シスコ ユニファイド コンピューティング システム導入事例 株式会社NTTデータ 社内情報システム基盤を Cisco UCS で仮想化統合し TCO を削減 その経験とノウハウを総合クラウドサービス「BizXaaS ®」にも展開 導入の背景 / 課題 ・ 2006 年に全 面 的にシステムを更 改した NTT データの社内システムは、ハードウェアやソフト ウェアの保守切れや EOS、システム維持管理コ ストの増加といった課題に直面していた。 ・ 従来、システム個別に最適化・標準化を進めてき た個別最適基盤に対し、TCO を削減し、より効 果的な IT 投資を実現するには、仮想化統合によ る基盤最適化が必要と判断した。 ・「システム基盤の最適化」の取り組みの1つとし て、Cisco UCS の採用を検討。事前に社内で評 価・検証を行った結果、性能・信頼性共に十分高 いことが実証され、特にスケールアウト構成に適 したサーバアーキテクチャであったため、UCS が採用された。 「Global IT Innovator」をグループビジョンとして掲げ、IT 基盤の構築・運用 で豊富な経験と実績を持ち、34 カ国、145 都市に拠点を持つグローバル企 業である株式会社 NTT データ。同社では社内システムの TCO 削減と戦略的 IT 投資強化を目的に、システム基盤の仮想化統合が進められている。これを支 えるプラットフォームとして活用されているのが Cisco Unified Computing System(UCS)だ。採用の理由は仮想化に最適化された革新的なアーキテク チャと、優れたコストパフォーマンス。導入後は安定性や信頼性も高く評価され ている。この仮想化統合によってサーバ提供のリードタイムを半減、TCO も 50 %削減された。NTT データはこの経験とノウハウを、同社の総合クラウド ® 」にも活用。企業の変革パートナー サービスである 「BizXaaS(ビズエクサース) としてのソリューション提案力を、さらに強化している。 ・ 2012 年度末までに社内情報システム(基幹系) の移行が完了する予定。 導入ソリューション ・ Cisco Unified Computing System(UCS) - Cisco UCS 6120 ファブリック インターコネクト - Cisco UCS 5108 ブレードサーバ シャーシ - Cisco UCS B200 M2 ブレードサーバ ・ Cisco Nexus 7000 スイッチ ・ Cisco Catalyst 3560 スイッチ ・ Cisco Catalyst 2960 スイッチ TCO 削減のためシステム基盤を仮想化統合 そのプラットフォームに Cisco UCS を採用 情報システム基盤の TCO をいかにして削減していくか。これは多くの企業が長年にわたって 取り組んでいる重要課題の 1 つだといえる。そのための手段として近年大きな注目を集めるよ うになったのが、システム基盤の仮想化統合だ。業務アプリケーション毎にシステム基盤を用 ・ Cisco MDS 9100 ファイバチャネルスイッチ 意するのではなく、全社で統合されたシステム基盤を構築し、その上で各種業務アプリケーショ ・ Cisco ASA 5500 適応型セキュリティアプライアンス ンを動かしていこうというのである。 (2011 年 8 月現在) 導入効果 ・ サーバの仮想化統合やファブリックインターコネ クトによるネットワーク統合等によって、ハード このシステム基盤の仮想化統合を、Cisco Unified Computing System(UCS)で実現してい るのが、株式会社 NTT データだ。同社は企業向け業務システム構築や共同利用型センターの 構築運用などで、豊富な経験と実績を持つシステムインテグレータ。自らも 100 を超えるシス ウェアの数が大幅に削減された。クラウド基盤 テムを保有し、IT 活用を積極的に進めている。 の導入により、TCO は以前に比べ 50%削減さ しかし「従来は業務アプリケーション毎にシステム基盤を設計・構築してきたため、サーバ等 れている。 ・ サーバ 群の一元管 理やプロファイルの機能に よって、運用が効率化された。 プロビジョニングのリードタイムも、以前に比べ て半分以下に短縮された。 ・ 低消費電力製品の採用とハードウェア数の削減 によって、CO2 排出量も削減された。 削減効果は 79%、5 年間で 3,540 トンに達す ると試算されている。 の機器が増加し、運用も煩雑化していました」と振り返るのは、株式会社 NTT データ IT マネ ジメント室長の切田 仁氏だ。システムは主として UNIX サーバや Linux サーバで構成されてお り、サーバの数は 130 台を突破。システム毎に重複する機能が多く、設置スペースや消費電力 も大きかったと言う。「これらのシステムのほとんどは 2004 年から 2005 年にかけて導入さ れており、ハードウェアの老朽化やソフトウェアのサポート切れも大きな問題になっていまし た。