公立はこだて未来大学 2013 年度 システム情報科学実習 グループ報告書 Future University Hakodate 2013 System Information Science Practice Group Report プロジェクト名 やわらかさを感じる筋電義手の開発 Project Name Development of Myoelectric hand with feeling softness グループ名 ハード班 Group Name Hardware group プロジェクト番号/Project No. 22-B プロジェクトリーダ/Project Leader 1011045 岩口優也 Yuya Iwaguchi グループリーダ/Group Leader 1011045 岩口優也 Yuya Iwaguchi グループメンバ/Group Member 1011058 太恭兵 Kyohei Futori 指導教員 櫻沢繁 伊藤精英 Advisor Sakurazawa Shigeru Ito Kiyohide 提出日 2014 年 1 月 15 日 Date of Submission January. 15, 2014 概要 筋電義手とは,筋収縮時に生じる筋電位を読み取って動作する義手のことであるあ.事故で手を 失った人に装着することで従来の手の代わりを担う.しかし,高価,重い,装着していると暑い等 の理由から一般的には普及していない. そこで,プロジェクト内で義手の問題点について議論し,「人間らしさ」を義手に搭載すること を目標にした.人間らしさとは,人間同様にすべての指を独立して動作させること,硬度の能動的 な触知覚ができることの2点である.また,硬度の能動的な触知覚に振戦が関わっていると仮定し て研究を進めた. プロジェクトを進めるにあたって,筋電義手の開発と触知覚の基礎研究を同時進行で研究に取り 組んだ.計測した筋電位から義手を制御するプログラミング班.義手本体の作成するハード班.筋 電位を計測するための回路の設計する計測班.振戦と触知覚の関連性の研究する計測班の4つに分 かれた.ここでは,ハード班の活動について記述をする. キーワード 筋電義手,筋電位,振戦,触知覚 (*文責:岩口優也) i Abstract A myoelectric hand is the prosthetic hand which is controlled by electromyogram signals generated from user's muscles. That is substitute for the hand of which lost in an accident their hand. But, that isn't spread typically because of high price, heavy, hot when use it. So,we discussed what humanlike qualities are, and we carried out implementation of the humanlike qualities. We considered a myoelectric hand with humanlike qualities as follows. It can move as well as human hand and has capabilities of active haptic perception of hardness. And we thought that physiological tremor influences active haptic perception of hardness. We made experiment to study their relationship. In our project, we tackled research myoelectric hand development and tremor in parallel. So, we divided into four groups; controlling team to control movements of myoelectric hand, body core team to make a body of the myoelectric hand, measurement team to make circuits to measure myoelectric of arms and tactual perception experiment team to make experiment to study tremor influences active haptic percetion of hardness relationship. And we write about body core team activity. Keyword Myoelectric hand, myopotential, tremor, Haptic perception (*Responsibility for wording:Yuya Iwaguchi) ii 目次 第1章 背景 1.1 該当分野の現状・従来例 ..........................1 1.2 現状における問題点 ............................1 1.3 課題の概要.................................1 第2章 到達目標 2.1 本プロジェクトにおける目的 ........................2 2.11 ハード班における目的 ........................2 2.2 通常の授業でなく,プロジェクト学習で行う利点 ...............2 2.3 具体的な手順・課題設定 .........................3 2.3.1 前期の活動内容 ............................3 2.3.2 後期の活動内容 ............................3 2.4 課題の割り当て ..............................4 