http://​mric.​jogmec.​go.​jp/​public/​report/​2015-03/​14_​201504_​Mn.​pdf

1.需給動向
1-1.世界の需給動向
マンガンはそのほとんどが製鉄用に使用されている。脱酸・脱硫剤、強度及び特性向上を目的とした鉄鋼
添加剤としてフェロマンガン(以下FeMn)及びシリコマンガン(以下SiMn)が使用される。また、マンガン鉱石は
FeMn の原料となるほか、脱酸・脱硫剤、鉄鋼添加剤として転炉に投入される。金属マンガンは製鋼原料として
二次製錬時に使用されたり、飲料缶用アルミニウム合金添加剤としても用いられる。
マンガンを含む普通鋼、特殊鋼、アルミ合金等は社会生活の中で幅広く使用されている。マンガン需要は粗
鋼生産の動向に大きく左右される。その他、マンガンは二酸化マンガン等、酸化物の形態で乾電池材等にも
使用されている。近年は、自動車用のリチウムイオン電池(以下 LIB)正極材料の原料としても需要が増加して
いる。
世界のマンガン鉱石の生産を表 1-1、図 1-1 に示す。2013 年の生産量は前年比 105%の 48,503 千 t であっ
た。全生産量の 70%を占める中国、南ア、豪州、ガボンの上位 4 カ国が揃って生産量を増やしている。
表 1-1 世界のマンガン鉱石生産
2004
中国
5,300
南ア
4,207
豪州
2,426
ガボン
2,460
カザフスタン
2,318
ブラジル
3,143
インド
2,149
ガーナ
1,594
ウクライナ
2,278
マレーシア
-
メキシコ
357
スーダン
-
その他
574
合計
26,806
出典:World Bureau of Metal
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
7,500
8,000
9,000
10,000
11,000
12,000
13,000
13,000
4,612
5,213
5,341
6,807
4,565
7,272
8,693
8,788
3,872
4,556
5,289
4,838
4,451
6,464
6,963
7,179
2,859
3,000
3,300
3,250
1,992
3,201
3,433
3,037
2,233
2,531
2,482
2,485
2,457
3,045
2,963
2,941
3,200
3,128
1,866
3,200
2,320
3,125
3,483
3,571
2,163
1,910
2,348
2,735
2,321
2,745
2,554
2,213
1,713
1,659
1,089
1,167
1,013
1,194
1,828
1,491
2,226
2,245
2,390
1,975
1,127
1,300
1,200
1,234
-
7
305
537
469
895
598
499
350
336
401
421
304
460
423
496
-
-
0
-
1
379
375
400
1,516
1,073
1,390
1,408
942
966
861
1,167
32,243
33,657
35,201
38,824
32,962
43,046
46,374
46,014
Statistics「World Bureau of Metal Statistics MANGANESE」Mine production
(マテリアル千t)
60,000
マンガン
(Mn)
50,000
40,000
単位:マテリアル千t
2013 13/12比 構成比
14,000
108%
29%
8,943
102%
18%
7,448
104%
15%
3,703
122%
8%
2,852
97%
6%
2,502
70%
5%
2,462
111%
5%
2,003
134%
4%
1,525
124%
3%
1,032
207%
2%
549
111%
1%
420
105%
1%
1,064
91%
2%
48,503
105% 100%
その他
ガーナ
インド
ブラジル
カザフスタン
ガボン
豪州
南ア
中国
30,000
20,000
10,000
0
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
図 1-1 世界のマンガン鉱石生産
1-2.国内の需給動向
1-2-1.フェロマンガン(FeMn)
マンガンの国内需給を表1-2、図1-2に示す。2013年の供給は前年比97%の758千t、需要は前年比106%
鉱物資源マテリアルフロー 2014
鉱物資源マテリアルフロー2014.indb
