2 VLAN 2 119844 ⇈⇕⇡⇟ ࠗࡗ 2 ተవ߳ߩࡄࠬ߇ߥߚ ࠻ࡈࠖ࠶ࠢߪᑄ᫈ この問題の解決策は、スタックの上端と下端を結ぶループバック ケーブルを使い、スタック全体 に代替の接続を提供することです(図 48 を参照) 。 図 48 ループバック ケーブル HSRP ࠕࠢ࠹ࠖࡉ HSRP ࠕࠢ࠹ࠖࡉ ࠗࡗ 3 HSRP ࠬ࠲ࡦࡃࠗ ࡞ࡊࡃ࠶ࠢ ࠤࡉ࡞ ディストリビューション スイッチ間に L2 相互接続がある場合は、正しいインターフェイスがブ ロッキング ステートになるように、STP/RSTP ルートとリンク コストを考慮する必要があります。 トラフィックはディストリビューション間の相互接続を通過できるため、ループバック ケーブル で接続を保証する必要はありません(図 49 を参照)。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 43 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 設計のベスト プラクティス 図 49 レイヤ 2 相互接続 ࡞࠻ ࡐ࠻ HSRP ࠕࠢ࠹ࠖࡉ STP ࡞࠻ ࡊࠗࡑ ࠗࡗ 2 STP ࡞࠻ ࠞࡦ࠳ ౬㐳ࡦࠢߩ ࡉࡠ࠶ࠠࡦࠣ HSRP ࠬ࠲ࡦࡃࠗ ࡞ࡊࡃ࠶ࠢ ࠤࡉ࡞ スタッキング技術を使用してスイッチ間を相互接続し、L2 リンクを使用してディストリビュー ション スイッチ間を相互接続するときは、STP/RSTP コンバージェンスが必要になるリンクまた はノード障害が発生した場合にディストリビューション ノードへのアップリンクが迅速にフォ ワーディング ステートに移行できるように、Cross-Stack UplinkFast(CSUF)などの STP/RSTP 拡 張機能を使用することが重要です。 StackWise テクノロジーを利用すれば、ループバック ケーブルを使用したり余計な設定を実行し たりしなくても、ディストリビューション スイッチ間で L3 接続を使用して、ベスト プラクティ スの推奨事項に従うことができます。Cisco Catalyst 3750 ファミリ スイッチで完全なスタックを作 成すると、他のモデルのチェーンやスタックに比べて、アクセス レイヤでのスタックの使用がは るかに簡単になります(図 50 を参照)。 Cisco Catalyst 3750 のスタック HSRP ࠕࠢ࠹ࠖࡉ ࡈࠜࡢ࠺ࠖࡦࠣ ࠗࡗ 3 Cisco 3750 ࡈࠜࡢ࠺ࠖࡦࠣ HSRP ࠬ࠲ࡦࡃࠗ 119847 図 50 さらに、Cisco Catalyst 4500 スイッチ ファミリや Catalyst 6500 スイッチ ファミリなどのモジュラ シャーシ スイッチを使用し、1 つのシャーシで収容条件を満たせる場合、こうした設計上の考慮 は不要になります。 非対称ルーティングとユニキャスト フラッディング VLAN が複数のアクセス レイヤ スイッチにまたがるようなトポロジを使用すると、スタンバイ HSRP、VRRP、または代替/非フォワーディング GLBP ピアを介したリターン トラフィックがター ゲット VLAN のすべてのポートにフラッディングされる場合があり、それにより、パフォーマン スに重大な影響が及ぶ可能性があります。図 51 は、共通の VLAN がアクセス レイヤ スイッチ間 で共有される冗長トポロジです。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 44 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 設計のベスト プラクティス 図 51 非対称ルーティングとユニキャスト フラッディング 㕖ኻ⒓ߩ ╬ࠦࠬ࠻ ࠲ࡦ ࡄࠬ ࠕ࠶ࡊࠬ࠻ࡓ ࡄࠤ࠶࠻ߪࠕࠢ࠹ࠖࡉ HSRP ߦ࡙࠾ࠠࡖࠬ࠻ CAM ࠲ࠗࡑߪ ࠬ࠲ࡦࡃࠗ HSRP ߢ ᦼ㒢ಾࠇ VLAN 2 VLAN 2 VLAN 2 VLAN 2 119848 ࠳࠙ࡦࠬ࠻ࡓ ࡄࠤ࠶࠻ߩ ࡈ࠶࠺ࠖࡦࠣ このトポロジでは、CAM テーブル エントリがスタンバイ HSRP ルータで期限切れになります。こ れは、ARP と CAM のエージング タイマーが異なるために発生します。エンド ポイントが最初に デフォルト ゲートウェイについて ARP を要求したあと、スタンバイ HSRP ピアに対してアップス トリームに送信されるトラフィックがないため、CAM タイマーは期限切れになります。CAM エ ントリが期限切れになって削除されると、スタンバイ HSRP ピアは、共通 VLAN のすべてのポー トに対してリターン パス トラフィックを転送する必要があります。 対応するアクセス レイヤ スイッチもターゲット MAC の CAM エントリがないため、同様に共通 VLAN のすべてのポートでリターン トラフィックをブロードキャストします。このトラフィック フラッディングにより、接続先の端末は無関係なトラフィックを大量に受信するため、パフォー マンスに影響が出ます。 VLAN が複数のアクセス レイヤ スイッチにまたがるようなトポロジを実装する必要がある場合、 対策として、ARP タイマーを調整してその値を CAM エージング タイマー以下にすることを推奨 します。ARP キャッシュ タイマーを短くすると、CAM エントリ タイマーが期限切れになって MAC エントリが削除される前に、スタンバイ HSRP ピアがターゲット IP アドレスについて ARP 要求します。その後の ARP 応答により、CAM エントリが期限切れになって削除される前に CAM テーブルが再入力されます。これによって、すべてのポートに対して非対称ルーティングされた リターン パス トラフィックのフラッディングが発生する可能性はなくなります。 前述のとおり、この問題は、VLAN が大規模な L2 ドメインで複数のアクセス レイヤ スイッチに またがるようなトポロジでのみ発生します。VLAN が複数のアクセス レイヤ スイッチにまたがっ て存在しないときは、フラッディングはトラフィックが正常に処理されるスイッチにしか発生し ないため、問題になりません。