プロジェクト報告書 Project Report 提出日 (Date) 2014/01/15 未体験レシピの探求∼食の新世界を目指して∼ Exploring recipe ∼ for a new concept of food ∼ b1011013 駒形憲彦 Norihiko Komagata に,上記で記載した簡単カロリー計算・栄養計算—あす 1 はじめに 現在, 日本では肥満や高血圧といった生活習慣病に 陥る人が多い. ファストフード店の普及に伴った食生活 の欧米化や, 野菜不足とや過大なカロリー摂取といった 栄養バランスを考慮していない食生活が一つの原因であ る.さらに,糖尿病や心臓病などの疾患を患っている患 者は減塩の食生活を行い,タンパク質は動物性ではなく 植物性食品や魚類からタンパク質を取らなければなら ない. そのため,肥満病や糖尿病のような疾患を持つ患 者に対し,栄養バランスが整った料理を提供する必要が ある.また,特別な食事を必要としない一般人にも栄養 バランスが考慮された料理を提供するべきである.しか し,病院で提供される料理は味が薄いなど,おいしく食 べられない. 栄養バランスを考慮した料理を提供する際には,最適 に食材を組み合わせなければならない.また,一般的に 病院食のレシピは,栄養士により手作業で作られてい る.また,WEB のソフトウェアでは女子栄養大学が監 修し,株式会社ウィットが運営している簡単カロリー計 算・栄養計算—あすけん [1] がある.これは,食べた料 理名から栄養バランスのチェックや摂取カロリーの計算 を自動的に行い,利用者に現在の栄養素の過不足をグラ フや図を用いて提案する.また,クックパッド株式会社 が運営するレシピコミュニティサイトのクックパッド [2] がある.これは,一般の利用者が自身のレシピを投 稿し,多くのレシピを公開している.(クックパッド利 けん [1] でも食事バランスを数値化して,栄養素の過不 足を利用者に提示する.しかし,これでは栄養バランス を考慮した最適な料理のレシピを利用者が作る必要があ り,一般人が栄養バランスを反映した食材の組み合わせ を決めて,調理を行うのは困難である. クックパッド [2] は一般の専門的な知識がない人が投稿したレシピが 多いため,栄養バランスを考慮した料理を提示する正確 性に欠ける.そのため,クックパッド [2] に栄養素の計 算を考慮している料理のレシピ場合が多く,(利用者が) 適当なレシピを探すのは,困難である.また,(料理提 供は)栄養士が作る料理も含めて,食生活から健康的な 生活をおくるためにも食欲を増進させる必要がある. 今回,本プロジェクトが提示する提案手法は,栄養素の 数値から最適な食材の組み合わせを選ぶ過程を自動化す る.その食材の組み合わせから,レシピ本等を参考にし て料理のレシピを考案する.さらに,三つの別の視点か ら料理の提案を行う.一つめは普段の生活で陥りやすい 風邪や肌荒れ,ニキビなどの健康状態に適した料理を提 案する.二つ目は,栄養素の偏り修正を考慮した料理を 提案する.三つ目は,食欲をわかすために色彩を考慮し た料理を提案する. 2 提案手法に使われている従来の 技術 この章では,本提案手法に使用した従来の技術を記 載する. 用者は)目的に沿った(季節の応じた料理 etc)レシピ 検索も出来る. 病院で栄養士が作る料理は栄養素の数値計算などを含 めて,専門的知見から手動で料理を作っている.しか し,(栄養士が)様々な疾患を持つ患者に対して適応し た料理提供をする際,最適な食材を選び,その料理のレ シピ考案は,大きな負担にもなり非効率的である.さら 2.1 レシピ設計支援ツール レシピ設計支援ツールは [3],栄養素とコストに関す る評価関数が最大になるように,食材およびその配合量 を最適化するツールである.また,このレシピ設計支援 ツール [3] の用途としては,以下の用途がある. 表1 食材 て説明する.また, 3つの提案手法をまとめた図を図 1 食材栄養素行列の一例 カロリー (kcal) たんぱく質 (g) 炭水化物 (g) 脂質 (g) 食材 1 60 20 30 6 食材 2 20 18 60 11 食材 3 8 15 100 30 : : : : に示す. 3.1 健康状態に適した料理提案 風邪や体がだるいといった健康状態を入力すると, 食事摂取基準値 [5] に基づいてその症状を改善する栄養 表2 素の目標値を提案するツールを作成した.そのツールか 栄養素の目標値の一例 カロリー (kcal) たんぱく質 (g) 炭水化物 (g) 脂質 (g) 760 70 100 20 ら 栄養バランスを考慮した栄養素の目標値を設定した. その栄養素の目標値と食材栄養素行列のデータをレシピ 設計支援ツール [3] に入力した. レシピ設計支援ツール 表3 食材配合量の一部 が栄養素の目標値に対して出力した食材配合量から,レ 食材 食材配合量 (g) シピ本やレシピコミュニティサイトのクックパッド [2] 食材 3 50g に記載されている料理のレシピを参考にして,料理のレ 食材 18 10g シピを考案した.その後,考案した料理のレシピで調理 食材 22 65g 実験を行い,料理を作った.