また今後戦略的な IT 投資を進めていくには、システムの維持・運用に費やされるコストを 削減することも求められました」 「従来は業務アプリケーション毎にシステム 基盤を設計・構築してきたため、サーバ等 の機器が増加し、運用も煩雑化していまし 化し、仮想化統合したシステム基盤でそれら を実現することで、システム開発・運用コス トを大幅に削減することを目指しました」 株式会社 NTT データ IT マネジメント室長 切田 仁 氏 世代システム基盤構築の 企画に着手。「業務プロ セスの優先度や可用性に 応じて必要なサービスレ ベルをパターン化し、仮 想化統合したシステム基 盤でそれらを実現するこ とで、システム開発・運 AsIs ToBe システム個別のIT基盤の現状 A業務AP 標準ミドル サーバー ストレージ バックアップ ネットワーク 目指すべきIT共通基盤のあり方 B業務AP 標準ミドル C業務AP サーバー 標準ミドル ストレージ サーバー バックアップ ネットワーク ストレージ バックアップ ネットワーク 監視 ファシリティ プライベートクラウド た。これを業務プロセスの優先度や可用性 に応じて必要なサービスレベルをパターン これらの問題を解決する ため、2009 年 9 月に次 A業務AP B業務AP C業務AP 標準ミドル 標準ミドル 標準ミドル サーバー ストレージ バックアップ ネットワーク 監視 ファシリティ 個別最適されたIT基盤 各システムでそれぞれ個別な異なる IT基盤を構築(APの作りも違う) 標準化されたIT共通基盤 統合・共有化したIT基盤上でアプリケーション を開発(プライベートクラウド化) 用コストを大幅に削減す ることを目指しました」と切田氏は説明する。 「当初は 2U サイズのラックマウント型サーバの導入を検討していました」と言うのは、株式会 社 NTT データ 基盤システム事業本部 システム方式技術ビジネスユニット 第二技術統括部 第 二技術担当 課長代理の山田 正和氏。しかし 2U サーバでは中規模以上の仮想化統合環境での 「Cisco UCS は仮想化に最適化された、革 新的なシステム アーキテクチャを持ってい ます。これなら仮想化統合による TCO 削 減効果を、最大限に引き出せると判断しま した」 株式会社 NTT データ 基盤システム事業本部 システム方式技術ビジネス ユニット 第二技術統括部 第二技術担当 課長代理 山田 正和 氏 維持コストが十分に下がらないと判断し、導入予定サーバをブレード型へと変更。主要サーバ ベンダの製品を機能面・運用面・コスト面で机上比較し、最終的に Cisco UCS の採用を決定 したのである。 革新的なアーキテクチャを高く評価 コストパフォーマンスの良さも魅力 それではなぜ全社情報システムのプラットフォームとして Cisco UCS が採用されたのか。 「Cisco の UCS の持つ、サービスプロファイル機能やファブリック統合などの機能で構築フェー ズや運用フェーズにおいて新しいアプローチが可能となるところが非常に魅力的でした。」と 山田氏。これなら仮想化統合による TCO 削減効果を、最大限に引き出せると判断したと言う。 そしてこのアーキテクチャによって、大きく 3 つの魅力が生み出されていると指摘する。 まず第 1 はシステム構成が極めてシンプルになることだ。Cisco UCS はアーキテクチャ レベ ルでシンプルさを徹底的に追及しており、システム全体の構成要素が一般的なブレード サーバ に比べて圧倒的に少なくなる。ネットワークはファブリック インターコネクトに収容され、ケー ブル類も極めて少ない。さらにストレージ ネットワークもファブリック インターコネクトに統 合できるため、SAN スイッチやストレージ接続のケーブルも削減できる。また UCS Manager によりシステム全体の統合管理が可能であるため、運用管理もシンプルになり運用コスト削減 に寄与している。 第 2 はネットワークとの親和性の高さである。仮想化統合によってシステム基盤をクラウド化 するには、ネットワークの複雑性排除が重要な になる。Cisco UCS はこの点も強く意識され ており、前出の I/O 統合や管理ポイントを大幅に削減したファブリックエクステンダーテクノ ロジーを採用して複雑性を排除し、ネットワークとの相互運用が容易になっている。 ■ Cisco UCS の魅力 シンプルな アーキテクチャ 設計・構築の複雑性排除や保守性向上にはシンプルなアーキテクチャがベスト。 Cisco UCSは製品アーキテクチャの製品ポリシーがシンプルにできています。 ネットワークとの 高い親和性 クラウド構築においては、ネットワークの複雑性排除が大きなカギになります。 Cisco UCSではネットワークとの相互運用性を考えたアーキテクチャになっています。 仮想化技術との 高い親和性 仮想化によるオーバヘッドや運用の複雑性排除には仮想化レイヤとの相互運用性が重要 です。Cisco UCSは当初から仮想化を前提とした製品を出し他社をけん引しています。 