150
150
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13:31:31
の 574 千 t である。マンガン鉱石輸入及びマンガン生産の差異は 109 千 t である。表 1-2 では、マンガン鉱石
の在庫分を考慮しておらず、また製鋼業におけるマンガン鉱石の直接投入分が加味されていない。
FeMn の主要需要先は製鋼用であり、粗鋼生産量に影響を受ける。日本の粗鋼生産量は2011 年、2012 年と
2 年連続の減少であったが、2013 年には前年比 103%と増加に転じている。2013 年の高炭素 FeMn 消費量は
前年比 102%の 310 千 t、中低炭素 FeMn は同 109%の 77 千 t と増加した。
鉄鋼生産において、高炭素 FeMn とマンガン鉱石はどちらも主に一次製錬時に用いられるが、高炭素 FeMn
を利用した方がスラグ等の排出が少なく、製造時間も短縮できるため生産効率が高い。一方で、鉱石の直接
投入の場合、生産効率は低下するものの、安価に製造することができる。鉄鋼メーカーとしては、安価な鉱石
の使用比率を高めたいが、粗鋼生産量が増加し稼働率が高い時はスクラップ利用率が高まり、熱余裕が無く
なる。その場合、鉱石は利用しにくくなる。つまり粗鋼生産量が増加すると高炭素 FeMn の使用比率が高まり、
粗鋼生産量が減少すると鉱石使用量が増加する傾向がある。鉱石はある程度大ロット(万 t レベル)で輸入す
る必要があり、製鋼業者による鉱石の輸入量と実際の使用量は必ずしもリンクしない。
国内で高炭素 FeMn を生産しているのは、新日本電工、中央電気工業、水島合金鉄、神戸製鋼所の 4 社で
ある。中低炭素 FeMn を生産しているのは新日本電工と水島合金鉄の 2 社である。SiMn は新日本電工、中央
電気工業と神戸製鋼所の3社が生産している。ただし、神戸製鋼所が生産している高炭素FeMn、SiMn は自社
消費用(粗鋼生産)のため外販はしていない。
2012 年に鉱石、FeMn の純分換算率の見直しを行ったため、マテリアル t 及び純分 t での数値の推移がリン
クしていない部分がある。
表 1-2 マンガンの国内需給
151
鉱物資源マテリアルフロー2014.indb
151
マンガン
(Mn)
単位:純分千t
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比
617 650 572 534 542 441 540 470 508 475
94%
①輸入1) マンガン鉱石
高炭素FeMn
32
38
63
94
98
41
87
79
92
89
97%
中低炭素FeMn
5
7
8
24
39
13
8
12
20
9
44%
供
1)
給 ②輸入 SiMn
183 143 167 214 216
90 163 155 161 184
114%
小計
220 188 238 332 353 145 259 246 273 282
103%
③合計
837 837 772 848 873 576 799 715 781 758
97%
高炭素FeMn
243 258 272 291 302 226 298 292 303 310
102%
中低炭素FeMn
45
46
50
61
73
47
60
61
71
77
109%
④消費2)
SiMn
158 186 196 198 203 145 157 154 165 186
113%
小計
445 489 518 550 578 418 515 506 539 573
106%
需
高炭素FeMn
0.6
0.7
0.7
0.7
0.8
0.6
0.8
0.8
0.8
0.7
81%
要
6.8
6.6
5.5
3.6
0.9
0.7
1.5
0.7
0.9
0.8
91%
1) 中低炭素FeMn
⑤輸出
SiMn
0.10 0.01 0.02 0.01 0.25 0.03 0.00 0.05 0.03 0.04
132%
小計
7.5
7.2
6.2
4.3
1.9
1.2
2.3
1.6
1.8
1.6
87%
⑥合計
453 497 524 554 580 419 517 508 541 574
106%
⑦供給-需要(③-⑥)
384 340 248 294 293 156 281 207 240 183
76%
高炭素FeMn
247 256 221 225 233 204 239 240 237 250
106%
中低炭素FeMn
71
70
74
81
81
59
91
93
95 101
106%