第3章 課題解決の概要 3.1 各人の課題の概要とプロジェクト内における位置づけ ..............5 3.1.1 太恭兵の担当課題 ...........................5 3.1.2 岩口優也の担当課題 ..........................5 3.2 各課題解決過程 ..............................6 3.2.1 スライド作成について .........................6 3.2.2 ポスターについて ...........................6 3.2.3 筋電義手制作の前に ..........................7 3.2.4 前期の義手制作 ............................8 3.2.5 後期の義手制作 ...........................12 第4章 課題解決の反省点 4.1 担当課題解決過程の詳細 .........................16 4.1.1 プロジェクトの成果 .........................16 4.1.2 成果の評価 ............................16 4.1.3 前期の反省点 ...........................17 4.1.4 後期の反省点 ...........................18 4.1.5 岩口優也の反省点 ..........................19 4.1.6 太恭兵の反省点 ..........................19 第5章 結果 5.1 今後の課題 ...............................15 5.2 今後の展望 ...............................15 iii 第6章 その他の成果物 6.1 後期の義手のカバー ............................21 6.2 Zigbeeを用いた無線化............................21 6.3 電極サポーター ..............................21 6.4 成果物失敗の考察 .............................22 参考文献 ....................................23 iv Development of myoelectric hand with feeling softness 第1章 背景 1.1 該当分野の現状・従来例 前年度に製作された筋電義手は2つある.1つ目はステンレスを主材料として,一昨年に作成さ れた筋電義手よりもサーボモーターの数を多くした.また,指の曲げ伸ばしに必要な腱を義手では 釣り糸を用いて実現し,グー,チョキ,パーの動作を実現した.この筋電義手は一昨年よりも動作 数を多くした.しかし,サーボモーターを多くしたことで重くなった. その問題を解決するために,サーボモーターの数を減らし,プラスチック樹脂を主材料とし,2 つ目の筋電義手を制作した. その結果,モーターの数を減らすことができ,前期に使用した筋電義手よりも軽量化にする事が 出来た.また,圧力センサを用いた制御を導入し,物体の硬さをフィードバックできるようにした ことにより,卵を掴めるようになった.そして,人間の皮膚にあたる部分をラテックスを用いて義 手のカバーを制作した.しかし,制作したカバーは破れやすかったり,ワイヤーが摩擦に耐え切れ ずに切れてしまうことがあったり,全体的に改良の余地があった. (*文責:太恭兵) 1.2 現状における問題点 筋電義手はあまり普及していない.その理由として,義手本体が重かったり,購入には保険が適 用されないことから高価であったり,耐用年数がある等が原因である.また,装着には医師,作業 療法士,義肢装具士のサポートが不可欠である.以上の点から普及していない. また,子供につけるには重すぎたり,成長とともに体が大きくなるのでそれに合わせて買い換え ることが困難である.さらに,先天的に手を失っている人は,筋電位が非弱で計測できない問題点 もある.そのため,誰でも使用可能なわけではない. そこで,我々がプロジェクトとして取り組めそうな問題を話し合い,人間らしくすることにした ここで,人間らしさを5本指が独立して動作すること,硬度の能動的触知覚が出来ることとした. (*文責:岩口優也) 1.3 課題の概要 本プロジェクトで制作する筋電義手の目標は,5本指それぞれ独立した動作の実現と柔らかさ を感じる事が出来る人間らしい義手の制作を行うことであった. 昨年度までに制作された筋電義手はグー,チョキ,パーの限られた動作しかできなかった. そこで,昨年度までの反省点を生かして,今年度 では5本指をそれぞれ独立して動作させること を目標とし た.また ,物体の硬度を触知覚 する時に振戦が関係していると仮定して振戦に関する基 礎研究も義手制作と同時に行った. (*文責:太恭兵) Group Report of 2013 SISP 1 Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness 第2章 到達目標 2.1 本プロジェクトにおける目的 筋電義手に対して,人間らしさを求めたことから,5本指をそれぞれ独立して動作させること, 硬度の触知覚を義手に搭載することを最終目標とした. そのために,5つのモーターを使用して1本の指に1つのモーターを接続し,それぞれに動作機 構を搭載しようと考えた.5本指をそれぞれ独立して動作させることは,すべての動作が出来るこ とと同義であると考えてこの動作を実装するに至った. 前期で制作した義手は,3本指で素材はプラスチックを使用した.前期では手作業で義手を作成 した結果,関節に糸が絡まって上手く動作しないことがあった.そのため,後期では精度向上と前 期では制作にかなりの時間を要したため,時間短縮の目的も兼ねて3Dプリンタを使用した. 本プロジェクトでは前腕を失った人を想定して筋電義手を制作している.そこで,前腕を失って 義手を搭載した場合,義手と人体の感覚は切り離されている.