ホワイト ペーパー エンタープライズ データ ウェアハウスへの投資価 値の最大化 はじめに データの量が増大し、質的にも複雑化する環境において、変化を続ける情報の要 件に対応することがいかに困難であるかは、大手企業や政府機関が十分に理解し ているところです。 この容赦のないプレッシャーにより、エンタープライズ データ ウェアハウス中心のソ リューションに対する需要は今後も高まり続けるものと予測されます。ビジネス イン テリジェンス、予測分析、データ/コンテンツ マイニングをはじめとするさまざまなビ ジネス アプリケーションは、エンタープライズ データ ウェアハウスのデータに依存 しているからです。 しかし、時としてビジネスの変化はエンタープライズ データ ウェアハウスの進化を 待ってはくれません。エンタープライズ データの大半を物理的に統合し、変換する ことが役に立つこともありますが、大量のエンタープライズ データがエンタープライ ズ データ ウェアハウスの外部に存在し続けることになります。さらに、エンタープラ イズ データ ウェアハウス自体もそのライフサイクルを通じてサポートを必要としま す。これにより、エンタープライズ データ ウェアハウスをプロトタイプ化、移行、拡張、 連携、および活用するソリューションに対する需要が高まります。 データ仮想化は、既存のエンタープライズ データ ウェアハウス投資の保護と拡張 を可能にする一連の柔軟なデータ統合手法を提供し、エンタープライズ データ ウェ アハウスを補完します。 このホワイトペーパーでは、エンタープライズ データ ウェアハウスとデータ仮想化 を組み合わせて使用する、8 つの具体的な統合パターンについて説明します。各 パターンには、データ ウェアハウスの課題、エンタープライズ データ ウェアハウス とデータ仮想化を組み合わせたソリューション、およびお客様によるシスコ データ 仮想化の使用例が含まれています。 © 2014 Cisco and/or its affiliates. All rights reserved. This document is Cisco Public. 1 / 18 データ ウェアハウスの拡張 問題:データ ウェアハウスの外部のデータも必要とするビジネス ユーザ 分散したデータ サイロと激増するデータに圧倒されている企業や政府機関は、レ ポート要件に応えるためにデータ ウェアハウスを導入しました。しかし、まだ多数の データがウェアハウスの外部に残っています。収益、コスト、リスク管理の目標を達 成するための洞察を得るには、次のデータが必要です。 • ウェアハウスの履歴データとトランザクション システムまたは運用データ ス トアの最新データ • ウェアハウスの集約データとトランザクション システムまたは運用データ ス トアのドリルダウン詳細データ • ウェアハウスの内部データと外部ソースからのデータ ソリューション:データ仮想化によるデータ ウェアハウスの拡張 データ仮想化を使用すると、データ ウェアハウスのデータとその他のソースを統合 して、既存のデータ ウェアハウスのスキーマとデータを拡張することができます。補 完ビューを使用すると、最新データをウェアハウスの履歴データに、詳細データを ウェアハウスの集約データに、外部データをウェアハウスの内部データにそれぞれ 追加して、統合データ ウェアハウス リポジトリの外部にある重要なデータを迅速か つ簡単に提供することができます。 使用例 最新データと履歴データを統合:あるエネルギー企業は、10,000 以上の油井に修 理クルーと修理器具を最適に配備するために、Cisco Data Virtualization Platform を採用しました。これにより、SAP メンテナンス管理システム内のクルー、 器具、および油井状態のリアルタイム データと、エンタープライズ データ ウェアハ ウス内の過去の地表データ、地下データ、およびビジネス データを統合しました。 その結果、修理プロセスが迅速化され、稼働時間と収益が増加しました。 内部データと外部データを統合:あるライフ サイエンス企業は、医薬品の販売と マーケティングの有効性を分析するために、Cisco Data Virtualization Platform を 使用して、自社の販売データ ウェアハウスに保存されている内部の処方薬販売 データと同業界のデータ サービス プロバイダから提供された外部の競合他社販売 データを統合しています。この完全なマーケット ビューにより、より効果的な販売と マーケティング プログラムが可能になり、収益が増大しました。 マスター データ管理ハブの全方位ビューの拡張 問題:重要な詳細データが MDM ハブの外部に存在 データ サイロが増えるにつれて、管理の改善およびマスター データの活用のため のビジネス ケースが切実な問題になります。 © 2014 Cisco and/or its affiliates. All rights reserved. This document is Cisco Public. 2 / 18 • 顧客マスター データ:既存の顧客に追加の製品/サービスを販売するこ とによって収益を増やします。 • 製品マスター データ:重複製品を排除することによってサプライ チェー ンの効率性を高めます。 • 従業員マスター データ:人事情報を一元管理することによって従業員 の生産性と定着率を高めます。 複数の MDM ベンダーがこの需要に対応しています。しかし、これらのベンダーの アプリケーションだけでは、すべての要件を完全にサポートできません。MDM ハブ の外部にある、無数の複雑で多様なデータ サイロに保存されている、注文履歴、 在庫残高、給与支払記録などの関連データを利用するには、補完的なデータ統合 ソリューションが必要になります。 ソリューション:データ仮想化を使用してマスター データを拡張し、完全な全方位 ビューを実現 MDM ハブでは、重要なマスター データ属性が保持および管理されますが、詳細な トランザクション履歴やその他の関連データは管理されません。これらのデータは、 全社にわたって多数存在する MDM ハブ以外のシステムで保持および管理されま す。データ仮想化は、ハブのマスター データを外部キーとして使用して、マスター データと追加のトランザクション データおよび履歴データを迅速かつ簡単に統合し ます。これにより、顧客、製品、および従業員情報に関する完全な統合ビューが得 られます。 図 1 は、追加の RDBMS データ ソースと Web サービス データ ソースを統合する とともに、既存のソース(パッケージ アプリケーション)を拡張する新しい補完ビュー をホストしている Cisco Data Virtualization Platform を示しています。 © 2014 Cisco and/or its affiliates. All rights reserved. This document is Cisco Public. 3 / 18 図 1. シスコ データ仮想化による関係者と製品の全方位ビューの生成 使用例 顧客データの全方位ビューの提供:あるヨーロッパの携帯電話会社は、顧客 1 人 あたりの収益と顧客サービス レベルを最大限に高めるために、Cisco Data Virtualization Platform を使用して、顧客レポート データ ウェアハウスの顧客サー ビス データ、財務システムの請求データ、運用サポート システムの通話および設 定データを統合し、顧客の全方位ビューをサービス担当者に提供しています。その 結果、問題解決にかかる時間が短縮され、アップセル プログラムの生産性が向上 し、解約率の減少と収益の増大がもたらされました。 従業員報酬の全方位ビューの提供:従業員の定着率を確保するために、あるマ ネー センター銀行では Cisco Data Virtualization Platform を使用して、従業員マ スター データと、社内の無数の手当/報酬システムや社外の給与簿サービスを統 合し、セルフサービスの従業員給付ポータルで各人が報酬について総合的に確認 できる全方位ビューを従業員に公開しています。この情報を安全に公開したことに より、定着率が向上し、HR スタッフの作業量が減少しました。 © 2014 Cisco and/or its affiliates. All rights reserved. This document is Cisco Public. 4 / 18 データ ウェアハウスのフェデレーション 問題:複数のデータ ウェアハウスの存在はさらに多くのデータ サイロが存在するこ とを意味する 企業がデータ ウェアハウスを導入する主な目的の 1 つは、現在のほとんどの大企 業や政府機関でよく見られる、さまざまなトランザクション システムと分析システム のサイロ化の問題を克服することです。しかし、さまざまな理由(多くは実用上の理 由)により、単一の「エンタープライズ」データ ウェアハウスは依然としてとらえどこ ろがないままです。代わりに、同じ理由により、複数のデータ ウェアハウスとデータ マートが開発および展開されています。このため、データ サイロの問題は解決され ず、実質的には継続しています。 ビジネス パフォーマンスを最適化するには、こうしたさまざまなウェアハウスやマー トに保存されているデータが必要です。しかし、複数のマートとウェアハウスを単一 の完全な全社規模のデータ ウェアハウスに物理的に統合するには、通常、膨大な コストと長い時間がかかります。 ソリューション:データ仮想化を使用して複数のデータ ウェアハウスを統合 データ仮想化を使用すると、複数の物理ウェアハウスを統合できます。たとえば、 販売ウェアハウスと財務ウェアハウスのデータを統合したり、合併後に 2 つの販売 データ ウェアハウスを統合したりできます。このアプローチでは、複数のウェアハウ スの統合ビューを作成し、抽象化を使用してスキーマ設計の違いを取り除くことに よってウェアハウスの統合を達成します。 図 2 は、Cisco Data Virtualization Platform がホストするフェデレーション ウェア ハウス ビューによって論理的に統合された 2 つのデータ ウェアハウスを示してい ます。 © 2014 Cisco and/or its affiliates. All rights reserved. This document is Cisco Public. 