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自律適応型マッサージチェア「ほぐし屋
筋さん」
1.背景
現代人 は、運 動 不 足や無 理な 姿勢で の長 時 間 の 作業 などで 、肩 や背中
が酷く 凝っている 人が多 い。 プロの マッサージ 師によるマッサージを 受
けたり 、自宅 や温 泉でマッサージチェア を使っ て凝 りを解 消す る機会 が
多いと 思わ れ る。 マ ッ サ ー ジ チ ェ ア は手 軽にマ ッ サ ー ジ で き る 反面、 自
分の好 きなように 操作することが出 来てしまう 。そ の結果 、気 持ち が い
い か ら と揉 み す ぎ て し ま い、 凝 っ て い な い と こ ろ を 揉 ん で 揉 み 返 し が 起
きるといった 問題 が起こ る。 揉み返 しを 起こさない 為には 、揉 みすぎな
い こ と が 重 要 で あ り 、個 人 の 凝 り に 合 っ た マ ッ サ ー ジ を 行 う 必 要 が あ る 。
その為 には、 プロ のマ ッ サ ー ジ師が 行う ように 左右 そ れ ぞ れ の 凝り具 合
に合わ せ てマ ッ サ ー ジを行 う必要 がある 。
2.目的
本 開 発の目 的は、 個人の 凝りに 適応し たマッ サ ー ジ を行 う、自 律 適 応
型マ ッ サ ー ジ チ ェ ア 「ほ ぐ し屋 筋さん 」の開 発で あ る。
3.開発内容
個 人 の 凝 り に 適 応 し た マ ッ サ ー ジ を 行 う 為 に 、ソ フ ト と ハ ー ド を そ れ
ぞ れ 開 発 す る 。 ソ フ ト ウ ェ アで は 、
・ 個人に合 った揉 み回 数を学 習する 、揉み ルール 作成器 ,
・ マ ッ サ ー ジ結 果 や 学 習 履 歴 を 保 存 す る 個 人 履 歴 デ ー タ ベー ス ,
・ 動作コマンドを マッサージチェア へ送信 する通信部,
を 開 発 す る 。ハ ー ド ウ ェ アに 関 し て は 、ソ フ ト ウ ェ ア 要 件 を 満 た す 為 に 、
・ 肩 位 置 検 出 機 構,
・揉み玉 牽 引 機 構,
・ 横位置検出 センサ,
・ 揉み玉 の形状変更,
の 4 点 の 改 造 を 加 え る 。 図 1 に シ ス テ ム構 成 図 を 示 す 。
(タッチパネル)
マッサージ
チェア
の情報
図1
通信部
ハードウェア
動作命令
快・不 快
通信部
マッサージ
チェア
オフライン
入力装置
人
動作命令
チェア
の情報
ソ フ ト ウ ェ ア
シ ス テ ム構 成 図
1/4
オンライン
凝り具 合・凝 り位置
揉みルール
学習器
3 . 1 ソ フ ト ウ ェ ア部
3.1. 1 プ ロの マッサージ手 順
プ ロ の マ ッ サ ー ジ 師 の 方 に ご 協 力 頂 き 、実 際 に 行 わ れ て い る 一 般 的 な
マ ッ サ ー ジ手 順 に 関 す る 調 査 と 撮 影 を 行 っ た 。 マ ッ サ ー ジ 手 順 で は 、 以
下の特徴 がある 。
・ マ ッ サ ー ジは 一 方 向( 遠 心 性 の マ ッ サ ー ジ な の で 心 臓 か ら 離 れ る
方 向 ) に の み 行 い 、 同 じ 箇 所 を 往 復 し て 揉 む こ と は な い。
・ マ ッ サ ー ジは 軽 擦 、 柔 捏 ( じ ゅ う ね つ )、 叩 き 、 軽 擦 の 4 段 階 に
分かれて おり、 この 順にマ ッ サ ー ジを行 う。
・ 凝 り を ほ ぐす た め に 使 用 す る の は 柔 捏 の み で 、叩 き で は 凝 り は ほ
ぐれない 。柔捏 は、 肩、背 中、腰 の順に 行う。
・ 背中を揉 む際は 、図 2の1 線、2 線、3 線が重 要で あ る。
・ マ ッ サ ー ジの 手 順 は 一 定 で 、揉 む 回 数 を 変 え る こ と で 凝 り に 合 っ
たマッサージを 行う 。
・ 凝りをほ ぐす為 に、 筋肉の きわを 揉む。
3.1 .2 マッサージ 手順の 作成
マ ッ サ ー ジ の 特徴 の調 査 結 果 から、 プロ のマ ッ サ ー ジ手順 を元 に揉む
回数を 増減す るこ と、左 右で 凝り具 合が 違う場 合には 、左 右 非 対 称に 揉
み を 行 う こ と 、 叩 き は 仕 上 げ に の み使 用 す る こ と を 決 定 し た 。
プロの マッサージ 手順の 解析結果を 基に 基本手 順を 作成し た。 図2に
示すように、 マッサージ に重 要な3 線に 、マッサージ 時に 揉んだ 4線 、
5 線 を 追 加 し た 。こ の 5 本 線 を 基 に し て 図 3 に 示 す よ う に 背 中 を 分 割 し 、
マッサージ時 に通 過した 主要 な位置 を揉 みポイントとした 。この 位置 は
