1 - 小高中心部に仮設店舗 今月末の開店目指す 福島民報 2015年8月6日

小高中心部に仮設店舗
今月末の開店目指す 福島民報 2015年8月6日(木) 11時40分南相馬市は、東京電力福島
第一原発事故により避難指示解除準備区域となっている同市小高区中心部に食料品や日用雑貨品を扱う初の仮設店舗
を設ける。今月末の開店を目指し、準備を進めている。来年4月を目標とする避難指示解除に向けて、住民の利便性向上
を目指す。建設予定地はJR小高駅近くの小高区東町一丁目。プレハブ平屋で、中小企業基盤整備機構(中小機構)が提
供する。運営は市から委託を受けた菓子店「菓詩工房わたなべ」(小高区から原町区に避難中)と、復興拠点施設の小高ワ
ーカーズベース(小高区)が共同で担う。収益を上げにくい事業のため、市が委託先に200万円を貸し付ける。小高ワーカ
ーズベースの和田智行代表は「日中を小高区で過ごす方々が日用品を手軽に購入できる環境をつくっていきたい」と語っ
た。現在、店舗の従業員を募集している。年齢性別不問。定員は2、3人程度。問い合わせは小高ワーカーズベース
電
話0244(26)4665へ。
農林水産賠償を継続
17年1月以降、広瀬東電社長が方針 福島民友新聞 2015年8月6日(木) 11時30分東京電力
福島第1原発事故に伴う農林水産業の損害賠償をめぐり、東電の広瀬直己社長は5日、今後の対応を示していなかった20
17(平成29)年1月以降について「原発事故と相当因果関係があれば、損害が続く限り賠償をしないといけない」と述べ、賠
償を続ける方針を表明した。広瀬社長が17年1月以降の賠償対応に言及したのは初めて。5日の県議会全員協議会で答
えた。広瀬社長は「まずは損害をなくすことに全力を尽くす。(17年1月は)1年以上も先であり、風評を含め(その時点で)損
害の状況がどうなっているかは分からない」と前置きした上で、農林水産業の損害があれば賠償を継続する姿勢を示した。
ただ、現時点で具体的な枠組みは固まっておらず、東電の対応が注目される。
福島第2原発存廃「全く未定」
東電社長、判断の姿勢後退 福島民友新聞 2015年8月6日(木) 11時21分県議会は5
日、1年ぶりに全員協議会を開き、自民党、民主・県民連合、ふくしま未来ネットワーク、共産党、公明党、福島・みどりの風
の各議員が東京電力福島第1原発の廃炉・汚染水対策や賠償対応の問題点について東電の広瀬直己社長ら幹部を追及
した。6日は関係省庁の担当者を呼び、質疑を行う。東京電力の広瀬直己社長は、県と県議会が全基廃炉を求めている福
島第2原発1~4号機の存廃について「全く未定」とあらためて明言を避けた。第2原発の再稼働の可能性を問われても「全く
未定」と同様の答えを繰り返した。広瀬社長はこれまで、内堀雅雄知事らの廃炉要求に対し、電力事業者として自ら判断す
る意向を示してきたが、今回の答弁で姿勢が後退した格好だ。広瀬社長は当初「原子力を推進してきた国のエネルギー政
策を踏まえて判断する」としていたが、政府が「事業者の判断」と断言したことを受け、経営陣による決断の必要性を認めて
いた。この日は、全基廃炉を求める県議会の決議を突き付け、広瀬社長に早期決断を迫る声が相次いだ。しかし広瀬社長
は「決議は承知しているが、現実的には第1原発の廃炉・汚染水対策に(経営資源を)傾注している。第2原発は第1原発の
廃炉作業をバックアップしている」と答えるにとどまった。
福島県避難者、11万人を切る
県内避難者の減少続く 福島民友新聞 2015年8月6日(木) 11時19分東日本大震災
と東京電力福島第1原発事故による本県の避難者数が11万人を切ったことが5日、分かった。県が把握する最新の県内避
難者数6万2892人(7月31日現在)に、県外への避難者4万5241人(同16日現在)、避難先不明者31人を加えた人数が10万
8164人となった。特に県内避難者の減少が続いており、県は「仮設住宅からの復興公営住宅への転居や、住宅の新築など
が影響している」と分析している。避難者数のピークは2012(平成24)年5月の16万4224人(県内10万2186人、県外6万2038
人)。ピーク時より県内で約3万9000人、県外で約1万7000人減少した。県外避難者については14年度から4万5000~4万7
000人台の間で推移していて、県内避難者と比べ増減の幅が小さくなっている。
中間貯蔵施設試験輸送
会津地方で先行実施 福島民報 2015年8月6日(木) 9時1分東京電力福島第一原発事故に
伴う除染廃棄物を搬入する中間貯蔵施設の保管場へのパイロット(試験)輸送について、環境省は8月下旬以降、会津地
方など積雪の影響が懸念される地域で先行実施する。5日、郡山市で開いた関係市町村、県との連絡調整会議で明らか
にした。会津地方で該当するのは会津坂下、会津美里、湯川の3町村。会津地方以外に、輸送ルートが一般道で阿武隈
高地を越えるケースや、積み込み場が山間部にある市町村も先行する。一方、従来の方針通り、施設に近い地域も順次、
実施する。既に搬出している双葉郡8町村に田村市を加えた9市町村周辺が対象となる。今後、調整がついた地域から開
始する。試験輸送はこれまでに9市町村と、学校を搬出元としている郡山市と棚倉町の計11市町村で着手し、このうち8市
町村で終了した。学校が搬出元となる浅川町では夏休み中に実施する予定。連絡調整会議では市町村などから「具体的
な実施時期を早急に示すべきだ」「早く試験輸送後の本格輸送に進んでほしい」などの意見が出た。
規制委が今秋検討会新設
第一原発廃炉作業を議論 福島民報 2015年8月6日(木) 8時59分原子力規制委員会の
田中俊一委員長(福島市出身)は5日の定例会合で、東京電力福島第一原発の廃炉作業の在り方を議論する「特定原子
力施設監視・評価検討会」の体制を見直すよう事務局の原子力規制庁に指示した。今秋にも、原子炉から溶け落ちた核燃
料の管理や廃炉に伴う放射性廃棄物の処分など長期的な課題に対応する新たな検討会を設置する見通し。第一原発の
廃炉作業の課題が溶融燃料の取り出しなど中長期的な内容に移行しつつあり、より専門的な議論が必要だと判断した。今
