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公立はこだて未来大学 2012 年度 システム情報科学実習
グループ報告書
Future University Hakodate 2012 System Information Science Practice
Group Report
プロジェクト名
生体情報の福祉利用 ∼筋電義手の開発∼
Project Name
Biological Information for Social Welfare ∼Development of Myoelectric hand∼
グループ名
筋電義手製作班
Group Name
Making of Myoelectic Hand Group
プロジェクト番号/Project No.
25-B
プロジェクトリーダ/Project Leader
1010093
Hitotaka Sasaki
佐々木啓孝
グループリーダ/Group Leader
1010081
Kazuki Maruo
丸尾和生
グループメンバ/Group Member
1010038
平賀大雪
Daisetsu Hiraga
1010089
菊地浩倖
Hiroyuki Kikuchi
1010096
田中圭
Kei Tanaka
指導教員
櫻沢繁,中垣俊之
Advisor
Shigeru Sakurazawa Toshiyuki Nakagaki
提出日
2013 年 1 月 16 日
Date of Submission
Janualy 16, 2013
概要
義手とは,事故や病気などで失うもしくは動かすことができなくなった手の代わりに手の働き
をするものである.一般的に義手は,軽量であることや外観を重視したものと,人間の手の動
きに近い動きをする機能性を重視したもの,大きく分けてこの 2 種類に分けられる.筋電義手
はその中でも後者を目的として使用される.
筋電義手とは,筋肉を動かすときに発せられる微弱な電位を信号として受け取り,その信号に
よって義手に取り付けられたサーボモータなどの動力を制御することで動作をすることができ
る義手である.筋電義手の多くは機能性を重視しており,人間の手の動作に近い,実用的で高
機能な動作をするものである.筋電義手の問題点として,機能性を重視するあまり外観や扱い
やすさを軽視せざるを得なくなっている点が挙げられる.重い,暑い,義手を装着しているこ
とを周りに悟られたくないというのが義手使用者の声である*1 .
この現状を踏まえ,本プロジェクトが製作する筋電義手は機能性を重視することはもちろん,
外観も使用者が苦なく使用できるように実物に近いものにした.重い,暑いという点を克服す
るために軽く,さらに機能性を重視するために丈夫であるという2つの条件を満たしているプ
ラスチック素材として使用した.手の型をとった石膏にプラスチックを流し込むことで人の手
と指の形に近い骨組を作製した.その骨組に同じように石膏で型どったラテックスをかぶせる
ことによって軽量化と外観を実際の人間に近づけることに成功した.
キーワード
義手,筋電義手,軽量化,機能性
(※文責: 丸尾和生)
*1
”両側前腕切断者への筋電義手の試み” http://www.rehab.go.jp/achievements/japanese/20th/paper14.html
-i-
Abstract
An artificial arm alternates a primary hand which an accident or disease claimed. Today,
the artificial arm are composed of two types arm. The lightweight and wonderful-looking
artificial arm. The artificial arm is functional and carries out a motion as a primary
arm motion. The myoelectric prosthetic hand is made for achieving accurate motion as
human arm. A myoelectric prosthetic hand is an aritificial arm controlled by myoelectric
potential. The myoelectric potential is the weak potential from a muscles, when human
moves muscles. The myoelectric prosthetic hand is controlled by some servomotor. The
servomotor is operated by well-done myoelectric potential. This mechanism help to
operate the arm easily and accurately as a primary arm. Today, most of myoelectric
prosthetic hand is made for attaching great importance to functionality. The problem
with this myoelectric prosthetic hand are what the arm is not good looking and using.
The myoelectric prosthetic hand user would want three improvement points. The first
point is not heavy. The second point is not hot. The third point is that people not notice
that user wearing prosthetic hand. For this reason, we tended to make a lightweight, as
like primary hand looking and functional myoelectric prothetic hand. We have developed
a lightwight myoelectric prosthetic hand to overcome the problem that heavy and hot.
We used a plastic for artificial arm. We made a hand model with gypsum. We poured
the plastic on the hand model. And, we poured the latex on the hand model. By
doing these, we were able to make a lighter myoelectric prosthetic hand as a human
appearance.
Keyword
Myoelectric hand, myoelectric prosthetic hand, light, functionality
(※文責: 平賀大雪)
- ii -
目次
- iii -
Biological Information for Social Welfare ∼Development of Myoelectric hand∼
第1章
1.1
序論
前年度の成果
前年度製作された筋電義手は 2 種類ある.一つ目の筋電義手は木を主材料として,一昨年に作製
した義手よりも軽くて扱いやすいものを作製した.1 つのサーボモータを使用し,グーとパーの 2
動作を行うことができるものであった.この木を主材料とした義手は,軽くて扱いやすいが,耐久
性に欠け,動作のたびになんらかの破損が生じるという欠点があった.
その問題点を解消するために,プラスチックを主材料とした 2 つ目の筋電義手が作製された.耐
久性の面だけでなく,動作の面でもこのプラスチックを主材料とした義手は木を主材料とした義手
よりも以下の点で改善されたものとなった.
サーボモータを4つに増やしてグーとパーだけでなくチョキの動作を増やし,じゃんけんをさせ
ることができた.また,圧力センサーを取り付けることによって,ものを適切な力加減で握らせる
ことができた.
物を握ることができることと,外見も木材を使用した義手よりもより人間に近づけることによっ
て,進化した義手が作製された.しかし,耐久性が強いプラスチックを使用されたが,全体的にま
だ壊れやすい部分があり,外見の面でもワイヤーやサーボモータがむき出しになっていることな
ど,まだまだ改良の余地はあった.
(※文責: 丸尾和生)
1.2
現状における問題点
筋電義手は現在,日本での普及はとても少ない.原因に,金銭面や体に負担がかかってしまうこ
となど多くの理由があるが,我々のプロジェクトではその中でも外観と重さの問題点に着目した.
筋電義手とは本来,人間が行っている精密な動作を可能にすることを目的としてつくられた義手
のことを言う.外観が人間の腕に近いものもあるが,現在存在する多くの筋電義手は機能性を重視
する反面,外観が人間の腕とは全く違うものである.実際に,アメリカのシカゴリハビリテーショ
ン研究所で開発されたバイオニックアームという小さなものや壊れやすいものでも人間の手と同じ
ように扱うことができる高機能な筋電義手が存在するが,このバイオニックアームは外観が金属が
むき出しになっていて重量も重いため,使用者にとって暑く,周りの目が気になるということで実
際に日常生活で扱うことは困難だと考えられる.
また,バイオニックアームは金属で重厚なつくりのため,重い.上で挙げたバイオニックアーム
はむき出しの金属の他,バッテリーや制御装置の重さもあり,総重量は 3.6kg である.成人男性の
平均的な腕の重さで 3.5∼4kg ほどでバイオニックアームはほぼ成人男性の腕の重さと同じである
ため,成人女性や子供にとっては重くてうまく扱うことができない.
外観が人間の腕と違っていて使用しづらい,重くて扱いにくいという 2 点が現状の筋電義手の問
題点である.
(※文責: 丸尾和生)
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1.3
課題の概要
今年,製作する筋電義手の目標は,前年まで製作された筋電義手の動作に加えて新しい動作を追
加すること,軽くて丈夫であること,人間の手,腕の外見に似た筋電義手の製作を行うことだった.
従来までに製作された筋電義手は,ほとんどの材料が金属であった.そのため,腕部分が短い筋電
義手でも重く,外見もロボットアームのようになってしまっていた.
その反省点を生かし,今年は材料を見直すことで目標の達成を目指した.材料の条件は,軽くて
丈夫であること,人間に似た外見に似た構造を製作するために加工しやすいものを調査した.構造
では,前年に製作された筋電義手を改良することを目指した.
(※文責: 丸尾和生)
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第2章
2.1
到達目標
本グループにおける目標
軽くて丈夫で機能性があり,外観が人間の腕に近い筋電義手を製作することを最終目標とした.
重さの面では,2∼2.5kg の間にすることを目標にした.子供の平均の腕の重さが 2.5∼3kg であ
り,我々のグループが製作する筋電義手と生体信号計測班が作製する回路の重さを含めると 2.5∼
3kg になると判断したためこの重さを目標とした.決して子供を対象にするわけではないが,大き
さを成人男性の腕をモデルにしても,軽くて誰でも使えるようにしたいと考えた.
耐久性の面では,昨年度製作された 2 種類の筋電義手が,どちらとも耐久性が弱く,使用の度に
不具合が生じていたようなので,耐久性も重視しようと考えた.実際に使用するときは長時間使用
することを想定し,耐久性の高い部品の選択や,設計の目標とした.
機能性の面では,筋電義手の本来の目的である高機能で細かい動作を目標に考えたが,この 1 年
間のプロジェクト学習の中で,実際に日常生活の中で使う精密な動作をする筋電義手の製作は困難
であり,信号処理班との関連でもそのような動作をさせることは不可能と考え,動作を絞ってその
精度を高めることを目標とした.具体的には前期の段階でグー,チョキ,パーに手首の前後動作を
加えた 5 動作を目標とし,後期にはそれらの動作を活かして日常で使う動作につなげていくという
ことにした.グー,チョキ,パーは手の動作の基本動作であるので,これらの動作の精度を高めよ
うと考えた.また,手首の前後動作に関しては,一昨年度,昨年度の義手ともに手首の前後動作が
できず、ただ指を動かすだけのものであったので,そこから進化させようと考え,手首の前後動作
がないと物をつまむ,つかむなどができないので,手首の前後動作を加えた.
外観の面では,上でも述べたとおり人間の腕により近いものを目標とした.使用する人が苦なく
使用するために,義手をつけていても本物の腕だと思われるような外観にすることを目標とした.
(※文責: 丸尾和生)
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2.2
具体的な手順
我々のグループは以下のような手順で 1 年間を過ごした.
2.2.1
前期
1. 義手について学ぶ
義手とはどのようなものなのか,筋電義手とはどのようなものなのか,過去にプロジェクト
学習で作製された筋電義手の動作をみたり,現状の問題点を調べて学ぶ. 2. 手の動きについて学ぶ 人間の手はどのようにして動いているのかを学ぶ.
3. 筋電義手を動かすための回路,プログラムについて学ぶ
回路班,プログラム班の 2 班に分かれて,それぞれの基礎知識と回路やプログラムが筋電義
手を動かすためにどのように関わっているのかを学ぶ.
4. どのような筋電義手を製作するのか話し合い
1∼3 で学んだことを踏まえて,どのような筋電義手を製作するのかをプロジェクトメンバー
全員で意見を出し合う. 以下,グループごとに分かれての活動。
5. グループ内の役割決め
グループ内でリーダー 1 名,発表者 2 名,スライド,ポスター製作者 1 名を決める.
6. 設計話し合い
細かな部分の部品や構造について話し合う.
7. 部品購入
必要な部品を購入する. 8. 製作開始
筋電義手本体の製作をする.
9. スライド作成 発表で使用するスライドを作成する. 10. 発表原稿作成
わかりやすく説明できるように,発表原稿を作成する.
11. 発表練習
原稿の内容を決められた時間内で説明できるように,身振り手振りなどを使い,わかりや
すい説明ができるように練習する.
12. 模擬練習
発表本番を想定し,先生や先輩方に向けて発表する.終了後レビューをいただき,改良
する.
13. 中間発表本番
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2.2.2
後期
14. 中間発表時のアンケートを見る
メンバー一人一人がアンケートを見て,良かったところや改善する必要のある部分を確か
める.
15. 良かった点,改善点について話し合う
それぞれが見たアンケートの良かった点,悪かった点について話し合う.
16. 後期の製作物について話し合う
話し合った結果を元,、後期はどのような活動をしていくのかを決める.
17. 製作開始
以下前期 9∼13 と同じ
(※文責: 丸尾和生)
2.3
課題解決のプロセスの概要
最終目標である軽くて丈夫で機能性があり、外観が人間の腕に近い筋電義手を製作をするため
に,以下のような手順で活動した.義手や手の動きについての学習は上の具体的な手順と被るので
省略する.
