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プロジェクト報告書(最終) Project Final Report
提出日 (Date) 2011/1/19
小学生のためのエデュテインメントシステム製作プロジェクト
The project that develops an edutainment system for elementary
school students
b1008213 田畑祐太郎 Yutaro Tabata
1 背景
と、今までのプロジェクトで行ったことの無い新しい内
容に挑戦したいというチャレンジ精神から、この要望と
このプロジェクトの目的は、小学生向けの楽しくわか
我々の目標が融合した「赤川の歴史を児童たちに考えて
りやすい教育システム・カリキュラムを作成することで
もらいながら共に学ぶ」カリキュラム作成という新しい
ある。そのために我々は、現在の教育制度におけるメ
目標が掲げられた。
リット・デメリットや小学校教育の特徴、総合学習の定
義などを明確に理解すべきだと考え、函館市中央図書館
こうして我々のプロジェクト活動は本格的に始ま
った。
(以下中央図書館)やインターネットで調査を行った。
結果、現在のゆとり教育における大きな矛盾点を発見
2 課題の設定と到達目標
した。それはゆとり教育の目的である、児童の「考える
目標が決定して、我々は最初に児童相手に授業を行う
力」を伸ばす授業を展開しきれていないことである。ゆ
上で最も大切なことは何か考えた。そこで小学校教育に
とり教育以前の教育は詰め込み教育と呼ばれ、先生が教
ついて我々がどのような印象を抱いているかを知るた
科書に書いてあることをそのまま児童に教えるだけだっ
めにプロジェクトテーマである「小学生のためのエデュ
たが、それでは知識を生かすための応用力が身につかな
テインメントシステム製作」から、最も近いと思われ
いと政府が考え、改正案として生まれたのが現在のゆと
る3つのキーワード「小学生」「楽しさ」「教育」を導き
り教育である。このゆとり教育の最大の特徴は、それま
KJ 法を分担しながら行った。そこから以下のようにわ
でになかった総合学習の時間を設け、児童の考える力を
かった。
伸ばす授業のはずだった。しかし、このゆとり教育も結
KJ 法から得られた結果
局は児童に考える内容を押し付け、刷り込み、誘導して
いるに過ぎないことが調査から見えてきたのだ。それは
児童が考える授業ではなく、誘導しているだけで児童は
それをなぞっているだけではないかと我々は感じた。そ
キーワード
結果
小学生
継続性の高いものが多い
楽しさ
興味、集団性
教育
個人では自由度が高く、集団では義務度が高い
こで、その矛盾点を改善できるようなカリキュラムを作
ろうというのが我々の根底の目標となった。
この活動内容を、本プロジェクトに協力してもらって
ここで我々が注目したものは楽しさについてである。
いる函館市立赤川小学校(以下赤川小学校)教頭先生で
児童が楽しくない、もしくは興味を持っていなければ授
ある新山先生に提案したところ、そのまま活動を進めて
業を受けても知識になりにくく、授業として好ましくな
くださいというお返事を頂いた。それと同時に、赤川小
いと我々は考えた。しかし、あまりに楽しさを優先した
学校が今年で開校130周年の節目の年なので、赤川小
カリキュラムを作成しては本来の目的である授業がただ
学校、赤川町の歴史に絡んだ授業を企画してほしいとい
の遊びに成り下がってしまう恐れもあり、そのボーダー
う要望も頂いた。この時点で我々の授業展開の仕方はま
ラインを決定するのにひたすらに模索を繰り返しながら
だ明確ではなかったのだが、赤川という町の歴史を知る
のカリキュラム作成を行い、結論として成果物をいくつ
ことは我々の成長へと繋がるのではないかという意見
か設け、その作成過程で楽しみを付与することにした。
その後、歴史を絡めた成果物について議論を交わし、
最終成果物を年表にするという目標が決定するまでに
は時間はかからなかった。しかし、我々ははこだて未来
大学生であり、せっかくプログラミングを勉強したの
で、パソコンで作成、閲覧することができる「デジタル
年表」を製作するカリキュラム、及び「デジタル年表作
成ソフト」を製作することが我々の課題となった。この
すぐ後、赤川小学校から11月26日に130周年式典
が行われることを伝えられ、それに合わせて年表をタッ
チパネルで閲覧するためのソフトも開発することも決定
した。
3 課題解決のプロセスとその結果
我々はメンバー12人を、デジタル年表作成カリキュ
図1
ラムの内容、流れや授業を考えるカリキュラムグループ
さわやさんのお話の様子
6人と、デジタル年表作成ソフトを製作するシステムグ
ループ6人に分けて活動を行った。
カリキュラムグループの活動は授業カリキュラムの作
とした。この木はグループごとの成果物として授業の最
後まで保管された。
成と、赤川小学校との打ち合わせがメインであった。デ
ジタル年表作成カリキュラムは8回の授業を行ない、そ
のそれぞれが我々の目標の一部や全体を補足するものと
なっている。
第一回の授業では、我々は児童たちに、想像で絵を赤
川小学校や赤川町の過去を描いてもらった。これは児童
に何も無いところから考えさせ、想像力を豊かにするこ
とを目標としており、赤川小学校の校舎や教科書の絵を
描いてもらった。この絵は成果物として廊下に貼られ、
全校生徒や関係者に見てもらえるオープンな成果物に
なった。
第二回の授業では、描いてもらった絵と実際の資料を
比較、想像した絵が過去と合っていたかどうかを確認し
図2
木をモチーフとしたマインドマップ
