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プロジェクト報告書 Project Report
提出日 (Date) 2015/1/15
子どもと学ぶ プログラミング×デザイン
Learning Design with Kids
1011240 小林佳澄 Kasumi Kobayashi
1 背景
た。他にもアイディアがあった中で赤川図鑑の作成になった
理由として、普段何気なく歩いて学校に通う通学路などでも
本プロジェクトはエデュティメントシステムの開発とその
少し意識することによって新たな発見があることを知っても
利活用のための活動プログラムの実践をゴールに、プロジェク
らうためである。また、小学生にグループで作った図鑑の発
ト学習として活動を行った。 本プロジェクトは、プロジェ
表をしてもらったが、その際、大学生は見守るだけという形
クト学習開始から続いており、今年で12回目である。毎年、
を取り、小学生に発表内容も考えてもらい発表してもらった。
函館市赤川小学校に協力して頂き、小学5年生の児童を対象に
その理由としては、コミュニケーション能力や対話の積極性を
授業を実施している。また、本プロジェクトは、総合学習の時
少しでも発表を通して身につけてほしいと思ったからである。
間を借りて実施させて頂いている。しかし、これまでは「一方
的に教える教育」になってしまいがちだったので今年度の目的
3 課題解決のプロセスとその結果
としては下記の内容が追加された。今年度は、「学生自身も一
3.1 プロセス
緒に学ぶ」というテーマを追加してワークショップを開催し、
3.1.1 デザイン思考学習
自分の活動と社会との結びつきを明確化することが挙げられ
デザイン思物事を様々な視点から捉えるスキルを得る考体
た。 今年度は児童に、普段の授業では学ぶ機会が少ない表現
験を通して。具体的には、人物・モノのデッサンやデザイン
力を身につけてもらうための企画を考えた。児童が持つ自由
コースの授業参加をする。
な発想力を可視化し、発表の場を設けることで表現力だけで
なく伝達力を上げることも目標としている。 活動としては、
6月に子どものためのプログラミングワークショップを函館
市民センターで開催し、赤川小学校の連携授業へ向けてのイ
メージの確立とスキルアップを図った。10月には5週にわ
たって赤川小学校の連携授業を行った。活動のフィードバッ
クとして最終発表後には講師を招いた研究会を行った。
3.1.2 スキルアップ講義
ワークショップでの行動方法や外部とのコミュニケーショ
ン方法を学ぶため、3 名のアドバイザー教授らの特別講義に参
加する。具体的には、「教える上で大切なこと」というテーマ
の下で大塚教授の特別講義、「観察と記録」というテーマの下
での南部教授の特別講義、伊藤恵教授の「日本語運用講座」に
参加する。その他にも様々な観点に目を向けると言う意味を
込めて、外部講師の講義にも参加をする。
2 課題の設定と到達目標
3.1.3 ワークショップ
今回の我々のプロジェクト活動では、プログラミングを含
函館青年センターにて小学生を対象に「プログラマーにな
む IT 技術やデザイン思考体験を通してのデザインスキルを得
ろう大作戦」というテーマでワークショップを実施した。実際
ることを目標にしている。また、子どもと触れ合うことによっ
に自分たちでワークショップの企画・実施を行い、少人数の子
て過去の自分を感じ得るということも重視した。「自分は小学
どもたちとコミュニケーションをとり、子どもたちと活動する
校の時何ができたか」
「どんな考え方をしたのか」
「今出来ない
上で必要なことや大切なことを学び、また子どもたちのコン
ことで昔できたこと」を思い出し、忘れていた考え方や視点を
ピュータとの関わり方を観察することで、本プロジェクトの最
取り返し、今後の考え方の参考にすることを目的に活動してき
終目標である赤川小学校連携授業成功への鍵を探ることが目
た。具体的に函館市立赤川小学校5年生に向けた総合学習の
的である。
授業で小学生が興味を持ってどのようなことを学ぶことがで
きるのか考えた。その結果「赤川図鑑」を作成することになっ
3.1.4 中間発表
平成25年7月12に中間発表が行われた。今回の中間発
表ではポスターセッションでの説明となっていたが、より分
かりやすく説明するためにスライドも作成し説明すること
たり、逆に興味を持ち 1 つのことに没頭してしまう子どもが
になった。その為にポスター制作班とスライド作成班に分か
いたり、個性がすごく出ることを発見した。そのような時に
れた。
我々がどのように対処していくのか今後考えていかなければ
3.1.5
赤川小学校との連携授業
いけないことを再確認した。伊藤恵教授の「日本語運用講座」
夏季休業後、初めのプロジェクト学習の時間で、担当教員か
というテーマの下での特別講義では外部と連絡を取る際にと
らプレゼン形式で本プロジェクトの目的と活動内容の再確認
ても学んだ事が活きた。前期に行ったワークショップではラ
を行った。そこで、本プロジェクトでは、これから連携授業を
ジオ局や新聞社の協力もあり小学生を募集することができた。
