英米ジャーナル

Journal of the English Department, Meikai University
第 11 号
(シャーロック・ホームズで有名なロンドン・ベイカーストリート駅)
明海大学 外国語学部 英米語学科
2014 年度 学科活動報告
はじめに
2004 年度に学科の年間活動を記録・報告・保存する目的で発刊された『英米ジャーナ
ル』は、学生諸君の成長の歩みを綴り続け、本号が第 11 号となります。
本号では、英米語学科所属の教員を代表して、副学長の大津由紀雄先生及び英米語学
科主任の津留崎毅先生が、若い皆さんに激励の言葉を綴っておられます。大津先生は、
自分の頭で考える習慣が充実した人生を導くと説かれます。知的好奇心と批判的精神を
身につけ、心豊かに生きましょう。津留崎先生は、実用性にとらわれずに、大学でなけ
れば学べないこと、大学時代でなければ経験できないことを追及せよと訴えます。いず
れも示唆に富むエッセイです。ぜひご一読をお薦めします。
明海大学名誉教授の西山佑司先生には、「because 構文の曖昧性」を考察された論文
をご寄稿いただきました。本論文は、2014 年 12 月 7 日に英米語学科同窓会・明英が開
催した「英語教育セミナー」でのご講演原稿に加筆されたものです。「英語や日本語の
豊かさに気づいて欲しい」との西山先生のお言葉をかみしめつつ熟読したいと思います。
今年度も英米語学科の各ゼミから、その素晴らしさを称えるメッセージが届いていま
す。自らのゼミに誇りが持てることは、大学生として最高の喜びではないでしょうか。
2015 年度も、学生諸君と担当教員が力を合わせてゼミ授業を充実させたいものですね。
海外での短期・長期の英語研修への参加者からは、熱気あふれる体験報告を多く寄せて
いただきました。文面からは、異文化に触れる喜びと苦労の体験を通じて、たくましく
成長された様子がうかがえます。今後海外留学を考えている学生諸君は、この貴重な体
験報告をぜひ参考にしてください。
就職活動で苦労を乗り越えて内定を勝ち取った 4 年生が、後輩の皆さんに真心こもる
エールを送っています。嵐の就職活動に挑む学生諸君は、苦しみを勝ち越えて成長した
この先輩たちのように、「負けない心」で進みましょう。
本号は、上記の内容以外にも充実した内容の活動報告が目白押しです。本誌にあふれ
る激励や活力に触発を受け、在校生の皆さんがいっそう充実した学生生活を歩まれるこ
とを心より願っています。
「2014 年度 ・ 英米ジャーナル編集委員会」
2
目 次
英米語学科教員から学生諸君に贈る言葉 ..................................................................... 5
《じぶんのあたまで考える》習慣 .................................................................................. 5
有意義な大学生活を送るために...................................................................................... 7
特別寄稿:西山佑司先生............................................................................................ 9
桟橋から落ちると酔っぱらう?- because 構文の曖昧性- ............................................... 9
英米語学科ゼミ紹介................................................................................................ 17
石黒武人ゼミ............................................................................................................... 17
大津由紀雄ゼミ ........................................................................................................... 19
金子義隆ゼミ............................................................................................................... 20
河原伸一ゼミ............................................................................................................... 22
川成美香ゼミ............................................................................................................... 23
小林裕子ゼミ............................................................................................................... 25
嶋田珠巳ゼミ............................................................................................................... 26
高田智子ゼミ............................................................................................................... 28
津留崎毅ゼミ.....................................
............................................................................. 30
原 和也ゼミ................................................................................................................. 31
日野壽憲ゼミ............................................................................................................... 33
松井順子ゼミ............................................................................................................... 35
ジェシー・グラス ゼミ................................................................................................ 36
海外英語研修報告 ................................................................................................... 38
米国 UCLA 英語研修に参加して................................................................................... 38
英国カンタベリー・クライストチャーチ大学 英語研修に参加して................................. 51
米国 UCF 英語研修に参加して..................................................................................... 59
3
カナダ・アルバータ大学に長期留学して...................................................................... 64
英語スピーチコンテストに参加して.......................................................................... 66
国内インターンシップ体験 ...................................................................................... 69
手抜きをしないことの大切さ....................................................................................... 69
インターンシップは成長のチャンス............................................................................. 70
学園祭実行委員会活動を体験して ............................................................................. 72
学園祭実行委員会活動で得たあふれる達成感と充実感.................................................. 72
就職活動体験報告 ................................................................................................... 76
就活は社会人に向けた成長の場.................................................................................... 76
挑戦と学びの姿勢を忘れずに....................................................................................... 77
気を楽にして就活に挑もう .......................................................................................... 78
自分を知り、自分に自信を持とう ................................................................................ 79
英米語学科卒業生のニューヨーク便り....................................................................... 81
ふみ子の NY 便り ........................................................................................................ 81
私を変えたテキスタイルとの出会い............................................................................. 85
卒業生からの手紙.................................................................................................... 89
感謝の気持ちを忘れず、毎日を楽しむ ......................................................................... 89
CA として中国・上海に暮らして ................................................................................... 91
英米語学科同窓会・明英の活動報告 ........................................................................... 93
より多くの「よろこび」を .......................................................................................... 93
編集後記................................................................................................................ 94
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英米語学科教員から学生諸君に贈る言葉
《じぶんのあたまで考える》習慣
副学長 大津由紀雄
大学で身につけるべきことはたくさん考えられますが、
その基幹として位置づけられるのは《じぶんのあたまで考
える》習慣だと思います。
《じぶんのあたまで考える》ということの重要性は多く
の人が説いていますが、《じぶんのあたまで考える》とい
うことがどういうことなのか、なんだかよくわからないと
いう人が多いのではないでしょうか。それは無理もないこ
となのです。なぜなら、「考える」というのは目に見えな
い過程だからです。
たとえば、《毎日、1 キロのジョギングをする》習慣をつけるということであれば、
わかりやすいですよね。《毎日、1 キロのジョギングをする》という目標が目に見えま
すから。どういう状態になったら、《毎日、1 キロのジョギングをする》習慣がついた
ということになるのか、はっきりしています。また、習慣づけの途中で、いま、目標に
対して、なにをどの程度まで達成できたかということも確認できます。
ところが、《じぶんのあたまで考える》ということになるとそうはいきません。目標
である《じぶんのあたまで考える》習慣がつくということがどんなことだか、当の本人
には見当がつかないのですから、大変です。また、仮にコーチのような助言者がいたと
しても、よほど、熟達した助言者でなければ、適切な助言をするのがむずかしいのです。
では、《じぶんのあたまで考える》習慣をつけるためにはどうしたらよいか。もっと
も大切なのは好奇心だと思います。好奇心にもいろいろな種類がありますが、「知的好
奇心」とでも呼べばよいのでしょうか、日常、触れるさまざまな現象に対して、《なぜ、
そうなるのか?》という問題意識を持つことです。
そして、《なぜ、そうなるのか?》という問題意識を持つためには、《それは当たり
前のことだ》と片づけてしまわないこと、ほかの人(ことに、その道の権威とか、専門
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家と言われる人)が書いたり、言ったりすることを鵜呑みにしないことが肝心です。こ
れを「批判的精神」と呼ぶこともできます。ここで言う「批判的」とは「文句をつける」
ということではなく、「一度、自分で考え直してみる」という意味です。
よく引かれる例ですが、枝から離れたリンゴの実の運動がわかりやすいかと思います。
枝から離れたリンゴの実は地面に向かって垂直に落下します。それを見て、《それは当
たり前のことだ》と思ったら、その先はありません。しかし、《なぜ、リンゴの実は垂
直に上昇しないのだろう?》、《なぜ、リンゴの実は地面に対して水平に動かないのだ
ろう?》などと疑問を抱けば、必然的に「考える」ということが起こります。
著名な教育学者が「英語学習は早くから始めるほうがより効果的だ」と自著に書いた
とします。《あんなに有名な先生が言うのだから、間違いないだろう》と鵜呑みにして
しまったら、ことは終わってしまいます。そのとき、《あの先生はこんなことを書いて
いるが、ほんとうにそうなのだろうか?》と疑問に思うことが大切です。
そうやって、じぶんで考え直してみて、《やはり、あの先生が言っていることはその
とおりだと思う》という結論に至ったのであれば、もちろん、それはそれでよいのです。
重要なのは自分で考え直してみるということなのです。
知的好奇心と批判的精神、この2つを身につけておけば、やがて、みなさんは《じぶ
んのあたまで考える》習慣ということがどういうことか、気づくはずです。この習慣は
一生モノです。自信にもつながります。
ちょっとしたきっかけで、ちょっとした努力で、生き方を変えることができます。や
ってみませんか?
(写真:大津先生のゼミの冬合宿にて)
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有意義な大学生活を送るために
英米語学科主任
津留崎 毅
英米語学科の年間活動報告『英米ジャーナル』に主任と
しての挨拶を述べるのも、これで 3 回目になります。前回
の挨拶で、「大学で学ぶことの意義」について、私見を述
べました。今回は、以下に、その挨拶を再録させていただ
きます。
*
*
*
皆さんは、大学で学ぶことの意義をどのようにとらえているでしょうか?「就活」の
大変さについてのニュースが巷にあふれる昨今、「卒業後に役に立つような、実務的な
技能や知識や資格」が得られる教育機関としての大学の価値が強調される傾向にあるよ
うに思います。そのため、「この科目は何の役に立つのか?」といった質問が、ある科
目の存在意義を問う質問として、しばしば発されることになります。
しかしながら、「何の役に立つのか?」という質問には注意が必要です。なぜなら、
「何の役に立つのか?」という質問の背後には、しばしば、「何の役に立つのか分から
ないものに価値はない」という短絡的な価値判断が潜んでいるからです。「何の役に立
つのか分からないもの」に時間と労力を割くことを軽視する態度が潜んでいるからです。
本当にそうでしょうか?「何の役に立つのか分からないもの」には学ぶ価値はないので
しょうか?
もちろん、そのような事はありません。なぜなら、人間にとって最も大切なもの、人
の心を慰め、鼓舞し、人生を豊かにしてくれるもの、生きる意味を与えてくれるものは、
いわゆる「役に立たないもの」ばかりだからです。それは音楽であり、文学であり、芸
術であり、最も弱い存在(例えば、生まれて間もない赤ちゃん)の笑顔であり、道端に
ひっそり咲く可憐な花であり、擦り切れた小物であり、色あせた一枚の写真であり、時
には、たった一言の感謝の言葉だったりします。
荘子(中国、戦国時代の思想書)の言葉に「無用の用」というものがあります。一件
無用とされているものが実は大切な役割をはたしている、という意味ですが、この言葉
の重要性は、効率性・有用性を追求する現代社会において、強調しても強調し過ぎるこ
とはないと思います。
7
言うまでもなく、「実務的な技能や知識や資格」は大切です。例えば、本学の「産学
連携プログラム」は、学生諸君の実際的ニーズに積極的に応えようとするものです。し
かし、本学のカリキュラムの中には、一般教養を高めることを目指す「人間力形成教育
科目」(哲学、倫理学、美学、文学など)が数多く用意されていることを忘れてはなり
ません。ある意味で、大学と他の教育機関(語学学校、ビジネス学校など)を明確に分
けるのは、この種の、一見「役に立たない」科目の履修を義務化している点にあると言
えるでしょう。
「何の役に立つのか」という質問に注意が必要な理由は、もうひとつあります。それ
は、「何の役に立つのか」は、しばしば、後になってみないと分からないからです。著
名な言語学者 Geoffrey Leech(ジェフリー・リーチ)は、時にその有用性に異議が唱え
られる「理論言語学的研究」の意義について、次のように述べました。この言葉は、私
の座右の銘(のひとつ)になっています。
Only after seeking understanding for understanding’s sake can one acquire the wisdom
which consists in using that understanding for good ends.(理解のための理解を求めた後
で、はじめて人は、その理解したものを正当な目的のために用いる知恵を獲得する
ことができる。)
大学には、実用性を超えて、大学でなければ学べないこと、大学時代でなければ経験
できないことが沢山あります。その 4 年間を、「何の役に立つのか」という判断基準だ
けで過ごすのは、あまりにも残念なことです。皆さんが有意義な大学生活を送られるこ
とを祈りつつ、筆を置きます。
*
*
*
大学で学ぶことの意義について、皆さんも是非考えてみてください。そして、良い就
職先を見つけることも大切ですが、豊かな人生を過ごすための「準備期間」であること
を忘れずに、有意義な学生時代を過ごしていただきたいと思います。
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特別寄稿:西山佑司先生
桟橋から落ちると酔っぱらう?
——because 構文の曖昧性———1
明海大学名誉教授 西山佑司
はじめに
わたくしたちは、英語で Why? と聞かれれば、一般
に Because… と答えます。日本語でも「なぜ」という
疑問に対して「なぜならば」が使われるのと同じです。
つまり、ある事態が生じたりなんらかの行為が引き起
こされたとき、その原因や理由を述べるために
because…という構文が使われるのですよね。英米語学
科の皆さんは、
「そんなこと、中学生でも知ってますよ、
なんで今さら・・・」と思われるかもしれません。とこ
ろが、ここに大きな落とし穴があります。日常、気付
かれることが少ないのですが、実は、because 構文に
はまったく異なった二つの意味があり、両者は明確に区別されなければならないからで
す。
1. 二つのタイプの because 構文
まず、次の例を見ましょう。
(1) The ground is wet because it has rained.
(雨が降ったから地面がぬれている。)
1
本稿は、2014 年度・明英英語教育セミナー(2014 年 12 月 7 日、於 浦安ブライトンホテ
ル東京ベイ)でおこなった講演「because 構文の曖昧性——「ので」と「から」の区別の観
点から——」の原稿の一部に加筆したものである。
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この文はどうってことありませんよね。この場合、because 節が原因を表し、主節 the
ground is wet がその結果を表していることは明らかです。次例はすべて同様のタイプ
の because 構文です。
(2) He was drowned because he fell off the pier.
(彼は桟橋から落ちたため、溺れた。)
(3) He is not coming to class because he is sick.
(彼は病気だから、授業を休む。)
(4) The road is unsafe because it is icy.
(この道は凍っているから危険だ。)
(5) I am very happy because I passed the examination.
(私は試験に受かったからすごく嬉しい。)
これらの文では、いずれも because 節が主節で述べられている事態の原因や理由を表し
ています。そこから多くの人は because 構文の意味を(6)と捉えがちです。
(6) S1 because S2 : S2 が原因で、S1 がその結果
たしかに because 節の意味のひとつには(6)の公式で捉えられるようなものがあります
が、because 節にはもうひとつ別の意味もあります。次の例を見ましょう。
(7) It rained last night, because the ground is wet.
(地面がぬれているから、昨夜、雨が降ったのだ。)
この文は一見、(1)と似ていますが、意味は異なります。(7)の意味は、括弧の中のようなもの
です。ここで皆さん、注意してください。(7)の because 節、つまり、 the ground is wet は
主節 It rained last night の原因を表しているでしょうか。もし原因を表しているとすれば、
今、地面がぬれていることが原因で、その結果、昨夜、雨が降ったということになりますが、
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そんな馬鹿なことはありませんよね。原因—結果ということでいえば、むしろ逆で、昨夜、
雨が降ったことが原因で、その結果として今、地面がぬれているわけです。ということは(6)
の公式は(7)には適用できないことが分かります。つまり、(7)の because 節は、(1)‐(5)のケ
ースとまったく異なるタイプの because 節だということになります。
では、 (7)の because 節が主節の原因でないとすればこれは一体どう解釈すれば良い
のでしょうか。(7)は、例えば、朝、起きて、地面がぬれているのを見て、「あっ、昨夜、
雨が降ったんだ」と判断するときに典型的に使われる文です。つまり、(7)は、主節 It
rained last night を正しいと判断するための根拠を述べている文なのです。つまり、朝、
地面が今ぬれていることを観察し、それを根拠にしてそこから、昨夜、雨が降ったとい
うことを推論しているわけです。その点で、(7)の because 節は、因果関係を表す(1)‐(5)
の because 節と大きく異なります。次例の because 節も(7)と同様のタイプです。
(8) He was drunk, because he fell off the pier.
(彼は桟橋から落ちたのだから酔っぱらっていたのだ。)
もし(8)における because 節を、主節が表す事態の原因を表しているとあえて読むならば、
「彼は桟橋から落ちたことが原因で酔っぱらっていた」という奇妙な意味になってしまいま
す。これでは、桟橋から落ちた場所がなんとアルコールの海であったという普通ありえない
ことを言っていることになってしまいますね。(8)はもちろんそういう意味ではありません。
結局、(8)をくだいて訳せば(9)のようになります。
(9) 彼は酔っぱらっていたんだ、なぜわたくしがそう考えるかといえば、彼は桟橋か
ら落ちたのだから。
ここでも、彼が桟橋から落ちたことを根拠にして、彼は酔っぱらっていたということを
推論しているわけですね。
ここで、(1)-(5)に現れる because 節を「因果の理由節」、(7) や(8) に現れる because
節を「推論の理由節」と呼ぶことにいたしましょう。両者の特徴を整理しますと、(10)
のようになります。
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(10) a. 因果の because 構文:because 節は、主節の表す事態(行為)に対する原因・
理由を表す。
b. 推論の because 構文:because 節は、話者が主節の内容を正しいと判断したり
主張することの根拠を表す。because 節を根拠とし、そ
こから主節が推論される。
皆さんのなかには、(7)や(8)のような推論の because 構文は特殊なケースであって、日
常あまり出てこないのではないかと思う方もおられるかもしれませんね。でも、そんな
ことはありません。以下の例はすべて推論の because 構文の例であり、けっして珍しい、
特殊なケースではありません。
(11) You ate the cake on the table, because you have powdered sugar on your
upper lip.
(お前はテーブルの上にあったケーキを食べたな、だって上唇に砂糖がついてい
るから。)
(12) He is not coming to class, because his wife just told me.
(彼は授業に来ないよ、だって彼の奥さんがそう言っていたから。)
(13) He must have passed the test, because he looks so happy.
(彼はあんなに嬉しそうにしているのだから、試験に合格したにちがいない。)
(14) He was drunk, because I saw him staggering.
(彼は酔ってたよ、だって千鳥足だったもの。)
これらの because 節を主節の表す事態や行為に対する原因とみなすわけにはいきません。
もし英語学習者が、because 節はすべて事態や行為の原因・理由を表すのだと思い込ん
だとしたならば、(7)や(8)、さらには(11)-(14) の文の意味を理解することができないで
しょう。ここで注意すべきことは、多くの場合、推論の because 構文では because の前
にカンマが付くということです。もっとも、カンマが付いても因果の because の可能性
もありますし、カンマが付かなくても推論の because と読むことができる場合もありま
すので、カンマだけに頼らないで内容から判断してください。実際、because 構文のな
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かには、因果の because とも、推論 because とも解釈ができ曖昧になりうる場合もあり
ます。そのことを次に見てみましょう。
2. 曖昧な because 構文
これまでは because 構文が因果の意味かそれとも推論の意味かがはっきりしている
ケースを見てきましたが、次の文はどうでしょうか2。
(15) John smokes, because he has cigarettes in his house.
この文の because 節は因果の意味とも推論の意味とも解釈でき、その点で曖昧な、し
たがってそれだけに面白い文といえます。(15)の because 節を因果の意味でとるなら
ば、その意味は、(16)のようなものになり、推論の意味でとるなら(17)になります。
(16) ジョンは家にタバコがあるので、吸ってしまう。
(17) ジョンはタバコ吸う男だな、なぜそう思うかといえば家にタバコがあるから。
(16) の読みでは、(15)の英文は、ジョンの家にタバコがあることとジョンがタバコを
吸うこととの間に因果関係があることを主張しています。ジョンはタバコをやめよう
と決意したのだが、ジョンはなかなかやめられない、その理由は家にタバコがあって、
ついタバコに手が伸びてしまうのだ、といった状況で用いられる文ですよね。この場
合、ジョンは意志の弱い男だ、という含みがあります。一方、(15)に対する(17) の読
みは、ジョンがある事件の容疑者で逃亡中であるとし、留守中のジョンのアパートを
捜索している刑事が言うセリフだとみなすと理解しやすくなります。刑事は、ジョン
の家にタバコがあるのを見つけて、それを根拠にして「ジョンはタバコ吸う男だな」
という命題を推論しているわけです。同様の曖昧性は次の文にも見られます。
(18) Tom has left because his wife isn’t here.
