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シュローダー 臨時レポート
2014年12⽉
改めて考えたい新興国株式投資
〜今は投資のタイミングなのか?
ここ数年、新興国株式は先進国に⽐べて値動きが弱い印象があります。
世界経済が緩やかな回復に向かう中、成⻑性の⾼さには期待したいが、懸念材料も多い、との声も聞かれます。
では、現時点での新興国株式投資をどう考えたらよいのでしょうか?
最近の新興国株式市場と投資環境を考察します。
1
過去10年間の新興国株式市場
〜基本的に先進国を上回る上昇率。ただし、危機には注意。
新興国株式は、2000年以降、概ね堅調に推移し、2013年末までの10年間で+188.3%(⽶ドルベース)と
⼤幅に上昇しました。例外は⾦融危機のような市場環境の急変時で、投資家のリスク回避姿勢の影響を受け、先進
国株式を上回って調整しました。
年
新興国株式
年間リターン
(⽶ドルベース)
先進国株式
年間リターン
(⽶ドルベース)
リターンの差
(新興国-先進国)
2004年
+25.6%
+14.7%
+10.8%
2005年
+34.0%
+9.5%
+24.5%
2006年
+32.1%
+20.1%
+12.1%
2007年
+39.4%
+9.0%
+30.4%
2008年
-53.3%
-40.7%
-12.6%
2009年
+78.5%
+30.0%
+48.5%
2010年
+18.9%
+11.8%
+7.1%
2011年
-18.4%
-5.5%
-12.9%
2012年
+18.2%
+15.8%
+2.4%
2013年
-2.6%
+26.7%
-29.3%
2014年
?
?
リーマンショック
欧州債務危機
バーナンキショック
?
(2014年10⽉末*)
(+3.6%)
(+4.6%)
(-0.9%)
直近10年間
+188.3%
+96.3%
+92.0%
出所:Bloomberg 新興国株式はMSCIエマージング・マーケット・インデックス、先進国株式はMSCIワールド・インデックス
*10⽉末までの10カ⽉間
※最終ページの「ご留意事項」を必ずご確認ください。
シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社
⾦融商品取引業者 関東財務局⻑(⾦商)第90号
加⼊協会: ⼀般社団法⼈⽇本投資顧問業協会、⼀般社団法⼈投資信託協会
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2013年の株式相場:先進国は上昇、新興国は下落
〜明暗を分けたのは「市場の期待」
以下の表は、2013年の株式市場のリターン(⽶ドルベース)を4つの要因に分解したものです。
2013年の新興国と先進国株式市場のリターンの差のほとんどは、「バリュエーション要因」の差であったことがわかります。
ここでいう「バリュエーション要因」とは、企業収益要因や通貨要因などのファンダメンタルズや客観的な市場動向では説
明できない部分が全て含まれます(例えば、市場のセンチメント、市場参加者の期待や失望、需給による価格変動な
ど)。
つまり、2013年の先進国株式は「期待」で買われ、逆に新興国株式は「懸念」で売られたと分析できます。
2013年の新興国と先進国株式のリターン(⽶ドルベース)の要因分析
2013年の
①
リターン
バリュエーション要因
(⽶ドルベース)
(PERの変化)
②
企業収益要因
(EPSの変化)
③
通貨
要因
④
配当
要因
先進国株式
27%
18%
7%
-2%
3%
新興国株式
-3%
-5%
6%
-6%
3%
バリュエーション要因に⼤きな差
企業収益要因に⼤きな差はなし
出所:JPモルガン、シュローダー 新興国株式はMSCIエマージング・マーケット・インデックス、先進国株式はMSCIワールド・インデックス
それぞれの値を四捨五⼊して表⽰しているため、要因の合計はリターンと⼀致しません。
● 堅調な伸びが⾒込まれる新興国企業の実質EPS(1株当たり利益)
シュローダーのエコノミストによる7年間予想では、新興国企業の実質EPSは堅調な伸びが⾒込まれています。
新興国企業の実質EPSの推移
7年間予想
新興国企業の実質EPS
実質EPSトレンド
1999年1⽉を100として指数化
新興国企業の
実質EPSは堅調に
伸びると予想
1999年1⽉〜2014年7⽉、2014年8⽉以降はシュローダーによる予想値
新興国企業はエマージングマーケットーデータストリームマーケットの実質EPS(3カ⽉移動平均)、実質EPSトレンドは実質EPSの7年間移動平均。
出所: Thomson Datastream、Schroders Economics Group 2014年7⽉時点
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⾦融商品取引業者 関東財務局⻑(⾦商)第90号
