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提出日 (Date) 2013/01/16
プロジェクト報告書 Project Report
医療現場に於ける問題発見と解決
Discovery and solution of problems of the medical field
b1010052 武田 泰典 Yasunori Takeda
1 背景
また、ユーザにとって自然で、使いやすく、有用な提
現在、日本では高齢化や医療費の高騰など社会情勢の
案を行い、さらにツールの制作、システム構築、ビジュ
変化が深刻な問題を引き起こしている。また、日本の医
アルデザインといった専門的な技術を習得し、提案のプ
師不足の深刻化、在宅患者の増加、総合病院への患者の
ロトタイプ作成を到達目標とした。
集中など、医師や病院の負担が増加している。そのため
厚生労働省では、複数の医療機関が協力して患者の治療
3 課題解決のプロセスとその結果
を行い、患者の平均在院数を短縮して医療費の抑制を図
私たちは初めに、現在の医療問題に対して書籍や文献
ることを目的として、地域の医療機関の連携を推進し
などを用いて調査し、各自で興味のあるテーマについて
ている。このことから、今後、さらに在宅患者は増加し
発表した。そこから提案に基づいて、4つのグループを
ていくことが予想される。65 歳以上の高齢者人口が全
編成し、市立函館病院と高橋病院の方々に発表した。そ
体の人口の割合を占める率を高齢者率といい、17 %を
の後、医療従事者のアドバイスをもとに提案を練り直
超えると高齢社会、20 %を超えると超高齢社会という。
し、グループの再編成を行なった。
日本は 20 %前後の高齢社会であるのに対し、函館市の
西部地区は高齢者率 37 %にも上がっている。さらに、
独居老人の割合も高く、早急な在宅医療環境の整備が必
3.1 各学生での医療現場に於ける問題発見と改善案の
提案
要である。道南地域では 2008 年 4 月から病院間で患者
現在の医療問題に対して書籍や文献などを用いて調査
の情報共有を行う医療連携ネットワーク「MedIka」が
し、各学生が興味のある問題について解決策の提案を
稼働されており、病院間の連携は円滑に行える環境にな
行った。各学生の提案内容に基づいて、実際に提案を行
りつつある。しかし、病院と患者間、独居老人と家族間
う4つのグループを編成した。
の連携は未だサポートが十分ではない。また、高齢化に
伴って、寝たきりの高齢者も増加しており、病院内のシ
ステム改善も重要になっている。医師不足の中での高齢
化を前に、日本人の QOL を高めるためにも、新しいシ
ステムの提案が必要とされている。
3.2 ロゴの作成
本プロジェクトでは4つのグループに別れて別々の
ツールを提案するため、プロジェクト全体を通して活動
を行う機会が少なく、プロジェクトとしての意思疎通が
難しい。そのためプロジェクトのロゴを作成しロゴにプ
2 課題の設定と到達目標
本プロジェクトでは、4 つのグループに分かれ、グ
ロジェクトとしての活動の目的を込めてプロジェクト内
の意思疎通を図った。 ロゴ作成の際、全学生が考案し、
ループごとに課題を設定し、解決のために活動を行なっ
発表を行うことで学生の意識を共有した。その中から学
た。4 つの課題は以下の通りである。
生主体でロゴを選定し、選定されたロゴをブラッシュ
アップして完成させた。選定されたロゴの提案を行なっ
・失語症患者のコミュニケーション支援
た高石さんにはプロジェクトで発表の際の発表空間のデ
・小児ぜんそく患者の教育
ザインや、ポスターをプロジェクトとして統一させるた
・小児がん経験者の長期フォローアップ
めにポスターのデザインを行なってもらった。
・生活習慣病予防の管理が億劫な人の支援
図 3 市立函館病院訪問時の発表の様子
図1
ロゴ
ションを行い、その内容について病院関係者からご意見
やご質問を頂いた。
図2
3.3
ロゴ選定の様子
市立函館病院訪問
図4
高橋病院訪問時の発表の様子
2012 年 6 月 15 日 (金)16:15∼18:00 にかけて市立函
館病院を訪問させて頂いた。本プロジェクトでの初めて
行う発表だったため、教員のアドバイスを参考にしなが
ら入念に準備を行い発表に備え、医療従事者に失礼の無
いよう心がけた。また、各グループの提案も固まりきっ
て居なかったので、教員と他のグループで提案内容につ
いて指摘・修正を繰り返し出来るだけ質の高い提案を発
表できるようにした。当日は未だプロトタイプ等の作成
3.5 中間発表
2012 年 7 月 13 日 (金)15:20∼17:30 にかけて学内で
中間発表を行なった。A!のポスターとモックアップを作
成しし、アトリエで発表を行なったが、発表内容が少な
くポスターも A1 だと小さく感じられるなど、アトリエ
の広いスペースに負け、内容が稚拙に感じられたので、
成果発表では改善できるよう心がけたい。
を行なっていなかったので、スライドでの発表い、ツー
ルにイメージをスライドで表示した。発表の流れとして
は、最初にプロジェクト全体と各グループのプレゼン
テーションを行い、内容について病院関係者からご意見
や質問をいただいた。
3.4
高橋病院訪問
2012 年 7 月 6 日(金)に 16:00∼17:30 にかけて高橋