まず、(18)を因果の because 節として解釈してみましょう。その場合、because 節は
トムが立ち去った理由を表していると読むわけです。すると、
(19)の読みが得られます。
(19) トムは、自分の妻がここにいないという理由で、立ち去った。
2
上林洋二 (1994)「条件表現各論——カラ/ノデ」『日本語学』13(8), p.76 を参照。
13
おそらく、トムは奥さんを探していたのでしょうね。あるいはトムは奥さんがいない
ところにいてもつまらないと思ったのかもしれませんね。
こんどは (18)を推論の because 節として解釈してみましょう。その場合、トムが立
ち去ったと話者が判断・推測する根拠を because 節が述べていることになり、(20)の
ような読みになります。
(20) トムの奥さんがここにいないところを見ると、トムは立ち去ったな。
トムと奥さんはつねに一緒に行動するということを知っている話者が、トムの奥さん
がここにいないことから推察して、トムが立ち去ったと判断したわけですね。このよ
うに、(18)のもつこれら二つの意味の違いは微妙ですが、よく考えればまったく異なる
意味だということが分かると思います。
3. 日本語の理由節構文
今度は日本語のことをすこし考えて見ましょう。英語の because 構文に対応する構文
は日本語では「~カラ・・・だ」という形をとります。より正確に書きますと、英語と
日本語は(21)と(22)のような対応関係になります。
(21) S1 because S2
(22) S2 カラ、S1
(22)のような形を持つ文を「カラ構文」と呼ぶとしますと、興味深いことに、英語の
because 構文で言えることは日本語の「カラ構文」についてもそのまま当てはまりま
す。まず、(23)の各文を見てください。
(23) a. わたくしは熱があるから、今日、大学を休みます。
b. 昨夜、雨が降ったから、地面がぬれています。
c. あの学生は試験に合格したから、あんなに嬉しそうな顔をしている。
d. 昨晩食べた肉が悪かったから、太郎はお腹をこわした。
これらの文では、いずれも、S2 が原因で、S1 がその結果を表していますから、因果の
カラ構文ですよね。一方、(24)の各文では、逆に、S2 が根拠で、S1 がそこから推論さ
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れた判断を表していますから、推論のカラ構文と言うべきです。
(24) a. みんな傘をさしているから、今、雨が降っているのだ。
b. 地面がぬれているから、昨夜、雨が降ったんだ。
c. あの学生はあんなに嬉しそうな顔をしているから、試験に合格したのだ。
たとえば、(24a)は、高層ビルの中から外を眺めていて、街路を歩いている人がみん
な傘をさしていることに気づき、そこから「今、雨が降っているんだな」と判断する
ような状況で用いられます。もし(24a) をあえて、因果のカラ構文として読むとする
と、「みんなが傘をさしていることが原因で雨が降っている」 というとんでもないこ
とを述べていることになってしまいます。街路を歩いているひとがみんな傘をさすと、
その圧力で周囲の空気を押し上げ、それが雨雲の発生につながる、といった荒唐無稽
なことでも考えないかぎり、(24a)を因果のカラ構文として読むわけにはいきません。
(24b) (24c)も同様です。
ただここで、(24)の各文の主節、S1 の文末に注意してください。「のだ」「んだ」が
付いており、それを欠いた(25)はどうも舌足らずで、文として落ち着きがよくありませ
んね。
(25) a. ?みんな傘をさしているから、今、雨が降っている。
b. ?地面がぬれているから、昨夜、雨が降った。
c. ?あの学生はあんなに嬉しそうな顔をしているから、試験に合格した。
ところが、因果のカラ構文(23)では、主節にそのような文末要素は必要ありません。日
本語では、このように、因果のカラ構文と推論のカラ構文とで、主節の言語形式上、明
示的な違いが見られるのですが、英語にはこの種の違いはありません。このことは何を
意味しているのでしょうか。上でも説明しましたように、推論のカラ構文では、主節
S1 は話し手による判断を表し、カラ節 S2 はその判断の根拠を表しています。
日本語は、
一般に、話者による判断を表わす表現が豊かであることが知られています。
「のだ」
「ん
だ」などは、そのような話者による判断を示す言語記号にほかなりません。したがって、
日本語では、
「今、使っているこの文は、世界を単に記述しているのではありませんよ、
そうではなくて、わたくし(話者)の判断を表しているのですよ」ということを示す言
語形式が利用可能なのです。英語では判断に特化した言語形式はかならずしも必要では
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ありませんので、(15)や(18)の例のように、しばしば because 構文が因果か判断かの区
別が形だけでははっきりしない文も出てくるのです。(もちろん、英語の場合でも、こ
れらの英文が使用されるコンテクストが与えられれば、いずれの読みが意図されている
かは瞬時にわかります。)ということは、理由節構文に関するかぎり、日本語の方が話
者の意図を明確に言葉化するという点で、英語よりもはるかに豊かな言語だということ
になりますね。
おわりに
becauseという語は英語のもっとも基本的な接続詞ですし、中学2年の英語教科書で
すでに沢山登場いたします。しかし、それを無造作に「なぜなら、・・・だから」とだ
け覚えておくのでは十分ではありません。同じbecause構文といっても、世界の事象や
人間の行為を記述する過程で、その原因・理由を述べている構文なのか、それとも、話
者の主張や判断の根拠を述べている構文なのかで、その意味・用法が根本的に異なりま
す。この違いにsensitiveになるということは、英語の文章を読む上できわめて重要です。
皆さんが英語の書物を読んでいて出くわすbecause構文のそれぞれについて、これは、
因果のbecauseだろうかそれとも推論のbecause だろうかということを考えながら、丁
寧に読んでいく必要があります。さらに、この区別は単に英語のbecause構文だけにつ
いて言えることではなく、日本語の「~カラ・・・だ」についても言えます。日本語に
ついては、母語であるだけに、「~カラ・・・だ」という表現が曖昧であることになか
なか気付きにくいものです。英語を勉強する機会に、日本語のカラ構文の曖昧性に気付
くことは、ことばを勉強する上で貴重な体験をしたことになります。皆さんは、毎日、
英語の勉強に専念されているでしょうが、英語を勉強するということは、母語である日
本語とまったく別種の記号体系を勉強することだと思っておられる方もいるかもしれま
せんね。でもそれは大きな間違いです。むしろ、英語も日本語と同じ人間の言葉だとい
うことを十分意識して、英語や日本語の言葉としての豊かさに気付いていただきたいと
思います。その際、母語である日本語についてもっともっと sensitive になることこそ
が言葉の能力を高め、ひいては根の張った真の英語力の達成につながるのだということ
を強調しておきたいと思います。
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英米語学科ゼミ紹介
石黒武人ゼミ
3 年 伊澤 真梨奈
石黒ゼミの専門分野は、異文化コミュニケーションです。グローバル化を背景として、
異なる異文化的背景を持つ人々同士がコミュニケーションを取る機会が増えています。
コミュニケーションを取る機会が増えてくれば自然と相互理解が深まるかというと必ず
しもそうではありません。コミュニケーションの中で衝突や誤解があるかもしれません。
そこで、この授業では、異文化コミュニケーション研究の概念や説明モデルを用いて、
文化とコミュニケーションが関わる諸問題を多面的に分析し、その原因について批判的
に考察する能力を養いました。また、主体性を育むとともに、他者とつながりを大切に
し、意見交換をできるコミュニケーション能力を伸ばしていく授業でした。
私たち石黒ゼミは、7 人全員が女子というゼミ史上初めてのメンバー構成でした。議
論が多い授業だったので、一人ひとりしっかりと意見を持ち、多様性を理解し受け入れ
新しい考えに辿りつく事が出来たり、自分が持っていた概念が刺激されたりすることに
よって、先生も含めみんなで尊重しあい成長していけたゼミでした。みんなで尊重しあ
うことが出来たから自分なりの正直な意見が言いやすい場となり、そして、少人数だか
らこそアットホームな雰囲気が出ていて居心地の良いゼミだと感じました。
前期では、テキストを使いペアを組み、指定されたパートを発表していきました。異
文化コミュニケーション研究の概念や説明モデルを説明していくときに、聞き手に分か
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りやすいように具体例を出したり、いくつか質問を投げかけ、話し手と聞き手がお互い
に意見を出しあったりしました。プラスαとしていくつか先生から異文化コミュニケー
ション研究の概念や説明モデルを紹介されました。また、私たちのゼミは、ゼミ論があ
ったため、先生の指導の下で研究テーマの設定や発表をしました。
後期では、問題討議を行いました。2,3 人でチームを作り、異文化コミュニケーショ
ンに関するテーマを自由に決めて発表しました。テーマの内容としては、
「若ママ世代」、
「ゆとり世代」や「学校におけるいじめ問題」と言う主に組織コミュニケーションや世
代間コミュニケーションについて問題討議を行いました。問題討議をしていく中で、み
んなでその原因はなにか、その解決策はなにかを考え、その問題に対しての深い理解や
向き合う姿勢を以前より得られたと感じます。もう一つは、ゼミ論の書き方を授業内で
教わりながら、ゼミ論の提出、発表を行いました。ゼミ論は学生にとって大きな壁とな
りますが、書き終えたときには大きな達成感が得られると思います。構成や書き方の注
意などを気にしながら、興味・関心があるものを調べていくのは楽しかったです。また、
自分がゼミ論を書き終えて、ゼミ生に発表をすることによって、なにを伝えたいのか、
自分が調べたものに対しての理解が再確認することが出来ました。
私たちは、2 月上旬に勝浦セミナーにてゼミ合宿を行いました。合宿では、一年間学
んだことを振り返り、その学んだことを就職活動や卒業後の自分たちにどう活かしてい
くか先生のレクチャーに基づきゼミ生達と意見を出しながら話し合いました。その後、
みんなで夕飯の準備をしていきました。ゼミ生達が事前に用意してきた材料でケーキを
作りました。今までの石黒ゼミの中でケーキを作ったのは、私たちが初めてだとのこと
でした。それを聞いた私たちは石黒先生にとってとても印象深いことをしたなと感じま
した。夕飯を済ませ片づけをし、みんなでケーキを食べた後、カラオケをしたり、雑談
をしたりしました。異文化コミュニケーションを考えつつ、ゼミメンバーと石黒先生の
交流が深められたゼミ合宿になりました。
石黒ゼミに入って、素敵な出会いそして大変有意義な時間を過ごすことが出来ました。
石黒先生、1 年間ありがとうございました。
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大津由紀雄ゼミ
3 年 大野 理央奈
大津ゼミを 3 つの視点から紹介させて頂こうと思います。
まず第 1 として毎週の授業、ゼミの時間で行うことです。ゼミの最終目的としてゼミ
論文を書き上げるということがありますので、毎週の授業において大まかに分けますと、
前期ではゼミ論文を書くためのテーマを決めるということをしていました。自分の興味
を持っている題材を挙げ、そこからゼミ生で意見を述べ、ロジックツリーのように様々
な視点で派生させていき、自分の興味を持っている題材をより細かい形で明確にし、ゼ
ミ論文のテーマを決定しました。後期では決めたテーマについて、どのような視点でテ
ーマを捉え、どのようにゼミ論文を書き上げるのかをゼミ生の前で発表し、意見を貰い、
自分のゼミ論を修整しました。論文は書いたことがない方がほとんどだと思いますが、
しっかりステップを踏んで組み立てていけるので心配はいりません。
第 2 にゼミの雰囲気について挙げます。ゼミの雰囲気としては、自主性を重視してい
るように感じられます。ゼミを履修するのは 3 年生からということもあり、テーマを広
げていく際や、ゼミ論について発表する際は様々な意見を飛び交わせることがより良い
ゼミ論を書き上げることに繋がると思います。なかなかこのような意見交換の場はない
と思いますし、就職活動などにも役に立つと思いますので、積極的に発言することが良
いと思います。
第 3 にゼミ合宿を挙げます。昨年度はゼミ合宿は2回行われ、1 回目の夏では軽井沢
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に、2 回目の冬では本学の勝浦にあるセミナーハウスへと行きました。合宿はとても楽
しいものでした。軽井沢では、他学からいらっしゃって下さった先生からご講義を受け
られ、夜には遅くまで飲み会をしました。翌日はお昼にお蕎麦を食べに行き、そこでも
お酒を頂きました。勉強にもなり、お酒も飲めて楽しいという一石二鳥な素晴らしい合
宿でした。冬は勝浦のセミナーハウスですが、ここではワールドカフェ形式でグループ
を変えて題材として上げられたテーマについて話し合うということをしました。テーマ
は英語の勉強法でしたが、お菓子を食べながら、ジュースを飲みながら、小グループで
の話し合いでしたので、とても議論が活発に行われました。私自身も皆さんの勉強法は
とても参考になりました。もちろん夜にはお酒をたくさん頂きました。宿泊という形に
なりますと、難しい方もおられると思います。しかし、大津ゼミでは2度ありましたが、
2度とない機会ですので、出来る限りでぜひ参加して欲しいと思います。
ただゼミ論文を書き上げるだけでなく、多くを学べるゼミとなっていますのでぜひ大
津ゼミのゼミ生となって楽しんで学んでください。
金子義隆ゼミ
3 年 石毛 大地・吉屋 李華
この一年間金子ゼミでは、ゼミ生である私たちの要望や、個々の目標に合わせた内容
を取り扱って頂き、自分たちに合ったスキルを身につけさせて頂きました。今回はゼミ
紹介ということで主に二つの事について説明したいと思います。一つ目は、ゼミの雰囲
気。二つ目は、ゼミ内での活動について説明します。
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まず、金子ゼミの雰囲気について紹介します。金子ゼミの雰囲気はとても和やかで明
るく、会話の飛び交うものでした。全員がゼミの空気に溶け込むことができ、毎時間必
ずコミュニケーションを取り合いながら進めていけるので、ちょっとした疑問や質問で
も金子先生が聞いてくれて、細かいところまで全員で解決しながら進めていけるので、
90 分の間でたくさんのことを学び、力をつけることが出来ました。全員が輪の中に入り、
コミュニケーションを取り合うことで、英語の知識はもちろん、それぞれの留学体験や
課外活動など、様々なためになる情報交換をすることも出来ました。このように、金子
ゼミではそれぞれの能力や目標に合わせた内容でスキルを向上させつつ、全員参加のコ
ミュニカティブで有意義な情報交換をすることの出来る一年間を過ごすことが出来ます。
金子先生の作り出す、全員が身を乗り出して授業やコミュニケーションに参加したくな
る雰囲気は、このゼミのなによりものアピールポイントだと思います。全員が授業やコ
ミュニケーションに参加してゼミを過ごすことで、少しの無駄もない有意義な 90 分を全
員が過ごすことが出来ます。また、自分から、来週のゼミにまた来るのが楽しみになり
ます。2014 年度の金子ゼミ生は毎週必ず来ていました。1 年で終わってしまうのが残念
になるほど、居心地がよく、自分のためになる時間を過ごすことが出来ます。
次に、ゼミ内での活動について説明したいと思います。まず、私達は DUO3.0 という
単語帳を使って英単語テストを毎時間行いました。この単語テストのおかげで、ゼミ開
始時よりも私達の語彙力は上がりました。また、単語テスト時には金子先生が単語帳に
は載っていない関連表現も教えてくださり非常に勉強になりました。テスト後の活動は、
毎時間異なった活動をしました。その活動内容は、英字新聞の要約やスピーチ発表、そ
して教員採用試験の英語の過去問を解くといった内容でした。英字新聞の要約は、記事
の内容がしっかりと理解できていることが求められ少し苦戦しましたが、金子先生がサ
ポートしてくださったおかげで記事のポイントを押さえて要約することができました。
スピーチ活動では、自分の好きなものについてパワーポイントを使いスピーチをしまし
た。実際の教育現場ではスピーチの指導ができることが求められるため、自分達が実際
にスピーチをし、先生に講評をいただくことでスピーチのポイントをしっかりと認識す
ることができました。教員採用試験の過去問を解く際も、丁寧に解説してくださり私達
の理解に繋がりました。
このように、私たちは金子ゼミで毎時間様々な活動にチャレンジし有意義な時間を過
ごしてきました。ゼミ内で培った力を、この先も伸ばしていけるよう努力を続けていき
たいと思います。金子先生、一年間本当にありがとうございました。
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河原伸一ゼミ
4年 岡崎 史枝
河原ゼミでは翻訳技術を中心に様々な課題、問題を取り上げた。翻訳技術では“売れ
る翻訳”を目指し、「米国サブプライムローン問題についての IMF の報告書」や「アジ
ア太平洋圏におけるアメリカの侵略」等のテキストを通して品詞転換(例:形容詞→副
詞、名詞→動詞、副詞+形容詞→名詞+名詞)や、日本語訳の推敲に取り組んだ。また、
英語以外ではその時々のタイムリーな話題、例えばバイオ燃料や米国のサブプライムロ
ーン問題を通してサトウキビ栽培の特殊性や金融システムについて先生が概略を解説さ
れた。またある時はドストエフスキーや個人投資家を取り上げた特集番組のビデオを見
て皆で意見を交し合った。
先生の前歴に裏打ちされた「証券アナリストが教えるサブプライムローン」や「財務
部長が教える粉飾」、それに「元外交官が語る国際関係や政治舞台の裏」の話は真に迫
り、普段自分たちには無関係だと思っている世界を身近に感じた。しかし通年、先生が
何よりも強調されたのは「本を読むこと」であった。内容のしっかりした本を読み込む
ことは、知性の底上げに有効な手段の一つなのである。そしてゼミのメンバー全員が毎
週、各自読んできた本を紹介し、そこから派生してあらゆる方向に話題が広がっていっ
た。そこでは学生同士の普段の会話ではあまり話題に上がらないようなことを話す機会
も得られた。
当ゼミは、通常の形態の授業とは似て非なるものであり、つかみ所のない講義形式で
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あった。しかし取り留めのない中にも終始一貫していると感じたのは、「(学生たちに
とって)未知の世界に開眼させる」ということと「良いもの(本物)に触れさせて本物
を見る目を養わせる」という視点であった。そしてゼミの指導教官とは、あらゆる意味
でそれを体現している存在である。きっかけはたくさんちりばめておくから、モノにし
たければ自ら取りなさい、という完全なる自主性至上主義のゼミであった。そもそもゼ
ミとはそういうものであろうが。ゆえに、このゼミから何を学び、得ることが出来たか
は完全に各個人に依拠しているだろう。
川成美香ゼミ
3年
外崎 琢也・藤崎 正敏
「言語」に興味のある方にお勧めなのがここ、「川成ゼミ」です。私たち川成ゼミで
は「社会言語学」について研究します。社会言語学のテーマとしては、方言やスラング、
敬語、性別による言葉の適切さなどといったものが該当します。一言でいうと「伝達能
力」の解明です。この研究は言語学という枠に留まらず、社会や文化、私たちの生活に
深く関わっています。ただの研究として終わるのではなく、これから先の将来に活用で
きる知識を得られるゼミです。
川成ゼミは他のゼミとは異なり、ゼミ以外の川成先生の授業と連携するやり方です。
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英語学特講やプレゼンスキルなどといった授業と一緒にゼミを進めていくので、様々な
知識を得ることができます。ゼミ自体の進め方としては、教科書や英語の論文を基に、
各パートに分担してプレゼンをします。通常ゼミは少人数制ですが、今年度は 18 名と多
くペアになってプレゼンを進めていきました。内容を理解してレジュメを作成し、発表
するのですが、発表する内容を効果的に相手に伝えるために参考文献や図表などを用い
て、工夫して作成していきます。これはゼミ論を作成する事前準備ともいうことができ
ます。ゼミを通して興味関心をもったことについて、夏休みにゼミ論作成の準備に取り
かかります。自ら資料を集めてアンケートなどを取り、独自データを作っていきます。
その中で定期的に途中経過報告というものがあり、先生が一人一人にアドバイスをして
くださいます。これによりゼミ論の方向性がはっきりとして、より内容の濃いゼミ論に
仕上がっていきます。
でき上がったゼミ論を発表するのは、2 月の勝浦セミナーハウスでの合宿。海辺のリ
ゾート地に雪が舞い、幻想的な雰囲気の中でのゼミ論発表会でした。一人約 15 分の発表
でしたが、これまでのゼミや川成先生の他の授業を通し培ったノウハウが活き、当初と
は比べ物にならないほどの完成度にみな仕上がっていました。長い発表会の後は BBQ
やカラオケなどでリフレッシュ。2 月の寒さは堪えますが、ゼミ合宿での時間のみなの
熱さは凄まじいものです。発表会と楽しい時間が終わった後は、先生は朝方まで各個人
にゼミ論完成版に向けてフォローアップしてくださいました。こうして、ゼミ論が完成
していくのです。
また今回の合宿には、ゼミ OB である 4 年生も参加されました。初日のゼミ論発表会
で質問やコメントをしていただくだけでなく、2 日目には「就活セミナー」が行われま
した。卒業を目前に控えた 4 年生の就活体験談やアドバイスは真に迫っていて、私たち
3 年生も真剣に耳を傾けました。
1 年間を振り返ってみると、初めて顔合わせをした 4 月頃の不安はいつしか、達成感
に変わっていました。長いと思っていた時間はあっという間に過ぎていきました。ゼミ
合宿の最後の日、そんなことを思う生徒が、来年度のゼミにもきっと現れると思います。
「言語」に興味のある方、言語学はもちろんのこと、人間としてひとまわりもふたま
わりも成長したいあなたにお勧めなのが、ここ「川成ゼミ」です。
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小林裕子ゼミ
3 年 大森 文乃
国際政治や世界情勢に興味がある、この社会に一言物申したい、そんな人にぴった
りなのが小林ゼミです。私たちのゼミでは、英字新聞を読むことで、今まさに世界で
起こっている様々な出来事を考察します。英語の力だけでなく、社会に出る上で必要
不可欠な知識や自分の意見を簡潔に述べる力も身につけることができます。
使用する新聞は主に The Japan Times や The New York Times などで、先生が毎回
記事をプリントしてきてくださります。大体 1 パラグラフを一人ずつ順番に適切な日
本語に訳していき、記事全体の内容を理解します。そしてその内容について一人一人
意見を述べ、理解をさらに深め、現代社会の問題点を考えます。
実際に私たちが学習したものの一例を挙げます。2014 年 9 月、スコットランド独立
の是非を問う住民投票が行われました。それについて私たちは、イギリス側の目線で
書かれた新聞記事と、スコットランド側の目線で書かれた新聞記事を読み比べました。
イギリス側の記事には、圧倒的大多数の反対票により否決、と書かれています。一方
スコットランド側の記事には、独立はならなかったがスコットランドはこれからより
権力を持つようになるだろう、というように書かれています。このように双方の視点
で見ると、物事をより客観的に捉えて考えることができます。また日本ではあまり詳
しく報道されていないようなことも英字新聞には書かれていたりするので、非常に面
白いです。
勿論誰もが最初からスラスラと英字新聞を読むことができるわけではありません。
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わからない時は先生が私たちにわかりやすいようヒントをくださるので安心してくだ
さい。ただ勿論少なからず基礎英語は把握していなければなりません。わからなけれ
ばいけないところがわからなかった場合、稀に先生が鬼に変身してしまうことがあり
ます。そうならないためにも、日頃から英語の勉強はもちろんのこと、社会にも目を
向ける必要があります。実際私は小林ゼミに入ってから、毎日のニュースを注意して
見るようになりました。ただ社会情勢を知るだけでなく、それはなぜどのようにして
起こっているのか、そして日本の未来を担う私たちはこの先どうすべきなのか、自分
なりに検討する習慣が自然と身につくようになりました。
小林先生が明るく面白い方なので、教室の雰囲気も非常に良いです。先生は本当に
様々な知識をお持ちで、お話を聞いていて勉強になることばかりです。よく授業の最
中に何かワードが出ると、それに関連した先生の経験談や雑学などをお話ししてくだ
さります。私はそれを聞くのが大好きです。”脱線”ばかりで授業があまり進まないなん
ていう日もありますが、それこそが小林ゼミの醍醐味だと私は思います。
また、先生はいつも私たちに愛を持って接してくださります。学生生活で不安に思
っていることや就職活動の悩みなども親身になって聞いてくださるので、私たちにと
って心から頼れる先生です。時に優しく時に厳しい先生の愛のあるご指導は、いつも
身が引き締まります。
おわかり頂けるように、小林ゼミで学べるものは英語だけにとどまりません。自分
を変えたい、人としてもっと成長したいという方に、私は強く小林ゼミをおすすめし
ます。
嶋田珠巳ゼミ
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3年
菊地 真衣子
新しいことを発見したい、プレゼンテ
ーション力を身に付けたい、自分の強み
を明確にしたい。嶋田ゼミはその全てを
叶えてくれるゼミです。
前期の授業の最初は、最初に自分の好
きな本を紹介するということをしまし
た。私は『話を聞かない男、地図が読め
ない女』(原題:Why men don’t listen &
women can’t read maps)(作:Allan &
Barbara Pease、訳:藤井留美)という本
を紹介しました。本の中の図などを用いて男女の物の見方や考え方の違いについて述べ
ました。
全員の本の紹介が終わった後は、毎週数名ずつ自分が日常生活で不思議に思っている
事を自身が作成したハンドアウトを用いてプレゼンテーションをする授業をしました。
