プロジェクト報告書 Project Report 提出日 (Date) 2014/01/15 アニメ・デ・エデュケーション Anime de Education 1011223 柴山友加里 Yukari Shibayama 1 概要・背景 地の教育環境の影響もあり、合格率は大変低いもので あった。そこで、理解の難しい学習内容を簡単に短時間 アニメーションは子ども達の興味をひきつけ、言語を で学ぶことのできるアニメーションを制作し、PLE の 問わず学習の理解を促すことができる。本プロジェク 合格と日常生活の問題を解決する支援を行うこととし トでは国内、海外でこの効果を活用し、アニメーション た。活動の流れは、教科書などの資料から現地の調査、 を利用した教育的なアプリやコンテンツを制作し、実 アニメーション制作、ウガンダへの提供、フィードバッ 践することを目的とした。そして、コンセプトである クからの再制作という流れで行なった。 「funiversal education」(楽しく、国際的な)を元に国 内、海外の子ども達の学習を支援を行ってきた。 そこで、プロジェクトを、国内の子ども達に向けて、 2 課題の設定と到達目標 本プロジェクトでは、日本や海外の子ども達を対象者 アニメーションコンテンツを制作する、国内グループ とし、アニメーションを用いた教育を提供することを (Group A)と、海外の子ども達に向けて、アニメーショ 目的としている。そこで本プロジェクトでは、アニメー ンコンテンツを制作する、海外グループ(Group B)に ションを教育に利用することで学習の理解を促すこと 分けて活動を行うこととなった。 が映像心理学の研究でもわかっているという裏づけの 国内グループでは、日本の小学生向けの英単語学習ア もと、アニメーションは国や文化を越えて理解できるも プリケーションを開発を行った。使用する英単語は、動 のと考え、目的達成に向けて活動を行った。そのための きを表現できるアニメーションが最適だと考え、動詞の 手立てとして、アニメーションやそれを利用したアプリ みを扱うこととした。ユーザーがアニメーションを見 ケーション作成技術の習得、教育の実践方法の調査、異 て、その動きにあった英単語をクイズ形式で学んでいく なる文化についての学習を学ぶ必要があった。 という仕様である。開発の主な目的は、小学校に開発し 到達目標として、国内グループでは、子ども達の英語 たアプリケーションを提供することであり、funiversal の学習への興味を引くことをねらいとし、国内の小学生 education というコンセプトを意識し、子どもたちが楽 を対象としたアニメーションコンテンツを提供する事を しく英単語を学習できるアプリケーションの開発を目 大きな目的とした。海外グループでは、ウガンダの子ど 指した。しかしながら、最も重視しなければならない も達に PLE の対策の際に学習できるアニメーションを 点は、アプリケーションの学習効果であった。そこで、 制作し、提供することを目的とした。 ワークショップや発表会などから、アプリケーションの 検証をし、フィードバックを行うことで、より効果のあ るアプリケーションを開発することを目指した。 海外グループでは、ウガンダ共和国を対象国として、 3 スケジュール 一年の活動スケジュールは以下のようになった。 5・6月 役割分担・アプリ制作(国内) 海外へ向けたアニメーションによる教育の活動を行っ 題材決め・アニメーション制作(海外) た。ウガンダでは小学校卒業試験 (Primary Leaving 7・8月 中間発表 Examination、以下 PLE) が行われる。その試験に合格 東京アカデミーキャンプ準備(国内) しないとその後の教育が受けられなくなり、子ども達の アニメーション制作(海外) 将来や日常生活にも影響を及ぼしてしまう。しかし、現 東京アカデミーキャンプ 9月 アプリ修正(国内) ウガンダ訪問(海外) た。英語の何を学ぶべきなのか、何が適しているのか、 10月 アプリ制作(国内) また、制作するアニメーションをどのようにしたら子ど 前期の振り返り・題材決め(海外) も達にわかりやすく伝わるか、アニメーションにどのよ 11月 赤川小ワークショップ(国内) うな工夫を施すと楽しみながら学習できるかを考えた。 