その結果,おいしい料理の : : 提案が可能であると確認した. 3.2 栄養素の偏りを矯正する料理提案 ・ 食事制限が必要な患者のための特別食作成 ・ 健康補助食のレシピを作成 ・ 栄養バランスが整った献立を作成 レシピ設計支援ツール [3] は必要な栄養素の数値から最 適な食材の組み合わせを全てグラム数で出力する. レ シピ設計支援ツール [3] を使用する際に,必要な栄養素 の数値を栄養素の目標値と定義し,栄養素が並んだベ クトルを栄養素ベクトルと定義した. 栄養素の個数を 35種類とした.また,最適な食材の組み合わせと各食 材の量を食材配合量と定義した.まず,レシピ設計支援 ツール [3] は入力データを二つ必要とする,一つ目は, 数日間の食生活(料理名)を入力し,その栄養素の過 不足を食事摂取基準値 [5] に基づいて栄養素の偏りを矯 正する栄養素の目標値を提案するツールを作成した.そ のツールから栄養バランスを考慮した栄養素の目標値を 設定した.その栄養素の目標値と食材栄養素行列のデー タをレシピ設計支援ツール [3] に入力し,食材配合量を 得た.その食材配合量からレシピ本やレシピコミュニ ティサイトのクックパッド [2] から料理のレシピを参考 にして,料理のレシピを考案した.その後,調理実験を 行い,考案した料理のレシピから料理を作り,おいしい 料理の提案が可能であると確認した. 文部科学省の日本食品標準成分表2010 [4] から参考 に作成した行を食材,列を各食材に対応した栄養素の数 3.3 色彩を考慮した料理の提案 値とした行列である. このデータを食材栄養素行列と 定義した.二つ目は,栄養素の目標値である.この二つ の入力データからレシピ設計支援ツール [3] は食材配合 量を出力する.また,表 1 に栄養素の目標値,表 2 に食 材栄養素行列,表 3 に食材配合量の一例を示す. レシピ設計支援ツール [3] に入力する食材栄養素行列 の列に必要な栄養素だけでなく,RGB の値を追加した. そのため,栄養素ベクトルにも RGB を追加した. 食欲 を上げる,もしくは下げるために,明るい色や暗い色の RGB の値を入力した. 入力した RGB の値と食事摂取 3 提案手法 基準値 [5] を基づいて彩りと栄養バランスを考慮した栄 養素の目標値を設定した. 設定した栄養素の目標値と この章では,本プロジェクトが行った健康状態,栄養 食材栄養素行列のデータをレシピ設計支援ツール [3] に 素の偏り修正,料理の色彩,3つの料理提案手法につい 入力して,食材配合量を得た. 出力した食材配合量か らレシピ本やレシピコミュニティサイトのクックパッド 表 4 従来手法と本提案手法の性能評価 [2] にある料理のレシピを参考にして,料理のレシピを レシピ 信頼性 効率性 考案した.そのレシピから調理実験を行い,考案した料 栄養士 ○ ○ × 理のレシピから料理を作り,おいしい料理の提案が可能 栄養管理ソフトウェア × ○ × レシピサイト ○ × ○ 本提案手法 △ ○ ○ であると確認した. 用者はおいしい料理を検索しやすい.しかし,クック パッド上の料理は一般人が投稿しているため,専門的に 栄養素を考慮している料理という判断ができない.した がって,クックパッド [2] が栄養バランスを考慮した料 理を提供するには,信頼性が低い.従って,クックパッ 図1 三つの提案手法 ド [2] が正確に栄養バランスが整った料理のレシピの提 案は困難である. 本提案手法は,栄養素の目標値を食 事摂取基準値に基づき,数値として定めたうえで,栄養 4 提案手法の評価 専門の栄養士が提案する料理は手動で行うため,多 くの患者や一般の人に提供するうえでは非効率である. しかし,栄養バランスを考慮した料理,食事を提供する うえでは,栄養士の専門的知見が含まれているため優位 性が高い. 栄養管理を行うソフトウェアについて一例をあげて説 明する. 簡単カロリー計算・栄養計算—あすけん [1] は,利用者 の食生活から栄養素の過不足を提案できる.そのため, これは栄養バランス,食事バランスの数値化を提供でき るのは利点である.しかし,これは具体的な食すべき食 材やその組み合わせ,料理のレシピを提示していない. さらに,料理のレシピの考案は利用者が行う,専門的知 見から最適な食材配合量を決めてのレシピ考案は困難で ある.そのため,栄養バランスを考慮している料理を食 べるのは困難である. レシピサイトについて一例をあげて説明する. クックパッド株式会社が運営するレシピコミュニティ サイトのクックパッド [2] では,栄養に関する知識を持 たない一般の利用者から多くの料理のレシピ投稿があ バランスを考慮した食材配合量を出力する点は自動化さ れている.さらに,健康状態,栄養素の偏り矯正,料理 の色彩を考慮し,レシピ設計支援ツール [3] により,食 材及び食材配合量を最適化できた.そのため,得られた 食材配合量から栄養バランスを考慮し作る料理は,信頼 性が高い.しかし,得られた食材配合量からの料理のレ シピ考案にはレシピ本等を参考にしている状態であり, 料理のレシピとしては,正しい調理工程と判断を行う には,困難である.