ガソリン価格の下落が消費を下支え

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ピクテ・マーケット・フラッシュ 2014年10月17日
先進国
Pictet Market Flash
米国個人消費: ガソリン価格の下落が消費を下支え
米国の2014年9月のコア小売売上高は前月比-0.2% となり、市場予想の同+0.4%を大きく下回りました。今後はガソリ
ン価格の下落が消費を押し上げるプラスの影響が期待される一方、世界経済の減速とドル高がこれを丁度相殺す
ることが予想されます。2014年下期ならびに2015年の米国GDP成長率については、当面のところ従来予想を維持し
ます。
個人消費は、今後数四半期を通じて堅調に推移するも
のと考えます。雇用の創出ならびに個人所得の伸びが
勢いを増しつつあり、足元の貯蓄率は高水準を保って
米国の2014年9月の小売売上高は予想に届かず、9月 います。また、月次の数字は振れが大きいとはいえ、
の個人消費の減速が明らかとなりました。一方、足元の 消費者信用も堅調に拡大しています。
ガソリン価格の下落は、実質個人所得を押し上げること 足元のガソリン価格が急落していることから、個人消費
が予想されます。今後数ヵ月間、個人消費は堅調に推 の先行きについては、数週間前の時点以上に楽観的
移するものと考えます。
です。ガソリン価格の下落が実質個人所得を大きく押
9月の名目小売売上高は、前月比-0.3%となり、同-0.1% し上げることは確実であり、おそらく、実質個人消費支
とみていた市場予想よりも大きな落ち込みとなりました。 出にもプラスの影響が及ぶものと考えます。足元の11
建設資材(及び園芸関連)売上も同-1.1%と予想外に低 月限の卸売ガソリン先物価格に基づいて算出すると、
調でした。一方、名目自動車販売(同-0.8%)は、自動車 11月の消費者物価指数(CPI)ベースの小売ガソリン価
販売台数統計から想定されていた範囲内の数字となり、 格は6月比-18%の下落が見込まれます。
ガソリンスタンド売上(同-0.8%)も、ガソリン価格の急落 下げ幅が9月の数字を大きく下回ることは勿論ですが、
を勘案すると意外感のない数字でした。
この時期、ガソリン価格が下落するのは珍しいことでは
ありません。6-11月の下げは、季節調整後ベースで前
年同期比-13%程度と予想されます。ガソリン価格は
コア小売売上高も減少
CPIの5.5%程度を占めることから、実質個人消費支出を
名目小売売上高から最も変動の大きい項目(食品、自 年間ベースで0.5%程度押し上げることは容易だと考え
動車販売、ガソリンスタンド売上、建設資材売上)を除い ます。ガソリン価格下落の効果が数ヵ月間で起こるとし
たら、年率ベースでの効果はこれを更に上回ることとな
たコア小売売上高(個人消費の算出に使われる数値)
の2014年9月の数値は、市場予想の前月比+0.4%を大き ります。
足元のガソリン価格の下落は、今後数四半期にわたっ
く下回る同-0.2%と失望感を誘うものに終わりました。
て個人消費を押し上げるものと考えます。もっとも、そ
もっとも、6月・7月・8月のコア小売売上高は極めて堅調
の他の要因が経済成長全体にマイナスの影響を及ぼ
で、7-9月期平均も前期比、年率+4.1%と高水準を維持し
ました。4-6月期平均の同+7.0%には届かないものの、過 す可能性があることには留意が必要です。米ドルの実
効為替レートは、昨年平均を3%上回っています。世界
去の数値との比較では良好な数値です。
経済の減速を併せて勘案すると、ドル高が米国経済を
下押すことが予想されます。
ガソリン価格の下落が消費を下支え
為替の予測は容易ではありませんが、ピクテでは、ガ
ソリン価格の下落によるプラスの影響が、世界経済の
2014年9月の小売売上高統計は失望を誘う内容となっ 減速とドル高に起因するマイナスの影響を丁度相殺す
ただけでなく、タイミング悪く市場の急落時に発表されま ることになるのではないかと考えます。したがって、
した。7-9月期の締めくくりの数字がマイナスに終わった 2014年下期ならびに2015年の米国のGDP成長率につ
ことは残念ですが、当期を通してみると、自動車販売、 いては、従来予想を維持することとします。
コア小売売上高ともに、比較的堅調な伸びを維持したこ
とは注目されてよいと考えます。
7-9月期の個人消費予想については、下方修正の必要
※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内
が出てくることもあり得ますが、当面のところは従来予
容が変更される場合があります。
想を維持します。
9月の名目小売売上高は予想外の減少
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