臨 床 血 液 54:10 第 75 回日本血液学会学術集会 赤血球系疾患 EL-8 トピックス 血液,血漿,赤血球のメタボローム解析 Romanas CHALECKIS 1, 2, *, 柳 田 充 弘3 Tomá PLUSKAL 3, *, 林 武 志 3, *, 近 藤 祥 司 2, Key words : Metabolomics, Red blood cell, LC-MS, Database を用いたメタボローム解析に過去数年間従事してき はじめに た2, 3)。その経験をもとにヒト血液,血漿,赤血球のメ メタボローム解析(メタボロミクス)とは,生体内代 タボロームの個人差を調べる研究をおこない興味深い知 謝活動に関与する低分子化合物(代謝物,メタボライト) 見を得つつある。血液のみならず,一般的なサンプル調 を網羅的に解析することである。システム生物学と呼ば 製方法,代謝物の検出方法について,我々が現在用いて れる発展途上の omics 生物学分野において新しい包括 いる方法について紹介する。また,得られる生データか 的手法として注目されている。 (強調しておきたいこと らどのように代謝物を同定するのかなど,膨大なデータ は,遺伝子転写物やタンパク質解析と異なり未知代謝物 の解析および処理方法についても我々が現在行っている の同定は現状では容易ではなく,標準化合物が利用でき 方法を概説したい。 ないために,極めて多数の未知化合物が未同定代謝物と して解析データ中に存在することである) 。 近年,質量分析機器の性能や大量のデジタルデータの ヒト血液メタボローム研究の現状 これまでに行われてきたヒト血液メタボローム研究の 解析技術が飛躍的に向上したために,膨大な種類の代謝 多くは,血液の容積の 50∼55%を占める非細胞成分, 物を一度に解析できるようになってきた。そのために医 つまり血液の液体成分である血漿あるいは血清の解析に 学医療研究においてはこの最先端技術のメタボローム解 焦点が当てられてきた。現在のメタボローム解析技術に 析に特に大きな期待がかけられている 。疾病や老化な よる結果においては,血漿(plasma)と血清(serum) どの指標となるバイオマーカー候補の探索や疾患診断に は,凝固反応過程に関連する成分以外は良く似ている。 1) 有用と期待されており実際の成果もあがりつつある。 ヒトを対象としたメタボローム解析では,検査目的で 容易に用いられること,低分子化合物を短時間に抽出で 包括的メタボローム研究以前の膨大な研究が示すよう に4),血漿,あるいは血清は身体の代謝状態を知る優れ た情報源となり得る。 きることなどから,現在のところ,血液や尿が主な検査 ヒトの血漿の生化学的解析の歴史は古く,グルコー 試料となっている。特に血液は,全身を常に循環してお ス,クレアチニン,尿酸など,多くの臨床生化学的なパ り,個体の全代謝状況を把握する上で最も良い検査試料 ラメータ化合物が存在する。臨床検査とは異なり,メタ となると考えられる。 ボローム研究ではごく少量の血漿サンプルから一度に数 この小論では,ヒト血液のメタボローム研究における 百の既知代謝物を検出することも可能になった。メタボ 最近の動向を紹介したい。我々の研究グループでは当初 ローム研究は,既知物質の血漿中の存在を確認するとと 真核微生物である分裂酵母 Schizosaccharomyces pombe もに,数千の新規,その大部分の構造は未確定の化合物 を発見してきた5)。 京都大学大学院 生命科学研究科 2 京都大学医学部附属病院 老年内科 3 沖縄科学技術大学院大学 G0 細胞ユニット * 貢献度が等しい著者 1 少量の血漿サンプルから一度に数百の化合物を検出可 能になったことで,新たな問題に挑戦できるようになっ た。食物や薬品摂取の研究がより総体的になった,つま り薬剤分子やその誘導体の変動だけでなく,付随した他 57(1603) −臨 床 血 液− の代謝物の変動も測定されるようになった。 ボローム研究は十分量の細胞を分離するのが容易でない 例えば,肥満バイオマーカーの同定 や食物繊維摂取 6) の効果 ,概日リズムに影響を受ける代謝物の解析 ため,数えるほどしかない。 8, 9) ほとんどの既発表論文は赤血球のメタボローム解析結 など,血漿を対象としたメタボローム解析が行われてき 果についてである。最近の赤血球メタボローム解析の報 た。 告の,測定方法と検出代謝物数を Table 1 にまとめた。 7) 血清は安定であり,代謝物の分離プロトコルも確立し 鎌状赤血球病等の患者15, 16),輸血用保存中の変化17),老 ている。そのため,大規模なバイオバンクが存在してい 化度による違い18) 等の赤血球メタボローム解析が行わ 。血清メタボローム解析を目的とした最も大きな る 10, 11) れている。 プロジェクトの一つは,HUSERMET(HUman SERum 赤血球はヒト血液の体積のおよそ 45%を占め,ヒト METabolome) (http://www.husermet.org)で あ る。血 の体の全細胞のおよそ 3 分の 1 が赤血球であると言われ 清メタボローム解析のための大規模液体クロマトグラ る。赤血球の寿命は 100∼120 日であり,意外に長いと フ ィ ー - 質 量 分 析(LC-MS)法 や ガ ス ク ロ マ ト グ ラ いえる。 