⑧生産3)
SiMn
45
58
36
32
36
30
30
30
34
16
47%
⑨合計
362 384 332 338 350 293 405 156 366 367
100%
⑩鉱石輸入との差異(①-⑨) 255 266 240 196 192 149 135 314 142 109
77%
出典:1)財務省貿易統計、2)経済産業省「鉄鋼・非鉄金属・金属製品統計」製鋼業者分受払
3)経済産業省「鉄鋼・非鉄金属・金属製品統計」生産業者分受払
純分換算率(2011年以前):鉱石49%、高炭素FeMn72%、中低炭素FeMn75%、SiMn61%
純分換算率(2012年以降):鉱石44.0%、高炭素FeMn75.5%、中低炭素FeMn77.5%、SiMn65%
鉱物資源マテリアルフロー 2014
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(純分千t)
1,000
供給
需要
900
800
700
600
500
400
300
200
100
0
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
図 1-2 マンガンの国内需給
1-2-2.金属マンガン
金属マンガンの主要用途は製鋼用及びアルミ合金である。金属マンガンは全量が輸入されている。
2013 年の金属マンガン(くずを含む)の輸入量は前年比 117%の 53.9 千 t であった。日本フェロアロイ協会
の推計によれば、2013 年の国内の金属マンガン製鋼用消費量は前年比 110%の約 47 千 t であった。
アルミ合金向けの電解金属マンガン需要はアルミ合金スクラップへの代替が進み、減少傾向にある。
マンガン
(Mn)
1-2-3.電解二酸化マンガン(EMD)、四三酸化マンガン等
電解二酸化マンガン(以下 EMD)の主要用途は乾電池及び LIB 正極材である。四三酸化マンガンはフェライ
ト(Mn-Zn 系)や NTC サーミスタ、LIB 正極材で使用されている。現状、国内で EMD 及び四三酸化マンガンを
生産・販売しているのは東ソー1 社であるが、戸田工業でも自消用生産は行っている。
2008 年に経済産業省は豪州(29.3%)、スペイン(14.0%)、中国(紅星大龍34.3%、その他46.5%)、南アフリ
カ(14.5%)から輸入される EMD に対して AD 関税の賦課を決定した。元々の関税期間は 2013 年 8 月末まで
あったが、延長調査を経て 2019 年 3 月 4 日まで課税期間は延長されている。なお、中国の EMD 生産上位メ
ーカーは、湘潭電化科技股份有限公司、貴州紅星発展股份有限公司、ERACHEM、広西桂柳化工有限責任公
司である。四三酸化メーカーは、金瑞新材料科技股份有限公司が挙げられる。また、南ア唯一の生産者であ
る Delta 社は 2014 年中の操業停止を決定した。
2.輸出入動向
2-1.輸出入動向
マンガンの輸出入を表 2-1、図 2-1 に示す。2013 年のマンガン原料、素材の輸入量は前年比 98%の 816.6
千 t、輸出量は前年比 116%の 15.6 千 t であった。
2013 年の粗鋼生産量は前年比 103%と微増であったが、鉱石の輸入量は前年比 94%、高炭素 FeMn は同
97%と減少している。
鉱物資源マテリアルフロー 2014
鉱物資源マテリアルフロー2014.indb
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表 2-1 マンガンの輸出入数量
原
鉱石
料
金属マンガン
(くずを含む)
高炭素FeMn
中低炭素FeMn
SiMn
素 二酸化マンガン
材
四三酸化マンガン
1)
(二酸化マンガン以外)
過マンガン酸カリウム
過マンガン酸カリウム
2)
以外
小計
合計
輸入
輸出
輸入-輸出
輸入
輸出
輸入
輸出
輸入
輸出
輸入
輸出
輸入
輸出
輸入
輸出
輸入
輸出
輸入
輸出
輸入
輸出
輸入-輸出
輸入
輸出
輸入-輸出
2004
617.1
20.7
596.4
83.3
0.3
32.2
0.59
4.9
6.8
183.3
0.10
4.4
17.7
2.5
0.8
0.49
0.003
0.70
0.24
311.8
26.5
285.3
928.9
47.2
881.7
2005
649.8
15.3
634.5
84.3
1.0
37.6
0.66
7.2
6.6
143.0
0.01
8.4
18.3
1.7
0.2
0.51
0.004
0.78
0.43
283.5
27.2
