シュローダー 臨時レポート 2014年11⽉ ⽇本株式運⽤責任者に聞く 「これからの⽇本株式市場」⼀問⼀答 ⽇銀による予想外の追加⾦融緩和の決定と、年⾦積⽴⾦管理運⽤独⽴⾏政法⼈ (GPIF)の基本ポートフォリオの⾒直しによる株式への期待感が⾼まり、⾜元では ⽇本株式市場は⼤幅⾼、外国為替市場では円安が進⾏しました。 前⽥正吾 取締役 ⽇本株式運⽤統括 そこで、シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社の⽇本株式運⽤責任者 である前⽥正吾が、これからの⽇本株式市場の⾒通しを解説いたします。 ⽇銀は10⽉31⽇、⾦融政策決定会合で、追加⾦融緩和を決定しました。⾜元の物価上昇が鈍化していること を受けて、⻑期国債を30兆円増の年約80兆円、上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)をそれ ぞれ3倍の年3兆円と年900億円まで、購⼊量を増やすことを発表しました。 ⽇銀による追加⾦融緩和の決定に加えて、GPIFがこれまでの国内債券中⼼とした運⽤⽅針を⼤きく変える、基 本ポートフォリオ(資産構成割合)の⾒直しを発表しました。GPIFは、中⻑期的に国内債券の構成割合を 60%から35%に引き下げる⼀⽅、国内株式の割合を12%から25%まで引き上げ、海外株式と合わせて株式と 債券との割合を半々にする運⽤⽅針を打ち出しました。 ⽇銀の追加⾦融緩和の決定をどう⾒ますか。 ⾮常にポジティブに捉えています。今年4⽉の消費税率引き上げ後に下振れしている国内景気に対しても、プラスの影 響があると⾒ています。⽇銀がデフレ脱却に向けたコミットメントを⽰したことはポジティブです。また、⽇銀のETFおよびJREITの買い⼊れ増額も、GPIFの国内株式構成割合引き上げと併せて、⽇本株式市場を継続的に下⽀えすると予 想します。 ⽶連邦準備制度理事会(FRB)が利上げした場合、⽇本株式市場への影響はどう⾒ますか。 利上げの背景は⽶国景気が堅調であるということですからポジティブに⾒ていいと思います。⾦融政策のスタンス、⾦利 差などにより円安の⽅向感が明確になりますし、何より⽶国景気が強いことは、多くの⽇本企業にとってプラス効果があ ります。 円安は⽇本経済にプラスかマイナスか。 為替相場の予想はしていませんが、今後、110円を超えた円安⽔準が定着する可能性が⾼くなったと感じています。結 果として、企業業績には⼤きなプラスとなる⾒込みです。中でも、輸出関連、外需関連のシクリカル銘柄に恩恵がある と⾒ています。円安のマイナス効果を喧伝する声もありますが、総じてプラス効果が上回ると考えています。 シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社 ⾦融商品取引業者 関東財務局⻑(⾦商)第90号 加⼊協会: ⼀般社団法⼈⽇本投資顧問業協会、⼀般社団法⼈投資信託協会 本資料はシュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社が作成したものです。本資料は投資に係る参考情報を提供することを⽬的とし、特定の有価証券や市場セクターの勧誘や 推奨を⽬的として作成したものではありません。また、当社が販売会社として直接説明するために作成したものではありません。当資料の⾒解は作成時点の当社の意⾒・⾒解を反映した ものであり、意⾒・⾒通しは市場環境や経済状況によって将来予告なく変更されることがあります。また、記載されている情報の正確性、完全性などについて保証するものではなく、それを 使⽤したことによる結果について何ら保証するものではありません。過去の実績は将来の投資成果を⽰唆・保証するものではありません。 1 シュローダー 臨時レポート 2014年11⽉ ⽇本株式運⽤責任者に聞く 「これからの⽇本株式市場」⼀問⼀答 企業業績の⾒通しは。 上期の決算は上振れており、国内景気の下振れや輸出の出遅れなどのマクロ要因が弱い中で、企業業績は堅調を 維持しています。これは企業努⼒の結果と⾔っていいと思います。9⽉以降の⼤幅な円安効果はこれからプラスに効い てきます。下期、通期の決算においても円安効果も含めて、業績の上⽅修正が期待できると考えます。 バリュエーション⾯では、⽇本株式市場はまだ割安でしょうか。 ⾮常に割安である、という⽔準ではなくなってきたのは確かですが、追加⾦融緩和などの企業業績への影響はこれから であり、まだ相対的に割⾼⽔準には⾄っていないとみられます。海外市場に⽐べて、⽇本株式市場は出遅れ感があり ますし、短期的には急騰しましたが、2014年の上昇率は+4.3%(TOPIX配当込、2014年10⽉末時点)とそれほ ど⾼いものではありません。企業業績の上⽅修正期待を踏まえると、株価収益率(PER)でみた割安度合いは⾼ま るでしょうし、株価純資産倍率(PBR)でみるとまだ割安です。 ⽇本株式市場のけん引材料として注⽬しているポイントは。 企業が⾃助努⼒で資本効率を改善する動きは近年になく⾼まっていま PBRとROE(⾃⼰資本利益率)の関係 (倍) 3.0 ⽶国 す。PBRが相対的に割安となっている主な理由は、⽇本株式市場の⾃ ⼰資本利益率(ROE)が依然として他の主要市場に⽐べて低位にと らに強めれば、ROEが改善していくと⾒込まれます。GPIFに加えて、⽇ 銀もROE基準を取り⼊れたインデックス「JPX⽇経インデックス400」連 動型のETFを購⼊することを発表しました。機関投資家が上場企業に PBR PBR どまっていることにあります。今後、⽇本企業が株主重視の経営姿勢をさ 2.6 2.2 英国 1.8 ドイツ 1.4 対して株主価値向上の為により積極的な⾏動を促す「⽇本版スチュワ ードシップ・コード」の導⼊に加えて、来年には企業経営の規範となる「コ ーポレートガバナンス・コード」が導⼊される予定です。さらに、議決権⾏ 使においてもROE基準が導⼊されていきます。こうした⼀連の動きが、 ⽇本 1.0 6 8 10 12 ROE ROE 14 16 (%) 出所: Datastream、MSCI指数ベース、 2014年9⽉現在 ROEを意識した経営を後押しすると期待されます。 ⾜元の投資環境下、どのようなセクターに注⽬していますか。 円安⽔準の定着が、どのように企業業績に反映されていくかに注⽬しています。円安による恩恵がまだ株価に織り込ま れていない、業績の上⽅修正が⾼まる可能性のある輸出や外需関連の景気循環的(シクリカル)な銘柄に投資魅 ⼒が⾼いと考えています。 シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社 ⾦融商品取引業者 関東財務局⻑(⾦商)第90号 加⼊協会: ⼀般社団法⼈⽇本投資顧問業協会、⼀般社団法⼈投資信託協会 本資料はシュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社が作成したものです。本資料は投資に係る参考情報を提供することを⽬的とし、特定の有価証券や市場セクターの勧誘や 推奨を⽬的として作成したものではありません。また、当社が販売会社として直接説明するために作成したものではありません。当資料の⾒解は作成時点の当社の意⾒・⾒解を反映した ものであり、意⾒・⾒通しは市場環境や経済状況によって将来予告なく変更されることがあります。また、記載されている情報の正確性、完全性などについて保証するものではなく、それを 使⽤したことによる結果について何ら保証するものではありません。過去の実績は将来の投資成果を⽰唆・保証するものではありません。 2
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