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プロジェクト報告書(最終)Project Final Report
提出日 (Date) 2014/01/15
北海道の魅力創造プロジェクト
Explore and Discover Hokkaido
1011137 十時英人 Hideto Totoki
1 背景
に終わってしまうかもしれない。しかし、その本来見過
ごすような魅力を引き出すことによって、その写真を見
北海道は、「豊かな自然・海の幸・大地の恵み」など
る人、それを見させながら旅行話を聞く人に北海道がと
沢山の魅力がある。例えば、夏は避暑地として、冬は雪
ても魅力的な場所に感じられるはずだと考えた。北海道
山でスキーやスノーボードが楽しめるほか、農業も盛ん
への興味を積極的に促すことで、聞いている人、あるい
でいろいろな美味しい食品が沢山あり、四方を海に囲ま
は見た人が北海道旅行を計画してくれるかもしれない。
れていて水産業も盛んで年中、美味しい海産物を得られ
旅行で撮った写真の本来見過ごすような魅力を引き出す
る。また、歴史的建造物、温泉も多く毎年多くの観光客
ことは、観光客増加という効果へ繋がると考えられる。
を集めている。
本プロジェクトでは前述の状況で、ただ見ただけでは
ここ数年の北海道年間の観光客数は約 5000 万人以上
魅力が伝わらないような写真を魅力的にするために、本
だが、そのうち九割は道内観光客で残りの一割は道外観
来見過ごすような魅力を価値あるものとして発信でき
光客であり、道外観光客は年々減少傾向である [1]。日
るアプリを製作することにした。アプリにした理由は、
本全国の都道府県の平均の観光客数の県内と県外の割合
PC を持っていない人でも扱えるようにしたこと、ス
は、その比率が約半々である [2]。北海道の道外観光客
マートフォンを持っている人が多く、スマートフォンは
数は約一割であるので他の都道府県や全国と比べると極
カメラ機能があり、撮ったあとすぐに編集できるからで
端に低いと言える。
ある。また、日本でのスマートフォン普及率は iPhone
このことから、道外観光客が一割程度である北海道
のシェアが高く、さらにほぼどのキャリアからでも契約
は道外観光客に新規観光需要が見込めると私たちは考
できるため、これからの需要が望めると考え、iPhone
えた。そこで、道外観光客の観光需要を促進するととも
のアプリを作成することとした。
に、北海道の観光を活性化させる取り組みをシステム開
発を通して達成する。
2 課題の設定と到達目標
具体的な解決策として私たちが提案するのが、北海道
プロジェクト全体の課題は、北海道が持っている沢山
のことをより知ってもらうことである。そして知っても
の魅力から、本来見過ごすような北海道の魅力を価値あ
らう手段として、写真を利用することにした。写真は手
るものとして、北海道外の人たちに発信するためのシス
軽で使われる状況が多いことと、旅行先でスマートフォ
テムを開発することである。
ンや携帯で簡単に撮れるからである。例えば、北海道旅
プロジェクト全体の到達目標は開発したシステムを通
行で撮った写真を他者に見せながら旅行話を語る状況を
して魅力を創造することである。
考える。旅行者はその写真を使って、旅行話を語る。し
開発するシステムとして、デコレーションアプリを開
かし、写真を撮ったときの状況や気持ち、また、それに
発する。個々の課題としては、アプリ開発に取り組むた
関する出来事を余すことなく説明し魅力を伝えること
めの勉強、アプリの要件定義、アプリのプログラミング、
は、写真を見せることと言葉で説明するだけでは難しい
アプリの素材作成、アプリのテストと評価である。
と考えられる。そのため北海道の本来の魅力が見過ごさ
れ、結果、その写真を見たり話を聞いたとしても、見た
り聞いた側は北海道の魅力を十分に感じることが出来ず
3 課題解決のプロセスとその結果
本プロジェクトでは、中間発表を終えてから開発する
アプリを見直し、開発するアプリの大幅な変更、それに
伴う要件定義や設計をやり直した。以下に、本プロジェ
クトで行った各作業内容を記述する。
3.1
要件定義
3.3 システム設計
開発するシステムの大まかな内部設計としてユース
ケース図などの UML 図を鈴木が勉強しながら作成した
プロジェクトメンバー全員で、北海道の魅力を創造す
(図 2)。
るためにはどうすべきかを話し合い、それから出た意見
やプロジェクトの目的や問題、課題などをまとめるため
に、マインドマップを作成した(図 1)。
図1
マインドマップ
図2
UML 図