5 / 18 図 2. シスコ データ仮想化による複数のデータ ウェアハウスまたはデータ マートの統合 使用例 金融取引データ ウェアハウスの統合:柔軟な顧客セルフサービス レポートを生成 して SEC のコンプライアンス 要件を満たすため、ある大手証券会社は Cisco Data Virtualization Platform で「サイロ化」された取引データ ウェアハウスの株式、 債券、およびその他の投資状態/取引情報を統合しました。その結果、顧客満足度 が向上し、レポート コストが減少しました。 研究開発データ ウェアハウスの統合:研究者が調査、臨床試験、FDA 申請、およ びその他のデータ ウェアハウスのデータにアクセスして分析できるように、ある製 薬会社では、Cisco Data Virtualization Platform を使用して多様なウェアハウス ソースを統合しました。この統合データにより、新たな薬品の市場投入までの時間 が短縮され、収益が増大しました。 © 2014 Cisco and/or its affiliates. All rights reserved. This document is Cisco Public. 6 / 18 データ ウェアハウス ハブと仮想データ マート スポーク 問題:データ マートの増殖はコスト増とデータ品質低下を招く データ ウェアハウスの典型的パターンでは、中央にデータ ウェアハウス ハブが置 かれ、その周りにサテライト データ マートがスポークとして配置されます。これらの マートは一般に、ウェアハウス データの一部を使用し、データ ウェアハウス ユーザ の一部によって使用されます。こうしたデータ マートは、ウェアハウスのデータとは 異なるデータ形式が分析ツールで必要になるために構築される場合があります。ま た、単にウェアハウス側の管理から逃れるために「信頼できないデータ マート」が 作成されることもあります。理由にかかわらず、追加のマートはすべて、コストの増 大とデータ品質の低下を招きます。 ソリューション:データ仮想化を使用して仮想データ マートを作成する データ仮想化を使用して仮想データ マートを提供すると、データ ウェアハウス ハブ の周りに物理データ マートを配置する必要が完全になくなるか、少なくとも大幅に 減ります。このアプローチでは、元のデータ ウェアハウスの品質と制御を保持しな がら、特定ツールの要件およびユーザ クエリの要件を満たすように抽象化を使っ てウェアハウス データを変換します。 図 3 は、論理的抽象化によって特定の分析レポート要件を満たすために Cisco Data Virtualization Platformがホストしている仮想データ マートを示しています。 図 3. シスコ データ仮想化によるスポーク型データ マートの仮想化 © 2014 Cisco and/or its affiliates. All rights reserved. This document is Cisco Public. 7 / 18 使用例 信頼できないデータ マートを排除:ある投資信託会社は、仮想化を使用して、150 人以上の金融アナリストが MATLAB® およびその他の分析ツールでポートフォリ オ分析モデルを作成できるようにしています。これらのモデルでは、10 テラバイトの 金融研究データ ウェアハウスに保存されているさまざまな株式金融データが活用 されます。仮想化の導入前、アナリストは新しいプロジェクトが立ち上がるたびに、 データの一部を使って新しいサテライト データ マートを頻繁に作成していました。こ の企業は、データ アクセスを高速化およびシンプル化するとともに、コストのかかる 不要な物理データ マートの増殖に歯止めをかけるために、データ仮想化を使用し て、ファイナンシャル ウェアハウスのデータにオンデマンドで直接アクセスする、堅 牢で再利用可能な一連のビューから仮想データ マートを構築することに決めました。 これにより、アナリストはアクセスにかける時間を減らし、その分、分析にかける時 間を増やすことができるようになり、結果として、ポートフォリオの収益が増加しまし た。IT チームはまた、余分な不要のマートとその保守にかかるコストをすべて排除 しました。 仮想マートでさまざまな分析をサポート:あるエネルギー企業では、Cisco Data Virtualization Platform を使用して、中央の Netezza データ ウェアハウスからエン ジニア、メンテナンス マネージャ、およびビジネス アナリストに油井プラットフォーム データを提供しています。固有の切り口のデータと Business Objects、Excel、 Tibco Spotfire、Matrikon ProcessNet、Microsoft Reporting などのさまざまな専 門分析ツールがサポートされるようになったため、仮想ビューとサービスをすばやく 構築し、アドホックな問い合わせに迅速に対応できるようになりました。迅速なデー タ アクセスに加え、抽象化(ウェアハウスの保存形式からツールで必要な形式への 変換)が容易でコストも低いため、アナリストは、ローカルの信頼できないデータ マートにデータを複製するよりも、ウェアハウスを信頼できる単一のソースとして使 い続けたいと考えるようになりました。 © 2014 Cisco and/or its affiliates. All rights reserved. This document is Cisco Public. 8 / 18 データ ウェアハウスのエンタープライズ情報アーキテクチャへの統合 問題:エンタープライズ情報アーキテクチャにはすべての情報資産が含まれていな ければならない 現在、エンタープライズ データ ウェアハウスは大量のエンタープライズ情報のプラ イマリ ソースとして使用されていますが、その他のソースも同じく重要です。データ 量が爆発的に増加し、複雑化する中、企業はウェアハウスとその他のデータを全 社規模の情報アーキテクチャに統合するための統一された方法を模索しています。 ソリューション:データ ウェアハウスをエンタープライズ情報アーキテクチャに統合 する データ仮想化は、データ ウェアハウスを統合して全社規模の情報アーキテクチャを 構築します。これには、複数の統合された仮想ソースをカバーする論理スキーマが 含まれます。設計フェーズでは、開発者はデータ仮想化設計ツールを使用して、こ のようなセマンティックの抽象化を Web サービスやリレーショナル ビューの形で開 発します。実行時には、エンド ユーザレベルのアプリケーションからこれらの Web データ サービスをオンデマンドで呼び出して、要求したデータをリアルタイムで抽出 し、統合および抽象化して受信できます。 図 4. データ ウェアハウスをエンタープライズ データ仮想化アーキテクチャに統合 © 2014 Cisco and/or its affiliates. All rights reserved. This document is Cisco Public. 9 / 18 使用例 精製所データを全社規模で仮想化:10 ヵ所以上の精製所のデータ ウェアハウス データと運用データを世界中の技術ユーザとビジネス ユーザに提供するために、 あるエネルギー企業では Cisco Data Virtualization Platform を全社規模で展開し ました。この共通のアプローチにより、精製所の生産量の増加と設備のプロアク ティブな保守が可能になるとともに、数多くの規制に対して一貫した方法でコスト効 率よく準拠できるようになりました。 政府機関全体でインテリジェンス データを共有: 多くの政府機関は、インテリジェンス アナリストによる他の機関からの情報活用と 適切な脅威制御を実現するために、Cisco Data Virtualization Platform を基盤に 構築した、共通のデータ仮想化レイヤを利用しています。たとえば、データ仮想化 により、麻薬取締局や移民帰化局などの機関が、米国沿岸警備隊の着港データ ウェアハウスの乗客乗員名簿や積荷データにアクセスできます。 ETL プロセスの補完 問題:ETL が常に最も効率的なウェアハウスのロード方法とは限らない 抽出/変換/読み込み(ETL)ミドルウェアは、データウェアハウスにデータをロードす るために選択されるツールです。ただし、ETL ツールが最も効果的なアプローチで はないケースがいくつかあります。たとえば、次のようなケースです。 • ETL ツールに、パッケージ アプリケーション(SAP)や、Web サービスな どの新たなテクノロジーのソース データに簡単にアクセスするためのイ ンターフェイスが用意されていない。 • 既存の仮想ビューやデータ サービスを再利用できないため、ETL スクリ プトをゼロから作成する必要がある。 • バッチ時間に余裕がないため、ETL プロセスを開始する前に、アクセス、 抽象化、およびフェデレーションを前処理して仮想的に実施する必要が ある。 ソリューション:データ仮想化を使用してデータを ETL 用に前処理する データ仮想化を使用して ETL ツールを補完すると、データ ウェアハウスにデータを ロードする際の柔軟性が大幅に向上します。ETL ツールでは仮想ビューとデータ サービスが単純に別のデータ ソースと認識されるため、バッチ プロセスへの入力 として使用できます。この統合パターンでは、ETL ツールから簡単にアクセスしたり 既存のビューやサービスを再利用したりできないデータ ソース タイプを統合するこ ともできます。これにより、時間とコストが節約されます。さらに、これらの抽象化に より、ETL 開発者は実際のデータ ソースの構造を理解したり、データ ソースを直接 © 2014 Cisco and/or its affiliates. All rights reserved. This document is Cisco Public. 10 / 18 操作したりする必要がなくなるため、開発作業がシンプルになり、ソリューション開 発の時間が短縮されます。 図 5 は、パッケージ アプリケーションと Web サービスのアクセス、抽象化、および フェデレーションを提供することによって ETL を補完する Cisco Data Virtualization Platform を示しています。 