1. 製作する筋電義手の設計
解決過程:部品や構造など設計を決めた.部品は軽くて丈夫なアルミを大部分に使用するこ
とにした. 2. 各部品の試作
解決過程:設計どおりに試作した.指と手のひらは設計のミスにより試作したものが失敗
し,再設計した. 3. 製作開始
解決過程:手,手のひら,手首,腕部分を本格的に製作し始めた.細かい部分での試行錯誤
を繰り返して作り上げた. 4. 動作確認
解決過程:製作した筋電義手の動作確認と耐久性のテストを行った.腱の代わりとして使用
した糸が動作させるたびに緩み,調節が必要だった.このことから後期では糸ではなくワイ
ヤーを使用した.また,この動作確認の段階では他のグループと連携して作業した. 5. 改良,修復
解決過程:動作確認から改良すべき点を見つけ,改良した.そのときにねじの緩みややサー
ボモータを固定場所の破損部分などを修復した.
6. 筋電義手完成 上で述べた課題解決の手順は前期のものである.後期に関してもほぼ同じ
手順で行ったので省略する.
(※文責: 丸尾和生)
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第 3 章 課題解決のプロセスの詳細
3.1
各人の課題の概要とプロジェクト内における位置づけ
各人の課題の概要とプロジェクト内における位置づけを紹介する.我々のグループの作業は大き
く分けると,筋電義手製作,ポスター製作,スライド製作の 3 つである.
3.1.1
丸尾和生の担当課題
丸尾和生の担当課題は以下のとおりである。
4月
義手,手の動きについての学習
5–6 月 筋電義手の設計,手のひら部分の製作
7月
発表原稿作成,発表練習補助
9月
アンケート読み
10 月 筋電義手の設計,筋電義手の製作
11 月 筋電義手の製作
12 月 スライド作成,ポスター作成,発表原稿作成,発表練習補助
3.1.2
平賀大雪の担当課題
平賀大雪の担当課題は以下のとおりである。
4月
義手,手の動きについての学習
5月
筋電義手の設計,部品発注,指部分の製作
6月
指部分の製作
7月
それぞれの部品の接合,発表練習
9–10 月 筋電義手の設計,プラスチックの加工
11 月 プラスチック加工,サーボモータの固定
12 月 ポスター作成,それぞれの部品の接合,発表原稿作成,発表練習
3.1.3
菊地浩倖の担当課題
4月
義手,手の動きについての学習
5月
筋電義手の設計,手首部分の製作
6月
手首部分の製作
7月
発表原稿作成,発表練習
9–10 月 筋電義手の設計,ラテックスの加工
11 月 ラテックスの加工,腕部分の製作
12 月 ポスター作成,ラテックス修復,発表練習
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3.1.4
田中圭の担当課題
4月
義手,手の動きについての学習
5月
筋電義手の設計,部品発注,腕指部分の製作
6月
腕部分の製作
7月
それぞれの部品の接合,修復
9–10 月 筋電義手の設計,部品発注,石膏での手の型どり
11 月 ワイヤーとモータの接続,それぞれの部品の接合
12 月 ポスター作成,修復
(※文責: 丸尾和生)
3.2
3.2.1
各課題解決過程の詳細
スライド作成について
材料と指,手,腕,手首,腕の構造について,わかりやすく見やすいものを作ることを心がけた.
また,後期の製作した筋電義手の注目すべき点である石膏で手と腕の型をとり,その型にプラス
チックとラテックスを流し込んでそれぞれの部品を製作したことを,スライドのはじめにもってく
ることによって目立たせた.型をとった石膏の画像を載せた.材料に関しては前期と変更した部分
であるプラスチックとラテックスを赤字で目立たせることによって強く印象づけさせようとした.
また,それぞれの画像も載せた.
手,指の構造に関しては,前期は糸で腱を表現したが,後期は伸び縮みしないワイヤーを使用し
たという点と,中手指節関節と呼ばれる指を曲げるときに必要な指の付け根にある関節を製作した
ということを書いた.中手指節関節と指の関節部分の構造の画像を載せた.
手首の構造に関しては,画像だけを載せた.
腕の構造に関しては,ワイヤーが干渉しないようなサーボモータの設置位置についての画像を載
せた.
(※文責: 丸尾和生)
3.2.2
ポスター作成について
筋電義手製作班として,ポスターを作成した.プロジェクト全体のポスターは 4 枚あり,その中
で我々の班は 1 枚作成した.
筋電義手の製作について,スライドと同じように人目で見た人に伝わるようなシンプルでわかり
やすいポスターの作成を目指した.1 番に伝えるべきものは,製作した筋電義手はどのような構造
で作られたのかということなので,タイトルを筋電義手の構造とした.タイトル部分の文字は白抜
きにしてシンプルであるが見やすくした.内容に関しては,工夫した点を伝えることを重視した.
その中でこれまでに作られた筋電義手から改良された点を伝えることができればよいと考えた.
項目は,材料について,義手の構造についての 2 つにした.義手の構造に関しては,指の構造,
手のひらの構造,腕の構造の 3 つにさらに分けて項目を設けた.材料についてを上に小さく載せ,
メインである義手の構造に大きく場所を割いた.左半分に製作した義手の写真をのせ,そこから指
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の構造,手のひらの構造,腕の構造についてどの部分かがわかるように線を引いて目立たせ,それ
ぞれについて述べることによってどの部分について説明しているのかをわかりやすくした.
材料については,プラスチック,ラテックスを使用し,石膏で型をとって本体と手袋を製作した
という今回の筋電義手の特徴をわかりやすく説明した.石膏とラテックスを用いて製作した手袋に
関してはよりわかりやすくするために写真を載せた.
指の構造については,関節ごとに凹凸に切り分け,指の背部分はあえて干渉させて動かないよう
に工夫した点や,指に穴をあけ,腱の代わりであるワイヤーを手袋と接触して摩擦が生じることを
抑えた点を載せた.また,各関節のつながっている部分の写真を載せ,関節のつなげ方を判りやす
く伝えた.
手のひらの構造については,中手指節関節を製作したことを載せた.どのような構造になってい
るのかを見てもらうために写真を載せた.この部分はこれまでのプロジェクト学習で製作された筋
電義手にはない部分で,今年度の筋電義手製作の際の目標であるものをつかむ,つまむ動作をする
ためには必要不可欠な部分であるため,強調した.
腕の構造については,サーボモータの取り付け方と手首から上の部分とのつながりを紹介してい
る.4つのサーボモータをそれぞれ干渉しないように別々の位置につけたことと手首の土台の部分
に穴をあけ,干渉しないように工夫したところを紹介している.
後期に作成したポスターを図 3.1 に載せておく.
図 3.1
作成したポスター
(※文責: 丸尾和生)
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3.2.3
筋電義手作製について
筋電義手を作製するにあたって,人間の指の構造について学習した.ここで学習したのは,指の
曲げ伸ばしに影響する,腱と腱鞘についてである.腱は腕の筋肉と連結しており,指を曲げる腱は
手のひら側から,伸ばす腱は手の甲側から伸びている.また,腱鞘は手のひら側にのみ存在する.
そして,腱の構造は親指とその他の指で連結する筋が異なる.親指では,第一関節を曲げる長母指
屈筋,第二関節を曲げる短母指屈筋,第一関節を伸ばす長母指伸筋,握りこむための母指内転筋,
付け根を伸ばす短母指伸筋で構成されている.その他の指では,第一関節を曲げる深指屈筋,第二
関節を曲げる浅指屈筋,第一関節を伸ばす指伸筋,付け根を曲げる虫様筋で構成されている.腱鞘
の構造は図 3.2 のようになっている.腱鞘は,腱をトンネルのように覆うことで,腱が浮き上がる
ことの防止と,腱自体のすべりをよくする働きをしている.
図 3.2
腱鞘と腱の構造
(※文責: 丸尾和生)
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前期
丸尾和生
• 手の製作
まず、義手を設計する上で、筋電義手製作班の班員一名の各指の長さ、手の甲、手のひらの大き
さ、腕の長さを測り、それを基準に作製した。
また、手の寸法は図 3.3 のようにした。
図 3.3
手の寸法
上の図の上側 6.6cm の部分は,指のすぐ下の部分になる.下側の部分は手首のすぐ上の部分に
なる.
上の図の寸法に切り取ったアルミ板を 2 枚用意し,指を挟むようにして手を作製した.手のアル
ミ板と指をねじを使用して接合した.指部分の下 1cm のところに穴を空け,ねじを通した.この
とき,上側は指があるので隙間がないのだが,横側にすきまがあったので,すきまをアルミで埋め
た.図の下側には後で説明する手首の部分を取り付けた.手首部分の上側にねじが通る穴を空け,
手の下側にも同じ大きさの穴を開け,ねじを通して固定した.詳しいことに関しては後の手首の構
造の部分で説明する.
(※文責:丸尾和生)
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平賀大雪
• 腕部分の製作
前期の義手制作では, グー・チョキ・パーの 3 動作を実現させるため, 各指の関節の機構の再現と,
腱の代わりとなる釣り糸の取り付けが主な作業内容となった. そこではじめに, 人間の指の屈曲・
伸展動作の機構を学んだ. 次に,過去に作製された筋電義手の研究を行い,それらを踏まえて設計
に移った.部品の選定は,モータの持つ限られた力で指の屈曲・伸展ができるよう,軽くて丈夫な
アルミ材を大部分の素材に選んだ. 指の屈曲・伸展には,人間の腱の代わりとして PE ラインを,
健鞘の代わりとしてミニステーを使用した. また,製作途中で PE ラインの絡まりや動作のぎこち
なさが問題になったため, 指にミニフックを取り付けることでそれらの問題に対処した.義手を設
計する上準で, 筋電義手製作班の班員一名の各指の長さ, 手の甲, 手のひらの大きさ, 腕の長さを測
りそれを基に作製した. 指の長さは表 3.1 のようにした.
表 3.1
各指の関節の長さ
指
親指
人差し指
中指
薬指
小指
第一関節
3cm
2cm
2cm
2cm
2cm
第二関節
3cm
2.5cm
3cm
2.5cm
2.5cm
第三関節
なし
3.5cm
4cm
3.5cm
3cm
埋め込み
3cm
3cm
3cm
3cm
3cm
(※文責: 平賀大雪)
• 指の製作
指の構造は, 大きさの異なるコの字型のアルミ材を組み合わせ, 指先から第一関節までを大きい
アルミ, 第一関節から第二関節までを小さいアルミ, 第二関節から付け根までを大きいアルミで作
製し, 穴空けした関節部分に 3mm 経のネジを通すことで連結させた. この時, 図 3.4 ように大きい
アルミで小さいアルミを挟むように固定することで, 指の伸展時に後方へ曲がり過ぎないようにし
た. また, 各可動部の穴には小径玉軸受ベアリングを組み込み, 指が滑らかに動くようにした.
指の曲げ伸ばしには,PE ラインとミニステーをそれぞれ腱と健鞘として利用し, 屈曲時にはミニ
ステーを支点として滑らかに力がかかるようにした. また, 指の背側にミニフックを取り付けるこ
とで伸展時もスムーズな動作を実現した (図 3.5).. 屈曲用の PE ラインの先端は指先のミニステー
に結びつけ, 伸展用の PE ラインの先端はは指の背に空けた穴に通してからねじ止めすることで固
定した. 各指は, 別途作成した手の平にねじで固定した (図 3.6).
(※文責: 平賀大雪)
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図 3.4
図 3.5
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指の構造
前期の義手の指
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図 3.6
前期の義手の全体図
菊地浩倖
• 手首の製作
手首は, 前後動作を実現させるために図 4.1 のような機構を用いた.