た。これは総合学習の手段の一つに調べ学習が推奨され
ていたことと、比較を行うことで児童たちの記憶に深く
結びつけるためである。
第三回の授業では、古くから赤川に住まれている方を
ゲストティーチャーとしてお招きして、児童たちに小学
生だったときの話をしていただいた。授業の後半には、
お話を参考にしたクイズ大会を開き、知識を確認するの
と同時に大変な盛り上がりを見せた。
第四回の授業では、第二第三回の授業で得られた知識
を我々が作成した木をモチーフにしたマインドマップに
まとめ、第六回の授業で行うデジタル年表作成の前段階
第五回の授業では第六回の授業でパソコンを使ってデ
ジタル年表を作成するための準備として、児童にパソコ
ンに慣れてもらう授業を展開した。この授業で使用した
ツールは、フリーソフトではなく我々が作成したデジタ
ル年表作成ソフトを応用して2コマの漫画を作成する形
で行った。作成した2コマ漫画は第六回の授業の始めに
動画の形で紹介した。
第六回の授業ではパソコンを使用して、今まで得た知
識をと第四回で作成した木のマインドマップを元にデジ
タル年表を作成した。
第七回の授業では、第六回で作成した年表を、タッチ
パネルと閲覧ソフトを使用して、クラス全体に発表をし
りやすいよう [ファイル] や [開く] といったコマンドは
てもらった。
無く、直感的に使用する画像を選んだり、録音ができる
第八回の授業では、これまでの授業のフィードバック
を行ってもらい、プロジェクト最終発表の資料とした。
授業の内容は以上だが、授業後に論理クイズという授
業のアイスブレイクを何度か行った。この論理クイズは
元々児童の考える力の向上のデータをとるために企画
されたが、短期的な授業のためデータとして役に立つと
は思えず、一度は没となった企画であった。しかしメン
バーの何人かがこの企画を別の形で使えないかと考え、
このアイスブレイクの時間が生まれたのである。このク
イズは、第一、二、四、六、七、八回の授業で行われた。
ようなソフトを目指して作成された。作成ソフトについ
ている機能は以下の通りである。
• 画像選択機能
• 選択した画像の説明をタイピングする機能
• 説明を録音する機能
• 音声ガイドと音声ガイドの声を変更する機能
• 画像をデコレーションする機能
• 編集した画像を保存する機能
以下は、年表作成ソフトの画像である。
一、二、四回目の授業では紙を使っての個人のクイズ、
六∼八回目の授業ではパソコンを使ってのグループクイ
ズを行い、児童たちは非常に楽しんでクイズを解いてい
た。論理クイズをパソコンで行うに当たって、システム
グループはクイズのシステムをベネッセのホームページ
から参考にして作成し、第八回の授業で行った論理クイ
ズでは、クイズとRPGを融合させたゲームを児童たち
に行ってもらい、大変高評価を得ることができた。以下
は、論理クイズの写真である。
図4
年表作成ソフト
年表閲覧には、山本先生の研究室にあるタッチパネル
をお借りして行った。閲覧ソフトには児童たちに作成し
てもらった年表が、年代・テーマごとに分けられて保存
されており、気になったところをタッチすれば詳しくわ
かるページが表示されるというこちらも使用者が直感的
に使用できる仕様を目指した。また、スピーカが描かれ
ているボタンをタッチすると児童たちの声で詳しい説明
が読み上げられ、目の不自由な方にも楽しんでもらえる
ように工夫を凝らした。児童たちは自分たちが作成した
図3
論理クイズ
年表がタッチパネルで表示されることに大変喜んでい
た。以下は、年表閲覧ソフトの画像である。(図5参照)
システムグループは夏休みまでJavaやFlash
全授業終了後、赤川小学校開校130周年式典に我々
の勉強を行い、夏休みから本格的なソフト作成に当たっ
も参列させていただけることになった。式典では参列さ
た。作成は、Java4人、Flash2人に分担して
れた方々にタッチパネルでデジタル年表に触れていただ
行い、年表作成ソフトはJava、閲覧ソフトはFla
き、高い評価が得られた。このとき函館新聞にも取材を
shで作成した。
依頼され、新聞に我々の活動が紹介された。以下は、函
年表作成ソフトの仕様は、小学生が使用するのにわか
館新聞に掲載された記事である。(図6)
つ ち や まさのり
み出版土谷正規. 総合学習の考え方・進め方. あゆ
み出版, 1983.
むこうやまよういち
[6] 向 山 洋一. 思考力が伸びる「算数の良問ベスト 72
問」. PHP 研究所, 1998.
図5
図6
年表閲覧ソフト
函館新聞に取材された記事
4 今後の課題
今回、我々のカリキュラムは一年限りの特別なもので
あり、次年度のプロジェクト学習にはあまり影響のな
いものと思われるが、教育制度の改善に限って言えば、
我々はゆとり教育に取り入れられた総合学習の穴につ
いて研究し、その矛盾点を改善するようなカリキュラム
を作成したが、ゆとり教育のメリット側には目を向けな
かった。よって、今後更に改善する方法はメリット側の
考察をすることで見えてくると思われる。
参考文献
くらたかんじ
[1] 倉田侃司. 見てわかる教育環境作りアイディア集.
中央美版, 1994.
内田
のぶこ
[2] 英うちだ伸子. 想像力の発達−創造的想像のメカニ
ズム−. 株式会社サイエンス社, 1990.
とっとりだいがくきょういくがくぶふぞくしょうがっこうちょ
[3] 鳥取大学教育学部付属小学校著. 自ら学ぶ子どもを
育てる授業. 明治図書出版株式会社, 1994.
さくらい
,
みやかわ としひこ
[4] 櫻井よしこ 宮川俊彦. ゆとり教育が日本を滅ぼす.
Wac Bunko, 2005.
[5] 総合学習の考え方・進め方、土谷正規、1983、あゆ