プロジェクト報告書 Project Report 提出日 (Date) 2013/1/16 はこだて広域観光情報の多言語発信プロジェクト Hakodate’s sightseeing information site in multiple languages b1010138 曽我知央 Tomohisa Soga 1 背景 光施設などに関して調査を行う。函館市内探索では、函 館観光サイトを作成する上での基礎資料を収集作成する 観光庁では外国人観光客が一人歩きができる社会を目 ことと、外国人が観光をする上でどのような情報が欲し 指して、観光に関するサイトにおける外国語等の情報提 いのかということを探ることが目的である。大沼視察で 供の促進を行っている。外国人に人気の高い観光地であ は、大沼の観光に関する情報の収集と JR 北海道との連 る京都の観光サイト、および函館の観光サイトにおける 携可能性を探るのことが目的であり、大沼でのアンケー 外国語による情報提供を比較すると情報の質や量に大き ト調査やヒアリング調査に繋げていきたいと考える。ま な差異があることがわかった。 そこで、本プロジェク た、空港調査を行うことにより外国人観光客の生の声を トでは言語グリッドによる多言語情報発信、また実際の 集め、コンテンツ作りに繋げていく。 外国人観光客にニーズ調査を行うことにより、外国人観 光客に向けて有益で充実した函館観光情報を発信する。 2 課題の設定と到達目標 3 課題解決のプロセスとその結果 まず、本プロジェクトでは実際に外国人観光客に私た ちのシステムを使ってもらうために、昨年度の成果を引 プロジェクト全体としてはまず、システム構築の前段 き継ぎ、それを公開することを検討した。その公開方法 階として、どのようなものを作るのか、どのようにユー として、プロジェクト全体で話し合い、web ページで ザに提供するべきかを話し合い、観光情報サイトを提供 の公開、アプリとして公開、スマートフォンでの公開の することに決めた。観光情報サイトを提供するために、 3 つに絞ることができた。そこから、それぞれのメリッ プロジェクトメンバーを 2 つのグループにわけ、それぞ れシステム班と調査班とした。システム班は実際のシス 表1 各公開方法のメリット・デメリット テムの開発を担当し、より良いシステムを開発すること 公開方法 メリット デメリット を目標とした。調査班は、外国人観光客に函館の観光情 web 開発が容易 セキュリティー面 アプリ 開発環境がある アップデートの対応 スマホ 開発が容易 操作性が悪い 報についてニーズ調査を行い、外国人観光客のニーズに 合ったコンテンツ案をシステム班に提供することを目標 とした。 各班ごとの課題と到達目標について、システム班では ト・デメリットを表 1 のように挙げ、公開範囲の広さ、 前期にプロジェクト全体として決定した提供方法であ 昨年度の成果物を生かせるか等を鑑みた結果、web ペー る、観光情報サイトに則してシステム開発を行うため ジでの公開を目指し、スマートフォンにも対応させると に、まず、提供方法に合った開発を考える必要があった。 いう方向性を導き出すことができた。そこから、各班に そこで、私たちが想定する観光情報サイトの主体となる 分かれ作業を開始した。 プログラミング言語の PHP の技術習得と言語グリッド 調査班では、前期に市内探索と大沼視察を行った。市 の理解を目指した。最終的には、調査班のニーズ調査を 内探索では、函館市内の観光施設を周り、建物の基礎情 コンテンツ化し、より良い観光情報を提供する媒体の作 報や外国人に対する配慮の度合いなどを調査した。その 成を目標とする。 結果、アジア系の外国人に対する配慮が足りないこと 次に調査班では、外国人向け函館観光サイトを作成す がわかった。大沼視察では、大沼関係者の方々との意見 る上で情報の質、また情報量を充実させるため函館の観 交換の場を設け、大沼に関する観光情報を収集した。ま た、JR 北海道の方々に調査協力を依頼し、大沼公園駅前 階層のモックアップを作成し班員全員で共有した。 でアンケート調査をさせて頂くことになった。そのアン 同時に、ホットペッパーとじゃらんの API と昨年度 ケート調査では、実際に大沼に訪れた観光客にアンケー のデータベース使用して今年度のサイト用のデータベー ト調査を行い、大沼に関する観光情報を収集することに スの作成した。また、作成したデータベースの中身を言 成功した。また、函館空港アンケート調査も行った。こ 語グリッドを使用して、英語・韓国語・中国語 (簡体字)・ の調査も大沼でのアンケート調査と同様に、函館に訪れ 中国語 (繁体字) に変換して新たなデータベースを作成 た観光客を対象に調査を行った。