プレゼンテーションの内容は自由です。今年度の内容を例にあげると、アパレル関連に
就職を希望する人はファッションについてプレゼンテーションをしていました。その他
にも趣味の自転車競技について、いかに勉強を楽に行うかというユニークなものもあり
ました。また英米語学科なので英語に関わる内容もあります。例えば Charles Chaplin が
監督・製作・脚本・主演を務めた『独裁者』(原題:The Great Dictator)の演説シーン
の映像を用意して実際に聞きながらプレゼンテーションを行ったものなどがありました。
またプレゼンテーションの後には必ず全員で質疑応答と発表に対する感想を述べる事
を行います。そこで自分がされると思っていなかった質問をされ、詰めの甘さに反省す
ることもありました。しかし感想で良かった点を言ってもらえると、悪かったところは
直し、良かった点は伸ばしていこうという意欲が湧きました。毎週様々な価値観を持っ
た個性豊かなゼミ生と意見交換をすることで、今まで自分になかった新しい考え方に触
れる事ができました。
このようなゼミの内容を行う事によって、ゼミ生全体のプレゼンテーション力は最初
の頃に比べて上がったと思います。年度末の授業では、ハンドアウトを工夫してみる、
話す声の大きさやスピードに注意してみる、ハンドアウトに限らず映像を用いてみるな
ど初めの方には見られなかった発表が年度末には多く見られるようになりました。
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嶋田ゼミでは夏休みにゼミ合宿を行います。今年度のゼミ合宿ではバーベキューをし
たり、近くにある海でスイカ割りをしたり、夜には花火をして親睦を深めることができ
ました。もちろんゼミ合宿ですから全員で後期に向けて学習計画を立てるなどゼミに対
する意識を高める事ができました。
ゼミの担当教員である嶋田先生とは個人面談を行います。そこではゼミや就職活動に
ついてお話しをしたのですが、そこで私は自分の強みを見つける事ができました。必要
事項について一通り話が終わった後、他愛のないことを話している時に私は自分の欠点
について先生に相談をしました。すると先生は私が今まで欠点だと思っていたことにつ
いて、それは欠点ではなく強みだと言ってくださいました。またゼミ内でその強みが伸
びるようにサポートをしてくださいました。今まで欠点だったことが、今では誰にも負
けない強みになりました。
人の個性を受け入れて、それぞれがそれぞれの強みを伸ばしていける嶋田ゼミは私に
とって新しい場所でした。私は笑顔が絶えない嶋田ゼミが大好きです。最後に、嶋田先
生 1 年間ありがとうございました。
高田智子ゼミ
3 年 前田 東ゆ子
皆さんこんにちは。2014 年度高田ゼミの前田です。私たちのゼミは高田先生のご指導
のもと、3 年生 3 名で活動を行ってきました。2 年生の皆さんはゼミの選択に悩まれてい
るかと思いますが、この場で高田ゼミの魅力をお伝えすることができたらと思います。
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皆さんはこれまで中学校や高校で英語の授業を受けてこられたと思いますが、そんな
中で「学校の先生になって英語を教えてみたい」と思ったことはありませんか?実はそ
んな夢を持っている学生を毎年指導してくださっているのが高田先生です。今年度は 3
年生全員が教職課程を履修していたこともあり、ゼミでも教職過程に役立つ内容のもの
を多く扱いました。
私たちがこの一年間ゼミのテーマとしてきたのは「タスク」です。「タスク」は私た
ちが知っている「課題」ではなく、英語の授業内で行う活動として扱います。例えば、
単語を練習する、教科書を音読する等の活動ではなく、英語を使って誰かと旅行のプラ
ンを選ぶ、友達に渡すための誕生日プレゼントを買うなどの活動が「タスク」になりま
す。私たちは実際に学校の授業で使用できる「タスク」を自分で作れるよう、教科書を
参考に、時にはお互いに意見を交換しながら活動に取り組みました。「タスク作り」と
いってしまうと個人作業が多いようなイメージを持つかもしれませんが、そんなことは
決してありません。授業では私たち自身が生徒になり、さまざまな「タスク」に取り組
み英語力向上に努めました。この活動により、私たちは以前よりも長く会話を続けられ
るようになりました。
「タスク作り」だけでなく、前期ではスピーチやスモールトークなど、実際に学校の英
語の授業で活用することのできる活動を行いました。スピーチでは発表後も時間をもう
け、相手のスピーチの良かったところや疑問点について話し合いをします。このスピー
チ活動は人前で話すことに慣れていない方に是非おすすめしたい活動です。他にも、ゼ
ミの中で高田先生は英検の対策もしてくださいます。そのご指導のかいあって、ゼミ生
全員が今年度中に英検 2 級を取得することができました。
最後に高田先生について少し紹介をします。先生はとても優しい方です。しかし、勉
強面に関しては厳しい面もあります。そのため、発表が 1 回で終わらないゼミ生もいま
す。ですが、同時にどうすれば良くなるかアドバイスもくださると思います。それを活
かすことで、より良い発表ができるようになるはずです。
高田ゼミでは全員が主役です。一人一人が主体となり、活動に取り組むことができま
す。自分の英語力を向上させたい方、英語をもっと使ってみたい方、教職課程履修者の
方、そしてこのゼミに興味をもった方は、是非高田ゼミにいらしてください。心からお
待ちしています。
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津留崎 毅ゼミ
3 年 青木 孝徳
津留崎ゼミでは、主に、「代名詞解釈の研究」について扱います。普段何気なく使用
している人称代名詞について、日本語のそれ(と思われるもの)と比較させながら検討し
ていきます。前期では代名詞の直示と照応について、
後期では前期に学んだ内容を基に、
「バック・ピーターズ文」と呼ばれる逆説を含んだ文の謎の解明を目指します。この謎
は、最終的に、「エックスバー統語論」の考え方を必要とします。それについては、津
留崎先生の「英語学特講Ⅰ」で詳しく学ぶことが出来るので、合わせて履修することを
お勧めします。
このゼミの魅力は、その学術性の高さに加え、なんと言っても津留崎先生の熱意に満
ちた指導にあると思います。取り扱っている内容は非常に興味深い反面、簡単なもので
はありません。しかし、先生は、学生が理解出来るまで繰り返し丁寧に説明してくださ
ります。また、次の授業で前回の内容の補充プリントを配ってくださることもあり、復
習そして定着の助けとなりました。
このゼミは他のゼミと比べて、もしかすると課題が多いかもしれません。ゴールデン
ウィークには津留崎先生が執筆された代名詞に関する論文を読み、レポートを書きます。
夏休みには鈴木孝夫著『ことばと文化』を読んでレポート、そして学年末にはゼミ論を
書くことになります。事実、私自身相当苦労しました。しかし、だからこそ今、代名詞
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について以前とは比べものにならないほど知識がついた自信があるし、一年間学び続け
た達成感があります。特にゼミ論では、一年間授業で学んだ内容の集大成として取り組
むことができました。人やものを表す言葉について、日本語もしくは英語のそれについ
て各自が論じます。もちろん、ゼミ論作成にあたっても、先生がテーマ決定の相談に
乗ってくださるため、心配なく書き始めることができます。
正直、最初は代名詞についてそれほど興味があったわけではありません。明海大学の
中で、数少ない英文法を扱うゼミであったという理由のみで履修しました。しかし、今
思うのは、このゼミを履修しなければ一生出会えなかったかもしれない内容に触れるこ
とができたということです。コミュニケーション中では機能語として働いてしまう代名
詞は、意識しなければ向き合うことができません。先生はその貴重な機会を我々学生に
与えてくださいました。他のゼミとは異なり、淡々と進行していく授業ですが、文法や
ことばに興味のある学生には、正にうってつけのゼミだと思います。自分自身、津留崎
先生の研究内容とお人柄に惹かれ、先生のもとで卒論を執筆させていただくこととなり
ました。一年間、先生が与えてくださった貴重な視座は、今後、英語のみならず日本語
と共に生きていく上でかけがえのない財産となりました。津留崎先生、本当にありがと
うございました。
原 和也ゼミ
3 年 名越 友香
原ゼミでは、異文化(間)コミュニケーションとその心理について 1 年をかけて勉強
していきます。「異文化」と聞くと、日本とアメリカというように自国と他国の間で起
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こる文化の違いといったイメージを持つ方がほとんどだと思います。私自身もその一人
でした。しかし、実際はもっと小さな単位で異文化(間)コミュニケーションは起こっ
ているということを、ゼミを通して学びました。例えば、日本国内を見ても西日本と東
日本では文化が同じではありません。更に細かく見れば、家族内でも異文化(間)コミ
ュニケーションは起こり得るのです。したがって、異文化(間)コミュニケーションは
私たちにとって非常に身近なものであると言えます。
普段の授業では、大きく分けて二つの事をします。まず、前期に行ったのは異文化(間)
コミュニケーションに関する文献を一冊にまとめたリーディング・パケットを使用した
授業です。そのパケットの中から、自分が興味のある項目の文献を担当し発表する形式
となっています。ハンドアウトを作成するために、文献を深く読み込み理解を深めます。
それだけではなく、パケット以外の文献も参考にしながら多くの情報を取り入れ、ハン
ドアウトを作成します。ハンドアウトの作成から発表まで行うので学生が主体の授業形
式になっています。また、授業内ではディスカッションも行いますが、ゼミの皆で意見
を交換し合うことで、様々な考え方を知ることが出来ます。そして、様々な価値観を知
ることで、自分とは違うものを否定するのではなく、受け入れていく姿勢も身に付きま
した。
そして後期は、ゼミ論文を執筆します。自分自身が興味を持っていることを論文のテ
ーマに決めて研究できるので、意欲的に取り組むことができます。いきなり書き始める
のではなく、参考文献の探し方や文章の書き方を学んでから執筆を始めます。また、論
文のプロポーザルを発表する時間や、中間報告をする時間もあります。そのため、多く
の意見を取り入れながら論文を執筆することが出来ます。また、原先生もしっかりサポ
ートをして下さるので、分からないことや不安なことを一人で抱え込まず、相談しなが
ら執筆に取り組むことができます。私自身、論文を書くのは初めてだったのですが、原
先生のサポートがあり、また自ら興味があることについて研究できたため、無事完成す
ることができました。
原ゼミの特徴は、ゼミ生同士とても仲が良いことです。年に数回飲み会を開催したり、
勝浦セミナーハウスで 1 泊 2 日の合宿を行ったり、授業以外の交流がとても充実してい
ました。原先生も合宿や飲み会に積極的に参加して下さるので、ゼミ生と教員の距離が
近く、とても温かく、アットホームなゼミです。
ゼミは学生主体となって進めていくので、積極的に行動する必要があります。その為、
なかなか行動できず苦しいこともあると思います。しかし、それを乗り越えた時、自分
自身の成長が目に見えて実感できます。とても貴重な体験をすることができました。原
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先生、一年間ご指導ありがとうございました。
日野壽憲ゼミ
3年 宇田川 美奈江
日野ゼミでは「多民族国家イギリスの人種事情について」というテーマのもと、活動
するゼミです。イギリスって多民族国家なの?しかも人種事情って?と思う方もいるか
もしれません。もっと深くイギリスを知りたい、イギリスとにかく大好き、という方に
おすすめのゼミです。旅行・留学などでは気づきにくいイギリスの深い所を知れます。
学べます。一年をかけて、総合失調症やホームレス事情などを通し、イギリスの抱えて
いる人種事情に迫っていくのですが、統合失調症やホームレス事情についてはレポート
を各自で書きます。自ら調べ、そしてまとめたものを先生が冊子にしてゼミメンバーに
配ってくれました。みんなが作ったそのレポートを見つつ、さらにイギリスについての
理解を深めていきます。
夏休みが明けると、ゼミ論の文字がゆっくりと近づいてきます。ゼミ論のテーマって
やっぱりイギリスについて?と思った方、なんとゼミ論テーマは自由です!日本とイギ
リスを絡めて書いても良いし、日本だけでも他の国のことでも良いのです。自分でテー
マを決め、そのテーマの枠組みをまとめたものの発表(中間発表)が後期の主となって
きます。発表の後にゼミメンバーからの意見や感想を聞くことが出来ます。その中で、
自分では考えなかった視点や改善点が出てくることもあります。一人で書くよりも精度
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の高いゼミ論が完成するはずです。
日野ゼミでは前期・後期の最後に
オリエンタルホテルでビュッフェを
食べつつ、みんなで自分が選んだ本
の交換会をします。交換が終わった
後に、なぜこの本を選んだのか。と
いう理由をそれぞれ発表します。こ
こでは自分がなかなか手にしない本に出会えるチャンス。本はみんな梱包されていて、
どんな本が来るのかわからないドキドキ感と読んだことのない本が来た時のワクワク感
がとてもおもしろいです。ビュッフェに行くときは少し早めに授業を終わらせてみんな
でぼちぼち歩きながらオリエンタルホテルに向かいます。食べている間は仲間と話しな
がらビュッフェを楽しむのも、元を取るべくビュッフェを食い尽くすのも、先生と授業
内容以外の話をするのも。とてもいい思い出になります。
私と日野先生との出会いは、たぶん大学入試の面接でした。たぶん、というのは、な
んせ私はあがり症で頭が真っ白になっていて、何を面接で喋ったのかわからない、思い
出せないという記憶喪失並の状態ですが、根拠のない自信で面接官は日野先生だったと
思います、と言います。それから無事受かり、入学。私が1年の時の担任、2 年と3年
では授業とゼミでお世話になり、授業期間という意味で考えると私は 3 年半も日野先生
にお世話になっていました。驚きです。日野ゼミではイギリスについてもやりますが、
日本や他の国のその時その時に起こった時事問題なども扱うこともあります。なので、
いろんなことを学ぶことが出来ます。イギリスという字に惹かれた方はもちろん。本好
きな方、この交換会に参加してみたいとは思いませんか?
さて、最後になりますが、ゼミにはいろんないいところがあります。自分に合う、素
敵なゼミに出会ってください。学生諸君よ、是非是非、在学中に夢中になれるものに出
会いたまえ!夏休みは課題を忘れないように遊べ!何かしら誇れるものを身につけよ!
日野先生、ゼミ一年間ありがとうございました。こんな素敵な先生にもゼミにも出会
えて楽しかったです。本当に、本当にありがとうございました!
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松井順子ゼミ
June-ko’s Seminar
2013!
Bun Kun Cho
Joji Takada
Kaho Miyamoto
Kate Okamoto
Koichiro Yaita
Mayuko Tsuchida
Riho Terada
Saki Onoue
Sang Ho Woo
Takuya Saito
Yu Minegishi
Yui Kakihana
Misaki Hayashi
Yumi Kanzawa
June-ko’s Seminar 2014!
Hironori Okazawa
Kai Kikuchi
Keita Kikuchi
Mai Ueda
Miyabi Kuribara
Takaya Suzuki
Kensuke Tsuchiya
Koki Maruyama
KurehKaneko
Takuya Endo
Wataru Saotome
Yudai Ikumi
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ジェシー・グラス ゼミ
4 年 高橋 茜
グラスゼミでは、毎年、明海祭でパペットシアターを上演しています。日本語と英
語のバイリンガルで公演を行います。文学からテーマを設定し、パペットシアター用
に脚色します。今年のテーマはカフカの『変身』でした。
私はパペットに魅了されてこのゼミを選んだのですが、パペットの魅力は、その表情
です。パペットは素晴らしいダンサーで、パペティア(=マリオネットを操る人)が適
切に操れば、自然といきいきとした動きをします。喜んだり、落ち込んだり、驚いたり、
自由自在です。パペットは、チェコの職人が作ったものです。関節があり、身体の様々
な部分を、操り糸で動かすことができます。
授業は、文学の講義を中心に行っていますが、明海祭が近くなるにつれ、実際にパペ
ットを操る練習、リハーサルが多くなります。グラス先生の指導の下、相談しながら構
成を考え、脚本を書きます。パペットを動かしながら、さらに内容を考えていきます。
特に、明海祭直前の 1 か月間は、ゼミの時間とは別に週一回ほど時間をとり、打ち合わ
せや小道具の買い出し、リハーサルをします。
今年の作品の特徴は、観客参加型であることです。ふたつの結末を用意し、観客に選
んでもらいました。具体的には、観客のひとりを指名して、ゴキブリに変身してしまっ
た主人公、ハッピー君に、「GOOD スプレー」「BAD スプレー」のどちらかを選んで
噴射してもらいました。「GOOD スプレー」を選ぶと、ハッピー君は人間の姿に戻り、
ガールフレンドのハピネスちゃんと幸せになります。「BAD スプレー」は、殺虫剤であ
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り、ハッピー君はゴキブリの姿のまま死んでしまいます。そして、ハピネスちゃんは実
は二股をかけており、その相手の悪魔デビルキングと地獄で幸せに暮らすという結末に
なります。この演出は子供たちに大うけで大成功でした。
このゼミで学べることはたくさんありますが、その中でも私が感動したのは、観客の
反応です。明海祭での発表には、小さな子供たちがたくさん来てくれましたが、にぎや
かだった子供たちが、公演が始まると、真剣なまなざしでパペットを見、終わった後も
内容について質問したり、パペットにふれたいと言ってきかなかったりと、パペットシ
アターに魅了されるさまがとても印象的で忘れられません。観客である幼い子供の一人
が、「どうしてハッピー君はゴキブリに変身してしまったの?」という質問をしたので
すが、これは原作の『変身』でも明らかにはならないもので、『変身』という作品のテ
ーマでもあります。文学のもつ味わいが、小さな子供にもきちんと伝わったことに喜び
を感じました。
(写真: 2014 年 11 月に実施した、英米語学科卒業生の講師が英米語学科ゼミに出張して
行う「出張就職講座」の様子です。濱 智美さんから、美しいお辞儀作法を学んでいます。)
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海外英語研修報告
米国 UCLA 英語研修に参加して
2 年 相沢 佳志
私は今回、UCLA の奨学研修を通じて多くことを学び、今回が私にとって初めての海外と
いうことで本当に貴重な体験をしました。今回の体験を通して私が感じたこと、気が付いた
こと、そしてこれから私がすべきことの 3 つをお話ししたいと思います。
アメリカについてはじめに私が感じたことは、アメリカ人の話すスピードです。普段から
CNN ニュースや、字幕なしでショートドラマを見ていたので聞き取りぐらいはできるだろう
と思っていましたが、実際に体験すると私が思っていた以上に速く話しているように感じて
しまい、まだまだ聞き取れる耳が出来ていないことに、今まで自分がやってきたことでは足
りないと痛感しました。出発する前、私が唯一心配していたことは、スピーキングの方でし
た。お店で何かを注文する時や何かわからないことがあった時、私の英語は伝わるのかと心
配でしたが、スピーキングに関しては特に問題もなく自分の意思を伝えられたと思います。
しかし、リスニングの問題によって会話が弾まなかったり、お店の人を困らせてしまったり
しました。なので、これから留学を希望している人でまだ海外でどんな英語が話されている
か知らない人には、出発前にはリスニングの力をつけていくことをお勧めします。
次に私が気付いたことについて話します。それはコミュニケーションの量です。これは本
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当に驚いたことで、文化比較研究にはいいトピックだと思いました。例をいくつか挙げます
と、私がエレベーターに乗った時、私は上の階に行きたかったのですが下の階に行きたい人
がいて下に行ってしまいました。そしてその人が降りるとき‘Thank you for keeping me
company.’と言って降りていきました。また、私がピザ屋でピザを食べていると、目の前の
おじさんが‘What kind of pizza are you eating? ’と聞いてきました。このような質問をされて
嫌な人は何人かいると思いますが、とにかくどんなことでも、ちょっとしたことでもコミュ
ニケーションを取る文化にさらに面白さを感じました。それと同時に、このコミュニケーシ
ョンを取っていく積極性を見習う必要があると感じました。なぜなら普段からのコミュニケ
ーションが多ければ、いざという時に自分をうまく表現できたり、自分に自信があるかのよ
うに見せたりできると思うからです。
最後に私がこれからすべきことは、どんなことでも自分の意見を持ちそして普段からよく
考えることです。これは UCLA での授業を通して感じたことで、私のクラスにブラジルから
来ている人が2,3人いたのですが、彼らはどんなに些細なことでも先生に質問して、自分
の意見を言っていました。私が取ったクラスではディスカッションを多く行ったのですが、
難しいトピックが出た時になかなか自分の意見を出せませんでした。これは英語力の問題で
はなく、私が普段からいかに自分の意見や考えを持たないで講義を受けていたのか浮き彫り
になった体験でした。これからの生活では、些細なことでもよく考えて自分の意見を持ちた
いと思います。もう一つすべきことがあり、それは語彙をもっと増やすことです。日常生活
に関する語彙力も必要ですが、その他にもニュースに出てくる単語、特に国際問題に関する
語彙力を身に付けようと思います。英語を勉強している人の中で、世界中の人と話したいと
言う人がいますが、では何について話すのでしょうか。トピックになるのは国際問題だと思
います。実際に授業中イスラム国の話になり話し合いをしましたが、話の中心になったのは
ドイツ人、ブラジル人、サウジアラビア人で同じクラスの日本人、私も含めその話し合いに
参加できませんでした。そのニュースは知っていたがそこに出てくる単語を知らなかったこ
とが参加できなかった原因だったと思います。ですので、日常生活以外の単語を覚えること
も大切だと感じました。
今回の奨学研修は大変有意義なものであり、これからの英語の学修への取り組みの仕方、
積極的なコミュニケーション、そしてよく考えて自分の意見を持つことを習慣化していかな
ければならないと思いました。海外に出たなら、日本以外の情報を集めてそれに関する単語
を覚えればもっと英語を使う機会が増えますし、より国際人になれると思います。今回の留
学で得たものはあったので、非常にいい体験でした。
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2 年 佐藤 幸樹
私は 8 月 24 日から 9 月 16 日までの 3 週間、アメリカの UCLA で研修を受けてきま
した。自分は UCLA に行く事が決まった時から既にいろいろ準備を始めていました。パ
スポートやクレジットカードの発行の手続きをしたり、『英米ジャーナル』を読んで研
修内容を調べたりなど、後々事が楽に進むように、春休みのうちから入念に準備してい
ました。2 年の前期が始まってからは、木曜日以外授業が 5 限まであるというタイトな
スケジュールだったので、結果的に前期が始まる前に準備しておいたのがプラスに働き
ました。
そして 8 月 25 日、UCLA Extension にて Placement Test を受験し、Advanced クラ
ス に な り ま し た 。 午 前 の 授 業 は Academic と Culture 、 午 後 の 授 業 は Written
Communication でした。Academic は毎回授業の冒頭に気になった単語を 1 人 1 つずつ
挙げ、全員で意味や使い方を確認した後に教科書の内容に入っていくといった流れで進
んでいきました。Culture は主にドラマを見てそのドラマの登場人物のエピソード、面
白かったシーン、使われた単語やイディオムの意味調べなどをやっていました。午後の
Written Communication はメールの書き方などを教わったり、文を読む時に強弱をつけ
て読む練習などをしたりしました。授業の受講生は、中国やイタリア、ブラジル等いろ
んな国々から来ていたので、授業中のディスカッションを通しての国際交流も楽しめま
した。午前の授業は 3 時間、午後の授業は 2 時間で、これを知った時は長そうだなと思
ったのですが、実際に受けてみると凄くあっという間で、1 週目が風の如くに過ぎ去っ
てしまいました。8 月 30 日(土)には、Nature Tour に行きました。Vista Del Lago で水
の歴史と価値を学び、Vasquez Rocks でロッククライミングをし、最後に Temescal
Gateway Park で山登りをしました。Vasquez Rocks で命知らずのロッククライミング
に挑戦した後での Temescal Gateway Park の山登りはだいぶハードでした。そして、9
月 4 日(木)に授業が終わった後、Extension で Japanese Culture Fair を行いました。
プログラムの内容は、コマ回し、お箸の使い方、剣玉、紙風船、書道、おはじき、折り
紙、だるま落としの 8 項目でした。自分は剣玉とお箸の予定だったのですが、剣玉が思
いの外好評だったので、たくさんの聴衆の方々にやり方を教えてとせがまれて時間を奪
われ、結局お箸の方のプレゼンは他の担当の 2 人に任せてしまいました。予定では 16
時 30 分に終わるはずだったのですが、あまりにも聴衆の方々が楽しんでくださってい
たので、実際に終わったのは 17 時 30 分頃でした。 正直、発表者たちは自分も含めて
このイベントが始まる前までは、モチベーションがゼロの人がほとんどでしたが、終わ
ってみると、「客の数思ったより多くなかった?」、「一番盛り上がらなさそうな紙風
船超盛り上がったよね」、「剣玉めっちゃ人気だったよね」などなど、始まる前とは一