また、スマートフォンの普及状況などを調べ、カン
タージャパンの携帯電話・スマートフォンおよびタブ
レット機器の購買・使用動向調査から日本国内の iPhone
の使用率が 6 割以上ということからスマートフォンの
うち、iPhone のアプリケーションを開発することを決
めた [3]。それらをまとめ、担当教員に開発するアプリ
ケーションを説明するためにプレゼンテーション資料を
また、アプリのイメージ図を中野渡が作成した(図 3
の左の画像)。中間発表後のアプリの大幅な見直しに伴
い、外部設計を伊藤がアイディアを出し、鈴木が作成し
た。また、再度イメージ図を鈴木が作成した(図 3 の右
の画像)。
作成した。作成した資料を用いて、担当教員にプレゼン
テーションを行い、修正しながら完成度を高めた。
中間発表後のアプリの大幅な見直しに伴い、プロジェ
クトメンバー間でもう一度話し合いながら要件定義書
を作成した。変更後のアプリの仕様は伊藤がアイディア
を出し、要件定義書は十時がドキュメントとして作成し
た。デコレーションアプリを開発することに決まり、デ
コレーションアプリに必要な機能について意見を出し
合った。その結果、スタンプを貼る機能・フレームを貼
る機能・画面をドラッグして線を描画する機能・操作を
取り消す機能・画像を保存する機能の 5 つ決まった。
3.2
図3
前期と後期のイメージ図
スケジュールの作成
担当教員にアドバイスを受けながらプロジェクトメン
3.4 中間発表
バー間で話し合い、スケジュールを作成した。今までに
中間発表では発表資料としてポスターとスライドを作
未経験なタスクであったために、各タスクにかかる時間
成し、中間発表までに決まったプロジェクトの目標と目
や期間を正しく見積もることが出来ず、随時大まかなス
的、開発するアプリの説明、これからの活動計画を発表
ケジュールを立ててプロジェクト活動を行った
した。また、本プロジェクトについて様々な指摘や意見
を受けて、中間発表終了後に開発するアプリの大幅な見
2 写真表示機能。⃝
1 で選んだ写真を表示する。
⃝
直しをした。
3.5
• 中央に配置する機能
アプリの構成
アプリケーションにはカメラロールからスマートフォ
• タブバーに配置する機能
3 スタンプ配置機能。スタンプ一覧を表示する。
⃝
ン本体に保存されている写真を選択し表示する機能、ス
2 に貼り付けることができ
スタンプをタッチして⃝
タンプを配置する機能、フレームを選択し写真上に表
る。
示する機能、写真上に描画する機能、一つ前の編集した
4 フレーム配置機能。フレーム一覧を表示する。
⃝
項目を取り消す機能、編集した写真を保存する機能が
2 に貼り付けることができ
フレームをタッチして⃝
ある。
る。
• スタンプ機能
アプリケーションで用意された画像を選択し、表
示されている写真に貼り付ける。タッチパネルの機
能を利用し、画像をドラッグして移動することがで
iPhone のカメラロールに保存する。
6 描画機能。自分の指で⃝
2 に描画することがで
⃝
きる。
7 元に戻す機能。編集した写真を一つ前の状態に
⃝
きる。
• フレーム機能
スタンプ機能と同様にアプリケーション内で用意
されたフレーム画像を選択し、表示されている写真
の上に表示する。
• 描画機能
戻せる。
3.7 アプリの実装
課題解決のための手段として、iPhone 用の iOS アプ
リを開発した。iOS アプリを開発するために必要とな
る知識や技術を習得するために、Xcode や Objective-C
タッチパネルを利用し、指で線を描画する。
3.6
5 編 集 し た 写 真 の 保 存 機 能 。編 集 し た 写 真 を
⃝
アプリの機能配置
実装する機能として、主にスタンプ配置機能、フレー
ム配置機能、描画機能、写真表示機能がある。機能配置
の基礎について書かれた参考書を読み勉強した [4]。中
野渡がアプリの開発を行った。スタンプを貼る機能とフ
レームを貼る機能は伊藤が用意した画像と写真を合成す
ることで実現した。描画機能はタッチした場所に連続し
て図形を描き、その線と写真を合成する機能で描画機能
を図 4 に示す。
とした。操作を取り消す機能は配列に順番に画像を代入
し、インデックスの数字を変更することで実現した。画
像を保存する機能は専用の関数があったのでそれを使用
した。
当初、コントローラが遷移するときに前のコントロー
ラが開放されないままコントローラが開く仕様でメモリ
リークの原因になっていたので、その解決方法を十時が
調べ、中野渡がソースコードを修正した。
3.8 アプリのテスト
アプリに予定していた 5 つの機能を加えたので十分に