加⼊協会: ⼀般社団法⼈⽇本投資顧問業協会、⼀般社団法⼈投資信託協会
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今後の新興国株式市場を考える
〜懸念材料を分析
● 成⻑率の鈍化
先進国企業が⽣産拠点を新興国に移転したことに伴う⽣産拠点網の拡⼤、新興国から先進国への輸出の増加が
2000年以降の新興国成⻑の⼀因となりましたが、逆に、リーマンショック以降の世界的な需要の低下による輸出の低
迷が、最近の新興国の成⻑率鈍化につながっています。
しかし、今後、先進国を中⼼とする世界経済の回復により、新興国の輸出が改善すれば、新興国経済の勢いも回復
すると考えられます。
新興国株式と⽶国輸⼊額の推移
⽶国経済の更なる
回復は新興国株式
にプラス
出所:Bloomberg
1999年12⽉末〜2014年9⽉末(四半期ベース)
1999年12⽉末を100として指数化 新興国株式はMSCIエマージング・マーケット・インデックス
● ⽶国の⾦融政策正常化の影響
過去の新興国経済の成⻑や株式市場の上昇を⽀えたもう⼀つの要因として、先進国の低⾦利政策による資⾦流⼊
が挙げられます。⽶国でQE3(量的⾦融緩和政策)が終了し⾦融政策が正常化に向かっていることにより、新興国
に還流した資⾦が逆流し、流動性が低下することが懸念されています。
しかし、⽶国の⾦融政策正常化への道筋は市場では既定路線となっており、新興国株式市場もかなりの部分を織り
込んできたと思われます。⽶国の⾦融緩和終了、利上げは⽶国景気回復に伴って⾏われるもので、今後は、景気回
復による恩恵が利上げの悪影響を上回ってくるものと考えられます。
また、新興国では持続的な成⻑に向け、各国でさまざまな構造改⾰が進んでいます。改⾰の進捗によって国内経済の
⼒強さが増せば、海外要因の悪影響を受けにくくなり、更なる成⻑につながることも期待されます。
主な改⾰の内容
中国
習政権では、バランスのとれた成⻑、投資から消費への移⾏を⽬指し、国有企業改⾰、⾦利⾃由化、
⾦融制度改⾰、税制改⾰、腐敗防⽌などに取り組んでいる
インド
2014年5⽉に構造改⾰を唱えるモディ⾸相が就任
外資規制の緩和、⼤規模なインフラ整備計画などにより成⻑促進を⽬指す
インドネシア
2014年10⽉、改⾰派のジョコ・ウィドド⼤統領が就任
インフラ整備、腐敗撲滅、資源政策などによる経済の活性化を⽬指す
メキシコ
2012年12⽉、ペニャニエト政権発⾜
エネルギー産業の⺠間開放や財政改⾰による中⻑期的な成⻑を⽬指す
出所:各種資料よりシュローダー作成
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⾦融商品取引業者 関東財務局⻑(⾦商)第90号
加⼊協会: ⼀般社団法⼈⽇本投資顧問業協会、⼀般社団法⼈投資信託協会
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新興国のどこに期待?
〜⾼い成⻑性、⾼まる世界での存在感
新興国の成⻑率は依然として⾼⽔準にあり、IMFの予想では、2015〜2019年の5年間の平均で約5.2%と2014
年を上回る⽔準が⾒込まれています。
また、世界のGDP構成⽐は、購買⼒平価ベースでみると、すでに新興国が57%と先進国の割合を上回っています。
⼀⽅で、世界の株式時価総額に占める新興国の割合は、2割未満で、株式時価総額が経済規模を反映すると考え
ると、今後、新興国の株式時価総額は⼤きく拡⼤する余地があると考えられます。
⼈⼝の多さで圧倒するだけでなく、新興国でも中間層や富裕層が増加してきており、今後は消費市場としての魅⼒も
⾼まってくると考えられます。成⻑を⽀える労働⼒となる若年層の割合が多いことも強みです。
新興国と先進国の実質GDP成⻑率予想
世界のGDP構成⽐と株式時価総額構成⽐
(2014年)
GDP
構成⽐
%
時価総額
構成⽐
%
拡⼤の
可能性
出所:IMF、Bloomberg GDP構成⽐は2011年基準の購買⼒平価ベース
株式時価総額構成⽐は、先進国:MSCIワールド・インデックス、新興国:MSCI
エマージング・マーケット・インデックス
出所:IMF
地域別の中間層・富裕層⼈⼝
新興国と先進国の⼈⼝ピラミッド(2010年推計)
先進国
中間層・
富裕層が
13億⼈以上
増加する
⾒込み
新興国
労働⼒とな
る若年層が
豊富
(万⼈)
出所:通商⽩書2013
中間層・富裕層は世帯年間可処分所得が5,000ドル以上
世帯可処分所得別の家計⼈⼝。各所得層の家計⽐率×⼈⼝で算出。
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⾦融商品取引業者 関東財務局⻑(⾦商)第90号
加⼊協会: ⼀般社団法⼈⽇本投資顧問業協会、⼀般社団法⼈投資信託協会
出所:国連⼈⼝部
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今は新興国株式へ投資するタイミングなのか?