そこで,義手からのフィードバック を実装したいと考えた. そもそも人体はどう硬度を感じているかを考えたところ,振戦が関わっているのではないかと考 えた.振戦とは抑制の効かない不随意の機械的振動である.そこで,硬度の触知覚には振戦が硬度 弁別に関係していると考えて実験を行った. (*文責:岩口優也) 2.1.1 ハード班における目的 本プロジェクトにおける,ハード班の目的は皮膚表面上で計測される筋電位を元に動作する 義手本体の制作を行うことであった.今まで,プロジェクトでは多くの義手が制作されてきた. 金属で作られていた義手もあり,木で作られている義手もあった.それらの利点,欠点を考慮 し,さらに今ある筋電義手の問題を解決するためにどういった方法を用いれば解決できるかを メンバーと話し合ったり,インターネットを用いて調べ,義手の制作を行った. (*文責:岩口優也) 2.2 通常の授業でなく,プロジェクト学習で行う利点 プロジェクト学習とは,複数のメンバーで構成されたチームで課題に取り組むことで,プロジェ クトに必要な知識,ルールなどのノウハウを実際に体感することで学ぶことが出来た.スケジュ ールを実際に管理することで,リスク管理が身に付いた.さらに,ものつくりを教員の指導のも とに取り組めることも特徴であった.また,中間,期末発表を通してプロジェクトで身に付けた 専門的知識を知識のない第3者に伝える必要があるため,素養を身につけることもできた. (*文責:岩口優也) Group Report of 2013 SISP 2 Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness 2.3 具体的な手順・課題設定 2.3.1 前期の活動内容 1.リーダーの選定 プロジェクトを進めるために,プロジェクトリーダーを選定した. 2.筋電義手について学習する 筋電義手とはどういうものなのか.どういう構造なのかをインターネットを用いて調べ たり,プロジェクト内での先生の講義で学習した. 3.筋電義手動作のために必要な知識の習得 計測班,プログラミング班,ハード班に分かれて,筋電義手動作に必要な回路,プログ ラム,義手の構造について学習した. 4.人体の構造についての学習 実際の人体について学ぶことで筋電義手を制作のヒントにした.具体的には,人体の腕の 筋肉の役割,構造について学習した. 5.義手の設計 どのような義手を制作するかプロジェクトメンバーで話し合った. 6.義手の素材の選定 5で制作する義手の概要を決め,使用する素材を決定した. 7.必要物品の調達 素材の選定を行って必要になった部品を購入した. 8.義手の制作 実際に義手を制作した. 9.スライドの作成 発表する時に使用するスライドを作成した. 10. ポスターの作成 ポスターの制作を行った. 11. 発表練習 作成したスライドを使って,発表練習を行った.声の大きさ,発表内容を先輩方,先生方 に講評をしてもらい,改善を行った. 12. 中間発表 成果物とスライドを用いて,発表会を行った. 2.3.2 後期の活動内容 13. 前期の反省 中間発表のアンケート用紙を使って前期の活動の反省点を考え,改善策をメンバー,先 生方と話し合って,後期に生かせるようにプロジェクト進行の改善を行った. 14. 後期の義手の設計 13の反省点からどういった義手を制作するかをプロジェクトメンバーと話し合った. 以下,前期活動の6~11と同様に進めた. Group Report of 2013 SISP 3 (*文責:岩口優也) Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness 2.4 課題の割り当て 1. 制作する筋電義手の設計 解決過程:部品や構造など設計を決めた.部品はプラスチック樹脂を使用し,腕の腱は釣 り糸を使用した.釣り糸には,PEラインを使用した.PEラインとはポリエチレン繊維を複数合 わせて編みこんだラインで,一般的なナイロンラインやフロロカーボンラインとは違う構造を していて,伸びづらく,強度が強いため使用した.また,後期では時間短縮,制作精度向上の ため,3Dプリンタを使用した. 2.各部品の試作 解決過程:設計通りに試作した.指と手のひらは当初の設計予定のサイズを実際に作成して みたが,あまりにも小さく義手として使用するには小さすぎると判断したため,欠点の改善を するために,再設計を行った. 3.制作開始 解決過程:手,手のひら,義手の土台を本格的に制作し始めた.手,手のひらでは,プラス チック樹脂を削る細かい部分での試行錯誤をした.義手の土台にはアルミニウムの棒とアクリ ルの円盤を取り付け,それにモーターを3個搭載した.後期では,3 D プリンタにファイルを を読み込こませて制作した.今回用いた義手の3 D データに関してはこのサイト (InMoov - ホ ームページ- http://inmoov.blogspot.jp/)からフリーのものを使用した. 4.動作確認 解決過程:制作した筋電義手の動作確認と耐久性のテストを行った.腱の代わりとして使 用した釣り糸が動作の度に指の細かい部分に引っ掛たりして調節が必要だった.また,こ の動作確認の段階では他のグループと連携してテストを行った. 5.改良,修復 解決過程:動作確認から改良すべき点を見つけ,改良した.その時にねじの緩みを解消し たりサーボモーターが破損した時の交換を行った.また,後期では部品が壊れたりしたこと もあった.その時には,3 D プリンタで再度部品を制作し,交換を行った. 6.筋電義手完成 上で述べた課題解決の手順は前期,後期ともにほぼ同じである.違いは後期では3 D プリ ンタを用いたことであった.前期では,土台を作成してその部分にモーターを3つ取り付け た.後期では,前腕部分を3 D プリンタを用いて制作し,そこにモーターを5つ取り付けた. 前期では,3つのモーターによってつまむ,はなすの2つの動作を実現した.この動作は, 親指,人差し指,中指の3本指で実現をした.後期では,5つのモーターを用いてすべての 指に動作機構を搭載した.