フィー-質量分析(GC-MS)法のプロトコルが開発され てきて公表されている12, 13)。 成熟した赤血球には核,ミトコンドリア,リソソーム などの細胞小器官が存在しない。しかし,ATP 産生に これまで数百のメタボライトがヒトの血清中に同定さ 関わる解糖やヌクレオチドのターンオーバー,抗酸化に れ ,数千が検出されている 。アミノ酸,炭水化物, 関わるグルタチオン代謝,それに細胞膜結合や透過など 脂肪酸などの内因性化合物に加え,摂取した食品やサプ 細胞活性に関わる代謝活性は高い19)。数 ヶ月の寿命を リメント由来のビタミン類,その他の化合物も検出され 持つ赤血球は限定的ではあるものの代謝的に活性の高い ている。 細胞である。 14) 5) また,血漿に存在する化合物は腎臓で濾過されたり, 血漿の役割は主に栄養分と血液細胞を全身に運搬する ことであり,大部分の代謝反応は細胞内で起こることは 体の至る所で代謝されたりするのに対し,赤血球内に閉 当然のことである。したがって,血漿や血清のメタボ じ込められたような化合物は,赤血球の寿命である 120 ローム解析情報の欠点は,生体内代謝活動変化の直接情 日の間細胞内に留まることが予想される。 赤血球内に存在する化合物を詳細に解析すれば,血管 報を得るわけではなく,間接的なものであることであ を通じて全身を循環する赤血球のメタボライト構成は生 る。 血漿と比較すると,血液中の細胞成分のメタボローム 体の状況を知るうえでの有効な情報源となるとも思われ 解析の報告例ははるかに少ない。白血球や血小板のメタ る。赤血球メタボロームは人体の状況を把握する上で興 Table 1 Recent reports covering human RBC metabolome Study Number of Reference Metabolite extraction Method Boiling LC-MS 89(46 confirmed by standards) 15, 16, 29 Metabolic analysis of RBCs during prolonged storage Methanol, chloroform, acetonitrile LC-MS Around 40 17, 46, 47 Metabolite extraction efficiency with various Methanol, chloroform, GC-MS, 85 21 solvents water LC-MS Verification of erythrocyte metabolism by metabolome analysis Methanol CE-MS 32 28, 48 Metabolic studies of P.falciparum in red blood Methanol LC-MS 90 49 Perchloric acid NMR 52 50 Metabolic signature of RBCs from sickle cell disease patients, overhydrated hereditary metabolites stomatocytosis patients cell culture Determination of metabolite and nucleotide intracellular concentration (1604)58 臨 味深い情報を提供するのではないかと考えられる。 血液のメタボローム研究では対象としたい代謝物に応 床 血 液 54:10 対象とする非ターゲット解析では,対象は通常 µM レ ベルの化合物に限られる。 じて適切な抽出方法を用いて抽出液を準備して測定を行 核磁気共鳴分光法(NMR)は,生体物質の迅速な解 う。それぞれの研究グループが自身の方法を開発し使用 析に広く使われている手法である。クロマトグラフィー する傾向が強いため,研究結果であるデータを比較する などによってサンプルを分離しないため,臨床現場にお 際には注意が必要である。 ける迅速な表現型検査を可能にしている24)。しかし,血 赤血球からの代謝物抽出においては特に注意が必要で ある。瞬時に低温処理のような方法で代謝を停止しない 液などの複雑な混合物試料の中から個々の代謝物のシグ ナルを同定することは非常に難しい。 と,データのバラつきが起こり得る。また,抽出時に用 それゆえ,多数の代謝物を測定する方法としては,分 いた溶媒の pH とイオン種も影響がある20)。例えば pH 9 離技術を組み合わせた質量分析法がよく使われている。 と pH 7 で抽出代謝物のあるものは 10 倍も差が出るこ また,これら質量分析法を用いた手法は,NMR と比較 とがある。抽出溶媒の種類の影響もある21)。 するとはるかに検出感度が良い。これらの手法のメタボ ローム解析への有用性については Lenz らによる総説に メタボロームの解析手法 詳しく書かれている25)。 代表的な代謝物データベースの一つである Human 簡潔に述べると,LC-MS 法は,クロマトグラフィー Metabolome Database(HMDB)には現在,ヒト体内に に用いる溶媒とカラムの選択に応じて広範な化合物を検 検出された,あるいは検出されると予想された非常に多 出できる。