〜タイミングをはかるのは難しいが、バリュエーションの魅⼒は⾼い
● 割安感が魅⼒
新興国株式は最近の出遅れから、予想PER(株価収益率)などでみた場合、先進国株式と⽐較して割安な⽔準と
考えられます。
新興国株式の予想PERの推移
新興国株式の予想PERの
先進国株式に対する割安度
割⾼
割安
期間中平均
出所: Schroders、Factset、IBES、MSCI
株式はMSCIワールド・インデックス
2014年10⽉末
時点で先進国に
⽐べ約24%割安
な⽔準
1994年10⽉末~2014年10⽉末
新興国株式はMSCIエマージング・マーケット・インデックス、先進国
● 反転のサインを⾒逃さない
以下のグラフは、発表されたマクロ指標と市場予想のかい離をはかる指標の推移です。
先進国では2013年末近くからポジティブサプライズが増えてきているのに対し、新興国では少し遅れて2014年2⽉以
降、増加してきています。こうした変化は反転のサインの⼀つの可能性があります。
新興国成⻑サプライズ指数の推移
出所: Bloomberg
2011年1⽉末〜2014年10⽉末
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今は新興国株式へ投資するタイミングか?
新興国株式へ投資するにあたり、「分散のチカラ」を味⽅につけて
投資を始めるのは⼀つの⽅法です。
新興国と⼀⼝にいっても、国や地域ごとに値動きに違いがありますから、⼀つの国や地域に集中せず、
「国・地域の分散」でリスクを抑える⽅法が考えられます。
割安感のある今、成⻑⼒ある新興国株式投資を始めたいと考えた場合、「分散のチカラ」でリスクを抑えて
幅広く新興国株式の成⻑を享受することを⽬指すのは、有効な投資⼿法の⼀つといえるでしょう。
新興地域と先進国指数の年間リターン(⽶ドルベース)
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
中南⽶
中東欧
中南⽶
中南⽶
先進国
中南⽶
アジア
先進国
中東欧
先進国
39.4%
50.5%
43.2%
50.4%
-40.7%
103.8%
19.0%
-5.5%
24.3%
26.7%
中東欧
中南⽶
中東欧
アジア
中南⽶
中東欧
中東欧
アジア
アジア
アジア
35.9%
50.0%
36.1%
41.1%
-51.4%
85.4%
16.7%
-17.4%
20.8%
2.0%
アジア
アジア
アジア
中東欧
アジア
アジア
中南⽶
中南⽶
先進国
中東欧
14.8%
26.8%
32.7%
30.0%
-53.0%
73.6%
14.7%
-19.4%
15.8%
-4.5%
先進国
先進国
先進国
先進国
中東欧
先進国
先進国
中東欧
中南⽶
中南⽶
14.7%
9.5%
20.1%
9.0%
-68.1%
30.0%
11.8%
-23.7%
8.7%
-13.4%
出所: Bloomberg
中南⽶はMSCIエマージング・マーケット・ラテンアメリカ・インデックス、中東欧はMSCIエマージング・マーケット・ヨーロッパ・インデックス、アジアはMSCIエマージン
グ・マーケット・アジア・インデックス、先進国はMSCIワールド・インデックス
経済の成熟度
各国経済の成熟度(イメージ図)
新興国は
⼒強い成⻑⼒
が魅⼒
出所: シュローダー
上記はあくまでイメージ図であり実際とは異なる場合があります。
発展段階
【ご留意事項】
本資料はシュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社が作成したものです。本資料は投資に係る参考情報を提供することを⽬的とし、特定の有価証券
や市場セクターの勧誘や推奨を⽬的として作成したものではありません。また、当社が販売会社として直接説明するために作成したものではありません。当資料
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