プロジェクト報告書(最終)Project Final Report 提出日 (Date) 2013/1/16 マインドコミュニケーション Mind Communication b1010014 常磐井武彦 Takehiko Tokiwai 1 背景 ンにおける問題点を脳波を用いて解決したい」という現 状が本プロジェクトの背景である。 コミュニケーションとは自分の意思や情報を対象に伝 えることである。私たちが日常的に行っているコミュニ ケーションは言語を使用した会話が主である。このほか にも体を使って意思を表現したり、合図やアイコンタク トでもコミュニケーションがとれる。私たちは主に視覚 や聴覚を利用して情報のやり取りを行っている。普段の 生活で私たちは会話などの手法でコミュニケーションを とり、情報の伝達や意思の疎通などを図っている。この ように私たち人間にとってコミュニケーションは日常生 活の中で重要な役割を果たしている。 しかしコミュニケーションは完璧なものではなく、間 違った情報の伝達などにより、障害が発生することがあ る。このようなコミュニケーションの障害は、人間関係 図 1 MindWave(NeuroSky http://www.neurosky.jp/ 社 製), やビジネスなどにおいてトラブルの原因になる。現在で はコンピュータや携帯電話の普及で対面していなくても 会話をできるようになった反面、コミュニケーションの 2 課題の設定と到達目標 弊害になる要因もある。そこで、会話や合図だけでは伝 私たちは到達課題を設定した後、中間発表までにツー えきれないことを、脳波という目に見えない新しい情報 ルのプロトタイプを作成することを決定した。結果各グ を付加することによって現在生じているコミュニケー ループでコンセプトに沿ったツールのプロトタイプが ションの問題点を解決しようと考えた。 完成した。中間発表ではプロジェクト全体の目的と目標 近年では乾式の脳波センサが販売され、脳波の抽出が 到達までのプロセスと、各グループのツールのコンセプ 容易に行えるようになった。例えば、NeuroSky から販 トやプロトタイプの機能を説明した。その後聴講者から 売されている「MindWave」がある [1]。脳波は現在注 フィードバックをもらい、それを基にツールの改善点を 目されている分野でロボットの操作などの研究が行われ 議論した。後期は前期のフィードバックと反省を基に、 ている。しかし、脳波をコミュニケーションに応用する コンセプトの見直しやツールの改善作業を行った。また 事例は未発達であまり例がない。この脳波を日常的なコ 前期では具体的なユーザシナリオが不十分であったた ミュニケーションに応用することでより私たちの生活に め、各グループで綿密にユーザシナリオを考案した。成 役立つのではないかと考えた。脳波に関する技術やセン 果として脳波を用いた三つのコミュニケーションツール サを利用してコミュニケーションを行うことがマインド が完成した。成果発表ではプロジェクト全体の成果と成 コミュニケーションであると私たちは定義する。以上よ 果を上げるまでのプロセスを発表し、その後各ツールの り、「脳波が注目分野である」、「脳波を用いたコミュニ 発表、実演を行った。以上がプロジェクト全体での課題 ケーションに関する事例が少ない」、「コミュニケーショ 解決へのプロセスと成果である。以下には各グループで の課題解決への活動を記述する。 3 グループ A の背景からコンセプト、課題解 決に向けて のツールを使うことにより、会話している人が互いの状 態を知ることができ、日常会話での相手との共感を見つ けられると考える (図 2、図 3)。 3.1 背景 私たちの日常の中で他人と接する場面は多く存在す る。多くの人を知るほどコミュニケーションをとる機会 が増加する。しかし、他者と接するには個人差があり、 密接に会話を行う人もいれば、挨拶だけでコミュニケー ションが終わってしまう人もいる。原因として、相手と の共通の話題が見つからず、何を話していいかわからな くなってしまうことが挙げられる。私たちは共通の話題 が見つからないという問題点を改善しようと考えた。 3.2 「共感」のきっかけに 私たちは共通の話題が見つからず、何を話していいか わからないという問題点に着目し、共感を持てる会話で は相手と深い会話ができ、また相手との共通の話題がわ かれば、話題に困らず会話がしやすいのではないかと考 えた。そこで私たちは、相手との共感を脳波によって可 視化することを到達目標に設定した。 