キャピラリー電気泳動-質量分析(CE-MS) 数の(∼40,000)代謝物が登録されている 。これら代 法は,イオン性,高極性の代謝物の検出に有効である。 謝物は広範な物理化学的性質を有しており,また,nM GC-MS 法は揮発性物質の検出に有効であり,開発利用 以下から mM までの様々な濃度で存在している 。生 されてきた期間が長いので,スペクトル等のデータベー 体内代謝物の化学的性質は非常に広範であるため,それ スも充実している。一方で GC-MS 法ではイオン化の過 らすべてを単一の機器で測定するのは不可能で,特定の 程で分子イオンの消失が起こるので,未知代謝物の新規 種類の代謝物群に対象を絞った測定方法が多数開発され 同定は難しい。Table 2 に各々の測定技術の特徴をまと ている。目的成分に対象を絞ったターゲット解析では めた。 22) 23) nM レベルの化合物まで解析可能だが,すべての成分を Table 2 Advantages and disadvantages of analytical techniques used in metabolomics research Technique GC-MS Advantages Disadvantages ・Relatively low-cost method ・Requires derivatization ・No ion suppression ・Long-term stability and robustness ・Not suited for thermo labile compounds ・Impractical for identification of unknowns ・Large spectral libraries available LC-MS ・Compatible with a large number of compound classes, both charged and uncharged ・Utilizes organic solvents well-suited for MS ・Good sensitivity ・Poor reproducibility of retention times ・Different classes of compounds require different columns/solvents to achieve optimal separation CE-MS ・Ideal for ionic or very polar metabolites ・Sensitive to sample ion strength ・High resolution separation ・Higher detection limits due to small injection ・High peak capacity ・Low cost of operation due to minimal volumes consumption of solvents ・Low sample consumption NMR ・High analytical reproducibility ・Non-destructive method ・High speed of analysis ・Unable to identify individual metabolite signals in complex NMR spectra ・Low sensitivity compared to MS ・Ability to study living systems 59(1605) −臨 床 血 液− サンプル調製と測定 いことである。できたてのものから様々な老化度の細胞 から成っている。つまり,生成されたばかりの若い網状 メタボローム解析用サンプル中には,生体内の代謝物 赤血球から循環血液から取り除かれる直前の老化した赤 が元の生体に存在していた時と同じ状態,つまり同一構 血球が混在している。網状赤血球は赤血球成熟過程の最 造,同じ量で保持されていることが望ましい。そのた 終段階にあり,一部の細胞小器官が残っている。通常網 め,代謝反応の迅速な停止,代謝物の抽出時に,代謝物 状赤血球は全赤血球の 1∼2%であるが,条件によって の分解や酵素による変化が起こらないような方法を選択 その数は増加する。 せねばならない。 赤血球は勾配遠心を用いることでその老化度に応じて 血液細胞は強固な細胞表層膜を持たないため,低張液 ある程度分画することが可能であるが18),赤血球を非生 や有機溶媒に晒すだけで容易に細胞膜が壊れる。生化学 理的条件下に長時間置くことになるのでメタボローム解 反応を迅速に停止させ,タンパク質を変性し,脂質を抽 析には問題が残る。単一の血液細胞画分を得るためには 出する低温の有機溶媒を用いることが一般的である。タ 非生理的条件下での長時間の操作が必要になるのが現状 ンパク質変性は熱処理によっても可能であるが,熱感受 で,これを克服する迅速な細胞分画法の確立が強く望ま 性の代謝物に影響を与える可能性があるため,通常は低 れる。 温の有機溶媒が使われることが多い。 血液の細胞画分は,容積のおよそ 99%が赤血球で, 過去の研究が示すように21, 28),ごく簡単な細胞操作に よっても特定代謝物の量に変動が起こり得る。