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【2010/期末】プロジェクトNo.18・セキュリティ対策の歴史と将来 ・白勢政明 小西修
量子暗号のモデル化 Modeling of quantum cryptography
Koji Sato
Daisuke Yamamoto
佐藤耕司 山本大介 村田佑介
目的
Yusuke Murata
器具でモデル化したものを見せることによって、イメージを持ってもらう。
BB84
BB84 は 1984 年にベネットとブラザードによって提唱された量子暗号である。
1: 送信者は単一光子に偏光を定めて受信者に送る。
2: 受信者は検出器を利用して単一光子を受け取り、その偏光を調べる。
その後の手順
図1. 偏光の向き
3: 全て送信し終えたら、送信者は受信者に使用したコード表の型 (+か ×) を順番に教える。
型
信号
4: コード表の型が一致しないものは捨てる。
0
1
5: 残った信号列からランダムに何個か抜き出し、信号値が一致しているかどうか確認する。
( もし一致していなかったら、盗聴されていたこととなる。)
6: 全て一致していたら、それ以外の信号列を暗号鍵として利用する。
図 2. コード表の例
自作の実験
実験 1 PL フィルタで偏光の性質を確認する
PL フィルタ
実験 2 偏光を持った光が偏光ビームスプリッタでどう分かれるか
PL フィルタ
PL フィルタ
偏光ビームスプリッタ
レーザーポインタ
レーザーポインタ
解説 : 一方向の偏光を持たせる役割を持つ 2 枚の PL
フィルタを、互い違いに設置すると、光が通らなく
なる実験である。この実験から偏光の性質を理解す
ることができる。
解説 : 実験 1 の偏光の性質を利用することで、PL フィルタ後の
光に偏光を与えて偏光ビームスプリッタに通すと、垂直な偏光を
持った光は透過し、水平な偏光を持った光は反射する実験である。
この実験で偏光を調べ、信号の送信が可能になる。
実験 3 実験2の光を単一光子に近い状態にして光電子増倍管で検出する
PL フィルタ
ND フィルタ
偏光ビームスプリッタ
ピコアンメーター ( 電流計 )
光電子増倍管
レーザーポインタ
波長が 632.5nm
光に特定の偏光を持た 光を一定量減衰させる。今
入射面に対して、垂直な偏
光電効果を利用して、光エ
の赤色レーザー
せる。今回は偏光板の 回は光減衰器の代わりに ND
光をもつ光を透過し水平な
ネルギーを電流に変換する。 に pA 単位まで計測できる
を使用した。
代わりに使用した。
偏光をもつ光を反射させる。
フィルタを複数使用した。
微電流でも検出できるよう
ものを用意した。
解説 : 偏光をもたせた光を ND フィルタで弱め、できるだけ単一光子に近い状態にする。その光を偏光の向きに応じて、2
つに分け、光電子増倍管で電流に変換し、電流計で検出する。全体の軸を揃えるために土台に器具を固定し、黒く塗った段ボー
ルと黒幕で覆い外光を極力減らした。目で見えない状態の光で信号の送受信が可能になる。
実験結果
単一光子に近い状態の光に偏光を持たせ信号を送受信することにより、BB84 の手順 1 と 2 を以下の要領でモデル化できた。
1:PL フィルタを動かしてレーザーポインタの光に偏光を持たせる。ND フィルタで光を光子の状態に近づける。
2: 偏光ビームスプリッタを用いて偏光を調べる。光電子増倍管で光を電流に変換して、その大きさを測定する。
考察 : 単一光子を生成できなかったこと、光電子増倍管など器具が足りなかったこと、暗室や固定器具など実験環境を
整えられなかったことが課題として挙げられる。モデル化には成功したが、この問題を解決することによって質や精度
が向上すると考えられる。今後は、より単一光子に近づける方法を考え、環境や設備を整えて、BB84 全体のモデル化
に挑戦したい。