アニメーション制作(海外) 制作の過程では、対象のユーザーである小学生に、正し 12月 最終発表 い知識を学んでもらえるように、誤解を招く表現や単語 を避けるなどの工夫をした。他にも、グラフィックの工 4 課題解決のプロセスとその結果 夫を行った。アプリケーションは iPad の画面で操作し てもらうことになるので、必然的に二次元のグラフィッ 本プロジェクトでは日本と海外のフィールドで、アニ クになってしまう。そこで、リアリティを出し、わかり メーションを用いた教育を提供するという活動を行って やすくはっきり描くことが課題となった。さらに、アニ きた。その活動を達成する手順としてまず、プロジェク メーションの動きもわかりやすく伝えるための工夫が必 ト全体が、一つの目的に向かって活動できるように、プ 要であった。ここでは、キャラクターの動きをなめらか ロジェクトのコンセプトを定めた。その結果、プロジェ に見せるという工夫を行った。また、全体の色合いにつ クトの活動コンセプトは「楽しい」の fun と「国際的な」 いても工夫を行った。登場するグラフィックの見分けが の universal を足した造語である、funiversal education つきにくくなることを防ぐため、色の濃さや、配色に気 に決定した。コンセプトに決定した過程は、初期段階で をつけながら制作を行った。8 月には、東京アカデミー プロジェクトメンバー全員でこのプロジェクトのコンセ キャンプというイベントで福島の子ども達に向けてワー プトを KJ 法を用いて話し合った結果、楽しい、学習、 クショップを行う予定であったため、そのワークショッ 国際的であるというキーワードが出されたというもの プの企画を考えたり準備を行った。また、並行して中間 であった。その後は、メンバーを国内・海外の二つのグ 発表の準備も行った。 ループに分け、プロジェクトコンセプトに沿って活動を 行った。 • 国内グループ その後、前期で制作したコンテンツを検証するため に、8月に実施された東京アカデミーキャンプに参加 した。福島県の小中学生 29 人を対象とし、アプリケー ションの操作性や印象を調査することを目的とした。実 国内グループでは、1 年間の活動を通して、制作物の 際にアプリケーションを使用してもらい、開発したアプ 企画からはじめ、アプリケーションの仕様などを工夫し リケーションの学習効果を検証するためにアプリケー ながら 8 月の東京のワークショップまでに1つコンテ ション使用前に行う事前テスト、アプリケーション使 ンツを完成させた。その後、このコンテンツのフィード 用後に行う事後テストを行い検証を行った。また、テス バックを東京のワークショップでもらい、改善していっ トとは別にアンケートを行い、アプリケーションのレ た。改善したものは、11月に行われたワークショッ ビューを頂いた。 プに持っていき、フィードバックをもらい再度改善を 行った。 後期の活動では、ワークショップの結果を元にアプリ ケーションの改善を中心に行った。得られたデータの検 前期の活動の中心は、アプリケーション制作であっ 証の結果、アプリケーションを使用することは英語の た。コンテンツを作る際に、日本の子ども達はアニメー 学習に影響しないということがわかった。また、アプリ ションや iPad といった IT 機器にも馴染みがあること ケーションの反応が悪い、誤作動が起こる、といったコ から、アニメーションを用いた ipad アプリを作成する メントが多くあったことなどから、アプリ改善が必要だ ことに決定した。仕様の初期アイデアは、科目とアプリ と判断し、「操作性が悪いフリック操作を廃止し、タッ ケーションの概要をメンバーそれぞれで持ち寄り、検討 チ操作にする」「子どもたちに考える機会を与えるため、 を重ね決定した。アプリケーションの概要が決定した クイズ形式のシステムに変更する」の2点を改善した。 後は、より具体的なアプリケーション内容を話し合っ その後、11 月に函館市立赤川小学校の生徒を対象にし たワークショップを実施した。 ひとつのテーマを定めるごとに、その内容からストー ここでは、東京アカデミーキャンプ同様、小学生にア リーボードを作成した。アニメーションは短時間で要点 プリを提供し、アプリケーションに関連したアンケー を説明することが必要であると考え、1作2分程度の ト、テストを実施することで検証を行った。