提出日 (Date) 2013/01/16 プロジェクト報告書(最終) Project Final Report スマートフォンとクラウドを活用した 未来志向業務支援システム開発 Development of Future Oriented Business Support System Utilizing Smartphone and Cloud Computing b1010122 前田実優 Miyu Maeda 1 背景 2 課題の設定と到達目標 近年、IT 化が進み、多くの企業でコンピュータが利 プロジェクト全体が取組む課題は、ソフトウェアライ 用されている。企業の中でコンピュータの適正な管理を センス管理システムを構築し、高度 ICT コースの専任 行わなければならない。そのコンピュータの中で動かさ 教員に対して、試験運用を行うことである。これは、1 れるソフトウェアのラインセンス管理というものは、コ 年という短い期間では、大学全体で本運用できるシステ ンプライアンスの観点から見ても重要である。 ムを構築することは難しいと考えたためである。目標 ソフトウェアライセンスの管理が不十分であったこと は、大学全体で運用できるシステムを構築することを前 により、不正利用が行われ、社会的な問題となっている。 提として、一部の教員に使用していただき、本システム ソフトウェアライセンスの不正利用が発覚すると、社会 が有効であることを確認することである。また、各班の 的な信用を無くし、場合によっては訴訟され、損害賠償 課題の設定と到達目標は、以下のように定めた。 のリスクが発生する。 これは、企業に限ったことではなく、地方公共団体や、 大学にも言えることである。公立はこだて未来大学 (以 下、未来大学) のソフトウェアラインセンス管理の現状 は、管理が各研究室に任されている。情報を学ぶ大学と して、ソフトウェアライセンセンスを統一的に管理する システムの導入が望まれていた。 そこで、本プロジェクトでは、未来大学で運用する ためのソフトウェアライセンス管理システムの開発を 行う。なお、本プロジェクトは昨年度の高度 ICT プレ コースのプロジェクトを引継いでいる。 昨年度までの高度 ICT プレコースのプロジェクトで は、要件定義を行いシステムの一部の開発を進めてい た。しかし、手戻りの発生によって要件定義の大幅な見 直しが必要となり、システムを完成させることなくプロ ジェクトを終了した。本プロジェクトでは、高度 ICT プレコースで行った要件定義やソースコードを参考にシ • Web 班が取組む課題の設定と到達目標 システムのメインとなる機能を Web アプリケー ションで実現することが課題となる。目標は、ユー ザが効率的に使えるようなアプリケーションにする ことである。 • スマートフォン班が取組む課題の設定と到達目標 スマートフォンアプリケーションを用いて、PC を起動せずソフトウェア情報の閲覧を実現すること が課題となる。目標は、Android と iOS 両方に対 応したアプリケーションを開発することである。 • 棚卸班が取組む課題の設定と到達目標 ソフトウェアライセンス管理が適正に行えてるか を確認する棚卸アプリケーションを実現することが 課題となる。目標は、試験運用までに開発を完了す ることである。 3 課題解決のプロセスとその結果 ステム開発を行うこととした。 プロジェクト全体で取組む課題を解決すべく、各班に またがって課題を解決してきた。以下に、各工程毎に 行った作業内容を記述していく。 3.1 3.3 要件定義 引き継ぎ 背景で述べた通り、このプロジェクトは昨年度の高度 要件定義工程では要件定義書の作成を行った。昨年度 ICT コースで行ったプロジェクトの引き継ぎプロジェ の高度 ICT プレコースで作成した要件定義書が既に存 クトである。そこで最初に引き継ぎ作業を行った。引き 在していたが、システムの見直しを行ったため、新たに 継ぎ作業では、昨年度のプロジェクトに関わっていた先 作成を行った。昨年度の要件定義書を参考にしながら、 輩を TA として招き、昨年度のプロジェクトの経緯や、 機能要件、ユースケース図 (図 2) およびユースケース記 開発したシステムについて説明して頂いた。また、開発 述、非機能要件、業務フロー図等を作成した。要件定義 ドキュメントやソースコードを参考資料として提示頂い 書を作成することにより、システムの目指す形が具体化 た。昨年度行った活動についての不明な点については、 され、それを全体で共有することができた。 随時質問し解決した。 また、要件定義を行う上で、システムが導入されたと 3.2 プロジェクト計画 きに実際の業務に関わる、事務局員へのヒアリングも プロジェクトの計画を立て、プロジェクト計画書にま 行った。ヒアリングを行う際は、本プロジェクトの資料 とめた。