256.3
933.4
42.5
890.9
2006
572.1
1.6
570.5
75.5
0.1
63.0
0.65
7.7
5.5
167.1
0.02
8.9
18.5
2.3
0.4
0.42
0.013
1.15
0.49
326.0
25.7
300.3
898.1
27.3
870.8
2007
534.4
15.4
519.0
91.1
0.1
94.0
0.69
23.7
3.6
213.9
0.01
11.5
15.2
2.5
0.5
0.48
0.004
1.18
0.57
438.4
20.6
417.9
972.9
36.0
936.9
2008
542.0
6.1
536.0
66.8
0.2
97.9
0.75
39.4
0.9
215.5
0.25
5.3
12.9
2.4
0.5
0.53
0.002
1.27
0.69
429.2
16.2
413.0
971.2
22.2
949.0
2009
441.2
0.0
441.2
30.2
0.1
41.4
0.55
13.5
0.7
90.0
0.03
1.1
9.8
1.2
0.2
0.28
0.003
0.55
0.52
178.2
11.8
166.4
619.5
11.8
607.6
2010
540.4
0.8
539.6
72.3
0.1
87.4
0.81
8.2
1.5
163.0
0.03
4.3
11.5
1.8
0.3
0.31
0.003
1.01
1.22
338.2
15.5
322.7
878.6
16.3
862.2
2011
469.6
0.0
469.6
58.4
0.1
79.4
0.83
12.2
0.7
154.6
0.05
6.8
9.3
1.9
2.1
0.31
0.004
0.94
1.80
314.6
15.0
299.6
784.2
15.0
769.2
2012
507.8
0.0
507.8
46.0
0.3
92.0
0.82
19.8
0.9
161.4
0.03
4.8
9.1
1.6
1.1
0.33
0.004
0.95
1.19
326.9
13.4
313.4
834.7
13.4
821.2
単位:純分千t
2013 13/12比
475.5
94%
0.0
475.5
94%
53.9
117%
0.5
186%
89.2
97%
0.67
81%
8.7
44%
0.8
91%
184.1
114%
0.04
132%
2.9
60%
9.1
100%
1.0
64%
2.5
220%
0.27
82%
0.004
90%
0.89
93%
2.00
168%
341.1
104%
15.6
116%
325.5
104%
816.6
98%
15.6
116%
801.0
98%
出典:財務省貿易統計
純分換算率(2011年以前):鉱石49%、高炭素FeMn72%、中低炭素FeMn75%、SiMn61%、二酸化マンガン63%、四三酸化マンガン72%、
過マンガン酸カリウム34%
純分換算率(2012年以降):鉱石44.0%、高炭素FeMn75.5%、中低炭素FeMn77.5%、SiMn65%、二酸化マンガン63.2%、四三酸化マンガン72%
過マンガン酸カリウム34.8%。
※1)四三酸化マンガン(二酸化マンガン以外)とは、二酸化マンガン以外のマンガン酸化物を示す。
近年輸出の大半は副生マンガン酸化物と考えられる。
※2)過マンガン酸カリウム以外とは、過マンガン酸カリウム以外の亜マンガン酸・マンガン酸・過マンガン酸塩を示す。
過マンガン酸カリウム以外はマテリアルtの数値。
※原料は鉱石、素材は金属カリウム(くずを含む)、高炭素FeMn、中低炭素FeMn、SiMn、二酸化マンガン、四三酸化マンガン(二酸化マンガン以外)
過マンガン酸カリウム、過マンガン酸カリウム以外による。 1,000
マンガン
(Mn)
その他素材
中低炭素FeMn
金属マンガン(くずを含む)
高炭素FeMn
SiMn
鉱石
(純分千t)
1,200
800
600
400
200
0
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
図 2-1 マンガンの輸入数量
2-2.輸出入相手国
2-2-1.鉱石
マンガン鉱石の輸入相手国を表 2-2、図 2-2 に示す。鉱石の輸入量は 2009 年を除き、概ね 500 千 t 前後で
153
鉱物資源マテリアルフロー2014.indb
153
鉱物資源マテリアルフロー 2014
2015/03/18
13:31:32
推移している。輸入相手国は南アが最も多く 72%を占める。日本が鉱石を輸入している南ア、豪州の鉱石品
