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プロジェクト報告書 Project Report
提出日 (Date) 2013/01/16
アニメ・デ・エデュケーション
Anime de Education
b1010071 斎藤 彩伽 Ayaka Saito
1 概要
気分野のアニメーションと教科書を e-book として iPad
に組み込み、成果物として発表し、活動全体の評価をし
本プロジェクトでは,その国や地域の文化を理解す
てもらえた。
ることにより,子どもたちに重要なメッセージを発信す
るアニメーションの教育コンテンツを作成し,国内・海
外の小学生を中心とした子どもたちに対して教育実習を
2 課題の設定と到達目標
本プロジェクトでは、日本や海外の子供達を対象者
行うことが目的である.
とし、アニメーションを用いた教育を提供することを目
そこでまず、教育分野として、文系分野と理系分野
的としている。
とにわけた。文系分野では言語・文化を中心にアニメー
そこで本プロジェクトでは、アニメーションは国や文
ションを作成する言語文化班 (A グループ)、理系分野で
化を越えて理解できるものと考え、更にアニメーション
はサイエンスを中心にアニメーションを作成する科学班
を教育に利用することで学習の理解を促すことが映像心
(B グループ) の二つに分かれて活動を行うことになっ
理学の研究でもわかっているという裏づけのもと、目的
た。言語文化班では、日本と英語圏の子どもに日本と外
達成に向けて活動を行った。
国の文化比較について教育する予定であった。しかし、
そのための手立てとして、アニメーション作成技術の
本年度は日本の小学生と中学生への教育のみになった。
習得、教育の実践方法の調査、異なる文化についての学
アニメーションの作成は Adobe Flash を用い、ワー
習を学ぶ必要があった。
クショップの機会を得た為、ワークショップの企画も同
到達目標として、言語文化班では、ワークショップで
時に行った。
アニメーションを使った教育実習と結果集計、科学班
夏休みから後期にかけては実際にワークショップや訪
では、ウガンダの教科書と作成したアニメーションの
問授業での教育を行い、それらの教育効果を調べるため
iPad(e-book)への組み込みとウガンダでの実践で得ら
に、アンケート調査を行った。また、アニメーションだ
れたテスト結果集計・統計である。
けではなく、体感的に学習することでより効果を上げる
3 課題解決のプロセスとその結果
ことが出来ると考え、ワークショップではアニメーショ
ンを作る活動や遊びながら学ぶことが出来る活動も企画
本プロジェクトでは日本や海外の子どもたちにアニ
した。
メーションを用いた教育を提供し、その効果があるのか
科学班では、ウガンダの小学生を対象とし、教科書内
どうかを調査することを目的としており、その目的を達
容のアニメーション化を行い、PLE 試験対策を目標に
成する手立てとして異なる文化の学習をするため、3 度
した。中間成果として、雷・力・光分野のアニメーショ
にわたって国際交流を行った。
ンを Flash で作成した。これにより、iPad 端末で教科
最初の国際交流は 5 月にフィリピン人の学生と行っ
書を電子書籍化したものに科学班で作成したアニメー
た。その際のテーマは、
「日本の防災・震災後の対策」で
ションを挿入したコンテンツを作成することができる。
ある。3 つのグループにわかれて 3 つのブースを設置
中間発表会ではこれまでの成果を発表しアニメーショ
し、それぞれの発表を行った。
ンの出来を評価してもらえ、改善点を発見できた。最終
1 つ目のグループは、「震災後に役立つロボットとス
発表会では、1 年を通して Flash で作成してきた雷・電
マートフォンアプリ、防災に役立つスマートフォンアプ
リ」をテーマとして発表した。
2 つ目のグループは、防災グッズ班である。防災グッ
習効果が得られたかを判別するアンケートも作成した。
ズ班では、手ごろで買える防災グッズを紹介することに