さらに、大規模な L2 環境ではフラッディングされる可能性のある トラフィックの量が増大するため、大規模な L2 ドメインほど端末のパフォーマンスに対する影響 が大きくなります。 VLAN が個々のアクセス レイヤ スイッチに閉じたトポロジを構築する場合は、トラフィックがス タンバイ HSRP、VRRP、または非フォワーディング GLBP ピアの 1 つのインターフェイス(VLAN 上の唯一のインターフェイス)にのみフラッディングされるため、こうした問題は重要ではあり ません。トラフィックは、通常使用されるインターフェイスでフラッディングされるため、最終 的な結果は同じになります。さらに、フラッディングしたトラフィックを受信するアクセス レイ ヤ スイッチは、直接接続されるホストの CAM テーブル エントリを持つため、トラフィックは目 的のホストにのみスイッチングされます。そのため、フラッディングしたトラフィックによって 他の端末が影響を受けることはありません(図 52 を参照) 。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 45 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 設計のベスト プラクティス 図 52 単一のインターフェイスへのトラフィックのフラッディング 㕖ኻ⒓ߩ ╬ࠦࠬ࠻ ࠲ࡦ ࡄࠬ ࠕ࠶ࡊࠬ࠻ࡓ ࡄࠤ࠶࠻ߪࠕࠢ࠹ࠖࡉ HSRP ߦ࡙࠾ࠠࡖࠬ࠻ VLAN 3 VLAN 4 VLAN 5 VLAN 2 119849 ࠳࠙ࡦࠬ࠻ࡓ ࡄࠤ࠶࠻ߪ න৻ߩࡐ࠻߳ ࡈ࠶࠺ࠖࡦࠣ 冗長性の設計 階層型ネットワーク モデルでは、障害の影響が重大となるようなシングル ポイント障害を排除す るために、さまざまなレベルでの冗長性が重視されます。少なくともこのモデルでは、設計全体 で冗長アップリンクを備えた冗長コアおよびディストリビューション レイヤ スイッチが必要で す。また、階層型ネットワーク モデルでは、1 つのリンクやラインカードの障害が致命的になる ような基幹リンクに対して EtherChannel での相互接続が必要です。 ただし、冗長性に関しては、過剰になりすぎる場合があります。リソースが過度に重複しないよ う注意してください。ある点に達すると、設定と管理の複雑度が冗長化による利点を上回り、メ リットがなくなっていきます(図 53 を参照)。 過度に重複したリソース 119850 図 53 図 53 では、非常に基本的なトポロジに 1 つのスイッチを追加したことによって、複雑度が何倍も 増大しています。このトポロジには、次のような問題があります。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 46 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 設計のベスト プラクティス • ルート スイッチをどこに配置すべきか。 • どのリンクをブロッキング ステートにするか。 • STP/RSTP コンバージェンスの影響はどのようなものか。 • 問題が発生したときに、いかにして原因を特定するか。 このトポロジの中心に 2 台のスイッチしかなければ、これらの問題の答えはごく単純になります。 トポロジに 3 台のスイッチが含まれる場合、答えは多くの要因に左右されます。 一方、正反対の構成にも問題があります。複数のアクセス レイヤ スイッチにまたがる複数の VLAN を必要とするトポロジで、ディストリビューション間の L2 リンクを使用しない場合、次の ような一連の問題が発生します(図 54 を参照)。 • HSRP がアクティブになるまでトラフィックが廃棄される。 • リンクがフォワーディング ステートに移行するまで 50 秒もの間、トラフィックが廃棄される。 • MaxAge タイマーが期限切れになり、リスニング ステートとラーニング ステートが完了する まで、トラフィックが廃棄される。 図 54 L2 ディストリビューション間リンクの排除 ⇙⇈ F2 ࡈࠜࡢ࠺ࠖࡦࠣߦ VLAN 2 ⒖ⴕߔࠆ߹ߢ ࠻ࡈࠖ࠶ࠢߪᑄ᫈㧦 50 ⑽㑆 STP ࠞࡦ࠳ ࡞࠻ߣ HSRP ࠬ࠲ࡦࡃࠗ Hello F2 F2 F㧦ࡈࠜࡢ࠺ࠖࡦࠣ B㧦ࡉࡠ࠶ࠠࡦࠣ HSRP ߇ࠕࠢ࠹ࠖࡉߦߥࠆ B2 ߹ߢ࠻ࡈࠖ࠶ࠢߪᑄ᫈ VLAN 2 MaxAge ߇ᦼ㒢ಾࠇߦ ߥࠅߩߘޔᓟࠬ࠾ࡦࠣ ߣ࠾ࡦࠣ߇ቢੌߔࠆ ߹ߢ࠻ࡈࠖ࠶ࠢߪᑄ᫈ 119851 STP ࡞࠻ߣ HSRP ࠕࠢ࠹ࠖࡉ STP/RSTP が移行イベントを完了するには時間がかかるため、スパニングツリー コンバージェン スにより相当な時間にわたってパケット ドロップが発生する場合があります。 さらに、ディストリビューション レイヤ スイッチ間の直接接続を排除すると、接続についてアク セス レイヤに依存することになります。これによって、障害発生時に予期しない動作が生じる場 合があります。その一例を、トポロジ内で 1 つのアップリンクに障害が発生したときのコンバー ジェンス イベントの順に沿って説明します(図 55 を参照)。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 47 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 設計のベスト プラクティス アップリンク障害時のコンバージェンス イベント ⇙⇈ ࠗࡗ 3 ⇙⇈ STP ࠞࡦ࠳ ࡞࠻ߣ HSRP ࠬ࠲ࡦࡃࠗ STP ࡞࠻ߣ ⇭⇉⇟⇮∐ HSRP ࠕࠢ࠹ࠖࡉ ⇹∋∞⇝∍∙ ࠗࡗ 2/3 F2 ⇈⇕⇡⇟ ࠗࡗ 2 Hello HSRP ߇ࠕࠢ࠹ࠖࡉߦߥࠆ ߹ߢ࠻ࡈࠖ࠶ࠢߪᑄ᫈ F2 VLAN 2 F2 F㧦ࡈࠜࡢ࠺ࠖࡦࠣ B㧦ࡉࡠ࠶ࠠࡦࠣ B2 VLAN 2 HSRP ࠕࠢ࠹ࠖࡉ 㧔৻ᤨ⊛㧕 MaxAge ⑽ᓟ㓚ኂࠍᬌޕ ߘߩᓟߣࠣࡦ࠾ࠬޔ ࠾ࡦࠣߦ⒖ⴕ 119852 図 55 アクセス a から STP ルートと HSRP プライマリ スイッチへのリンクに障害が発生すると、スタン バイ HSRP ピアがデフォルト ゲートウェイとして機能を引き継ぐまで、トラフィックの損失が発 生します。