位は高く、マンガン純分は 44%以上である。
一般的に高・中・低炭素FeMnを製造する場合、鉱石を熱で融解しマンガンや鉄を取り出している。低品位の
マンガン鉱石を使用すると生産効率が低下するため、高品位品が使用されている。一方で金属マンガンや
EMD 等の製造では鉱石を硫酸に溶出し、その液を電解槽で電解し、マンガン分を抽出する工程もある。高品
位より残渣は多く出るが、それほど生産効率は低下しないため、低品位品でも利用できる。
表 2-2 マンガン鉱石の輸入相手国
2004 2005
南ア
374.5 408.4
豪州
191.0 187.3
ガボン
10.0 20.6
ベトナム
-
-
輸
ブラジル
-
-
入
中国
1.29 0.60
コートジボワール 1.29 0.60
その他
39.08 32.38
合計
617.1 649.8
出典:財務省 貿易統計
純分換算率(2011年以前):49%
純分換算率(2012年以降):44%
2006
314.7
205.4
19.0
-
-
0.74
0.74
31.46
572.1
2007
354.1
155.5
9.4
0.09
-
0.20
0.20
14.96
534.4
2008
332.7
195.3
0.0
0.64
-
0.30
0.30
12.78
542.0
2009
231.8
160.6
33.0
0.71
2.79
0.06
0.06
12.28
441.2
2010
310.2
141.4
65.7
0.34
10.04
0.12
0.12
12.42
540.4
2011
305.9
135.2
27.4
0.60
0.03
0.15
0.15
0.16
469.6
2012
319.7
148.8
38.4
0.48
0.09
0.08
0.08
0.17
507.8
単位:純分千t
2013 13/12比 構成比
344.4
108%
72%
106.2
71%
22%
24.2
63%
5%
0.49
102%
0%
0.09
102%
0%
0.07
89%
0%
0.02
27%
0%
0.04
24%
0%
475.5
94%
100%
その他
(純分千t)
700
ガボン
豪州
600
南ア
500
400
300
200
100
マンガン
(Mn)
0
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
図 2-2 マンガン鉱石の輸入相手国
2-2-2.高炭素フェロマンガン(高炭素 FeMn)
高炭素 FeMn の輸入相手国を表 2-3、図 2-3 に示す。主な輸入相手国は、韓国、豪州、インド、南アであり、
この上位 4 ヵ国で輸入量全体の 97%を占めている。
上位4 カ国中、韓国の比率が 43%と高いシェアとなっているが、同国は前年比85%と減少し、シェアも 2012
年の 48%から低下している。これまで韓国の FeMn メーカー(Dongbu Steel、SIMPAC METAL、DONGIL
INDUSTRY 等)が海外での販売増を狙い、生産量を増加させおり、ウォン安を背景に日本への輸出量が増加
していたが、2013 年はウォン高の影響を受けたと推定される。
インドは日本との FTA 締結に伴い関税が低く設定されたため前年比 252%となった。また、豪州は 2012 年
に前年割れ(前年比 53%)となったが、回復傾向となっている。これは 2012 年前半に起きた TEMCO(The
Tasmanian Electro Metallurgical Company)の生産停止が影響している。
鉱物資源マテリアルフロー 2014
鉱物資源マテリアルフロー2014.indb
154
154
2015/03/18
13:31:32
表 2-3 高炭素 FeMn の輸入相手国
単位:純分千t
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比 構成比
韓国
-
0.7 11.9 13.6 16.5
7.1 22.5 21.0
44.4 37.9
85%
43%
豪州
13.0 14.1 10.6 41.5 47.6 18.0 31.2 33.3
17.7 25.8
145%
29%
インド
0.7
2.8
1.1
2.2
0.8
1.0
4.1
0.8
4.7 12.0
252%
13%
南ア
7.0
9.8
7.6
14.0
11.6
11.2
24.5
16.1
19.7
10.5
53%
12%
輸
入 ノルウェー
-
-
-
-
-
0.1
3.4
8.0
4.6
3.0
67%
3%
中国