プロジェクト計画書を作成するにあたり、本 を作成・説明し、現行の業務やシステムを導入するにあ [1] を用いて調べ、参考にした。また、外部講師の方や たっての課題について話合いを行った。実際のユーザと 担当教員にレビューを頂き随時修正を行った。プロジェ なる事務局員へヒアリングを行うことで、使う人にとっ クト計画以外でも、多くのアドバイザにレビューや意見 てどのようなシステムが使いやすいのか、改めて見直す を頂きながらプロジェクトを進めた。アドバイザの意見 きっかけとなった。 を取り入れることで、より実践的な開発手法について学 ぶことができた。 ユーザのシステム利用を促すため、地図ぬりえという 新しいシステムの提案も行った。地図ぬりえとは、各教 員の研究室ごとの棚卸の状況を色で視覚化することで、 棚卸を促すものである。地図ぬりえの提案を行う際に、 マインドマップを使い、アイディアの発想法を学ぶこと ができた。 スケジュールを作成する上では、WBS の作成に取 組んだ。実際に作成した WBS の一部が図 1 である。 WBS を作成することで、今後行うべき作業を明確化し、 図2 全体で共有することができた。 システム全体のユースケース図 3.4 設計 設計工程では、ユースケースを基に、必要な機能を洗 い出すことから始めた。洗い出した機能を基に、アク ティビティ図や、画面設計図等の作成を行った。各班で アプリケーションを実装するにあたって必要なドキュメ ントの作成を行った。 3.5 実装 実装工程では、各班に分かれて作業を行った。前期は Web 班 5 人、スマートフォン班 5 人での活動であった 図 1 WBS の一部 が、後期は Web 班 3 人、スマートフォン班 4 人、新た に棚卸班 3 人として活動した。実装工程での進捗状況を 見て、適切に人員を配置し開発を進めることができた。 Web 班では、CakePHP というフレームワークを使 登録したソフトウェアライセンスの情報と、実際の PC い、ペアプログラミングの手法を用いて、機能毎に担当 に入っているソフトウェアを抽出し、比較することで、 を分け Web アプリケーションを実装した。ペアプログ ソフトウェアライセンス管理が正しく行われていること ラミングを用いることで、お互いの知識が足りていな を証明する。実際のアプリケーションの画面が図 4 であ い部分を補いながら開発を進めることができた。しか る。アプリケーションを実装する際に、スマートフォン し、2 人で同時に作業を行わなければならず、時間がか アプリケーションでも使われている Web API との通信 かってしまうため、知識がある程度身についた時点で、 が必要になったが、スマートフォン班から移動したメン 1 人で開発を行うようにした。Web 班が実装したアプ バが実装したため、円滑に実装を行うことができた。 リケーションが図 3 である。 棚卸班では、PC 内からソフトウェアの情報を抽出す Web 班では、システム運用のために必要最低限の機 る機能の実装に苦戦し、一部の PC に限り、正しく結果 能は、完成することができた。 が抽出できるようになった。抽出したソフトウェア情報 と Web アプリケーションで登録したソフトウェア情報 の照合機能は完成した。 図 3 Web アプリケーション (閲覧画面) 図 4 棚卸アプリケーション (抽出画面) スマートフォン班では、Titanium Mobile という開 3.6 中間発表 発環境を用いてスマートフォンアプリケーションを実装 中間発表では、プロジェクトの背景や、開発するシス した。スマートフォンアプリケーションの開発では、通 テムについての概要、現在の進捗状況等をスライドやポ 常 Android は Java、iOS は Objective C とを用いて、 スターを用いて発表した。発表スペースにデモ機を用意 それぞれ別の言語で実装しなければならない。しかし することで、実際に開発しているシステムを理解しやす Titanium Mobile を用いることで、Android と iOS で い工夫をした。発表を行うことで自分たちが今まで行っ ソースコードの多くの部分を共通化できた。 てきた活動について整理し、全体で共有できた。 スマートフォン班では、PC を起動せずにソフトウェ 3.7 学長報告 アライセンス情報を閲覧できる機能の実装を完了するこ 中間発表後、プロジェクトのお客様である未来大学学 とができた。 長に、進捗状況の報告新機能の提案を行った。昨年度の また、スマートフォン班のメンバの一部で、地図ぬり プロジェクトの成果については、既に報告が行われてい えのモックアップの作成を行った。当初、地図ぬりえの たため、今年度の進捗状況や昨年度からの変更点を中心 実装も行う予定であったが、スケジュールの関係から に報告を行った。 