アグレッシブな HSRP タイマー(本文書で以前推奨したものなど)を使用すると、ト ラフィック損失の時間を約 900 ミリ秒に短縮できます。 そのうち、間接障害がアクセス b によって検出され、スタンバイ HSRP ピアへのリンクのブロッ キングを解除します。標準の STP では、これに 50 秒もかかる場合があります。BackboneFast と PVST+ を共に有効にした場合は、この時間を 30 秒に制限でき、Rapid PVST+ ではわずか 1 秒に短 縮できます。 間接障害が検出され、STP/RSTP がコンバージェンスを実行すると、ディストリビューション ノー ドは HSRP 関係を再確立し、プライマリ HSRP ピアがプリエンプションを行います。これにより、 アクセス a のエンド ポイントがプライマリ HSRP ピアへのトラフィック転送を開始すると、さら に別のコンバージェンス イベントが発生します。予期しない副次的影響として、アクセス a のト ラフィックがアクセス b を介してデフォルト ゲートウェイに到達します。バックアップ HSRP ピ アへのアクセス b のアップリンクは、アクセス a トラフィックのトランジット リンクになり、プ ライマリ HSRP ピアへのアクセス b のアップリンクは、アクセス b とアクセス a の両方のトラ フィックを伝送しなければならなくなります。 アクセス レイヤからネットワークの他の部分への送信トラフィックの動作については、前出の例 で説明しました(図 55) 。このトポロジでの同じコンバージェンス イベントのリターン パス トラ フィックを図 56 に示します。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 48 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 設計のベスト プラクティス 図 56 コンバージェンス イベントとリターン パス トラフィック ⇙⇈ ࠗࡗ 3 ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ ࠗࡗ 2/3 ⇙⇈ STP ࠞࡦ࠳ ࡞࠻ߣ HSRP ࠬ࠲ࡦࡃࠗ STP ࡞࠻ߣ HSRP ࠕࠢ࠹ࠖࡉ F2 F2 F2 ⇈⇕⇡⇟ ࠗࡗ 2 B2 F㧦ࡈࠜࡢ࠺ࠖࡦࠣ B㧦ࡉࡠ࠶ࠠࡦࠣ VLAN 2 VLAN 2 ࡈࠜࡢ࠺ࠖࡦࠣߦ ⒖ⴕߔࠆ߹ߢ ࠻ࡈࠖ࠶ࠢߪᑄ᫈㧦 30 ⑽㑆 図 56 に示したトポロジでは、コンバージェンスの時間は下記のとおりです。 • 802.1d ― 最大 50 秒 • PVST+(および UplinkFast)― 最大 5 秒 • Rapid PVST+(プロトコルにより処理)― 1 秒 間接障害が検出され、スタンバイ HSRP ピアへのアップリンクがアクティブになるまで、アクセ ス a 上のホストへのリターン パス トラフィックは、アクセス b に到達し廃棄されます。これには 50 秒もかかる場合があります。PVST+ と UplinkFast を使用すると、これは 3 ~ 5 秒に短縮され、 Rapid PVST+ ではさらに 1 秒にまで短縮されます。STP/RSTP コンバージェンスのあと、スタンバ イ HSRP ピアへのアクセス b のアップリンクは、アクセス a リターン パス トラフィックのトラン ジット リンクとして使用されます。 これらの機能停止はいずれも重大であり、音声やビデオといったミッションクリティカルなアプ リケーションのパフォーマンスに影響を与える場合があります。さらに、発信トラフィックとリ ターン パス トラフィックの両方のトラフィック設計やリンク キャパシティ計画は困難で複雑で す。少なくとも 1 台のアクセス レイヤ スイッチの追加に備えて、設計を考慮しておく必要があり ます。 複数のアクセス レイヤ スイッチにまたがる VLAN この項では、複数のアクセス レイヤ スイッチにまたがる VLAN を含み、コンバージェンスにつ いて STP/RSTP を使用するトポロジを構築する最適な方法を説明します(図 57 を参照)。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 49 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 設計のベスト プラクティス 複数のアクセス レイヤ スイッチにまたがる VLAN のベスト プラクティス トポロジ ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ HSRP ࠕࠢ࠹ࠖࡉ STP ࡞࠻ VLAN 20ޔ30 ࠗࡗ 2 ࠻ࡦࠢ ࠗࡗ 2 ࡦࠢ HSRP ࠬ࠲ࡦࡃࠗ STP ࠞࡦ࠳ ࡞࠻ VLAN 20ޔ30 ࠗࡗ 2 ࡦࠢ STP ∈⇭∑ ⇈⇕⇡⇟ VLAN 20 ࠺࠲ 1 VLAN 30 ࠺࠲ 2 VLAN 20 ࠺࠲ 1 VLAN 30 ࠺࠲ 2 20 119819 図 57 30 複数のアクセス レイヤ スイッチにまたがる VLAN は、ハイ アベイラビリティの面から見ると最 適な構成ではありませんが、アプリケーション要件によってそのような構成が必要であり STP の 使用が避けられない場合は、次のようにしてネットワークを最適化します。 • STP のバージョンとして Rapid PVST+ を使用します。スパニングツリー コンバージェンスが 必要なときは、Rapid PVST+ の方が PVST+ や通常の 802.1d よりも優れています。 • 2 台のディストリビューション スイッチ間で L2 リンクを提供し、予期しないトラフィック パ スと複数のコンバージェンス イベントを防止します。 • 複数のアップリンク間で VLAN の負荷を分散させる場合は、2 つのディストリビューション レイヤ スイッチに VLAN グループごとに HSRP プライマリおよび STP プライマリを分散して 配置します。1 つの VLAN での HSRP および Rapid PVST+ ルートは同じディストリビューショ ン スイッチに配置し、ディストリビューション間リンクを使用したトランジットを回避する 必要があります。 