11.2
9.5 30.4 22.8 21.5
4.0
0.5
-
0.5 0.01
1%
0%
その他
0.0
0.7
1.4
0.0
0.0
0.0
1.1
0.2
0.3 -
-
-
合計
32.2 37.6 63.0 94.0 97.9 41.4 87.4 79.4 92.0 89.2
97%
100%
出典:財務省 貿易統計
純分換算率(2011年以前):72%
純分換算率(2012年以降):75.5%
(純分千t)
120
100
80
その他
中国
ノルウェー
南ア
インド
豪州
韓国
60
40
20
0
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
図 2-3 高炭素 FeMn の輸入相手国
2-2-3.中低炭素フェロマンガン(中低炭素 FeMn)
中低炭素 FeMn の輸入相手国を表 2-4、図 2-4 に示す。2013 年は韓国からの輸入量が 84%を占めている
が、近年、韓国の高シェアが続いている。
マンガン
(Mn)
表 2-4 中低炭素 FeMn の輸入相手国
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
韓国
1.8
1.5
1.8 11.2 21.7 11.8
5.3
9.4 16.0
7.3
ベトナム
-
-
-
-
-
-
-
0.4
0.7
0.6
インド
-
-
-
-
-
-
0.2
0.5
0.6
0.3
ノルウェー
-
-
-
0.5
1.6
0.1
-
0.3
1.8
0.2
輸
南ア
2.6
4.0
1.4
6.0
1.9
-
-
0.1
0.3
0.2
入
スペイン
-
-
-
0.2
0.2
-
0.1
0.2
0.2
0.1
中国
0.23 1.27 4.20 5.73 12.01 0.79 2.44 1.27 0.28 0.002
その他
0.29 0.29 0.29 0.29 0.29 0.29 0.29 0.29 0.00
-
合計
4.9
7.2
7.7 23.7 39.4 13.5
8.2 12.2 19.8
8.7
出典:財務省 貿易統計
純分換算率(2011年以前):75%
純分換算率(2012年以降):77.5%
155
鉱物資源マテリアルフロー2014.indb
155
単位:純分千t
13/12比 構成比
46%
84%
87%
7%
58%
4%
11%
2%
51%
2%
64%
1%
1%
0%
-
44%
100%
鉱物資源マテリアルフロー 2014
2015/03/18
13:31:32
(純分千t)
40
その他
ノルウェー
インド
ベトナム
韓国
35
30
25
20
15
10
5
0
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
図 2-4 中低炭素 FeMn の輸入相手国
2-2-4.シリコマンガン(SiMn)
SiMn の輸入相手国を表2-5、図2-5 に示す。2003 年~2008 年までは中国からの輸入が最も多く、輸入量全
体の約6~8 割を占めていた。中国での自国消費の増加や輸出関税引き上げにより、中国からの輸入が 2009
年以降激減している。中国に代わり、2010 年以降、インドからの輸入量が急増しており、2013 年の全輸入量に
占めるインドの比率は 59%である。
表 2-5
SiMn の輸入相手国
マンガン
(Mn)
単位:純分千t
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比 構成比
インド
15.6
5.8
4.1
9.8 17.6 23.7 74.3 78.5 92.2 107.9
117%
59%
カザフスタン
7.0
6.8 12.1 14.9 11.6
6.3 21.8 26.3 27.2 29.1
107%
16%
ベトナム
-
-
-
-
-
-
8.7 13.1 13.8 19.6
142%
11%
韓国
2.5
7.8
3.6
0.8
2.3 10.7 10.2
7.0 10.4
8.3
80%
5%
20.2 25.3 17.1
7.9 18.5
8.1 15.7 13.0
5.4
6.9
128%
4%
輸 ウクライナ
入 インドネシア
-
-
-
-
-
-
1.2
1.8
3.5
6.8
193%
4%
ブラジル
-
-
-
-
-
-
-
-
-
2.3
1%
フランス
-
-
-
-
-
-
-
-
-
1.0
1%
その他
138.0 97.2 130.2 180.4 165.5 41.3 31.1 14.8
9.0
2.4
26%
