プロジェクト報告書(最終)Project Final Report 提出日 (Date) 2012/1/18 いかロボットプロジェクト Squid robot project b1009175 土井佑紀 Yuki doi 1 背景 制作班の主な活動内容は、マイコンチームは IKABO3 本プロジェクトは函館の観光用シンボルロボットで 号機、IKABO5 号機のマイコンの書き換え、IKABO 9 ある「IKABO」によって、広く函館をアピールし、函 号機制作チームは IKABO9 号機の制作を主に行う。マ 館の観光産業を盛り上げることである。IKABO という イコンチームは既存の IKABO 3号機と IKABO 5号 のは函館の名物である「いか」と未来大学のロボット技 機は手足は動くものの、IKABO は本来「はこだて港祭 術を合わせた「いか型ロボット」である。しかしながら り」においていか踊りを踊ることを必要とされているた IKABO を知らないという函館市民もいるというのが現 め、IKABO 3号機と IKABO 5号機のマイコンのプロ 状である。そのため、函館市民にもさらに IKABO のこ グラミングを書き換え「いか踊り」を躍らせなければな とを知ってもらうこと、函館の観光産業復興を目標とし らない。IKABO 9号機制作チームは、今年度制作する て、様々なイベント活動やグッズ販売を行ってきた。 予定の IKABO 9号機は本来、本プロジェクトで制作す そして、プロジェクト全体の活動を効率的に行うた るはずであった20m程の巨大イカロボットに近づける め、本プロジェクトは大きく 2 つに分けて、イベント ため、10m程の風船型巨大イカロボットを制作するこ を運営する企画・運営班、ロボットの製作を担当する制 とを目的とした。 作班に分かれて活動してきた。さらに制作班は IKABO 9号機制作チームと、マイコンチームに分かれて活動し てきた。 2 課題の設定と到達目標 プロジェクト全体としては函館の観光産業復興のた めに、様々なイベントに参加し、IKABO をアピールし、 企画・運営班の主な活動内容としては、既存の IKABO IKABO の知名度を上げることを目標とした。IKABO 1号機、IKABO 3号機、IKABO 5号機を用いて函館 の知名度が上がることによって、イベントなどが盛り上 を盛り上げ、IKABO の知名度を向上させるためのイベ がりやすくなり、函館の観光産業復興に繋がると考え ントの運営と企画をすることが中心となった。本年度の た。また、イベントの際にはイベントの主催者側と連絡 イベントの依頼は前年度からの依頼の他、前年度までは を取り合うことや、本プロジェクトの先輩達にイベント 参加していなかった、新たなイベントの依頼もいくつか 内容を聞くことによって企画内容を改善すること。ま 受け、さらに新聞の取材やテレビの出演など幅広いイベ た、依頼されたイベントだけではなく、自分達でイベン ントの依頼があり、前年度までのプロジェクト活動に ト主催者側に申し出て、積極的にイベントに参加するこ よって IKABO の知名度は着実に上昇しつつあると考 とにした。 えられる。そして「IKABO の知名度を上昇させ、函館 の観光産業を盛り上げる」という本プロジェクトの目 まず、企画・運営班の課題としては、函館市民がどの 的を達成するためにも、函館市民を始め、全国の人々に くらい IKABO のことを知っているのか具体的な数字 IKABO のことをアピールし、更なる知名度の向上を目 がわからないので函館市民に向けた IKABO の知名度 指すために企画・運営班では新 IKABO グッズの制作、 街頭調査アンケートを行うこと。そしてプロジェクト最 既存グッズの委託販売、HP制作、PV 制作などを行っ 終発表前の11月末にもう一度 IKABO の知名度街頭 た。 調査アンケートを行い、今年度のプロジェクト活動で IKABO の知名度の推移を確認すること。IKABO をア ピールして、知名度を上げるために様々なイベントに参 優れたイカロボット, IKABO9 号機を製作する。 3 課題解決のプロセスとその結果 加するのはもちろんのこと、イベント内容を把握し、イ ベントに沿った企画を用意すること。昨年度までのプロ プロジェクト全体としては、積極的に依頼されたイ ジェクト活動において、IKABO 1号機を PR するよう ベントに参加し、今年度のプロジェクト期間中には11 な PV は制作されていたが、IKABO 3号機と IKABO 個のイベントに参加した。函館競馬場でのイベントは、 5号機を PR する PV が制作されていなかったため、 メンバー自らが函館競馬場に行き、イベント関係者に直 IKABO 1号機、IKABO 3号機、IKABO 5号機、ま 接交渉して今年度から参加したイベントである。更にこ た、IKABO グッズや本プロジェクトを PR する PV を の日は、はこだて未来大学のオープンキャンパスもあっ 制作すること。