代謝物抽 残りの 1%が白血球と血小板である。白血球は核および 出前の細胞に対して長時間の操作を行うことは,甚大な 細胞小器官を持つため,それらを持たない赤血球とは生 実験誤差を生じさせ得る。血液の細胞画分の複雑さを考 化学的細胞生物学的性質も機能も著しく異なる。全血か えると,非ターゲットメタボローム解析においては最小 ら赤血球を分離するには,単純に血液の細胞画分を遠心 限かつ最短時間の操作で代謝物を抽出することが望まし して,その後白血球を含む軟層バフィーコート(buffy いと我々は考えている。例えば,高エネルギー化合物の coat)を取り除くことで可能である 。この方法では, ATP や酸化物質と反応するグルタチオンなどは細心の 10∼40%の赤血球のロスで 70∼90%の白血球を除去出 注意を払って迅速に抽出しても量は変動しがちである。 26) 我々 は,既 発 表 の プ ロ ト コ ル21, 28, 29) を 基 に,全 血, 来る。 また,セルロースカラムや白血球除去フィルターを用 赤血球,血漿のサンプル調製法を改良した。また,これ いることでも赤血球を分離することが出来る。この場 に分裂酵母 S. pombe のメタボローム解析用に開発して 合,ほとんどすべて(99%)の白血球を取り除くことが きた LC-MS 法2) を組み合わせてヒト血液メタボローム 可能である。ただし,赤血球を非生理的条件下に長時間 解析を行っている。 置かなければならない 27) のでメタボロームデータの解 釈には疑念が残る。 また,大切なことは赤血球画分そのものが均質ではな Fig. 1 (1606)60 Fig. 1 にサンプル調製法の概略を示した。メタボロー ム解析用の血液サンプルはドナーの静脈から 5 ml のヘ パリン入り採血管(Terumo)に採取する。直ちに 0.2 The schema of blood metabolome sample preparation Metabolic compounds were extracted in 50% MeOH at ,40℃ from whole blood, plasma and RBC separated by centrifugation. Extracted metabolites were isolated by 10kDa cut-off filter, concentrated and analyzed on a LC-MS system. 臨 床 血 液 54:10 ml の全血を 1.8 ml の ,40℃に冷却した 55%メタノール ピーク面積をモル濃度に変換するための検量線を作製す と混ぜる。このように冷却メタノールと混合することで る必要がある2)。 化学反応の停止,タンパク質の変性,代謝物の抽出を行 データの保存および処理 うことが可能である。採取した血液の残りは,血漿と赤 血球(RBC)を分離するため,120 g で 15 分間,室温 LC-MS や GC-MS の 1 回の測定で得られる生データは で遠心する。分離した血漿と赤血球は,それぞれ 0.2 ml 数百メガバイトになる。通常 1 つのサンプルは複数回 を 1.8 ml の ,40℃に冷却した 55%メタノールと混ぜ, (例えば異なるイオン化モードや異なる測定プロトコル 代謝物抽出を行う。 を使って)測定されるので,1 サンプルのデータは簡単 それぞれのサンプルに内部標準物質として 10 nmol ず に 1 ギガバイトを超える。そのため,大規模なメタボ つ の HEPES と PIPES を 加 え て 撹 拌 す る。そ の 後, ローム研究では大量のデータの保存と取り扱いについて Amicon Ultra 10-kDa cut-off filter(Millipore)を使用し 注意深く検討しなければならない。例えば,1,000 サン てタンパク質を除去する。エバポレーターによりサンプ プルを扱うためには,サンプルやコントロール,標準化 ルを濃縮した後,40 ml の 50%アセトニトリルに再溶解 合物の測定やバックアップを考慮に入れると,数十テラ する。うち 1 ml を LC-MS 測定システムへ注入して生 バイトの保存容量が必要になる。 データを得ている。 LC-MS データから生物学的に意義のある情報を抽出 サンプル測定においては,ZIC-pHILIC カラム(Merck するために,生データをまず,検出されたピークとその SeQuant; 150×2.1 mm,粒子径 5 mm)を用いて液体ク 面積のリストに前処理しなければならない。この LC- ロマトグラフィーによる分離を行っている。移動相とし MS データの前処理を行うソフトウェアはいくつか入手 てアセトニトリル(A 液)と pH 9.3,10 mM 炭酸アン 可能であり,Castillo らによって詳しく解説されている モニウム水(B 液)を用い,流速は 100 ml/分で濃度勾 が30),以下のものが代表的である。 配は 30 分間に A 液を 80%から 20%としている。質量 ・XCMS31):代謝物解析用のコマンドラインをベースに 分析機での検出は,LTQ Orbitrap フーリエ変換,リニ した MS データ処理ツールで,最近ウェブ アイオントラップハイブリッド質量分析計(Thermo ベースのインタフェースとデータリポジト Fisher Scientific)を用い,イオン源はエレクトロスプ リ XCMS Online も登場した32)。 