1%
合計
183.3 143.0 167.1 213.9 215.5 90.0 163.0 154.6 161.4 184.1
114%
100%
出典:財務省 貿易統計
純分換算率(2011年以前):61%
純分換算率(2012年以降):65.0%
鉱物資源マテリアルフロー 2014
鉱物資源マテリアルフロー2014.indb
156
156
2015/03/18
13:31:33
(純分千t)
250
その他
ウクライナ
韓国
ベトナム
カザフスタン
インド
200
150
100
50
0
2004
2005
2006
2007
図 2-5
2008
2009
2010
2011
2012
2013
SiMn の輸入相手国
2-2-5. 電解二酸化マンガン(EMD)
EMD の主な輸入相手国はこれまで中国とコロンビアであったが、南アが増えている。一方、輸出相手国は
米国、インドネシア、タイ等である。
2-3.輸出入価格
マンガンの平均輸出入価格を表 2-6、図 2-6、図 2-7 に示す。FeMn の輸入価格は 2006 年から 2008 年にか
けて高騰が見られたが、2009 年は世界的な景気後退の影響を受け大幅に下落した。2010 年以降も価格低下
は続いており、2013 年は高炭素 FeMn が前年比 88%、中低炭素 FeMn は同 90%となった。
表 2-6 マンガンの平均輸出入価格
原
鉱石
料
金属マンガン
(くずを含む)
高炭素FeMn
素
材
SiMn
二酸化マンガン
四三酸化マンガン
(二酸化マンガン以外)1)
過マンガン酸カリウム
2005
167
104
1,588
1,716
778
1,268
1,163
1,381
788
2,840
1,222
1,277
1,585
3,169
1,737
5,739
2,653
8,563
2006
155
60
1,384
25,361
643
1,009
1,002
1,163
666
2,172
1,153
1,223
1,454
2,909
1,787
4,097
2,565
10,409
2007
153
126
2,849
27,806
959
1,185
1,568
1,387
1,014
2,541
1,191
1,270
1,699
3,749
1,514
8,978
2,353
8,622
2008
438
371
3,841
10,179
2,405
2,602
3,209
3,316
2,105
1,559
1,796
1,758
2,702
6,655
2,548
13,104
2,743
6,654
2009
380
-
2,957
21,200
1,520
2,428
2,729
2,809
1,231
3,033
1,979
2,251
1,870
9,395
2,431
12,774
2,982
9,022
2010
344
264
3,014
26,144
1,391
2,324
2,194
2,473
1,422
3,136
1,803
2,125
2,060
9,928
2,312
11,392
2,690
12,695
2011
299
-
3,701
31,273
1,282
2,340
2,057
3,014
1,313
3,309
1,986
2,318
2,815
3,526
2,676
21,549
2,770
16,109
2012
237
-
3,157
12,833
1,155
2,067
1,759
2,673
1,171
3,082
2,206
2,306
2,726
4,674
2,623
21,947
2,927
11,596
単位:$/t
2013 13/12比
244
103%
-
-
2,410
76%
12,538
98%
1,020
88%
1,671
81%
1,576
90%
2,357
88%
1,070
91%
2,520
82%
2,106
95%
2,208
96%
2,031
74%
985
21%
2,485
95%
16,556
75%
3,281
112%
12,518
108%
マンガン
(Mn)
中低炭素FeMn
輸入
輸出
輸入
輸出
輸入
輸出
輸入
輸出
輸入
輸出
輸入
輸出
輸入
輸出
輸入
輸出
輸入
輸出
2004
132
103
1,469
5,814
885
1,022
918
1,172
965
1,506
1,101
1,224
1,379
1,967
972
7,976
4,108
9,523
過マンガン酸
カリウム以外2)
出典:財務省 貿易統計
※1)四三酸化マンガン(二酸化マンガン以外)とは、二酸化マンガン以外のMn酸化物を示す。近年輸出の大半は副生マンガン酸化物と考えられる。
