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シスコ ユニファイド コンピューティング システム導入事例
福岡県 宮若市
Cisco UCS を基盤に小中学校の PC を仮想デスクトップへ
集約率と運用管理性の高さがコスト抑制に貢献
導入の背景 / 課題
・ 宮若市では 1990 年代半ばから小中学校に
PC を導入しており、その管理は学校毎に行わ
れていた。しかし学校側の管理負担が大きく、
管理の徹底が難しいという問題があった。
その
結果、
セキュリティ上のリスクも高まっていた。
・ 導入から 10 年以上が経過した古い PC も多
く、故障が頻発していた。そのため故障対応の
負担も増大していた。
・ 古い PC はいずれリプレースする必要があっ
たが、新しい PC にするだけでは管理上の問
題が解決しない。そこで着目されたのが仮想
デスクトップだった。
・ その導入ではコストが最も重視された。入札の
結果 Cisco UCS を活用したシステムの採用
を決定。
低コスト導入を可能にしたのは集約率
と運用管理性の高さだった。
導入ソリューション
・ シスコ ユニファイド コンピューティング
(Cisco UCS)
- Cisco UCS 6120XP ファブリックインター
コネクト× 2 台
- Cisco UCS 5108 ブレードサーバシャーシ
× 2 台
- Cisco UCS B200 M2 ブレードサーバ× 12 台
・ シスコ ストレージ ネットワーキング
- Cisco MDS 9148 × 2 台
導入効果
・ Cisco UCS は仮 想マシンの集 約率が 高く、
サーバ配線がシンプルで運用管理性も高いた
め、トータルコストの抑制が可能になった。
・ シンクライアント端末と Cisco UCS の故障
率が極めて低いため、故障対応の負担が大幅
に軽減した。
・ デスクトップの管理を集中化した結果、学校側
の運用負担も軽減された。またウィルス感染
などのセキュリティ上の問題も解消された。
・ Cisco UCS はサーバ追加時に配線工事が不
要で、プロファイルの適用だけで仮想マシンを
立ち上げられるため、システム拡張時の工数も
他社サーバの 1/4 程度まで抑制できる。その
ため長期的なコスト軽減も可能になった。
福岡県鞍手郡の宮田町と若宮町が、2006 年に合併したことで誕生した福岡
県宮若市。ここでは市内に 13 校ある小中学校で、情報教育や教職員用と
して使用されている PC が、仮想デスクトップへと移行されつつある。そ
のための基盤として採用されたのが、Cisco Unied Computing System
(UCS)だ。その最大の理由はトータルコストの安さ。集約率と運用管理性
の高さが、低コスト化に大きな貢献を果たしているのである。2011 年度か
ら 2012 年度にかけて小学校 2 校と、中学校 2 校の合計 4 校を対象にした
仮想デスクトップ導入を行い、管理負担軽減やセキュリティ強化を実現。他
校についても 2015 年度までに順次、仮想デスクトップへの移行を進めて
いく計画だ。
小中学校の PC 管理負担解消に向け
仮想デスクトップの導入へ
IT が重要な社会基盤になったことを受け、小中学校でも情報教育のために PC 教室を設置す
ることは、すでに一般的になっている。また教職員の業務でも、PC の活用は珍しいものでは
なくなってきた。しかし小中学校への PC 導入は、管理負担の増大といった問題を引き起こし
つつある。また導入から年数が経った PC は故障が発生しやすくなり、これも管理面での問題
を増やす結果になっている。
このような負担を軽減しながら、情報教育の拡充や IT 活用による業務効率化をいかにして進
めていくか。この課題への対応策として仮想デスクトップを活用しているのが福岡県宮若市だ。
同市は福岡市と北九州市のほぼ中央に位置し、面積は 139.99 平方キロメートル、人口は
30,086 人。2006 年 2 月に鞍手郡の宮田町と若宮町が合併することで誕生した。市内にある