そのため,調理実験を行い,試食を 行った.その結果,おいしい料理と確認できた.ただ, 同じ食材配合量で違う調理工程も可能なため(調理の順 番を変えるなど),最適なレシピを検証していく必要が ある.また,色彩を考慮する場合には,使用する食器な ど外観を含めて色彩の評価を行う必要がある.表 4 に 以上の従来手法との評価結果をレシピの最適な組み合わ せ,栄養バランスを考慮している信頼性,手間がかかる 効率性の視点でまとめる.また,○は優位性が高い,△ を決して高くない,×は低いとする. 5 まとめ 本提案手法の特徴は,健康状態,栄養素の偏り矯正, り,食材や料理名から簡単にレシピを検索できる.ま 料理の色彩の栄養バランスを考慮した食材および食材 た,クックパッド [2] は目的別にも利用者が料理のレシ 配合量を最適化する点である.また,その食材配合量か ピ検索ができるのは利点である.さらに,利用者同士で らレシピ本等を参考にして料理のレシピを考案し,調理 味の評価などの,相互評価が可能となっているため,利 実験により確認する点も本提案手法の特徴である.さら に,本プロジェクトの活動として,三つ視点の提案手法 い点である. は栄養素の目標値を変更するといった特徴だったため, 本提案手法により健康状態,栄養素の偏り矯正,料理 レシピ設計支援ツール [3] を用いて食材および食材配合 の色彩の栄養バランスをそれぞれ考慮した食材および食 量の最適化が可能となった. 材配合量をレシピ設計支援ツールを用いて最適化出来 従来手法としては,栄養士が手動で,栄養バランスを考 た.今後の課題として,最適な調理工程の判断をするた 慮した料理を提供する手法がある.また,栄養管理を行 めに,調理の組み合わせを多く考案する必要がある.ま うソフトウェアによる栄養,食事バランスの過不足を提 た,最適化された食材配合量を提示するだけでなく,レ 示する手法やレシピサイトによる一般の人が料理のレシ シピ考案もしくは表示の自動化を行う点である.これに ピを投稿して,その数多くのレシピを提案するといった より,専門知識を持たない一般人でも自ら調理を行い栄 手法がある.本プロジェクトの提案手法は,健康状態, 養バランスを考慮した食事ができる. 栄養素の偏り矯正,料理の色彩の栄養バランスに対応し た食材配合量を得たのち,調理工程を立案し,調理を行 う手法である.この提案手法で,調理工程はレシピ本や レシピサイトのレシピを参考にしたため,このプロセス で専門の栄養士が食材配合量を素に調理を実施すると最 適な料理を作られる.そのため,本提案手法は栄養バラ ンスを整えるための最適な食材配合量を選ぶまでのプロ セスができる.また,本提案手法で提案した料理のレシ ピをレシピサイトに投稿すれば.多くの人から味の評価 を得て,最適な調理を行ったという調査もできる. 従来手法(栄養士,栄養管理ソフトウェア,レシピサイ ト)と比較して,本提案手法は健康状態,栄養素の偏り 矯正,料理の色彩の栄養バランスをそれぞれ考慮した栄 養素の目標値を設定できる点は利点である.さらに,本 提案手法は,その設定した栄養素の目標値からレシピ設 計支援ツール [3] により食材および食材配合量を最適化 し,その食材配合量を提案できる点も利点である.その うえ,本提案手法は,食材配合量出力までのプロセスを 自動化しているのも利点である.しかし,栄養士が調理 工程までを含めて最適な料理を提案できるのに対して, 本提案手法では既存のレシピを参考にしてレシピ考案す る.また,栄養管理のソフトウェアは正確な栄養,食事 バランスの過不足をグラフをや図を用いて視覚的に提示 できる点に対して,本提案手法は食材配合量から料理の レシピを提案する.レシピサイトは,数多くのレシピが 食材や料理名で検索でき,他社からの相互評価を受けら れるのに対し,本提案手法は数多くの料理のレシピを自 動化して提示できていない.従って,本提案手法の欠点 をまとめると,一つは最適な調理工程だと判断ができな い点,二つ目は栄養バランスの過不足を視覚化していな い点,三つ目は料理のレシピを自動化して表示されてな 参考文献 [1] 株式会社ウィット「簡単カロリー計算・栄養計算— あすけん」http://www.asken.jp/calculate/meal/1 (2014/1/05) [2] ク ッ ク パ ッ ド 株 式 会 社「 ク ッ ク パ ッ ド 」 http://cookpad.com/(2014/1/05) [3] 佐藤仁樹,佐藤雅子, “遺伝的アルゴリズムに基づ く非線形スパース最適化−食材・配合量最適化問題 の解法−,” 信学技法 NLP2013-78, pp. 47–52, Oct. 2013. [4] 文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会報 告「日本食品標準成分表2010」. [5] 第一出版編集部, 日本人の食事摂取基準(2010 年度版), 第一出版,2010.
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