その結果、大沼、函館 した。 に関して詳しい分析をすることができた。 その後、モックアップのようなサイトになるように向 システム班では web ページを開発するにあたり、開 けてまずは、昨年度のサイトをローカル環境で今年度の 発環境や開発言語についての議論を重ねた。その結果の データベースの内容を呼び出せるようにした。そのため ひとつが PHP である。PHP の利点として拡張性の高 の SQL 文を昨年度のサイトのソースから引用し、今年 さや API 等を使う際に有効であることがあげられる。 度のサイトにあわせて変更して使用した。それと平行し 本プロジェクトでは、じゃらんとホットペッパーの API て、サイトの雛形となるものを Adobe Dreamweaver と を使用し、サイトに使うデータベースの内容を呼び出し Adobe Illustrator で作成した。そのた雛形に、データ データベースに蓄える際に使用した。API として提供 ベースに接続してデータベースの中身を呼び出す SQL されている機能は開発する必要がないため、作業効率を 文を追加し、それを必要な情報だけに絞ってサイトに表 あげることができるのである。 示するようにした。接続するデータベースと表示する情 また、開発環境として XAMPP を導入した。XAMPP 報は階層や扱っている情報ごとに変更した。具体的に説 を導入することによって自分のパソコンのローカル上 明すると、第 2 階層のグルメ情報のページでは、グルメ で、作成した web サイトのプログラムを実行すること 情報のデータベースから店名や住所、営業時間などの情 ができるためである。この XAMPP を利用して昨年度 報を選択してデータベースから呼び出して表示させた。 の web サイトを班員それぞれのローカル上で動作でき また、星評価はユーザがお店などを 5 項目について星 るようにすることを進めた。その過程で PHP とデータ 評価できるような機能であるが、これはユーザにより送 ベースの技術習得の図った。 信された点数をデータベースに蓄積し、その合計から平 中間成果物では、中間発表に使用する言語グリッドの 均点を算出して対応した個数分の星の画像を観光地詳細 デモ用として、データベースの構築、PHP によるプロ 情報ページに表示するという仕組みである。これらの機 グラムの作成を行った。このデモは各言語で文字列を入 能を実装する際に合わせて細かいレイアウト修正なども 力するとそれがデータベースに格納され、表示する際に 行った。 は指定した言語に翻訳されたデータベース内の文字列を そして調査班の調査結果からコンテンツ作りについて 表示するというものである。またその過程で開発環境に 分析を行った。空港調査分析では、1つ目に「年齢」の 依存した言語グリッドとの接続エラーが発生し、一時的 項目からは年代別にどのような人々が訪れているのか、 に作業ができなくなった。そのエラー解消のため、開発 また、調査班の分析からは、「台湾は老後の生活が安定 環境の見直しと言語グリッドと接続部分のプログラムの しないらしいことから働き盛りの若い世代が多くなった 修正を行った。 のではないか」、「飛行機だと韓国と台湾では移動距離に 後期に入り、まずは調査班から調査結果が上がってく 倍ぐらいの差がある (台湾の方が遠い) ことから移動の る前の基本となるサイトの原案について話し合って決め 時に体に負担がかかるので台湾は若い世代の人が多めな た。そこでは、昨年度の成果物の観光情報サイトを原型 のではないか」「韓国は若い世代が少ないことから竹島 として新たなコンテンツを埋め込んだよりユーザが使い 問題などの関係で来日が少なくなっているのではないだ やすいシステムの開発を目標とした。また原案を元に、 ろうか」などという分析が出た。2つ目に「出身国」の 私たちが作成しようとしているサイトのモックアップを 項目からは、台湾人が多いなどという事が分かったが、 作成した。具体的には、トップページと第 2 階層、第 3 調査班の分析からは「韓国は台湾よりも震災の影響が響 いているのではないだろうか」「また竹島問題などで来 える。」ということで、自然を売り出す大沼にもっと自 日が減っていることも予測される」などという分析結果 然を強調するためのコンテンツも重要だということで、 からシステム反映を考えた。3つ目に「今回函館に来る 自然を感じられる体験施設を強調するために、体験施設 にあたって、どのような旅行形態で来たか」という項目 の紹介ページも作成することにした。