その結果、 アニメーションにすることにした。アニメーション制 アプリケーションを使用することで正答率が上昇する、 作には、Adobe Flash を採用した。海外グループには、 という結果を得られたものの、アプリケーション使用回 Flash 経験者が3名いたため、経験者を中心に、未経験 数による正答率に変化が見られなかったことなどの、い の者には制作のつど、操作方法を教えるといった方法を くつかの課題も反省点として残った。 とった。 • 海外グループ 制作したアニメーションは、前期活動終了後、実際に ウガンダへ訪問し提供した。ウガンダの首都であるカン 前期の海外グループとしてはまず、活動のフィールド パラのスラム街に位置するエディアンス小学校を訪問し の決定から行った。本年度の活動フィールドを決めるに た。訪問した時期は、夏休みであったが、PLE 本番に あたって、担当教員のドミニク・カスッジャ・バゲンダ 向け受験生である小学校6年生の30名弱が学校に登校 准教授と結び付きが強く、また昨年のプロジェクト活動 し、テスト対策の為、授業を受けていた。アニメーショ の拠点のひとつであったことから、その引継ぎの理由 ン提供以外にも、通常の授業に一緒に参加して、どのよ も含め、ウガンダ共和国を対象国とした。ウガンダ共和 うに授業が行なわれているのかということについても 国で行われている、PLE という小学校卒業試験に関わ 調査した。提供する際には、iPad 2台と MacPC にあ る問題から、子どもの将来が無くなることや、知識不足 らかじめ制作したアニメーションのファイルを入れて によっておこる日常問題に対して、PLE の支援をアニ おき、それら計3台を使用した。その後、アニメーショ メーションを用いて行うことに決定した。それらの目標 ンを見た子どもたちに対して、アニメーションに対する に到達するにあたって、まず、対象の分野を絞ることか 考えに関するものと、たばこという題材を用いたストー らはじめた。PLE は、英語・数学・理科・社会の4科目 リーに関するものの、2種類のアンケートを行った。 で行われるが、それらの分野のなかでも、より実生活に 後期の活動では、提供した際の調査をもとにフィー 直結しやすい知識が多いと判断し、科目を理科に絞り、 ドバックを行い、アニメーションの再制作を行った。 活動を進めた。その後、アニメーションを作るにあたっ フィードバックの際に行ったことは、KJ 法である。KJ ての調査を行った。調査方法は、ウガンダで実際に使わ 法にならって、活動やアニメーションについて気づいた れている教科書や PLE 過去問題、また、バゲンダ准教 ことを掘り下げていった。そこで明確になったことは、 授からのアドバイスであった。項目を決めるにあたっ ウガンダの子ども達は日本の子ども達と比べ、予想して ては、日常生活と直接関係のある項目を重視した。そこ いた以上に学習に対して積極的である印象であったこ で、前期ではグループの作業量などの予測をふまえ、夏 とだった。授業中は、質問をすると、必死さが感じられ 休みに行うウガンダ訪問でのアニメーション提供まで るほどほとんどの子どもが手を挙げる。競争心が強いよ に、制作物を5作完成させることを目標とした。内容は うにも感じた。授業とそうでないときの切り替えもしっ 以下の5つである。 かりしている印象を受けた。また、訪問した時期は9月 • 「How to make safe drinking water」(飲料水の作 り方) •「Importance of immunisation」(ワクチンの重要性) • 「4Fs」(食品衛生について) • 「What is first aid」(応急処置について) • 「Effects of smoking」(喫煙による影響) で、PLE の2ヶ月前であったということもあり、子ど も達はある程度知識を身につけていた。そのため、制作 したアニメーションの学習するにあたっての難易度は、 低かったように感じた。アニメーション提供後に、その 項目に関する問題を投げかけた際も、全員が手を挙げ て、正しい答えを回答した。また、アンケートに関して もフィードバックを行った。1種類目のアンケート項目 は、どのテーマのアニメーション欲しいか、といったこ とや、アニメーションが授業で使われることに対してど えることができなかったのが平均点の低下につながった う思うか、といった内容であった。