※2)過マンガン酸カリウム以外とは、過マンガン酸カリウム以外の亜マンガン酸・マンガン酸・過マンガン酸塩を示す。
※輸出入価格は貿易統計の貿易額を財務省による年間平均為替レートにより米ドルベースに換算し、年間平均価格を示した。
157
鉱物資源マテリアルフロー2014.indb
157
鉱物資源マテリアルフロー 2014
2015/03/18
13:31:33
($/t)
鉱石
金属マンガン(くずを含む)
高炭素FeMn
中低炭素FeMn
SiMn
4,000
3,000
2,000
1,000
0
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
図 2-6 マンガンの平均輸入価格
($/t)
40,000
($/t)
4,000
3,000
30,000
2,000
20,000
1,000
高炭素FeMn
中低炭素FeMn
SiMn
金属マンガン(くずを含む)(右軸)
0
10,000
0
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
図 2-7 マンガンの平均輸出価格
3.生産者及び生産品目
日本における主要生産者及び生産品目は表 3 の通りである。
マンガン
(Mn)
表 3 主要生産者及び生産品目
素材
高炭素
FeMn
新日本電工
〇
中央電気工業
〇
水島合金鉄
〇
東ソー
出典:矢野経済研究所作成
中低炭素
FeMn
〇
〇
-
SiMn
EMD
-
〇
四三酸化
マンガン
〇
硫酸
マンガン
〇
-
4.リサイクル
マンガンのリサイクル率は以下の定義により推計すると 0%になる。ただし、普通鋼や特殊鋼については
鉄スクラップとしてのリサイクルが行われている。
リサイクル率
=(使用済み製品からのリサイクル量)/(見掛消費)
見掛消費
=(国内発生量)+(原料・素材の輸入量)-(原料・素材の輸出量)
※
使用済み製品からのリサイクル量とは、製品から原料・素材に戻る量を示す。
※
原料は鉱石、素材は金属 Mn(くずを含む)、高炭素 FeMn、中低炭素 FeMn、SiMn、二酸化マンガン、四三酸化マンガン
(二酸化マンガン以外)、 過マンガン酸カリウム、過マンガン酸カリウム以外の合計値。
※ 国内発生量には使用済製品からのリサイクル量および精錬残渣等から回収された量を含む。
鉱物資源マテリアルフロー 2014
鉱物資源マテリアルフロー2014.indb
158
158
2015/03/18
13:31:33
鉱物資源マテリアルフロー2014.indb
159
5.マテリアルフロー
国内生産あり
SiMn
16
184
0
186
千t
千t
千t
千t
輸出入のみ
輸入
輸出
製造フロー
(国内製造あり)
54 千t
0 千t
金属マンガン・くず
国内生産
輸入
輸出
需要量
中低炭素FeMn
国内生産
101 千t
輸入
9 千t
輸出
1 千t
国内主要生産企業
新日本電工
水島合金鉄
需要量
77 千t
高炭素FeMn
国内生産
250 千t
輸入
89 千t
輸出
1 千t
国内主要生産企業
新日本電工 中央電気工業
水島合金鉄 (神戸製鋼所)
需要量
310 千t
素材
製造フロー
(国内製造なし) リサイクルのフロー
過マンガン酸カリウム等
輸入
1 千t
輸出
2 千t
四三酸化マンガン
国内生産
輸入
1 千t
輸出
2 千t
国内主要生産企業
東ソー
-
電解二酸化マンガン
国内生産
輸入
3 千t
輸出
9 千t
国内主要生産企業
東ソー
-
マンガンのマテリアルフロー(2013)
純分換算率:鉱石44.0%、、高炭素FeMn75.5%、中低炭素FeMn77.5%、SiMn65%、二酸化マンガン63.2%、四三酸化マンガン72%、過マンガン酸カリウム34.8%
※製品の需要量=国内で生産、または国内に輸入された原料、素材の需要量であり、製品の輸出入量は考慮していない。
直接の輸出入なし
マンガン鉱石
輸入
475 千t
輸出
0 千t
原料
マンガン
(Mn)
159
鉱物資源マテリアルフロー 2014
2015/03/18
13:31:34
アルミ合金
LIB正極材
フェライト関連
需要量
需要量
乾電池材料
需要量
需要量
需要量
普通鋼/特殊鋼
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製品・主要用途
飲料水中の有機物や臭気の除去、
マンガンや鉄の除去等
フェライト関連製品
LIB
乾電池
構造物 缶飲料・他
自動車
家電製品
各種機械
建築土木 等