レーイオン化(ESI)法を用いている。 ・MetAlign 33):GC-MS と LC-MS のデータ処理に対応し ている。 それぞれのサンプルは 2 回測定を行い,1 回はネガ ティブイオン化モード,もう 1 回はポジティブイオン化 モードで行う。質量分析データは,フルスキャンモード ・MZmine 2 :MS データの視覚化および解析ができ 34) る。 ではスキャン範囲を m/z 100∼1000 とし,データ依存 生データの前処理に必要な最低限のステップは Fig. の MS/MS 法 に て 自 動 的 に フ ラ グ メ ン テ ー シ ョ ン ス 3A にまとめた。簡単に述べると,生データはまずス キャンを行っている。 ムージングやベースラインの補正処理が質量分析装置の この方法では Fig. 2 に示すような 3 次元の LC-MS 生 特性に応じて行われる。その後ピーク検出アルゴリズム データが得られる。 を利用して,保持時間 RT,m/z 値,ピーク面積 peak 1.X 軸はカラムでの保持時間 RT(retention time:分) area によって特徴付けられた検出ピークのリストを作 であり,代謝物の化学構造や極性に依存する。 成する。また,自然界に存在する一般的な同位体(13 2.Y 軸は質量電荷比(m/z)であり,H+ のような付加 C,15N,34S など)によって生成される同位体シグナル イオンを除いた,本来の代謝物の質量を計算するの 用の処理がピークリストに施される。これらの同位体 に用いられる。 ピークは,ピークリストからは除去されるが,化学式を 3.Z 軸はシグナル強度であり,サンプル中の代謝物量 同定するにあたって非常に有益な情報となるため(次 と相関する 。通常ピーク面積が計算され,定量に 節,代謝物の同定を参照),それぞれのピーク強度の情 使われる。 報は保持される。 2) この検出方法は原則的には,サンプル間での相対的な 続いてこれらの処理が行われたデータをデータベース 比較ができる半定量的なものであるということに注意し に保存する必要があるが,実験条件やサンプル番号など なければならない。分子の種類によってイオン化効率が の詳細な情報を追跡できるように,データベースはラボ 異なるため,同量の代謝物であっても,全く違う強度の ラトリー情報管理システム(LIMS)と一体化させるこ ピークになり得る。したがって,モル濃度を測る絶対定 とが望ましい。我々の研究室では,Fig. 3B に示すよう 量には,標準化合物の希釈系列を測定し,化合物ごとに なメタボローム解析用の統合データリポジトリおよび 61(1607) −臨 床 血 液− Fig. 2 3D plots of raw LC-MS data of plasma (A) and RBC (B) collected in positive ionization mode 32 identified and unidentified peaks are shown as examples. A. Peaks 1─16 are detected in both plasma and RBC samples. These are amino acids, food metabolites (caffeine, xanthine), compounds introduced during sample preparation (HEPES as internal standard, ammonium chloride from LC-MS solvent). B. Peaks 17─32 are mostly detected in RBC samples. Many of them can be identified as cellular compounds involved in energy and redox metabolism (ATP, glutathione). LIMS を開発した(Pluskal ほか,未発表) 。このリポジ 間を基に自動的に過去に観察されたピークの一覧と照合 トリシステムの構造の概要は Fig. 3C に示した。それぞ され,同一性が評価される。そしてすべての観察された れの実験,サンプル,解析対象,MS ランにはユニーク ピークの一覧はユニーク化合物のデータベースとリンク な ID が付与され,検出されたピークは m/z 値と保持時 される。このような構造にすることで,それぞれの代謝 (1608)62 臨 Fig. 3 床 血 液 54:10 LC-MS data processing and storage A. Schema of the basic data processing workflow for the analysis of LC-MS data. B. Screenshot of a web-based metabolome data repository, showing the links to various sections of the repository and a summary of the database contents. C. Structure of the repository database. Blue rectangles represent entities stored in the database, while green rectangles represent automatized data processing algorithms. 