行う小学生とプロジェクトメンバーである学生の両方が学び
外部との連絡もプロジェクトメンバーが取り、積極的に取り組
合えることが重要であるということを再確認した。計5回分
めた。目上の外部の人とメールのやり取りをするという経験
の赤川小学校の総合学習の時間をお借りして、一緒に学んでい
が無かったため日本語運用講座を通して役に立つ知識がとて
くことを目的にし授業プログラムを計画した。
も増えた。その成果もあり、FM イルカでのラジオ放送、函館
3.1.6
最終発表
平成25年12月6日に最終発表が行われた。 今回の最
新聞、北海道新聞での公募がうまくいった。
3.2.3 ワークショップ
終発表では中間発表と同じくポスターセッションでの説明と
函館青年センターでのワークショップの開催にあたり司会
なっていたが、より分かりやすく説明するためにスライドも作
進行班とチューター班に分かれて準備を進めていった。司会
成し説明することになった。その為にポスター制作班とスラ
進行班は当日のタイムラインの計画やお土産として何を渡す
イド作成班に分かれた。
のか、チラシの作成などをメインに活動した。チューター班は
3.2
3.2.1
結果
デザイン思考学習
デザイン思物事を様々な視点から捉えるスキルを得るため
にまずは、スピーカーのデッサンから始まった。見る角度を変
えるだけで見え方が違うことに気づけ、新たな発見となった。
絵の上手い、下手はあったが各自ポイントとなる特徴はしっか
りと捉えることができた。モノのデッサンの次は人物のデッ
サンを行った。2 人1組になり交互にデッサンをしていった。
今までデッサンをしてきた生徒は少なかったためとまどいも
見られたが、集中し取り組むことができていた。あまり一つの
ものをじっくり観察する機会もなかったためデザイン思考学
習をするにあたり、ものの捉え方がわかってきた。
3.2.2
スキルアップ講義
大塚教授の「教える上で大切なこと」といテーマの下での特
別講義では、まずブレインストーミングから学んだ。その時各
自が思ったことをどんどんメモって書いて貼っていった。話
合いをして進めていくよりも短時間で意見がたくさん出てき
た。その出た意見をグループ化しより分かりやすくした。自
分 1 人じゃ気づかなかった意見が多く出ていてプロジェクト
メンバーそれぞれ気づくことがあった。南部教授の「観察と記
録」というテーマの下での特別講義ではまずプロジェクトメ
ンバーを 2 つのグループに分け、観察する側と小学生のよう
に遊ぶ側という 2 つの立場を作った。前半と後半で時間で区
切り全員が 2 つの立場を経験することにした。観察をしてい
て、同じことだけをずっとしていると飽きてしまう子どもがい
scratch の勉強から始めた。基本的な使い方を覚えるのはもち
ろんのことそれに加え、ピコボードの使用方法も学んだ。ワー
クショップでは小学生という条件だけで一般で募集をかけた
ため顔も知らない子ども同士がペアになるということが考え
られた。その為、アイスブレイクは重要な活動内容の 1 つに
なっていた。その後の scratch にも活かせるようなアイスブ
レイクの内容にするため何にするのか決めるのが大変だった。
実際にプロジェクトメンバーでやってみて何がいいのかを決
めた。ワークショップの内容は scratch を用いて「夏休みに行
きたい所」というテーマでアニメーションを作成してもらう
ことであった。そこで絵を描いてもらうということがあった
のでアイスブレイクはその練習も込めて絵しりとりをしても
らうことにした。絵の苦手な小学生もいたが絵しりとりには
興味を持ち楽しく取り組んでもらえた。小学生 2 人にチュー
ターの大学生を 1 人つけて実際にアニメーションを作成して
いった。この時、小学生に基本的にパソコンで操作をしてア
ニメーションを作って欲しかった為、我々大学生は分からな
い所があり困っていたらアドバイスを出す程度の手伝いをす
るようにしていた。プログラミングに興味のある小学生が多
かった為みんな積極的にアニメーション作りに参加していた。
ただ、パソコンが 1 台だったため 1 人がパソコンを用いてい
るともう 1 人が暇をしてしまうという問題が発生した。この
ことは赤川小学校での活動までに考えなければならない課題
となった。
3.2.4
中間発表
も意見を聞きプロジェクトメンバー全員で考えた。実際、赤
前期の締めくくりとして中間発表の準備にとりかかって
川小学校との連携授業が始まり第一週目を迎えた。1 日目は視
いった。Illustrator でポスターを作成していったのだがデザ
点の捉え方を学んでもらうために普段使い慣れている筆箱の
インコースのプロジェクトメンバーがいなかったため使用方
スケッチとカメラを実際に使用してもらった。写真を 1 枚撮
法が最初分からず作業に時間がかかってしまった。また、スラ
るにしても撮り方によって見え方が違うことを学んでもらい 2
イドは prezxi を使用して行うことになった。普通のスライド
回目のフィールドワークに活かしてもらうことが目的である。
を使用せず prezi を使用した理由としてはプロジェクト名に
2 回目はフィールドワークに出かけ実際に図鑑に使用する写真