初めこの機構は, 腕の先端にあるアクリル円盤の中心を縦 6cm , 横 4.5cm で切り出した長方形の
アクリルを加工して作製した. 先ずこのアクリルの上方に, 釣り糸で引っ張るための穴を開けた. こ
の穴に通した釣り糸を引っ張ることで手首の前後動作を実現させることができる. 次に軸となる長
さ 10cm , 太さ直径 8mm のアルミ棒を通すための穴を開けた. この穴は 8.5mm のドリルで開
けた. アクリルの厚さが 1.0cm しかなかったため, 穴を開ける際の衝撃に耐えることができなく破
損してしまった. そのために今回はその代用として材料に木を使用した. ここに木を使用した理由
は 2 点あり, 先ずは軽いこと, そしてもう一つは加工がしやすいことである. この条件にはアルミも
当てはまりそれを使用する案もあったが, この機構部分は手首に挟み込み釣り糸を引っ張るだけで,
負担がほとんどかからないので, 強度では劣るがアルミより軽く加工のしやすい木を選んだ. この
木を, 先ほどのアクリルと同じく加工し, また横から穴を開けることで, 軸となるアルミ棒を通すこ
とができた. この棒を通すことで, 軸を中心とした回転動作を実現した. この機構を腕部分と連結さ
せ固定するために, 一番初めにアクリルを切り出し穴のあいた, 腕の先端にあるアクリル円盤に横
から穴を開け, 軸のアルミ棒を通して固定した. この穴は軸がぶれてしまわないよう, 軸と同じ太さ
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図 3.7
手首の構造
8mm のドリルで開けた. 長方形のアクリルを切り出した跡のアクリル円盤の中心に, 木材が位置す
るように作製した. また, この円盤の中心部分は, 木材の可動域を確保するためにあらかじめやすり
で十分に削っておいた.
(※文責: 菊地浩倖)
田中圭
• 腕部分の設計
前年度に製作された筋電義手は,材料のほとんどにアルミ板を使用していた.そして,筋電義手
の重量は 1.2kg であり,アルミ板を多用したため重くなっていると考えられた.また,腕部分が手
部分と直結していたため,手部分と同じ幅であった.そのため,サーボモーターを搭載する場所が
少なかった.
今年度の前期に製作した筋電義手は,前年度の筋電義手と比べて動作数を多した.そのため,動
力となるサーボモーターの数も 6 個となった.そこで,今年度の筋電義手の腕部分では,材料とし
てアルミ以外の使用による軽量化と 6 個のサーボモーターを設置するだけの場所を備えた設計を
行った.
筋電義手の動作に,手首の前後が追加された.手首の前後動作を実現するために,筋電義手の腕
部分は手部分と別に製作しなければならなかった.それは,腕部分の上部に手首となる構造を設計
する必要があったためである.そして,その手首の構造から,腕部分の上部は円形にすることを決
定した.腕上部が円形となったため,腕の全体構造を円柱型にした.腕部分の内部の設計に必要な
ことは,サーボモーターの設置場所とメンテナンスの行いやすさを考慮した構造であった.軽量化
の実現と同時にメンテナンスの行いやすくするため,円柱の内部はなるべく空洞にすることにし
た.そこで考えられたのが,円板を上下におき,それを何本かの棒でつなげる設計を考えた.そし
て,サーボモーターを円形の材料の上に外側に回転部分を向けて並べて設置することにした.しか
し,そのままでは強度に不安があった.そのため,先ほどの円柱の内部にもう 1 枚円形の材料をは
さむようにし,棒の長さを短くし円形の材料を 3 枚にすることで強度を上げることにした.また,
この中央の円形の材料は釣り糸の絡まり防止に活用することにした.円形の材料に複数の穴を空
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け,サーボモーターにつなげた釣り糸を一本ずつ通すことで,釣り糸が絡まることを避けるように
した.また,この円形の材料はメンテナンスの行いやすさを考慮し,透明なものを使用することに
した.
(※文責: 田中圭)
• 材料
円形の材料の条件は,透明であること,穴を開けなければならないため加工が簡単なことがあげ
られた.そこで材料は,事前に注文することで円形のものを入手でき,加工も簡単なアクリルを使
用することにした.このアクリル円板は,厚さ 1cm,直径 10cm で透明なものを 3 枚使用した.ま
た,このアクリル円板をつなげる棒は,軽くて穴のあけやすさ,切断しやすさを考慮し,加工しや
すいアルミ棒を使用することにした.このアルミ棒は,直径 8mm,長さ 5cm のものを 6 本,直径
8mm,長さ 14cm のものを 6 本使用した.その他の材料は,アクリル円板とアルミ棒を接続する
ためのネジなどを使用した.
動力のサーボモータには,11kg・cm のトルクを持つ「JR PROPO DS8421」を手首 A,手首
B,親・薬・小 A,親・薬・小 B,人・中 A,人・中 B の計 6 個使用した.また,このサーボモー
ターに接続する腱の役割をはたす材料として,PE ラインという種類の釣り糸を使用した.
(※文責: 田中圭)
• 腕部分の製作
腕部分の製作では,中央にはさんだアクリル円板により,腕上部分と腕下部分に分けることがで
きた.そのため,上部分と下部分は並行して製作できたため,製作時間を短縮できた.アクリル円
板とアルミ棒を接続するための穴を空けることから開始した.この穴空けは,3mm のドリル刃で
行った.アクリル円板の穴の数は上部分のアクリル円板と下部分のアクリル円板は同じ 6 個だった
が,中央部分のアクリル円板の穴の数は,上部分のアクリル円板のアルミ棒と下部分のアクリル円
板のアルミ棒のどちらも接続しなければならなかったため図 3.8 のような 12 個となった.そして,
直径 8mm のアルミ棒を上記のとおりの長さに金属用のこぎりで切断した.そして,切り終えたア
ルミ棒は切断面を平らにする必要があったため,両側ともやすりで整えた.その後,ネジで各部分
を接続した.
(※文責: 田中圭)
• サーボモーターの固定
サーボモーターは下部分のアクリル円板の上に稼動部分を外に向けた状態で円状に固定した.固
定方法は,サーボモーター本体にある固定用ネジ穴を活用し,アクリル円板のふちでネジ止めをす
るというものだった.それだけではぐらつきがあったため,セメダインを使用しサーボモーターの
下部分とアクリル円板を接着した.サーボモーターと釣り糸の接続では,すぐに釣り糸の結び目の
位置を調整できるよう,メンテナンスのしやすさから釣り糸を直接サーボモーターの稼動部分の穴
に結びつけた.
しかし,指のサーボモーターの調整を行っている途中に固定していたサーボモーターが外れてし
まった.そこから,予想よりもサーボモータに強い負荷がかかっており,これまでの固定方法では
不十分であることが判明した.不十分だった部分は,サーボモーターが固定されていた場所が下部
分のみであったことであると考えられた.そのため,新しい固定として,横に対するの固定と上に
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図 3.8
中央アクリル円板の穴位置のイメージ
対する固定が必要となった.そこで,図 3.9 のような固定するものを製作した.これは,アクリル
円板をつなげるために使用した直径 8mm と同じアルミ棒をサーボモーターと同じ高さに切断した
ものの上に L 字の接続用の金属をネジでとめたものであった.これを,もう 1 度固定しなおした
サーボモーターのすぐ横にサーボモーターを抱えるように下からアクリル円板にネジで接続するこ
とで,横に対するの固定と上に対する固定を実現した.
このように製作した結果,図 3.10 のような腕が出来上がった.
図 3.9
作成した固定器具のイメージ
(※文責: 田中圭)
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図 3.10
完成した腕
後期
・丸尾和生
後期はそれぞれの課題の補助を行っていたため,詳しい説明は他のメンバーのところでするので
省略する.
(※文責: 丸尾和生)
平賀大雪
• プラスチックの加工
プラスチックの生成は, ウェーブ・レジンキャスト Ex. を用いて行った. まず 2 つの溶液をボー
ルに 1 対 1 の割合で注ぎ, ヘラで混ぜ合わせた後速やかに石膏の手形に流し込み, 凝固するまで 1
分間放置した. 手の型はあらかじめ水でぬらした紙粘土を断面に付着させ, プラスチック凝固後に
すぐ張り合わせ部分を切り離せるようにした. 凝固し終えたプラスチックを, 反応熱が冷めるまで
さらに 20 分間放置した. この時点で手の型の張り合わせ部分に沿ってバリが多数見られたため, 糸
鋸で大まかに切り取った後, やすりがけを行った. 次に, あらかじめ作成したラテックスの手袋をプ
ラスチックに被せ, 指先が奥まで入るかを確認した. この時点で, 手袋の内寸よりプラスチックの
外寸の方が大きく, プラスチック全体が入りきらないことが確認できたため, 関節の切断, 連結に加
え, 外寸の調整を作業項目に加えた. 関節の切断は, まずマーカーで切断箇所をマーキングし, その
位置が手袋の関節部分と一致するかを確認した. その後, 作業がしやすいように人差し指, 中指, 薬
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指, 小指の第三関節, 親指の第二間接を先に切断し, 指一本一本を個別に扱えるようにした. 各指を
切り離した後, 指の側面に間接の連結のためのネジ穴位置をマーキングした. また, 指の関節部分は
凹凸に切り出すため, 糸鋸が切断中に方向転換をしやすいよう, 凹凸の各頂点にドリルで 2mm の穴
を空けた. この際, 穴が関節に対して垂直になるよう, ボール盤と万力を用いて慎重に穴あけした.
親指以外の第一, 第二関節はマーキングした位置をなぞるように, 電動糸鋸を用いて切断した. 次
に, 切断し終えた末節骨, 中節骨の 2 つを一度密着させ, その状態でマーキング位置に 3mm のネジ
穴を空け, 貫通させた. その後, ネジ頭とナットが指からはみ出ないようにするめの面取りを行っ
た. 面取りは,3.5mm,4.0mm,4.5mm,5.0mm,5.5mm,6.0mm,7.0mm,7.5mm のドリルを小さい順に
用いて行った. 面取りが終わった後, ネジをネジ穴に通し, 反対側からナットを締め, ネジの余った
部分を糸鋸で切断し, その断面をヤスリがけした. その後, 一旦ネジとナットを外し, 各関節の干渉
する部分をヤスリで削った. このとき, 指が内側に最低 90 度曲がるよう, 微調整を繰り返した. ま
た, 指が手の甲側に倒れないよう, 指の背の側はやすりがけをせず, 干渉させたままにした. 中節骨,
基節骨の連結も末節骨, 中節骨の連結と同様の方法で行うため, 第二間接の干渉する部分のやすり
がけと, ネジ穴の面取りを行った (図 3.11). その後, ネジとナットで関節を再び連結させ, 十分に可
動することが確認できた後, 外寸の調整を行った. この際, プラスチックの強度に気をつけながら,
手袋の内寸より十分に余裕を持たせるよう指全体をやすりがけした.
図 3.11
プラスチックの加工 1
(※文責: 平賀大雪)
• 指部分の加工
指が手袋の奥まで入り, 関節の可動も可能である事を確認した後, ワイヤを通すための穴を中節
骨, 基節骨の 2 つの腹, 背と土星丘付近に空けた. 穴は 1mm のドリルを用いて, 指の接線方向に向
かって空けた. また, 指の先端にワイヤの端を取り付けるため, 新たに指先に 2mm のネジ穴をドリ
ルで空けた. ネジ穴は, 爪部分に垂直になるよう穴空けし, ワイヤはナットで巻き込むように固定し
た. この際もネジの余った部分は切断し, 間接同様の面取りを行った. 各指は第三関節の切断面に
垂直に 3mm のネジ穴を空け, そこにミニステーをネジで固定した. そのミニステーを土星丘の位
置に 3mm 径のネジでネジ留めすることで手の平と指を連結した.(図 3.12).
親指の第一間接は, 他の 4 本の指と同様の方法で切り出し, 加工した. また, 第二間接は手の平に
対し角度をつけるため, ミニステーを金星丘の位置と親指中節骨側面に 3mm 径のネジで固定する
ことで手の平に取り付けた.(図 3.13).