8つ目に「大沼の から団体旅行が圧倒的に多い事が分かった。調査分析で どんな情報を調べたか」について。全体的には体験・活 は「まず、飛行機の利用者であることと、チャーター便 動が圧倒的に多い。1 位は体験・活動、2 位は天気、3 位 利用者を対象に調査を行ったので自然と団体旅行客が多 は飲食店、交通手段であり、大自然に恵まれて様々なこ くなったと考えられる。少数意見の個人旅行客、その他 とを体験できる環境があまりないと思うので、そういっ に関しては、チャーター便に空席があったことから旅行 た面で体験・活動というところが注目を浴びてるのでは 会社が他の観光客、または一般客に座席を割り当てたこ ないのだろうか。という分析結果が出た。この調査結果 とから出たものと予測する。ちなみに、その他の回答者 により、実際に実装予定のコンテンツが決定し、実際に は「留学生」とのことだった。また、個人旅行では旅行 サイトに反映することにした。天気に関しては、観光す の下準備を1からしなければいけないが、団体旅行 (ツ る上で重要な要素となってくるが、体験・活動が注目さ アー) では多少の手間が省けるので、「手軽さ」という れていることから天気もより注目されると考えると分 面から団体旅行を選ぶ人が多いのではないだろうか。費 析し、天気のブログパーツを加えることにした。9つ目 用が抑えられるということもあるだろう。」という結果 に、「大沼で何を体験したか」という調査で、「全体的に から、団体旅行プランも検討した。4つ目に「今回函館 は 1 位サイクリング、2 位温泉が圧倒的に多く、思った に来るにあたって誰と函館に来たのか」の質問から、家 よりも遊覧船の人気が少ないように感じた。遊覧船は乗 族、団体観光客が多い事が分かったが、調査分析は「家 れる時間帯が決まっているので、ツアー客などは時間が 族ならここに行った人が多い、「友人・知人」ならここ 合わず乗らない、というケースが多いのかもしれない。」 に行った人が多い、などを調査し、同行者別オススメス と分析できた。また、「実際に大沼に来て、どのような ポットといったようなコンテンツに繋げようとおもい作 情報が欲しいと思ったか」という調査で、全体的には体 成したが、今回、 「函館のどこを観光したか」という質問 験・活動が圧倒的に多く、2 番目は交通手段だった。こ が抜けているので活用しにくい質問内容となってしまっ れは大沼周辺の交通手段が分かりづらい、また大沼国定 た。対策として、同行者別で各質問の相関を出し、何ら 公園内の地図が分かりにくいということが考えられる。 かの傾向が出せたらと思っている。5つ目に「函館の観 体験・活動の情報がもっと知りたいということは観光客 光情報はいつ入手しましたか?」という問いから、「函 に対する情報発信が不足している、または調べにくい状 館に来る前」が圧倒的に多かった。分析では「普通に考 態になっているのではないだろうか。台湾では 1 位は えれば旅行に行く前に旅行先の観光情報を調べるのは当 体験・活動、2 位は天気 (1 票) であった。台湾人は体 たり前のことである。しかし、 「函館に来た後」や「して 験・活動が 99% を占めていた。「台湾人はツアーが多い いない」といった回答も見られた。 ため交通手段に関しては情報がなくてもガイドさんが説 大沼公園の調査も行い分析した。「年齢」について。 明してくれるのであまり情報をほしがる傾向にないの 全体では 40 歳∼59 歳まで、60 歳以上が多かった。国 ではないだろうか。」と分析し、最後の「北海道の何に 別では台湾が一番多かった。分析としては、「若い年齢 興味があるのか」という調査にも連動して、全体的には 層が少なく感じた。そこから、日本人にとって大沼は少 1 位はグルメ、2 位は温泉、3 位はアウトドアが多かっ しマイナーな観光地なので、若い観光客は函館に集中し た。台湾人はグルメや温泉より、その観光地の文化や建 ているのではないだろうかと予測する。」となった。マ 造物に興味があるようだ。また、大沼でも自然を生かし イナーな観光地である故、大沼公園の特設のページも作 た体験・活動が多いことからアウトドアに関しても興味 ろうという事になった。「今回大沼に来るにあたって誰 があるようだ。日本では宿泊・ホテルについで僅差で交 と大沼に来たか」ということを調べた。「全体的に家族 通手段アウトドアが多かった。台湾では建造物についで が多く、大沼は自然と自然を生かした体験が売りだと考 温泉アウトドアが多かった。これらの結果からそれぞれ のニーズに合わせた情報発信が必要であることが改めて 4 今後の課題 分かった。