中学校は 4 校、小学校は 9 校。1990 年代半ば頃から小中学校への PC 導入に着手しており、
情報教育にも積極的に取り組んでいる。
しかし「学校に設置された PC の管理は決して簡単ではありません」と言うのは、宮若市教
育委員会 学校教育課 学校教育係で係長を務める福原 千津氏だ。各校に導入された PC の管理
は学校毎に行われているが、IT に詳しい教職員がいるか否かによって、実際にどのような管理
が行われるかが大きく異なってしまうのだと説明する。また設置された PC の中には導入から
10 年以上経過しているものもあり、故障も頻繁に発生するようになっていた。「故障対応に関
する問い合わせは教育委員会で受けているのですが、ここ数年は毎週のように対応が必要な状
況でした。このままでは学校側の負担も大きくなってしまうため、なんとかしなければならな
いと考えていました」
「Cisco UCS はメモリ容量が大きいため、
他のサーバよりも多くの仮想デスクトップ
を動かせます。その結果、導入すべきサー
バ数が少なくなり、システム全体としては
むしろ安上がりになります」
宮若市教育委員会
学校教育課
学校教育係 係長
福原 千津 氏
これに加え「管理上の課題を残したままではセキュリティ上の問題を引き起こす危険性もあ
ります」と指摘するのは、宮若市役所 総務部 総合政策課 情報推進係 係長の吉田 哲也氏だ。宮
若市では 2006 年に地域イントラネットを整備し、小中学校を含む約 50 カ所の公共施設を光
ファイバーで接続、ネットワーク全体を市役所で集中管理している。問題が発生した時には自
動的にアラートが上がるようになっており、これによって情報漏えいなどの危険を未然に防い
でいるのである。「USB メモリの使用禁止などのルールは定めていますが、しばしばウィルス
検知のアラートが上がってきます。その中には学校内の PC で発生したものも少なくありませ
ん。情報漏えいの危険性を根本から断ち切るには、ネットワーク管理だけではなく、PC 管理
の徹底も欠かせないのです」
古くなった PC はいずれはリプレースする必要がある。しかし新しい PC と入れ替えるだけ
では、管理上の問題は解決しない。そこで宮若市が着目したのが、仮想デスクトップによるシ
ンクライアント化だった。「ある業者さんから平成 21 年(2009 年)にシンクライアントの話
を聞いて、これなら管理しやすそうだと感じました。学校には端末だけを置いて、その中身を
集中管理できるからです。また端末の故障も少なく、故障してもすぐに入れ替えることができ
ます」(福原氏)
し か し 学 校 に 導 入 さ れ た PC 環 境 を 入 れ 替 え る と な れ ば、 そ れ な り の 投 資 が 必 要 に な
る。2010 年度(平成 22 年度)にはそのための予算が確保できず、2011 年度(平成 23 年
度)から順次実施することになった。小学校 2 校を対象にした仮想デスクトップ導入を決
定し、2011 年(平成 23 年)7 月に入札を実施。その結果採用されたのが、Cisco Unified
Computing System(UCS)を活用したシステムだったのである。
最も重視したのはコスト抑制
集約率と運用管理性の高さで実現
「この入札で最も重視したのはコストでした」と福原氏。これは入札案件である以上当然のこ
とではあるが、同一レベルのスペックであればできる限り安価なものを選択するというスタン
スを、当初から明確に打ち出していたと説明する。
それではなぜ Cisco UCS が最も低コストになったのか。その最大の要因は集約率の高さに
あると言う。「Cisco UCS は製品自体の価格は決して安価ではありませんが、メモリ容量が大
きいため他のサーバよりも多くの仮想デスクトップを動かせます。その結果、導入すべきサー
バ数が少なくなり、システム全体としてはむしろ安上がりになります」
サーバ台数が少なくなれば、設置スペースも節約できる。宮若市にとってはこれも大きな魅
力だと吉田氏は言う。「今回導入されたサーバは市役所の電算室に設置することになっていたの
ですが、ここはすでに手狭になっており、ラック 1 本分しか余裕がありませんでした。しかし