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図 3.12
プラスチックの加工 2
図 3.13
プラスチックの加工 3
(※文責: 平賀大雪)
• 手のひら部分の加工
手の平は, マーキング位置に沿って糸鋸で切断した後、切断部上部の両側面に 3mm の穴をドリ
ルで空けた. 更に,3.5mm,4.0mm,4.5mm,5.0mm,5.5mm,6.0mm のドリルを小さい順に用いて面取
りを行い, そこにナットを埋め込んだ. このナットと 3mm 径のネジでミニステーを挟み, 手の平の
可動を実現した. 切断部下部の切断面には 3mm のネジ穴をドリルで空け, そこに切断部上部のミ
ニステーをネジで固定した. この際, 干渉する部分はやすりがけを行った. また, 必要以上に手の平
が曲がりすぎないよう, ミニステーを第二火星丘の位置に 3mm 径のネジで固定してストッパーと
した. さらに手首を前方に引っ張るワイヤを土星丘の位置に, 後方に引っ張るワイヤを近位指節間
関節の位置に取り付けるため,2mm の穴を空け, ネジとナットを用いて指先のワイヤと同様の方法
で固定した.(図 3.14).
(※文責: 平賀大雪)
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図 3.14
プラスチックの加工 4
• 手首部分の加工
手首は, 指の関節と同様, 凹凸になるよう加工した. 凸状の部品を手の平と連結されているため,
凹状の部品を腕と連結するための土台とした. この際も, 糸鋸が切断中に方向転換をしやすいよう,
凹凸の各頂点にドリルで 2mm の穴を空けた. その後, マーキングした位置をなぞるように電動糸
鋸で切断した. また, 凹凸のプラスチックを連結するためのネジ穴位置をマーカーでマーキングし
た. 次に, 切断し終えた凸状の手首と, 凹状の土台を一度密着させ, その状態でマーキング位置に
3mm のネジ穴を空け, 貫通させた. その後, ネジ頭とナットが指からはみ出ないようにするめの面
取りを行った. 面取りは,3.5mm,4.0mm,4.5mm,5.0mm,5.5mm,6.0mm,7.0mm,7.5mm のドリルを
小さい順に用いて行った. 面取りが終わった後,3mm 径のネジをネジ穴に通し, 反対側からナット
を締め, ネジの余った部分を糸鋸で切断し, その断面をヤスリがけした. その後, 一旦ネジとナット
を外し, 関節の干渉する部分をヤスリで削った. 手首は前後 30°を可動域とし, それ以降は干渉す
るようにした.(図 3.15).
(※文責: 平賀大雪)
• サーボモータの固定
今回の筋電義手制作では, サーボモータとして Futaba RS486CB を 4 つ使用した. この 4 つの
モータで親指, 人差指. 中指, 薬指, 小指, 手首のそれぞれに接続されたワイヤを引っ張りることで指
の開閉や手首の前後動作をさせた. モータは義手全体の土台となる 13cm のアクリル円盤上に積み
重なるよう配置した. この際, それぞれのサーボモータ (最下層から A,B,C,D とする) に接続され
たワイヤが干渉しないよう, サーボモータの向きを 90 度ずつずらして配置した. 始めに,A のモータ
ホーンにあらかじめ空いている 8 つの穴のうち, 下部の 4 つを利用して,4 つのミニステーを 2mm
のネジとナットを用いて固定した. このとき,4 つのミニステーの先端は全て A のサーボモータの下
部に位置するよう取り付けた. 次に, そのサーボモータをアクリル円盤上の中心に置き,4 つのミニ
ステーの穴位置をアクリル円盤上にマーカーでマーキングした. その後, マーキング位置に 3mm の
ドリルで穴空けし, さらに 3.5mm,4.0mm,.4.5mm,5.0mm,5.5mm,6.0mm,6.5mm,7.0mm,7.5mm
のドリルを小さい順に用いて面取りを行った. 4 つの穴に 3mm 径のネジを通し,A のサーボモータ
をミニステーごとナットで固定できることを確認した後, アルミ板を縦 9.5cm 横 4cm の大きさに
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図 3.15
プラスチックの加工 5
1 枚, 縦 14cm 横 4cm の大きさにさらに 1 枚切り出し, このアルミ板に各サーボモータ同士を固定
するための加工を施した. 縦 9.5cm 横 4cm のアルミ板は A のサーボモータと C のサーボモータ
を固定するために使用した. まず,A のサーボモータをアクリル円盤上に固定したままアルミ板を
垂直に立て,A のサーボモータの背面にある 4 つの穴の位置をアルミ板上にマーカーでマーキング
した. さらに,B のサーボモータの縦幅のスペースを空けて,C の前面にある 4 つの穴のうち, 下部の
2 つの穴の位置を同じようにマーキングした. 縦 14cm 横 4cm のアクリル板は,B のサーボモータ
と C のサーボモータを固定するために使用した. まず,A のサーボモータをアクリル円盤上に固定
したまま B のサーボモータをその上に 90 向きをずらして重ね, アルミ板を垂直に立て,B のサーボ
モータの背面にある 4 つの穴の位置をマーカーでマーキングした. 次に,C のサーボモータの縦幅の
スペースを空けて,D の前面にある 4 つの穴のうち, 下部の 2 つに穴の位置を同じようにマーキン
グした. さらに, アクリル円盤との固定に使うミニステーの取り付け位置として, 下から 2.5cm 端
から 5mm の位置に 2 箇所マーカーでマーキングした. また, 二枚のアルミ板の連結のために使う
ミニステーの取り付け位置として, それぞれのアルミ板の下から 4.5cm 端から 5mm,8.5cm 端から
5mm の位置に, 縦 14cm 横 4cm のアルミ板と C のサーボモータを連結するために使うミニステー
の取り付け置として下から 11.5cm 端から 5mm の位置にマーカーでマーキングした. すべての穴
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位置のマーキングを終えた後,2mm のドリルで穴空けを行った. アルミ板への各サーボモータの取
り付けは, まず A のサーボモータから背面下部 2 箇所のミニステー, ネジ, ナット, アクリル円盤を
一度外し,A のサーボモータの背面 4 箇所を縦 9.5cm 横 4cm のアルミ板に 2mm 径のネジとナット
で固定した. このとき, 下部の 2 箇所はネジ頭, 外側に向けたミニステー, アルミ板, 内側に向けた
ミニステー, サーボモータ, ナットの順になるようネジ留めした. 続けて下から 4.5cm,8.5cm の位
置にミニステーをそれぞれ平行に,2mm 径のネジとナットで固定し, さらに C のサーボモータの前
面下部 2 箇所も同様に 2mm 径のネジとナットで固定した. B のサーボモータは背面 4 箇所を縦
14cm 横 4cm のアルミ板に 2mm 径のネジとナットで固定し, 次に下から 2.5cm の位置に外側に向
けたミニステーを 2 つ垂直に 2mm 径のネジとナットで固定した. 続いて C のサーボモータの背
面上部の右一箇所にミニステーを 2mm 径のネジとナットで固定し, ミニステーの反対側を下から
11.5cm の位置に 2mm 径のネジとナットで固定した. 2 枚のアルミ板の連結のために縦 9.5cm 横
4cm のアルミ板に取り付けられた 2 つのミニステーの先端を, 縦 14cm 横 4cm のアルミ板に 2mm
径のネジとナットで固定し, 最後に D のサーボモータの前面下部の 2 箇所を 2mm 径のネジとナッ
トで縦 14cm 横 4cm のアルミ板に固定した. 全てのサーボモータ, ミニステーが固定しおわった後,
A のサーボモータに内向きに取り付けられた 4 つのミニステーをアクリル円盤に 3mm 径のネジと
ナットで固定し, その後各アルミ板の下部に取り付けたれた 4 つのミニステーを 3mm 径のネジと
ナットで固定した. (図 3.16, 図 3.17)
図 3.16
モータの固定 1
図 3.17
モータの固定 2
(※文責: 平賀大雪)
• センサの取り付け
後期に製作した筋電義手では,つかむ,つまむ動作を行った.これらの動作は,対象となる物体
によってサーボモータの力の強弱を調整する必要があった.人間は,これらの動作を行う際に全て
一定の力ではなく,対象の大きさ,重さなどによって力に強弱をつけるためであるそこで,動作を
行う物体の大きさによってサーボモータの力を調整できるセンサを筋電義手に取り付けることに
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した.
初めに取り付けることにしたセンサは,図 3.18 のような圧力センサである.後期に製作した筋
電義手では,つまむ動作もつかむ動作もどちらも指先が対象に接していた.そこで,圧力センサを
指先に取り付け,ある一定以上の圧力が加わわった位置でサーボモータの動きが止まることで,対
象に余分な負荷がかからないようにしようと考えた.筋電義手はラテックスでできた皮膚をかぶっ
ている.そこに,指先にあるワイヤーに加え,圧力センサを設置すると内部のプラスチックと皮膚
の間に余裕がなくなり指の曲げ伸ばし運動が硬くなってしまった.そのため,指先に組み込む圧力
センサは数を減らし,より対象物と接する 3 本の指にした.また,プラスチックでできた手のひ
ら部分には,指の曲げ伸ばし時に圧力センサをスムーズに移動させるための L 字の金属を設置し
た.指先の圧力センサの設置方法は,テープで貼り付けることにした.他の設置方法として,接着
剤を使用する方法があった.しかし,この方法を試した結果,使用した圧力センサが接着しにくい
形状であること,圧力センサは壊れやすく一度位置を固定してしまうと調整できない問題が判明し
た.そのため,圧力センサを傷つけず,固定位置の調整が何度もできるテープでの固定を行った.
また,このとき指先と圧力センサの間にスポンジを挟むことで指先と圧力センサに隙間が生まれな
いようにした.そして,固定した圧力センサの状態は図 3.19 のようになった.
図 3.18
圧力センサ
つかむ,つまむ動作を行うにあたり,指先に設置した圧力センサだけでは制御が不安定だった.
しかし,ラテックスで製作した皮膚の影響で指先や手のひら部分にはこれ以上,センサなどを設置
することはできなかった.そこで,ひずみゲージを使用することにした.ひずみゲージは,ワイ
ヤーとワイヤーの間に中継するようにして設置する.そのため,手部分に場所をとることがない.
対象物をつかむ,つまむ動作の制御に使用するため,ひずみゲージを設置するワイヤーは,指に取
り付けてあるワイヤーのみとした.指の動きを制御するワイヤーは手のひら側に引っ張る 5 本と手
の甲側に引っ張る 5 本の合計 10 本だった.そして,指のワイヤーはそれぞれ 2 つの動作によって
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図 3.19
固定した圧力センサ
同じサーボモータに接続されていたためワイヤーは 4 種類に分けられていた.そのうち,ひずみ
ゲージを取り付けたのは,指を手のひら側に引っ張るワイヤーとした.指を曲げた時に一定以上,
力がかからないようにしたかったため,手の甲側に引っ張るワイヤーに取り付ける必要がなかった
ためである.ひずみゲージを中継することの利点は制御だけではなかった.それは,複数本あるワ
イヤーを 1 本にまとめることができたことである.ひずみゲージには,親・人・中の 3 本,薬・小
の 2 本をそれぞれ同時に取り付けた.そして,ひずみゲージの反対側には 1 本のワイヤーを取り付
けた.このことによって,サーボモータにつなげるワイヤーを 1 本にでき,サーボモータのワイ
ヤーの調整を簡単にすることができた.ワイヤーをひずみゲージに取り付ける方法は,サーボモー
タとワイヤーの取り付けと同じ,ネジでとめる方法にした.筋電義手にひずみゲージを取り付けた
状態が,図 3.20 である.
(※文責: 平賀大雪)
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図 3.20
ひずみゲージ
・菊地浩倖
• 腕部分の作製
腕部分は, 前期に作製した筋電義手に倣ってモータを固定するために中心部分は空洞にした. そ
こで腕の支柱として, 切り出したアルミ棒を使用した. 前期の筋電義手もアルミ棒で支柱を立て, そ
の本数は 6 本であったが, 今回は 4 本の支柱を立てた. このようにした理由は 2 つあり, 腕自体を
なるべく細くなるようにしたのが 1 点目である. 前期の筋電義手は支柱と支柱の間にモータを固定
しており, そのため土台となるスペースを広く確保しなければならなく腕が太くなってしまった.