63(1609) −臨 床 血 液− 物に対して観察されるすべてのシグナル(例えば[M+ メタボローム解析の例 H]+ や[M+Na]+ など異なるタイプのイオン)を 1 つ の場所に収納することが出来る。どのような大規模メタ Table 3 に既述の我々のサンプル調製法および検出方 ボローム研究においても,このような統合データリポジ 法で再現性良く検出できる代謝物のリストをまとめた。 トリの開発が必要不可欠である。 代謝物の同定 検出ピークに対する代謝物の同定は,質量分析による このリストに挙げられたすべての代謝物の保持時間 RT は標準化合物で確認している。また,我々のメタボロー ム解析法による赤血球と血漿のサンプルの一例の比較を スキャッタープロットにより Fig. 4 に示す。 非ターゲットメタボローム解析においての全行程中で最 全体で 1,250 個のピークが検出され,そのうち 300 個 も難しく,時間の掛かるステップである。質量分析装置 のピークが標準化合物により確認された化合物由来であ を使った化合物同定の方法の詳細については,詳しく解 る。赤血球のみで検出されたピークは 519 個,血漿のみ 説した文献35, 36) を参照されたい。質量分析法では誤差 1 で検出されたピークは 248 個であり,残りは赤血球と血 ppm 程度という高い精度の質量値が測定できるが,1 漿の両方で検出された。両方で検出される代謝物におい ppm の質量範囲にもまだたくさんの異なる代謝物が存 ても量的な差は様々で,例えば細胞のエネルギー物質で 在し得る 。 ある ATP は,血漿に比べ赤血球ではずっと多い。抗酸 37) それぞれのピークの候補代謝物は,検出された質量値 化物質の一つであるグルタチオンは赤血球内で合成され を公開されている代謝物データベースで検索することで るため,グルタチオンやその中間生成物は赤血球内に検 最初のリストが得られる。 出される。 いくつかの包括的代謝物データベースが公開されてい おわりに る。代 表 的 な も の は Human Metabolome Database (HMDB) 22, 38) や Kyoto Encyclopedia of Genes and Ge- 近年飛躍的に向上したメタボローム解析技術ではある である。全体で数万の既知あるいは が限界も存在する。包括的手法として一度に多数の化合 予測される代謝物が含まれている。また,日本の西岡グ 物を測定することを可能にするメタボローム解析技術で 39) nomes(KEGG) や,カリフォルニアの あるが,包括的手法を用いていては検出されないような スクリプス研究所で開発された METLIN 41) のようなマ 不安定な化合物には,それに特化したプロトコルが必要 ススペクトルデータベースには,数千の代謝物の,実験 になる。そのような不安定な化合物の一つはグルタチオ 的に測定された,あるいは手計算されたフラグメンテー ン(GSH)である。生理的な抗酸化物質であるグルタ ションマススペクトルデータが公開されている。このよ チオンは酸素存在下では容易に酸化され,メタボローム ループが開発した MassBank 40) うなスペクトルデータベースは,検出された質量値に対 解析用にサンプル調製をしている間にもジスルフィド型 する候補代謝物で構造の異なるものが複数存在するとき (GSSG)が生成される。したがって実際の細胞内での 非常に役立つ。さらに,スペクトルデータベース検索と GSH/GSSG 比を測定するには特化したプロトコルが必 コンピュータでのフラグメンテーション予測を組み合わ 要となり,包括的手法による測定データの解釈には注意 せた MetFusion と呼ばれる統合的同定方法が最近開発 が必要である。 されている42)。 メタボローム解析におけるもう一つの問題点は必要装 また,データベース検索で質量値が一致する代謝物候 置にかかる高額な初期費用であるが,少数のサンプルの 補がないピークであっても,MS データから高精度で化 場 合 は サ ン プ ル測定 の外 注 も可能 で あ る。日 本 で は 学式を予測することが出来る 。質量値だけで化学式 43, 44) ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(HMT) を決定するのに不十分な場合には,さらに補足的な手法 社(http://humanmetabolome.com/)が 主 に CE-MS 法 を用いる必要がある。各々の化学式を区別するのに最も を使用した測定サービスを提供している。アメリカでは 目安になるパラメータの一つは同位体パターン,つまり 同 様 の 会 社 と し て Metabolon 社(http://www.metabo 自然界に存在する安定同位体の存在比である。各々の候 lon.com/)が LC-MS 法や GC-MS 法を使用した測定サー 補化学式の同位体パターンの計算は容易にでき,MS ビスを提供している。 