そこで,動作はそれぞれの指を独立して動かすことを目標に活動 を行った. (*文責:太恭兵) Group Report of 2013 SISP 4 Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness 第3章 課題解決の概要 3.1 各人の課題の概要とプロジェクト内における位置づけ 各人の課題の概要とプロジェクト内に位置づけを紹介する.我々のグループの作業は大きく 分けると,筋電義手制作,ポスター作成,スライド制作の3つである. (*文責:太恭兵) 3.1.1 太恭兵の担当課題 太恭兵の担当課題を以下に示す. 4月 手の動きと筋電義手についての学習 5月 部品の素材調査,カバーの作成 6月 指部分の制作,手のひら制作,土台制作 7月 それぞれの部品の接合,発表原稿作成,発表練習 9-10月 筋電義手の設計 11月 スライド作成,発表練習 12月 発表,発表練習補助 (*文責:太恭兵) 3.1.2 岩口優也の担当課題 岩口優也の担当課題を以下に示す. 4月 人体に関する学習 5月 義手の設計,部品の素材選定,カバーの作成 6月 指の制作,手のひら制作,土台制作 7月 義手の完成,発表原稿作成,発表練習 9-10月 3Dプリンタを用いた義手の制作 11月 ベアリングの取り付け,義手の完成,スライド作成,発表練習 12月 発表 (*文責:岩口優也) Group Report of 2013 SISP 5 Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness 3.2 各課題解決過程 3.2.1 スライド作成について 短時間で使用した材料,義手の構造について分かりやすく伝わるように作成した.前期では 義手動作の仕組み,カバー作成の概要が簡潔に伝わるように作成した. また,後期のスライドでは,前期の発表の課題点を箇条書きで示し,後期への課題,後期の 活動内容を示した.また,3Dプリンタを用いて制作した義手の画像を提示,使用したオープ ンソースのサイト名,リンクを明記したスライドを作成した. (*文責:太恭兵) 3.2.2 ポスターについて 後期では,ポスターを合計3枚作成した.振戦をメインポスター,サブポスターで2枚.義 手制作,計測班,プログラミング班活動を1枚のサブポスターにした.各班の活動内容のポス ターに関しては,ハード班が作成した.ハード班の画像はモーターの構造,指の構造,義手全 体を写した写真の合計3枚を使用した.次に,計測班は成果物の電極サポータの画像を1枚使 用した.プログラミング班は,プログラムにニューラルネットワーク関する画像を2枚使用し た.上から,ハード班,計測班,プログラミング班の順で載せ,文書を短くまとめて見やすい 構造にした.以下に実際に作成したポスターを載せる. (*文責:岩口優也) Group Report of 2013 SISP 6 Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness 3.2.3 筋電義手制作の前に まず初めに筋電義手を制作するにあたって,指,手のひら,前腕の構造についての知識が必要 であったため以下の用語の構造を学んだ. ・屈筋 関節を曲げる働きををする筋肉. ・尺側手根屈筋 手首の屈曲筋の中では最も内側にある筋肉である.特に前腕を屈曲して尺屈する. ・尺側手根伸筋 手を背屈すると共に手を尺屈する.外側上顆から斜めに走行して第5中手骨に付着しているで,尺 屈方向に力が働く.ただしこの筋のみでは,尺屈することはなく,尺側手根屈筋と共同的に尺屈す る. ・前腕伸筋群 前腕の外側のふくらみのところにある筋肉である.手首を反らせる働きがある.筋群と呼ばれて いるのは浅指屈筋,深指屈筋,橈側手根屈筋,尺側手根屈筋,長掌筋,長拇指屈筋などをまとめて いるからである. ・指の伸展,屈曲 指の伸展,屈曲するときの筋肉は総指伸筋と呼ばれている.人間の上肢の筋肉で第2から第5の 伸展,手関節の背屈にて指の伸展,屈曲を可能とする. (*文責:太恭兵) Group Report of 2013 SISP 7 Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness 3.2.4 前期の義手制作 ・義手の骨格 義手を制作する為に,班員1名の手の型を取った.材料には石膏を使用した.石膏と水を混ぜて ある程度の時間が経つと固まる性質を利用して手の型を取った.制作した石膏の型は,固まった ばかりだと,非常に熱いので,1日~2日ほど熱を放出させてから使用した.出来た手の型の中 にプラスチック樹脂の液体を流し込む.時間が経つと硬化するので,それを手の骨格とした.次 に,同様の型とラテックスを用いて,人間の皮膚にあたる部分を再現した.また,使用した型を 図1に示した. 図1 制作した石膏の型 Group Report of 2013 SISP 8 Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness ・指の制作 指は紙ねんどで指の形を形成し,それにプラスチック樹脂を塗り,石膏で型を取った.これは 、当初制作していた,指が小さかったため,作り直しになったために行った作業であった.その 型にプラスチック樹脂を流し込んで義手の指を制作した.制作している様子を図2に示した. 図2 指の石膏の型 ・手のひらの制作 関節ごとにネジ止めをして,指を残った手のひらにネジを使って止めたこれにより,人間の手 の平,指の再現をすることができた.制作したものを図3に示した. 図3 指をネジ止めした手のひら Group Report of 2013 SISP 9 Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness ・義手のカバーの制作 石膏を使用して出来た手の型の中にラテックスを流し込んだ. その型から,入れたラテックスを 一度取り出した.そして,箇所によって厚みが出てしまわないように30分ごとに一回,ラテック スの入った型をひっくり返してカバーを作成した.そのカバーを図4に示した. 図4 義手のカバー Group Report of 2013 SISP 10 Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness ・土台の制作 円柱のアクリル板を1枚使用し,土台として使用した.