次世代コア / エッジ ルータ導入事例 株式会社 NTT ぷらら 『ぷらら』新拠点に Cisco ASR 9904 と新型高密度ライン カードを採用 アジア地域で初導入、省スペース省電力で将来にも柔軟に対応可能な 100 GE 基盤を確立 導入の背景 / 課題 ・インターネット動画の利用増加、動画品 質向上に伴い、総トラフィックも年率約 30% の割合で増加している。顧客満足 度を維持するため、トラフィック増加へ の対応としてサービス品質維持が大き な課題である。 ・今後のトラフィック増加を視野に入れる と 100 GE の実装は必須である。一方 従来設備との共存には 10 GE の利用 も必要であり、100 GE と 10 GE の混 在構成時におけるルータ構成の最適化 が求められていた。 ・インターネット接続サービスの重要度 が高まる中、大規模災害への対策として 通信設備のより一層の分散が望まれる。 ・ハウジング コストを抑制するために、省 スペース化と省電力化が求められた。 導入ソリューション ・Cisco ASR 9904 アグ リ ゲ ー ション サービス ルータ – CPAK ベースの 8 ポート 100 GE 高 密度ライン カード – 100 GE ポートから 10 ポート 10 GE ブレイクアウト ソリューション – ネットワーク構成に応じたポート ライ センス方式 導入効果 ・CPAK 対 応 の 高 密 度 100 GE ラ イン カードを採用することで、100 GE ポー トの高密度実装が可能になり、ハウジン グ コストの削減が可能になった。 ・同一ライン カード上で CPAK ポート速 度を 1 ポート 100 GE または 10 ポート 10 GE いずれかで選択可能であり、柔 軟なポート設計が可能になった。 ・新型高密度ライン カードではポート ラ イセンス方式を採用しており、 トラフィッ ク増大に合わせて使用ポート数を増や していくことで、常に投資を最適化する ことも容易になった。 ・Cisco ASR 9904 ではわずか 6RU の 会員数約 600 万のインターネット接続サービス 『ぷらら』や、スマート TV サー ビス『ひかりTV』等を提供し、顧客から高く評価され続けている株式会社 NTT ぷらら。ここでは『ぷらら』新拠点のルータとして、Cisco ASR 9904 と 新型高密度ライン カードが採用されている。その最大の理由はネットワーク設 計の柔軟性と投資保護、投資コストの最適化にある。シスコの CPAK テクノロ ジーに対応した新型高密度ライン カードでは、同一カード上において 100 GE ポートと 10 GE ポートの柔軟な選択が可能。ライン カードの搭載枚数を最小 化した結果、省スペース化と省電力化によりハウジング コストを大幅に削減で きた。さらにネットワーク構成に応じたポート ライセンス方式によって、投資の 最適化も実現。年率約 30% という急速なトラフィック増加にも、柔軟かつ低コ ストで対応できる基盤を確立している。 増加し続けるトラフィックへの対応と ディザスタ リカバリのための新拠点構築が課題 国内のインターネット人口普及率は 8 割を超え、ほとんどの人々がインターネットを利用す る世の中になって久しい。一方、インターネット上のサービスの広がりは留まるところがなく、 様々なサービスが日々増え続けている。これに従い一人当たりのトラフィックは着実に増加し 続けている。このような環境にどのように対応し、お客様に快適なサービスを提供し続けてい くか。これはサービス プロバイダーにとって、 避けて通れない重要課題の 1 つだと言えるだろう。 この課題に対応するため、 Cisco ASR 9904 シリーズ アグリゲーション サービス ルータ(以 下、 Cisco ASR 9904)を活用しているのが、株式会社 NTT ぷらら(以下、NTT ぷらら)である。 同社は NTT コミュニケーションズのグループ企業として、NTT 東日本および NTT 西日本の フレッツ・光サービスを利用した接続サービス『ぷらら』を提供する、大手サービス プロバイ ダー。『ぷらら』の利用者数は約 300 万人で、2008 年に開始したスマート TV サービス『ひ かりTV』も急速な成長を見せている。ぷららでは大規模災害対策として以前より通信設備の 拠点分散を進めている。今回、新拠点のコア ルータと、フレッツのアクセス ネットワークと 接続するためのエッジ ルータに Cisco ASR 9904 を採用した。 サイズでハウジング コストを最小化し 「東日本大震災のような大規模災害が発生した際、インターネットは情報交換、収集の重要な つつ、将来的にはシャーシあたり最大 4 手段として利用されます。大規模震災が発生した場合、インターネット接続サービスが利用で Tbps のキャパシティまで拡張すること で、トラフィック増大に対応可能である。 きない状況を局在化し、サービス継続性を高めることが望まれています。」