病院を訪問させて頂いた。最初の 40 分ほど高橋院長か
ら函館市の医療事情や高橋病院での取り組み、お年寄り
の特性についてのお話を伺った。その後、ポスターセッ
図 5 プロジェクト中間発表発表の様子
3.6
成果発表
2012 年 12 月 7 日 (金)15:20∼17:30 にかけてプロ
ジェクト学習全体を通しての成果を報告した。各グルー
プの提案内容と提案物について A1 と A0 の 2 種類のポ
スターとツールのプロトタイプを作成し、提案内容がわ
かりやすいような発表を心がけた。発表方法について
は、聴衆に対して対応出来る人数が少ないと感じる場面
や途中から来た方に対応することが難しいことがわか
り、今後発表担当の人数を増やすなどの対処が必要で
図7
あると感じた。また、一つのグループに人が集中してし
御礼参りの様子
まったため、今後は各グループに聴衆を誘導誘導する必
要があると感じた。ポスターセッションという発表形式
については、質問しやすくて良いという意見を頂いた。
も行えるようにした。また、リハビリテーションツール
また、今回の発表では A3 サイズのポスターのパネル
はゲーム形式のものを作成し失語症患者本人が気軽に使
を用意し、説明する際に使用したが、A1 サイズのポス
用できるよう作成した。
ターよりも説明しやすいということがわかった。今後の
ポスターセッションでは、説明用のパネルを用意する。
図6
3.7
プロジェクト成果発表発表の様子
市立函館病院報告会
図8
失語症患者のコミュニケーション支援ツール
2013 年 1 月 11 日(金)16:00∼17:00 にかけて、前回
私たちが提案したものについて医療関係者からアドバイ
スをいただいた結果、最終的にどのような提案の作成に
に至ったのか報告するものであった。提案物についての
アドバイスや意見をいただくことができた。
3.8
3.8.1
提案内容
失語症患者のコミュニケーション支援
3.8.2 小児ぜんそく患者の教育
喘息についての意識を高め、発作の回数を減らすため
に2つのコンテンツを作成した。まず、喘息のメカニズ
ムを説明するコンテンツを作成した。ノベルゲーム形式
で喘息になる原因、喘息時の体の状態などの説明を行
失語語症患者のコミュニケーション支援ツール・リバ
う。次に部屋の中にある喘息の危険因子の説明とその対
ビリテーションツールの二つを作成した。コミュニケー
処法を説明するコンテンツを作成した。実際のリビング
ション支援ツールは現状使われている言葉でわからない
や寝室等の中をイメージして作成し、その部屋の中にあ
場合に絵によるコミュニケーションが取れるようにして
るものをクリックしてもらうと危険因子とその対処法の
いる。また、別のアプローチとして50音表からの支援
説明を行う。
—caption 喘息患者の教育ツール
図9
3.8.3
小児がん経験者の長期フォローアップツール
小児がん経験者の長期フォローアップ
前年度の医療プロジェクトで作成した、小児がん経験
者を経験した病気と正しく向き合わせ、日常生活での注
ランスガイド」を用いた食事の入力を行うことによって
意喚起やこれから発症するリスクがある晩期合併症に
ユーザにとってより正確で使いやすいツールの作成を心
ついて理解させることを目的としたノベルゲームであ
掛けた。
る。性別・年代・経験した病気と治療法を選択し、ユー
ザにリンクした展開でストーリーが進む。各年代に合っ
たシチュエーションでストーリーが進み、病気に関する
説明では病院の医師や看護師、患者さんから説明をうけ
るシーンを多用している。また、セーブやロードの機能
がついており、持続的な学習ができるようになってい
る。前年度作成したツールは実際に病院や自宅で使用さ
れているが、パソコン上でのみ動くツールであるため、
持ち運べるようにしてほしいとの依頼があったため、今
年度拡張を行なった。拡張内容としては持ち運び可能な
iPad で使用できるように、iOS アプリ化をした。よっ
て、持ち運びが可能になっただけではなく、タッチスク
リーン機能で直感的な操作ができるようになった。ま
た、より使いやすく、学びやすいツールにするため、ク
イズ機能や戻りたい場面に戻ることのできるシーン機能
図 10 生活習慣病予防の管理が億劫な人の支援ツール
の作成、画面デザイン、効果音、アニメーションの改善
を行なった。
3.8.4
生活習慣病予防の管理が億劫な人の支援
食生活の改善をした場合にその効果が体型の変化など
のわかりやすい部分にすぐに顕れないこと、また、過去
の食生活を省みる機会が少ない、または振り返りにくい
という問題を解決するためにツールの提案を行なった。
実際に提案した機能としては、キャラクターの体型の変
化によるカロリー表示、写真を用いた食事のログのタ
イムライン等である。また、ユーザのパーソナルデータ
(身長、体重、性別、活動量、年齢)の入力や、「食事バ
4 今後の課題
成果発表では提案の発表としてプロトタイプの作成は
行えたが、実際にツールの作成までには至らなかった。
また、ツールの画面の UI デザインなどもいたらない点
が多い為、今後は市立函館病院での御礼参りで頂いたア
ドバイス・ご意見を参考にさせていただいて、UI や提
案内容についてブラッシュアップさせ、実装を完成し販
売まで行えるようにしたいと考えている。