科学班では、教育内容を理科(雷・光・力)分野、対
した。紹介したグッズは缶詰、カンパンなどの保存食、
象国をウガンダ、作成するアニメーションの役割決めと
カイロ、手回し発電機である。
作成を行った。また、後期にウガンダでの実践を行うた
3 つ目のグループは、体験班である。災害をテーマと
め、ウガンダの小学生に向けてアニメーション効果を
して体験は簡易オムツと、トイレの作成を行った。
判断するものを検討し、「PLE 試験の過去問題より抜粋
この国際交流では、言葉をあまり使わずに映像を使っ
し新たに作成したテスト問題を解いてもらうこと」に
たり実際のものを見る、といったように、視覚的に表現
した。(教育内容として、電気分野だけに絞ることにし
をすることの効果を知れたと思う。
た。)中間発表では各グループで作成したアニメーショ
次に行った国際交流は、7 月にドミニカ共和国とラト
ンとこれからの課題を発表した。
ビア共和国の学生と行った。そこでは、科学班が作成し
後期として、言語文化班では、札幌で行われたワーク
ていたアニメーションの絵コンテを一緒に考えてもらっ
ショップ「サッポロオープンラボ」の体験学習と東京で
た。考えてもらったアニメーションの内容は、「風力発
行われたワークショップ「東京アカデミーキャンプ」へ
電の仕組み」「乾電池の仕組み」「レモンを用いた発電」
の参加、赤川小学校でのワークショップを行った。前
「自転車のモーターの仕組み」である。この国際交流で
期で作成したアニメーションをワークショップで披露
は、異なった文化の人たちがどのようにして物事を整理
し、アニメーションによる学習効果が得られたかを検証
し、表現しているのかを学んだ。
した。アンケート結果より、アニメーションによりこと
最後に行った国際交流は、11 月にモンゴル人の学生
わざへの理解が深まったことがわかった。また、ワーク
と行った。大きなテーマはフィリピン人の学生と行った
ショップで得られた結果をもとにアニメーションの改善
国際交流の時と同じ、「日本の防災・震災後の対策」で
も行った。
ある。国際交流の行い方もその時と一緒である。また、
科学班では、はじめにドミニカ共和国・ラトビア人留
留学生は日本語を勉強していて交流を容易に行うことが
学生に描いてもらった絵コンテを参考にし、アニメー
出来た。共通の言葉を持つことで交流の量が確実に多く
ション作成を行った。またウガンダへ作成したアニメー
なることがモンゴルの留学生を通して感じることが出来
ションを持って行く手立てを話し合った。手立てとし
た。さらに文化交流の面として、日本の兜を折ったり、
て、iPad の e-book に教科書と作成したアニメーション
モンゴルの兜を教えてもらったりして交流を深めること
を合わせたものを入れて持って行くことになった。調査
が出来た。
方法としては、PLE 試験の過去問題から私たちが抜粋
さらに、目標を達成させるために各グループごとで活
して作成した問題を対象者 (ウガンダの 7 年生) にアニ
動を行った。前期では、はじめにアニメーション作成技
メーションを見せる前後で解かせて、結果をみることに
術の習得のため、各グループごとに技術リーダーを一人
した。結果からわかったことをアニメーションに活か
ずつ決め、技術リーダーを中心にアニメーションツール
し、改善した。
(主に Adobe Flash)の勉強会を行った。さらに両チー
最終発表では、一年間の活動内容をもとに、言語文化
ムで必要なアニメーション技術について話し合いをし
班は、ワークショップで使用したアニメーションとワー
た。次に、Flash 以外で使えるツールを探し、Pixton・
クショップで得られた結果を発表した。デモ機として
scratch・コマ撮り撮影の方法を試した。
Flash で作成した雷・電気分野のアニメーションと教科
言語文化班では、ワークショップの体験学習への準備
書を iPad へ挿入したものを成果物として発表した。
と8月に東京で行われる福島の子供たちのためのワーク
プロジェクトの成果
ショップに向けての企画、準備を進めた。準備として、
・言語文化班 前期はアニメーション使った教育コ