ディストリビューション レイヤでの L2/L3 境界の導入 最高のアベイラビリティを提供する実績のあるトポロジでは、STP/RSTP コンバージェンスは必要 ありません。こうしたトポロジでは、複数のアクセス レイヤ スイッチにまたがる VLAN はなく、 ディストリビューション レイヤの相互接続は L3 ポイントツーポイント リンクです。STP の面か ら見ると、両方のアクセス レイヤ アップリンクで転送が行われるため、コンバージェンスが必要 なのは、デフォルト ゲートウェイ、およびディストリビューション間リンクを介したリターン パ ス ルートの選択だけです(図 58 を参照)。 図 58 ベスト プラクティスのトポロジ HSRP ࠕࠢ࠹ࠖࡉ VLAN 20ޔ140 ࠗࡗ 3 HSRP ࠕࠢ࠹ࠖࡉ VLAN 40ޔ120 ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ ࠗࡗ 2 ࡦࠢ ࠗࡗ 2 ࡦࠢ 10.1.20.0 VLAN 20 ࠺࠲ 10.1.120.0 VLAN 120 㖸ჿ 10.1.40.0 VLAN 40 ࠺࠲ 10.1.140.0 VLAN 140 㖸ჿ 119818 HSRP ∈⇭∑ ⇈⇕⇡⇟ ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 50 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 設計のベスト プラクティス HSRP タイマーを調整することにより、HSRP プライマリから HSRP スタンバイに対して信頼性の 高いデフォルト ゲートウェイのフェイルオーバーを 900 ミリ秒未満で達成できます。これについ ては、「HSRP、VRRP、または GLBP を使用したデフォルト ゲートウェイの冗長化」(p.34)の項 に説明があります。 EIGRP では、リターン パス トラフィックについて 700 ~ 1100 ミリ秒で障害を迂回してルート変 更できます。詳細については、『High Availability Campus Recovery Analysis』を参照してください。 このトポロジでは、障害イベントに対応して、1 秒未満の双方向コンバージェンスを実行できま す(図 59 を参照)。 図 59 HSRP チューニング テストの結果 6 4 ⑽ߩ៊ᄬ 4 ⑽ߩ៊ᄬ 5 4 3 2 ࡄࠤ࠶࠻ ៊ᄬߪࡠ ࡄࠤ࠶࠻ ៊ᄬߪࡠ EIGRP OSPF 1 0 2950㧔IOS㧕 3550㧔CatOS㧕 4006㧔CatOS㧕 4507㧔IOS㧕 6500㧔CatOS㧕 6500㧔IOS㧕 119854 ࠦࡦࡃࠫࠚࡦࠬᤨ㑆㧔⑽㧕 ⇛∞⇶‒⇻⇇∞∆ⅺ↸⇈⇕⇡⇟ 7 PVST+ Rapid PVST+ このトポロジを実装するときは、プライマリ HSRP ピアがオンラインに戻り、コアとの L3 関係を 確立すると、サポートする L2 ドメイン内のすべてのエンド ポイントについて ARP 要求を行う必 要があることに注意してください。これは、等コスト ロード シェアリングが開始され、リターン パス トラフィックがノードを流れ始めると実行されます。これはリターン パス トラフィックに ついて行われるため、HSRP の状態には関係ありません。ARP 処理は Cisco IOS ソフトウェアと ハードウェアでレート制限され、過剰な ARP 要求で CPU をオーバーランさせる DoS 攻撃から CPU を保護します。 その結果、リターン パス トラフィックについて、オンラインに戻るディストリビューション ノー ドが相当な時間をかけても、サポートする L2 ドメインについてすべての IP を MAC アドレスに 解決することはできません。40 ノードのアクセス レイヤのテストでは、このコンバージェンス イ ベントの間にすべてのフローが再確立されるまで、最大 4 秒の回復時間がかかりました。結果は、 ディストリビューション ペアでサポートされる L2 ドメインのサイズに応じて変わります。 アクセス レイヤでのルーティング この項は、次の項目で構成されています。 • アクセス レイヤでの L2/L3 境界の導入(p.51) • ルーティング プロトコルの比較(p.53) • アクセス レイヤでの EIGRP の使用(p.55) • アクセス レイヤでの OSPF の使用(p.56) アクセス レイヤでの L2/L3 境界の導入 ルーティング プロトコルとキャンパス ハードウェアの進歩によって、アクセス レイヤ スイッチ でルーティング プロトコルを導入し、アクセスおよびディストリビューション レイヤ スイッチ 間で L3 ポイントツーポイント ルーテッド リンクを使用することが可能になっています(図 60 を 参照) 。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 51 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 設計のベスト プラクティス 図 60 ポイントツーポイント L3 リンクによるフル ルーテッド ソリューション ࠗࡗ 3 ⇭⇉⇟⇮∐ ⇹∋∞⇝∍∙ ࠗࡗ 3 ╬ࠦࠬ࠻ ࡦࠢ ࠗࡗ 3 ╬ࠦࠬ࠻ ࡦࠢ 10.1.20.0 VLAN 20 ࠺࠲ 10.1.120.0 VLAN 120 㖸ჿ 10.1.40.0 VLAN 40 ࠺࠲ 10.1.140.0 VLAN 140 㖸ჿ 119857 ∑∞⇬⇩⇯ ∈⇭∑ ⇈⇕⇡⇟ 図 59 と図 60 に示すとおり、アクセス レイヤが L2/L3 境界になっているトポロジとディストリ ビューション レイヤが L2/L3 境界になっているトポロジを比較すると、ルーテッド アクセス ソ リューションにはコンバージェンスの面でいくつかの利点があることがわかります。 L2/L3 境界ディストリビューション レイヤ モデルの 900 ミリ秒に対して、障害を起こしたアクセ ス/ディストリビューション間アップリンクを迂回するルート変更に必要なコンバージェンス時 間がそれを下回ることは間違いありません。