後、規制庁が会議の開催方法や専門家のメンバー構成を検討する。田中氏は会合後の記者会見で、溶融燃料などの問
題について「われわれ自身もどうするべきか技術的に示さないといけない。長期的に安全に廃止措置を進めるために必要
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なデータを専門的に整備しないといけない」と新たな検討会の設置理由を述べた。検討会ではこれまで主に東電が申請し
た汚染水対策を審査してきた。規制委が最大のリスクと指摘してきた海側トレンチ(電源ケーブルなどが通る地下道)の高濃
度汚染水の抜き取りが7月末に完了するなど状況が改善していることも踏まえた。
原発事故で東電元会長ら強制起訴
日(木) 6時2分
だが本当に法廷で真相解明できるのか?[写真] Business Journal 2015年8月6
東京電力福島第一原子力発電所の事故をめぐり、東京第5検察審査会が東電の旧経営陣3人を業務上
過失致死傷罪で起訴すべきと議決。2度目の起訴相当議決となり、今後東京地裁が指定する検察官役の弁護士によって、
3人は強制起訴されることになる。これを伝える報道では、<「原発事故 法廷で真実を」>(朝日新聞)、<原発事故「真実
法廷で」>(読売新聞)、<真相究明へ「一歩」>(毎日新聞)などと、「真相」や「真実」などの言葉が飛び交った。果たして、
これから起こされる刑事裁判は、「真相解明」の場になるのだろうか――。●立証が困難な津波の“予見可能性”
刑事司
法に関する報道で、被害者らの口を借りて「真相」「真実」という言葉を多用し、人々の期待を煽るのは、日本のマスメディア
のよくないクセである。刑事裁判の主目的は被告人個人の責任追及で、事案の真相解明機能は極めて限定的であることは、
記者たちもよく承知しているはずだ。勝俣恒久元会長ら旧経営陣3人の「厳重な処罰」(告発状)を求めて告訴・告発した人
たちにとっては、「勝俣氏らは本件のような事故が予見できたにもかかわらず、回避するための措置を講じなかった」との「真
実」が、刑事裁判で確認されることを期待している。ただ、その主張を裏付ける証拠がどれほどあるのかが問題だ。そのこと
も、記者諸氏は把握しているはずである。通常の刑事事件は、検察官が起訴し、裁判で被告人の有罪を確実な証拠で、合
理的な疑いを入れない程度にまで立証する責任を負う。検察が不起訴と決めている強制起訴事件では、裁判所が指定し
た弁護士が検察官役を務め、同様の立証責任を負う。当然のことながら、被告人には無罪推定が働く。過失を立証するに
は、今回のような巨大津波が発生し、長時間の全電源喪失が起こり、重大で過酷な事故につながることについて、勝俣会
長らが事前に、ある程度具体的に予測できたこと(予見可能性)を証明しなければならない。さらに、今回のような事故を回
避する措置を講じることが可能で、それを行う義務に反していたこと(結果回避義務違反)も示す必要がある。そうした立証
は、事故が起きてからわかった事実を基に、「今から思えば、あの時こうしていれば……」とあれこれ考える「結果論」ではダ
メである。今回の議決書では、津波の可能性は「万が一」で「まれにある」程度であっても、適切な津波対策を行うまでは原
発の運転を停止するなどの措置が必要だった、としている。東電関係者の中にも、「今思えば、そうしていればよかった」と
悔やむ人はいるかもしれない。ただ、刑事裁判においては、事故が発生する前の状況や知見を前提に、予見可能性と結
果回避義務違反を証拠で示せなければ有罪にはならない。検察は、それは不可能だと判断し、2度にわたって不起訴処分
とした。それを、指定弁護士は立証できるだろうか。●指定弁護士確保への厳しい条件
本件事故では、いくつかの事故
調査委員会が調査や検証を行っている。あらためてそれを読むと、危機を現実的なものと想定しない安全神話は、歴代東
電関係者のみならず、規制官庁など政府の原発にかかわる専門家の間に蔓延していたことがわかる。高い津波が発生する
試算もあったのに、東電はそれを現実的なものとして受け止められず、とりあえず土木学会に打診。政府の保安院も報告を
受けながら、漫然と過ごしていた。そうした風潮こそが大問題だったわけだが、この当時の状況と知見を前提に、勝俣氏ら3
人の個人責任をどこまで問えるのだろうか、という問題もある。それ以前に、現実問題として、どのようにして指定弁護士を揃
えるか、という難問がある。おそらく証拠や資料は山のようにある。指定弁護士は原発に関する専門的な知識を学びながら、
それを読み込んで準備をしなければならない。検察が断念した過失についての有罪立証をするためには、補充捜査も相当
に行わなければならないだろう。指定弁護士は、裁判所の令状を得れば被疑者を逮捕したり捜索差し押さえもできる。これ
まで、そのような強制捜査が行われたことはないようだが、今回はどうだろうか。元検察官の落合洋司弁護士は、「これを検
察庁が扱うとして、私が公判部長なら少なくとも3人の検事を専従にする。それくらい難しい事件」という。一方、大方の弁護
士は、他の事件もこなして稼がなければ法律事務所を維持できず自身も生活できないので、この事件に専従というわけに
はいかないだろう。これまでの強制起訴事件では3人の弁護士が指定されることが多かったようだが、本件の場合はそれで
はとても足りないのではないか。指定弁護士の報酬は、一審、二審と各段階ごとに最高で120万円と決まっている。一審の
判決までに何年かかっても金額は同じだ。JR福知山線の脱線事故でJR西日本の歴代社長3人が強制起訴された事件では、
検審議決から一審判決まで3年半かかり、明石歩道橋事故でも3年余りを要している。検審議決から強制起訴制度で、これ
ほど長期間にわたる難事件に対応するとは、制度をつくった時には想定していなかったに違いない。今回の事件は、それ
以上の年月を要する可能性がある。これほど難しくて手間も時間もかかり、経済的に割に合わない事件を引き受けるほどの