円柱の土台に4本のステンレス棒でネジ 止めする.そして,土台の上部を金属板と4本のステンレス棒を接合ネジ止めする.次に,金属板 と義手を接合する.また,制作した土台にはモーターを3台取り付けた.そのモーターは土台とネ ジ止めをした.義手の動作には PE ラインを使用し,それをモーターと接続して,義手の動作を実 現した.今回は,親指,人差し指,中指の合計3本の指のみを実装した.その理由として,つま む,はなすの2つの動作を義手で実現しようと考えたためであった.この2つの動作にした理由と して,振戦の実装が主に関係している.振戦は主に,細かい動作をする時に必要になると考えた. そこで,日常生活における細かい動きとして,つまむ,はなすの動作を実装するに至った.そのた め,前期では3本指のみの動作機構を持つ義手を制作するに至った.完成した義手を図5に示し た. 図5 前期の義手 (*文責:太恭兵) Group Report of 2013 SISP 11 Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness 3.2.5 後期の義手制作 ・3Dプリンタによる義手制作 後期では3Dプリンタを用いて義手の制作を行った.今回使用した3Dプリンタ(図6)は,熱 で融解してABS樹脂を少しずつ積み重ね,3Dモデルを制作するタイプを使用した.また,3 D プリンタには種類があり,樹脂層に入った紫外線硬型樹脂の液面に紫外線レーザーをあて,一層 ずつ硬化させながら重ね合わせて設計形成していく方法が光造形などがあった. [4] 次に、設計 に関しては,プロジェクトメンバーと話し合ったり,インターネットを用いて調べた.そして,こ のサイト( InMoov - ホームページ - http://inmoov.blogspot.jp/ )にオープンソースで公開されている モデルを用いて制作することにした.このサイトでは,全身の3Dモデルがオープンソースで公開 されているが,今回は前腕部までをダウンロードして出力した.また,3Dプリンタを使用したこ とで,前期よりも関節部に糸が絡まったり,故障する回数は減り,動作精度は高くなったといえ, 制作期間は前期よりも短くなった. しかし,使用した3Dプリンタはよく樹脂の詰まりを起こした.義手の部品を制作するときに, ABS樹脂がエクストゥルーダーに詰まり,上手く部品が生成されないことが多々起こった.その 時には,掃除をして詰まりを解消する作業を行った. それにより,当初予定していた義手完成の期 日を大幅に遅らせる大きな要因となった.そのため,義手の完成が遅れて,他の班との連携が上 手く行かなかったことが課題となった. 図6 使用した3Dプリンタ Group Report of 2013 SISP 12 Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness ・指の構造 指の構造は人間を模倣して作られていている.(図7)また,関節にベアリングを埋め込んだ. (図8)その理由として,指の動作を円滑にすることを目的とした.もともとの3Dモデルで はベアリングを埋め込める構造になっていなかったので,ドリルで拡張をして埋め込んだ.また, 指を手のひらに止めるためにネジを使用した.そのネジを埋め込め込むため4mmと10mmのエ ンドミルを使って埋め込めるようにした. そして,部品を組み立てる時に,指の関節を止めるネジには M2x20 の六角穴付きボルトをを使 用し,親指を関節を手のひらにつけるために, M8x40 の六角穴付きボルトを使用した.また,薬 指と小指は手のひらとは別に作られていて,薬指と小指を止めるために M8x75 の六角穴付きボル トを使用して手のひらと接続した.最後に,手と手首を接続する時には, M8x60 のボルトを使用 した.また,前期では関節部をとめるためにネジを使用していたが,後期ではすべて六角穴付き ボルトを使用した.その理由は,前期の義手ではネジ止めをしていたが緩んで取れることが多々 あった.そのため,それを改善するためにもっと固く閉めることの出来るネジを使用したいと考 えた.そこで,今回はすべての関節に六角穴付きボルトを使用するに至った.また,別の案とし て3 D プリンタを使用して,ネジを作る案もあった.しかし,実際にボルトを作ってみたところ、 強度に不安を感じたため,不採用になった.実際に InMoov の3 D データの中にボルトの3 D デ ータがオープンソースでアップされているが,金属のボルトを使うことを推奨している. 図7 指の拡大図 Group Report of 2013 SISP 13 Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness 図8 使用したベアリング ・サーボモータ 当初はサーボモーターにJR社の「 DS 8421 ハイスペックサーボ」を使用した.しかし,釣り 糸を巻き取るには可動範囲が狭く,指を満足に曲げることが出来なかった.そのため, Futaba 社 のRS486CBを使用した.このサーボモータは JR 社のサーボモータに比べて2倍近くの可動範囲 を持っているので使用した. Jr 社のモーターを最初に選定したことには理由があり,それはこのモーターの大きさであれば取 り付ける機構が義手に備わっていたためであった.しかし, Futaba 社のモーターではサイズが大 きく,機構に取り付けることが出来なかった.そこで,前腕部に液体プラスチック樹脂を流し込 み,タッピングでネジ止めをしてモーターを取り付け義手の完成とした.完成した義手を図9に示 した. 図9 後期の義手 Group Report of 2013 SISP 14 Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness ・指を巻き取るための素材選定 筋電義手では,指とモーターを結びつけて巻き取るための糸状の素材が必要であった.昨年度で は,その素材にワイヤーを用いていた.しかし,動作テストを行っている時に何度も切れてしまっ ていた.その要因としては,土台部分や指の間での摩擦に耐え切れずに切れてしまった.今年度で は昨年度の経験を生かして,もっと切れにくく,引っ張られることに強い素材を選定しようと 考えた.