リターン パス トラフィックについても、従来の L2/L3 ディストリビューション レイヤ モデルの 900 ミリ秒と比べて、EIGRP のルート変更のコンバー ジェンス時間は 200 ミリ秒未満です(図 61 を参照)。 図 61 ディストリビューション/アクセス間リンクの障害 ⇈⇕⇡⇟ⅺ↸⇛∞⇶‒⇻⇇∞∆ 4507㧔IOS㧕 6500㧔CatOS㧕 6500㧔IOS㧕 3 1.5 ⑽એ 2 ߔߴߡ 1 ⑽ᧂḩ 1 0 PVST+ ߔߴߡ 1 ⑽ᧂḩ Rapid PVST+ ߔߴߡ 1 ⑽ᧂḩ EIGRP OSPF 4 2950㧔IOS㧕 3550㧔CatOS㧕 4006㧔CatOS㧕 4507㧔IOS㧕 6500㧔CatOS㧕 6500㧔IOS㧕 3 2 ߔߴߡ 1 ⑽ᧂḩ ߔߴߡ 1 ⑽ᧂḩ SONET ߩ ㅦᐲߦㄭ SONET ߩ ㅦᐲߦㄭ 1 0 119858 2950㧔IOS㧕 3550㧔CatOS㧕 4006㧔CatOS㧕 ࠦࡦࡃࠫࠚࡦࠬᤨ㑆㧔⑽㧕 ࠦࡦࡃࠫࠚࡦࠬᤨ㑆㧔⑽㧕 ⇛∞⇶‒⇻⇇∞∆ⅺ↸⇈⇕⇡⇟ 4 PVST+ Rapid PVST+ EIGRP OSPF さらに、EIGRP と OSPF は等コスト パス上でロード シェアリングが行われるため、GLBP に似 た利点があります。トラフィックは障害のあるリンクやノードでは伝送されないため、ホストの 約 50% はコンバージェンス イベントの影響を受けません。 ルーテッド アクセス レイヤ トポロジを使用すると、ディストリビューション スイッチが L2/L3 境界となった推奨トポロジに関する問題のいくつかに対応できます。たとえば、ディストリビュー ション ノードによる大規模な L2 ドメインの ARP 処理は、この設計では問題になりません(図 62 を参照)。ディストリビューションが環境に再導入されても、L2/L3 境界がディストリビューショ ン レイヤにあるトポロジにおける 40 ノードのテスト構成で 4 秒間の機能停止が発生したのに対 して、この構成ではサービスが中断することはありません。以前の大規模な L2 ドメインと ARP 処理は、ディストリビューション ペアでサポートされるアクセス レイヤ スイッチ間で分散され るようになります。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 52 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 設計のベスト プラクティス 図 62 プライマリ ディストリビューション ノードの復元 ⇛∞⇶‒⇻⇇∞∆ⅺ↸⇈⇕⇡⇟ 7 6 4 ⑽ߩ៊ᄬ 4 ⑽ߩ៊ᄬ 5 4 3 2 1 0 PVST+ Rapid PVST+ ࡄࠤ࠶࠻ ៊ᄬߪࡠ ࡄࠤ࠶࠻ ៊ᄬߪࡠ EIGRP OSPF 40 2950㧔IOS㧕 4507㧔IOS㧕 3550㧔CatOS㧕 6500㧔CatOS㧕 4006㧔CatOS㧕 6500㧔IOS㧕 35 30 25 20 40 ⑽߽ߩ ៊ᄬ 15 10 119859 8 ⇛∞⇶‒⇻⇇∞∆ⅺ↸⇈⇕⇡⇟ 45 2950㧔IOS㧕 4507㧔IOS㧕 3550㧔CatOS㧕 6500㧔CatOS㧕 4006㧔CatOS㧕 6500㧔IOS㧕 ࠦࡦࡃࠫࠚࡦࠬᤨ㑆㧔⑽㧕 ࠦࡦࡃࠫࠚࡦࠬᤨ㑆㧔⑽㧕 9 5 0 PVST+ Rapid PVST+ EIGRP OSPF ただし、ルーテッド アクセス レイヤ トポロジも万能ではありません。アクセス レイヤとディス トリビューション レイヤ間のポイントツーポイント リンクのために追加の IP アドレスが使用さ れることを考慮する必要があります。これは、RFC 1918 のプライベート アドレス空間と Variable Length Subnet Masking(VLSM; 可変長サブネット マスキング)を使用することによって最小限に 抑えることができます。 さらに、このトポロジでは、ベスト プラクティスの推奨事項に従って、VLAN が複数のアクセス レイヤ スイッチにまたがらないようにする必要があります。それによって、この設計は他の構成 より柔軟性に欠けることになりますが、利点もあります。複数のアクセス レイヤ スイッチにまた がる VLAN をサポートするように設計を修正した場合、この設計の高速コンバージェンスの利点 を得ることはできません。 利用できる最良のコンバージェンスを必要とし、VLAN が複数のアクセス レイヤ スイッチにまた がる必要がないことが確実な場合は、ルーテッド アクセス レイヤ トポロジを使用することが、今 後の有力な代替設計案です。 ルーティング プロトコルの比較 アクセス レイヤ スイッチとディストリビューション レイヤ スイッチ間でルーティング プロトコ ルを実行するために、実行するルーティング プロトコルを選択し、その設定方法を決定します。 本書の執筆時点では、テスト結果によって、OSPF よりも EIGRP の方がキャンパス環境に適して いることが示されています。ルート フィルタリングと経路集約を提供する EIGRP の機能は、階層 型モデルに容易に対応しますが、OSPF の方は要件がより厳格なため、既存の実装には統合しにく く、より複雑なソリューションが必要です。 EIGRP と OSPF を比較した場合のその他の考慮すべき点は次のとおりです。 • キャンパス環境内では、EIGRP の方が高速なコンバージェンスと高い柔軟性を実現します。 • EIGRP は、複数階層のキャンパスに対応する複数のレベルの経路集約とルート フィルタリン グを提供します。 • OSPF は、 Link-State Advertisement (LSA; リンクステート アドバタイズメント) の生成と Shortest Path First(SPF)の計算にスロットルを実装してコンバージェンス時間を制限します。 • ルートが集約およびフィルタ処理を行っていて、リンクまたはノード障害が発生した場合に は、EIGRP ネットワーク上のディストリビューション ピアだけが新しいルートを計算する必 要があります。 階層型ネットワーク モデル内のノードまたはリンク障害に対して OSPF のコンバージェンスが実 行されると、OSPF が LSA の生成と SPF の計算で適用するスロットルによって、重大な機能停止 が発生する場合があります。