使命感と経済的な基盤を持ち、能力の高い弁護士を何人確保できるかというのが、今回の裁判を意味あるものとするため
の最初の関門だろう。●刑事裁判は真相解明の場ではない
裁判を開くことを決めた以上、少しでも新たな事実が出され、
本件事故の原因究明や原発の安全性に資するものにしてもらいたい。そのためには、指定弁護士の報酬の限度額を大幅
に増額するとか、検察事務官を派遣するとか、緊急に公的なバックアップを図らないとまずいのではないか。そのうえで、い
ま一度強調しておきたいのだが、どれほど充実を図ったとしても、刑事裁判はあくまで個人責任の追及の場であって、事故
の真相解明にベストの場ではない。国会事故調はその報告書の中で、次のように述べている。「本事故の根源的原因は
『人災』であるが、この人災を特定個人の過ちとして処理してしまう限り、問題の本質の解決策とはならず、失った国民の信
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頼回復は実現できない。これらの背後にあるのは、自らの行動を正当化し、責任回避を最優先に記録を残さない不透明な
組織、制度、さらにはそれらを許容する法的な枠組みであった。また関係者に共通していたのは、およそ原子力を扱う者に
許されない無知と慢心であり、世界の潮流を無視し、国民の安全を最優先とせず、組織の利益を最優先とする組織依存の
マインドセット(思い込み、常識)であった」
こうしたマインドセットは事故直後には激しい批判にさらされたため、改善され
たかもしれないが、時間がたてば形状記憶合金のように元に戻りがちだろう。そういうことがないようチェックすることのほうが、
さまざまな資源を投入して個人責任を追及するより「国民の安全」に役立つのではないか。また、同報告書は次のような提
言も行っている。「今なお続いているこの事故は、今後も独立した第三者によって継続して厳しく監視、検証されるべきであ
る」
国会において、後継の調査委員会をつくるべしとの提言だ。政府が設置した調査・検証委員会でも、未だ解明でき
ていない部分があるとして、報告書の中で「国は引き続き事故原因の究明に主導的に取り組むべきである」と提言している。
ところが、こうした機関はつくられていない。原発事故の現場では、地道な作業が進められている。つい先日も、「使用済み
燃料プールに落下し、核燃料取り出しの傷害になっていた重さ20トンの大型装置の引き揚げに成功した」というニュースが
あった。ただ、核燃料の取り出しは、当初の工程表から数年単位で遅れている。港湾内から、放射性物質を含んだ汚染水
が雨量の増加によって海に流出したことも報じられたばかりだ。.
安倍首相がオリンピック招致の際に国際社会に向かって、
「私が安全を保証します。状況はコントロールされています」「汚染水は福島第一原発の0.3平方キロメートルの港湾内に完
全にブロックされている」と宣言したが、それは今なお果たされていない。事故は今なお進行中であり、すべての問題が解
明できたわけでもないと調査委員会が認めているのに、未だに後継調査委員会すらできていないというのはどういうわけか。
強制起訴の刑事裁判が始まるには、1年以上はかかるだろう。マスメディアは、本来の真相解明に資する場の設置について
の問題をしっかり伝えてほしい。
東電に未請求3000人=原発事故賠償―6月末 時事通信 2015年8月5日(水) 20時0分東京電力福島第1原発事故
で避難指示などの対象になった福島県沿岸部の住民のうち、6月末時点で約3000人が東電に本格的な賠償請求をしてい
ないことが5日、分かった。昨年11月末時点から約700人減少した。東電は、避難先などが特定できた対象者を訪問して請
求を促す方針。
川内原発の老朽化対策が認可
「法令違反」の指摘も オルタナ 2015年8月5日(水) 18時21分原子力規制委員会は5
日、再稼働を目前に控えた九州電力川内原発1号機で、老朽化対策を盛り込んだ「保安規定」を認可した。原発は運転開
始後30年目までに同規定の認可を受けることが法令で定められている。しかし1号機の場合、30年目に当たる2014年7月3
日の時点で、この認可を受けていなかった。(オルタナ編集委員=斉藤円華) 老朽化対策は「高経年化対策」と呼ばれる。
規制庁の前身にあたる原子力安全・保安院時代から、この「30年ルール」は厳格に運用されてきたという。しかし川内原発1
号機では、規制委の適合審査が遅れた影響で、30年目までに認可が間に合わなかった。また、九電は今年7月に老朽化
対策に関する「補正申請」を行ったが、主給水系配管の耐震評価の一部で、疲労に対する安全余裕が運転開始から40年
時点で1%を切る、との試算結果が示された。これらの点を問題視する市民らは4日、都内で原子力規制庁の担当者と交渉。
「このまま再稼働を許せば(原発の)劣化が進み、事故の危険が高まる」「再稼働を認めるべきではない」などとする要望書
を提出した。その上で、30年目時点で保安規定が認可されていないことについて「法令違反にあたる」と質した。また、補正
申請にともなう追加の現場検証や、外部有識者からの意見聴取を行うよう求めたが、規制庁担当者はいずれも「問題はな
い」として退けた。九電は補正申請にかかわる設備や機器の追加の安全評価を来年8月までに行うとしている。交渉には原
発技術者の後藤政志氏や菅直人元首相も姿を見せた。後藤氏は「運転から30年が経過した原発は新設時よりもリスクが大
きく上がっている。特定箇所だけでなく、プラント全体を対象に追加確認を行った上で認可すべき」と指摘。菅氏は「法的手
続を無視して再稼働すれば、九電や安倍政権の責任は大きい」と話した。
事故なら「規制委も責任」=田中委員長、川内再稼働控え 時事通信 2015年8月5日(水) 18時4分
原子力規制委員
会の田中俊一委員長は5日の定例記者会見で、間近に迫った九州電力川内原発1号機の再稼働について、万が一事故が
起きた場合の責任を問われ、「当然私どもも一定の責任があると思う」と述べた。審査に合格した川内1号機の安全性につ
いて、田中委員長は「絶対安全とも事故ゼロとも言えないが、東京電力福島第1原発事故の経験を踏まえ、相当程度厳しい