今回の筋電義手は、外観をより人の手に近づけることを目標にしたため, 腕を前期より細くする必
要があった. そこで支柱の数を減らし, またモータの固定を、土台に 1 つ 1 つ取り付けるのではな
く,1 つのモータを土台に取り付け, そのモータに他のモータを積み重ねて固定することでより細く
なるようにした.2 点目は, モータを動かした際に, モータの回転する部分との干渉を避けるためで
ある. 腕を細くすることで取り付けたモータと支柱との距離が近くなるため, 干渉してしまう可能
性があった. そこで支柱の数を減らし, モータが支柱に接触してしまうのを回避した.
• 支柱の加工
先ず, 太さ 8mm のアルミ棒を 4 本, 長さ 22cm にそろえて切った. この作業は, 金属切りのこぎ
りで人の手で行ったため, わずかにだが長さにばらつきがでてしまった. 今回はより少ない本数の
支柱で手首から先を支え, 腕を作製するので, 筋電義手を動かしたときに, 多少の誤差でも腕がぐら
ついて不安定いになってしまうと考えた. そこでこの切り出したアルミ棒の切り口の面をやすりで
削り,1 本の長さが 21.5cm になるようにそろえた. やすりでアルミ棒を削る際, 棒の切り口の面に手
首の土台, また筋電義手全体の土台にねじで固定するためのねじ穴をあけるため, なるべく面が平
らになるように意識して削った. ねじ穴は卓上ボール版という穴をあける工具を使用した. 台に万
力を固定し, 万力でアルミ棒を固定した. ここで, アルミ棒はあえてずらして固定し, 穴が少し斜め
にあくようにした. 腕が, 肘部分から手首にかけてだんだんと細くなるように取り付けようとした
からである. また, 穴をあける際には, ハンマーとポンチであらかじめあける面のに傷をつけ, あけ
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る穴がずれてしまわないように工夫した. ねじ止めには 3mm のねじを使用するためその大きさに
なるようにあけた. そこで先ず,2mm のドリルをボール版に装着し下穴をあけた. この下穴をあけ
るのも, ねじ穴がずれてあいてしまうのをなるべく避けるためである. 次に 3mm のドリルを装着し
この下穴にドリルを合わせ, 穴を広げた.
• 支柱の取り付け
アルミ棒で作った支柱は先ず, 手首を固定している四角く切り出したアルミ板の四隅に電動ドリ
ルで穴を開け固定した. この穴は, 固定したときにねじ止めが緩くなってしまわないように, 一回り
小さい 2.5mm のドリルで開けた. 穴が少し小さいため力を込めてねじを回すことになったが, ねじ
穴が潰れてしまわないように注意しながらゆっくりと行った. 筋電義手全体の土台となるアクリル
円板への固定は 1 番最後に行った. このアクリル板にはあらかじめサーボモータを固定しておいた
ため, 支柱を立てる位置に注意した. アクリル板のねじ穴は, 支柱の傾きに合わせてあけ, 手首の土
台のときと同じく 2.5mm のドリルで穴をあけた. このとき特に意識したことは, いかに手短に穴を
あけるかであった. アクリルの穴あけを慎重にしすぎると, 削っているときのドリルとの摩擦で生
じた熱によって, ドリルとの接触部分周辺が熔けてしまい穴が大きくあいてしまうからである. 今
回は支柱の傾きに合わせて穴をあけなくてはいけなかったので大変な作業となった. しっかりと土
台と固定し, 腕部分は完成した (図 3.21).
図 3.21
腕の構造
(※文責: 菊地浩倖)
• ラテックスを用いた手袋の特徴
作製した筋電義手にかぶせるための手袋を, ラテックスというゴム (図 3.22) で作製した.
今回は筋電義手の外観を人間の手に近づけることを目標としたため, 指や手, 腕部分の関節の機構
を覆い隠し, 関節を曲げたときでもある程度伸縮する人間の皮膚の代わりとなるようにラテックス
で手袋を作製した. またこの手袋は物をつかむ, つまむ際の滑り止めとしても利用した. 石膏の型を
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図 3.22
ラテックス
手首から先の部分と腕部分でで分けてとったため, 手袋もそれぞれの型に合わせ, 分けて作製した.
(※文責: 菊地浩倖)
• 試作 1
先ず最初に 1 回目の試作として, 石膏で作った指の型にラテックスを流し込んだ. このとき, 乾いた
ラテックスを石膏の型からはがしやすくするために, あらかじめ石膏にはベビーパウダーをまぶし
ておいた. この状態のラテックスを風通しのよいところで二日間乾かしておいた. 乾いたラテック
スを石膏からはがすと石膏の型どおりのゴムの指ができあがった (図 3.23). しかしこの方法で作製した指では, 指の内側までラテックスで固まってしまうため, 手袋として
は使用することができなかった. そこで次の方法で手袋状にした.
(※文責: 菊地浩倖)
• 試作 2
2 回目の試作として,1 回目のラテックスの指を作った際の石膏の型に, 同じくベビーパウダーを
まぶしラテックスを流し込んだ. 今回も風通しのよいところで乾かした. しかし今回はラテックスが
完全に固まってしまう前に, 液体状のままの余分なラテックスを型から取り除き, 流し込んだ石膏
の型の表面に付いたラテックスのみが固まるようにした. ラテックスを流し込んでから 20 分ほど
乾かし, 型からラテックスを取り除いた. この工程によりできたのが下の写真の指 (図 3.24) である.
この指を石膏から剥がしとるとき, ラテックスどうしがくっついてしまわないように, 指の内部
にもベビーパウダーをまぶしておいた. この方法で作製したものでは, 指の中に余分なラテックス
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図 3.23
図 3.24
指の試作品
手袋の試作品
は残っていないため手袋としてかぶせることができた.
(※文責: 菊地浩倖)
• 手, 腕の手袋の作製
今回使用する手首から先の部分と腕部分の手袋の作製では, どちらの石膏の型も, てのひらの面と
手の甲の面に分けて作製したため, それぞれの面を合わせてラテックスを流し込んだ際に, ラテッ
クスが隙間から漏れ出してしまう可能性があった. そこで, 石膏のてのひらの面の型と手の甲の面
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の型の間に紙粘土をしきつめて隙間ができないようしっかりと固定した. そのうえで 2 回目の試作
をしたときの方法でそれぞれの手袋を作製した. また, 今回は試作で作ったときよりも使用するラ
テックスの量が多かったので, 完全に乾かすために, 風通しのよいところに 3 日間放置した. そうし
てできた手袋が下の写真 (図 3.25, 図 3.26) である.
図 3.25
手部分のラテックス
図 3.26
腕部分のラテックス
(※文責: 菊地浩倖)
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2 つの手袋にはそれぞれ違う問題点が 2 つずつあった.
• 手, 腕の手袋の問題点
まず手の部分についての問題は, 今回作製した筋電義手の構造上, 親指にだけ手袋をかぶせること
ができなかったことである. 解決策として, 手袋をかぶせた際, 形や見た目が多少悪くなってしまう
が, 手袋の親指を切り離し, 親指のみ別に手袋をかぶせることにした. もう一つの問題は, 手袋をか
ぶせ指を曲げた際, 手袋の伸びがあまりなく, 指の曲げる動作を阻害することである. 作った手袋が
厚いものになってしまったのが原因であった. この問題は, 手袋に指の関節と同じ部分に切り込み
を入れたことで解決した. 手袋が厚くなってしまったことでこのような問題が起こったが, このこ
とで良い点もあった. 指の曲げ伸ばしは指先から伸ばしたワイヤーをモータで引っ張ることで行っ
ているのだが, 指を曲げた状態からモータを緩めただけで, 反対側からワイヤーで引っ張ることな
くゴムの戻ろうとする力のみで指を伸ばした状態に戻すことができた点である. よって指を伸ばす
際のワイヤーがいらないこと, モータの数を減らすことができたので大きなメリットとなった. 腕部分の問題点は, 先ず, ラテックスを乾かした時に, 長時間片方の面を下にしていたため, 厚い部
分と薄い部分ができてしまったことである. また型に流し込んでつくったため, 本来よりも少し小
さいものができてしまったことである. この 2 つの点によって, 手袋をあまり伸ばすことができな
く, 筋電義手の腕部分のサイズと合わなくかぶせることができなかった. 解決のために, 腕の手袋は
切り開き, マジックテープで端を止め, 腕を包み込むようにして腕の機構を隠した.
(※文責: 菊地浩倖)
・田中圭
• 型の製作に至った理由
筋電義手を作成するにあたり,今回の筋電義手は前期の機械の構造が表面にでており,人間の手
に見えにくいという反省を生かし,より人間に近い見た目をもった筋電義手の製作を目指した.そ
のような,人間に近い見た目を実現するために,達成しなければならない問題点が 2 点あった.
1 点目は,従来の筋電義手は大部分をアルミを切り出して製作していたため,人の手に比べて大
きく,全体が横に広くなり角ばってしまっていたという点である.それを克服し,人間に似た見た
目にするためには,従来よりも全体を細く製作しなければならない.また,アルミを切り出してい
たために角ばっていた形状を,丸みを帯びた立体的な形状にしなければならなかった.2 点目は,
筋電義手を覆うものを製作していなかったため,筋電義手内部の構造が見えてしまっていたという
点である.このままでは,丸みを帯びた立体的な形状をした筋電義手を製作したとしても,内部の
機械的な構造が見えてしまい,より人間に近い見た目をもった筋電義手を製作するという今回の目
的は達成できない.そのため,人間の皮膚を模した部品の製作が必要だった.
それらの 2 点を解決する手段として,今回の筋電義手はまず実際の人間の手,腕から型をとり加
工するという方法をとったの.型を製作することにより,従来では金属を切り出しながら製作して
いた部分をプラスチックで 1 度に製作できるうえ,皮膚部分もラテックスを用いることで製作で
きた.
(※文責: 田中圭)
• 型の製作(人差し指)
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型の製作にあたって,粉状の石膏を使用した.この石膏は水と混ぜることでことで固まる.型
は,型をとるために入れる手や腕が抜けるように手のひら側と手の甲側の 2 種類を製作し,型とし
て使用する際はカリ石鹸で接着し,紙粘土で隙間を埋めた.
実際の製作では,まず最初に実験として右手の人差し指の型を製作した.材料として,石膏 500g
と水 350g を指の腹,指の背部分で使用した.そのほかに,材料を混ぜ合わせるためのプラスチッ
クのボウルと,石膏を流し込むための長さ 8cm と横幅 5cm 高さ 2cm のプラスチックの容器,型
に入れた指を抜けやすくするために指に塗るベビーパウダー,石膏と水を混ぜ合わせる泡だて器を
使用した.
初めにプラスチックの容器の加工を行った.指が入る程度の大きさの穴をプラスチックの容器に
空けた.この作業は穴が指にあっていないと石膏が漏れる危険性があるため,慎重に行った.その
後は石膏の袋に書いてある取り扱い方法に従って製作した.石膏に対して水を混ぜる割合は,石膏
1000g に対して水 780g であった.今回は石膏 500g,水 350g を使用した.プラスチックのボウル
に石膏 500g を投入し,水 350g をゆっくりまわし入れた.そのまま約 2 分ほど水が全体に染み渡
るまで放置した.その後,粘土のような形状になるまで泡だて器で混ぜ合わせた.石膏が粘土のよ
うな状態になるとすぐに硬化し始めてしまうので,混ぜ合わせている間にプラスチックの容器に
指を入れ,石膏を流しいれる準備をしておいた.このとき,指は固まった石膏から抜けるようにベ
ビーパウダーを全体に塗っておいた.そのようにセッティングしたものに図 3.27 のように石膏を
指が半分埋まる程度まで流し入れた.石膏を流し入れる作業が終わると,その状態のまま約 30 分
ほど放置した.石膏が固まる途中で石膏から熱が発せられるが,少し暖かいと感じる程度であっ
た.十分な時間放置し,石膏が固まったら指を引き剥がした.これらの作業で出来上がったのは指
の腹部分のみであるため,また同じ作業を指の背部分で行った.この時点で完成の状態と形は変わ
らなかったが,まだ水分が多い状態だったため風通しのよい場所で 2 日程度乾燥させた.
出来上がった 2 つの部品はカリ石鹸で接着し,紙粘土で石膏同士の隙間を埋めることで合体さ
せ,人差し指の型として完成した.この型は,ラテックスの手袋の試作や,プラスチック素材の試
作をする際に活用した.
