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プロジェクト報告書(最終)Project Final Report
提出日 2013/1/16
小学生のためのエデュテイメントシステム開発プロジェクト
Development of Edu-tainment System for Elementary School Students
カリキュラム班
curriculum Group
b1010171 岡村 卓磨 Takuma Okamura
1 背景
を調査する場合に、調査した結果をただまとめるだけで
はなく、その調査結果について自分なりに考えまとめる
エデュテインメントとは「娯楽」と「学習」を合わせ
ことは、小学生だけではなく、中・高校生、また社会に
た造語であり、遊んでいる・楽しんでいるうちに無意識
でた大人であっても重要なことである。そのことを学習
に知識やスキルが身についているというのがエデュテイ
さすることが小学校で行われている総合学習の授業と
ンメントの定義である。既存のエデュテインメントとし
なっている。
ては、テレビゲームやウェブサイトなどに学習要素を含
ませたものなどがある。エデュテインメントを導入する
ことで、難しい学習内容でも取っ付きやすく、また興味
をもって学習をすすめることが出来る。
2 課題の設定と到達目標
今回、我々は函館市立赤川小学校の小学5年生に向け
た総合学習の授業で小学生にどのようなことを学ばせる
本プロジェクトでは、小学生へ向けたエデュテインメ
かを考えた。現代の子供にはコミュニケーション能力が
ントソフトの開発、また、それを盛り込んだ教育カリ
低下している問題を考え、
「伝達力」を学ばせることに決
キュラムの企画・実践をして、評価を行う。実践授業を
めた。小学生に「伝達力」を学ばせるにあたって、一番
するにあたって、例年通り「函館市立赤川小学校」の協
良い方法を考えた結果、小学生が他者に実際に何かを伝
力の下、総合学習の時間を利用して実践授業を行う。
えて身をもって経験させることを考えた。その方法とし
実際に小学校で学習の一貫としてある総合学習の授業
て我々は電子紙芝居づくりをさせ、小学生間で発表をさ
では、全国の小学校によって総合学習のカリキュラムは
せる授業内容に決めた。電子紙芝居づくりとは、紙芝居
異なっている。総合学習の授業では各校の独自のカリ
をデータ化したものである。紙芝居の絵となる部分には
キュラムを立てて授業が行われている。その理由とし
小学生が自ら撮影を行いその写真を使用し、ストーリー
て、総合学習で行われる内容の一つとしてその地元地域
内容は小学生が他者に訴えかけたいことにした。そうす
の動物や名所や自然などを調査し児童間で発表をすると
ることで、小学生の考えを尊重し、「創造力」を養うこ
いうものが行われることが多い。その際に、全国いろい
ともできると考えたからである。
ろな地域にある小学校の近辺で共通するものがあるわけ
電子紙芝居づくりをさせて小学生に学ばせる「伝達
ではないため、各校で独自のカリキュラムをたてる必要
力」とは、
「言葉だけよりも、イメージ化することによっ
性が生じたものであると考えられる。また、時期によっ
て相手に伝わりやすくなる」ということである。一見当
て調査するものが変化したり、イベントなどをテーマと
たり前のようではあるが、小学生が伝えたいことから考
する小学校もある。
え、それをイメージ化させることによって言葉だけでは
小学校によって総合学習の内容として挙げられる物は
説明しきれない部分を知ってもらい、そこをイメージ化
異なる場合があるものの、共通して小学生の主体性を重
することによりどれだけわかりやすくなるかを小学生に
要にされている。小学生が自ら考え、自ら答えを見つけ
感じてもらう事が目的である。この目的を達成させるさ
出すことを大事に考えられている。そのための調査学習
せる授業内容を最初に考えた際に、プレゼンテーション
を小学生に実際に行わせる小学校が多く見られる。物事
をさせることを思いついた。しかし、ただ何かを調査し