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変して全員楽しめていたようでした。勿論、私自身も楽しかったです。
私にとっての人生初海外は、とても思い出深いものになりました。このような研修に
参加させていただきありがとうございました。
2 年 島田 真依
私は今回の英語研修で、午前に Culture と Academic の授業をとりました。どちらの
授業もディスカッション中心だったのですが、話題によっては自分の意見をあまり言う
ことができない時もありました。このようなことから、私はもっと様々なことに関心を
持ち、自分の視野を広げていきたいと思いました。また授業中に映画を見たのですが、
やはり字幕がないと内容を理解するのが難しかったし、話すスピードにもついていくこ
とができなかったので、リスニング力をもっとこれから上げていきたいです。私は人見
知りでグループワークは苦手なのですが、この授業を通して少し克服できた気がしまし
た。午後は Discover LA の授業をとりました。この授業ではバスに乗って様々な場所に
行き、インタビューしたり、その土地の歴史を学んだりしました。私が行ったのは Venice
Beach、The Getty Center、Beverly Hills、Hollywood の四つです。その中でも私は
Hollywood に行ってツアーに参加し、ガイドの方から Hollywood について様々な情報を
得ることができたのがうれしかったです。インタビューの経験はほとんどないし、話し
かける際はとても緊張しましたが、練習通り上手くいくことができてよかったです。休
日にはサンタモニカやディズニーランドに行きました。サンタモニカではビーチに行っ
たり、買い物をしたりしました。ディズニーランドでは日本と違って待ち時間が短く、
様々なアトラクションに乗ることができました。
寮での生活は私にとって少しつらいものがありました。ルームメイトが日本人ではな
い方で、言葉の壁は理解していたのですが、コミュニケーションがうまくとれず、残念
ながら友好を深めることができませんでした。でもこういう機会はあまりないし、学ぶ
こともあったので自分にとって良い経験になったと思います。私はこの研修に参加して
自分の英語力の無さを改めて実感しましたこの経験を活かしてこれからもっと英語の勉
強に力を入れていきたいです。
2 年 林 永誉
8 月 24 日から 9 月 14 日までの約 3 週間、アメリカのロサンゼルスにある UCLA で
海外研修プログラムに参加しました。私にとってこの語学研修は初めての海外生活だっ
たため、研修までの準備や空港で手続き、ロサンゼルスについた時の空気や気候など、
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すべてのことが新鮮に感じました。
研修プログラムで、私は午前中に Academic と Culture という主にスピーキングとア
メリカの文化を学ぶ授業、午後の授業では Discover LA という、Beverly Hills、Venice
Beach、Getty Center という美術館と Hollywood について観光しながら学ぶ授業を選択
しました。午前の授業中、アメリカの映画を見る機会があり、分かりづらい表現やニュ
アンスなどを授業を通して知ることができたため、勉強になりました。午後の授業では、
それぞれの場所について詳しく学ぶことができたのと同時に、観光する時間があったた
め、各名所を楽しむことができました。
休日は様々な場所に出かけることができ、一週目はネイチャーツアーでカリフォルニ
アの水の管理について学んだり、Vasques Rocks に登ったりしました。二週目はアカデ
ミー賞授賞式が開かれるドルビーシアターに入るという貴重な経験をしました。他にも
個人的に Disney Land、友達と映画館や初めてネイルサロンに行ったり、スカッシュを
して充実した時間をすごしました。また、先生にお願いして以前から興味のあった The
Ritz Carlton というホテルでお茶をしてきました。ロサンゼルスは交通機関が限られて
いるため、ホテルにたどり着くまでが大変でしたが、良い経験になりました。
また、アメリカは多国籍のため、様々な場面で異文化同士が共生しているということ
を実感しました。例えば、レストランを挙げてもイタリアンやメキシカン、日本や韓国
料理店など色々な国の料理を楽しめるし、私が一番面白いと思ったことは化粧品店へ行
った際、ファンデーションの色種が明るい色から日本で見たことないほど暗い色のもの
を見つけたことです。アメリカでは当たり前のことなのだと思うのですが、このような
外国ならではの体験はとても興味深かったです。
今回の留学で、体験的にも、内面的にも、多くのことを学びました。私個人の体験で
は、自分自身について見つめ直すきっかけができたことと、これからの英語学習のため
のヒントを得られたことが一番の収穫だったと思います。また、自分が新しく興味を持
てる分野を発見できたことも自分の中で大きなことでした。このような素晴らしい留学
体験を提供してくださった明海大学やこの留学の準備に関わった方々に、心から感謝し
たいと思います。
2 年 島田 麻未
生まれ始めて、私が訪れた海外は、この留学でのアメリカ・ロサンゼルスでした。空港か
ら一歩足を踏み出すと、見渡す世界は日本と全く異なり、溢れ出る好奇心を抑えきれなかっ
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たと同時に新しい環境からか、どこか不安でした。信号も日本と違い、いつもならすぐ見つ
けることのできるコンビニエンスストアもなかなか見つけられずに、あらゆるものにカルチ
ャーショックを受けていました。しかし、研修期間はわずか 3 週間、慣れるまでの時間など
ありませんでした。
さっそく、到着から 2 日後に大学が始まり、新しいクラスでの授業もすぐに始まりました。
授業では英語の語彙力を鍛えたり、英会話における発音や文法を学んだりしました。授業が
始まり、自分の総合的な英語力の低さに悩むと同時に、他文化にも悩みました。世界各国か
ら集まった留学生のクラスでしたので、多くの日本人学生がいたものの、
肌や瞳に色が違い、
また聞いたことのない言語を話すクラスメイトもいました。最初は文化の違いに困惑したり、
英語の発音を聞き取るのにとても困難を感じましたが、授業を通して英語を用いて、お互い
の文化や習慣、考え方などを共有し、理解しあうことができました。どの国でもそれぞれが
個性的な文化をもち、非常に興味深かったです。私も簡単な日本語を教えたり、他言語を教
えてもらったりすることがしばしばありました。そして、たくさんのクラスメイトが日本に
ついて興味を持ってくれましたので、留学前から明海生で計画していた Japanese Culture Fair
に招待しました。イベント当日は、教室から溢れるくらいの大勢の留学生と先生方が来てく
ださいました。
この Japanese Culture Fair というイベントでは、日本の文化を実際に体験してもらうという
趣旨で、折り紙やだるま落とし、けん玉、書道、お箸の持ち方などをレクチャーしました。
説明をするために原稿を事前につくったり、書道ならば、お手本を自分たちで書いたりして
準備に力をいれました。イベント当日も参加してくださった日本人留学生のみなさんが随所
で日本文化を伝えるお手伝いをしてくれたおかげで、来てくださった方々のとても楽しそう
な笑顔が見ることができ、無事に大成功を治めることができました。
英語しかコミュニケーションツールがない中、日本の文化を説明し、さらにフリートー
クをすることは、想像以上に難しく、文法や発音など気にしていられるほど余裕はありませ
んでした。しかし、イベントに限らず、自分の殻を破り捨て、潜在的に持っていたプライド
を捨て、失敗を恐れずに英語を話すことで、今までよりも積極的に英語を話せるようになり、
視野も広がりました。この留学を通して、私は自分の弱点をより鮮明に見出すことができ、
なにより自分を大きく変えることができました。今後は、この UCLA での経験を忘れずに、
英語学習により力を入れていきたいと思います。
3 年 青木 孝徳
今回の研修では、UCLA における世界中の志ある学生たちとの英語学習、その運用能
力の向上に加え、アメリカという国の文化を肌で感じ、学ぶといった非常に有意義な時
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間を過ごすことが出来た。
メインであった UCLA への語学留学については、まず、面接や英作文、ペーパーテス
トにより 3 段階にレベル分けされた。自分のレベル及び授業は Advanced の Academic,
Culture, Spoken Communication の 3 種類であったが、どのクラスにおいても共通して
言えたことは、コミュニケーション重視の授業であったということだ。日本の多くの英
語の授業とは異なり、机に向かって白板を写すといった授業ではなく、とにかく話すこ
とが求められた。この点において、自分は非常に衝撃を受けた。なぜならば、他国から
の学生たちはとても流暢に英語を話しコミュにケーションを行っていたのだ。しかも自
分は英語を専攻しているにもかかわらず、クラスの他の学生の誰よりも英語が話せなか
ったのだ。皆お金を出して本場の英語を学びたい、自分の英語力を向上させたいと志の
高い学生ばかりであったため、授業は非常に活発な英語運用の場となり充実した時間と
なっていた。しかし、自分自身この貴重な機会を存分に活かせたかと問われると、決し
てそうとは言えなかったと思う。やはり、周りの学生に比べどうしても英語を流暢に話
せないため、なかなか発言の機会に繋げることができなかった。もちろん、間違いを恐
れずに果敢に話すことこそが大切なわけだが、実際、なかなか上手くはいかなかった。
それでもたくさんのことを学び、多少なりともスピーキング力が向上した実感はあるが、
それよりも、もっと出来たという思いが大きい。この原因は留学前の自分の意識にあっ
たと思われる。留学すればおのずと英語が話せるようになる。このような意識が少なか
らず自分の中にあったのだろう。留学で成功するための正しい準備として、しっかりと
時間をとり、日本にいる間から少しずつ自分のスピーキング力を伸ばしていく。このよ
うな意識、備えが必要であったと痛切に感じた。しっかりとした準備があってこそ留学
において多くのものを得ることが出来る。正直、語彙力や文法力では他国の学生より優
れているように感じることも多くあった。しかし、現地で求められるのはスピーキング
力なのである。今回の研修において身をもって感じることが出来た内容であった。
異文化を感じるという点に関しては、自分の中で充実していた時間がとても多かった。
とにかく、目に入るものすべてが新鮮で感動してばかりだった。信号機から食べ物とい
った自分を取り巻くもの全てが日本のそれとは違っていた。買い物する度に緊張してい
たことも今ではいい経験であったと思える。異国の地で不満足な英語を駆使して生活し
た 3 週間はとても有意義であったと感じる。多くの失敗や誤解もしたが、全てが今後の
自分の糧となっていくと思う。是非とも、次回はしっかりと備えをした上でもう一度訪
れたい。
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3 年 松金 尚之
この度の米国 UCLA 海外研修は、私にとって初めての海外経験となりました。研修を
通じて、世界各国の文化背景の異なる方々との交流、実際に異文化を肌で感じることで
自身の見聞が広がり、非常に有意義な時間を過ごさせて頂きました。
ロサンゼルスに到着した 8 月 24 日は、バスでガイドを受け、寮へと向かい入寮手続き
を済ませた後、ロス市内を観光して回り、その日を終えました。翌日にはクラス選考の
ため Placement Test を受け、26 日にテスト結果を踏まえ Advanced、Intermediate、Basic
の 3 つのクラスに分かれました。選択できる授業科目には、午前に 2 科目、午後に 1 科
目あり、午前の授業に Academic、Business、
Culture の 3 科目、午後に Spoken Communication、
Written Communication、Discover LA、TOEFL-ibt の 4 科目があり、TOEFL-ibt に限り上級
クラスのみ選択可能となります。私は、Academic、Business、TOEFL-ibt の 3 科目を選択
しました。
午前の授業では基本的にはスピーキングに重点が置かれ、コミュニケーション能力向
上を図るカリキュラムが組まれており、いかに意見を伝達するかという能力が問われる
ものでした。しかしながら、海外の方々の能力に鑑みると、日本人の学生はこれが低い
ように感じました。これは明海大学での講義の English for Current Issues においても共通
するものがあり、以前から講師の先生に日本人は自身の意見を述べることが苦手だとの
指摘を受け、事実、先生からの質問に沈黙するという場面が多々見受けられました。こ
の問題を考えたときに、これは実際には英語力の問題ではなく、それを母国語で言える
かどうかであり、結局のところ言語に関係なく、考えをまとめ、伝達するという過程の
根幹となる背景知識が圧倒的に不足しているということだと痛感させられました。
午後の TOEFL-ibt のクラスでは、UCLA のプログラムにおいて恐らく最もレベルの高
いクラスであったため、上述のクラス以上に即座の応答が求められる上、時間制限も設
けられました。内容としては、ある場面を想定した会話を音声で聞き、要点をノートに
まとめ、そこから問題点の解決方法を導き、パートナーに 45 秒以内に順序立て伝えると
いうものでした。このクラスには、大学院進学を目指している方から弁護士、帰国子女、
エンジニアに至るまで様々なバックグラウンドの方がおり、彼らは英語でのコミュニケ
ーションに支障がなく、かつ、我々以上に意見を述べるということに慣れていました。
Speaking だけでなく、TOEFL では Reading、Listening、Writing、Speaking の 4 技能が求
められるため、ライティングの際にも同様に、30 分以内に 200 語以上の文章を論理的に
展開するというようなことが求められ、中には 300 語以上書いている学生もおり、ライ
ティング能力においても長けている学生が非常に多く見受けられました。しかし、海外
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の方々と比べ全てを悲観する必要もなく、我々が日本の教育で培った語彙、文法力にお
いては海外においても誇れるものがありました。語彙に関しては、英検 1 級等の資格勉
強の際に、和英、英英辞書を併用し、語彙増強と並行して Synonym、Antonym を定着さ
せるというような学習方法を普段からとっていたため、講師の方から比較的レベルの高
い単語の意味を聞かれた際にも自信を持って答えられる場面が多くありました。文法に
関しても、海外の方々は、とにかく話す、書くという姿勢で臨みますが、ペアワークで
の会話練習や文章の添削をした際に時制、スペル、発音、不完全な文などのミスが多く
みられ、逆に日本人は英語に対して完璧主義な気質のため、正確さを求めミスが少ない
というような印象を受けました。このような環境で学べたことで自身の利点、欠点が浮
き彫りになり、机上の学習では観取できない課題も見え、非常に意義深い授業を受けさ
せて頂きました。
体験学習では、現地ツアーガイドによる LA 主要観光地を見て回り、Vasquez Rocks や
Temescal Gateway Park などの自然体験の他、Hollywood へも訪れました。ただ日本とは
異なり、Street Vender、pickpocket などが横行しており、私自身訝しい製品の押し売り、
募金の強要など再三に渡り声をかけられました。特に東洋人はターゲットになりやすい
ため、常に神経を尖らせ行動するということが重要であると感じました。将来海外への
移住を視野に入れた際には、このような危機感を持つことは不可欠であるため、このよ
うな体験も実際にすることで、海外で生活していく上で必要な多くの知識も学ぶことが
できました。
最後になりますが、この度の研修では、母国から離れ、異国の地に身をおくことで視
野が広がり、大きな成果を得ることができました。また、実際に生活を経験することで、
日本で抱いていたアメリカに対する固定観念を払拭し、再び、アメリカへ勉強、生活の
ために訪れたいと考えも深まりました。また、理想を抱くだけでなく、留学経験から得
られた自身の課題を日本で勉強し直し、将来へと繋げたいと思います。この場をお借り
してこの度の研修に携わって頂いた皆様に心よりお礼申しあげます。
3 年 田辺あかね
私は 8 月 24 日から約 3 週間 Los Angeles にある UCLA Extension にて語学研修に参加し
ました。明海大学に入学してからずっとこの奨学海外研修に参加したいと思っていたの
でとてもわくわくしていました。
UCLA の授業では午前中は Culture と Academic、午後は Discover LA という 3 種類の授
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業をとりました。午前中の授業はグループに分かれてのディスカッションが主でした。
その他にはクラスメイトと仲良くなるためのゲームやビデオ鑑賞、単語・熟語を学んだ
りしました。Academic と Culture はクラスメイトが同じでした。このクラスにはほとん
どが日本人でしたがアラブの人と台湾人がいました。そのため、英語だけで会話し普段
なかなか聞くことのできないアラブや台湾の文化などについて聞く事ができました。
午後の授業の Discover LA はツアーが主でした。ツアーに行く前日には次の日に行く
場所についてリスニングやテキストを使って学びました。このツアーでは Venice Beach、
The Getty Center、Beverly Hills、Hollywood に行く事ができました。このツアーではこの
4 か所の写真を沢山撮り、この場所にいる観光客や現地の人々にインタビューをしなけ
ればなりませんでした。そして最後の授業までに Discover LA のサイトに自分が撮った
写真、インタビューの動画、自分で作ったビデオを投稿しました。Discover LA は課題が
多かったのですが、私はこの授業をとってよかったと思いました。この授業をとる前は
道を尋ねたくても緊張したり断られたらどうしようという不安でなかなか話しかけられ
ませんでした。しかしこの授業のインタビューでたくさんの人に話しかけ見たところ皆
笑顔で質問に答えてくれたり、忙しいのにもかかわらず色々な話を聞かせてくれました。
何度もインタビューをしていくうちにだんだん緊張しなくなり、観光客や現地の人と話
すのが楽しくなっていきました。そして初めからいろんな人に道を尋ねておけばよかっ
たと後悔しました。
授業以外では明海大学が用意してくださったツアーに行きました。このツアーでは普
通の旅行ではなかなか行くことのないような Vista Del Lago Center、Vasquez Rocks、Dolby
Theater などに行く事ができました。ただ観光を楽しむのではなく様々なことを学ぶツア
ーとなりました。また、世界の広さ、自然や水の大切さを改めて知るいい機会となりま
した。
この研修では日本で経験できないことを沢山経験する事ができました。生の英語に触
れたり、今まで学んできたことを実践するいい機会でした。また、自分が成長するいい
機会にもなりました。一方で自分の英語力の無さ、特にスピーキング力の無さを感じま
した。
この留学では留学支援課の方々、松井先生、明海・朝日大学の学生など多くの方のお
かげで楽しく充実した日々を送る事ができました。このような貴重な機会をいただきあ
りがとうございました。
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3 年 中島 春太郎
UCLA で受けた講義 午前の授業は Academic, Business, Culture の 3 つから 1 つだ
け 選 択 し 、 午 後 の 授 業 は 、 The Spoken Communication Course 、 The Written
Communication Course、The Discover L.A.、iBT-TOEFL Preparation Course の 4 つ
から1つだけを選択、その授業を留学期間中受け続ける。午前の授業は 9:00 から 15 分
程度の休憩をはさみ 12:00 まで。昼の休憩時間は 12:00 から 13:30 の1時間半。午後の
授業は 13:30 から 15 分程度の休憩をはさみ 15:30 まで。
私は午前の授業では、Culture を選択した。Culture クラスではメディアやテレビ、映画
などを通じて、自国の文化と比較しアメリカの文化に対する理解を深めるという指針の
元、授業が行われた。最初はテキスト中心に授業が進んだ。具体的には恋愛に関係する
心理学を通じて、その恋愛に対する価値観の違いを国別に比較するというものである。
その次はアメリカのコメディー番組「シット・コム」(シチュエーション・コメディー
の訳)を通して、スラングやアメリカの文化を学んだ。アメリカのコメディードラマ(ド
ラマに限ったことではないが)は、アメリカンジョークと呼ばれる、日本人には理解で
きない部分を含んでいるので、背景的な知識を学びながら実際に俳優と同じシーンを演
じてみるなどして勉強した。言葉が持つ背景的な部分、という内容は通訳・翻訳を勉強
している私にはすでになじみ深い内容であるが、アメリカで同じことを学んでみれば実
際にその国に住んでいる人が教えてくれるので、個人的にはいちばん興味深い内容であ
った。
次は「トルーマン」という映画を使った授業が行われた。最後の週の授業なので、楽
な気持で授業を受けてもらいたい、という先生のはからいだった。簡単に紹介すると、
ジム・キャリー扮するトルーマンは生まれたときから24時間撮影されて、「リアリテ
ィ番組」として世界に放送されていた。万里の長城に匹敵する巨大なセットで暮らして
いたのだが、トルーマン本人はこのことを知らずに大人になっていた。あるきっかけで
周囲を不審に感じたトルーマンが、自分が20年以上過ごしてきた島から出ようと試み
るが・・・(参考 Wikipedia)この授業では特に文化を学んだ、ということはなくテキス
トにある問いをディスカッションする、という簡単なものであった。最後はニュースを
使った授業で Culture クラスは締めくくられる。新聞の読み方(新聞は紙面の都合上非文
法的な文が存在するので簡単な予備知識を学んだ)やニュースをみておおよその内容を
推測する、といった、こちらでとっている時事英語、Interpreting skill に似た授業を受け
た。しかし、日本で受ける授業とは違う緊張感は今までの授業とは異なる緊張感を齎し
てくれた。留学に対する「難しい」というイメージを変えてくれた、個人的にも非常に
楽しめたクラスであった。
午後の授業では The Spoken Communication Course を選択した。授業内容はとてもシン
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プルで、発音の練習をしたら、次の日はグループディスカッションで徹底的に伸ばす、
この繰り返しでスピーキングの能力向上を目指すという内容である。まず、あいさつ代
わりに先生が学生に簡単な話題を振り、そこから先生が巧みな話術で話を広げていき、
1人の学生に対し5分、長いと10分ぐらい話し続けるが、私はそれでとても鍛えられ
たと考えている。皆を参加させて話すので、その学生だけが持ち時間を先生とずっと話
しているわけではないので退屈することはなかった。その後は発音練習の日は発音練習。
グループディスカッションの日はグループディスカッションを進めていく、という流れ
である。一番留学して効果を実感できた授業であった。
3 年 山崎絵理佳
今回私は奨学海外研修制度を利用し、アメリカ合衆国のカリフォルニア州ロサンゼル
ス市にある UCLA Extension に 22 日間の短期留学をしました。
LAX(ロサンゼルス国際空港)に着くと、バスに乗り私たちが滞在する UCLA キャン
パス内にある Sproul Hall という寮へ向かいました。寮の部屋は 2 人部屋で私のルームメ
イトは台湾人の女性で歳が近いこともあり、彼女とはすぐに仲良くなることができまし
た。
授業は初日にクラス分けテストを受け、Advanced, Intermediate, Basic の 3 つのレベ
ル別コースに分けられ、自分の好きな科目を午前に 2 教科と午後 1 教科、履修すること
ができます。私は Advanced コースで午前に Academic と Culture、午後に Spoken
Communication という授業を履修しました。午前の Academic と Culture では海外ドラマ
を 見 て ス ラ ン グ を 学 ん だ り 、 イ デ ィ オ ム を 覚 え た り し ま し た 。 午 後 の Spoken
Communication では音楽を聞いて発音を練習したり授業の最後にプレゼンテーションを
しました。プレゼンテーションはグループメンバーの出身国の様々な文化を比較すると
いうものでした。私のグループは中国とサウジアラビア出身のメンバーで Cultural Taboo
について比較し合いました。このプレゼンテーションを通して、他国の文化は勿論、自
分が普段何気なく行っている行為も、他国から見れば奇妙であったり、失礼にあたる可
能性があることを学ぶことができました。私が最も面白いと思った他国の文化は、サウ
ジアラビアでは客人にコーヒーを注ぐ際、満杯に注いではいけないというものです。満
杯に注ぐとそれは客人に早く帰ってほしいという意味になってしまうそうなので、グラ
スの半分ほどまでしか注がないそうです。
また引率の松井先生が、Japan Festival を開いて皆に日本文化を紹介しようと提案して
くださり、折り紙の折り方、習字の書き方、箸の使い方などを披露しました。沢山の人々
49
に来てもらい、皆楽しかったと言ってくれたので嬉しかったです。
今回の研修を通して何をするにも英語で会話をしなくてはいけなかったので、そのお
かげで英語を話す際の恐怖や恥ずかしさを克服出来たと思います。また、様々な国の人
と接することができその国の考え方や文化なども理解することができました。友だちも
沢山でき、英語を使うことによってその人たちと会話することができる喜びも知ること
ができました。今回はこのような貴重な体験をさせていただき、本当にありがとうござ
いました。今回の研修で学んだことを日本でも活かしていきたいと思います。
(写真:UCLA での授業の合間に観光も楽しみました!)