これらをまとめると、得られた調査結果を分 析して、大沼のサイトに関しては、飲食、温泉、体験施 言語グリッドを理解する過程のひとつとして言語グ 設、アクセス方法のコンテンツを実装することにした。 リッドを実装したプログラムを作成したが、作成当時で 大沼公園の特集サイトを別枠としてつくるというこ は機械翻訳しかできておらず、完全に web ページとし とになったので、そのモックアップを作成した。まず、 て使用できる言語グリッドを実装できているとは言い 大沼公園のデータが「じゃらん」と「ホットペッパー」 がたい状況であった。観光サイトとして提供するにあた にはなかったので、データ収集から始めた。具体的には り、店名や一部の地名等の固有名詞が正しく翻訳されな 「まるごと大沼」という観光サイトのサイト管理者に連 いのは致命的なので、それらを解決するために固有名詞 絡し、飲食、温泉、娯楽施設のデータの引用をさせても の翻訳文を格納した辞書ファイルを作成し、固有名詞の らった。そのデータを一度まとめ、それをデータベース 入った文書を翻訳する際はその辞書ファイルを参照して に格納した。それを PHP を用いてデータベースからサ 正しい翻訳結果が返されるようなプログラムを作ること イトに反映させた。その他にも天気や交通などのコンテ を課題としていたが、プロジェクトの期間では実装でき ンツ実装も行い、大沼観光サイトが完成した。 なかった。外部公開を目指しているサイトとしてはそれ 最後に今年度からの新機能であるスマートフォン用 では良いとは言いがたいので、辞書ファイルを作る必要 サイトの構築を行った。すべての階層において PHP で がある。また、言語グリッド自体の翻訳精度に問題があ UserAgent から使用端末を判別できるようにし、使用 るので、形態素解析を用いたより精度の高い翻訳を目指 端末がスマートフォンだった場合には専用ページが表示 す等、実際に外部公開を目指すのならばより外国人が使 されるようにした。専用ページは PC 用ページで画像 いやすいサイト作りをやっていく必要があると考えら だったメニュー部分などをプルダウン方式にして簡素化 れる。 し、主に HTML タグでの表示倍率の調整や画面解像度 次にスマートフォンとブラウザの種類によってサイト に対するコンテンツ幅の調整などで最適化を図った。作 のレイアウトが崩れてしまう問題がある。ブラウザ毎の 業日数の関係上 CSS での更なる調整はできなかったた 表示の差異は小さいものなので、ブラウザを判別してそ め、端末によっては表示が崩れる場合があるという問題 れに対応した表示に切り替わるように記述を追加するこ が残っている。 とで対応できる。スマートフォンのレイアウトが崩れる スマートフォン用ページの作成と並行して実機での 問題に関しては、機種によって差があるために対応が難 表示テストも行った。使用した端末の OS は Android、 しいのが現状である。スマートフォンのレイアウトの対 iOS、Windows Phone 7 で、それぞれの OS につい 応は、現状の知識以外にもスマートフォンのサイトを作 て数種類の解像度の違う端末を使用した。その結果、 る場合の知識を得る必要がある。その上でスマートフォ Android の一部端末と iOS 端末で表示倍率に問題が見 ンに対応させていけるようにしたい。 られたが、端末のピンチイン機能で一時的に対応して ある。 また、ユーザ評価担当者が得たフィードバックから、 最後の課題として、調査班の調査結果から得たコンテ ンツ案を実装し切れなかった点が挙げられる。調査班か らあがってきたコンテンツ案は、大沼の人気体験・活動 店名やホテル名等の固有名詞が正しく翻訳されていない ランキング、大沼までの詳しいアクセス方法、大沼国定 ということが分かったので、それに対応するために店名 公園内の地図、年代別・同行者別オススメスポット、お などの情報は日本語以外はすべてローマ字で作成する 土産ランキング、バス・電車の時刻表、函館旅行プラン ことにした。日本語のデータベースを参照しローマ字に があった。その中で実装できたのは、大沼までのアクセ 直す作業を行った後、そのローマ字の固有名詞データを ス方法と大沼国定公園内の地図だけであった。他のコン サーバにアップデートする作業を行った。 テンツ案が採用できなかった理由としては、開発が遅れ たために実装するコンテンツに優先順位を付けた結果、 実装ができなかったというのが大きな理由としてある。
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