相 対 座 標で 求 め る 。 マ ッ サ ー ジ 手 順 は 、 図 3 に 示 し た 揉 み ポ イ ン トの 変
化を順番 に記し たリストと して表 記する 。
3.1. 3 揉 みルール作成器
揉 み ル ー ル 作 成 器 は 、基 本 手 順 に 沿 っ て 揉 み 回 数 を 変 化 さ せ る 為 の モ
ジュール である 。
本開発 では、 マッサージ の一 連の流 れを 手順と し、 一つの 揉み 動作に
お け る 揉 む 位 置 と 揉 む 回 数 を 一 つ の 揉 み ル ー ル と し て 扱 う 。揉 み ル ー ル
図2
マッサージ 必要な 5本 線
2/4
図3
揉みポ イ ン ト
ユーザ
凝り位置・凝り具合
凝りの個人履歴
揉みルール作成部
コマンド生成
快・不 快
基本手順
マッサージ全
体の流れ
マッサージチェア制御
図5
図4
16 分 割した パ ネ ル
揉みルール 学習器 のブロック 図
は 、 揉 み 動 作 の 開 始 位 置・ 停 止 位 置 と 揉 む 回 数 を 持 つ 。 揉 み ル ー ル 作 成
器は、入 力より 凝り 具合に 適応し た揉み 回数を 決める 。
揉みルール作成器 への入 力を 図4に 示す 。凝り 位置 と凝り 具合 は、タ
ッチパネルを 用い て図5 に示 したパネルに 触れ た回数 と位 置で入 力す る。
個人の 凝り履 歴は 、前回 マッサージ 時の 履歴である。 快・ 不快は 、マ ッ
サ ー ジ 中 と 終 了 後 に 、マ ッ サ ー ジ が 快 で あ る か不 快 で あ る かを 入 力 す る 。
3 . 2 ハ ー ド ウ ェ ア部
3.2. 1 揉 み玉 の横位置検出 センサ
図 2 の 線 に 合 わ せ て 揉 み 玉 を 止 め る 為 に 、揉 み 玉 が 現 在 横 方 向 の ど の
位 置 に あ る の か を検 出 す る 機 構 を 追 加 し た 。図 6 、図 7 に 機 構 図 を 示 す 。
3.2. 2 揉 み玉牽引機構
一方向 にのみ マッサージ を行 う為と 、左 右で凝 り具 合が違 う場 合に凝
っていない側 の揉 み玉を 背中 に当てない 為の機 構を追 加し た。図 8に 機
構図を示 す。
3.2. 3 肩位置検出機構
肩 位 置 に 合 わ せ て マ ッ サ ー ジ を 行 う 為 に 、肩 位 置 を 検 出 す る 機 構 を 追
加した。 図9に 機 構 図を示 す。
3.2 .4 揉み 玉の形状変更
筋肉の際 に近い 部分 を揉む 為に、 揉み玉 の形状 を変更 した。 付属 の
揉み玉を 図10 に、 変更し た揉み 玉を図 11、 図12 に示す 。
4.従来 の技術 との 相違点
現 在 あ る マ ッ サ ー ジ チェ ア の 中 に は 、 セ ン サ を 使 っ て 凝 り を 測 定 で き
るものもある。しかし 本システムは 凝り具 合を入 力することにより、 個人
に 合 わ せ た マ ッ サ ー ジ を 行 う 点 ( オ フ ラ イ ン 学 習 )、 ユ ー ザ の 快 ・ 不 快 を
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入 力 し 、マ ッ サ ー ジ 中 に 揉 む 回 数 に つ い て学 習 す る 点( オ ン ラ イ ン 学 習 )、
左 右 非 対 称の 揉 み を 実 現 す る 点 で 既 存 の マ ッ サ ー ジ チ ェ ア と 異 な る 。
5.期待 される 効果
「ほ ぐ し屋 筋さん」 を使 用す る と、凝っ て い な い位 置を揉 まずに ユー
ザ の 凝 り に 合 っ た マ ッ サ ー ジ を 行 う 為 、揉 み 返 し が 起 こ り に く い マ ッ サ ー
ジが可能 となる 。
6.活用 の見通 し
マ ッ サ ー ジ チ ェ ア「 ウ ォ ム ザ 」 販 売 元 の リ ビ ン グ テ ク ノ ロ ジ ー 社 と 商
品 化 に 向 け て 共 同 で 開 発 を 行 っ て い る。 商 品 化 が 実 現 し た 場 合 、 個 人 に
適応し たマ ッ サ ー ジを行 う為 、揉み 返し が起き な い マ ッ サ ー ジ を 実現 で
きる。
特 許 を 申 請 中 で あ る ( 出 願 番 号「 特 願 2005− 42719」)。
7.開発者名
大矢一恵 (公 立はこだて未来大学
株式会社 リビングテクノロジー
[email protected])
支軸のギ アと噛
ませたロータリ
ーエンコ ーダ
動作用の 支軸
元から付 いて
いたローラー
幅検出器
図6
揉み 玉横位置検
図7
元々 付い て い たロ ー ラ ー
アームを 支持す る軸
ギアと噛ませた
ロータリーエン
コーダ
図 8 も み玉牽引機構上図
図 11 ウォムザ 付属
のもみ 玉
図9 肩位置検出機構
図12 形状変更後
のもみ 玉 1
4/4
図 13 形状変更後
のもみ 玉 2