そこで,インターネットを用いて調べたり,プロジェクトメンバーと話し合ったりし た結果, PE ラインを使用することにした.しかし,後期に使用した義手では PE ラインでは 上手く糸を巻き取ることができなかった.そこで,太いナイロン素材の釣り糸を使用したところ上 手く行った. ・樹脂粘土を用いた義手制作 後期では,当初2台の義手を制作する予定であった.3 D プリンタを用いて人間にあたる骨の 部分を制作し,それに樹脂粘土を用いて,肉を付けていく義手を制作する予定であった.しかし, 3 D プリンタが思ったよりも制作に時間がかかることと,人為不足によってこの義手の制作は実現 することが出来なかった.次に制作する時には,3 D プリンタが上手く動作しないことを考慮し てスケジュール調整をしつつ,樹脂粘土を用いた義手を実現したいと考えた. ・義手のカバー 前期では,石膏で制作した型とラテックスを用いて義手のカバーの制作を行った.後期も同 様に制作しようと考えた.しかし,義手のサイズが前期で使用した義手よりもかなり大きく, 前期で使用した型は使えなかった.そこで,型を削って義手のサイズに合わせてから制作しようと 考えた.しかし,なかなか上手く削れなかった.そこにラテックスを流し込んで義手のカバーを制 作してみたが,結局上手く作れなかった. (*文責:岩口優也) Group Report of 2013 SISP 15 Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness 第4章 課題解決の成果と反省点 4.1 担当課題解決過程の詳細 筋電義手を作るためには必要な知識が必要であった.それを知るためにはインターネットを通じ て調べたり,過去に筋電義手を制作するプロジェクト学習に携わった先輩方に指導され,知識を深 めた.それらから,話し合いで適切な意見が出て,前作よりも改良された筋電義手が制作すること が出来た. (*文責:太恭兵) 4.1.1 プロジェクトの成果 プロジェクト全体の目標は触知覚と5本指をそれぞれ独立して動作する義手の開発であった. 前期では,どういった素材が義手に適しているかの選別を自分たちや先輩方に聞いたり,過去 に作られていた義手を実際に手にとって見て観察したりした.また,前期では振戦を義手に搭 載する目標があったため,5本指を持った義手を制作せず,つまむ,はなすの最低限の動作が 出来る義手の制作を行った.その結果として,義手では動作の実現には至ったが,誤動作が多 かった.また,触知覚に関しては物体の硬度によって,振戦の種類が違うことが言えた. 後期では,前期での反省点を生かし,人間らしい義手を作ることに決まった.ここで,人間 らしいとは触知覚が出来ること,5本指それぞれに動作機構を搭載して独立させて動かすこと であった.触知覚に関しては引き続き実験を行い,義手本体は3Dプリンターを用いて制作を 制作を行った.その結果,触知覚は義手の搭載には至らなかったが,振戦は触知覚に関係して いるという結果が得られた.また,義手本体は5本の動作機構を搭載した義手を制作すること はできた.しかし,それぞれの指の独立した動作は完全には実現せず,最大4本指までしか識 別出来なかった. (*文責:岩口優也) 4.1.2 成果の評価 結果としてプロジェクトの目標を満たすことは出来なかった.また,プログラミング班,計測 班に無線化,電極サポーターの制作のタスクがあったが,すべて失敗に終わった.この結果から スケジュール管理がすべての問題であると考えた.予定しているスケジュールにタスクが終わら ないことが多く,発生した問題のためにまた日程を延ばすことが多かった.そうすると,他の班 との連携が取りにくくなるため,連携の時にまた問題が発生する形となり,問題を解決できない まま発表に至ることとなってしまった.制作班では,主に3Dプリンターの印刷が予想よりも大 幅に時間を要してしまった.予期しない問題に弱いスケジュール調整であったと感じた. (*文責:岩口優也) Group Report of 2013 SISP 16 Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness 4.1.3 前期の反省点 ・義手の骨格 手の型を取るには,水と石膏の割合を上手く配分しなければならなかった.少しでも配分を 間違えると上手く手の型を取る事が出来なかったため,何度も手の型を制作した.また,手の 型を取る時には,1度で手の型を取る工夫が必要であった.手を取られる人もコツが必要で, どのくらい深く石膏に手を入れるべきかなど事前準備が必要であると感じた.また,そういっ た微妙な調整がなくとも手の型を取れるように配慮すべきであったと思った.前期では,義手 の骨格をプラスチック樹脂を用いて再現した.その時に,指をなくしてしまう事態が発生した ことがあった.物品の管理体制にも問題があると感じたので今後は管理しやすい体制を作るこ とも考えたいと思った. ・指の制作 関節ごとに切断するには,少しでも余分に切断するとやり直しが出来ないため慎重に切断を 行った.糸を通すための穴もプラスチックの義手をドリルで削ったが,失敗することが多く、 削りたい部分とは別に削ってしまうことがあった.このため,またプラスチック樹脂で補強を 行ったりしたので,耐久性に問題が生じていると思われた.そのため,今後は糸を通すための 機構を新たに考えて実装したいと思った. また,摘む放す動作を実現出来るように削ったが,手作業で削ったために実演では細 かい物体を摘む事が困難であった.実演では,スプレー缶とピンセットをつまむことを行った が,ピンセットはなかなかうまくつまむことが出来ずに落としてしまうことが多かった.その ため,設計の段階から見直しが必要であると感じた. ・手のひらの制作 親指,人差し指,中指の3本指だけの制作で,人差し指と中指とのネジ止めは上手く出来た. しかし,親指と手のひらの位置は上手く位置づけする事が出来なかった.そのため,物をつか むことが出来ないことがあった.また,指の関節ごとにネジ止めをしているが,緩んできて取 れたことが多々あった.そのため,ネジの選別に問題があると感じた.もっときつく締めるこ との出来るネジの選別が要求されていると感じた.