『ぷらら』設備分散 の背景について、このように説明するのは、NTT ぷらら 取締役 技術本部長 永田 勝美氏だ。ま た大規模なサービス プロバイダーに対し、サービス継続性の観点から重要な通信センターを地 域的に分散すべきとする法令改正の動きがある。今回の取り組みは、このような動きを先取り 「Cisco ASR 9904 の高密度 100 GE ライ ン カードは、ネットワーク構成に応じた ポート ライセンス方式を採用しています。 利用ポート数をトラフィック増大に合わせ て増やしていくことで、常に最適な投資が 可能になります」 株式会社 NTT ぷらら 取締役 技術本部長 永田 勝美 氏 するものでもあると言う。 その一方で永田氏は『ぷらら』が抱えるもう1つの重要課題について次のように述べる。「イ ンターネット上の様々な動画配信サービスが数多く登場し、さらにその動画品質も SD(標準 画質)から HD(高精細画質)、さらには 4K(超高精細画質)へと高品質化へ移行しています。『ぷ らら』の多くのお客様もこのようなサービスを頻繁に利用していることから、一人当たりの利 用トラフィック帯域は年率約 30% の割合で増加し続けています。我々はこのようなお客様に 対して従来の料金の範囲の中で、快適に利用できるサービス品質を提供しなければなりません。 そのためにはコア ルータやエッジ ルータのキャパシティを効率的にそしてタイムリーに拡張 していく必要があります。」 では、どのように必要なキャパシティを効率的にタイムリーに確保していけばいいのだろう か ? この問いに対する最適解として導き出されたのが Cisco ASR 9904 の導入だったのである。 「新型ライン カードにより高密度実装が実 現され、ハウジング コストの削減につな がっています。ブレイクアウト ソリュー ションにより同一ライン カード上で柔軟に 100 GE または 10 ポート 10 GE を選べる のも魅力の 1 つです」 株式会社 NTT ぷらら 技術本部 ネットワーク管理部 マネージャー 西岡 大貴 氏 製品選択の重要指標だったポート密度 第三世代ライン カードと CPAK 対応で 100 GE 高密度を実現 『ぷらら』新拠点構築に向け、社内検討が始まったのは 2014 年 2 月。その後、拠点間接続 方式などのグランド デザインを 2014 年 5 月までに固め、通信機器ベンダー各社に相談しな がら導入製品の検討が進められていった。 2014 年 10 月には RFP(提案依頼書)を提示、そ の 2 ヶ月後に Cisco ASR 9904 の採用を正式決定した。 それでは何故 Cisco ASR 9904 を選んだのか。NTT ぷらら 技術本部 ネットワーク管理部 マネージャーの西岡 大貴氏は、「機器への初期コスト、運用時のハウジング コスト、ポート 設計の柔軟性、将来の拡張性などの複数の観点から比較検討を行った結果、Cisco ASR 9904 が最も優れた製品であると評価したからです」と説明する。 続けて、「シスコの前世代のライン カードと比較しても、100 GE ポートの密度は 4 倍あ ります。ハウジング コストは設備維持コストの中で大きな割合を占めるので、ポート密度は 製品選択の重要な指標になります」と述べる。シスコでは今年 2 月に第三世代ライン カード をリリースしたが、ここでは新型ネットワーク プロセッサ (Tomahawk) と新型トランシーバ CPAK が重要な技術となる。まず、新型ネットワーク プロセッサでは大容量トラフィックに 対応するためにパフォーマンスとスループットを旧来よりも大幅に改善しており、さらに消費 電力も削減している。また、従来の 100 GE トランシーバである CFP はサイズおよび消費電 力が大きいことから高密度化に課題をかかえていた。シスコはその課題を CPAK トランシーバ により解決している。Cisco CPAK は最新のシリコン フォトニクス テクノロジーを用いるこ とで、トランシーバの小型化、消費電力の削減に成功しており、最大消費電力とサイズを CFP の約 4 分の 1 としている。さらに IEEE 802.3ba に準拠していることから、他装置接続との 相互接続性にも問題がない。 CPAK 10 ポート 10 GE ブレイクアウト ソリューションによる柔軟なポート設計 物理配線のシンプル化で交換作業もより確実に 従来のライン カードでは、100 GE ポートと 10 GE ポートはそれぞれ個別のライン カード として存在していたり、同一ライン カード内に混在していたとしても各ポート数は固定であり 柔軟性がないことが課題であった。また、エッジ ルータに関しては多くのアクセス回線を収容 する必要があるが、物理的な配線が複雑になり、ポートの追加や交換を行うときに作業が困難 となるケースがあった。 CPAK 10 ポート 10 GE ブレイクアウト ソリューションでは、ライン カード上の CPAK を 1 ポート 100 GE モード、または 10 ポート 10 GE モードに、他のポートへの影響無く即座 に CLI 設定により変更が可能である。