また、IKABO 公式ホームページを制作 た。そのため、一番インパクトのある IKABO1 号機は し、IKABO の PR と共にイベント内容やイベント予定 どちらかの会場にしか置くことができなかったため、観 を更新すること。また、既存の IKABO グッズの在庫が 客の量が多い函館競馬場に IKABO 1号機を置くこと 多いため、イベント時の販売だけではなく外部の企業な にした。そこで、未来大から函館競馬場にある IKABO どに委託販売してもらうこと。そして、昨年度から使用 1号機を遠隔操作し、その様子を未来大で生放送を行っ している IKABO のロゴを用いて、新たに IKABO グッ た。このように IKABO の遠隔操作によって2つの会 ズを制作すること。グッズを販売する際のポップを政策 場でイベントを行うことは前年度までのプロジェクト活 することなどを目標とした。 動では実践したことがなく、今年度のプロジェクト活動 で初の試みだった。(図 1 参照)その他にも、函館市外 また、制作班の課題としては IKABO 3号機 IKABO のイベントである「ROBOMEC 2011 in 旭川」 5号機と2体で動作させることで, 動きを大きく見せ高 や、幕張メッセで行われた「CEATEC JAPAN 2 いエンターテイメント性を獲得しようとした IKABO 011」にも参加し、多くの人に IKABO のことを知っ 5号機であるが、現状2つの大きな問題点があったと考 てもらうことができる良い機会となった。 また、新聞 えられる。1つ目の問題点は、IKABO 3号機、IKABO 5号機の腕部の制御が未実装であるということ。この状 態では函館を象徴する踊りであるいか踊りを踊れないと いう問題点だけではなく、サーボモーターを用いた様々 な動きを通して函館という街、並びに IKABO を各地 へすることが困難となってしまう。2 つ目の問題点は、 IKABO3 号機、IKABO5 号機では、人影に隠れてしま うことがあること。IKABO3 号機、IKABO5 号機は小 型にすることで輸送面で大きなメリットを得ることがで きたが、それ故、人が集まれば人影に隠れてしまい、遠 図1 イベントの様子 くからでは IKABO3 号機、IKABO5 号機を視認するこ とができなかった。 これらの課題を改善するために、一つ目に IKABO3 号機, IKABO5 号機の腕部を制御し, 2 体で動作させ, 動 きを大きく見せるこ。 さらに, IKABO1 号機と同時に IKABO3 号機, IKABO5 号機がイカ踊りを踊ることが 可能であれば, より函館の PR に繋がると考えた 二つ目に IKABO1 号機のように遠くからでも注目を 集め, IKABO3 号機, IKABO5 号機のように輸送にも や雑誌の取材を受けたことや、NHK 総合 「ほっかい どう穴場ハンター」、STV 「どさんこワイド179」 にも出演したことによって、多方面において IKABO を アピールすることができた。(図参照) 企画・運営班としては、参加したイベントにおいて、 イベントについてインターネットで調べたり、イベント 担当者に問い合わせてイベント詳細を確認したり、先輩 達の話を聞いたりすることによってイベント内容を理解 る。(図3参照) 図2 取材の様子 図3 プロジェクターボールペン し、イベントによってデモやショーの内容の企画を変更 していった。また、イベント会場までのメンバーの移動 IKABO グッズの企業への委託販売については、函館 手段の確保、IKABO をイベント会場まで輸送する際の 市民や観光客が訪れやすいところ、またメンバーのアル トラックの手配等を行った。その際には、メンバー各人 バイト先にもお願いしてみようということになった。ま の得意分野や、時間軸スケジュールを基準にしてそれぞ た、委託販売先で、IKABO グッズというのは函館限定 れの役割を分担して、活動を行った。 のいか型ロボットのグッズであるということが一目でわ その他にも IKABO の知名度を向上させるための手 かるようなポップを制作した。その結果 IKABO グッ 段として、IKABO 公式ホームページの制作や、いかロ ズの売り上げが昨年度は合計213個だったのだが、今 ボットプロジェクトのプロモーションビデオの制作や、 年度は642個と、約3倍もの売り上げをあげた。 新 IKABO グッズの制作や、グッズの企業での委託販売 IKABO の知名度調査アンケートについては、まず や、グッズの委託販売用のポップ制作などを行った。ま 6月にアンケートを行ったところ函館市民の約4割の人 た、IKABO の知名度を知るために、函館市民に向けた しか IKABO のことを知らなかったが、11月に行わ IKABO の知名度街頭調査アンケートを行った。 