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英国カンタベリー・クライストチャーチ大学
英語研修に参加して
1 年 秋山 聖奈
私はこの研修に参加して、積極性を学びました。研修に参加するのも海外に行くことさえ
も初めてで、すべてが新鮮でしたが、それはすべて良い刺激となりました。1 年生の参加者
は私を含めても 2 人で少なかったですが、1 年生のこの時期に勇気を出して参加してよかっ
たと思います。消極的で意識の低い自分を変えたくて、大学入学とともに千葉に来てひとり
暮らしを始めて環境の変わったこのタイミングを機に新しいことにチャレンジしたくて参加
したこの研修でしたが、たくさんのものを得られました。まずいちばんに身についたと思う
のは積極性です。英語力に自信がなくても、とりあえずチャレンジで話しかけてみることが
大切だなと実感しました。どうせ伝わらないとか、だいたい伝わっているだろうとか諦める
のではなく、まずは挑戦することが大事だなと思いました。
また、国際理解についての考えも深まりました。国際理解とは語学習得だけでなく、異文
化理解も含まれるのだと思いました。語学学校の授業でも英語だけでなくブリティッシュカ
ルチャーなどの授業もあり、語学を学ぶだけでは国際理解にはならないことを実感しました。
今回の研修で海外留学への意識がとても高まりました。1 年生のこの時期にこのような研
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修に参加できてよかったです。今後は、長期留学へのチャレンジも視野に入れて勉学に励み
たいと思います。
1 年 松本 知弥
私は語学を学びに行く目的で海外に行くことは初めての経験でしたが、無事に乗り越える
ことができました。この研修を通して、自分が思ったことや考えたことは黙っているのでは
なく、間違いを恐れず積極的にコミュニケーションをとり、自己主張することの重要さを学
びました。さらに、ただ物事を口にするのではなく、しっかりとした根拠を持って語ること
も大事だと感じました。現地の授業は、当初他国からの留学生に圧倒され消極的になり、正
直授業に参加している充実感はあまりありませんでした。しかし、その悩みを解決してくれ
たのが素晴らしいホームステイでした。私のホームステイ先は、ホストマザーが 1 人暮らし
のお家でした。一対一で英語を話せる環境は、語学を学ぶ上でとても貴重な場所でした。ホ
ストマザーは私のために初日からすごく聞き取りやすいスピードで話してくれたので理解が
容易でした。家の中では常に電子辞書を片手に、分からないことがあればその都度調べてい
ました。また授業で分からなかった単語やフレーズをていねいに分かりやすく教えていただ
き、時には発音の練習までもしてくれました。毎日の忙しい時間を割いてでも私と向き合っ
てくれたことに心から感謝しています。そのおかげで、大学の授業でも私の弱点が克服され、
積極的に話すことができるようになって、授業が楽しくなりました。
また、日本とイギリスの違いを実体験しました。バス停で待っているとバスが来たので乗
ろうとしたところ通り過ぎてしまいました。なぜだと思い必死に考えましたが答えが見つか
らず、近くを歩いていた現地の方に聞いてみると、自分で乗りますという合図を示さなけれ
ばいけないと言われ、日本と全く違うことを初めて知りました。海外はどこでも自己主張を
しないとやっていけないと思い、その出来事があってからは、しっかりと手をあげて自己主
張するようにしました。
改めてこの英国研修で、自分から積極的に根拠をもって自己主張することが、どこの国に
行っても通用する人材として大切なのではないかと考えました。そういった面でも、自分を
変えることができた充実した 1 か月になったと確信しています。この経験を生かしてこれか
らの生活をよりよいものにしていきたいと思います。
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2 年 小林 夕恵
この度、海外研修に参加し多くのことを学びました。まずは語学ですが、短い期間とはい
え、ネイティブの方々に囲まれながら生活をし、研修前に比べて上達したように感じます。
語学はもちろんですが、他の国から英語を学びに来た生徒から私は積極性を学びました。日
本人は謙虚だと言われますが、日本人は謙虚過ぎると今回の研修を通して痛感しました。こ
のことを感じたのは授業中です。研修中のクラスは日本人だけではありませんでした。他の
国から来た生徒は文法が間違っていようが思ったことはすぐに口にします。日本人はという
と、まず何と言っていいか頭で整理し、文法が間違っていないか確認をし、それからやっと
口にします。もしくは、恥ずかしがって発言しようとはしません。ここが私も含め、日本人
の悪い点であると気づきました。初めの週には他の生徒に圧倒され、なかなか発言すること
ができませんでした。しかし私も慣れてくると、頭で考えてから口にすることをやめ、発言
するように、するようにと意識しました、すると発言すれば先生が間違えている文法を正し
てくれます。そうすれば、どこが間違えていたのか理解することができました。頭で考える
より口にするほうが早いし勉強になる、ということが分かりました。この経験から、日本で
の学習に生かしていこうと考えました。
私は今回の研修の前からイギリスの音楽に興味を持ち、
イギリスについて調べていました。
しかしいくら日本で調べていたからと言って、自分の頭でイメージしていたイギリスと実際
に肌で感じたイギリスは異なり、また実際に訪れる方が何倍も楽しかったです。現地の方々
とも触れ合うことで、イギリスの方がどんな性格かなども感じることができました。海外留
学はいつも日本で学んでいた環境とは異なり、
フレッシュな気持ちで学ぶことができました。
日本では学校でしか学べないことも、海外では日常生活でさえ勉強になるのです。ご飯を食
べに行く時も、買い物をするときも、電車に乗るときでさえ勉強でした。26 日間という短い
期間ではありましたが、今では耳が英語に慣れ、ネイティブの先生の授業が研修前より楽し
く感じます。
私はこれからも自分の可能性をもっともっと広げていきたいと思っています。またチャン
スがあれば、海外留学等に参加して英語力を高めると同時に、たくさんの人々と出会いたい
と考えています。
2 年 松野 里菜
私は今回留学を実際に体験して、留学という経験は語学力だけが得られるものではないの
だと知りました。私が留学を終えて得たものは自分で物事をやり遂げる「自立心」、自らの
意見をハッキリ持つ「意志力」、そして様々な人との触れ合いで得る「コミュニケーション
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力」を得ることが出来ました。
私は留学という経験は今回が初めてで最初は不安でいっぱいでした。そして何よりも人と
コミュニケーションをとることがあまり得意ではなく、現地の人としっかりとした意思疎通
が出来るかとても不安でした。初めの三日間はとても辛く、「一日中英語で生活をする」と
いう体験は気持ち的にもあまり余裕がなく、なかなか自身から話しかけることもできずにい
ました。またホストファミリーとの会話でも、私はあまり相手の英語を聞きとることができ
ず、少ししか話しかけることができませんでした。私がホストにこのことを相談してみると、
「そんな事は気にしなくて大丈夫、あなたは英語を勉強する為にここに来ているのだから、
間違っていても話すことが大事なのだ」と私を励ましてくれました。これを聞いて、私は今
まで完璧に話そうとしていたから話せなかったのだと思いました。この言葉のおかげで私は
自身の英語に自信がつき、間違ってでもいいから話すことが大事なのだということに気づき、
初めよりも話す回数が多くなり、話すことがとても楽しくなりました。また、自身の英語が
伝わった時は嬉しく感じ今以上に話したいと思うようになり、三週間という短い期間でした
が、いつの間にかコミュニケーションに対する苦手意識がなくなりました。そう思えたのも、
現地の人やホストファミリーの言葉がとても親切で片言の私の英語を熱心に聞き、理解しよ
うとしてくれたおかげだからだと思います。このような体験のおかげで、私はコミュニケー
ション力を高めることが出来ました。
また私は海外留学を通して、国際理解を深めることの大切さを肌で感じました。イギリス
文化を体験してみて、衣・食・住の全てが日本とは違うのだと改めて思います。留学後には
国際理解への意識は高まりましたが、留学前にはイギリス文化の経験にはとても抵抗があり
ました。なぜなら私はその文化で生活ができるのかどうか不安だったからです。留学を終え
て改めて考え直してみると、経験により国際理解への意識を高めたことで考え方も変わり、
その文化を理解することができるのだと思いました。一方、勉強面では単語やリスニングを
重視していましたが実際に留学を経験してみると自身の英語はあまり通じず、能力のなさに
気づかされました。私は現地の人やホスト先の人と会話をしていくうちに、先ずは意思を伝
えること、話すことが大切なのだということを知りました。こうした気づきにより、私自身
の意識も変わっていき、かつ成長することができたと思います。
2 年 三浦 玲央樹
私はこの研修でイギリスの生活文化、食文化や自らの英語のスピーキング力を少しでも向
上できたらと思い参加しましたが、想像以上に様々なことを学ぶことができました。
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イギリスでの授業を通して最も私が痛感したことは、私があまりにも英語を話せないこと
です。日本からも他大学の学生や他国から来ている人もいた中、ほとんどの人は自ら挙手し
クリアでハッキリとした英語で質問したり解答したりしていたのに、私は聞き取れても話す
ことは全然できませんでした。これをきっかけに毎日必ず現地の人や同じクラスの他国の生
徒と話す様にしていました。ある程度授業が進むにつれてパワーポイントを使ってのプレゼ
ンテーションや賛成意見と反対意見に分かれてのディベートを行う機会があり、自分の好き
な分野についてのプレゼンや医療関係についてのディベートでしたが、これは日本でも経験
のないものだったのでとても良い経験になりました。
次に寮生活についてですが、普段から両親と共に生活している私にとっては自分の事を全
て自分でやるということは初めての経験であり、私がどれだけ両親に頼りっぱなしで生活し
ているかを痛感しました。また、同じ階で生活していた友人や先輩方などと食事の材料のシ
ェアや、お互いに助け合って生活する中で、こうした生活の意義も感じました。
金曜日は午後の授業はなく、同じプログラムを申し込んだ人数人で、引率の先生に世界一
愛らしい城と言われている「リーズ城」へ行き古来のイギリスの文化を少し学ぶとこができ
ました。そして、研修初の休日には、自分の行動力などを向上させる為に一人でロンドン観
光に向かいました。ガイドマップ片手にビックベンやグリニッジ天文台、様々な博物館に行
きました。その中でも高校時代から憧れていたテニスの聖地ウィンブルドンの敷地内ツアー
とミュージアムがとても印象的でした。最寄り駅からウィンブルドンテニスコートまでは道
が複雑で迷ってしまい、通行人に道をたくさん聞いた中、見知らぬ私を車で送ってくれた方
がおり、車内でもたくさんスピーキングの練習をしてくれて、自分から声をかけ行動を起こ
せば必ず何かが得られることを学び、積極性が増した様に感じました。
研修から一週間が過ぎ、寮生活からホームステイ生活に代わる日がきました。留学自体は
二度目でしたが、ホームステイは初なので緊張はもちろん、迷惑かけずにやっていけるか、
話の内容は尽きないかなど色々な不安を抱いたままホームステイ先の家に着いた途端、ホス
トファミリーが笑顔で私を向かい入れてくれた。不安は一緒に生活しているうちに徐々にな
くなり、イギリスの食文化を学びに行った私に対して、様々な種類のブリティッシュフード
を作ってくれました。イギリスは食べ物があまり美味しくないと良く聞きますが、ホストフ
ァザーはとても料理が上手で良かったです。食後には自分のスピーキング練習に付き合って
くれたり、洗濯をしてくれたりし、感謝することばかりでした。
語学学校の授業の二週目にして慣れてきた頃には現地の人達とも仲良くなっていました。
二週目の休日には友人と海岸沿いの町「ドーバー海峡」にバスで向かい「ドーバー城」や「ホ
ワイトクリフ」を見学してきました。二つ共に崖の上にあったので、長距離の坂道ウォーキ
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ングでその日は疲れきって帰宅後、必死に授業の宿題などを終わらせました。
日々そのような生活をしているうちに語学学校での研修が終了し、ホストファミリーや現
地の人々との別れの日がやって来てしまいました。まだ残ってトークスキルをもっと鍛え、
自分の満足できるまで滞在していたかったのですが、滞在期間が決められているので仕方が
ないと思いイギリスを後にし、ユーロスターでパリに向かいアブダビ経由で日本に帰国しま
した。今回のこの研修は自分にとってとても素晴らしい経験になったと思います。
2 年 宮嶋 杏里
私はこの研修でたくさんのことを得ましたが、とりわけ英語力をつけました。研修先のカ
ンタベリークライストチャーチ大学では、当然のことながら、先生も学生もみんな英語で会
話していたので、私も進んで話すように努力しました(ただ、イギリスの学生たちは夏休みで、
直接そこの大学生と一緒に勉強する機会がなかったのが残念です)。私たちはその大学で約 3
週間学びました。始めに簡単なテストを受けてクラス分けがあり、6 クラス位に分かれて勉
強をしました。授業は午前中に 2 コマ、午後に 1 コマという内容を月曜日から金曜日までで
した。先生方はみんな優しくて面白い先生ばかりだったのですぐに仲良くなれたし、同じ留
学生もみんなフレンドリーで親しくなりました。私たちが研修していた時期には同じ日本か
らの留学生、ロシアからの留学生、他にも台湾やキプロスからの留学生などがいました。日
本人の生徒とは日本語を使ってしまいがちなので、私は日本人に対しても、日本語をなるべ
く使わないように心がけました。他国からきた留学生との共通言語はやっぱり英語なので、
進んで英語を使うことができて、すごく自分のためになりました。学校の授業中も先生から
授業中には日本語は一切使用禁止!と言われていたので、英語で話すように努力することが
できました。私は日本語禁止のおかげで、英会話のコツを学びました。英語には、1 つの物
事を伝えるときに使える表現がたくさんあるので、頑張って難しい単語を入れて会話するよ
りも、簡単な単語を並べて正確に伝えたほうが相手に伝わりやすいことや、ジェスチャーを
使うとより相手に伝わることなどが分かりました。
私がこの研修で気づいたのは、他の国の留学生の授業態度です。私は始めの 1 週間、ロシ
ア人の留学生と同じクラスだったのですが、日本人に比べて、外国人の生徒は本当に積極的
に授業に参加しているなと思いました。授業中、進んで発言しているのもほとんどロシア人
でした。彼らは失敗しても積極的に授業に取り組んでいたので、とても素敵でした。私もど
ちらかといえば多く発言できるタイプなのですが、失敗を恐れて発表できていなかった時な
どもあったので、彼らを見てもっと積極的になろうと思えました。そして授業内容は、日本
ではやらないような授業が多くて楽しかったです。先生は全員英語のネイティブスピーカー
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なので、本当に楽しかったです。授業の中で私が 1 番印象に残ったのがプレゼンテーション
です。英語でのプレゼンテーションは初めてで不安だったのですが、とても満足できるよう
なプレゼンテーションを仕上げることができました。帰国後の英語の授業では、カンタベリ
ーでの授業のおかげか、前よりたくさん発言することができているような気がします。私は
この研修を受けて本当によかったなと思いました。またこのような機会があったら、ぜひ行
きたいとも考えています。
3 年 小見 遥名
私はこの英語研修を通して語学はもちろんのこと、積極性や発言力を身に着けることができ
ました。研修に参加する前は自分の英語力に自信がなく、あまり自分から英語を話すことが
できませんでした。しかしどんどん発言する周りの学生に影響され、次第に授業内で積極的
に発言できるようになりました。時には自分の思いがうまく伝えられずに歯がゆい思いもし
ましたが、とても親切な先生方や周りの学生たちに助けられ、毎時間学びの多い授業を受け
ることができました。授業は Listening、Writing、Reading のほかイギリスの文化につい
ての授業やプレゼンテーションの授業もあり、どれもとても興味深いものでした。特にイギ
リスの文化の授業ではイギリスの伝統のスポーツやパブについてゲーム感覚で学ぶことがで
き、とても楽しかったです。3 週間の研修のうち 2 週間はホームステイでした。一生に一度
は英語圏でのホームステイを体験してみたいと思っていたので非常に楽しみでしたが、他人
の家で生活するということへの不安や緊張感もありました。しかし私のホームステイ先はそ
んな不安も吹き飛ばすほどとても優しいご夫婦のお宅で、毎日楽しい会話や食事を楽しむこ
とができました。思っていることがうまく伝えられず歯がゆい思いもたくさんしましたが、
ホストマザーに私の英語について褒められたことが自信になりました。また料理好きのホス
トマザーが毎日美味しいイギリス料理を作ってくれてご飯の時間がすごく楽しみでした。イ
ギリスの料理は美味しくないということをよく聞きますがそんなことはありません。このホ
ストファミリーとの生活は私にとって一生忘れられない思い出となりました。
研修前に比べ英語を話すことが好きになり、学習に対しての意欲も大変高まりました。自
分の思いを上手に伝えることのできなかった悔しさから、もっと話せるようになりたいとい
う気持ちが生まれ、それが学習意欲に繋がったと思います。また様々な国籍の人と触れ合っ
たりホームステイをしたりして、たくさんの異文化体験ができました。驚くことがとても多
かったのですが、日本との違いを見つけることが面白くもありました。例えばボディタッチ
の多さや、レディーファーストの徹底ぶりなど、イギリスに来て初めて気づくことばかりで
した。研修前は外国人と話すことを躊躇することが多々ありましたが、研修中に本当にたく
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さんの人と接して、積極的に誰とでもコミュニケーションをとることができるようになった
と思います。
この 3 週間の研修を経て、私は英語力を向上させるとともに、多くの人との出会いを通じ
て、人間的にもかなり成長することができました。この研修に参加して貴重な体験をするこ
とができ、本当に良かったです。
3 年 生見 勇大
私が今回の研修に参加した理由は、今まで一度も海外に行ったことがなく、実際に行って
みたいという気持ちが強くあったからでした。飛行機の搭乗手続きすらしたことがなかった
ので最初は戸惑いましたが、イギリスでの生活が楽しみで仕方ありませんでした。ロンドン
についた日とその翌日は観光をし、3 日目に簡単なクラス分け面接をして 4 日目から本格的
な授業が始まりました。カンタベリーはイギリスから車で1時間弱ほど離れた落ち着いた雰
囲気の町で、人々も温厚な方が多かったように思います。午前中と午後でクラスが分かれて
いて、昼の 3 時半に授業が終わり、そのあとは自由でした。午後の授業は Advanced クラス
だったので、レベルが高くついていくのが大変でした。先生の質問に対して周りが即座にレ
スポンスするので焦りましたが、良いリスニング&スピーキングの練習になりました。平日
は木曜以外は学校主催のイベントがあり、それに積極的に参加したことで、国籍問わずたく
さんの友達を作ることができました。今でも連絡を取り合っている友達ができたので、この
出会いはとても良い財産になりました。
またホームステイをすることで文化や考え方の違いを学び、異文化体験の最も良い機会で
した。同じホームステイ先にスペイン人、ロシア人、フランス人、台湾人がいたので、彼ら
の国の話しを聞けたのがとても印象的で知識も身につきました。料理を運ぶのを手伝ったり
すると、ホストファーザーに「その調子で日本に戻っても母を助けなさい」とアドバイスさ
れ、日本に比べ男性が女性を大事にしていると感じました。
研修を通して一番大事だと感じたことは、「コミュニケーションの大切さ」、「臆せずに
思ったことを言葉に出すこと」でした。英語がうまく伝わらなくてもジェスチャーや発音を
変えたりすると理解してくれたのが今後の自信にもつながりました。
この一ヶ月間本当にさまざまな体験をすることができました。たった 3 週間なので少しで
も後悔しないように意識して生活した結果、最高の 26 日間を過ごすことができ、今ではもっ
とたくさんの国に行ってみたいという強い気持ちが生まれました。と同時に、自分の置かれ
ている環境がとても恵まれていることに気づかされました。
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米国 UCF 英語研修に参加して
1 年 井上 拓弥
私は今回が初めての海外体験でした。今回の研修で最も変われたと思うところは、自分の
ことは自分でなんとかできる、なんとかしようとするようになったところだと思います。例
えば、海外へ行くための手続きやお金の管理、危機管理、健康管理などです。海外へ行くに
先駆けクレジットカードを作ったのですが、まだ馴染みのないものなのでとても大変でした。
カードに関してトラブルがあった時、対処方法を全て自分で調べて解決しました。海外でな
ければ誰かに頼ってなんとかしてもらっていたと思います。ではなんでもかんでも全て自分
一人で解決すればいいのかと言えばそういう訳でもありません。問題を一人で抱え結局解決
できずに他人に迷惑をかけてしまうようであれば、すぐに助けを求めるべきです。ココビー
チに遊びに行った時に私はクラゲに刺されました。正直この時ばかりは死を覚悟したくらい
に痛みと麻痺が起こりましたが、あまりみんなに迷惑はかけたくなかったので黙っていよう
としましたがやはり自分ではどうしようもないと思い、一緒に行った仲間に助けてもらいま
した。賢明な判断だったと思います。
学習に関して得た事は1か月という短い期間でさらに当初の予定と異なり、基本は明海生
だけのクラスで授業が行われました。決してペラペラになったわけではありませんが、1か
月英語のシャワーを浴び続けただけあり、渡米前に比べ話せるようになりました。表現力も
少しですが上がりました。自主的に行った学習の中で一番良かったと思うことは、毎晩ルー
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ムメイトと一曲洋楽の歌詞を和訳したことです。自分の興味のあることから英語を吸収する
ことは非常に効果的で、次の日に前の晩に覚えた単語を使ってみたりと、ボキャブラリーの
増加に役立ちました。
キャンパス内にある図書館に行ってみた時に、アメリカの大学生のヤル気の高さを感じま
した。明海の図書館とは違い、多くの生徒で賑わい授業外でも熱心に勉強している姿が見ら
れました。どうしてそんなにモチベーションを高く持てるのかを聞いてみたところ、アメリ
カの学生の多くは、自分の学費はローンを組み自分で払うようにしているからだそうです。
真似しようとしてもそう簡単なことではありませんが、親に対してローンを組んでいるつも
りでモチベーションを上げて勉強したいです。
研修中に一度だけ、私たちが所属する CMMS (Center for Multilingual Multicultural
Studies)ではなく UCF の方の授業に参加させていただく機会がありました。その授業は、日
本語を学ぶアメリカ人大学生に日本人の先生が教える授業でした。その日は「〜をしに〜へ
行く」という日本語表現を学んでいて、私達もクラスで彼らに日本語を教え、逆に彼らから
は英語を教えていただきました。私は外国語を学ぶ上で一番良い方法は、実際の活きた言語
活動を行うことだと思うので、今回の留学はとても良い体験になりました。私は英語の先生
を目指しているのでこの経験はこれから学習する上で必ず役に立つと思います
1 年 勝又 恵里
今回の研修を通して得たことは、「行動する大切さ」です。研修に参加すること自体大き
な決断でしたが、参加して様々な経験ができたので勇気を出して行動して良かったと思って
います。また、今回の研修は予定とは異なり、外国の方と一緒に授業をすることが出来ませ
んでした。なので、寮の受付の人や店員さんに積極的に話しかけて交流するようにしていま