このように、物理的なライン カードの追加を行うことな く、同一ライン カード上に 100 GE ポート、10 GE ポートを柔軟に設定できることが、魅力 の 1 つだと西岡氏は指摘する。 次に、10 GE ブレイクアウト ソリューションのもう一つのメリットとして配線のシンプル Cisco ASR 9904 シャーシ外観。2 枚の新型高密度ライン カードを搭載可能。 化が挙げられる。「従来使用しているネットワークでは、アクセス回線収容とネットワーク サー ビスを提供するアプライアンスへの接続のために、膨大な数のケーブルで接続されており、ケー 「使い慣れたシスコのコマンドが使用でき るため、安心して管理作業が行えます。リ モートでのオペレーションにも不安はあり ません」 ブリングの課題を抱えていました」と言うのは、NTT ぷらら 技術本部 ネットワーク管理部で ネットワーク機器の運用を担当する藤原 淳氏。 ライン カードが故障した時にはこれらのケーブルを抜き、機器交換後に元に戻す必要があるが、 正常系のケーブルに影響を与えずに作業実施することは非常に神経を使う作業だった。これに 株式会社 NTT ぷらら 技術本部 ネットワーク管理部 藤原 淳 氏 対して 10 GE ブレイクアウト ソリューションはケーブリングのシンプル化により、より確実 な交換作業が可能になると語る。 CPAK のブレイクアウト ソリューションでは、CPAK が MPO-24 インターフェイスを介し て、1 ポートの 100 GE を 10 ポートの 10 GE に分岐する。対向にはブレイクアウト パネル を用い、MPO24 インターフェイスを 10 の 10 GE LC コネクタに変換する。 インターネット 100 GE 100 GE コア ルータ Cisco ASR 9904 100 GE ブレイクアウト パネル エッジ ルータ Cisco ASR 9904 ネットワーク サービス 図 2 参照 100 GE (MPO-24 ケーブル) ブレイクアウト パネル 10 GE フレッツ 図 1: 『ぷらら』新拠点のネットワーク構成。コア / エッジ ルータとして Cisco ASR 9904 、ライン カードには 8 ポートの高密度 100 GE ライン カードを採用している。 新型高密度ライン カード CPAK CPAK CPAK CPAK CPAK CPAK CPAK 100 GE (MPO-24 ケーブル) CPAK インターフェイス毎に 100 GE モード、 10 x10 GE モードを CLI で設定可能 フレッツまたは ネットワーク サービス向け 10 GE バックボーンまたは インターネット向け 100 GE ブレイクアウト パネル 図 2:図 1 の Cisco ASR 9904 に搭載されているライン カードの詳細構成図。同一ライン カード上で 100 GE、10 ポート 10 GE の柔軟な設計が可能。 『ぷらら』 新拠点ではバックボーンおよびインターネット向けには 100 GE、 アクセス回線およびネットワーク サー ビス向けにはブレイクアウト ソリューションによる 10 ポート 10 GE を構成する。 IOS-XR の優れた運用性がリモートでの管理作業を支援 ポート ライセンスにより初期コストの抑制と最適な設備投資が可能に Cisco ASR 9904 採用の効果は、これらのコスト抑制だけにとどまらず、運用負担の軽減に もつながっている。Cisco ASR 9904 はシスコのキャリア向けソフトウェアである IOS-XR を 搭載しており、キャリア オペレータが必要とする機能を備えている。 オペレーションはコミット ベースなので、設定内容を確認してコミットを行うまで、実際の 機器には反映されない。これによって設定変更時のヒューマン エラーも回避しやすくなってい る。すでに使い慣れているシスコのコマンドが使用できることも、安心して管理作業を行える 要因の 1 つだと藤原氏は指摘する。また設備分散を行う上でリモートオペレーションにも不安 はないと語る。 収容しているユーザ数が少数である初期段階では、ポート ライセンス(Pay as you grow) により、利用ポート単位での投資が可能な点も初期投資の抑制には大きな貢献を果たしている。 「ライン カード単位ではなくポート単位のライセンス体系になったことで、よりきめ細かく設 備投資を行えるようになりました。利用ポート数をトラフィック増大に合わせて増やしていけ ば、常に最適な投資が可能になります」(永田氏)。 「今後どれだけトラフィックが増大するのかは未知数ですが、今のペースで推移した場合には、 株式会社 NTT ぷらら 今後 6 年間は現在の機器構成で対応できる見込みです」と西岡氏。わずかの機器でこれだけの トラフィックをサポートできるというのは、従来であれば考えられなかったと言う。「サービス 開始からすでに 3 ヶ月が経過していますが、特に問題もなく安定稼働しています。とてもいい 製品を採用できたと思います」。 