教育内容をことわざに絞り、
「大学生の一日」をいうテー
ンテンツの作成を行った。ことわざを題材にし、アニ
マでアニメーションを作成していくことになった。ま
メーションを作るための台本、絵コンテを作成した。前
た、ワークショップの企画案とアニメーションによる学
期では予定であった全てのアニメーションのうちの1/3
程度のみ出来上がった。そして8月に東京アカデミー
ワークショップの見学、ワークショップについての調査
キャンプでのワークショップ実施の機会を得た。その為
を行い、今後の企画の参考にする。
にまずは勉強会として札幌で行われたワークショップを
8月6日に東京で行われるアカデミーキャンプへ参
見学し、子供への接し方・教育の仕方、企画の仕方を学
加。このアカデミーキャンプは福島の子供達を元気付け
んだ。そこで改めて感じたのは子供の興味を引く難しさ
ようと企画されたワークショップであり、対象は小学4
である。子供は様々なことに興味を持つため、私達が考
年生から中学3年生の合計40人が参加する。その中の
えていること以外へ目を向けてしまうとそちらばかりに
1つのプログラムの時間を頂き、アニメーションを使っ
気をとられてしまい、そうすると企画が崩れてしまうの
た授業、体感的に学習出来る活動を企画する。
である。しかしこちらからの問いかけにはきちんと反応
さらに9月には函館市立赤川小学校を訪問し授業を
する子供が多いので、私達がしっかり誘導をすることが
行う。1コマの時間を与えられているので、その中で出
大切であると学んだ。また、説明をするタイミングも重
来るアニメーションを使った授業、体感的に学習できる
要である。すべてを教えるように説明するのは子供の自
ものを企画する。さらに東京アカデミーキャンプのワー
主性を損なう。ある程度子供が自主的に出来るような環
クショップの反省を参考にさらによいものへ改善して
境作りも大切である。
いき、時間が全く違うので企画の変更をしなければいけ
アニメーション作成としては、前期には予定全体の
ない。実際の後期の活動としては主にワークショップの
1/3ほどしか出来上がらなかった。理由としては、こ
実施をした。まず、私達はワークショップについてなん
とわざを題材とするのに時間がかかり過ぎたこと。もう
の知識もなかった為、サッポロオープンラボの見学をし
1つはアニメーションを作る技術が足りなかったことで
た。そこでワークショップで気をつけるべき点やアドバ
ある。前者の理由として、まず、最初から日本・外国・
イスを頂いた。特に子供の自主性や主張を大事にするこ
文化・言語の4つをテーマとして考えており、全てを網
とを学んだ。教育となると一方方向になりがちになる
羅出来て、かつ、アニメーションにしやすいものを考え
が、ワークショップは子供発信で行うことが必要である
るとなかなか結論が出なかった。デメリットばかり考え
のでアニメーションだけではなく、体感的に学習が出来
てしまっていたように思う。結果、どれかを犠牲にしな
ることを用意する必要があった。
ければアニメーションの作成までたどり着くことが出来
ワークショップは東京アカデミーキャンプと函館市
ないと考え、前期は日本の子どもに言語を教えることに
立赤川小学校での訪問授業の2つを行った。東京アカデ
焦点を当てた。加えてサッポロオープンラボには出展予
ミーキャンプでは日本のことわざについて、函館市立赤
定だったが、見学会に変更し、東京アカデミーキャンプ
川小学校では日本と外国のことわざについて教育を行っ
での実施に向けて活動を行った。後者は、アニメーショ
た。それぞれで、理解度調査をしたところ、ほとんどの
ンを作る為に Adobe Flash を選択したが、この選択
子供が学習前は知らないことわざばかりだったのが、同
も遅れたのが原因の1つである。Adobe Flash はメン
じことわざを学習後に再調査したところ、理解度は上が
バーの中で1人しか使うことが出来ず、勉強会から始ま
り、9割近い子供が学んだことわざを理解しているこ
らなければならないことは明らかだった。それでは時間
とがわかった。さらにアンケートには「とても楽しかっ