図 5. パッケージ アプリケーションと Web サービスのアクセス、抽象化、フェデレーションを シンプルにする仮想ビュー 使用例 SAP データを前処理:あるエネルギー企業は、財務データ ウェアハウスに必要な SAP 財務データを提供するために、Cisco Data Virtualization Platform を使用し、 SAP R/3 FICO データにアクセスして抽象化しています。フラット ファイル抽出プロ セスは、エラーを起こしやすく、SAP データに関する高度な専門知識を必要とし、こ の企業の複雑な SAP 状況では拡張が見込めないため、シスコのソリューションが 代わりに採用されました。その結果、財務データ ウェアハウスのデータがより完全 でタイムリーになり、パフォーマンス管理が向上しました。 © 2014 Cisco and/or its affiliates. All rights reserved. This document is Cisco Public. 11 / 18 データ ウェアハウスのプロトタイプ化 問題:データ ウェアハウスの開発は時間がかかりすぎる 誰もが理解しているように、新しいデータ ウェアハウスをゼロから構築することは、 膨大な設計、開発、および導入を必要とする大変な作業です。最も大きな問題の 1 つは、ウェアハウスのライフサイクルの早期に頻繁に行われるスキーマ変更に必 要な労力です。この変更プロセスは、ETL スクリプトとウェアハウス内の物理データ の両方の変更を必要とするため、新しいウェアハウスの導入を遅らせるボトルネッ クになります。この問題はライフサイクルの後半になってもなくなりません。変更の ペースが落ちるにつれて小さくなるだけです。 ソリューション:データ仮想化を使用して迅速にプロトタイプを作成し、新たな要件に 素早く対応 データ仮想化を利用すると、新規データ ウェアハウス イニシアチブの早期の段階、 または、後で新しいデータ ソースを追加したり、別の方法でデータを統合したり、新 しいレポート ニーズを満たしたりする段階で、迅速にプロトタイプを作成し、新しい 要件をすばやく満たすことができます。 この統合パターンでは、Cisco Data Virtualization Platform は、図 6 に示すように、 新しいデータ ウェアハウスのプロトタイプ開発環境の役割を果たします。このプロト タイプ段階では、物理データ ウェアハウスではなく、仮想データ ウェアハウスを構 築します。これにより、時間が大幅に節約されます。この仮想ウェアハウスには、完 全な機能テスト環境として、簡単かつ迅速に繰り返し適用できる完全なスキーマが 含まれます。 プロトタイプ段階で構築したビューとデータ サービスは、実際のウェアハウスを導入 した後も、ビジネス ニーズや基になるデータ ソースの変更によって、後続のウェア ハウスのスキーマ変更が必要になったときに、プロトタイプの作成やテストに使用 できます。 © 2014 Cisco and/or its affiliates. All rights reserved. This document is Cisco Public. 12 / 18 図 6. 仮想データ ウェアハウスがプロトタイプとして迅速な開発をサポート 使用例 新しいデータ ウェアハウスのプロトタイプを作成:ある政府機関は、Cisco Data Virtualization Platform を使用して、新たなデータ ウェアハウス プロジェクトと既存 のデータ ウェアハウスの変更プロジェクトに要する時間を短縮しています。データ の整備にかかる時間は、その後のシスコ ビューを ETL スクリプトと物理ウェアハウ ス スキーマに変換する時間を含めても、ETL とウェアハウスを直接構築する場合 よりも 4 倍速いことが実証されています。 © 2014 Cisco and/or its affiliates. All rights reserved. This document is Cisco Public. 13 / 18 データ ウェアハウスの移行 問題:新しいデータ ウェアハウスへの移行にはレポート機能の継続性のリスクが 伴う データ ウェアハウスを移行する理由はさまざまです。1 つはコストの削減です。多く の企業は、データ ウェアハウス アプライアンスを導入すればデータ ウェアハウス の総所有コストを大幅に削減できることを理解しています。もう 1 つは合併と買収 です。この場合、重複する財務データ ウェアハウスを合理化する必要があります。 3 つ目は標準化です。企業や政府機関は、標準プラットフォームに移行することに より、異なる種類のウェアハウス テクノロジーを基盤とするさまざまなウェアハウス を合理化したいと考える場合があります。 移行の理由にかかわらず、移行元のデータ ウェアハウスでサポートされているレ ポート機能と分析は、シームレスに継続する必要があります。 ソリューション:データ ウェアハウスの移行中にデータ仮想化を使用してレポート ユーザを分離 データ仮想化を使用すると、データ ウェアハウスの移行の影響からレポート ユー ザを分離できます。データ仮想化は、ウェアハウスとレポート システムの間に仮想 レポート レイヤを挿入することによってレポートのリスクを取り除きます。これらのシ ステムを切り離すと、移行前、移行中、移行後に通常どおりレポート機能を続行す ることができます。