結果としては、アル と考えられる。しかし検証方法に不備はあったものの、 コールについてのアニメーションを制作してほしいとの アプリ開発の全体の流れとしては良かったというポジ 声が圧倒的に多かったことと、アニメーションを授業で ティブなコメントが多く見られた。 使用することについてほとんどの子ども達はプラスの意 海外グループはの発表内容に関しては、成果物の評価 見を持っているということがわかった。二種類目のアン 方法についての指摘が多く見られた。このことについて ケート項目は、子ども達に対して、 “たばこ”という題材 は、ウガンダ訪問で得たことを、目に見える形にすべき でストーリーを考えてもらうというものであった。これ だったという反省点として挙げられた。また、前期と変 を実施した理由としては、子ども達の考えたストーリー わらず指摘を受けたのは、アニメーションの質について 構成を組み込むことで、より近い目線でアプローチする であった。人の動きが滑らかでないなど、アニメーショ ことが出来るかもしれないと考えたからであった。 ンの質の向上についての意見も、中間に引き続きみられ これらのフィードバックを元に、細かく決めていな た。しかし、中間時に比べると内容や質がよくなったと かった方針を設定した。その設定した方針は、対象の いうコメントも多かった。また現地調査についても行動 ユーザをある程度知識のある PLE 受験者、使用する場 力があってよいという意見があった。実際に制作したア 面を復習用として、効果を記憶に残る、要点がわかるこ ニメーションを流したことは中間発表のときと同様に高 ととした。これらの方針をもとに、制作の場面で、前期 評価であった。全体的には、反省点を活かしつつ発表を との変更を行った。例としては、要点を抽出するため 行うことができたが、引き続く課題や、新たに生まれた に、重要単語を状態表示としてアニメーション上に表示 反省点も見られ、来年度以降これらの引継ぎを行ってい することや、ストーリーの結末を印象的な展開にするな きたい。 どをである。これらをもとに、アニメーションを2作再 制作することとし、要望の多かったアルコールに関する ものと、ストーリーを考案してもらった、たばこのアニ メーションを作り上げた。 6 今後の展望 これまでの活動を通し、プロジェクトとして、実践的 にアニメーションを用いた教育の可能性を確かめること ができた。ワークショップや、ウガンダへの訪問の機会 5 プロジェクトの成果発表 成果発表会について、中間発表はポスターセッショ を使い、制作物を実証する点においてはいくつかの反省 がみられたが、実証する場があったことは、とても有益 ン、最終発表はスライドを用いた発表を行った。両発表 であった。本プロジェクトにおいて、この実践を経て、 会では、来訪者にアンケートを取って、発表技術、各グ 活動を行っていくことは、教育への支援に関する活動を ループの発表内容についてそれぞれ 10 段階評価とコメ 行っていくうえでの強みであるといえる。今回行ってき ントをもらった。中間発表会では、発表技術の平均点 た調査、検証、フィードバックの段階をしっかりと考え、 は 7.18、国内グループについては、発表内容の平均点は 活動を行っていくと同時に、それができるかがこのプロ 7.71 であった。また、海外グループの発表内容の平均 ジェクトの今後の重要な課題である。これらの段階を来 点は 7.58 であった。最終発表会では、発表技術の平均 年以降も続けていくことで、本プロジェクトは今後、更 点は 7.61、国内グループについては、発表内容の平均点 なる発展が期待でき、他の分野や他の国でも同様にアニ は 7.48 であった。また、海外グループの発表内容の平 メーションを使って教育が出来るのではないかという結 均点は 7.84 であった。 論に至った。 また、発表内容に関しては、国内グループは中間発表 の点数と比較して下がっていた。平均点が下がった要因 として、アプリケーションの学習効果の検証方法などに 関しての一部に不備があり、その点は国内班のまとめの 中で反省点として挙げたが、その内容について正確に伝
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