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 53 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 設計のベスト プラクティス OSPF は 2 つの点で制限されています。まず、OSPF は、IOS バージョンによっては 1 秒未満には 調整できない SPF タイマーを実装しています。リンクまたはノードで障害が発生しても、このタ イマーが期限切れになるまで、OSPF ピアは動作できません。その結果、アクセス レイヤからディ ストリビューション レイヤへのアップリンクの障害、またはプライマリ ディストリビューション ノードの障害が発生した場合、最低でも 1.65 秒のコンバージェンス時間がかかります(図 63 を 参照) 。 図 63 コンバージェンス時間に対する OSPF SPF タイマーの影響 SPF ࠲ࠗࡑ߇ ᦼ㒢ಾࠇߦߥࠆ߹ߢ ࠻ࡈࠖ࠶ࠢߪᑄ᫈ 6 2950㧔IOS㧕 4507㧔IOS㧕 3550㧔CatOS㧕 6500㧔CatOS㧕 4006㧔CatOS㧕 6500㧔IOS㧕 5 4 3 2 ߔߴߡ 1 ⑽ᧂḩ ߔߴߡ 1 ⑽ᧂḩ ߔߴߡ 1 ⑽ᧂḩ 1.5 ⑽એ 119860 ࠦࡦࡃࠫࠚࡦࠬᤨ㑆㧔⑽㧕 ⇛∞⇶‒⇻⇇∞∆ⅺ↸⇈⇕⇡⇟ 7 1 0 PVST+ A (注) B Rapid PVST+ EIGRP OSPF IOS 12.2(15)T、12.2(14)S 以降の IOS では SPF/LSA スロッティング機能がサポートされ、ミリ秒単 位での SPF/LSA のタイマー チューニングが可能となっています。このタイマーのチューニングに より 1 秒未満のコンバージェンス時間を達成可能です。詳細については『High Availability Campus Network Design—Routed Access Layer using EIGRP or OSPF』または『フル ルーテッド エンタープラ イズ キャンパス ネットワークの導入』を参照してください。 SPF タイマーが期限切れになり、通常のルート変更処理が完了するまで、リターン パス トラ フィックは廃棄されます。この特定の障害に関して、PVST+、Rapid PVST+、および EIGRP では すべて 1 秒未満(EIGRP は 200 ミリ秒未満)でコンバージェンスが行われたのに対して、OSPF で はコンバージェンスに 1.65 秒以上が必要でした。 さらに、LSA 伝搬や不要な SPF 計算を制限するために必要なトータリー スタビー エリアには、 ディストリビューション ノードの復元時に好ましくない副次的影響があります。 アップストリーム トラフィックの復元のために HSRP とプリエンプションが必要になるようなト ポロジでは、コアへの接続が確立されてネットワークが安定するまで待ってから、コアへのアッ プストリーム トラフィックの転送を引き継いで開始するように、HSRP プロセスが調整されます。 EIGRP が同じトポロジで利用される場合は、接続が確立され、ネットワークが回復したディスト リビューション ノードを使用してアクセスからのトラフィックを転送できるようになると、デ フォルト ルートがネットワークのコアから伝搬され、アクセス レイヤ スイッチにのみ配信され ます。 同じトポロジで OSPF を使用した場合は、ネイバー関係が確立されると、ディストリビューショ ン ノードがコアにトラフィックを転送できるかどうかにかかわらず、デフォルト ルートがトータ リー スタビー ピア(この場合はアクセス レイヤ スイッチ)に伝搬されます。テストしたトポロ ジでは、回復中のディストリビューション ノードがコアへの接続を完全に確立していないにもか かわらず、アクセス レイヤ スイッチにデフォルト ルートを配信していました。この動作により 相当な量のトラフィックが廃棄され、テストしたトポロジでは 40 秒を超えるケースがありまし た。これは、アクセス レイヤ スイッチがディストリビューション レイヤへの両方のアップリン ク上の等コスト パスでロード シェアリングを行っており、回復中のディストリビューション ノー ドが送信されるトラフィックを転送できない間に発生しました(図 64 を参照)。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 54 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 設計のベスト プラクティス 図 64 OSPF トータリー スタビー エリアでのコンバージェンス時間 ⇛∞⇶‒⇻⇇∞∆ⅺ↸⇈⇕⇡⇟ ࠺ࡈࠜ࡞࠻ ࡞࠻ 40 2950㧔IOS㧕 3550㧔CatOS㧕 4006㧔CatOS㧕 4507㧔IOS㧕 6500㧔CatOS㧕 6500㧔IOS㧕 35 30 25 20 40 ⑽߽ߩ ៊ᄬ 15 10 119861 ࠦࠕ߳ߩធ⛯߇ ⏕┙ߐࠇࠆ߹ߢ ࠻ࡈࠖ࠶ࠢߪᑄ᫈ ࠦࡦࡃࠫࠚࡦࠬᤨ㑆㧔⑽㧕 45 5 0 A B PVST+ Rapid PVST+ EIGRP OSPF 本書の執筆時点では、アクセス レイヤ スイッチについてトータリー スタビー エリアではなく通 常のエリアを使用する以外に、この状況への対策はありません。しかし、トータリー スタビー エ リアでは、望ましくない LSA 伝搬と、CPU 消費量の大きいその後の SPF 計算を防ぐことができ ますが、この対策ではそれが提供されないため、最適な設計とはいえません。 アクセス レイヤでの EIGRP の使用 フル ルーテッドまたはルーテッド アクセス レイヤ ソリューションのルーティング プロトコルと して EIGRP を使用する場合、次の EIGRP のチューニングおよびベスト プラクティス手順を実行 すると、200 ミリ秒未満のコンバージェンスを実現できます。 • ディストリビューション レイヤからコアに向けて集約する。 既出のとおり、コア レイヤに向けてディストリビューション レイヤで集約を行い、EIGRP ク エリーがネットワークのコアを超えて伝搬しないようにする必要があります。