基準を整えた」と改めて説明。「福島事故のようなことがまた起きるという懸念を私自身が持っていれば、原発は使わない方
がいい。そういうレベルでの安全確保はできている」と強調した。その上で、絶対安全とは言えない原発で事故が起きた場
合の責任の所在を問われると、「しゃくし定規に言えば事業者だが、(規制が)足りなかったという意味で当然私どもも一定
の責任があると思う」と述べ、規制委にも責任が及ぶとの認識を示した。
川内原発1号機11日に再稼働
新基準で全国初[動画] テレビ朝日系(ANN) 2015年8月5日(水) 17時5分九州電力
が川内原発1号機を11日に再稼働させる方針であることが関係者への取材で分かりました。九州電力がまとめた日程により
ますと、11日に制御棒を抜き、原子炉を再稼働させ、14日に発電と送電を開始し、25日にフル出力で安定的な運転状態と
する予定です。そして、最終的には9月中旬に営業運転を再開する方針です。九州電力は、原子炉への核燃料搬入を終
え、先月24日に原子炉起動に必要な原子力規制委員会による使用前検査を終えていました。ただ、川内原発は、政府が
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了承した避難計画に基づいた訓練を実施していないことなどから、再稼働を不安視する声は依然、残っています。
高浜3号機の使用前検査申請=仮処分で起動できず―関電 時事通信 2015年8月5日(水) 16時18分関西電力は5日、
高浜原発3号機(福井県)の再稼働に必要な使用前検査を原子力規制委員会に申請した。関電は申請書で11月上旬の再
稼働を目標としたが、高浜3、4号機は今年4月、福井地裁から運転差し止めの仮処分を受けており、検査が順調に進んだ
としても、異議審などで決定が覆らなければ再稼働できない。関電は、今月17日に検査を受ける準備が整うと説明。10月中
旬に核燃料を原子炉内に搬入し、11月上旬に原子炉を起動して発電を始める計画を規制委に提出した。計画では年内に
すべての検査が終わり、営業運転に移行するとしている。関電は、核燃料を原子炉に入れて行う検査は仮処分決定が禁じ
た「運転」に当たらないと判断した。ただ、実際に燃料を入れるかどうかは「裁判の状況と、地元の理解を踏まえて判断した
い」としている。再稼働には、非常用発電機など4号機との共用設備の使用前検査も必要となる。4号機は検査を受けるのに
必要な工事計画の認可を受けていないため、関電は認可を受け次第、共用設備の使用前検査も申請する方針。仮処分決
定をめぐっては、関電が取り消しを求め、福井地裁で異議審の審理中。5月に第1回審尋が開かれ、11月13日まで期日が
指定されている。
川内原発1号機再稼働準備
停止後初めての高温高圧状態 西日本新聞 2015年8月5日(水) 11時44分
九州電
力は4日深夜、川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働に向け、放射性物質を含んだ冷却水が流れる原子炉設
備の温度と圧力を上昇させる作業を始めた。九電によると、5日朝までにトラブルなどは発生していないという。川内1号機が
2011年5月の停止後、高温・高圧の状態になるのは初めて。作業は4日午後11時すぎに始まり、286度程度まで徐々に温度
を上げていく。6日からは、その状況下で設備が正常に作動するかを確認する「温態機能検査」に入る。問題がなければ10
日に制御棒の駆動確認検査を経て、同日中にも原子炉を起動する。
<川内原発>規制委が30年超の運転に必要な対策の認可決定 毎日新聞 2015年8月5日(水) 11時27分
原子力
規制委員会は5日、九州電力川内(せんだい)原発1号機(鹿児島県)の30年を超える運転に必要な対策を認可することを
決めた。1号機は11日に再稼働する予定で、認可が間に合うことになる。規制委は早ければ7月29日の定例会で認可する
方針だったが、九電による申請書の補正の提出が30日にずれ込んだため遅れた。1号機は昨年7月に運転開始から30年
を迎えた。原子炉等規制法は、30年を超えて運転する原発に対し、機器の劣化の評価や管理方針を定めることを電力会
社に義務付けているが、認可は再稼働の条件には含まれない。しかし市民団体などから認可なしの再稼働に批判が相次
いでいた。【酒造唯】
「脱原発都市」にメガソーラー、35億円で2700世帯分の電力を[写真] スマートジャパン 2015年8月5日(水) 10時16
分福島第一原子力発電所から20キロメートル圏内にある南相馬市の農地で、発電能力が8MW(メガワット)を超えるメガソ
ーラーの開発プロジェクトが進んでいる。現在も立ち入りが制限されている避難指示区域内の2カ所に建設する計画だ。35
億円にのぼる総事業費を地元の金融機関も加わって支援する。福島県北部の太平洋沿岸にある南相馬市では、東日本
大震災で津波による甚大な被害を受けたうえに、福島第一原子力発電所からの放射能汚染によって広い範囲が避難指示
区域に指定されている。市の南部に広がる農地の多くが避難指示区域に入っていて、そのうちの2カ所でメガソーラーを建
設するプロジェクトが動き出した。建設予定地は「小高区(おだかく)」の丘陵地帯にある18万平方メートルの農地で、もともと
畑として使われていた。この一帯は住民が早期に帰還できる環境整備を目指す「避難指示解除準備区域」に含まれていて、
復興に向けた支援策を迅速に実施する対象になっている。2014年度に始まった「懸の森(かけのもり)太陽光発電事業」を
通じて、2カ所の農地に合計で8.6MWのメガソーラーを建設する。1カ所は2016年3月に、もう1カ所は2018年12月に運転を
開始する予定だ。両方が稼働すると、年間の発電量は一般家庭の使用量に換算して2700世帯分になる。南相馬市の2万3
000世帯の1割強に相当する。プロジェクトを推進するのは「懸の森太陽光発電合同会社」で、約35億円の事業費を投じる
計画だ。2014年度に被災地を対象にした「再生可能エネルギー発電設備等導入促進復興支援補助金(半農半エネモデ