3.3 最終成果物「心 pathy」 図2 私たちは最初にコミュニケーションを行うことメリッ 心 pathy トについて考えた。次に日常生活において他者とのコ ミュニケーションを行う機会を増加させるにはどうすれ ばよいかを考えた。議論はブレインストーミング形式で 行った。その結果私たちは「共感」というキーワードに 着目した。他者と会話する際、相手と共感できる会話は 共感の持てない会話よりも親密なコミュニケーションが とれる。また共感を持てる相手とは共通の話題があり、 会話がしやすい。この二点から私たちは、他者と共感を 得ることが増えれば、相手と会話をする機会も増え、会 図3 話の内容もより深いものになると考えた。この議論を 心 pathy の使用イメージ 踏まえ、私たちは他者との共感を見つけるツール「心 pathy」を提案した。このツールは脳波を測定するヘッ ドセットを装着したユーザの脳波をコンピュータで処理 し、処理したデータを光として人に見えるように出力す 4 グループ B の背景からコンセプト、課題解 決に向けて 4.1 背景 る。出力に光を使用した理由は会話している時の状態を 会話の種類は一対一、一対多、多対一、多対多に分類で 会話している人だけではなくその周囲にもわかるよう きる。私たちは多人数でのコミュニケーションの着目し になるという利点があるためである。また、このツール た。集団の中にいると誰かが話していても、誰に向かっ はユーザの状態により赤、青、緑の三色に光る仕様にし て話しているかがわからず、話を聞くべきなのか迷って た。これによって他者がユーザの状態を一目で確認でき しまうことがある。また、集団の場全体の雰囲気が読み るようになった。このような仕様で自分の状態を相手に 取れず、話をしていいのか迷う場面がある。私たちはこ 発信するツール「心 pathy」を開発し、完成させた。こ の二つの問題点を脳波を用いて解決しようと考えた。 4.2 注目による意思表示 私たちは集団の場において話者が誰に向かって話して いるのかがわからないという問題点に着目し、話者が注 目していることが分かれば、誰に向かって話しているか がわかるのではないかと考えた。そこで話者の注目を脳 波を用いて振動で伝えることを私たちの到達目標に設定 した。また場の雰囲気が読み取れないという問題点に関 しては、場にいる人の状態がわかれば場の雰囲気がわか るのではないかと考えた。こちらも注目と同じように振 動で伝えることを到達目標とした。 4.3 図 4 Eye Whisper 最終成果物「Eye Whisper」 私たちは集団におけるコミュニケーションに着目し、 集団でのコミュニケーションではどのようなことが問題 点として挙げられるかを考えた。そこで集団の場では話 者が誰に向かって話しているのかがわからない、場の雰 囲気が読み取れないという問題点を見つけた。次にこの 問題点はどのように解決できるかを考えた。そこで私た ちは「注目」をキーワードに、話者の注目が聞き手に伝 われば誰に向かって話しているのかがわかるのではな いかと考えた。また、場の雰囲気が読み取れないという 問題点に関しては脳波を用いれば場の雰囲気を認識で 図 5 Eye Whisper 装着イメージ きる形で出力できると考えた。以上から私たちは「Eye Whisper」という自分の注目を相手に伝えるツールを提 案した。このツールは集中を表すβ波を測定し、一定値 を超えると赤外線を送信する。ツールには赤外線の受信 5 グループ C の背景からコンセプト、課題解 決に向けて 機がついており、赤外線を受信すると振動モジュールが 振動する仕様になっている。話者からの集中が赤外線と して出力され、それを受信した人が話者が注目している 人となる。もうひとつの機能として、場にいる集団全員 のβ波とリラックスを表すα波を測定し平均値をとりそ の場全体の状態が振動として伝わる仕様になっている。 テンポの速い振動が集中、遅い振動がリラックスを表 す。出力を振動にした理由は、注目を全体に伝えるので はなく、特定の人に伝える必要があるからである。これ らの機能により、話者が誰に向かって話しているのかが わかり、その集団全体の状態も知ることができる。この ような仕様で私たちは注目を相手に伝えるツール「Eye Whisper」を提案し、完成させた (図 4、図 5)。 5.1 背景 現在のコミュニケーションでは『自分の伝えいたい情 報が相手に伝わらない』という問題が生じている. 