Cisco UCS はこのスペースでも、十分な能力を発揮できます」
Cisco UCS 採用のコストメリットは、導入時だけに止まらない。メンテナンスコストを低減
する効果もあると福原氏は指摘する。まず配線が非常にシンプルで、サーバ追加時に配線工事
を行う必要がない。また追加したサーバのセットアップも、すでに作成済みのプロファイルを
適用するだけで対応できる。運用作業は外部の業者に委託しているが、いったん設置した後は、
すべての作業をリモートで行える点もメリットだという。
2011 年 8 月にはシステム構築をスタート。この時導入されたのは、Cisco UCS 6120XP
ファブリックインターコネクト× 2 台、Cisco UCS 5108 ブレードサーバシャーシ× 1 台、
Cisco MDS 9148(ストレージ接続用 SAN スイッチ)× 2 台、Cisco UCS B200 M2 ブレー
ドサーバ× 8 台だった。この構成で、VMware View による仮想デスクトップ×約 120 台分と、
Active Directory サーバ、ファイルサーバ、バックアップサーバ・校務支援サーバ・授業支援サー
バが稼働するシステムを作り上げたのだ。
翌年には対象となる学校を増やすため、システムの拡張を実施。2012 年 7 月と 12 月に入
市役所電算室に設置されている Cisco UCS。下のシャーシ
には 2011 年導入のサーバ、上のシャーシには 2012 年導
入のサーバが格納されている。仮想デスクトップ用としては
4 台のサーバが使用されており、これらで 200 台分を超え
るデスクトップをサポートしている。
札を行っている。(このときの入札では、型番指定で UCS を入札)6 月の入札では Cisco UCS
5108 ブレードサーバシャーシ× 1 台と Cisco UCS B200 M2 ブレードサーバ× 2 台を追加、
12 月の入札では Cisco UCS B200 M2 ブレードサーバ× 2 台を追加している。
現在のシステム構成は図に示す通り。2 台のブレードサーバシャーシに、
12 台のブレードサー
「仮想デスクトップはセキュリティ上のリス
クも軽減します。導入した学校ではウィル
ス等のアラートがゼロになりました」
宮若市役所
総務部 総合政策課
情報推進係
係長
吉田 哲也 氏
システム構成
バが格納されている。現在は 4 台で 3 校分、200 以上の仮想デスクトップをサポートしている。
2013 年 3 月には 6 台で 4 校分 260 台程度の仮想デスクトップをサポートする予定である。
導入してから故障発生はゼロ
サーバ追加時の工数は 1/4 に
仮想デスクトップへの移行は、複数の効果をもたらしている。その筆頭として福原氏が挙げ
るのが故障の激減だ。最初のシンクライアント端末を導入してから 1 年半近くが経過している
が、端末の故障はまだ発生していない。これはハードディスクのような可動部を持つ部品を、
内蔵していないことが大きな理由だといえる。もちろん故障等に伴う学校からの問い合わせも
ほとんどなくなった。また端末だけではなく、Cisco UCS も障害発生回数はゼロだという。
システム全体の管理性も飛躍的に高まった。これは仮想化によってデスクトップ管理の集中
化が可能になった結果だが、Cisco UCS が持つ特徴も大きな貢献を果たしているといえるだろ
う。Cisco UCS Manager によるプロファイルベースの管理システムによって、サーバ運用そ
のものが容易になっているからだ。
「現在は 5 種類のプロファイルでサーバを運用していますが、プロファイルの作成はとても
簡単です」と、システム運用を受託している企業の担当者は説明する。仮想環境では NIC のチー
ミング設計も重要な課題になるが、Cisco UCS では基本的なポリシーをプロファイルで定めて
おけば、これも自動的に設定されると言う。「サーバ追加時の作業も簡単でした。他のサーバ製
品に比べて、必要な工数は 1/4 程度まで削減できます」
ソフトウェアやデータの集中管理によって、セキュリティ上のリスクも軽減している。吉田