てそのことに対してプレゼンテーションを行った場合、
どのように思っているかを調査するため、「言葉だけよ
日頃総合学習で行われている授業と何ら変わりはなく、
りも画像や音声を使うことによってわかりやすくなると
小学生が飽きてしまうことを考え、電子紙芝居づくりと
思いますか」というアンケートに答えてもらった。その
いう結論にいたった。
結果、図1のような結果を得ることができた。
授業を終えるころには、小学生が相手に何かを伝えた
いときには様々な手法があることを感じていることが目
標である。実際に相手に何かを伝える機会があった場合
に、小学生が自分でどうやって伝えるかの方法を考える
ようになると我々は考えている。また、小学生が言葉で
何かを伝えようとし、上手く伝えられなかった際に諦め
ずに伝える方法を考えるようになるとも考えられる。結
果的に、何か物事を伝える手段が言葉だけではないと知
るだけで、コミュニケーション能力や対話の積極性がつ
くことが予想できる。
3 課題解決のプロセスとその結果
プロジェクトメンバーを総合学習の授業カリキュラム
図1
授業前アンケート「言葉だけよりも画像や音声
を使うことによってわかりやすくなると思いますか」
回答結果
を考えるカリキュラム班とエデュテインメントシステム
を開発するシステム班に分けた。プロジェクトメンバー
は最初8名いたが、後期から1名やめてしまったため、
7名で行ってきた。カリキュラム班を4名、システム班
を3名に分け活動を行った。
授業を進めていく上で、いきなり授業をしにきた我々
に対して小学生に警戒されては、授業の支障になって
しまうかもしれないと考えた。そのため、授業を行う前
に交流会を行った。小学校の担当の先生と話した際に、
我々が受け持つクラスは運動が好きな活発なクラスで
はなく、とても大人しいくらすであるとのことだった。
我々はそのことを踏まえ交流会の内容を考えた結果、体
育館で自己紹介と本プロジェクトの大まかな説明をした
後にフルーツバスケットを行うことにした。交流会を通
して我々は小学生の雰囲気を知ることができたことと、
小学生と打ち解けることができた。
授業カリキュラムを考えるにあたり、交流会も含め事
前に何度も小学校を訪問した。担任の先生と教頭先生に
そのときの時点の企画書の提出をし、小学校側の意見を
聞いた。企画書を訂正し再び提出をすることを繰り返し
た。授業の時間帯や、授業を行うにあたって使用する教
室や場所など、どんなに細かいことでも小学校側との確
認を怠らずに行った。
授業を行う前に、小学生が情報のイメージ化に対して
アンケートの結果から、「いいえ」と答える小学生の
方が多かった。
授業の最初に我々は、電子紙芝居とはどのようなもの
かを小学生に知ってもらうために、カリキュラム班で作
成した電子紙芝居をみせた。
第1回目の授業では、小学生に電子紙芝居のテーマと
内容を考えてもらった。テーマは小学生が実際に伝えた
いと思うことを挙げて、話し合って決めていた。グルー
プで共通した伝えたいことを考え、伝えることにどのよ
うな内容があるのかを明確にしていた。我々は、話が脱
線などしてしまわないようにサポートとしてグループご
とに一人つく形となった。話し合いの最中少し遊んでし
まう小学生はいたが、全体的に話し合いに参加している
様子がみられた。早いグループでは、既に電子紙芝居の
ストーリーや役者まで決めているグループもあった。5
つのグループからでた電子紙芝居のテーマは同じような
ものはなく、全て異なったテーマとなっていたため、調
整などの必要がなかった。
第2回目の授業では、電子紙芝居のストーリーを実際
に考えてもらった。ストーリーには何人役者が必要か、
撮影場所はどこにするか、撮影に必要な物の確認、写真
を撮る際にポーズやカメラマンの位置はどうするかな
どを真剣に話し合っていた。グループによっては撮影場
所は一箇所ではなく、数箇所での撮影を行おうとするグ
た。どのようなスタンプが必要であるかをあらかじめ小
ループもみられた。また、撮影のアングルにこっている
学生に聞き、プロジェクトの時間に作成した。このスタ
グループや、表情を大切に使用とするグループや、実際