図 3.27
石膏と手の位置のイメージ
(※文責: 田中圭)
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• 型の製作(手)
人差し指の型の製作が成功したことにより,石膏で手,腕の型を製作することが決定した.今
回,製作する筋電義手も前期に製作した筋電義手と同じく手首の前後動作を行うものであった.そ
のため,前回と同じく筋電義手の部品は手部分と腕部分の 2 つに分ける構造にした.手部分と腕部
分を別々に製作するために型もそれぞれ別に製作した.先に製作したのは加工に時間がかかると予
測された手部分だった.
手部分の型で製作したのは手首から先の部分である.使用する材料は人差し指の型を製作したと
きとほぼ変わらなかったが,使用した型の容器は手のひら側は長さ 20cm と横幅 20cm 高さ 10cm,
手の甲側は長さ 20cm と横幅 20cm 高さ 5cm のダンボールを使用した.今回,製作する筋電義手
はつかむ,つまむ動作が目的だった.そのため,製作する手の型の形はものをつかみやすいよう親
指が手のひら側にくるようにした.親指を前に出す形のため,底の深いダンボールの容器を使用
した.また,実際にダンボールに石膏を流し込む際に,石膏がダンボールに張り付くことを防止
するためダンボールにはラップを敷いた.石膏と水の分量は片側ずつ,それぞれ 2000g,1560g と
なった.
初めに,ダンボールに手首の大きさにあわせて 7cm の穴を空けた.その後の作業は人差し指の
製作と同じであった.手の型では,親指が完全に埋まってしまっていたため,手が型から抜きにく
い状態であった.手を型から抜いた後も,前回と同じく容器をはずし型を乾かす作業を行ったが,
石膏の量が増え型が大きくなると乾かさなければならない日数も多くなり,約 5 日程風通しのよい
場所で乾かした.手の甲側は手のひら側と比べてダンボールの容器は浅くてよいため,高さは 5cm
のものを使用した.その点以外は同じ作業を行うことで図 3.28 のような型を完成させた.
しかし,手のひら側の型の製作では,石膏の量が足りず十分に親指を前に伸ばすことができな
かった.そのため,実際に製作できた型は親指を前に伸ばすものではなくなってしまった.このよ
うに,この型は十分な形で完成させることはできなかったが,石膏を材料とした型の製作では 1 つ
の型を製作するごとに日数を使わなければならないため,親指の位置については切り離しつなげな
おす加工をすることで修正することとした.
図 3.28
完成した手の型
(※文責: 田中圭)
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• 型の製作(腕)
最後に製作したのは腕部分の型であった.腕部分の型は肘の上あたりから手首あたりまでの部分
と定め,これまでと同じ作業で製作をした.
このとき使用したダンボールの容器は,長さ 20cm と横幅 20cm 高さ 10cm であった.また,前
回と同じく実際に石膏を流し込む際にはラップで覆う作業を行った.石膏と水の量も手の型の製作
と変わらず片側ずつ,それぞれ 2000g,1560g となった.その他の材料も同じものを使用した.
腕の型では手首から肘の手前までのみの型を製作しなければならなかったため,手首側で 7cm,
肘の手前側で 10cm の穴をそれぞれ空け,その穴に腕を通して石膏を流し込んだ.このときの状
態は図 3.29 のようになった.その後はこれまでと同じ作業を行った.完成した手の甲側の型は
図 3.30 のようになった.2 つの部品を製作し,合体することで腕部分の型を完成させた.
図 3.29
石膏と腕の位置のイメージ
図 3.30
完成した腕の型
(※文責: 田中圭)
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ワイヤーとモーターの接続
• ワイヤーを使用した理由
前期に製作した筋電義手では人間の体の構造を参考にし,腱を釣り糸で,腱鞘をミニステー,筋
肉をモーターで代用することで動作を行った.後期に製作した筋電義手も,人間に似た見た目にす
ることを目標としたため,同じように人間の体のしくみに沿った構造にすることにした.しかし,
前期ではモーターの調整などで問題が生じていた箇所であったため,同じ材料,構造ではなく改良
を行うことにした.
後期の筋電義手では腱の役割を果たす材料を,前期の筋電義手で使用していた釣り糸からワイ
ヤーへと変更した.前期では腱について,去年のプロジェクトで使用されていたワイヤーを使用す
るか,新しい材料を探すかを検討した.そして,強度をもあり,やわらかく,サーボモーターと接
続がしやすい釣り糸を採用した.しかし,実際に筋電義手を稼動させてみると,使用した釣り糸は
強い負荷がかかると伸び,最終的には切れてしまうこともあった.また,つるつるした表面であっ
たためモーターとの接続では接続が甘くなり取れてしまうこともあった.後期では前期よりも強い
力をもつサーボモーターを使用することにしていたため,釣り糸よりも強度がある素材が必要と
なった.そこで,従来使用されていたワイヤーの使用を検討した.
ワイヤーは,強度はあるが加工が難しいためモーターとの接続に不安があった.ワイヤーは釣り
糸に比べて太く,指などの細い部分では場所をとりすぎると考えた.そして,釣り糸では結ぶこと
でできていたモーターとの接続も,ワイヤーではその方法はとれなかった.
これらの問題は,ワイヤーの種類を使い分けとネジの活用で解決した.腱にあたる部品を,指の
先端に片端をとりつけ,もう片端をモーターにとりつけた.指などの細い部分に使用するためあま
り太いものは使用できなかった.そのうえ,後期の筋電義手では新たに指先に圧力センサーを取り
付けたため,さらにその制約は強くなった.そこで,指などの細い部分に取り付けられるワイヤー
は細いものを使用し,手首や手のひらの動作といった強い負荷がかかる箇所のワイヤーは太いもの
を使用することでこの問題を解決した.サーボモーターとの接続に関しては,結ぶことは不可能な
ため,モーター側の接続部分でネジとナットを使ってワイヤーをとめることにした.これらの方法
をもちいることで,ワイヤーを使用した.
(※文責: 田中圭)
• サーボモーターについて
前期の筋電義手では手首の前後の動作とグー,チョキ,パーの動作を行った.そのときに用いた
サーボモーターのトルクは 11.0kg・cm のものを使用した.しかし,制御しきれずに手首の前後動
作時に筋電義手本体が揺れてしまう,グー,チョキ,パーの動作では指が十分に曲がりきらない場
合があったなど,このサーボモーターのトルクでは不安があった.その反省を生かし,後期の筋電
義手では 28.0kg・cm のトルクを持つサーボモーターである「RS406CB」を使用した.
このサーボモーターは前期と同じ方式で動くため,新しいプログラムを学習する必要はなかっ
た.しかし,サーボモーターの大きさは前期に比べて大きくなった.そのため,前期よりもサーボ
モーターを格納する場所が小さくなった後期の筋電義手では,サーボモーターの使用方法を改良
する必要があった.そこで,今回のサーボモーターはその力の大きさを生かし,1 つのサーボモー
ターに手のひら側に引っ張る役割のワイヤーと手の甲側に引っ張る役割のワイヤーを取り付けるこ
とでサーボモーターの個数を減らすことにした.そのような方法をとることで,後期では使用する
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サーボモーターの個数を 4 個までに減らすことができた.
(※文責: 田中圭)
• 手部分に取り付けたワイヤーの割り振り
後期に実装した動作は大きく分けて,つかむ,つまむ,手首の前後の 3 種類であった.そして,
ワイヤーが取り付けられた箇所は五本の指の先端にそれぞれ 2 本ずつ,手のひら上部に 2 本ずつ,
手首に 2 本ずつとなった.ワイヤーが 2 本必要だったのは,手のひら側に引っ張る役割のワイヤー
と手の甲側に引っ張る役割のワイヤーが必要だったためである.このように取り付け,ワイヤーは
合計 14 本となった.
今回は,指一本一本の独立動作が必要となるわけではなかった.そのため,前期と同様の方法
で,どのような状態でも動作が同じとなる指はひとくくりにし,同じサーボモーターに接続するこ
とにした.指の動作では,手を開いた状態,つかむ,つまむとなる.
手を開いた状態では,全ての指が手の甲側に引っ張られる状態となる.つかむ動作では,全ての
指が手のひら側に引っ張られる状態となる.そして,つまむ動作では親指,人差し指,中指が手の
ひら側に引っ張られる状態となる.このとき,薬指と小指は手の甲側に引っ張られ伸びた状態のま
まとなる.これらの条件から,指の動作を親指,人差し指,中指のグループと薬指と小指のグルー
プに分けることができた.このグループはどの状態でもそれぞれ同じ動きをとる.そのため,この
1 グループごとに 1 つのサーボモーターを割り振ることにした.
手のひらのワイヤーと手首のワイヤーは,負荷がかかる場所であったためそれぞれひとつずつに
サーボモーターを割り振ることにした.
(※文責: 田中圭)
• ワイヤーとサーボモーターの接続
ワイヤーをサーボモーターに接続するにあたり,ワイヤーを引っ張る距離を長くするために接続
部分を製作した.それは,2cm 程の長さをかせぐためのプラスチックの部品で,サーボモーター
本体の稼動部分にある円状の部品に「さら小ねじ M2*10」を使用し接続した.接続したプラス
チック部品は,前期に使用したサーボモーターに付属していたサーボモーター本体の稼動部分用部
品を活用した.ワイヤーを接続した場所は,最も距離が発生するように直線状に接続した.
そして,この筋電義手には圧力センサーの他にひずみセンサーも使用していた.ひずみセンサー
とは,縦 1cm 横 0.5cm 程の長方形の金属板である.圧力センサーは親指,人差し指,薬指の先端
に装着した.ひずみセンサーは,指の手のひら側に引っ張るワイヤーに接続した.指のワイヤーは
親指,人差し指,中指のグループと薬指と小指のグループに分けられていたため,ひずみセンサー
は 2 つ使用した.接続の方法は,指のワイヤーとサーボモーターの中継として 1 度それぞれのグ
ループ全てのワイヤーをまとめてひずみセンサーの端にねじでとめ,もう一方の端に 1 本のワイ
ヤーを接続し,そのワイヤーをサーボモーターに接続するというものだった.そして,ワイヤーを
接続したサーボモーターは図 3.31 のようになった.
(※文責: 田中圭)
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図 3.31
3.3
ワイヤーを接続したサーボモーター
他グループとの連携内容
• 連携した内容
主に筋電義手制御班と連携をとり,作業を行った.筋電義手の各動作に対する各サーボモーター
の挙動を決定しなければならなかったためである.サーボモーターが何度まで回転できるか検証
し,腱の役割を持つ釣り糸やワイヤーを適切な位置でとめなければ,指が十分に曲がらないこと
や,伸びきらなくなってしまうことがあった.さらに,無理な状態に固定してしまえば,サーボ
モーターが故障してしまう危険性もあった.そのため,筋電義手制御班が筋電義手の動きを実験す
る際には,筋電義手製作班が共同で行う必要があった.
また,後期に製作した筋電義手のスライド用動画撮影についても筋電義手制御班と共同で行っ
た.この動画は,発表時に筋電義手の動作が成功しなかった場合に成功例として流すための動画で
ある.
3.3.1
前期
前期に製作した筋電義手では,手首の前後動作,グー,チョキ,パーを実現した.しかし,実際
の動きでは軽く手を広げた状態である初期状態が加わる,結果 6 状態の識別となった.サーボモー
ターを 6 個に使用し,それぞれ手首 A,手首 B,親・薬・小 A,親・薬・小 B,人・中 A,人・中
B と区別した.この A と B での区別は,A ならば手のひら側の糸を引っ張る回転,B ならば手の
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甲側の糸を引っ張る回転とした.
手首の前後運動中に,各指は初期状態のままでとした.そのため,このとき手首のサーボモー
ターだけ動作させた.手を前に倒す動作では,サーボモーター手首 A で釣り糸を引っ張り,サー
ボモーター手首 B で釣り糸を緩ませた.手を後ろに倒す動作では,このサーボモータに逆の動作
をさせた.