れた2回目のアンケートでは函館市民の約5割の人が IKABO 公式ホームページについては、昨年度までに IKABO のことを知っていて、本プロジェクトの活動が 制作されたものはサーバの不具合等の要因によりアップ IKABO の知名度の向上に繋がったと考えられる。 ロードが困難だったため、今年度から新しいホームペー ジを制作することとなった。ホームページではグッズな 制作班は、本プロジェクトの目的である函館市の観光 どに使用されている IKABO のロゴを基調としたデザ 産業を盛り上げる為に、新たな IKABO の作成を行っ インでポップな見た目で、IKABO のプロフィール、本 てきた。今年度は持運びが容易である巨大風船型ロボッ プロジェクトのイベント紹介、IKABO グッズの紹介、 ト、IKABO9 号機を作成した。 IKABO に関するアンケート、本プロジェクトのプロ 前期では、最終目標の 5 分の 1 となる大きさの 2m の モーションビデオが掲載されている。 試作 IKABO9 号機の作成を目標とした。それに伴い巨 プロモーションビデオについては、本プロジェクトの 大風船型ロボットに適した IKABO の新たなるデザイ 紹介、IKABO 1号機、IKABO 3号機、IKABO 5号 ン、風船作成技術の習得、腕部の設計を行った。しかし、 機の紹介、IKABO グッズの紹介をしている。 実際に試作機が完成してみると、浮力の不足、姿勢維持 新 IKABO グッズについてはメンバーで話し合った の難しさ、各パーツの接合部の弱さなど様々な問題点が 結果、普段使えるもので光るものが魅力的であるという 残る結果となった。 結果が出たのでプロジェクター式ボールペンを制作す 後期では、試作機で明らかとなった問題点への解決策 ることにした。これはボールペンについているボタンを を練り、デザイン、構造共に一新した。また、腕部とプ 押すと、IKABO のロゴが映し出されるというものであ ロペラも完成し、デモを行う上でより高いエンターテイ メント性を獲得した。最終的には IKABO9 号機は全長 7m の巨大風船型ロボットとして 2011 年 12 月 9 日に完 けでなく、1 体ずつの制御も可能になった。 4 今後の課題 成した。(図参照) 制作班としての課題としては、巨大風船型ロボット として開発された IKABO9 号機だが、組み立てに数名 の人員を要してしまう。輸送費を削減するため風船型と したが、その分人員が必要となってしまうと旅費がか かってしまう。そのため今後は、少ない人員で組み立て ることができる構造にすることが課題といえる。また、 本来の目的であるいか踊りを踊れるようにすることも課 題といえる。 企画・運営班の課題としては、アンケートを行った際 図 4 9 号機 に、IKABO のことをテレビや新聞で知ったという人が 多かったので、依頼されたメディアへの露出だけではな ボディについては、試作機で自作した風船からヘリ ウムが漏れ出してしまうという問題があったため、コ く、自分達から積極的に交渉し、メディアへの露出を増 やすことが今後の課題としていえる。 スモブレンという既存の風船を使用することで作成の 時間短縮とヘリウムが漏れ出てしまうことを解決した。 また、腕部は低自由度であるが長さ 2m 重さ 400g と軽 量化に成功した。さらに、稼働する際二本の腕が互いに 反動を打ち消しあうため、本体が動くことはない。プ ロペラは当初上昇下降を行う予定であったが、空中で IKABO9 号機の向きが定まらないということが判明し たため、急遽旋回用として使用することとなった。それ により向きを正すことだけでなく、回転するモーション も加えることが出来た。 また IKABO 3号機、IKABO 5号機の保守、管理も 目的としているが、今期は 2 体の IKABO にイカ踊り を実装することが IKABO9 号機制作と並ぶ目標となっ た。前期には、IKABO5 号機のイカ踊りを完成すること ができた。しかし IKABO3 号機は腕の長さが IKABO5 号機と比べ長かったため、サーボモーターのトルクが足 りず IKABO5 号機のようにイカ踊りをすることが出来 なかった。そこで IKABO3 号機の腕を改良し IKABO5 号機と変わらない程度の長さにすることにより、全く同 じプログラムを適用することに成功した。 後期には、IKABO3 号機、IKABO5 号機を同時に PC 上から制御できるアプリケーションも開発しより運用を 容易にした。また、開発したアプリケーションは誰でも 簡単に扱えるよう、ボタン一つで一つのモーションを行 うようになっている。さらには、2 体を同時に動かすだ 函館は観光名所として有名ではあるが、年々観光客 の数は減ってきている。今後、本プロジェクトとして は函館の観光産業の復興に更に貢献し、函館といえば IKABO と言われるように成長していきたい。
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