『ひかりTV』や MVNO での活用も検討 将来は IoT サービスの実現も目指す 所在地 東京都豊島区東池袋 3-1-1 このように NTT ぷららは Cisco ASR 9904 の採用によって、設備投資や運用コストの増大 サンシャイン 60 24 階 を抑制しながら、インターネット接続サービス『ぷらら』のキャパシティ拡張を柔軟に行える 設立 基盤を確立した。今後はスマート TV サービス『ひかりTV』でも、同様のトラフィック増大 1995 年(平成 7 年)12 月 資本金 に対応することが課題である。「『ひかりTV』の映像品質へのお客様の要求はどんどん高くなっ 123 億 2100 万円 ており、すでに HD 品質は不可欠で、4K サービスの利用も増えてきています。今後は HDR(ハ 従業員数 イダイナミックレンジ)の利用も始まり、その先には 8K(次世代の超高精細画質)サービスも 401 名(2015 年 7 月現在) N T Tコミュニケーションズのグル ープ 企業として、インターネット接続サービス 『ぷらら』やスマートTVサービス『ひか りTV』を提供する大手サービス プロバ 控えています。2020 年の東京オリンピックでは 4K サービスは当たり前になり、8K サービス で観たいというお客様の要望が増えてくるはずです。このようなニーズに確実に対応していく ためには、Cisco ASR 9904 のように高い拡張性を持つネットワーク機器が必要になってくる でしょう」(永田氏)。 また NTT ぷららでは、MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者) イダー。 『ぷらら』の会員数は約 300 万 としてモバイル接続サービス『ぷららモバイル LTE』も提供しており、国内初となる通信量無 で、 『ひかりTV』のビジネスも急速な勢 制限プラン等によって、お客様から高い評価を受けている。ここでも今後重要なテーマになる いで成長。 「お客様中心主義」を基本理 念に掲げ、顧客満足度の高いサービスの 提供に取り組み続けている。 のは、通信速度を十分に確保することで顧客満足度を高め続けることだ。MVNO ならではの安 価な料金体系を維持しつつ快適な通信速度をお客様に提供するためには、いくつかの課題があ るが、その 1 つにネットワーク設備の効率化がある。Cisco ASR 9904 はその課題を解決す るための手助けになるはずだと永田氏は語る。 さらに IoT サービスの追求も視野に入っている。NTT ぷららはこれまでに、マルチデバイス で多様なサービスを提供できるプラットフォームを作り上げており、これはほぼ完成しつつあ る。さらにテレビというインターフェイスを介して様々なサービスや機能がインタラクティブ に利用可能なセットトップボックスの展開も進めてきた。これらを組み合わせて活用すれば、 家庭内の多様な家電製品や機器をネットワークに接続し、様々なデバイスからモニタリングや コントロール、さらにはビッグ データやディープ ラーニング技術を用いたインテリジェンス な自動化なども可能となる。中期的にはこのような世界を作り上げ、さらに便利で快適なサー ビスを提供していきたいと言う。 「IoT が本格化すれば、デバイスや機能、サービスにより、これまで以上に様々な特徴を持っ たトラフィックがネットワークの上で流れることになるでしょう。このようなそれぞれのトラ フィックにあった品質やコスト、セキュリティ要件に対して確実に対応できる柔軟性の高いネッ トワークが求められるようになるはずです」と永田氏。 「Cisco ASR 9904 には多様なネット ワーク機能を実装できる仕組みが装備されています。またシスコはネットワーク仮想化やオー ケストレーション等、業界をリードする研究開発活動も積極的に進めています。私どもがこれ から行う先進的な取り組みについても、ぜひ一緒に取り組んでいただきたいと考えています」。 ©2015 Cisco Systems, Inc. All rights reserved. Cisco、Cisco Systems、および Cisco Systems ロゴは、Cisco Systems, Inc. またはその関連会社の米国およびその他の一定の国における登録商標または商標です。 本書類またはウェブサイトに掲載されているその他の商標はそれぞれの権利者の財産です。 「パートナー」または「partner」という用語の使用は Cisco と他社との間のパートナーシップ関係を意味するものではありません。 (1502R) この資料の記載内容は 2015 年 7 月現在のものです。 この資料に記載された仕様は予告なく変更する場合があります。 お問い合せ シスコシステムズ合同会社 〒 107-6227 東京都港区赤坂 9-7-1 ミッドタウン・タワー http://www.cisco.com/jp 1062-1507-00A-T
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