グー,チョキ,パーの動作では,手首は初期状態のままにした.そのため,これらの動作のとき
は指に関するサーボモーターのみを稼動させた.グーの動作では,全ての指は手のひら側に曲がら
なければならない.そのため,指のサーボモーターで,A と区別されていたものはどちらも釣り糸
を引っ張る動作をさせた.そして,B と区別されていたサーボモーターは釣り糸を緩ませる動作と
した.チョキの動作では,人差し指と中指は伸ばした状態に,親指と薬指,小指は握った状態にし
なければならなかった.そのため,サーボモーター人・中 A につながる釣り糸を緩ませ,サーボ
モーター人・中 B に釣り糸を引っ張る動作をさせた.親指と薬指,小指は逆で,サーボモーター
親・薬・小 A には釣り糸を引っ張り,サーボモーター親・薬・小 B には釣り糸を緩ませ動作をさ
せた.パーの動作では,全ての指は手の甲側に引っ張られ,伸びた状態にならなければならなかっ
た.そのため,指の動作を行うサーボモーターで,A と区別されていたものに釣り糸を緩ませる動
作をさせた.そして,B と区別されていたサーボモーターには釣り糸を引っ張る動作をさせた.
各サーボモーターに入力された詳細な PWM の制御の値は表 3.2 に示す.
表 3.2
動作
サーボモーターの値(前期)
初期状態
手首前
手首後
グー
チョキ
パー
手首 A
110
160
80
110
110
110
手首 B
65
30
90
90
65
65
親・薬・小 A
60
60
60
0
10
220
親・薬・小 B
230
230
230
230
230
0
人・中 A
80
80
80
0
200
200
人・中 B
200
200
200
175
5
5
(※文責: 田中圭)
3.3.2
後期
後期に製作した筋電義手は,前期に製作した筋電義手と比べ,動作数,サーボモーターの数とも
に少なくなった.前期で用いた方法のように手のひら側の糸を引くサーボモーター,手の甲側の糸
を引くサーボモーターと個別にするのではなく、同じ動作を行うワイヤーは同じサーボモーターに
取り付けたため,A や B といった区別は必要なくなった.各ワイヤーの割り振りは,上記の「ワ
イヤーとモーターの接続」のとおりである.このときのサーボモーターの割り振りは手首,手のひ
ら,親・人・中,薬・小となった.
初期状態は手を伸ばした状態とした.残りの動作は手首の前後動作,つかむ,つまむ動作とし
た.しかし,後期の筋電義手では 1 つサーボモーターに手のひら側を引っ張るワイヤーと手の甲側
に引っ張るワイヤーを接続したため,動作によっては複数のサーボモーターを稼動させなければ実
現できないこともあり,制御は複雑なものとなった.
手首っを前に倒す状態では,指が伸びたままの状態とした.しかし,指,手のひらを初期状態の
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まま手首を前に曲げようとしても指,手のひらのワイヤーが張った状態のため曲げることができ
ない.このままではワイヤーとサーボモーターとの接続箇所が壊れるだけでなく,サーボモーター
が故障してしまう危険性があった.そのため,手首を前に曲げる際には,手首のサーボモーターを
作動させる前に,手のひら,指のサーボモーターを手のひら側に曲がるように作動さなければなら
なかった.その後,手首のサーボモーターを作動させると,指が伸びた状態で手首を前にした状態
の動きを実現できた.手首を初期状態に戻す際には,先ほどの手順を逆に踏む必要があり,手首の
サーボモーターを初期状態にし,その後手のひらのサーボモーター,指のサーボモーターを作動さ
せ初期状態にしなければならなかった.手首を後にする動作では,手首のサーボモーターを作動さ
せず,手のひらのサーボモーターを稼動させ,手を後ろにそらせることにした.
つかむ,つまむ動作では,どちらも手首を前に曲げた状態で行うものとした.そのため,各サー
ボモーターに先ほどの手首を前に倒す状態にするための動作をさせた後,各指のサーボモーターを
稼動させ,つかむ,つまむ動作を実現させなければならなかった.
つかむ動作では,前期に製作した筋電義手のグーの動きを参考にした.実際には,グーの状態よ
りも指を緩ませることで,つかむ動作とした.親・人・中のサーボモーターと薬・小のサーボモー
ターを手のひら側に引っ張るように動作させた.また,ものをつかんだ際,サーボモーターに余計
な負荷をかけさせないよう,指先の圧力センサーとワイヤーに接続したひずみセンサーを活用し,
その物体の大きさに合わせて指のサーボモーターの動作が止まるようにした.
つまむ動作では,手のひら側に引っ張られ,曲がる状態になるのは親・人・中のみである.薬・
小のサーボモーターは指が伸びた状態のままとした.このとき,手のひらのサーボモーターは曲
がった状態とした.そのため,薬指,小指は完全に上に伸びた状態ではなく,初期状態と同じ状態
となった.
各サーボモーターに入力された詳細な PWM の制御の値を表 3.3.2 に示す.
次に,動画撮影では,サーボモータとワイヤーの調整だけでなく被験者として活動した.被験者
として,電極を取り付けた図 3.32 のようなサポーターを右腕に装着し,筋電義手を動かした.筋
電義手は手首の前後動作とつかむ,つまむ動作の筋電位の学習を行ったが,被験者の手の動きと連
動する成功率は低かった.そのため,被験者は腕の筋肉の使い分けを意識して筋電位の学習を行わ
なければならなかった.つまむ動作では小指,薬指を力いっぱい伸ばすなど,各動作では力を入れ
る部分を決め,差別化を行った.その結果,全ての動作を実現した動画の撮影が成功した.
表 3.3
サーボモーターの値(後期)
動作
初期状態
手首前
手首後
つかむ
つまむ
手首
0
30
0
0
0
30
70
0
30
30
親・人・中
0
45
0
75
0
薬・小
0
90
0
130
165
手のひら
(※文責: 田中圭)
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図 3.32
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被験者が装着したサポーター
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第 4 章 成果
4.1
プロジェクトの成果
今回は指をグー, チョキ, パー, 手首を手のひら側と手の甲側にに動かすことのできる筋電義手を
作製することができた.
図 4.1
加工した木材
今回は指をグー, チョキ, パー, 手首を手のひら側と,手の甲側に動かすことのできる筋電義手を
作製した.目標の 1 つである手首の前後動作は, 加工した木材(図 4.1)をはさみ, 木材の上方を釣
り糸で引っ張ることで実現した. もう 1 つの目標である筋電義手の軽量化を達成するために, 材料
の大部分に軽くて丈夫なアルミ材を使用した. また, 新しく設計した腕の構造において, アルミ棒を
支柱として立てることで, 本体の中心部分を空洞にした. この空洞の部分には指, 手首の曲げ伸ばし
を行うためのサーボモーターを6つ搭載した. 今回作製した筋電義手の重量を測ったところ,1.15 kg であった. 重量の面で, 今回の筋電義手の比較対象として, 一昨年作製された今回と同じアルミ
材がメインの筋電義手を紹介する. 一昨年の筋電義手は, 土台の上に, 義手の手の部分がついている
もので, 指をうごかすためのサーボモーターは5つ搭載している. この筋電義手の重量は 1.2 kg で
あった. つまり, モーターを1つ増やしたが, 新しい腕の構造を用いたことにより,50 g の, 軽量化が
できたといえる. この他に, 指の曲げ伸ばしは人の指に倣って行った. 人の指は腱が筋に引かれる
ことで曲げ伸ばしを行っていて, 腱鞘が腱に覆いかぶさるように骨にくっつくことで、腱が浮き上
がってしまうのを防止している. 今回は釣り糸, ミニステーをそれぞれ, 腱と腱鞘として使用し, 関
節 1 つ 1 つに力が加わり, 滑らかに指の曲げ伸ばしが行えるようにすることができた. 大きさの違
うコの字型のアルミ材を互い違いに組み合わせることで, 指が手のひらの側にのみ曲がり, 手の甲
の側には曲がらないようにした.
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後期は実際に班員の手の型をとって義手を作成した. 前期のアルミ材と比べ, 各指の開きを細か
く決めることができ, 別途作成したラテックスによって外観をより人間の手に近づけることができ
た. また, 圧力センサとゲインセンサの使用によって, 物を掴む, 摘む動作の際に対象物の形状に合
わせた適切な力の制御を行うことができた. 腕部分は, 前期と比べより少ない部品数で作ることが
でき, 全体の大きさも縮小することができたが, 手の寸法に比べて不自然に大きくなってしまった
ため, 外観の向上にはより効率的な部品の配置が求められることが予想された. サーボモータの選
定は正しく, 物を掴む動作, 物を摘む動作, 手首の前後動作を 4 つのサーボモータで十分に実現する
ことができた. サーボモータと各可動部を結ぶワイヤは, 十分な強度を持ち, 伸び縮みによる誤動作
も招くことがなかったため, 選定は適切であった. また, このワイヤはプラスチックに空けた穴に通
すことで, ラテックスとの摩擦を軽減し, ワイヤ同士の干渉を防ぐことができた. 各指, 手の平, 手首
の連結にはねじを使用したが, 前期のアルミ材の加工ではできなかったねじ穴ねの面取りを施すこ
とで, 不要な突出部を取り除き, 外観の向上に貢献することが出来た. 圧力センサの取り付けは, 強
力な接着剤とビニルテープで強固に固定することで, 物を掴む・摘む動作の際に生じる誤差を制御
に支障の無い範囲に抑えることが出来た. しかし, 手首をサーボモータで大き動かした際, その反動
で義手本体が大きく揺れてしまったため, より実用的な義手を作製するためには, 部品の取り付け
位置や重心位置を見直す必要があるだろう.
(※文責: 菊地浩倖)
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4.2
4.2.1
担当分担課題の評価
丸尾和生
• 義手,手の動きについての学習
義手の現状の問題点を時間をかけて調べることによってより良い筋電義手の製作案をだすことが
でき,案に沿った成果物を作製することができた.具体的には,インターネットを利用して筋電義
手を含む様々な義手の問題点を調べたり,これまでに公立はこだて未来大学のプロジェクト学習で
先輩方が製作された筋電義手の改良点を調べることによって,今回我々が作製する筋電義手の方向
性を決定する材料にすることができた.また,人間の手の動作の仕組みを調べることによって,こ
れまでのプロジェクト学習で製作された筋電義手になかった,ものをつかむ,つまむ動作などの動
作をさせる際に必要な中手指節関節という指の下側の関節の製作もすることができた.
• 手のひら部分の製作
前期の筋電義手の手のひら部分の製作で,人間の手のひらの大きさに近いものを作ることができ
た.目的としていた外観を人間の手のひらに近づけることは,主材料とアルミで,その他関節をつ
なげる部分をねじなどを用いて製作したため,大きさは人間の手のひらの大きさに近いものを作る
ことができたが,外観は昨年度の先輩方が製作された木の筋電義手よりも遠いものとなってしまっ
た.前期は後期に外観と機能性を両立させた筋電義手を製作するためにまずどの程度の機能の筋電
義手が製作できるかを実際に作製してみてみるという意味合いもあり,加工しやすいということで
外観を気にせずアルミを使用したため,外観に関しては後期に製作する義手で重要視するとして考
えた.機能の面では,指を動かすことはできたのだが,ものをつかむためには中手指節関節が必要
で,ものをつかむことはできなかった.この発見が後期の中手指節関節の作製につながったので,
結果としてよかったと思う.
• 筋電義手の製作(後期)
後期は全体のサポートを行った.プラスチックの全体をゴムを被せることができる大きさにやすり
を使って削る作業を行ったり,ドリルを用いてねじ穴を空ける作業を行い,仕上げることができた.
• スライド作成について
発表に使用するスライドを作成した.前期後期ともに発表後のフィードバックでシンプルなスラ
イドについて触れられていて,見やすくてよいが目立たせる部分をもっと目立たせるという指摘を
受け,その部分を改善できなかったので,もっと良いスライドを作成することができたと考えてい
る.また,他のプロジェクトのスライドは,デザインもこだわっていて,企業に向けた発表でも使
用できそうな素晴らしいスライドを作成しているものもあった. (※文責: 丸尾和生)
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4.2.2
平賀大雪
• プラスチックの加工
プラスチックは前期のアルミ材よりも柔らかかったため, 切断等の加工はしやすかったが, 手形が
丸みを帯び, 不規則な形状であったために, 穴空けや切断には前期以上に慎重をともなった.