コアに向けて ディストリビューション レイヤで集約すると、クエリーはディストリビューション スイッチ から 1 ホップに制限され、EIGRP コンバージェンスが最適化されます。 • ディストリビュート リストを使用してアクセス レイヤへのルート伝搬を制御する。 アクセス レイヤでメモリを節約し、パフォーマンスを最適化するには、ディストリビューショ ン スイッチでアウトバウンドのディストリビュート リストを設定し、それをアクセス レイヤ 側のすべてのインターフェイスに適用します。ディストリビュート リストを使用すると、デ フォルト ルート(0.0.0.0)だけがアクセス レイヤ ノードにアドバタイズされます。 • EIGRP スタブを使用するようにすべてのエッジ アクセス レイヤ スイッチを設定する。 EIGRP スタブ オプションを使用することによって、アクセス レイヤでコンバージェンスを行 う EIGRP の機能を最適化し、またその動作をルート処理の面でも最適化します。EIGRP スタ ブ ノードは、トランジット ノードとして動作できないため、EIGRP クエリーの処理には参加 しません。ディストリビューション ノードは、スタブ ノードとやり取りしていることをEIGRP Hello パケットによって認識すると、そのノードに対してクエリーをフラッディングしません。 • Hello タイマーとデッド タイマーをそれぞれ 1 と 3 に設定する。 EIGRP の Hello タイマーとデッド タイマーをそれぞれ 1 と 3 に調整して、物理リンクがアク ティブのままで Hello/ルート処理が停止しているようなソフト障害から保護します。 次の設定例は、リンクまたはノード障害において 200 ミリ秒未満でコンバージェンスを達成する EIGRP の設定方法を示しています。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 55 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 設計のベスト プラクティス アクセス ノードの EIGRP 設定: interface GigabitEthernet1/1 ip hello-interval eigrp 100 1 ip hold-time eigrp 100 3 router eigrp 100 eigrp stub connected ディストリビューション ノードの EIGRP 設定: interface Port-channel1 description to Core Right ip address 10.122.0.34 255.255.255.252 ip hello-interval eigrp 100 1 ip hold-time eigrp 100 3 ip summary-address eigrp 100 10.120.0.0 255.255.0.0 5 mls qos trust dscp ! interface GigabitEthernet3/3 description To 4500-Access (L3) ip address 10.120.0.198 255.255.255.252 ip hello-interval eigrp 100 1 ip hold-time eigrp 100 3 mls qos trust dscp ! router eigrp 100 passive-interface default no passive-interface Port-channel1 no passive-interface GigabitEthernet3/3 network 10.0.0.0 distribute-list Default out GigabitEthernet3/3 no auto-summary ! ! ip Access-list standard Default permit 0.0.0.0 アクセス レイヤでの OSPF の使用 アクセス レイヤで OSPF を使用するときは、次の方法が推奨されます。 • 各エリアでルートとルータの数を抑制します。 • 各ディストリビューション ブロックを別個のトータリー スタビー OSPF エリアとして設定し ます。 • エリア 0 をエッジ スイッチまで拡張しないでください。 • OSPF の Hello タイマー、デッド インターバル タイマー、および SPF タイマーをそれぞれ 1、 3、および 1 に調整します。 アクセス レイヤの OSPF は、最適なコンバージェンスのために調整できることを除いて、WAN/ ブランチ ネットワークの OSPF と同様です。現在利用可能なハードウェア スイッチング プラット フォームでは、キャンパス環境の CPU リソースは WAN 環境の場合ほど不足しません。さらに、 アクセス レイヤで一般的なメディア タイプは、WAN でよく見られるものと同じハーフアップ、 またはアップ、ダウン、アップの急激な遷移(バウンシング)の影響を受けにくくなっています。 こうした 2 つの相違があるため、各 OSPF タイマー(Hello、デッド インターバル、SPF)はそれ ぞれ最小許容値である 1、3、1 に安全に調整できます。 OSPF では、集約を適用し、L2/L3 境界または Area Border Router(ABR; エリア境界ルータ)の実 装によって OSPF LSA 伝搬の範囲を制限します。キャンパス環境では、アクセス レイヤはトラン ジット エリアとして使用されません。そのため、各アクセス レイヤ スイッチは、それぞれ固有 のトータリー スタビー エリアとして安全に構成できます。ディストリビューション スイッチは、 コア側のインターフェイスをエリア 0 に備え、アクセス レイヤ インターフェイスを各アクセス レ ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 56 EDCS-409671 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 設計のベスト プラクティス イヤ スイッチの固有のトータリー スタビー エリアに備えた ABR になります。