ンプは、大きさを変えることができるだけでなく、向き
にポーズをとってみてどのように見えるかを確認して
も変えられるようにすることで、小学生にとって使いや
いるグループもあった。進行が遅れているグループは前
すいものとした。
回と引き続きテーマ・内容の決定を急いだ。大体の案が
第5回目の授業では、前回の作業がまだ終わっていな
固まってきたところで、小学生に絵コンテを用意しても
いグループがほとんどであったため、ペイントによる編
らった。撮影の際にイメージを絵にしておくことで、ス
集の時間をここでもう1時間とることとした。この日の
ムーズに行わせるためである。
授業にはマイクを持って行き、録音をさせる準備もして
第3回目の授業では、実際に小学生が考えた通りに撮
いたため、早いグループでは録音を開始しているグルー
影を始めた。体育館で跳び箱をしているところを撮影す
プもあった。しかし、ほとんどのグループはまだ録音の
るグループや、バトミントンをしているところを撮影す
作業にはいるまでにはまだ準備が足りなかったため、ペ
るグループや、校門前でマラソンをしているように撮影
イントによる編集と録音するナレーションやセリフを
するグループなど様々な工夫を考え撮影を行っていた。
考えてもらった。また、考えたナレーションやセリフを
このとき小学生が一番悩んでいたことは、写真で動きを
実際に読んで練習し、ナレーションとセリフの合間の取
表すことであった。写真ではその一瞬をとらえてしまう
り方や、時間を計測するなどをしていた。時間を計測さ
ため、バトミントンであれば羽が宙に浮いているときに
せた理由としては、我々の開発したエデュテインメント
撮影ができずにいたり、マラソンで走っている様子を撮
ソフトは、録音をする際、最初に録音時間をきめる形と
ることなどに苦しんでいた。撮影はなるべく多く撮るよ
なっている。録音を開始してしまった場合、指定した時
うにし、後から良い写真を選べる態勢をとった。撮影が
間がすぎるまで録音は終わることなないソフトとなって
終わったグループは、我々が用意したディスプレイとパ
しまった。このようにしたことに理由はないが、我々の
ソコンを使用し、撮影した写真を確認していた。グルー
知識では好きなタイミングで録音を開始し、好きなタイ
プで話し合い、どの写真を使用するかを真剣に話し合っ
ミングで録音を終了させるプログラムを組み込むことが
ていた。また、写真選びをした後には、実際のセリフま
できなかった。
で考え始めるグループもあった。しかし、撮影が上手く
第6回目の授業では、小学生が練習したように録音を
いかず、もう少し撮影の時間が必要であるグループが
開始した。録音では、あらかじめ時間を決めてから録音
あったため、次回の授業の最初に撮影をしなおす時間を
をするので、小学生は時間調整に苦戦していた。我々の
用意することにした。
準備としては、録音に使用するパソコン用の USB マイ
第4回目の授業では、撮影がまだ終わっていないグ
クを準備した。小学生の5グループが同時に進行できる
ループは撮影をしていた。撮影が終わったグループから
ように5つのマイクをプロジェクトの費用で購入し用意
実際にパソコンを使用して電子紙芝居をつくり始めた。
した。録音を行う際に、他のグループの声や音が一緒に
この際に我々が開発した電子紙芝居を作成するエデュテ
録音されてしまうことを防ぐため、作業を行う赤川小学
インメントソフトを使用した。このエデュテインメント
校の教室を複数用意した。
ソフトは、撮影した写真をパソコンに取り込み、その一
第7回目の授業は、電子紙芝居づくりの最後の授業と
枚一枚をペイントの機能で絵を書いたり、録音機能を使
なった。次回の授業では公立はこだて未来大学で小学生
用してナレーションやセリフを録音するものである。最
間による発表会となっているため、この日で電子紙芝居
初は、ペイント機能を使用した撮影した写真に絵を描く
が完成していないグループは電子紙芝居を完成させ、発
ところから始まった。文字を書くグループや、実際に絵
表の練習を行った。我々の予想では一通りの作業を終え