図 7 は、移行前の元の状態を示しています。 © 2014 Cisco and/or its affiliates. All rights reserved. This document is Cisco Public. 14 / 18 図 7. 移行前の元のデータ ウェアハウス 図 8 では、レポートとウェアハウスの間に Cisco Data Virtualization Platform が 導入されています。Cisco Data Virtualization Platform は、レポート システムが データ抽出に利用するレポート データ仮想化レイヤ、新たなビュー セット、および データ サービスを構築およびホストするために使用されます。Cisco Data Virtualization Platform を導入するには、これらのビューを作成する追加の作業が 必要になりますが、この投資を行うと、即座の移行リスクが軽減されるだけでなく、 長期的な柔軟性も提供されます。 また、ウェアハウスに直接クエリを送信するのではなく、仮想化レイヤに対して送信 するようにレポートを変更する必要があります。ただし、いずれにせよレポート クエ リは、新しいデータ ウェアハウスからデータを抽出するように書き直す必要があり ます。このアプローチの採用により、データウェアハウスの移行に先立ってレポート を移行できます。 © 2014 Cisco and/or its affiliates. All rights reserved. This document is Cisco Public. 15 / 18 図 8. 仮想レポート レイヤを追加してレポートを元のウェアハウスから分離 図 9 は、プロセスの次のステップを示しています。このステップでは、新しいウェア ハウスとサポート ETL を配置し、古いウェアハウスを廃棄します。データ仮想化は このステップで、制御された方法でレポート レイヤのビューを移行することによりレ ポート ユーザを分離します。既存の各ビューは、複製したり、新しいウェアハウスを 参照するように変更したり、実際のカットオーバーの前にテストしたりできます。この ため、レポート ユーザはビューが取り消されるリスクから保護されます。さらに、仮 想レポート レイヤを拡張してソースを追加したり、新しいレポート ソリューションをサ ポートしたりすることも簡単にできます。 © 2014 Cisco and/or its affiliates. All rights reserved. This document is Cisco Public. 16 / 18 図 9 新しいデータ ウェアハウスの仮想レポート レイヤ サーバ データ 使用例 データ ウェアハウス アプライアンスの移行:ある大手テクノロジー企業では、デー タ ウェアハウス アプライアンスに移行してデータ ウェアハウスの総所有コストを削 減するために、Cisco Data Virtualization Platform を使用してレポート機能をデー タ ウェアハウスから分離しました。データ ウェアハウスのコストは減少し、レポート 機能は中断することなく正常に移行されました。 © 2014 Cisco and/or its affiliates. All rights reserved. This document is Cisco Public. 17 / 18 まとめ データ仮想化は、既存のエンタープライズ データ ウェアハウス投資を保護/拡張す るために大手企業や政府機関が採用している、実績あるデータ統合アプローチ です。 このホワイトペーパーでは、エンタープライズ データ ウェアハウスとデータ仮想化 を組み合わせて使用する、データ仮想化の一般的な 8 つの導入パターンを紹介し ました。各パターンには、データ ウェアハウスの課題、エンタープライズ データ ウェ アハウスとデータ仮想化を組み合わせたソリューション、図、および使用例が含ま れています。 エンタープライズ データ ウェアハウスに関して同様の課題を抱えているお客様は、 データ仮想化をリードするシスコ データ仮想化の導入をご検討ください。 ©2015 Cisco Systems, Inc. All rights reserved. Cisco、Cisco Systems、および Cisco Systems ロゴは、Cisco Systems, Inc.またはその関連会社の米国およびその他の一定の国における登録商標または商標です。 本書類またはウェブサイトに掲載されているその他の商標はそれぞれの権利者の財産です。 「パートナー」または「partner」という用語の使用は Cisco と他社との間のパートナーシップ関係を意味するものではありません。(1502R) この資料の記載内容は 2015 年 2 月現在のものです。 この資料に記載された仕様は予告なく変更する場合があります。 お問い合せ 先 シスコシステム ズ合同会社 〒107‐6227 東京都港区赤坂 9-7-1 ミッドタウン・タワー http://www.cisco.com/jp 6.15
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