この構成では、LSA が各アクセス レイヤ スイッチに分離されるため、1 つのアクセス レイヤ スイッチでのリンク フ ラップがそのディストリビューション ペアを超えて伝達されることはありません。他のアクセス レイヤ スイッチがコンバージェンス イベントに関与することはありません。 前述のとおり、OSPF SPF タイマーのため、OSPF 環境では EIGRP、PVST、PVST+ ほど迅速なコ ンバージェンスができません。キャンパス環境で OSPF をルーティング プロトコルとして選択す る場合は、この制限を考慮する必要があります。さらに、アクセス レイヤについてトータリー ス タビー エリアと通常のエリアとのトレードオフを考慮する必要があります。ディストリビュー ション ノードがトータリー スタビー エリアで復元されると、重大な機能停止が発生する場合が あります。ただし、非スタブ エリアがアクセス レイヤで使用されるようなキャンパス トポロジ では、ネットワーク全体に対する LSA 伝搬と SPF 計算の影響は不明です。 次の設定例は、OSPF の設定を示しています。 アクセス レイヤの OSPF 設定: interface GigabitEthernet1/1 ip ospf hello-interval 1 ip ospf dead-interval 3 router ospf 100 area 120 stub no-summary timers spf 1 1 ディストリビューション レイヤの OSPF 設定: mls ip cef load-sharing full port-channel load-balance src-dst-port ! interface GigabitEthernet2/1 description to 6k-Core-left CH#1 no ip address mls qos trust dscp channel-group 1 mode on ! interface GigabitEthernet2/2 description to 6k-Core-left CH#1 no ip address mls qos trust dscp channel-group 1 mode on ! interface Port-channel1 description to Channel to 6k-Core-left CH#1 ip address 10.122.0.34 255.255.255.252 ip ospf hello-interval 1 ip ospf dead-interval 3 mls qos trust dscp ! interface GigabitEthernet3/3 description to 4k Access ip address 10.120.0.198 255.255.255.252 ip pim sparse-mode ip ospf hello-interval 1 ip ospf dead-interval 3 load-interval 30 carrier-delay msec 0 mls qos trust dscp ! router ospf 100 log-adjacency-changes area 120 stub no-summary area 120 range 10.120.0.0 255.255.0.0 network 10.120.0.0 0.0.255.255 area 120 network 10.122.0.0 0.0.255.255 area 0 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 EDCS-409671 57 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 まとめ まとめ この設計ガイドで説明されている設計上の推奨事項は、可能なかぎり最適なコンバージェンスを 実現するためのベスト プラクティスです。できるかぎり各推奨事項を実装する必要がありますが、 ネットワークはそれぞれ異なっており、コスト、物理的設備の制限、アプリケーションの要件と いった問題のために、これらの推奨事項を完全には実装できない場合もあります。 階層型ネットワーク モデルに従うことは、ハイ アベイラビリティを実現するために不可欠です。 階層型設計では、特定のデバイスのキャパシティ、特長、および機能が、ネットワークでの位置、 およびそれが果たす役割に合わせて最適化され、これによって、高いスケーラビリティと安定性 を得ることが可能となります。基礎が強固でなければ、IP テレフォニー、IP ビデオ、ワイヤレス 通信といったネットワーク サービスに依存したアプリケーションのパフォーマンスは、やがて低 下することになります。 基礎サービスの正しい設定とチューニングは、ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワーク に不可欠な構成要素です。設計の面から見ると、階層型ネットワーク モデルには、次の 3 つのタ イプがあります。 • レイヤ 2 ループ ― 低速なコンバージェンス、複数のコンバージェンス イベント、および実 装、メンテナンス、運用が複雑で困難であるといった問題があるため、シスコはこのオプショ ンを推奨していません。 • レイヤ 2 ループフリー ― これは実績のあるソリューションです。 • ルーテッド アクセス ― このオプションは、コンバージェンスのパフォーマンスという点では 最も推奨されるオプションですが、まだ導入は始まったばかりです。 この設計ガイドで説明されている設計原則と実装のベスト プラクティスを活用すれば、ネット ワーク インフラストラクチャのビジネス要件の変化に合わせて、最適なパフォーマンスと柔軟性 を提供するネットワークを実装できます。 ハイ アベイラビリティ キャンパス ネットワークの設計 58 EDCS-409671
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