データから得られた検出パターンとの比較が可能であ また,メタボローム解析から得られるデータの解釈は る。統合データリポジトリ中のそのような未知代謝物に 容易ではなく,生物学的意義を注意深く分析しなければ 関する情報も追跡することが望ましい。後になって代謝 ならないということを強調したい。特定の代謝物の増加 物同定に至り,既存データに新たな発見を見出すことに あるいは減少は,その代謝物が関わる主要な経路が正に 繋がる可能性があるからである。 あるいは負に制御されたことを必ずしも意味しない。代 (1610)64 臨 床 血 液 54:10 Table 3 List of 181 standard-verified compounds detectable by the HILIC LC-Orbitrap MS method Class Amino acids Detected Number of (mostly)in compounds RBC, plasma 18 Compound Arginine, Asparagine, Aspartate, Cysteine, Glutamate, Glutamine, Histidine, Isoleucine, Leucine, Lysine, Methionine, Phenylalanine, Proline, Serine, Threonine, Tryptophan, Tyrosine, Valine Amino acid RBC, plasma 24 derivatives Acetyl-arginine, Acetyl-aspartate, Acetyl-cysteine, Acetyl-glutamate, Acetyl-glycine, Acetyl-histamine, Betaine, Citrulline, Cystine, Dimethyllysine, Dimethyl-arginine, Dimethyl-proline, Dimethyl-glycine, Glutamate methyl ester, Hydroxyproline, Methyl-histidine, Methylleucine, N2-Acetyl-lysine, N6-Acetyl-lysine, N-Acetyl-ornithine, Ornithine, Pyroglutamate, Trimethyl-lysine, Urocanic acid RBC 5 Ergothioneine, S-Adenosyl-homocysteine, S-Adenosyl-methionine, S-Methyl-ergothioneine, Tryptophan betaine Nucleotides, nucleosides, RBC, plasma 10 Adenine, Adenosine, Cytidine, Cytosine, Guanosine, Inosine, Hypoxanthine, Uracil, Uridine, Xanthine nucleobases RBC 13 ADP, AMP, ATP, CTP, CDP, CMP, GDP, GMP, GTP, IMP, UDP, UMP, UTP Nucleotides RBC, plasma 4 CDP-choline, Dimethyl-guanosine, GDP-glucose, Methyl-guanosine derivatives RBC 3 UDP-acetylglucosamine, UDP-glucose, UDP-glucuronate Sugar RBC, plasma 7 Glucose, Fructose, Sucrose, Mannose, Myoinositol, Trehalose, Ribulose Sugar phosphates RBC 11 Ribose-phosphate, Phosphoenolpyruvate, Phospho-glycerate, Glycerol-2phosphate, Glyceraldehyde 3-phosphate, Glucose 6-phosphate, Fructose6-phosphate, Fructose-1-6-diphosphate, Diphospho-glycerate, 6-Phosphogluconate, Sedoheptulose-phosphate Dicarboxylic RBC, plasma 9 acids 2-Oxoglutarate, cis-Aconitate, Citramalate, Citrate, Fumarate, Glutarate, Malate, Methyloxovalerate, Succinate Redox RBC 7 Carnitines RBC, plasma 12 Glutathione(red.) , Glutathione disulfide(ox.) , Homoglutahione, NAD+, + NADH, NADP , NADPH