また,前期の義手ではベアリングを使用し ていなかった.そのため,指の動きにはぎこちなさを感じた. ・義手のカバーの制作 人間の皮膚を再現するためにカバーを制作した.しかし,カバーが破れやすく汚れやすかっ たため,カバーの耐久性が課題となる.また,人間の皮膚を再現するには程遠いものであった. ・土台の制作 土台の底面にはアクリル板,頂点には金属板を使用し,重い材料を使ったため,軽量化が実 現されなかった.また,金属板と義手をネジ止めしたが,手首を再現することが出来なかった 事が課題である. (*文責:太恭兵) Group Report of 2013 SISP 17 Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness 4.1.4 後期の反省点 ・3Dプリンタによる義手制作 今回は,オープンソースで公開されている義手の3Dデータを使用し,3Dプリンタを用いて出 力した.本来であれば,設計図を描いた後にモデリングをして,3Dプリンタで出力をする.しか し,今回はオープンソースのモデルの完成度が高かった理由もあるが,作業時間短縮のために既成 のモデルを使用した.次に作成する時には設計図描き,モデリングをした上で義手の制作したい. また,3 D プリンタを使うにあたって想定外のことが多かった.まず,3 D モデルを印刷するた めに必要なソフトがなかなかインストールできなかった.その要因として,ソフトが英語に対応し ていないため,原因は分からないが何かのエラーが起きている考えられる.次に,実際に3 D デ ータからプリントする時に,土台の温度が低くて土台が湾曲した形で作られることがあった.こ れによって,生成された部品はモデル通り出力されなかった.最後に,エクストゥルーダーに頻 繁にABS樹脂の残りカスが溜まることがあった.そのため,樹脂が正常に排出されないため頻繁 に機械を止めて掃除,再度生成する必要があった.以上の点を考慮していなかったため,義手の 完成予定を大幅に遅らせてしまい,スケジュール進行に大きな影響を与えた.次に,制作する時 は以上の点を考慮して,スケジュール調整,温度調整を行っていきたいと思った. ・指の構造 今回は指の関節の動きを円滑にするために,フランジ付きのベアリングを使用した.その様 子を図10に示した .本来は,ベアリングの間にワッシャーなどを挟んでからネジ止めをするが, フランジ付きのベアリングでフランジ部分がワッシャーの代わりをすると思っていた.しかし,今 回の義手においてフランジ部分ではワッシャーの代わりは果たさず,本来のベアリングの効果を発 揮しきれないことが取り付けてから分かった.次に義手を制作する時は,義手の構造とベアリング の構造に注意をして素材選定をしていきたいと考えた.また,ベアリングの簡単な構造について は理解しているが,原理の理解には至っていなかった.そのため,ベアリングをつけると動作が円 滑になる結果論だけで使用していた.次に義手を制作する時は,ベアリングの原理を理解してから 使用したいと考えた. 図10 フランジ付きベアリング Group Report of 2013 SISP 18 Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness ・サーボモーター 今回はJR社の「 DS 8421 ハイスペックサーボ」を使用したが,可動範囲が狭く糸を巻ききれ なかった.そのため,指を完全に折り曲げることが困難であった. その対策方法としてRS486CBを使用したが,他に良いモーターを見つけることが出来なかった のでこれを使用した.しかし,これではサイズが大きく,義手にもともとあるモーターを取り付 けることの出来る規格に嵌らなかった.そのため,機構の規格に合ったモーターで,かつ可動範 囲が広いモーターを見つけることが課題である.また,モーターは前腕部にプラスチック樹脂を 流し込んでタッピングでネジ止めをしている.そのため,糸を巻く時にネジに負荷がかかり,モ ーターが取れてしまうことがあった.それを考慮してモーターを取り付けられる機構を考えるこ とも課題である.また,今回使用したモーターで PE ラインを巻き取ることが出来なかった.そ こで,太いナイロン製の釣り糸を使用したところ,巻き取ることが出来た.しかし,モーターに 取り付けた糸を巻き取るための機構が上手く機能していないことが分かった.だから,次からは 糸を上手く巻き取れる構造を考えて搭載したいと思った. (*文責:岩口優也) 4.1.5 岩口優也の課題 プロジェクトリーダーかつグループリーダーとして活動を行った.スケジュール調整が失敗を想 定していないスケジューリングになっていて,予定通りに作業を終えられないことがほとんどで あった.そのため,当初の話し合いで実装予定であった機能を実装できなかったり,実装予定で あった機能の搭載に至ることが出来なかった.義手制作に関しては,前期では設計の段階で後々 どのようなことが問題になるかを予測できていなかったため,前期ではピンセットを掴むことが 難しかったし,後期では指を完全に曲げきることが出来なかった.そのため,ハード班における 成果物は完全に目標を達成できなかった.それを課題として,次に制作する時はこれらの問題を 考慮して制作したいと思った.それと同時に,スケジュール管理についても勉強をしてリーダー として設定された課題を達成できるスケジュールを組めるようにすることが課題であった. (*文責:岩口優也) 4.1.6 太恭兵の課題 プロジェクト全体の活動を通して,前期では義手の制作に,後期では,主に実験の協力をして いた.前期の義手は,設計の段階に問題がありピンセットをうまくつまめないことが多かった. その点に関して,設計で工夫できることがあったと感じた.グループの一員として,設計の段階 で意味を問い,問題に対しての解決策の具体案を提案すべきだったと思った.後期では,3Dプ リンターを用いた義手の制作で,設計の段階でメンバーと話し合ったが,オープンソースで公開 されている義手を制作することになった.そのため,後期では主に振戦実験の被験者,義手の動 作判別の被験者を主に行っていた.