「デザイン」というワードが入っているので少しでもデザイン
を撮ってきてもらった。そこでは、「新しい発見」ということ
に凝っているところをアピールしたかったからである。しか
をテーマに普段通り慣れている赤川を探検してもらった。実
しそれが見てる側からするといらない動きだと思う、という意
際に小学生も「こんな物あったんだ」などという、新たな発見
見が多数出たため最終発表では見やすく分かりやすいスライ
を出来たという声が多数聞けた。3 回目は遂に「赤川図鑑」作
ド制作を心がけるようにした。
成に取り組んでいった。この時に前期に行ったワークショッ
3.2.5
赤川小学校との連携授業
プでの反省を活かし暇な小学生が出ないようにすることに気
後期に入りいよいよ赤川小学校での活動の準備に取り組ん
をつけた。そのためのアイディアとして、パソコンを使って
でいった。まず、赤川小学校で何をするのかというアイディア
いない小学生は各図鑑に記載する感想欄の所を考えて書いて
の提案から始まった。1 人 1 人アイディアを出しその中でも
もらうことにした。そのアイディアにより暇をする小学生は
プロジェクトメンバーで絞った。話合いの結果 4 つに絞られ
いなかった。パソコンを使う図鑑作成にも興味を持ち取り組
た案を持ち、その個々の簡単なプレゼンの資料を作成し赤川小
んでもらえ、音声の録音なども楽しそうにしていた。4 回目の
学校に持っていき先生と話合い、何にするか決定した。その
活動は前回の続きということもあり小学生は要領もよくなり
結果「赤川図鑑」の作成になった。後期の活動が始めるとまず
積極的に取り組んでいた。5 回目は赤川小学校の生徒に公立は
企画・運営班とプログラミング班にグループを分け計画を進
こだて未来大学に来てもらい発表会を行った。コミュニケー
めていった。企画・運営班は全 5 週の授業計画案を立てるこ
ション能力や対話の積極性を少しでも発表を通して身につけ
とをメインに活動していた。プログラミング班はアプリ開発
てほしかった為、大学生は発表には携わらず、発表練習の時に
を分担して行った。企画・運営班はどのような図鑑を作成する
アドバイスを出す程度にしていた。小学生ははきはきと自分
のかをまず最初に考え図鑑の基本構造としては、赤川という
達の図鑑の説明をできていた。また、未来大学の中を探検して
地域のものを写真でとり、データをパソコンに移しパソコン
もらい大学に興味をもってもらった。
上で図鑑にするものにした。また、図鑑の具体的な内容の提
3.2.6 最終発表
案ということで 5 つのものが提案された。比較、特徴、図形、
メインはポスターとスライド制作であった。中間で Illus-
類似、色の図鑑である。また、図鑑の要素も種類で限定するこ
trator でのポスター制作はすでに実施済みだったので作業が
とも提案の中に含まれていた。このような提案の中で、どの
前回よりもスムーズに進んだ。発表に関しては練習不足が人
図鑑が赤川小学校・未来大学連携授業に適しているのか見極
により出ていて、詰まってしまう場面があった。しかし、、質
める為にも、フィールドワークを行った。その結果として図
疑応答の際には自分たちのやってきたことをしっかりと答え
鑑は色、特徴、形の 3 つを組み合わせた図鑑を作成すること
ることが出来ていた。
に決めた。アプリ班は大きく分けて図鑑の「作る」「見る」と
4 今後の課題
いう 2 つの項目を作成することにした。そこで分担し、各自
に与えられた所を processing を用いて作っていった。1 年生
プロジェクトを進めていくなかでメンバー間での仕事量に
の時にした processing の知識しか無かった為、勉強から入っ
差があった。得意な分野や苦手な分野があり、そこの調整も
た。知らない知識が多かったた為調べながらの作業になった。
行いながら 役割分担を決めていくことは大変である。前期
一通り図鑑んぼアプリが出来たら次は図鑑の「見る」画面のレ
のワークショップでは役割分担も少し大雑把にやってしまい
イアウトの訂正をすることにした。どのようにすると見やす
仕事量の偏りがすごく目立ってしまった。そのため忘れ物を
く面白い図鑑になるのかアプリ班だけでなく、企画・運営班に
したりというような防げたミスが目についた。前期が終わっ
た時点で出た今後の課題としてはプロジェクトメンバー間で
プロジェクトに対する理解に差があるのでその差を埋めるた
めにも最終目標は何なのか、具体的に何をしていくかをはっ
きりさせてメンバー全員が同じ目標を持つことが大切になっ
てくることを再確認し、後期はその話合いから始まった。後
期は赤川小学校との連携授業がメインとなりそれに向けて準
備していった。それに使用したワークシートだが感想欄のと
ころが「おもしろかった」というように一言しか書いていない
小学生が多く「何が」というような具体的な所まで書けていな
かった。誰が書いても抽象的な意見にならないように改善し
ていくことが今後のワークシート制作での課題となってくる。
また開発したツールについてだが、活用できなかったプログラ
ムの存在があるためそこをプラスしていくことも課題の 1 つ
として挙げられる。