で鳥を描くグループなど、工夫は様々であった。このと
た小学生のグループが暇を持て余して遊んでしまった
き、ペイント機能によって絵を描くことには限界があっ
り、他のグループの邪魔をしてしまうことを恐れていた
たため、次回までに我々がスタンプを用意することにし
が、実際には電子紙芝居を完成させたグループは発表の
練習を入念に行ったり、電子紙芝居の再確認や再編集な
る。授業後のアンケートで「いいえ」と答えた小学生に
どをしていた。
理由を聞いてみたところ、「発表を聞いていて言葉だけ
第8回目の最終授業は、作成した電子紙芝居を小学生
よりも画像や音声を使うことで伝えたい事が伝わってき
間で発表した。発表は、赤川小学校からの要望により1
たが、自分が作成した電子紙芝居に自信を持つことがで
1月28日水曜日の午前9時10分から公立はこだて未
きなかった。自分達の電子紙芝居では画像や音声を使う
来大学の484教室で行った。電子紙芝居の上映には4
ことでわかりやすくなった自信がない」という考えから
84教室に備え付いているプロジェクターを利用した。
であった。後に感想カードを確認させたところ、作成し
発表には、小学生の家族に案内をして、授業の参観をで
た電子紙芝居に自信を持つことができ、言葉だけよりも
きるようにした。各グループの発表毎にその発表を聞い
画像や音声を使うことでわかりやすくなることを感じて
ていた小学生に感想を書いてもらい、小学生の作成した
もらうことができた。感想カードを確認させたのが、ア
電子紙芝居で伝えたいことを伝えることができたのかを
ンケートに答えてもらった後であったため、実際にはア
確認させた。全グループの発表が終了した後に、今まで
ンケートに「はい」と答える小学生はもっと多かったと
の授業の様子を撮影した写真を使用してスライドショー
思われる。
として小学生に見せた。また、小学生が公立はこだて未
4 今後の課題
来大学に興味を持っていたため、大学内を小学生と一緒
に歩いて一周して案内をした。授業の最後に、「言葉だ
今回のプロジェクトでは、小学生に「言葉だけよりも
けよりも画像や音声を使うことによってわかりやすくな
画像や音声を使うことによって伝わりやすくなる」とい
ると思いますか」という授業前と同じアンケートにもう
う情報のイメージ化による「伝達力」と電子紙芝居の物
一度答えてもらった。その結果図2のような結果を得る
語の考察や撮影の表現などから「創造力」を学ばせるこ
ことができた。
とを目的としてきた。授業前と授業後のアンケート結果
から、小学生に「伝達力」を学ばせることは達成できた
のだと考えられる。しかし、本プロジェクトの授業カリ
キュラムを経て、小学生の生活の変化があるかの調査を
するべきであった。小学校の先生や小学生の両親などか
ら話を聞くことで、授業を受けた小学生の日頃の生活の
コミュニケーションに影響があるかをみると、小学生が
本当に学んでいたかどうかを明確にできたからである。
小学生のためのエデュテインメントシステム開発プロ
ジェクトは、小学生に何かを学ばせることを目的にエ
デュテインメントソフトを開発し、授業カリキュラムを
考える。その企画の段階で、どのような結果を出すこと
ができれば成功といえるのかというプロセスをしっかり
考えておくことが重要である。また、そのためには何を
していくべきなのか計画的に進めていくことが必要であ
る。例えば、授業前と授業後の比較によって結果をみた
図2
「言葉だけよりも画像や音声を使うことによっ
てわかりやすくなると思いますか」回答結果
いとき、授業前の観察をせずに授業を終えてしまった場
合、比較のしようがなくなってしまう。このようなこと
があるため、企画の段階で結果に結びつけるまでの計画
授業前のアンケートでは「はい」と答えた小学生が 13
人であった。それに対して授業後の結果をみると、本プ
ロジェクトで考えた授業カリキュラムで小学生に情報を
イメージ化させる重要さを学ばせることができたといえ
をしっかりとおこなっておくことが重要である。
以上の反省点を活かし、今後の企画やソフトウェア開
発を行っていく必要がある。