Pictet Global Market Watch

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ピクテ・グローバル・マーケット・ウオッチ 2013年7月1日
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米国住宅市場回復の波及効果
米国住宅市況の回復が勢いを増し、国内経済全体にプラスの効果を及ぼし始めています。経済成長は、速度と力
強さを徐々に増しつつあり、米連邦準備制度理事会(FRB)が米国経済から生命維持装置を外し、金融政策を正常
な状態に戻すことが可能になるものと考えます。
米国住宅市場の回復が続く
①雇用の創出
米国の住宅建設はこの2年余り回復基調を辿っており、
今後もこのような基調を維持するものと予想されます。
過去1年については、回復の勢いが一段と増し、2013
年1-3月期の住宅セクターの建設活動は、前期比約
15%の拡大を記録しています。これほどの力強い回復
を実現した後の時点においても、住宅セクターがGDP
(国内総生産)に占める構成比は2.6%に過ぎず、した
がって、経済成長への寄与度は僅か0.3%に留まって
いるのですが、とはいえ、住宅セクターの回復が経済
全体に及ぼす間接的な効果を見逃すわけにはいきま
せん。(住宅セクター回復の)波及効果は、極めて複雑
なプロセスを経て徐々に現れるのが常であり、効果の
測定は容易ではありませんが、効果は着実に顕著なも
のとなり、米国経済が、近い将来、より高水準かつ自
律的な成長局面に向けて前進することを後押しするも
のとなるはずです。
住宅市場回復の波及効果
住宅セクターの改善は、複数の経路を経て米国経済全
般に波及しますが、次の4つの経路は特に重要です。
①雇用の創出
②資産効果
③銀行融資
④政府セクター
米国の住宅建設活動は、2011年1-3月期に底入れした
後、年率平均11.5%の拡大を記録していますが、同時
期の住宅セクターの雇用は、年率僅か2.8%増にとど
まっています。ここで思い起こしておきたいのは、大恐
慌時においても、建設活動の縮小幅と比べて、当該セ
クターの雇用の喪失が極めて軽微なものであったとい
うことです。したがって、建設活動が、少なくとも回復の
初期の段階において、雇用の大幅増を伴わずに拡大
していることは、想定外のことではないのです。ただし、
このような効果には限界があることも確かです。建設
活動の拡大ペースが、弊社の予想通り、年率10%を超
えるような状況下では、建設セクターの雇用の拡大も
ペースを速め、消費支出の拡大を促すものとなること
が予想されますが、このような展開は既に始まってい
るようにも思われます。というのも、住宅建設セクター
の雇用は、本年1月~4月にかけて年率8.2%の伸びを
記録しており、不動産販売業、DIY(日曜大工専門店)関
連業、建設資材、園芸など建設関連および不動産関
連分野の雇用にプラスの恩恵をもたらすことが予想さ
れるからです。これら建設関連および不動産関連セク
ターの雇用動向は軽視すべきではありません。両セク
ターの雇用者数は合計260万人と、住宅建設セクター
の雇用者数(210万人)を上回る規模だからです。
<次ページに続きます>
以下では、この4つの経路について詳細を説明します。
ピクテ投信投資顧問株式会社
巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。
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②資産効果
全米の住宅価格は、2011年末に大底を打ってから、約
13%(年率10%強)の回復を遂げ、更に足元、回復の
勢いが増していることが注目されます。2013年1-3月期
の価格上昇率は年率15%に達しており、足元数ヵ月は
無理としても、今後も急傾斜での上昇の継続が予想さ
れます。また、不動産価格の明らかな上昇が家計の富
の拡大をもたらしており、2012年には1.4兆ドル、2013
年にはこれを上回る富が創出されるものと推計されま
す。過去には、家計の富の拡大が個人消費の大幅増
をもたらしました。「資産効果」が現在も存在するかどう
かについては専門家間の意見の相違はないようです
が、効果の規模については、意見が大きく割れていま
す。家計が、資産価格(住宅価格であれ、その他の資
産価格であれ)の上昇を永続的であると考えるかどう
かが、資産効果の規模に決定的な影響を及ぼします。
今回の住宅価格の上昇は大幅下落の戻りに過ぎず、
住宅価格の上昇に起因する今年の資産効果は極めて
小さいものに留まるだろうとみる専門家もいます。また、
先回の暴落を経験したことで、住宅価格の上昇は永続
的なものではないと思い込んでいる家計は多数あるよ
うですが、弊社の見方は異なります。住宅価格が過去
に例をみない水準にまで下落したからこそ、足元の価
格上昇が長期間持続し、永続的なものになると考えて
いるのです。換言すると、今回の価格の上昇を一時的
な反発であると捉えるのではなく、住宅購入の最後の
チャンスであるとみる家計が増えるだろうと考えます。
過去データに基づいた研究では、住宅用不動産価格
の1ドルの増加が、2年後に、消費支出の5~10セント
の増加をもたらすことが示唆されています。ピクテでは、
今後の資産効果がこれを下回ることはないと考えてお
り、現在、進行中の住宅セクターの改善が、2013年に
はGDP を0.3%程度押上げ、2014年にはその倍の貢献
が期待できるのではないかと予想しています。これに、
株価の上昇に起因する資産効果を加えると、資産効果
全体のGDP成長率に対する寄与度は2013年に0.5%、
2014年には1.0%に達するものと試算しています。これ