「今回の社内システム改革プロジェクト は、企業におけるクラウド基盤構築のモデ ルケースになると確信しています。このノ ウハウは私どものクラウドビジネスである 『BizXaaS』にも活かされています」 株式会社 NTT データ 基盤システム事業本部 システム方式技術ビジネス ユニット長 そして第 3 が仮想化技術との高い親和性を持っていることだ。Cisco UCS には、仮想 NIC 毎 の QoS 制御が行える仮想インターフェース カード(VIC)や、最大 6,400 物理コア(2011 年 8 月時点)を単一のレイヤ 2 ネットワークで統合できるスケーラビリティ等、仮想化技術のメ リットを最大限に引き出せるハードウェア設計がなされている。またサービス プロファイルに よって、サーバ導入や交換などの運用負担も、大幅に軽減できるようになっている。 これらだけではなく、プライベートクラウド環境の TCO を低く抑える仕組みがあることも大 きな魅力だと山田氏は付け加える。「Cisco UCS ならサービスプロファイル機能を活用するこ とで、仮想サーバのスケールアウト時の対応工数の圧縮とリードタイムの短縮を同時に実現で 吉岡 誠 氏 きます。また CPU 単体の能力も高いため、CPU 数でライセンス料金が変動する Oracle 等の ソフトウェアのライセンスも、大幅に削減できる可能性があります」 Cisco UCS の採用が決定したのは 2010 年 4 月。すぐにハードウェア構成の設計を開始し、 7 月には機器を搬入。8 月に単体試験、10 月に UCS としての総合試験を完了した。2010 年 11 月から 2011 年 3 月にかけて業務アプリケーションも含めたシステムテストを行い、2011 年 4 月から5月上旬にシステム移行を実施した。そして 2011 年 5 月に「購買管理」 「電子決裁」 「勤怠管理」などの複数のシステムがこの環境でサービスを開始。2011 年 8 月には「人事給与」 と「会議体支援(プロジェクト毎の意思決定ワークフローシステム)」の移行も完了した。 サーバ提供のリードタイムを半減 50 %に上る TCO 削減効果も システム基盤を Cisco UCS で仮想化統合することで、保守・運用性は大きく向上した。特に 注目すべきなのが、サービス プロファイルによってサーバ提供のリードタイムが削減できたこ とだと山田氏は言う。「事前にプロファイルを作成して仮想化ホストを事前に導入しておけば、 新しいブレードを追加する場合でも設定は 30 分程度で済んでしまいます。もちろん従来と同 じように OS 導入や動作確認、各種試験も行う必要がありますが、これらを全て合わせてもリー ドタイムは従来の半分以下になっています」 ■UCSを用いたリードタイム短縮 サービスレベルの維持も容易になった。まず VIC の活用によって、仮想マ 事前定義 事前定義 コアスイッチ FCスイッチ 事前定義 ファブリックインターコネクト VM #1 ブレード スロット VM #2 ブレード#1 ブレード スロット … 事前定義 追加予定 ブレード#8 シャーシ#1 追加予定 シャーシ#2 スが可能なのだ。 VMテンプレート VM #α VM #β VM #γ VMテンプレのポイント ・ 標準ヒアリングシート ・ 標準VMテンプレート化 事前定義 UCSサービス プロファイル シン毎のネットワーク帯域をコントロールできるようになり、優先度の高 いアプリケーションの帯域確保を、仮想環境で実現できるようになってい る。他の仮想マシンのトラフィックが大きく変動しても、安定したアクセ 事前定義 … ブレード#2 UCS FICと周辺機器のポイント ・ コアスイッチ、FCスイッチの設定と 結線は初期構築時にまとめて実施 また物理サーバのメンテナンスが必要な場合には、ライブ マイグレーショ ンによって仮想マシンを他の物理サーバに移動するという運用が行われて いるが、VIC によって実現可能な VM-FEX テクノロジーを利用すれば仮想 プロファイルのポイント ・ 将来設定するサーバの HW定義を事前に定義 ・ 周辺機器の設定も 初期構築時に実施 UCSブレードのポイント ・ HW情報を事前に定義 ・ プロファイル切り替えでESXの事前導入も可能 マシンのネットワーク ポリシーを移動後も維持できるため、このような運 用も行いやすくなっているという。これはリードタイム短縮にも大きな貢 献を果たしている。 TCO も大幅に削減された。従来のシステムに比べ、初期投資は 58 %、保 守費は 17 %、ラック費は 58 %削減された。これらを合わせたトータル の TCO 削減効果は 50 %に上っている。 ■5年間のTCO比較 省電力効果も見逃せない。これはシステム全体の構成要素が削減されたこ ■5年間のCO2排出量比較 (トン) 5000 TCO とと、Cisco UCS 自体の省電力設計によってもたらされている。これに伴 い CO2 排出量は 79 %削減。5 年間の累計では 3,540 トンの削減効果が 4,475 あると試算されている。 