した。また、日本語を勉強している外国の方の授業に参加したとき、積極的に話しかけてく
れたり、先生に進んで発言している姿が印象的で、自分も見習おうと思いました。間違いを
恐れず前に進もうとする姿勢が大事だとわかりました。
アメリカの文化を学べたこともとてもいい経験になりました。気候や食事、服装など日本
と大きく異なるところもあり、興味深かったです。また、日本の良さを改めて知ることが出
来ました。気候は前日 1 度だったのが翌日 25 度になる日があり、服装を調節するのが大変で
した。服装はカジュアルで動きやすい服装の人が多かったです。また、敷地が広いので、ス
ケートボードに乗って通学する人が多くて驚きました。ほとんどのお店でクレジットカード
が使えるということもわかりました。また、アメリカの人はフレンドリーで優しいという印
象を持ちました。先回りしてドアを開けてくれたり、知らないひとでも挨拶をすれば返事を
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してくれました。
テーマパークで列に並んでいた時も仲良くなり、一緒に写真を撮ったりしました。アメリ
カの人は常に明るく楽しそうでした。このような前向きさが必要だということも学びました。
授業では、発音や文法、手紙の書き方、シチュエーションに合わせた会話の仕方などを勉強
しました。例えば「レストラン」というテーマだったら、店員と客がしそうな会話を自分た
ちで考え、それぞれ役になりきって会話をしました。わからない単語はなるべく辞書を使わ
ず、英語で教えてもらいました。発音は R と L の違いを重点的にやったり、ひとりずつ発音
を確認してもらいました。授業の後は「カンバーセーションアワー」という、UCF の学生と
文化や習慣についてなどいろいろ話し合う時間がありました。午後は大学が主催しているナ
イトクライミングやカヌーをしました。このようなアクティビティもアメリカならではの経
験だと思います。1か月間家族と離れての滞在で、掃除、洗濯、お金の管理など、全てを自
分で処理するのは初めてでしたが、無事乗り越えることができ、これからの自信になりまし
た。また、研修へ行かせてくれた家族への感謝の気持ちも改めて強く感じました。今回の研
修で多くのことを知るようになり、以前より成長できたと思います。
今後は、今回学んだことを語学勉強に活かしていきたいです。外国人と交流できたときの
嬉しさや、伝わらなかったときの悔しさをバネに、これから興味を持ちながら楽しく学習し
たいです。また挑戦する大切さを学んだので、様々なことに挑戦していきたいです。資格を
たくさん受けようと思います。また。ESS に通いスピーキング力をつけたいです。さまざま
な国の人と交流したいという意欲も強くなりました。約 1 か月忙しく貴重な時間を経験し、
時間をもっと有効に使いたいと思うようになりました。勉強は学生時代が一番できるので、
勉学に励んでいこうと思います。
1 年 中村 翔太
今回この語学研修を通じて、私は異文化という環境の中で、語学や文化、価値観の違いな
ど、さまざまな違いを感じることができた。
語学面では、留学先には英語を母語としない人も多くいて、その人たちが話す英語の発音
の違いに気づけた。例えば、周りにいたイタリア人は舌を巻くようにして発音したり、英語
を母語とする人々は L や R を強く発音している印象があった。私は L や R を上手く発音で
きなかったため、アメリカ人と話す際は聴き取ることができないことが多かった。このこと
はアメリカで授業をしてくれた先生方もとても気にかけてくれて、ゆっくり時間をかけて教
えてくれたのでだんだん慣れることができた。
文化面で私が一番驚いたことは大学生の授業への取り組み方だ。これは人によるかもしれ
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ないが、日本の大学の場合大学に入るまでが大変で、
入った後はどこか時間に余裕があって、
卒業するためにそれほど苦労しないが、アメリカの大学に通う日本人学生によると、アメリ
カの大学は入った後が大変で皆卒業するために苦労するそうだ。他にも、学費は親から借り
て入学し、就職してから親に返済していく学生が多かったり、入寮する学生が多いため、寮
の設備が充実していることなど、日本の大学とお金のかけ方に違いを感じた。しかし私が特
に驚いたのは、アメリカの大学生の取り組む姿勢だ。私はアメリカに行く前は、アメリカの
大学生も日本の大学生もそんなに変わらないのではないかと考えていたが、実際は全然違っ
ていて、アメリカの学生のほうが将来何になりたいかをイメージして取り組んでおり、日本
の学生よりも頑張っていてまじめだなという印象を持った。もちろん日本の大学が悪いわけ
ではない。実際私たちは外国人の学生と一緒に授業をしたわけではないし、期間も短かった
ので悪い部分を見つけられなかったところもあるが、こういったアメリカの学生の姿勢はと
ても尊敬すべき点だと感じたし、多くの刺激をもらった。日本とアメリカの大学でどちらの
方がいいかと言われたら、人によって答えは変わると思うが、私はアメリカの大学にとても
好感を持てた。
また、現地で出会った方々はとてもフレンドリーだった。普通に大学の中や道を歩いてい
ても気軽に声をかけてくれるし、逆にこちら側が声をかけても笑顔で反応してくれて、とて
も優しくて温かい人が多かった。しかしいい人ばかりというわけでもなくて、急に金をくれ
と言ってくる人がいたり、一緒に行った日本人の学生にしつこく言い寄るような人もいた。
人との付き合い方は日本人とはやはりどこか違っていて戸惑うことも稀にあったが、それも
次第に慣れていって、伝えようとすることの大切さや、相手に愛を持って優しく接すること
の大切さに気付くことができた。
私は今回の研修を通じて、改めて全く違う環境に行って新しいことを知っていくことの楽
しさを実感できたし、国籍や宗教とは関係なく人として大切にすべきものを見つけることが
できた気がした。次は今回行った場所ではないところへ行って、多くの文化や価値観の違い
に触れたい。
2 年 佐々木 綾香
私はこの留学で「積極性」を得られたと思います。昨年とは違い、他の留学生とは一緒
に授業が受けられず、明海生だけのクラスでしたので、授業では外国人との交流が少な
く、自分から話かけにはいけない状況でしたが、授業外では積極的に英語を使えたと思
います。寮の庭で外国人とバレーボールをしたりと、沢山の思い出が出来てよかったで
す。
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アメリカ人のフレンドリーさに驚きました。買い物をしていたら、“Do you need help?
If you need help, please talk me. I’m Bob.”といった風に、必ず話かけてくれました。日
本では店員が自分の名前を言うことはないので驚きました。また男性は必ずといってい
いほど、ドアを開けてくれました。またタクシーを呼んだのに 2 時間待っても来ないと
いうちょっとマイナスな部分も体験しましたが、日本とは違う沢山のことに触れること
が出来たし、異文化についての理解が深まりました。
アメリカの人達は、上手く英語を話せない私のことを一生懸命理解してくれました。
こういう言い方でも通じるのだと、自分の英語に自信がつきました。今後は間違うこと
を恐れずに、今の自分の英語力でどこまで理解してもらえるのか、授業などで積極的に
発言して試したいです。
3 年 古山 香穂
今回の UCF 留学では、日本とアメリカの異文化に触れることができ、たくさんの自然
も味わうことができた。1 か月間、学年や学部を越えて生活をし、楽しいことを分かち
合い、つらいことを助け合いながら団結力を深めていくことができた。外国人が日本語
を学ぶ授業に参加して、日本人が英語を学ぶように母語以外の言語を学ぶことは大変な
のだと思った。多くのテーマパークに行き、アトラクションなどを楽しむことは日本人
と変わらず共通のことだと思った。
また、今まで勉強してきた英語を使い、多くの学生と英語で会話することができた。
また、ネイティブの人々が日常的に使う英語も会話の中で学ぶことができた。多くのテ
ーマパークに行き、日本にはない自然に触れることができた。アメリカ人は時間にルー
ズだと聞いていたが、実際にバスが 2 時間遅れるなどの経験をした。
旅先ではどんな問題があっても、その状況を把握し、今自分に何ができるかを考える
ことが大切だと思った。また、自然に触れることは自分の気持ちをリフレッシュさせる
ためにも重要なことだと思う。今まで勉強したことをすべて使って今の自分のできる範
囲で積極的に話すことが重要だ。今回学んだことを、今後社会に出たときにも生かして
いきたいと思う
63
カナダ・アルバータ大学に長期留学して
4 年 高橋 茜
カナダ、エドモントンにあるアルバータ大学の留学プログラム、学部授業を複数の学
期にわたって受講できるもので、オンキャンパスの寮 VSCP
(visiting student certificate
program)を利用しての派遣留学に参加しました。このプログラムは語学研修を利用で
きたり、ジムを利用できたりと、正規学生と同じ権利が与えられていることが特徴です。
春・夏学期の 2 学期には語学研修、秋学期には学部授業を受講しました。
春学期は EAP140、夏学期には EAP145 という語学の授業を受講しました。EAP、English
for Academic Purpose という授業名が表わす通り、このクラスは大学進学準備コースとし
て位置づけられています。内容はライティングが主で、アカデミックライティングを中
心に学びました。期末テストでは、ライティングでの合格点、その他の英語技能での合
格点の2つが設定されており、2 つを合格しないと進級できないようになっていました。
特にライティングの合格点はかなり高く設定されていました。この授業をパスできたこ
とはかなりの自信になりました。もし北米の大学の授業を受けることがあっても、自信
をもって論文の提出ができるからです。
秋学期には DORAMA247 というオーラルコミュニケーションの授業を受講しました。
パブリックスピーキングをテーマとした授業で、5つのプレゼンテーションと平常点で
成績がつけられます。プレゼンテーションの際は、内容はもちろんのこと、発声や滑舌、
アイコンタクトやボディランゲージまで含めて成績が付きます。普段の授業は、体と心
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アイコンタクトやボディランゲージまで含めて成績が付きます。普段の授業は、体と心
のウォーミングアップから始まります。ストレッチ、呼吸法、発声、早口言葉や、緊張
をほぐすためのアクティビティーなどをします。その後、プレゼンテーションの準備や
リハーサルなどをします。ネイティブスピーカーの前で英語を話すことに強いストレス
を感じ、学期半ばで心が折れそうになったこともありましたが、クラスメイトに恵まれ、
乗り越えることができました。授業外でも一緒に食事に行ったり、観劇をしたりと仲良
くすることができました。
課外活動として、ボランティアやクラブ活動にも積極的に参加しました。アルバータ
大学の日本語の授業の TA として2学期間活動しました。たまたまですが、2学期とも
初級クラスの担当になりました。授業内で英語を使うことが多くなったため、よかった
と思います。ひらがなの学習から始まるのですが、学期の終わりごろには驚くほど日本
語が上手になる学生もいて、感動しました。TA の活動を通して、日本文化に興味を持
つ学生とたくさん知り合うことができました。そういった学生とは共通の話題があるた
め、会話がしやすかったです。
JCC(Japanese Conversation Club)という週一回のカジュアルな日本語会話の会に
facilitator として参加しました。会の参加者は日本語を勉強している学生、日本人留学生
が半々くらいで、language exchange を行います。運営をする立場として、会の始めに行
う簡単なゲームのデモンストレーションや会話トピックの作成などをしていました。普
通に参加するよりも、英語を使用する機会を増やせたと思います。
また、JDS(Japanese Drama Society)という学生クラブにも、ボランティアとして参加
していました。日本語学習をしている学生が日本語で演劇をするクラブで、公演の際、
単発でボランティアとして参加したのがきっかけで、その後も月2回のミーティングに
出席していました。
今回の長期留学の目的は、ある程度の長期間を海外で生活できるのかを試すことでし
た。短期語学研修には何度か参加したことがあり、その経験から、将来海外で働くこと
も視野に入れたいと思うようになりました。ですが、いきなり何十年間も海外で暮らす
という決断をするのは不安感があり、まずは8か月、という気持ちで今回の留学に参加
しました。結果としては、ホームシックになることもほぼなく、毎日充実して生活する
ことができました。この経験から、将来海外で働く機会があっても自信をもって生活し
ていけると思います。
また、留学を通して大切な友人を得ることができました。カナダ人、日本人、他の国
からの留学生など、たくさんの人に出会うことができました。帰国後も頻繁に連絡を取
っており、この夏にも何人かが日本に遊びに来るので、今から楽しみにしています。
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英語スピーチコンテストに参加して
2015 年 1 月 28 日に英米語学科主催の英語スピーチコンテストが開催されました。以下
に掲載するのは、同コンテストの入賞者によるエッセイです。
3 年 青木 春佳
今回のスピーチの原稿は実は 1 年前に出
来上がっていました。2 年次にコンテスト
に参加しようと考え、そのために作成した
ものです。しかし、去年はコンテスト当日
に大雪が降ってしまい、学校に辿り着くこ
とができず、原稿は危うくお蔵入りになっ
てしまうところでした。3 学年になり、
「去
年作成した原稿で構いません。参加してみ
ませんか?」と先生にお声を掛けて頂きま
した。そのお誘いに今はとても感謝しています。私は「異文化理解」をタイトルに文の
構成を組みました。日本の暗黙のルールを理解しきれていない外国人が、日本の電車で
実際にしてしまったミスやハプニングを挙げました。そして、このような行動を起こし
た外国人を奇異の目でみるのではなく、受け入れることが異文化理解に繋がるのではな
いか、という内容にしました。練習は、昨年、ネイティブの先生にご指導頂いたことを
思い出しながら、自室で自分のスピーチの動画を撮影して表情や間の取り方の練習をし
ました。何十回、失敗しては修正しての繰り返しをしたかわかりません。当日は、予想
よりも多くの先生、学生の皆さんが集まって下さいました。会場は和やかな雰囲気でし
たが、私は緊張で心臓が張り裂けそうでした。壇上に立つ前に「一回きりなのだから全
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力で楽しもう。悔いが残らないように。」と考えました。発表中は、表情を文章の内容
によって変化させること、早口にならないこと、重要なことを言う時は声を少し大きく
するなどのことに気を付けました。聞いて下さっている皆さんが、笑ってくれたり、頷
いてくれたりと反応を示してくれるため、気持ちよく発表することができました。結果、
1 位を獲得することができました。1 位を獲れたことは勿論ですが、審査員の方々が私の
スピーチを評価して下さったことがとても嬉しかったです。私はこれから就職活動が本
格的に始まります。今回、工夫や努力をすることで結果は必ずついてくるということを
学びました。それは就活、そして社会で働くようになってからも忘れてはいけないこと
だと感じました。今回私のスピーチコンテストに関わって下さった全ての方々に「あり
がとうございました!」とお礼を言いたいです。
2 年 島田 麻未
今回、時間があまりない中でのスピーチコンテストでした
が、とても充実したものとなりました。私が参加しようと思
った理由は、毎日の大学での授業で学んだことから、自分が
感じたことを伝えるべきだ、自分から発信して何かを変えた
い、と強く感じたからです。特には私が伝えたいと思ったト
ピックは、「選挙について」です。一見、お堅いイメージで
まだまだ大学生にとっては無関係にも見えるトピックに見
えるかもしれません。だからこそ伝えたかったのです。かの
有名な、現アメリカ大統領バラク・オバマ氏も、アメリカ独
立に尽力したエイブラハム・リンカーンも、黒人解放に向けて愛を武器に戦ったマーテ
ィン・ルーサ・ーキング Jr.も、ほかの何でもない、言葉の力で彼らの国を、世界を変え
たのです。私も言葉の力で、何かを変える一歩を踏み出したかったのです。
具体的な内容としては、日本が抱える重大な問題である、投票率についてです。多く
の方がご存知の通り、日本の投票率はおよそ半分と低い数字に収まっています。この低
い数字によって、さまざまな影響が及ぼされ、よりよく発展していくはずの国が、国民
の満足を得られない国として確立してしまう可能性が高くなってしまいます。このよう
な情報をもりこみながら、どう英語で表現しながら、
選挙権の重要さを説得していくか、
どうしたら納得させることができるか、スピーチを作っていく上でとても悩みました。
しかし、当日には、果たしてこれからの日本の未来を背負う若者は現在の日本に満足し
ているのか、日本を変えていきたいと思うのか、と問いかけることによって、しっかり
と自分の意志を伝えることができましたし、聴衆の学生の方々の表情の変化からも感じ
とることができました。
スピーチコンテストに参加して、英語での自分の表現の仕方をまたひとつ増やすこと
ができましたし、大げさかもしれませんが、なにより私の世界を変えるための一歩を踏
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み出すことができたと思います。今後、このようなスピーチコンテストに参加する学生
が増え、私と同じような経験ができることを願います。また、自身のスピーチを行うに
際して、協力してくださった先生方や友人に深く感謝します。
1 年 コピラ・ブダトゥキ・マガル
日本人と一緒にスピーチコンテストに参加するのは初め
てでした。私のスピーチのテーマは、“My life in Japan”
でした。スピーチは学年の順番に決まっていたので、私が
一番最初にスピーチする事になりました、その時少し緊張
感もありました。でも入賞する事ができましたので、日野
先生に感謝しています。
私は子供の頃から、人前で話すのは苦手な子供でした。
学校の授業や学校で行うスピーチコンテストには、以前は
出る自信がなかったと思います。私が一番最初にスピーチ
したのは、私の 18 歳の誕生日パーティーの事だったと思います。その時日本人のおじ
いちゃん(God Father)もパーティーにいました。おじいちゃんは、18 歳で成人になる
ネパールでは、私がこれから大人としてスピーチする事が増えると思い、「あなたの誕
生日パーティーに来てくださった皆様に、一言でも何かを言いなさい」と私に言われま
した。その時 18 歳になったばかりの私には、人前で話す力が全然ありませんでした。
その時おじいちゃんが紙に書いてくれた事を、手足を震わせながら原稿を読み終えまし
た。
その時と 2015 年 1 月 28 日のスピーチを比べてみると、自分が成長した事は間違い
ないと思いました。自分の弱点を磨けば、それはいつか自分の力になると感じました。
スピーチと言うのは、ただ決まっている時間の中で、自分で暗唱した事を話すだけでは
意味が無いように感じました。そこで大事なのは、自分の話が相手に伝わっているかど
うか、それと相手に理解してもらっているかとどうかだと思います。人にはそれぞれの
考え方や見方があるので、このようなスピーチコンテストに参加する事によって、今ま
で全然意識していなかった事に気がつくと思いました。それと共に、自分自身や自分の
考えを相手に伝える力が身に付けられると感じました。今回のスピーチコンテストの参
加者の話の中で一番印象に残ったのは、青木春佳さんが述べた、日本の電車の中に寝て
いる日本人が自分の目的地に着くと自動的に起きられる事でした。この事には、不思議
と自然さの両方を感じています。
今回のスピーチコンテストに出た事で、勉強になった事や自分の知識が広がったよう
に感じています。ありがとうございました。
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国内インターンシップ体験
手抜きをしないことの大切さ
3 年 木村 由香
2 月 14 日土曜日、私はこの日初めてインターンシップを体験しました。インターンシ
ップ先は、株式会社グローバンネットさんでの事務職 1 日体験に決めて参加をしました。
今回インターンシップを受けさせていただいたグローバンネットという会社は、主に自
動車を扱っており、なかでも軽自動車に力を入れている会社です。自動車を取り扱って
いる会社を選ぶのならば自動車に興味がなければならないと思うかもしれませんが、私
は自動車に興味を持ってこの会社を選んだというわけではありません。3 月に開始する
就職活動の前に、少しでも社会のことや仕事というものを理解しておく必要があると考
えインターンシップ先を探していました。ですが、初めから長期のインターンシップを
選んでも最後までやり通せるかどうか、経験のない私には不安が大きくなかなか一歩を
踏み出せずにいました。そんな時、就職情報サイトで 1DAY の事務職インターンシップ
を見つけて、まずは 1 日の経験から始めようと思いました。また、事務という職種にも
興味を持っていたので、参加を決めました。当日、埼玉にあるグローバンネットさんの
会社に案内され、最初に自動車業界についての説明と現状、グローバンネットさんの企
業方針などを学びました。年々軽自動車の保有台数が増加しているという現状を踏まえ、
軽自動車に力を入れて販売から整備までトータルサポートをしていることを知りました。
説明の後は、事務の仕事を実際に体験させてもらいました。メインにさせてもらった仕
事は書類整理と郵送物準備です。契約していただいたお客様一人一人の封筒に手書きで
宛名を書き、書類を入れて糊付けをしていきました。何十人ものお客様の宛名を丁寧に
書かなければならないという経験は慣れない作業で緊張しましたが、書いていくうちに
封筒一つ仕上げることの大切さを感じました。たった1枚の封筒でも、丁寧に心を籠め
て仕上げることで受け取る側の心情を大きく左右し、今後の関係に影響していくものを
任されているのだと思うと、自然と責任感というものが自分の中に芽生えていきました。
また、このような書類をいかに素早く仕上げられるかも重要であり、よりスピーディー
に仕上げる方法も教えていただきました。
1 日という短い時間ではありましたが、事務という仕事が会社にもたらす影響は大き
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なものだと実感するには十分な時間でした。もちろん事務の仕事が書類整理だけではあ
りませんが、今回の経験は、会社の一部になって働くということの意味を知る良い機会
となりました。ただ与えられた仕事を機械的にこなすのではなく、小さなことも手を抜
かず丁寧にやることで生まれる思いやりの心こそが働く上での大事なことだと、私は知
りました。グローバンネットさんのもとで学んだ技術と思いやりの心は、今後の就職活
動もそうですが日常生活でも使う場面が多々あると思います。自分のことだけで手一杯
にならず、相手のことを常に考えられる社会人になれるように、また、いつの日か、こ
の経験のおかげで今があると思える日が来るように、1日 1 日を過ごしていきたいと思
います。
インターンシップは成長のチャンス
3 年 宇田川 美奈江
私は浦安市内でのインターンシップに参加しました。夏休みの 1 ヶ月間、全 4 週間 4
社という予定のうち、私は 3 社参加しました。その参加した企業先は観葉植物のレンタ
ル・市議会・不動産です。
観葉植物のレンタルではとてもいい経験が出来ました。観葉植物は会社の応接間、部
屋の隅の空間、病院などの広い空間に緑を置くことで部屋の印象を変えることが出来ま
す。観葉植物が納品された会社に行き、メンテナンスや必要なら交換などをするインタ
ーンシップでした。私を担当してくださった副店長さんは比較的年齢が近く、しかも卒
業した高校が一緒で、ジブリが好きだ、とか移動中のトラックの中でもいろんな話題で
盛り上がりました。浦安市内の企業や東京まで行き、いろんな企業に入らせてもらいま