ル等推進事業)」の交付を環境省から受けた。この補助金を使って売電収入の一部を農作物の栽培に生かすことになって
いる。さらに第一生命保険と損害保険ジャパン日本興亜から4億2000万円ずつ、地元の福島銀行から2000万円の出資を受
けることが8月3日に決まった。このほかにも大和証券が主幹事になって、地元の金融機関が協調融資に参加する。再生可
能エネルギーの導入を通じて、避難指示解除準備区域の復興に地域を挙げて取り組む体制ができあがった。南相馬市は
2015年3月に「脱原発都市」を宣言して、原子力に依存しない街づくりを推進中だ。2030年までに再生可能エネルギーによ
る電力の自給率を100%に高める目標を掲げていて、太陽光と風力を中心に導入拡大策を展開していく。
高浜3号機、工事計画を認可
再稼働の時期は未定 産経新聞 2015年8月4日(火) 15時51分原子力規制委員会は
4日、新規制基準の適合性審査に合格した関西電力高浜原発3号機(福井県)について、再稼働に必要な工事計画を認
可した。関電は5日にも再稼働前の最終手続きとなる使用前検査の申請書を規制委に提出する。ただ福井地裁による再稼
働差し止め命令が出ており、再稼働の時期は見通せない。工事計画は、設備や機器の対策工事の詳細な設計内容などを
記したもの。規制委は、重大事故対策で用意されているポンプの容量や接続口の形状、想定される地震で設備が損傷しな
いかなどを確認した。ただ、福井地裁が今年4月、「安全性が確保されていない」として、高浜の運転差し止めを命じた仮処
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分を決定しており、裁判で決定を覆さなければ、早期の再稼働は果たせない。高浜3、4号機は平成25年7月に審査を申
請し、今年2月に審査に合格。4号機は現在、工事計画認可申請の補正作業中で、関電は3号機を優先させている。
原発事故対策の設備知る
石川県が説明会、関係者70人に[写真] 北國新聞社 2015年8月4日(火) 14時56分
石川県は4日、北陸電力志賀原発の事故発生時の対策拠点として移転整備した「志賀オフサイトセンター」の説明会を
開いた。原発から30キロ圏内の自治体職員や自衛隊員ら関係者約70人が施設の機能を学んだ。センターは免震構造の
鉄筋コンクリート2階建てで、空気浄化設備や自家発電機を備える。有事には国や県、市町などの合同対策協議会が設置
され、最大240人が作業できる。県や国の担当者が、原子力災害対策本部が設置される首相官邸など関係機関と結ぶテ
レビ会議システムや緊急時モニタリングセンターなどの設備を説明した。
「東芝」の税務調査は知らんぷり!
月6日(木)8時1分配信
国税が寒い百億単位の税金還付!?〈週刊新潮〉
BOOKS&NEWS 矢来町ぐるり 8
泣く子も黙る国税庁でも不正会計事件に揺れる東芝に限っては勝手が違うのだ。下手に調査
したところで得られる税金はない。それどころか、巨額の税金還付の請求が来そうなのだ。我が国で最も怖い?人種、国税
庁の税吏たちが肝を冷やす「真夏の怪談」とは――。「金丸さん、ワリシン(無記名債券)お持ちですよね」
1993年3月、
自民党前副総裁(当時)の金丸信氏は、この一言で脱税容疑を認めてしまう。この時、検察官が乾坤一擲の勝負に出たの
は、東京国税局査察部(マルサ)が調べ上げた決定的証拠があったからだ。絶対に分からないはずの隠し財産まで突き止
める、国税の調査能力がいかに凄いか、まざまざと見せつけた事件でもあった。時代は移って東芝の不正会計事件である。
内部通報から利益の水増しが明らかになり、第三者委員会が入って調査すると、全社ぐるみの不正だったことが露見する。
水増しは約7年間にもわたって続けられ、その額は実に1518億円にものぼった。社会部の記者が言う。「不正会計の責任を
とって、歴代社長3人が役職を辞任しましたが、これで幕引きとはいきません。すでに証券取引等監視委員会(SESC)が調
査に乗り出しており、東芝には数億円~数十億円の課徴金が科されるはずです。また、株主に対する背信行為もけじめが
ついたとは言えない。アメリカでは投資家が訴訟を起こしていますが、第三者委員会で不正が認定されていますから、巨額
の賠償命令が下る可能性が高い。さらには、違法な粉飾決算の可能性もまだ残されており、東京地検が情報を収集してい
ます」
事件の第二ラウンドはまだ始まったばかり。だが、これほど大きな問題なのに、かつて、政界のドンを追い詰めた国
税庁の動きが聞こえてこないのはどうしたことなのか。国税庁の担当記者が言うのだ。「たしかに、今回に限っては国税が調
べに入ったという情報が流れてきません。国税には“専属告発権”というものがあって検察や警察に脱税の情報提供があっ
たとしても、それを告発できる権利は国税にしかない。しかし、不正会計事件では、その宝刀を抜く様子がないのです」
元朝日新聞編集委員で、長く国税庁担当記者だった落合博実(ひろみつ)氏によると、 「一般に国税は調査で不正を知っ
たとしても、それだけで動くことはありません。実際、コクドの堤義明氏が有価証券報告書の虚偽記載で摘発された時も、国
税は以前から事実を把握していたと言われている。しかし、この件を告発したことはありませんでした。税金が取れる事件で
はなかったからです」
落合氏が続ける。「私が90年代に取材した事件でも、東京地検と国税が共同で立件しようとした企
業犯罪がありました。しかし、調査段階で利益を水増しする“粉飾決算”だということが分かると国税はさっさと下りてしまった。
立件したとしても重加算税などで税金を取ることが出来ず、骨折り損になってしまうからです」
あくまでも税金の徴収が第
一。それが国税庁である。だが、これほど滅茶苦茶な会計をやっていれば、申告漏れの一つや二つ、たちどころに出てくる
はず。だが、前出の国税庁担当記者によると、 「そもそも国税は東芝の内情を以前からよく知っていたはず。東芝クラスの
大企業は毎年のように税務調査するからです。担当するのは“リョウチョウ”と呼ばれる東京国税局の資料調査第一課。一