『自 分の伝えたい情報が相手に伝わらない』状況とは, 自分 が真剣に話していることが相手に伝わらず, 相手にも真 剣に話を聞いてもらいたいが聞いてもらえない状況であ る. 現在のコミュニケーションツールは, テレビ電話や SNS など 非対面でも多くの情報を伝え合うことができ る. しかし, 対面しているときに比べ, 言葉で表すことの できない非言語情報は伝わりにくいため, ありのままの 自分を伝えずにすむ. 例えば, 電話をしている最中に, 相 手がどんなに真剣に話している最中に自分がテレビを見 ながら適当に相づちを打っていても相手には気づかれに くい. しかし, こういった真摯さに欠ける状態が続いて いくと, 真剣に話を聞いてくれない人とはコミュニケー ションの機会も減っていくと考えられる. このようなコ ミュニケーションが続いていけば話を真剣に聞いてもら えないという不満から相手との関係が希薄になってしま う. そこで, 自分の伝えたい情報が相手に伝わるように アシストできるものがあったら『自分の伝えたい情報が 相手に伝わらない』状況を打開できるのではないかと考 えた.そこで,自分の意識を可視化し, 相手に伝えるこ とでより真摯なコミュニケーションを起こさせる『Step Up』を提案する. 5.2 豊かなコミュニケーションへ 図 6 Step Up コンセプトは『脳波を用いて豊かなコミュニケーショ ンへ』である. 自分がいかに集中し, 真剣に話している のか相手に解る物があれば, コミュニケーションの質が 向上すると考えた. このツールでは, 自分の集中してい る状態を相手のツールに光と音で伝える. これにより, 相手が集中して話しているのか, 集中していないのかを 知ることができる. 相手が集中して話している場合を, 真剣に話していると定義した. その状態を表示し見え 図7 るようにすることで, 相手が真剣に話している場合は自 システム 分も真剣に話を聞くようにと, 話を聞く姿勢を整えるこ とができる. これが, 今まで以上に真摯なコミュニケー 6 今後の展望 ションを発生させることができ, 相手との関係もより良 好になるのではないかと考える. 5.3 最終成果物「Step Up」 私たちは,自分の意識を相手のデバイスに可視化し, 一年間を通してスケジュール管理やタスク管理が甘 かったことが挙げられる。前期の最初の段階で全体のス ケジュールを全員で議論し、共有しておくべきであっ お互いの会話の質を高めるようなコミュニケーション た。また、最初に全体のスケジュールを決めるだけでな ツール『Step Up』を提案した (図 5.1).『Step Up』と く、毎回のプロジェクトでその日に行うべき作業を共有 は,ヘッドセットで脳波を測り,自分の集中, いわゆるβ し、そのうえで進捗状況を確認するべきであった。開発 派の度合いが高まると,相手のデバイスが光って音が鳴 作業においては他グループとの情報共有が不十分であっ るツールである.また,この『Step Up』はネットワー たと感じた。グループだけでなくプロジェクト全体で技 クを利用しているため, 遠距離でも利用することができ 術や知識の共有を行えば、開発作業がよりスムーズに進 る. 自分のツールに可視化されるのは相手の脳波状態, 行できたと考える。発表に関しては、ポスターセッショ つまり相手が集中しているということを自分が知るこ ン形式で行ったため、聴講者とのコミュニケーションを とができる.例えば, 電話をしている時にそのツールが 意識して発表した。これによって聴講者が聞きたい点を 光っていると, 『相手が今大事な話をしているのかな』と 的確に説明でき、聴講者の理解を促せた。しかしフィー 感じ取ることが出来る.そしてそれによって, 『相手が ドバックから声が小さく聞きとりにくかったという意見 真剣に話しているから, 自分もちゃんと話を聞こう』と もあったため、聴講者との距離が近いポスターセッショ 話を聞く態度を正すことができる. 他にもプレゼンテー ン形式の特徴を活かして、聴講者に向かってハキハキと ションを行う際それをつけて発表する事で,発表者は聞 話すべきであった。 き手のデバイスを見て発表の仕方を変えることが出来き 参考文献 聞き手は発表者の伝えたいポイントが分かる様になって いる. (図 6)。 [1] NeuroSky (last access http://www.neurosky.com/ 2013/01/15).
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