Carnitine, Acetyl-carnitine, Propionyl-carnitine, Butyryl-carnitine, Isovaleryl-carnitine, Hexanoyl-carnitine, Octanoyl-carnitine, Decanoylcarnitine, Dodecanoyl-carnitine, Tetradecanoyl-carnitine, Palmitoylcarnitine, Linoleyl-carnitine Other compounds RBC, plasma 52 1-Aminocyclopropane-1-carboxylate, Acetyl-glucosamine, Anhydroglucitol, Anthranilate, Aminoadipate, Aminobenzoate, Aminovalerate, Arabitol, Ascorbate, Caffeine, Choline, Creatine, Creatinine, Deoxycholic acid, Dimethyl-xanthine, Ectoine, GABA, Gallic acid, Glucosamine, Glucuronate, Glutamylalanine, Glycerate, Glycerophosphocholine, Glycochenodeoxycholate, Guanidinoacetate, Guanidino butanoate, Hippurate, Hydroxybutyric acid, Hydroxyphenylacetate, Indoxyl sulfate, Kynurenine, Lauric acid, Linoleic acid, Mandelic acid, Methyl-adenosine, Methyl-glucoside, Nicotinic acid, Pantothenate, Phenyllactic acid, Phenylpyruvic acid, Phosphocreatine, Phosphoethanolamine, Pyridoxine, Sorbitol, Stearic acid, Taurine, Thymidine, Ophthalmic acid, Orotic acid, Urate, Quinic acid, Quinolinic acid RBC 6 Anserine, Carnosine, Gluconate, Nicotinamide, Orotidine, Trimethylammoniumbutanoate 65(1611) −臨 床 血 液− 謝 辞 我々の血液メタボローム研究は,沖縄県の「知的クラ スター形成に向けた研究拠点構築事業」の一部支援を受 けて行われた。また,RC は日本政府(文部科学省)奨 学金の支援を受けている。なお,本稿は RC と TP が英 文で書き,TH が日本語に訳し,それを MY と KH が校 閲して完成したものである。 著者の COI(conflicts of interest)開示:本論文発表内容に関連 して特に申告なし 文 献 1)Pearson H. Meet the human metabolome. Nature. 2007; 446: 8. 2)Pluskal T, Nakamura T, Villar-Briones A, Yanagida M. Metabolic profiling of the fission yeast S. pombe: quantification of compounds under different temperatures and genetic Fig. 4 RBC and plasma samples compared using scatter plot All peaks detected in RBC and plasma samples compared using scatter plot of peak areas (arbitrary units). In total 1,250 peaks were detected in both samples of which 300 peaks result from the compounds verified by standards (STD). 483 peaks were detected in both RBC and plasma samples (140 verified by standards), 519 peaks detected only in RBC (135 verified by standards), 248 peaks detected in plasma only (25 verified by standards). perturbation. Mol Biosyst. 2010; 6: 182-198. 3)Pluskal T, Hayashi T, Saitoh S, Fujisawa A, Yanagida M. Specific biomarkers for stochastic division patterns and starvation-induced quiescence under limited glucose levels in fission yeast. 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