度に全部調べるのは大変ですから、今年はパソコン部門、来年は原子力部門という具合に分けてやってゆく。当然、SESC
や金融庁よりも、東芝の金の流れに詳しくなります」
実を言えば、今回に限って“知らんぷり”をしておきたい事情もそこ
にある。下手に踏み込んでも国税の得るものはないからだ。■「更正の請求」「国税通則法」によると、会社が払った法人税
等が過大だった場合、国税に対して還付を要求出来るとある。これを「更正の請求」と言う。東芝が水増しをした利益の総額
は7年間で1518億円。ここから払った法人税等は約440億円といわれている。元国税調査官で税理士の松嶋洋氏によると、
「仮に不正会計や粉飾決算であっても、税金を納め過ぎたという事実があるのなら、原則としては、国税に対して“更正の
請求”が出来る。ただし、これらの事由に基づく更正の請求は色々と制約があります」
この場合、さすがに国税が自主的
に税を戻してくることはない。あくまで、東芝が経理を修正したうえで、国税に請求する。もちろん、その場合でもおいそれと
は返さない。「粉飾決算などの不正会計で払い過ぎたケースでは、一度に税金が戻されることはありません。大体5年ぐらい
に分割して、年ごとに納税額を減額するという形で還付されるのです。まとめて返してしまうと、粉飾決算がバレても、税金が
戻ってくると企業に思われてしまいますから」(税理士の鈴木修三氏)
ちなみに、東芝が返還請求できる税金は過去5年
分まで。専門家のアドバイスをもとに計算してみると、約360億円を要求できることになる。資産売却などにより銀行の支援獲
得を急ぐ東芝にとってまさに干天の慈雨。一方、国税にしてみれば、不正をやらかした東芝に“追い銭”を払う格好だ。気に
なるのは、東芝の出方である。「過去に不正経理事件を起こした企業はありますが、国税庁に対して“更正の請求”をしない
ケースもある。不祥事への後ろめたさと国税への遠慮があるのでしょう。しかし、株主代表訴訟の恐れもありますから、今回
は請求してくるはずです」(前出の国税庁担当記者)
そこで、同社に聞いてみると、 「現在、第三者委員会の報告書を
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精査しているところであり、払い過ぎの法人税の還付についても検討中です」(広報部)
いわば国税は不正会計のとば
っちりを食ったようなもの。「請求書」がいつ届くのか、背筋の寒い夏が続きそうである。
<柏崎刈羽原発>保安規定違反、規制庁が見逃し
毎日新聞 8月5日(水)20時1分配信
東京電力柏崎刈羽原発
(新潟県)で昨年発覚した機器の点検ミスなど2件の保安規定違反を、原子力規制庁が東電から報告を受けながら見逃し
ていたことが5日分かった。違反の中で最も軽い「監視」に当たるミスだったが、現地事務所が「軽微な事案」と判断し、本庁
に連絡もしていなかった。規制庁によると、東電は2号機中央制御室内にある電圧計3台について、保安規定で「27カ月に
1回」とされている点検の期限が昨年2~3月末で過ぎていたにもかかわらず、同6月中旬に社内調査で発覚するまで点検
を怠っていた。同7月には、1~7号機の2013年度の保守管理を記録した書類を紛失し、コピーで代用していたことが判明
した。書類は今も見つかっていないという。東電はいずれも規制庁の柏崎刈羽原子力事務所に報告したが、同事務所は
「軽微な事案」と判断。今年6月の保安検査で、同事務所から本庁に提出された資料を精査し、見逃しが見つかった。規制
庁は「判断ミスなので改善したい」としている。【酒造唯】
<もんじゅ>不具合の帳票2300枚未処理
保安規定違反
毎日新聞 8月5日(水)13時40分配信
原子力規制委
員会から事実上の運転再開準備禁止命令が出ている高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)で、機器の不具合などを管理
する帳票約2300枚が処理されず放置されていることが5日の規制委の定例会で報告された。規制委は同日、「品質マネジ
メントが適切に機能していなかった」として、保安規定違反と認定した。今回の違反はもんじゅの保安検査で発覚した。この
ほか、原子炉を直接冷却する1次系ナトリウム温度を測定した記録の一部が紛失していることも分かり、保安規定違反よりレ
ベルの低い「監視」と認定した。規制委はどちらも「安全上の影響はない」としている。【酒造唯】
規制委、「凍土壁」を全面認可
東京電力、海側着工へ
福島民友新聞 8月5日(水)13時5分配信
政府と東京電力
が、福島第1原発で増え続ける汚染水対策の切り札とする「凍土遮水壁」について、原子力規制委員会は4日までに、全て
の工区で着工を認可した。東電は近く、未着工だった海側(東側)の一部でも建設に着手し、試験凍結を行っている建屋山
側から海側まで凍らせる範囲を広げたい考えだ。凍土壁工法は、国内では地下鉄工事など一部で取り入れられてきたが、
福島第1原発では前例がない範囲を凍らせるため、技術的な課題を克服できるかが焦点となる。東電は、海側のトレンチ内
の汚染水抜き取りを7月にほぼ完了。規制委が指摘したトレンチ部分の施工方法を見直し、7月31日付で認可が下りた。見
直し後は、埋設する凍結管がトレンチを貫通しないようにしてトレンチ上部の浅い地盤だけを凍らせる。東電は「地下水の流
入量を抑える効果を見極めた上で、トレンチ下部の深い地盤も凍らせるかを検討する」としている。
東芝、不正会計の次は「資本不足」か
ニュース・ソクラ 8月5日(水)10時47分配信
不正な会計処理が明らかになり、
東芝の歴代トップ3氏が引責辞任した。次の焦点は東芝のこれまでの貸借対照表が果たして適切なものだったのか、という
ことになろう。この点に第三者委員会報告書も触れていない。東芝の資産約6兆2400億円のうち、「のれん代」が1兆円余、
短期と長期の繰り延べ税金資産が約4000億円も占めている。これらは現預金や有価証券、不動産などと異なって「実態」の