した。「働いていてこんなに他の企業に出入りするのはウチだけだよ」と言っていて、
確かにいろんな企業に入れるし、まったく違う他の企業の社員とも話せたりするのでお
もしろかったです。
市議会って何!?が選んだ理由でした。とりあえず公務員系なのはわかるけど…何し
てるところ?という気持ちで行ったのですが、私の日常にかなり係わっているものでし
た。浦安市の予算を決めたりなどの業務をしていました。担当者に連れられて行ったの
は、浦安市役所の隣にある浦安市議会、千葉県議会、国会でした。正直に言います、半
分は見学気分でした。もっとがっつり仕事(資料作成的な?)をするのかと思っていた
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のですが、詳しく政治や浦安市の現状について現場に行きつつ説明などをしてくれて、
意外とまったくデスクワークはありませんでした。普段は出会いそうにない、国会議員
や県議員に出会い、浦安市市長とも一緒にお昼ご飯をいただきました。
不動産は、私には合いませんでした。もう二度と行くなんて言わないもん、と断言す
るほど合いませんでした。物件の地図を片手に歩き回り、物件を写真に収めた後にレポ
ートを書くというものでしたが、楽しいと言えば楽しかったです。でも、私の心はとき
めかなかったのです。
インターンシップとはなんぞや?と最初は思っていました。なんとなく参加しただけ
でした。でも、今ではとてもいい経験になったなと思います。植物は元から好きだった
のですが、インターンシップに参加して以来、職業病並に観葉植物や多肉植物が気にな
り好きになり、緑が部屋に急増しています。参加以前はフッ、政治なんて…投票めんど
…と思っていたのに今ではちゃんと投票にも行き、政治の問題について前より深く考え
るようになりました。アルバイト・ボランティア活動経験も少なく、ひどく人見知りな
私にとってとんでもない冒険だったと今では思います。でもそのおかげで、人見知りは
やんわりと緩和され、年上の人と話すのも楽になり、自分の意見をはっきりと伝えられ
るようにもなりました。インターンシップに参加すると自分の向き不向きがわかります。
これがわかると就活にはとても有効ですし、自分を成長させたいという人にもインター
ンシップ参加をおすすめします。
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学園祭実行委員会活動を体験して
学園祭実行委員会活動で得たあふれる達成感と充実感
3 年 瀧本 奈々子
私は大学 3 年間、学園祭実行委員会に所属していました。きっかけは高校生の時に明
海大学の学園祭で清水翔太さんのコンサートを見て感動したからです。学園祭のコンサ
ートは普通のコンサートに比べアーティストとの距離も近くとても温かいように感じら
れました。そんな人に感動を与えられるイベントを創り上げる学園祭実行委員会を経験
してみたいと思ったからです。
学園祭実行委員会には企画局・製作局・広報局・参加団体局という4つの仕事があり
ます。その中でも学園祭で行われるコンサート・お笑い・講演会を企画しイベント会社
と交渉をする「渉外」という仕事を担当していました。渉外の仕事は他の学園祭の仕事
よりも早く 4 月から始まりました。イベント会社との打ち合わせを重ね予算やスケジュ
ールなどから明海大学に来ていただくアーティストを決めました。またチケットの販売
を自分たちで行い、お客様が安全にコンサート会場に入場できるよう経路を考え、機材
の搬入や搬出経路、体育館の確認などもしました。もちろん出演して頂くアーティスト
の方の接待や気持ちよくコンサートをして頂けるような環境作りにも取り組みました。
学園祭1カ月前には夜遅くまで大学に残り、やり残したことはないか入念に最終確認を
しました。この時の私の心境は学園祭を無事終えることができるか、などの不安でいっ
ぱいでした。学園祭当日はイベント会社の方と行動を共にし、学園祭が成功するように
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力の限り仕事に取り組みました。プログラムが予定通りに進んでいき、お客様の喜ぶ様
子を見ると準備が大変だったことや苦労など一瞬にして忘れるほどの感動を味わうこと
ができました。何より、お客様や出演者の方からの「ありがとう」や「楽しかった」と
いう言葉は続けてきて良かったなと改めて思える瞬間でした。
学園祭実行委員会を3年間続けて得たものは学部、学年関係なくたくさんの人と知り
合え、大学以外のイベント会社の方や浦安商工会議所の方と関われたことでした。また
予算や時間といった限られた状況の中で最高のものを創り上げることの難しさを経験す
ることもできました。学園祭実行委員会を経験してひとつのことを成し遂げた達成感と
充実感は私にとって自信につながりました。
3 年 高橋 英理香
私は課外活動として、学園祭実行委員会に 3 年間所属していました。四つの部に分か
れるのですが、私は広報局に入り、宣伝・協賛活動などが主な仕事でした。多くの人に
知っていただき、活気ある学園祭にすることが私たちの役目です。この委員会での活動
は、私が頑張ったと言える唯一の大学生活での活動です。もし委員会活動をしていなか
ったら、退屈な学生生活だっただろうと思います。有意義な学生生活を送れ、思い出深
い日々でしたが、その中には辛いことも嫌だったことも多くありました。
学園祭実行委員会での活動として、社会人になってから経験するような仕事を私たち
委員はやります。決して楽しいことだけではないし、やりたくない仕事は嫌だからやら
ない、なんてわけにはいきません。「学園祭を作り上げたい」という思いで委員として
仕事をしているのですが、私たちが待っている学園祭当日の 3 日間にたどり着くために
は、辛いことを多く経験します。約半年の準備期間の中で最も辛いのは、学園祭までの
ラスト 1 ヵ月です。もちろん当日まで時間が迫ってきているので委員としての仕事もラ
ストスパートです。仕事の量はそれまでの何倍にもなります。学校の授業の後に残って
仕事をし、土日にも学校へ行き仕事をします。ラスト 1 ヵ月の私たちは授業・課題・委
員の仕事に囲まれています。私はアルバイトもしており、仕事に手が回らないときは委
員のみんなが代わりに進めてくれていました。寝る時間も削って、余分な時間もなく、
学業と委員会活動をしていました。この 1 カ月が最も辛く、仕事が山のようにあり嫌気
がさしてしまいます。
けれどそれでも 3 年間続けられたのは、この大変さにより得られる大きな感動がある
からです。学園祭が無事終わったあと、ほとんどの委員はやり遂げた感動、無事成功し
た感動で泣き出してしまいます。それまでの辛かったことが一瞬で感動に変わり、みん
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なで喜びを共有します。大きな感動はそれと同じだけの努力があったからこそ得られま
した。辛くない日々だけだったら、感動で泣いてしまうほどの喜びはありませんでした。
この時間があるからこそ、辛くても続けられました。
ここまで学生生活で頑張ったことがあり、思い出があり、私にとって明海大学での 3
年間はとても価値ある時間を過ごせました。この活動がなければ大学生活での思い出は
なかったと思います。学園祭実行委員会として明海大学での学生生活に感謝しています
3 年 古山 香穂
私は 1 年生から 3 年生まで学園祭実行委員会に所属していました。学園祭実行委員会
とは、11 月に行われる明海祭に向けてのイベントの企画や当日の運営をする団体です。
学園祭実行委員会には当日行うイベントの企画及びその企画のリーダーを務める企画局、
明海祭に参加するサークルなどの団体をまとめる参加団体局、明海祭のことをより多く
の方に知ってもらうために宣伝活動をする広報局、明海祭の当日の装飾やパンフレット
などのデザインを手がける製作局の 4 つで成り立っています。私はその中でも企画局に
所属していました。
1 年生の時は抽選会のサブリーダーになり、すべての仕事が初めてのことで戸惑うこ
ともありましたが、自分なりにリーダーをサポートしつつ、当日の抽選会では多くの明
海生また地域の方々に楽しんでもらうことができました。
2 年生の時は子供向けのリース作り体験や丘の上でのシャボン玉体験のリーダーを務
めました。子供向けのイベントとなると他のイベント以上に安全性を考えなくてはいけ
ないし、短時間で簡単に体験してもらうにはどうすればよいかなども考えなくてはいけ
なかったのでグループメンバーと一緒に何度も話し合いをしました。グループメンバー
が少なく、メンバーに対して厳しく言うこともありましたが、当日までに準備も終わり、
当日は多くの子供たちが遊びに来てくれて本当に嬉しかったです。2 年生でリーダーを
経験して、企画を進めていく難しさやグループメンバーがいる有難さが分かりました。
3 年生の時は副委員長を務めました。今までの 2 年間でやってきたイベントの企画の
仕事とは全く異なる新しい仕事への挑戦でした。委員会全体をまとめる仕事となると思
うようにいかないことはたくさんあり、よく委員長と 2 人で話し合うことがありました。
その度に「やるしかないからやるしかない」と 2 人で励まし合いました。副委員長とし
ての仕事も自分なりに計画を立てて行うように意識しました。新しい挑戦ではあったの
ですが、委員会のメンバーや役員の 3 年生のサポートもあり、3 年目の明海祭も楽しく、
達成感のあるものになりました。
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私が学園祭実行委員会として活動してきた 3 年間で学んだことは、どんな状況下であ
っても諦めず最後まで仕事をやり遂
げることや自分が達成感を感じるに
はサポートしてくれる仲間が必要だ
ということです。引き受けた仕事を
責任持って最後までやることはこれ
から先就職してからも大切なことだ
と思います。また、多くの仲間が支
えてくれていることを忘れてはいけ
ないと思いました。
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就職活動体験報告
就活は社会人に向けた成長の場
4 年 鈴木 敦史
みなさん、突然ですが就職活動は何のためにすると思います
か?「就職するために決まっているだろ」と考える人が過半数
を占めるのではないでしょうか。正直、それも間違いではあり
ません。しかし、勘違いしないでほしいのですが就職はゴール
ではないのです。少し考えてみれば気づきませんか?そう、就
職は通過点に過ぎません。何なら社会人のスタートライン。内
定をもらった後、何十年も働くことになります。ということは、
就職活動の先を考えて行動するべきではありませんか?
何が言いたいかというと、就活は社会人として成長をするた
めにすると私は考えています。というのも、私も最初は内定を
取るために頑張っていました。しかし、様々な選考を経験して、たくさんの社会人と話
をしていくうちに自分にしかできないことや自分の考えをぶつけた方が就活を面白くで
きるし自分の成長に繋がると感じました。そして何より、人事担当の方から高い評価を
得ることができました。「君、金太郎飴みたいじゃなくて面白いよ、最近はどの就活生
に質問しても同じような答えしか返ってこないんだよね。まるで切っても切っても同じ
柄の金太郎飴みたいじゃないかい?」今でも忘れることのできない面接官からの言葉で
す。
面接の極意やエントリーシートの書き方など今やネットで検索すればいくらでもマニ
ュアルが出てきます。それを真似して面接に挑むなんて話も少なくありません。そんな
ことをしていて成長できるでしょうか。確かに、ある程度のフォーマットやマナーがあ
り、マニュアルを参考にする必要があることは認めます。しかし、あくまで参考です。
自分なりの工夫をしてください。自分の頭で考えてください。内定の取り方が上手くな
ってどうする。答え探しが上手くなってどうする。みなさん1人1人にしか付けられな
い付加価値が必ずあります。この就活という圧倒的成長の機会を答え探しという無駄な
時間にしてしまうと、実際に働く時、言われたことしかできない誰でもできるような仕
事しかできなくなると私は思っています。私自身、今現場研修を受けていますが、もう
同期の中で「指示待ちな人」と「自分で考えられる人」とでは大きく差が出ているなと
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感じています。
私のこの文章をここまで読んでくれたあなたなら今から意識を変えられるはずです。
騙されたと思って自分で考える癖をつけてみてください。周りに流されず、自分の道を
作ってみてください。就活を通してあなたが見て聞いて、感じた様々な経験、つまりあ
なた自身の就活ストーリーを紡いでいってください。人それぞれ様々な理想、社会人像
を持っています。あなたが社会にでて、どう役に立ちたいのかをしっかり言葉にできれ
ば必ず評価されるはずです。あなたから変われ!!
挑戦と学びの姿勢を忘れずに
4 年 堀田 莉乃
私は今年の 4 月に IT 企業へ就職することになりました。私の就職活動を振り返ると当
時は常に企業の説明会、エントリーシート、面接などで悩んでばかりでした。多くの学
生さんは就職活動に対してやはり不安な気持ちがあるのではないでしょうか。私は志望
する企業から内定を頂くまで不安と憂鬱な気分は完全に消えませんでした。しかし、私
は就職活動を通して様々なことを学びました。辛くてもこの体験で私は少しだけ良い方
向に変わることが出来たと思います。この体験報告では、私が就職活動を通して学んだ
ことをこれから就職活動に取り組む方、現在活動中の方へアドバイスのような形でお伝
えしたいと思います。
まず私が実感したことは、自分の将来のための準備を早い時期から、しかも漠然とで
はなくなるべく明確な目的を持って取り組むことの大切さということです。私は 3 年の
12 月から就職活動を始めました。2 月頃から IT 業界に就職を希望するようになり、その
業界を中心に活動していました。困った点はいざ各企業の個別説明会に参加しても、IT
関連の企業は非常に多かったため、全く知識がない私にとってはそれぞれの企業に大き
な違いを見つけるのが難しかったことです。この時に、出来ることならもっと早く、1
年生、2 年生の頃から「就職する」ということを意識して業界の研究などに取り組むべ
きだったと痛感しました。3 年生の終わりに差し掛かってから準備をすることが手遅れ
ということでは決してありません。しかし準備は早めに取り掛かっても損することはな
いのだと思います。学業に響かない程度に、早い時期から少しずつでも興味のある業界、
職種を調べてみることで、希望の業界に入り働くために必要な知識、スキルを時間の余
裕がある時に身につけ就職活動が有利に進むはずです。
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就職活動中は様々な出来事から積極的に学ぼうとすることが大事だと思います。就職
活動中では新しいことに挑戦する日々が続きます。その中で失敗することは少なくあり
ませんでした。エントリーシートが通らなかった、面接で質問に上手く答えられなかっ
たなど、一日の活動を振り返ると悔しいやら恥ずかしい気持ちになることも多々ありま
した。しかし、私は次第にこの機会は自分が成長出来る絶好のチャンスだと考えるよう
になりました。例えば面接で答えられなかった質問は後でじっくり考えて答えを出して
みました。そうすることで、別の面接に対処しやすくなった上、自分を見つめ直すこと
にも繋がりました。エントリーシートは就職活動のコーチや先生方に添削していただく
と新しい見方、表現の仕方が掴め、より良いものが出来ました。就職活動に限ったこと
ではないのですが、納得出来ない結果に終わるということは原因が自分にある可能性が
高いのではないかと私は思います。つまり、自分に何か弱点があるということであり、
それに気づいて向き合い、対処するよう努めれば失敗も後悔も無駄にはなりません。
就活は決して楽しいものではありませんが、取組み方次第で皆様の成長に大きく関係
する重要な機会の一つであると思います。準備は早いうちから取り掛かって、多くのこ
とをこの期間に学んでみてください。
気を楽にして就活に挑もう
4 年 柴崎 恵美加
私は「人とモノに関わる仕事」を求めて就職活動をしました。
私もみなさんと同じで就職活動は初めてでした。12 月にスタート
してからすぐに、平日の午前中は授業を受けて、午後は説明会や
面接をし、土日は課題や ES をこなしました。そんな日々に疲れ
てしまい、就活を休みました。環境の変化に焦り、早く就職した
いという気持ちが自分のペースを崩したのだと思います。いまま
での行動を改め、数週間休んでからゆっくり就活をすることにし
ました。
就活を落ち着いて始めるようになってからは、気持ちに余裕ができたので、就活の流
れをつかめるようになってきました。就活では限られた空間や時間で、自分を明確に表
現することを求められるようになります。これを踏まえて、就活で重要だと思った 2 つ
のポイントに学んだことを織り交ぜて書かせて頂きます。
第一に「第一印象」に気を遣うこと。「客観的に見た自分=面接官から見た自分」に
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なる可能性が高いです。特に、友人や家族から見た自分を教えてもらうことが大切でし
ょう。しかし、そこには大きな落とし穴があります。例えば私は、真面目そうな顔をし
ています。さらに、口調がハキハキしているので仕事ができそうなイメージを持たれる
ことが多いです。これで内容が良ければ良い印象を得ることが確実だと思っていました
が、面接官には、第一印象で私が型にはまっていて面白みのない人間だと判断されて嫌
われることが起こりました。このように、面接をして初めて気づくこともあります。そ
の件以降、表情を豊かにして話すことで素直な気持ちを伝えているという雰囲気を作り、
堅物人間のレッテルを回避しました。大変かもしれませんが数をこなして経験を積んで
おくと先が楽だと思います。初めから本命を狙わずに、第二志望から挑戦してみると良
いでしょう。
第二に「自分や相手を知る」こと。面接官から自分自身について質問をされることが
多々あります。自分のことをよく知っていれば、面接の場で文章を作りさまざまな質問
に対し柔軟な対応を取ることができます。会社の特徴や募集している人材が、その会社
の好みである可能性が高いです。デスクワークや説明会で会社を調べることによって、
親近感から会社を好きになることがあり、働きたい気持ちを育てやすいです。私は実際
に社員と接してみて相性の良し悪しに気づいたことがあります。相性の良い社員がいる
と一緒に仕事をしたいと思い、その人を目標にしてその会社の面接に挑みました。先方
もそう思ってくださったので、即日で面接に受かりました。
最後に学生の間は学生にしかできないことをやっておきましょう。学校を休んでまで
就活をしなくて大丈夫です。勉学に励み、ときには思いっきり遊びにいって豊かな時間
をつくることが就活をする上で大事なことだと思います。ぜひ気持ちを楽にして就活に
挑んでください。
自分を知り、自分に自信を持とう
4年 田中 勇介
就職活動で大事なのは、今の自分を知り将来の自分を想像して、自分に自信を持つこ
とです。
先ず就活では、初対面の人に自分のことをアピールしなければなりません。これをい
きなりやるのはかなり難しいことです。ですから、本格的な就活に入る前から自分の長
所、短所を知っておきましょう。家族や友人、アルバイト先の仲間や先輩に、自分はど
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んな人間に見えているのかを聞いてみるのも1つの手段
です。自分ではそう思っていなくても、相手はあなたに別
のイメージを持っているかもしれません。そしてその長所
に沿うエピソードをスムーズに話せるようにしておきま
しょう。
自分がこの会社に入れたら自分はどう成長できるのか
も考えてみてください。もしその会社での未来の自分を想像できなければ、その企業は
あなたには向いていないのかもしれません。入りたい会社や業界がある人は、特にその
点をよく考えてみてください。入りたい業界がまだ決まってない人は、逆に何をやりた
くないのかを考えれば、最終的に残ったものが、あなたのやりたいことの可能性があり
ます。よく考えて何十年と続けられる職を見つけてください。
就活をしていれば失敗することは必ずあります。その失敗をいつまでも引きずらずに
何がいけなかったのかを振り返り、就活コーチや先生などとも話し合い、次の企業を受
けるときに活かしてください。自分に自信を持ちましょう。企業は自信のない人は取っ
てくれません。失敗が続いても自分はダメだなんて思わないで、最後まで自分を信じて
ください。
私は就活を終えて成長できたと思っています。今までの私なら、「後輩たちに経験を
伝えよう」などとは考えもしませんでしたが、就活を通して人前で話をしたり何かを伝
えるということを自信持ってやれるようになりました。自分の長所短所を知ることがで
き、今後何を改善して何を伸ばしていけば自分がより成長できるのかわかりました。
就活はとても大変で辛いことが多いかもしれません。しかし、その就活の経験が必ず自
分を成長させてくれます。普段会う機会が少ない他大学の生徒など、就活ならではの出
会いもあります。就活の中に1つでもいいので楽しみを見つけてください。それがモチ
ベーションにつながります。
悩んだ時は先生や先輩を頼ってください。私も先生や先輩から多くのアドバイスをも
らい、今はこのようにアドバイスする側になりました。次は皆さんが就活で学んだこと
を後輩に伝えてあげてください。就活が終わった頃には、皆さんは今よりももっと成長
しているはずです。その成長した姿で来年の4月から社会に飛び込んでください。
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英米語学科卒業生のニューヨーク便り
ふみ子の NY 便り
〜NYC の公立小学校について〜
2004 年卒業 ベイカー ふみ子
今年も零下の続く NY です。本日(2015 年 2 月)は雪が降り積もり、大通りの雪道を
走る車の音を聞きながら、『英米ジャーナル』を書いております。家族が寝静まった都
心の小さなアパートで、11 年の NY 生活を振り返ってみたのですが、やはり今年も自分
の生活に密着したトピックで書かせていただきたいと思います。
今年は、NY の公立の小学校について、日本の公立の小学校と比較しながら感じたこ
とをまとめてみました。数年前の『英米ジャーナル』のテーマは、「知能テスト」でし
たが、今回は、普段の生活の中で感じた違いについて書こうと思います。まず初めに小
学生の通学についてですが、NY の小学校は子供を 1 人で通学はさせません。アメリカ
全州で同じ法律だとは思いますが、大人が同伴して毎日通学します。帰りも必ず親また
は代理人が必ず迎えに行かなければなりません。四年生になると、やっと 1 人で通うこ
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とも可能になるのですが、何かあっても学校責任にならないように、親が子供を 1 人で
通学させることを承諾していると言った内容の「承諾書」を書かなければなりません。
承諾書がなければ 4 年生になっても 1 人で通学はできないのです。ほとんどの生徒は、
大抵最終学年の 5 年生まで親が付き添っていて通学し、本格的に 1 人で通学し出すのは、
中学生からが多いようです。誘拐や事件に巻き込まれるのを防ぐために、ある程度の年
なるまでは、親が責任を持って子供を守ると言う考えが日本よりも強いようです。
一方日本は、1 年生になれば 1 人で通学します。息子も「夏の体験入学」で、日本の
小学校に 1 人で通っています。日本で過ごす夏だけは、自由に出かけ買い物も 1 人でし
たりと、少し大人になった気分で楽しんでいるようです。私は息子を 1 人で通学させる
ことに慣れていないせいか、毎年初日は心配しながら帰りを待っているのですが、日本
で生活している親御さんからみたら、私は過保護に思われてしまうかもしれません。
確かに親が通学に付き添えば、犯罪に巻き込まれる可能性は低くなるでしょう。しか
し 1 人で通学することで、早く自立心が芽生えたり、時間の感覚も身につくと言った良
い点もあるのではないでしょうか。親が付き添っていると、時間の感覚が鈍くなり、「何
時までに学校に行かなくてはならない。」「何時から習い事がある。」と言った時間や
予定の管理能力が乏しくなり、昔の子供よりも親に指示されないと行動できなくなって
しまう子供が増えたように感じます。