氏によれば「仮想デスクトップを導入した学校では、ウィルス等のアラートがゼロになりました」
と言う。デスクトップの集中化で管理を徹底したことで、より安心して利用できる IT 環境が実
現されたのだ。もちろん学校側の管理負担も軽減した。教職員のスキルによって管理内容に差
が出るといった問題も解消している。
宮若市では、仮想デスクトップの導入に伴い、教職員用の端末拡充も実施している。以前は
複数の教職員で PC を共用していたが、仮想デスクトップを導入している 3 校では、1 人 1 台
の環境が実現されているのである。
福岡県 宮若市
「このような環境整備がきっかけとなり、先生方の IT 活用が以前にも増して積極的になって
います」と福原氏。学校によっては出欠連絡のオンライン化や通知票作成のデジタル化が始まっ
ており、教頭が来校者予定の管理に活用しているケースもあると言う。「小学校では平成 23 年
度、中学校では平成 24 年度から授業時数が増加しており、その管理を IT 化したいという声も
学校側からいただいております。そのためのソフトウェアも平成 24 年度末までに導入する計
画になっています」
福岡市と北九州市のほぼ中央に位置する
市。2006 年 2 月に鞍手郡の宮田町と若
宮町が合併することで誕生した。宮田地
区は明治時代に石炭採掘が開始されて以
今後も順次仮想デスクトップを展開
市庁舎内の PC も仮想化を検討
宮若市では 2013 年 3 月までに 4 校に仮想デスクトップを導入するが、まだ未導入の学校が
7 校ある。これらの学校でも今後順次仮想デスクトップへの移行を進め、2015 年度までには
来、ほぼ 1 世紀にわたって炭鉱都市とし
完了させる予定になっている。そしてその後も小中学校の IT 環境をさらに強化していく計画だ。
て発展したが、1970 年代にはすべての
その 1 つとして挙げられているのが、普通教室への端末設置だと福原氏は説明する。新しく設
炭鉱が閉山、その後は自動車産業や IC
置された中学校ではこれが可能になるよう、校舎内に有線 LAN を敷設してあると言う。
産業等の企業立地を実現することで、新
たな基幹産業を支える地域となっている。
また若宮地区は農業を基幹産業とする一
小中学校における仮想デスクトップ導入の成果は、市役所自体の IT 戦略にも影響を与えつつ
ある。現在宮若市では基幹系業務システムを自治体クラウドへ移行することが検討されている
方で、国指定史跡の活用や産直販売など、
が、これを実施するタイミングで市庁舎内の PC を仮想化することも、視野に入れていると吉
観光にも力を入れている。面積 139.99
田氏は言う。
「最終的にはすべてを SaaS 型に移行して市役所の外に出し、マシン室を必要とし
平方キロメートル、人口 30,086 人(2012
年 11 月末)
。
ないシステムを構築したいと考えています。これを実施するには今後 4 ∼ 5 年かかると思って
いますが、小中学校での状況を確認した上で、平成 27 年∼ 28 年を目処に PC の仮想化も進め
ていきたいと考えています」
この事例でもわかるように、デスクトップの仮想化は多岐にわたる問題を解消できるポテン
シャルを持っている。最近ではそのためのテクノロジも進歩し、安心して導入できるようになっ
た。しかしその投資効果を最大化するには、注意すべきポイントがあることも忘れてはならない。
それは仮想マシンの集約率と運用管理性の高さである。これらは低コスト化に大きな貢献を果
たすからだ。そしてもう 1 つ、配線を含むシステム構成のシンプルさが長期的なコストに影響
を与えることも、見逃してはならない。
「これからもできる限り、学校側のニーズに応え続けていきたいと考えています」と福原氏。
宮若市教育委員会のこのような取り組みを支える上で、Cisco UCS は重要な役割を果たしてい
るといえるだろう。
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(0809R)
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