曖昧な、いわば裁量によって弾き出された資産である。今後、資産査定を厳格化した場合、東芝が資本不足に陥る危険性
が高まる。それが表面化するようなら、メーンバンクの三井住友銀行を中心にした増資引き受けが必要になりかねない。東
芝の第三者委員会が7月20日にまとめた報告書によると、東芝は2009年3月期~15年3月期の第三四半期(08年4月~14
年12月)までの間に税前利益段階で累計1518億円の減額修正の必要があることがわかった。これを受けてアナリストたちの
関心は東芝のバランスシートに集中した。会見場では記者たちの質問が経営陣の認識や作為に集中した半面、アナリスト
たちは「純資産は毀損しないのか」「これまでの、のれん代の資産計上は適切になされたのか」などとバランスシートに関心
の矛先が向かった。東芝は、退職給費債務に関連したものと、繰越欠損金に由来するものの、二種類の繰り延べ税金資産
があり、合計で約4000億円になる。これはもし、資本欠損や債務超過に陥った場合は計上が許されない性質の資産だ。
「チャレンジ」と称して利益をかさ上げしなければならなくなったのは、資本欠損を避ける狙いがあったのかもしれない。さら
に、これとは別に1兆円を超えるのれん代も資産計上されている。のれん代とは、企業をその純資産を上回る金額で買収し
た際に発生し、主に営業権やブランドなど無形の価値を弾き出したものにあたる。この1兆円の中に含まれているのが、東
芝が2006年に買収した原子力関連企業ウエスチングハウスの「のれん代」だ。当時、ゼネラル・エレクトリックや三菱重工業
と競い合った末、東芝は米ショーグループなどとの三社連合で6210億円でウエスチングハウスを買収した。このうち3500億
円がのれん代として計上されている。二つの脆弱資産
福島原発事故が起きる前の2006年当時ならば日米の原発メーカ
ーの合作によって、海外市場に原発を相次いで輸出する楽観的な成長シナリオが描けたであろうが、11年の原発事故以
降はそうした楽観論は陰を潜めている。過大なのれん代を計上しつづけられるほど、ウエスチングハウスに企業価値がある
か疑問視する向きもある。米国会計基準を採用している東芝は、年に1回、減損テストを実施し、帳簿価格よりも正味価値が
低くなっている場合は、その差額を減損しなければならない。いままでのところ「減損は認識していません」としてなされてい
ない。繰り延べ税金資産とのれん代という二つの脆弱な資産が今後、仮に一気に減損されたりした場合、東芝は資本欠損、
最悪の場合は債務超過に陥る可能性がある。場合によっては会社更生法の適用など法的整理を選択肢に考えざるを得な
くなるだろう。メーンバンクの三井住友銀行は東芝の財務状況の悪化に気が気ではないだろう。旧三井銀行系の中核的な
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貸出先の東芝の窮状をみかねて、破綻回避のための資本増強、増資引き受けをするかもしれない。キーマンは旧三井銀
行出身のエース車谷副頭取あたりであろうか。しばらくは漂流する東芝の行方が経済報道のメーンとなるだろう。
堕ちた巨艦・東芝、解体のXデー
主力事業分社化の観測広まる
Business Journal 8月5日(水)6時2分配信
歴代
3社長が不適切な会計処理に関わってきたことが明らかになった東芝。社長経験者のみならず、現役取締役の大半が退任
するなど、経営体制の大幅な刷新に着手した。上場廃止はひとまず逃れられそうだが、分社化や事業売却など「解体論」が
いよいよ現実味を帯びてきた。市場や電機業界内では、東芝は半導体部門を分社化するとの見方が強まっている。原子力
発電所関連事業を中心としたインフラ企業として存続し、他事業を手放すという観測だ。東芝にとって半導体事業は、まさ
に屋台骨だ。昨年9月には三重県四日市市でNAND型フラッシュメモリ製造工場の新棟が稼働。不適切会計が明るみに出
る前に公表した2015年3月期連結決算予想では、同事業を中心とする電子デバイス部門の営業利益は2260億円と、全社
営業利益の約7割に達する。一般的には「東芝=原発企業」というイメージが強いが、市場筋の間では「半導体の会社」とい
う認識も強い。なかでも東芝のNAND型フラッシュメモリは競争力が高い。生産改善とウエハ上の回路線幅を細くして記憶
容量を高める「微細化」技術と生産合理化で、世界を牽引。全量を国内で生産しながら、08年秋のリーマンショック以降の
円高環境下でも韓国サムスン電子と世界首位をめぐりつばぜり合いを演じ続けた。16年3月期は、半導体事業の存在感は
さらに高まるはずだった。スマートフォンなどに搭載されるNAND型フラッシュメモリが堅調さを維持していることに加え、赤字
に苦しんできたシステムLSIもようやく黒字化が見えてきていたからだ。こうした中、露見した不適切会計により、いくら屋台骨
とはいえ半導体の事業計画の修正は免れないだろう。最大の懸念は、財務状態の悪化によって半導体事業への投資負担
が重くなることだろう。「今後も半導体関連事業で、毎年2000億円規模の設備投資を継続的に行っていく」と田中久雄前社
長は語っていたが、半導体、特にメモリ産業は巨額投資が必要な産業だ。工場を新設すれば最低でも5000億円前後は要
する。そうしたなかで、競合の裏をかいて投資を行い一気に増産体制を敷いて供給量を増やすビジネスモデルだけに、博
打の側面が強い。財務基盤が厚くなければ事業存続が難しい。「いくら微細化で先行しているとはいえ、最新式の製造装
置や量産装置など、現状の投資規模は世界首位を争うには絶対必要」(電機セクタの証券アナリスト)●米国企業や経産
省の動き
では、財務の悪化を背景に、一部で報じられているように半導体の分社化や売却は始まるのか。「半導体の中
でも、自動車や家電などに使われる複数のチップをひとつにしたシステムLSIは、すでにリストラの俎上に載っている可能性
が高い」(業界筋)
これまで東芝のシステムLSIは赤字に苦しんできており、ルネサス エレクトロニクスなどとの統合話や
外資への工場売却が浮かんでは消えた。東芝関係者は「これまでは、統合するにしても東芝が主導権を握りたかったり、売