初期投資 ▲58% 50%削減 「Cisco UCS は確かに先進的な製品だと思いましたが、ネットワーク ベン 2500 HW/SW 保守費 ▲17% DC費用 現システム ダーであるシスコのサーバで本当に大丈夫なのか、最初の頃は正直に言っ 935 ▲58% 更改後 0 現システム 更改後 TCO削減効果(5年間累計) CO 2 削減効果(5年間累計) 現システムと比較:50%削減 現システムと比較:▲3,540トン(79%削減) て不安を感じていました」と切田氏。すでに 2009 年には NTT データ社 内の R&D 部門で実機検証が行われており、信頼性、パフォーマンス共に問 題ないという結論が出ていたが、実際に使ってみるまでは不安を払拭でき なかったと振り返る。しかし運用を開始してみると、この不安は全くの杞 憂だったと言う。「導入してから現在まで、ハードウェアのトラブルは全くありません。極めて 株式会社 NTT データ 安定した状態で稼働しています」 現在は順次社内システムの移行が進められており、ブレード サーバの増設も行われている。 2011 年 8 月時点のブレード数は 24 枚。2012 年度末までには全システムの移行を完了させ、 その時点で合計 32 ブレードが導入されると予測されている。 社内システムで培われたノウハウを クラウドサービス『BizXaaS』でも活用 「今回の社内システム改革プロジェクトは、企業におけるクラウド基盤構築のモデルケースに なると確信しています」と言うのは、株式会社 NTT データ基盤システム事業本部 システム方 所在地 東京都江東区豊洲 3-3-3 豊洲センタービル 設立 1988 年(昭和 63 年)5 月 資本金 式技術ビジネスユニット長の吉岡 誠氏。ここで得られたノウハウは、NTT データが提供する 『BizXaaS』にも活かされていると説明する。『BizXaaS』とは、最適化コンサルティングから マイグレーション、クラウド構築、運用管理、プラットフォーム サービスに至るまで、幅広い 1,425 億 2 千万円(2011 年 3 月現在) 領域をカバーした総合的なクラウドサービス。2010 年 2 月にリリースされ、同年 4 月からサー 従業員数 ビスを開始している。 10,139 名(2011 年 3 月現在) 売上高 1 兆 1,619 億円(2010 年度実績) 「クラウドの領域では言葉やコンセプトが先行していましたが、Cisco UCS の登場によってよ うやくプラットフォームが追いついてきました」と吉岡氏。NTT データが培ってきた社会情報 インフラや IT システム構築の豊富な実績と、シスコが持つ最新テクノロジーを組み合わせるこ 日本を代表する IT 企業の 1 社。 「Global とで、最適なクラウド基盤構築ソリューションを提供できると言う。「日本企業が置かれた経済 IT Innovator(世界的な規 模とスケー 環境は厳しさを増しており、最適なクラウド基盤構築がよりいっそう求められるようになって ルで、IT を使って社会を変革していく 企業) 」をグループビジョンとして掲げ、 います。この取り組みを推進する上でも、シスコは重要なビジネスパートナーなのです」 企業向け基盤システムや共同利用型セン ターの構築・運用などで、豊富な経験 と実績を持つ。ソリューションの拡充と グループ企 業を横断したサービス提 供 を 行 うと共 に、34 カ国 145 都 市、 約 24,000 人体制を確立し、グローバル ビ ジネスも積極的に展開。情報技術によっ て新しい「しくみ」や「価値」を創造す ることで、より豊かで調和の取れた社会 の実現に貢献し続けている。 注) 「BizXaaS」は日本国内における株式会社NTTデータ の登録商標です。 ©2011 Cisco Systems, Inc. All rights reserved. Cisco、Cisco Systems、および Cisco Systems ロゴは、Cisco Systems, Inc. またはその関連会社の米国およびその他の一定の国における登録商標または商標です。 本書類またはウェブサイトに掲載されているその他の商標はそれぞれの権利者の財産です。 「パートナー」または「partner」という用語の使用は Cisco と他社との間のパートナーシップ関係を意味するものではありません。 (0809R) この資料の記載内容は 2011 年 8 月現在のものです。 この資料に記載された仕様は予告なく変更する場合があります。 お問い合せ シスコシステムズ合同会社 〒 107-6227 東京都港区赤坂 9-7-1 ミッドタウン・タワー http://www.cisco.com/jp お問い合わせ先:シスコ コンタクトセンター 0120-092-255(フリーコール、携帯電話・PHS 含む) 電話受付時間:平日 10:00 ∼ 12:00、13:00 ∼ 17:00 http://www.cisco.com/jp/go/contactcenter/
© Copyright 2024 Paperzz