がかかってしまう為、他のソフトウェアでアニメーショ
た」や「ことわざに興味を持てた」と記述していた。
ンを作成することを考え、pixton や scrach など試行錯
体感的学習として、東京アカデミーキャンプではこと
誤をした。しかしあまり良い出来にはならず、結果2ヶ
わざを使ったコマ撮りアニメーションの作成、函館市立
月間使わない作品を作ることになってしまった。勉強会
赤川小学校ではカルタの絵を書き遊ぶとういう活動を
を6月後半から始め、やっと皆が Adobe Flash を触
行った。それぞれアニメーションで学習していないもの
れるまでになったが、まだまだアニメーションを作るま
を選びアンケートにして理解度調査を行った。するとほ
での技術は付かず、結果的に元から Adobe Flash を
ぼ100パーセントの人が自分が関わったことわざにつ
使えるメンバーに仕事を任せる結果になった。
いて理解ができていた。つまり、アニメーションでの学
後期としては、7月15日にサッポロオープンラボで
習に体感的に学習を行うと理解度が深まることがわかっ
た。
参考文献
・科学班 前期はウガンダ共和国の文化の調査か
ら、教育現場の調査までを行った。そこから、どういっ
[1] Kaoru Sumi, Mizue Nagata: Interactive e-Hon as
た分野のアニメーションを作成すればいいのかを検討し
Parent-Child Communication Tool. HCI 12, vol-
た。その後、アニメーションを作成する分野を「電気」
ume 6772 of Lecture Notes in Computer Science,
に設定し、4 つのアニメーションを制作した。分野を
page 199-206.Springer(2011.7)
「電気」と設定する前には、「力の作用」や「光の屈折」
などのアニメーションも作成して試行錯誤してみたのだ
が、3 つの分野のアニメーションを中途半端に作成する
よりは、分野を 1 つに絞ってより詳細に説明をしたほう
が、子どもたちの頭に残りやすいだろうと考え、今回は
「電気」分野にフォーカスを当ててアニメーション制作
を行った。前期に作成したアニメーションは「雷の仕組
み」「乾電池の仕組み」「レモンを使った発電の仕組み」
「風力発電の仕組み¿」、この 4 つである。この作成した
4 つのアニメーションは実際にウガンダ共和国の子ども
たちにみてもらうことができた。
後期には、ウガンダ共和国の小学校で行った調査をも
とにアニメーションの修正、改善、追加作成を行った。
具体的には、「アニメーションから音を消す」「テスト結
果が悪かった問題のアニメーションを追加作成」という
ことである。なぜアニメーションから音を消したかとい
うと、アニメーションをみている子どもたちが、耳を塞
ぐという行動をとっていたからである。音声があると映
像に集中できなかったり、音に驚いてしまっているよう
だった。そのことから、前期に作成したアニメーション
から音声を消したものを制作した。またアニメーション
をみてもらう前と後とで子どもたちに電気分野のテスト
を解いてもらったのだが、前期に作成したアニメーショ
ンだけでは補いきれていない部分があったので更にその
部分のアニメーションを作成した。内容は「静電気の仕
組み」「回路図」
「直列・並列回路」である。修正・追加
作成したアニメーションは再び 2 月にウガンダ共和国
の小学校の子どもたちにみてもらう予定である。
4 今後の展望
これまでの成果より、アニメーションを用いた教育
は今後さらなる発展が期待できることがわかった。他の
分野や他の国でも同様にアニメーションを使って教育が
出来るのではないかと考えることができた。
[2] ,e,suck(2007/7) [FLASH アニメーション製品バイ
ブル] オーム社
[3] ex van der spuy(2010/11) [FLASH ゲームテクニッ
ク] ボーンデジタル
[4] pixton」 http://www.pixton.com/jp/ (Last accessed 2013/01/08)