• ワイヤーの配線
ワイヤーの配線は, ワイヤーの通り道をプラスチック, アルミ板に細かく設けることで, モータに
よる巻き込みやワイヤー同士の干渉を前期よりも少なくすることができた. また, ワイヤー自体も
消耗の少ない丈夫なものを使用したため, より安定した動作, 運用を行うことができた.
• サーボモータの取り付け
サーボモータの取り付けは, 取り付ける順序を工夫しなければ, 手が入らずネジ留めが出来ない
といった事態になってしまうため, 作製前の構想に時間がかかった. しかし, ミニステーとアルミ板
の効果的な使用により, 前期の接着剤を使用した固定法よりも強固にサーボモータを固定すること
ができた.
(※文責: 平賀大雪)
4.2.3
菊地浩倖
• ラテックスについて
今回ラテックスで人の皮膚に見立てた手袋を作製したが, 物をつかむ際の滑り止めとしても利用
できた点ではとてもいい役割を果たしている. 実際にペットボトルをつかむ, 卵をつまむ際に, つか
む力が弱く物が落ちてしまうことがあったが, つかんでから滑り落ちてしまうことは無かった. ま
た指を曲げてから伸ばすとき, ゴムの元に戻ろうとする力で引っ張られてモータをゆるめただけで
指がしっかり伸びたことは, 思いがけなかったことだが, モータやワイヤーを減らすことができ, と
ても良い方向に働いてくれた. しかし目標の一つである, 外観をより人の手に近づけるという点で
は, 良い点とうまくいかなかった点があった. まず, 手袋をかぶせることで指や手の関節の機構, ま
た腕の中にあるモータや, 指や手首を曲げるために取り付けたワイヤーを隠すことができた点は良
い点であったといえる. さらにこの手袋は, 石膏で取った手型からとったため, その型についた手の
皺や爪の形, 細かい指紋の跡も付いてとてもリアルな見た目になった. うまくいかなかった点を挙
げると, 先ず手袋の厚さが厚くなってしまったことである. 厚くなってしまったことで手袋の伸縮
性が低下し, そのままでは作製した義手にかぶせることができなかった. また, できあがったばかり
の手袋は, ところどころ小さい穴があいていたり, 極端に薄い部分があった. どちらも原因としては,
ラテックスを乾かすときにあり, 余分なラテックスを取り除ききれなかったこと, またこまめに置い
ておく面を変えなかったことにあった. 上の問題点を解決のために, 厚くなった手袋は, 手には切っ
てかぶせ, 腕は切って開いたものにマジックテープをつけることで巻きつけるようにして取り付け
た. 穴があいてしまったところや薄くなってしまったところは, その上からラテックスを垂らし固
めることで修復した. 今回作製した手袋は, 皺や爪の形も再現でき, とてもリアルな見た目になっ
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た分, 後から修復した部分が目立ってしまった. これらの点は今後の課題とし, 改善していくことと
した.
• 腕の構造について
腕の構造については, とてもよくできていると思う. 先ず, とても軽い点. アルミの棒で支柱を立
て, 腕の中は空洞にすることで軽量することができた. また腕の中の空洞の部分にはサーボモータ
を固定することができ, スペースを無駄にすることなく, 見た目をスリムにできた. さらに, 肘から
手首にかけて腕がだんだんと細くなるように作製することで, 見た目において, 人間の腕に近づけ
ることもできた. 腕の肘部分, つまり筋電義手全体の土台となる部分に少し大きめのアクリル円盤
を用いることで, 筋電義手を置いたまま動かしたときに全体が安定させた. 以上のことが今回作製
した筋電義手の腕の構造で, 今回の作製に当たっては特に問題点なく進めることができた.
(※文責: 菊地浩倖)
4.2.4
田中圭
• 前期
前期の担当課題は,筋電義手の腕部分の製作と各指の釣り糸の調整であった.そして,目標は軽
量化とメンテナンスを行いやすい構造の義手製作だった.
軽量化に関して,前年度まで使用していたアルミ板の使用をやめ,新たな材料としてアクリル円
板を使用した.また,内部は大部分が空洞となる構造にした.重量は,前年度に作成された筋電
義手は 1.2kg であったのに対して,今年度の前期に製作された筋電義手は 1.15kg となった.モー
ターの追加,手首部分の追加などを行ったうえで,50 グラムの軽量化に成功した.
メンテナンスについては,釣り糸が絡まりにくい構造,内部が見えやすい透明な材料の使用など
で達成できた.
問題点は,釣り糸が動作途中で取れてしまった不十分な固定方法と,筋電義手の見た目であっ
た.固定方法に関しては途中で対応できた.見た目に関しては,今年度の前期から前年度まで含め
て製作された全ての筋電義手は全て構造がむき出しで人間の手,腕らしくなかった.本来,人間に
装着される義手を想定した製作物であったため,人間の手,腕を参考にし見た目も似せた設計にし
なければならなかった.前期までである程度の動作ができるようになったため,後期では人間の
手,腕に似た設計を心がけて筋電義手を製作したい.
• 後期
後期の担当課題は,筋電義手の型の製作と各指のワイヤーの調整であった.目標は,プラスチッ
クやラテックスを流し込んでも漏れないこと手と腕の型であること,手の型は親指を前にした状態
の型を製作するというものであった.
今回製作した型は,筋電義手の手のプラスチックを製作するためと,手,腕の皮膚となる部品を
製作するために使用された.液体プラスチックとラテックスを用いた.型は半分ずつ製作したた
め,カリ石鹸,紙粘土で接着しなければならなかった.そして,実際にそれらを流し込んだ際に漏
れがあった.ラテックスは粘度があったため漏れは少なかったが,液体プラスチックは多くの液体
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が漏れてしまった.
指を前に出した状態の手の型の製作についても,型を製作した際に用意するダンボールの容器の
深さが足りない,石膏の量の不足などが発生した.
問題点は,用意不足だけではなく,石膏の特性を考えなかった点にあったと感じた.石膏で型を
製作するならば,合体させて 1 つの型にしなければならないため隙間は発生してしまう.石膏以
外にも型をとる素材を調べ,どれが最も適しているのか考える必要があったように感じた.ワイ
ヤーに関しても,今回の腱の素材として適していなかった.強度もあり,伸びることもなかった
が,サーボモーターとの接続が難しく,外れてしまうことが多かった.それを防ぐために念入りに
接続してしまうと,調整する際に苦労するということもあった.また,ワイヤーは曲がり難かった
ため,手首部分でワイヤーを通すための固定が難しくなってしまった.今後は釣り糸とワイヤー以
外の素材があるか検討する必要もあるのではないかと感じた.
(※文責: 田中圭)
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第 5 章 今後の課題と展望
5.1
今後の課題
前期に筋電義手を作製した際の課題の 1 つであった, 人の腱として代用している釣り糸を, 伸び
ず, 切れることのないものに変更する, という点で, 今回はこの釣り糸の代わりにワイヤーを使用し
た. ワイヤーは釣り糸より太く, とても丈夫であった. しかし, 表面がとても粗く, こすれた時に摩擦
が大きくなってしまうために, 手首の土台として用いたアルミ板と接触した際, だんだんとワイヤー
の表面が削れていき, 少しずつ切れてしまうことが起こった. またワイヤーは結ぶことができなく
取り付けには, ねじ穴にワイヤーを入れ, その上からねじを止め無理やり押さえ込む形で行なった.
そのためワイヤーが破損してしまった際の取り付けの仕直しがとても難しくなった. したがって,
このワイヤーに代わり, 腱の代わりとなるような材料を探す必要がある. 今回製作した筋電義手
では, 一番に義手の外観をより人間の手に近づけることを目標としていた. そこで今までに作製し
た筋電義手との大きな違いとして, ラテックスで人の皮膚に見立てた手袋を作り, 完成した義手に
かぶせることを行った. これにより, 見た目を人間の手にとても近づけることができた. しかし今回
の作製した手袋では, 先の評価でも触れたように, 厚くてそのままでは手, 腕にかぶせることができ
ないこと, また, 極端に薄いところや穴があいてしまっている箇所もあり, その修復の跡がとても目
立ってしまっている, という問題点が挙げられる. 見た目を重視する点においては, この手袋が筋電
義手の外観そのものになるため, 先ずこれらを解決することが最初の課題であると考えた. また, 次
の目標として, 今まで行っていた指の, グー, チョキ, パーの動作を, 実用的なつかむ, つまむの動作
にすることであった. 動作をつかむ, つまむにした理由は, それぞれの動作がグー, チョキの動作に
似ていると考えたからである. つまむ動作は人差し指と中指, 親指で行ったが, 動作数が少なく 3 つ
の指はセットで動くため 1 つのモータで制御を行った. 薬指, 小指は同じ動きをする. このように同
じ動きをする指同士をセットとして考え,1 つのモータで制御することで, モータの数を減らすこと
ができた. しかし今後, より複雑な動作を行う筋電義手開発するためには, 指が 1 つ 1 つ独立して動
くものが望ましい. これを実現させるためには, 筋電義手制御班との連携が重要となり, 表面筋電位
の計測によっての指 1 つ 1 つの動作の識別が前提条件となる. その上で, 複雑な動作を行うことが
可能な筋電義手の開発が今後の課題になると考える.
(※文責: 菊地浩倖)
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5.2
今後の展望
今後の展望として, 筋電義手の外観においては, 上記の課題を解決し, より見た目が人の手に近づ
いた筋電義手の開発を行う. 動作の面においては, 課題でも述べたように, 指 1 つ 1 つを独立させ動
作させることが, 今後様々な動きを実現させるための大きな課題になると考える. さらに, 今回は手
だけの動きにこだわらず, 手首の動きも追加させることにし, 実現させることができた. 今後はその
先, 腕の回転動作や肘の曲げ伸ばし動作も実現したいと考えている. また, 手に装着して使用するこ
とを考えると, そのための設計, 開発を行うことも必要である. 今回はラテックスを使用し, 手袋を
作製することで見た目を人間の手に近づけたが, 義手に触れた感触は人の手に近いものとは言えな
い. 感触を改善することを展望の 1 つとして挙げる. 今後の展望として, 今まで開発した筋電義手に
倣いその中での課題を解決させた上で, 新しい要素の加わった筋電義手の設計, 開発を行うことを
望む.
(※文責: 菊地浩倖)
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第 6 章 その他製作物
• 前期筋電義手の土台
前期に製作した筋電義手では,腕部分の土台を製作した.この土台には,腕部分が 360 度回転で
きるよう,キャスターが装着されていろ.これは,筋電義手がひねる動きを実現できるよう製作さ
れたものである.
当初の設計では,筋電義手の動きは指の動きであるグー,チョキ,パーと,手首の前後動作以外
にも,手のひねり動作が想定されていた.そのため,筋電義手が回転できる機構を製作しなければ
ならなかった.そこで,腕部分の下に追加で回転できる機構をとりつけ,外部からサーボモーター
をもちいて筋電義手全体を回転させることにした.腕部分では,下部分にアクリル円板を使用して
いた.この円形を活用し,アクリル円板の中心に穴を空け,そこにアルミ棒を差し込み,土台に対
して筋電義手が回転する機構を設置すればひねる動作が実現できると考えた.
土台の材料では,上の乗せる形になる筋電義手を安定させるために,腕部分に使用したアクリル
円板よりも大きいく厚い円板を使用した.また,回転機構については,キャスターを使用すること
にした.キャスターはどの方向に対しても移動でき,装着も簡単なため,この機構に適していると
考えた.キャスターは,これも安定性を考慮し,4 つ装着した.
結果,図 ??のような土台が出来上がった.
しかし,筋電義手を製作している途中に,制御の難しさと安定性から,ひねる動作は行わないこ
とが決定したため,この土台を使用しなかった.
図 6.1
土台
(※文責: 菊地浩倖)
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