モックアップの完成のみを行うことに目標を変更した。 昨年度にシステムを完成させることができなかったた 地図ぬりえがなくても、ソフトウェアライセンス管理を め、今年度はシステムを試験運用できるレベルで完成さ する上で必須の機能は揃うと考えたためである。結果と せることを要求された。また、新機能についての了承を して、地図ぬりえの機能を把握することができるモック 得ることができた。システムのネーミングについても学 アップを完成させることができた。 長報告で決定した。 棚卸班では、Java アプリケーションを作成した。こ システムのネーミングは「ソフライン」に決まった。 の棚卸アプリケーションでは、Web アプリケーションで これは「ソフトウェアライセンス管理システム」を省略 したものである。英語表記は「Sofline」であり、line は 大学内でソフトウェアライセンスを統一的に管理するこ とによる、大学内でのソフトウェアライセンスの繋がり を表す。 本報告書を提出後、再び学長報告の機会を頂き、本プ ロジェクトの最終成果の報告を行う。 3.8 テスト 図5 テスト工程では、テスト項目やテストデータを、実装 試験運用の様子 を担当した者が作成した。実装の段階で、単体テストは 行えていると考え、テスト工程では、シナリオベースで のテストを行うこととした。 3.10 成果発表 成果発表では、今年度のプロジェクトでの活動や成果 テスト項目の作成を終えた後、実装を担当していない を発表した。成果発表以外でも、オープンキャンパス等 アプリケーションに対して、テスト担当者を振り分け、 発表の場は多くあり、発表技術を身につけることができ テスト項目の実行を行った。障害が発生した場合には、 た。ソフトウェアライセンス管理という、一般の人には 障害管理表へ記入を行った。 馴染みのないシステムを開発しているため、IT 知識に ユーザが行いうる全てのケースを想定し、テストを進 疎い人でも理解できる説明を心掛けるようにしていた。 めていった。しかし、次工程の試験運用でエラー処理の そのためには、難しい技術用語を極力使わず、一般的な 漏れが発見されてしまった。複数回テストを行ったにも 言葉に置き換えることが必要であった。また、デモ機を 関わらず、テスト工程で発見できなかったため、エラー 用いることで、利用イメージをしやすい工夫を行った。 処理に対する意識が低かったことが考えられる。 3.9 試験運用 試験運用工程では、高度 ICT コースの専任教員であ 4 今後の課題 試験運用を通して、多くの課題が見つかった。第一 る 5 名に協力して頂いた。開発したシステムに対して、 に、Web アプリケーションと、棚卸アプリケーション 手順書を作成し、手順書に沿って説明を行いながら実際 の連携不足により、棚卸の完了ができないケースが多く にシステムを利用、評価して頂いた。実際の試験運用の 発見された。Web アプリケーションで登録したソフト 様子が図 5 である。 ウェア情報と、実際に PC に入ってるソフトウェア情報 最初の 2 名に対して行った試験運用では、利用して を抽出した際に、照合する方法について、検討する必要 頂いている最中にバグが発生してしまった。これは、直 がある。ソフトウェア情報の抽出が正しく行えない場合 前にソースコードの修正を行った後に、自分たちが操作 を考え、全自動ではなく、人の手で照合が行える仕組み し、確認を行わなかったためである。また、棚卸アプリ も考える必要がある。 ケーションでは、Web アプリケーションでソフトウェ 第二に、ユーザにとって能動的に使いたくなるような アを登録する際に、パッケージで登録してしまうと、棚 システムを開発しなければならない。そのために、各ア 卸が完了しないという問題点を考慮できていなかった。 プリケーション間での UI に統一感を持たせる必要があ 一連の動作を自分たちで行うことは必要最低限のことで る。また、使用されている用語の統一も必要である。 あり、事前の準備不足であった。 試験運用で指摘された点について、修正点を絞り、発 いくつか問題は発生したが、試験運用を実施すること 表の最終機会である、プロジェクト学習課外発表会まで ができ、目標の一部は達成された。試験運用に協力して に修正を続けていく。 頂いた教員からは、システムが実現されれば使いたいと 参考文献 いった好意的な評価を頂くことができた。このことか ら、一定レベルでのシステムの有効性は示されたといえ る。しかし、同時に課題も発見することとなった。 おおもり く み こ にしはら た く お [1] 大森久美子, 西原琢夫. ずっと受けたかったソフト ウェアエンジニアリングの新人研修 開発現場編. 翔泳社, 2012.
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