らの予測には、慎重な取扱いが必要ですが、経済全体
へのプラスの効果が極めて大きなものとなるであろうこ
とについては、確信を持っています。
<次ページに続きます>
図1:米国家計の資産と負債の推移
(期間:2003年~2013年)
兆ドル
兆ドル
64
60
13
家計資産
(左軸)
12
56
11
家計負債
(右軸)
52
48
10
44
9
8
40
資産効果が限定的であるとの見方は、危機発生以前
の住宅関連の資産効果の大部分がホームエクイティ
(住宅資産)の現金化(住宅保有者が、引っ越しをした
り、改築をすることなく、住宅資産の増価分を、値上が
り益を担保にすることで現金化したこと)に起因するも
のであったという事実を根拠としているのです。しかし
ながら、今回の住宅価格の上昇は、ホームエクイティ
の現金化(の現象)とは様相が異なるものとなっていま
す。住宅価格の大幅な上昇をもってしても、住宅ローン
残高が不動産価値を上回っており、よい場合でもロー
ン残高と不動産価値がやっと同じ水準という状況だか
らです。ただし、ここ数年の金利低下に乗じて、住宅
ローンを借り換えた住宅保有者が多数に上ることには
留意が必要です。ローンの借り換えで、意図的な債務
返済が起こっているからです。債務の返済は、住宅価
格の上昇に伴って着実に減少し、資産効果を増大させ
る結果となります。現在創出されつつある資産効果を
計測することは容易ではなく、効果を巡る意見は分か
れますが、弊社では、効果が極めて大きいと考えます。
ピクテ投信投資顧問株式会社
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出所:ピクテグループのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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③銀行融資
金融危機時に銀行融資が激減した主な要因は、住宅
価格の暴落、住宅ローン返済不履行の激増、および不
動産関連の銀行の損失だったのですが、景況の回復
に伴って、状況は明らかに改善しつつあります。一方、
この2年ほど融資が伸びていることは事実としても、中
小企業向け融資および個人向け住宅ローン融資に、
少なくとも、つい最近まで、厳しい条件が課されていた
ことも事実です。今年4月の中古住宅購入の32%は、
住宅ローンを伴わない現金100%の購入となっていま
す。融資の回復には、住宅価格の上昇が大きな役割を
果たしています。ローン返済の遅れが減り、新規の住
宅ローンがリスクのより低いものとなったことから、銀
行のバランスシートが修復されたためです。また、
(ローン残高が住宅価値を上回る)ネガティブ・エクイ
ティに苦しむ家計が減っており、低利での借り換えが大
幅に増えることも予想されます。このことは極めて重要
です。時期は遅れても借り換えを行うことができれば、
債務の大きい家計の収支が改善されるからです。住宅
価値が低過ぎるため、近年の金利低下を生かせてい
ない家計は多数に上ります。住宅セクター改善の効果
が波及するには時間がかかりますが、銀行融資および
住宅ローン借り換えには拍車がかかるものと考えます。
FRBが銀行セクターを対象に行った最近の調査では、
大企業向け融資条件が大幅に緩和されただけではなく、
中小企業向けおよび個人向けの融資条件も緩和され
つつあるとの結果が確認されています。住宅価格の大
幅上昇と銀行システムの改善を受け、近い将来、銀行
融資に弾みがつけば、経済成長の支援要因が更に増
えるでしょう。
が明らかに鈍っているからです。雇用面では、数年間
に及んだ雇用の喪失期を経て、ようやくプラスの雇用
の創出が確認されています。政府・地方自治体の財政
の改善のためには、住宅セクターの回復が支えとなっ
て財政引締めの緩和を促し、好ましい間接的な効果を
経済全体に及ぼすことが期待されます。
以上を要約すると、ピクテでは、建設および不動産セク
ターの力強い回復を確信しており、両セクター回復の
直接・間接の効果が相俟って、米国経済が成長の速
度を増し、長期の持続的かつ自律的な経済を実現する
ものと考えます。
連邦政府の財政引締め策(年初に発動された増税や4
月に発動された歳出強制削減)が成長に歯止めをかけ
ていることから、米国の経済成長が、当面のところ、緩
やかな歩みを強いられるであろうことについては、暫く
の辛抱が必要です。もっとも、GDP成長率は、下期に
は上昇の速度を増し、2014年には3.5%程度にまで回
復するものと考えます。そうなれば、FRBは、量的緩和
策に基づく資産購入プログラムを、経済に大きな打撃
を与えることなく終了させることができるでしょう。
④政府セクター
金融危機時の住宅売買件数の激減や住宅価格の暴
落は、時間のずれを伴って、税収の落ち込みをもたら
しますが、これは、不動産関連税への依存度が高い州
政府および地方自治体にとって、特に大きな打撃とな
ります。政府は厳格な財政引き締めを余儀なくされ、こ
のことが、経済成長の足枷となったのですが、景況の
改善に伴い、悪循環が断たれつつあります。不動産セ
クターの力強い回復を持ってすれば、好循環への転換
さえ可能となるかもしれません。
実際のところ、かかる転換の最初の兆候は、既に確認
されています。政府セクターの歳入が増加に転じる一
方で、州政府および地方自治体の歳出削減のペース
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会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。
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