テストを繰り返した後に、iOS Developer Program に
図4
アプリケーションの機能配置
登録し実機テストを行った。
3.9 アプリの評価と結果
開発したアプリを使用しデコレーションした写真と、
• ステータスバーに配置する機能
1 写真一覧機能。iPhone のカメラロールを表示
⃝
する。編集したい写真を選択することができる。
元の写真を比較してもらいどちらが魅力的に思うか評価
をすることに決めた。デコレーション後の写真が過半数
の支持を得られた場合、開発したデコレーションアプリ
が魅力を創造できたという判断を行うことにした。その
としてスタンプ機能では、そのスタンプそれぞれの豆知
条件で評価を行った。
識がわかるように説明があるが、アプリを使用した人だ
函館駅で 3 名の観光客に開発したデコレーションアプ
けがスタンプの説明を見ることが出来て、写真を見る人
リを使用してもらい、3 枚のデコレーションした写真を
はその説明を見ることが出来ないので魅力が伝わらない
作成してもらった(図 5)。
と考えられる。写真を見る人もその説明を見ることが出
来ればデコレーション後の写真のほうが魅力的と答える
割合が増えて、魅力を創造することが出来たと考えられ
る。
よって、目標を達成するための正確な評価方法を模索
することとアプリの特徴を伝える方法の改善が、開発し
たアプリと評価方法の今後の改善となる。
図5
作成してもらった 3 枚の写真
また、成果発表に向けた準備で、作成した発表用スラ
イドの内容をプロジェクトメンバー間で共有していた
函館駅周辺と金森倉庫周辺でデコレーション後の写真
が、発表の方法を上手く共有できていなかった。
と元の写真のどちらが魅力的に思うか 50 名に評価をし
そのため、発表練習に時間が割けず、本番ではスムー
てもらったが、デコレーション後の写真が過半数の支持
ズな発表を行うことが出来なかった。プロジェクトを最
を得られなかった。
後まで円滑に進めるためには、細かい部分まで情報を共
その後、函館駅で 3 名に作成してもらった 3 枚のデコ
有しなければならないことが分かった。
レーションした写真とそれぞれの元の写真を用いて公立
さらに、初めに立てた活動計画に余裕が無く、作業に
はこだて未来大学の学生 50 名に再度評価をしてもらっ
支障が出る場面もあり、プロジェクト後半では計画の一
たが、これもデコレーション後の写真が過半数の支持を
部が達成されないまま終わった。
得られなかった。
計画を立てる際には、多少の遅れが出ても良いように
原因を考察し改善を図ったあと、成果発表会中に再度
活動計画に余裕を持たせるスケジュール管理とプロジェ
40 名に評価を行ったが、これもデコレーション後の写
クトメンバー間で綿密な情報共有が、プロジェクト進行
真が過半数の支持を得られなかった。
を円滑に行う上での今後の課題となる。
3.10
成果発表
成果発表では、発表資料として十時がポスターを作成
参考文献
し、鈴木がスライドを作成した。実際の発表では開発し
[1] 北海道観光入込客数調査報告書. 北海道庁, 経済
たアプリの実演を交えながら、プロジェクトの概要、目
部, 観光局. http://www.pref.hokkaido.lg.jp/
標、目的、今まで活動してきた内容、評価報告などを発
kz/kkd/irikomi.htm
表した。発表の最後では、聴講者にアンケートを取り、
[2] 共通基準による観光入込客統計. 国土交通省, 観光
アプリの評価をしてもらった。
庁. http://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/
4 今後の課題
toukei/irikomi.html
[3] KANTAR JAPAN.
評価結果から、本プロジェクトで開発したデコレー
ションアプリは北海道の魅力を創造できたとは言えな
かった。その原因として 2 つの理由が考えられる。
1 つ目の理由としては、開発したアプリの評価方法が
間違っていたことが考えられる。魅力は人それぞれで感
じ方が異なり、魅力を創造できたかどうかという評価方
法では判断が難しいからである。
2 つ目の理由としては、デコレーションアプリの特徴
ア ッ プ ル iPhone は 日
本 で 堅 調 、66.2% の シ ェ ア を 占 め る, 2013-1-
23.
http://kantar.jp/whatsnew_2013/01/
kantarjapan_pr_0123.html
もりよしなお
[4] 森巧尚. よくわかる iPhone アプリ開発の教科書 iOS
5 & Xcode 4.2 対応版. マイナビ出版, 2012.