再現性を担保できる(はずの)運用プロセスは何か - G-MAC

再現性を担保できる(はずの)運用プロセスは何か
長期集中投資,ダイバーシファイド・ストックピックは,いずれもファンダメンタルズに基づく確信度ドリブンの運用。投資ア
イディアの塊。
スマートベータは,長期の検証に耐えたファクター投資の指数化。ただしプレミアムが実在するかどうか,アノマリーが頑
健かどうかは玉虫色で,将来的に消失する可能性を否定できないものもある。
TEとASによる運用戦略の類型(株式)
アクティブ・シェア(AS)の定義・意味
ダイバーシファイド・
ストック・ピック
トラッキング・エラー
アクティブ・シェア
1 N
AS ≡ ∑ | w fund ,i − wBM ,i |
2 i =1
時価加重インデックスと「重複しない」のウェイト合計
(アクティブフィーを正当化できるかどうかの指標)
運用者の行動を直接反映する。TEと異なり,リターン
の構造(Ω)の影響を直接受けない。
様々な運用プロダクトのカテゴリーで,高ASマネ
ジャーは低ASマネジャーよりも優れた付加価値を提
供している(実証的に確認)。
保有銘柄数よりも優れた,マネジャーの確信度(≒長
期に獲得されるアルファ)の代理変数。
アクティブ・シェア
TE 2 ≡ (w fund − w BM )′Ω(w fund − w BM )
コンセントレート
→長期集中投資
長期集中投資
→銘柄数が多いので
銘柄数が多いので
スペシフィック・リスクは小さいが
BMウェイトを意識しない運用
ウェイトを意識しない運用
伝統的
アクティブ
(市場BM対比)
クローゼット・
インデクシング
ファクター・
ベット
→スマート・ベータ
スマート・ベータ
指数
パッシブ・インデクス
トラッキング・エラー
(出所) Cremers, Martijn & Antti Petajisto 2009, ‘How Active Is Your Fund
Manager? : A New Measure That Predicts Performance’, The Review
本レポートに掲載された情報及び意見は,(株)野村総合研究所が作成したものです。本レポートに掲載された情報は,(株)野村総合研究所が信頼できると判断した公開の情報源から入手した情報に基づいております。(株)野村総合
of Financial Studies, No.9, Vol.22を参考にNRI修正
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見を反映しているとは限らず,予告なしに変更される場合があります。本レポートに掲載された意見,推定,見通しが変化し,あるいは発表後不正確となった場合でも,(株)野村総合研究所は本レポートを更新,修正,変更し,または
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1
スマートベータはどのような要件を満たすべきか
アカデミックな調査による長期の実証に耐え,特性が理解され,合理的な理由付けができること
今後もプレミアムが存在し続ける(あるいはアノマリーが頑健である)合理的な理由があること
パフォーマンスの悪い時期のデータが利用可能であること
流動性のある,安価に複製可能な金融商品としてインプリメントできること
米国株バリュー,サイズの累積ファクターリターン
700%
600%
HML
500%
400%
300%
200%
100%
SMB
-100%
'69/12
'70/12
'71/12
'72/12
'73/12
'74/12
'75/12
'76/12
'77/12
'78/12
'79/12
'80/12
'81/12
'82/12
'83/12
'84/12
'85/12
'86/12
'87/12
'88/12
'89/12
'90/12
'91/12
'92/12
'93/12
'94/12
'95/12
'96/12
'97/12
'98/12
'99/12
'00/12
'01/12
'02/12
'03/12
'04/12
'05/12
'06/12
'07/12
'08/12
'09/12
'10/12
'11/12
'12/12
'13/12
0%
(出所) Kenneth French Data Libraryデータに基づきNRI
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2
年金にとってのスマート・ベータ活用の意義・注意点
意義と注意点を了解できたならば,「アクティブ」「パッシブ」のどちらに整理するかは概念上の問題で,年金内部の状況
や,利用可能な選択肢次第。
認知~理解フェーズ
• 共通して謳われているのは,リスク調整後リターンの高さ
• 短期のパフォーマンス劣後に耐え,スポンサーに説明できるだけのガバナンスを備えているか
• ユニークなファクターは?
実践~導入フェーズ
アクティブ運用の代替として
パッシブ運用の補完として
【意義】
• アクティブ運用に対する不満(一貫したアルファが出な
い,アクティブフィーの高さ)を解消
【意義】
• 時価加重指数に内包する問題(少数の銘柄への過度
の偏り,割高銘柄への傾斜など)への対応
• プレミアムの期待できるファクターを取ることで,長期に
は時価加重指数(株式リスクプレミアムのみ)に勝てる
【注意点】
• 多くのスマートベータ指数は目標TEを置いていない。
(最適化を行うものについては,制約条件としてTEを置
くものは多い)
• パフォーマンス(対市場ベンチマークのアルファ)追求
の動機付け。
【注意点】
• 時価加重指数よりも高い回転率,コスト
• アローケーションをどう決めるのか
• ファクター戦略間の反対売買の非効率性
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