次は学校に持ち込む持ち物について違いを紹介します。日本は筆記用具や教科書等を
ランドセルに入れて毎日通学しますが、息子の小学校では鉛筆も教科書も家には持ち帰
らないので、リュックサックの中は、宿題のプリントを入れるフォルダーと必要であれ
ばお弁当とおやつを入れて登校します。文具品、ティッシュ、ペーパータオルなどは、
学期の始めに各家庭でまとめて購入し、クラスに寄付し、クラスメートと共同で使用し
ます。毎日の荷物も少なく済み、忘れ物も無くなりとても効率的です。しかし日本のよ
うに、毎日時間割表を見ながら翌日の準備をするのも、持ち物の管理能力を向上させる
には必要ではないでしょうか。
先ほど少し触れましたが、息子の学校ではおやつの時間があります。昼食はカフェテ
リアで食べるので、カフェテリアのスペースの都合上、学年によっては昼食の時間が遅
くなってしまいます。そういった理由で十時ごろにスナックタイムが設けられているよ
うです。昼食はお弁当でも給食でも選択が自由です。
事前に給食を頼む必要もないので、
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その日の気分によって、お弁当または給食を選びます。給食は食べた分だけ支払えば良
いのと、給食費は現金、クレジットカードまたは小切手で支払い可能です。学校のホー
ムページを開けば簡単にクレジットカードで支払いができるのでとても便利です。給食
は、低所得の場合、申請をすれば無料になったり半額になったりするので、家庭の所得
によって金額も異なります。日本のように「誰もが平等に支払う」と言った考えはなく、
「支払い能力がある人が支払う」と言った考えなので、金額の差について苦情を言う人
もいません。
給食費だけではなく「支払える人がお金を出す」と言った考えは、寄付金にも共通し
ます。NYC の公立の小学校では、いつでも寄付金を受け付けています。特に 9 月の新
学期には、PTA が大々的に寄付金を集い、「希望金額」もプリントされた手紙が配布さ
れます。学校にも寄りますが、大体 600 ドル〜800 ドルが希望金額として提示されます。
この寄付金は学校の運営に使われ、アシスタントティーチャーに支払われるなど、寄付
金が集まれば集まるほど設備も整い、
評価の高い学校になっていきます。寄付金なので、
もちろん寄付しない人もいれば、提示されている希望金額よりも多く寄付する人もいま
す。
各学校の学力テストの平均点、給食費が無料又は半額になっている生徒の比率、人種
の割合などはすべてインターネットで公開されるので、学校を選択する目安になります。
給食無料の比率が高い学校は、家庭内の所得が少ないので寄付金も集まりにくく、学力
テストの点数の平均も低い場合が多いようです。
次は小学校の学習の仕方の大きな点について紹介したいと思います。日本では、国語
の授業と言えば同じ教科書を使い、物語を一緒に読んで授業を進めます。こちらでは読
書の時間と作文の時間が別にあり、読書の時間は個人のレベルにあった本を各々で読み
ます。レベルを判定するテストは定期的に行われ、教室にある本は、すべてアルファベ
ットでレベル分けがされています。先生にレベルを判定された後、自分のレベルの本を
選び読んで行きます。学校の授業だけではなく、毎日の宿題としても必ず読書があり、
最低 40 分は読書をしなければなりません。
また、作文力は大変重要で、自分の意見や考えをしっかり書けるように学習して行き
ます。学力テストは長文を読んで答える問題なので、読解力、記述力がテストのスコア
に大きく反映します。
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もう一つ大きな違いは算数の学習法です。日本では速さと正確さが重視ですが、こち
らでは問題のプロセスをどう説明できるかが重要です。例えば算数の文章問題を解き、
式と答えだけを書いたとします。答えが合っていたとしても、式と答えだけではポイン
トがもらえず、逆に答えが間違っていても、プロセスについての記述が合っていればポ
イントがもらえたりするのです。
いよいよ息子も 3 年生から学力テストが始まります。このテストは、NY 州で一斉に
行われるテストです。科目はリーディング(長文読解)とマス(算数)の 2 科目です。
テスト期間はリーディングが 3 日間、マスが 3 日間、合計 6 日間行われます。毎日 1 日
50 分のテストを 6 日間行います。四年生になるとサイエンス(科学)のテストも入りま
す。
学力テストはおそらくアメリカの全州で行われていると思うのですが、NYC(マンハ
ッタン地区、ブロンクス地区、クィーンズ地区、ブルックリン地区、スタテンアイラン
ド地区(以上、5 地区の名称))は他の州と違い、4 年生の学力テストの結果次第で、
中学校から学区内の学校だけではなく、高得点者が集まる選抜中学校に入学できるチャ
ンスも得られるのです。選抜中学校を目指す為の塾もあり、息子も 9 月から通い始めて
います。何処の国でも都心はやはり受験戦争があるものだと思い知らされました。日本
に居てもNYにいても勉強は付き物のようです。
私は某都内の私立付属中学校から大学まで在学していたので、息子と違って受験はほ
とんど経験がありませんでした。現役で大学を卒業した後、社会人入学で明海大学に再
度入学した際は、久々の試験で大変緊張した記憶があります。NY でも、私立に通うセ
レブリティーのお子さんがたくさんおりますので、そういった方々は受験もなく、幼稚
園から高校まで保証されていて羨ましい限りですが、年間 450 万円ほどの学費を在学中
は毎年払わなければならないのでかなりの投資が必要です。我が息子にはできれば大学
まで公立の学校で頑張ってもらい、強くたくましくなってほしいです。
今年も皆様にとって素晴らしい年でありますよう願っております。日野先生、毎年
ジャーナルを書く機会を与えて下さりありがとうございました。
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私を変えたテキスタイルとの出会い
(写真:左は亜弓さんの機織り風景;右は大学の卒業展での彼女の作品の前で。亜弓
さんは、卒業前に優秀学生として表彰されました。)
2010 年卒業 バーネット 亜弓
今回で 4 回目となる寄稿です。私が明海大学を卒業してから早 6 年が経ち、結婚を機
に夫の出身地である米国のニューヨークに越して来てから、今年の 5 月で 5 年目となり
ます。現在はテキスタイルデザイナーとして働いているのですが、今回は、英米語学科
を卒業した私が今の職についた経緯を少しお話しさせていただきたいと思います。
読書好きが高じて大学卒業後は都内にある学術系の出版社に入社したのですが、約 1
年が経った頃に今の夫にプロポーズをされ、ニューヨークに移住を決めました。勢いと
好奇心だけで移り住みましたが、ニューヨークの日本人コミュニティーの大きさに助け
られ、2010 年に移住後は、日野先生を介してお知り合いになったベイカー・ふみ子さん
のお子さんのベビーシッターをさせてもらったり、日系のニューヨーク情報を紹介する
ウェブサイトのフリーランスライターやレストランでアルバイトなどをしながら過ごし
ていました。そして約 1 年後、ようやく米国永住権を取得した夏に帰省したとき、母と
以前から行ってみたいと話していた、東京の目黒にある「日本民藝館」を訪ねることに
なりました。 その時に催されていたのが「芹沢銈介と柳悦孝—染めと織りのしごと」と
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いう展示で、民藝運動時代に活躍したテキスタイルデザイナーお二人の作品でした。そ
の作品を目にしたとき、皆さんも感じることがあると思うのですが、何か自分にとって
運命的なものに会ったときの特別な引力のようなものを感じたのを覚えています。どの
織物、染め物も味わい深く、時代を越えた美しさとかっこよさを備えていて、鑑賞しな
がら、テキスタイルデザインへの興味が、私の中で音を立てて沸き上がっていました。
その頃ちょうど、言語の壁に囚われずに世界中の人と愉しみを共有できる職業、もしく
は没頭できる趣味はないものか、と少し悩み出していた私にとって、その時の出会いは
衝撃的なものでした。
その後ニューヨークに戻ってからはテキスタイルへの思いは抱きながらも、新しい土
地での土台作りのためにも、とりあえずは今できることをがんばろうと決めました。仕
事で良い出会いに恵まれ、その後 3 年間お世話になる日系の週間新聞社と日本食レスト
ランで働き始めました。人脈が増えていくなかで、奇遇な事に、別々の知人 3 人が過去
にマンハッタンにある州立大学「Fashion Institute of Technology(通称 FIT)」の
「Textile/Surface design」コースを卒業していることを聞いたのです。テキスタイル!
そして調べる内に、その学科には学位取得者専用に設けられた 1 年間のみのフルタイム
コースがあり、州立の学校なので学費がかなり良心的ということがわかりました。テキ
スタイルを学ぶうえで最高な環境が見つかったところで、自分の関心が一時的なもので
はないことを確かめるためにも、テキスタイルに関係のある仕事をかじってみたいと思
い、他の仕事を続けながらもその年の冬から、「HABU TEXTILES」という糸や布を
扱う日系のお店でスタジオアシスタントの仕事を見つけました。半年ほど働くうちに、
糸や布の多様な美しさやアートとしての可能性のおもしろさ、手芸・民芸から生まれた
文化的背景のある奥深い魅力を垣間みる事ができ、テキスタイルデザインにどっぷり浸
かる覚悟ができました。そうと決まれば入学申し込みの準備です。現地の高校を卒業し
ていない受験者は、TOEFL で 80 点以上を獲得することが申請条件の一つでしたので、
2012 年の夏から勉強を始め、秋からこの試験を受け始めたのですが、この 1 回 4 時間
もかかるテストには本当に泣かされました。これまでの海外生活で日常会話には自信が
ついてきていたものの、大学レベルの学術用語の知識は錆び付いてしまっていて鍛え直
す必要がありました。恥ずかしながら愚かさをさらけ出してしまうと、3 度目のテスト
では 1 点足りずの 79 点、2013 年の年明け、大学への申請手続き目前の 4 度目にしてよ
うやく合格点以上を突破できました。ドローイング、ペインティング、写生、織物など
を含めた約 10 点のポートフォリオも提出し、入試手続きは完了。競争率が高いことを
聞いていたので、張りつめた思いで結果を待っていたところ、4 月 6 日に晴れて合格通
知が届きました。他の学校は受験せず一本に絞っていたので、受かった時には心からほ
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っとしました。
アメリカの学校は、8 月の終わりの秋から新学期が始まります。私の進んだ Textile/
Surface design AAS プログラムは、学位を既に取得した人、もしくは学術系の必須科目
を既に他の大学で学んだ学生のために設けられたコースなので、アカデミックな授業は
一切なく、日本でいう専門学校生のようなもので 1 年間という限られた期間でテキスタ
イルデザインの幅広い領域をできるだけ網羅するためのかなり詰め込み型の授業編成で
した。月曜日から金曜日まで平日は毎日朝 9 時から夜 6 時までぎっしり授業があり、そ
れぞれのクラスで課題が出され、ほとんど毎日クラスメイトたちと夜中まで学校に残り
作業をして寝る為だけに家に帰り、週末も時間があれば学校に行って課題やリサーチを
していました。テキスタイルデザイナーが活躍できる就職先として、アパレルファッシ
ョン、もしくはホームプロダクトと大きく分けて二つの分野があり、デザインの特徴や
特質もそれぞれ少しずつ異なることも早い段階で教わりました。授業編成や教授たちの
姿勢はどちらの分野にも対応してくれていましたが、
私はラグやクッション、カーテン、
ベッドなどのテキスタイルデザインにより興味があったので、課題制作のテーマが自由
な際はホームテキスタイルを意識して作りためていきました。授業の大体は、ペインテ
ィング、Photoshop や Illustrator など、この分野で主要となるソフトウェアを用いたデ
ザイン、織り、シルクスクリーンプリントを学ぶ内容で、実践を重視したカリキュラム
は体力的に厳しくもとても身になりました。秋学期はクリスマス前に終了し、1 月から
春学期が始まり、再びテキスタイルデザイン漬けの生活に明け暮れ、あっという間に 5
月、卒業の時期が来ました。学期の最後には優秀学生として表彰もしていただき、がむ
しゃらに頑張った結果が評価してもらえたこと、この道に進んでよかったのだと確信で
きたことは何にも代え難い喜びでした。クラスメイト 24 人の内の半数、特に年齢の若
い子たちはより専門的な勉強を続けるために 2 年制の学士コースに進み、私を含めたも
う半数は就職を希望してインターンシップを始めていました。幸運なことに、夫の家族
や親戚を通して、希望していた米系のホームテキスタイル分野の会社 2 カ所でデザイ
ン・インターンとして働けることになりました。インターンシップではまず、過去のコ
レクションの整理、プレゼンテーション用のボード制作、デザイナーの雑務手伝い、コ
ンピューターでのデザイン修正などが主な仕事でした。5 ヶ月が経った頃、インターン
先の会社が経営難で新規雇用の凍結を知らされたことから別の就職先を探していたとこ
ろ、Ralph Lauren のホーム部門でアシスタント・テキスタイル・デザイナーを募集して
いたので応募したところ、幸運にも採用してもらえ、11 月より正社員として働いていま
す。完全な英語環境で働くことにはまだ慣れず毎日奮闘しております。
そんなこんなで私は現在、明海大学を卒業した時には想像もしていなかった職業に就
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いています。私のことですので、また 10 年後にはなにを目指しているか分かりません
が、変化を伴う大きな決断を後押しし、支えてくれた夫と家族には心から感謝していま
す。また、厳しい日々を励まし合いながら一緒に乗り切ったクラスメイトたちは、今で
もかけがえのない存在です。新しい職業に就いたことで、出版業界での挑戦は諦めたの
か、と言われたら、そうではないとは言い切れない情けなさもありますが、将来テキス
タイルについての知識を活かして文章を書く機会が訪れるかもわかりませんし、物事に
対して柔軟であること、チャンスは掴んでみること、自分を信じること、世間体を気に
しすぎないことの大切さは、ニューヨークで生活をしていて自然と鍛えられた感覚のよ
うな気がします。物価も家賃も上がり続ける一方で、私たちもいつ地方に引っ越しせざ
るを得なくなるかわかりませんが、せっかくこの街に住んでいる限りは、変化と刺激を
楽しんでいけたらと思っています。
(写真:大雪の NY マンハッタン;2015 年 2 月;ベイカーふみ子さん撮影)
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卒業生からの手紙
感謝の気持ちを忘れず、毎日を楽しむ
(写真:セントラルフロリダ大学での留学生活を楽しむ長谷川さん)
2009 年度卒業生 長谷川 唯香
ニット衣料・原糸専門会社で貿易事務をしている明海大学の卒業生は、おそらく私ひと
りだけでしょう。私は、「貿易事務をしたい」と将来就く職業のために大学を選んでい
ませんでしたし、貿易事務という仕事があることすら知りませんでした。明海大学を選
んだ理由は、
「セントラルフロリダ大学に 1 年間長期留学をする」ためでした。そして、
大学でわたしが学んだことはとても大切なことでした。それは、感謝の気持ちをもつこ
とです。
フロリダ州は、温暖な気候で、さまざまなテーマパークが集まり、ちょっと郊外に車
を走らせるとオレンジ畑が広がっている場所です。行けばだれでも陽気な気分になれそ
うな環境ですが、高校 2 年の 1 年間を交換留学で過ごしたときは、英語力、思考力とも
に不足しており、言いたいことが伝わらず不完全燃焼の毎日でした。そこで、大学では
日本人とアメリカ人の感覚の違いを異文化から学び、英語力をつけてもう 1 年留学をし
ました。大学 3 年の 1 年間は、やっとフロリダの真っ青な空と、フレンドリーな学生に
なじむことができました。今でも、ふとした思い出―友達のトラックのなかで大声を出
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して歌ったり、ルームメイトと夜中に作動する芝生のスプリンクラーのしぶきを浴びせ
合ったり、早朝の海辺で朝日を眺めつつ側転したり―が頭に浮かびます。もちろん、授
業は難しく、現地の学生とグループワークをする課題では、英語力で足を引っ張らない
ようにより深く意見を出す努力が必要だったので、伝わりにくい部分を友人に修正して
もらい、意見を聞いてもらいながら伝わる英語を学びました。
大学に進学するまでは、自立という意味は、何でもひとりでできるようにならないと
いけないということだと思い込んでいました。しかし、大学生活を始め一人暮らしをす
るうえで、じぶんだけの力では何もできないことに気が付きました。世界を広げてくだ
さった先生方、応援してくれ、一緒に息抜きができる友人、学費を用意してくれた親に
感謝の気持ちを持てたのは、大学生活の中で一番大事なことでした。
その 4 年間を終え、無事に就職したのが現在務めているニット衣料・原糸専門会社で
す。働いて 1,2 年目の頃は英語を活用できる機会があまりなかったのですが、「準備を
していれば、チャンスが来たときに気が付くことができますよ」、と恩師から励ましの
お言葉をいただき、勤務 6 年目の昨年は、念願のニューヨークに出張することができま
した。
「いつもにこにこ感謝の気持ち、家もあかれば、身もひかる。食う事着る事、いや 生
きて居ることが、自分ひとりの力ではない」との言葉があります。自分ひとりの力では
ない、みんなのおかげさま、そう感じていると、切迫した気持ちが消え、本来出せる力
が発揮できます。自分の叶えたいように物事が進まなくても、今いる延長線上にあるべ
きチャンスが待っていま
す。私も今の会社に就職す
るまでは、自分が「貿易事
務」の仕事に就こうとは想
像もしませんでしたが、今
はこの仕事の中で活かせ
る力を高め、新たなチャン
スを楽しみたいと考えて
います。
(写真:快晴のフロリダでスポーツ観戦。この後スコールに…)
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CA として中国・上海に暮らして
(写真:左側の女性が金澤さん)
2012 年卒業 金澤 美里
私は 2012 年に英米語学科を卒業し、就職先に選んだのは中国の航空会社でした。中
国の上海に暮らしながら CA (客室乗務員)として勤務しました。現地での生活や仕事に
ついて紹介したいと思います。
私が暮らしていた中国の上海は東京から飛行機で 3~4 時間で、駐在や留学をしてい
る日本人が多くいます。町には日本食レストランが沢山あり、日本食が手に入るスーパ
ーもあります。日本人が経営しているカフェや、日本人の美容師がいる美容室もあるの
で、日本と同じ感覚で生活ができて不自由はありませんでした。英語はというと、ホテ
ルや外国人が多いエリアのお店でしか通じないので、外出時に言葉が通じず苦労するこ
とが多々ありました。中でも苦労したのはタクシーです。行き先を伝えてもタクシーの
運転手が道や場所を知らないこともあるので、自分で道順などを指示する時もあり、目
的地に着けるかいつもヒヤヒヤしながら乗っていました。上海の物価は、食料品は日本
と比べると安く、衣料品は日本と同じくらいです。例えば 500ml のお水は 1.5 元(日本
円で約 22 円)、タクシーは初乗り 14 元(約 210 円)です。
私は上海発の日本線と東南アジア路線に乗務していました。フライトは中国人乗務員
の中に日本人 1 人での乗務です。初めは中国語を話せず、同僚や乗客が何を言っている
のかわからなくて苦労したこともありました。乗務中に中国人の同僚に中国語を教えて
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もらう内に、簡単な中国語を理解することが出来るようになりました。フライトでは毎
回文化の違いで驚くことばかりでしたが、自分とは違う文化を知ることができて良い経
験となりました。中国人の同僚はお話好きで知識が豊富で、いつも色々な話をして、文
化を初め多くのことを学びました。優しく面倒見の良い方が多く、仕事中に落ち込んで
いた時には、気にしなくて良いよと声をかけてくれ励まされたこともありました。休み
の日には一緒にマッサージや食事に行ったり、自宅に招いて手料理を振舞ってくれた同
僚もいました。また、中国人の同僚と一緒に中国国内に旅行に行ったことは、大切な思
い出となりました。
中国に住んでいた期間は短いですが、中国文化や中国語を学べたことは貴重な経験と
なりました。日本に居てテレビやインターネットで入ってくるニュースだけでは知るこ
との出来なかった中国や人々の暮らしを見ることができ、外国に行き自分の目で見て感
じることの大切さを改めて実感しました。今後も機会があれば沢山の国を訪れてみたい
です。
(写真:恒例の英米語学科同窓会・明英主催の懇親パーティー(2014 年 6 月 14 日) は大いに
盛り上がりました。英米語学科卒業生の皆さん、次回はぜひ一緒に楽しみましょう。)
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英米語学科同窓会・明英の活動報告
より多くの「よろこび」を
明英代表 川部 翔
おかげさまで、英米語学科の同窓会組織「明英」も今年で 10 年目を迎えます。ここま
で活動を続けることができたのは、会員の皆様のご協力があってこそだと確信しており
ます。今後、皆様にとってより身近な同窓会を目指して、理事一同、心を込めて運営を
進めてまいります。今年度も以下のように活動を行いました。
毎年恒例の「明英親睦パーティー」を今年度は 2014 年 6 月 15 日(日)に浦安ブライ
トンホテル東京ベイにて開催しました。昨年度を上回る 70 名以上の皆様にお集まりいた
だき、限られた時間ではありましたが、それぞれが楽しいひと時を過ごすことができま
した。今年度は、パーティーに先立ち、大津由紀雄先生(明海大学副学長・外国語学部教
授)から「小学生英語はどうなるのか―現状の正しい把握と今後の見通し」という演題
でご講演いただきました。また、懇親会の中では、東京ディズニーリゾートのペアチケ
ット等が当たる抽選会も行いました。次回も抽選会を行います。大学時代のご友人と久
しぶりに集まる機会にしていただけますと幸いです。
12 月 7 日(日)には「効果的な授業創りを目指して」というテーマで、「明英英語教
育セミナー」を開催し、西山佑司先生(慶應義塾大学名誉教授、明海大学名誉教授)より
「because 構文の曖昧性 ― 「ので」と「から」の区別の観点から」という演題でご講
演をいただきました。深く考えることのない内容についてじっくりと向かい合いことで、
知的で濃密な時間を過ごすことができました。
昨年末のクリスマスには温かいメッセージやデザインとともに英米語学科卒業生の皆
さまへ、毎年恒例のクリスマスカードをお届けしました。今後も、心が温かくなる内容
のクリスマスカードをお送りします。
在学生対象に行っております「明英・教育実習事前相談会」を 2015 年 3 月 14 日(土)
に開催しました。教育実習を控える在学生の皆さんに少しでも力になればと思っていま
す。
10 年の活動を通して、明英の事業内容も少しずつ安定してきました。今後は、これま
での活動をより一層強化するとともに、新たな事業の企画も模索しながら、会員の皆様
が参加したくなるような同窓会を目指して活動を続けてまいります。引き続き、ご協力
をよろしくお願いいたします。
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編集後記
この写真は、2015 年 3 月 23 日の学位記授与式式典の後に行なわれた、英米の卒業生
諸君に学位記を手渡す会合でのひとコマです。卒業から数カ月が過ぎた初夏の今頃、諸
君はどうしていることでしょう。がんばっていますか?疲れていませんか?大変でしょ
うが、苦労が自身を磨くと信じて、少しずつ前に進みましょう。「努力は嘘をつかない」
を信じて。私たち教員も諸君の成長を見守っています、心より応援しています。
「2014 年度・英米ジャーナル編集委員会」
日野 壽憲 (編集委員)
原 和也 (編集委員)
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