そこで,メンバーとして被験者として気づいたことがあれば もっと発言をして,細かなことの存在意義を問うことが課題であった. (*文責:太恭兵) Group Report of 2013 SISP 19 Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness 第5章 結果 5.1 今後の課題 今回は5本指をそれぞれ独立して動作させることと,義手に振戦を搭載することを目標とした. しかし,5本指の動作は,今まででは最高4本指までの識別しか出来ておらず,5本指の独立した 動作には,計測班,プログラミング班から出たそれぞれの課題を改善することが課題となる.ま ず,計測班では,回路精度の向上,ch数の増強があげられ,プログラミング班では制作したプロ グラムの改善を行うことが課題である.また,ハード班も課題がある.後期では,指を曲げきるこ とが出来なかった.その要因として,当初はモーターの可動範囲の問題かと思っていた.しか し,可動範囲の広いモーターに付け替えてもその問題は解決されなかった.そこで, PE ライ ンから太いナイロンの釣り糸に変えたところ,動作はある程度改善された.しかし,完璧に指が 曲がりきるようになったわけではなく,ある程度曲がるようになった程度であった. また,義手に振戦を搭載することを目標にしていたが今回は振戦に関する基礎研究のみにとど まった.振戦と硬度知覚の関連性について言えたが,義手に搭載する (*文責:岩口優也) 5.2 今後の展望 今後の展望として,上記の課題を解決し,より人間の手に近い筋電義手の開発を行う.動作とし ては,今回は5本指の独立した動きが出来る筋電義手の開発を行ったが完璧に独立した動きは出来 なかったため,他グループと連携をして完璧に独立した動作が出来るように開発を行う.独立した 動きだけでなく,新しい動作を増やしたり,手首を動かす新しい要素が考えられる. また,義手のカバーの制作としては,汚れにくく,破れにくいカバーの制作が求められる.さら に,人間により近づけるために人間の皮膚に近い義手のカバーの制作することが課題である. (*文責:太恭兵) Group Report of 2013 SISP 20 Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness 第6章 失敗した成果物 6.1 後期の義手のカバー 後期の義手のカバーを制作した.前期で制作した石膏の型に,ラテックスを流し込んで義手のカ バーを制作した.前期に制作したカバーは薄く破れやすい箇所が多かった.(図4)その反省点を 後期の義手のカバーへ生かそう考えた.具体的には,ラテックスを流し込んだ後,前期ではすぐに 取り出していたが,後期では20分ほど置いてから取り出すことにした.そうすると,ラテックス が考えてたよりも厚く固まってしまった.その結果として,後期の義手に搭載できずに失敗に終わ った.後期のカバーは後期の義手に合うように,石膏の型を研磨したが,上手く研磨も出来ていな かった. 以上の2点より,今後カバーを作る時は特殊メイクのサイトなどを活用して手の型の取り方の改 良,ラテックスの扱い方を考慮したいと考えた. (*文責:岩口優也) 6.2 Zigbee を用いた無線化 Zigbee を用いて,配線を無線化にしようと考えた.その要因としては,パソコンとマイクロコ ンピュータの誤接続防止と配線の簡略化であった.当初は,プログラムを制作して Zigbee を用い て1つのモーターを動かすことには成功していた.しかし,5つのモーターを用いた義手では動 かすことが出来なった.その理由として,無線のデータ通信量の限界以上の通信を行ってしまっ たためであると推測された.最初の下調べの段階でどういったことが問題になるかを考えていな かったため,このような結果になってしまったと考えられた. (*文責:岩口優也) 6.3 電極サポーター 本プロジェクトでは,皮膚表面上の筋電位を読み取るために電極を用いた.しかし,前期では1 つ1つ電極をシールを用いて張っていたが,煩雑で時間のかかる作業であった.被験者が席をはず す時に一回一回すべてをはずしてを繰り返すと着脱だけにかなりの時間を要した. そこで,後期では電極サポーターを制作して電極装着の時間短縮することを考えた.しかし, 実際に制作を行ったが,電極の構造,サポーターの構造を考えずに作ってしまったため,ノイズ が混入して失敗に終わった.これに関しては,進行具合を把握していなくどういった原因でノイ ズが混入しているかを考えないことが失敗をした大きな要因であったと考えられた. (*文責:岩口優也) Group Report of 2013 SISP 21 Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness 6.4 成果物失敗の考察 全体を通して,失敗した成果物が多いと感じた.その要因として,スケジュール管理が大きく 関連していると考えられた.まず,それぞれの成果物の制作に期日を設けたが,問題に直面した 時に,リカバリーできるようなスケジュール調整が出来ていなかった.そのため,問題を抱えた まま妥協をして,次の工程に進んでしまうことがあった.それぞれの成果物の段階では小さな問 題であったとしても,他の班との連携を取る段階でそれが大きな問題へと変わってしまうことも 今回のプロジェクトの目標を達成できなかった要因であると考えた. (*文責:岩口優也) Group Report of 2013 SISP 22 Group Number22 Development of myoelectric hand with feeling softness 参考文献 [1] 肥田岳彦 山田敬喜 (2012). 筋肉の名前としくみ事典 [2] 堀川宗之 (2012). エッセンシャル 解剖・生理学 [3] 坂本和義 清水豊 水戸和幸 高野倉雅人 (2009). 生体のふるえと振動知覚 [4] 3D プリンター http://www.jmc-rp.co.jp/3d_printer/ (Last accessed 2014/1/22) Group Report of 2013 SISP 23 Group Number22
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