却が折り合わなかったり条件が合わなかった。今回の不祥事による財務悪化で、そんなことを言っている段階ではなくなっ
た。すでに米国の複数の半導体会社が関心を示していると聞く」と、事業切り離しの再加速は待ったなしのようだ。最大の
関心は、NAND型フラッシュメモリの行方だろう。経済産業省の中には半導体事業をまるごと分社化して、段階的にルネサス
エレクトロニクスとの統合を模索する動きもあるという。ただ、前述のように、東芝としてはNANDを手放せば大きな収益の柱
を失う。「東芝のNANDは世界的に見ても技術優位性は高いが、原発技術は特に優れているわけではない」(アナリスト)。
田中氏の後任として新社長に就任した室町正志氏は半導体畑出身。利益を稼ぎだしながらも、社内では重電部門や家電
部門に比べて一段落低く見られていた経緯があり、半導体への思いはひとしおだ。原発などインフラ部門とNANDを残して
成長投資するためにも、システムLSIや家電など収益性の低い部門を売り払う――。大胆さには欠けるが、これが現実的な
「解体」策といえるのかもしれない。(文=黒羽米雄/金融ジャーナリスト)
高浜原発3号機「11月再稼働」
運転差し止め仮処分で先行き不透明(福井新聞2015年8月5日午後9時43分)
関西
電力は5日、高浜原発3号機(福井県)の再稼働へ向け、現地で機器や設備の性能を確認する「使用前検査」を原子力規
制委員会に申請した。再稼働前の最終段階の手続きに当たる。11月上旬に原子炉を起動して再稼働し、営業運転開始は
12月上旬と想定した。ただ、福井地裁から4月に再稼働差し止めを命じる仮処分決定を受けているため、処分が覆らない
限り起動は行わない方針。使用前検査の申請は、九州電力川内(せんだい)原発に続き新規制基準の施行後2例目。工程
では、検査期間は8月17日から12月上旬までとし、10月中旬に原子炉へ燃料を入れる。検査期間は、審査が先行する川
内原発や工事の進み具合などを勘案し、「最も順調にいった場合」(関電)として示した。検査は、原子力規制庁が4日に認
可を受けた工事計画で定められた410設備について、原子炉を動かす準備と平行して行う。工程上、全検査を受けるため
には原子炉を起動させる必要があるが、仮処分決定に抵触すると判断し、起動を伴う検査は受けない。燃料装荷も含め、
実際の検査をどこまで実施してもらうかについて関電は「工事の進み具合や許認可、司法判断、地元理解を総合的に判断
して決めていきたい」と明言を避けた。使用前検査とは別に、関電は事業者として工事計画に適合した工事が行われている
かを確認する検査を行わなければならず「準備が整い次第、週内にも開始していきたい」と述べた。再稼働差し止めの仮処
分が出ているのにもかかわらず、再稼働を想定した使用前検査を申請した点について関電は「工事計画一つにつき1回で
まとめて申請するのが、規制庁の内規で定められている」と説明。実際の検査の進み具合などに応じて、変更申請する。3
号機の再稼働には保安規定の認可を受ける必要があるほか、3、4号機で共有する設備のうち4号機側に分類した設備の
使用前検査も終える必要がある。
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原発廃炉中も自治体の財政支援検討
経産省、電源交付金終了の影響緩和(福井新聞2015年8月5日午前7時10分)
経済産業省が2016年度予算の概算要求に向け、廃炉となる古い原発を抱える立地自治体を対象に、廃炉作業中も一
定期間にわたって電源3法交付金に代わる財政支援を行う方向で検討していることが4日分かった。廃炉を抱える立地市
町がエネルギーの構造転換に向けた取り組みを行う場合の支援も考える。福井県では、運転40年を超える日本原電敦賀
原発1号機、関西電力美浜1、2号機の電気事業法に基づく廃炉が4月に決まったため、来年度から3基分の電源3法交付
金が配分されなくなる。県は「廃炉と運転は一体のもの」と主張し、交付金の適用期間を完全撤去まで延長するよう国に求
めていた。経産省資源エネルギー庁によると、検討している廃炉期間中の支援は「(これまで交付金を受けてきた)立地地
域に与える影響を緩和するためのもの」(電力基盤整備課)で、期限を区切った激変緩和措置のような仕組みを考えており、
電源3法交付金とは別の枠組みになるという。立地市町のエネルギー構造転換に向けた支援は「再生可能エネルギー、省
エネを絡めた地域振興や人材育成など、原発だけに頼らない対応を支援できる仕組みを考えたい」としている。また、今後
の再稼働で原発内にある使用済み核燃料の貯蔵プールが逼迫(ひっぱく)する問題を踏まえ、電力事業者が貯蔵能力を
拡大する場合に、自治体が容認しやすくなるよう、交付金の算定見直しなどの措置を講じる考えだ。一方、交付金で現在、
停止中の原発も稼働しているとみなして配分する「みなし規定」について、全国一律で稼働率81%を前提にしてきた交付
方式を改め、再稼働した原発のある自治体と、停止が続く自治体で配分に差をつけることを検討している。同課は「(廃炉
期間中の財政支援などを導入すると)財政的なバランスを取らざるを得ず、みなし稼働率を7割程度に引き下げることも考え
る必要がある」としている。これらの支援策の案について、経産省は7月末に開かれた自民党の原子力政策・需給問題等調
査会で説明した。
県などが島根原発へ立ち入り調査
虚偽記録作成問題
島根県と松江市は6日、水量計測器に関する虚偽記録作成が
発覚した中国電力島根原発(同市)を立ち入り調査した。立ち入り調査には県職員ら計18人が参加。島根原発の北野立夫
所長は調査に当たる県職員らに対し「第三者による客観的調査態勢を構築し、調査、検証を進めている。これからもしっか
りと対応していく」と述べた。職員側は2010年に判明した点検漏れのケースと同様、社内の「報告する文化」の不足が根本
原因ではないかと指摘した。これに対し中国電側は「検証が確定してから後日報告したい」と述べるにとどめた。2015/08/0
6 12:16
【共同通信】
広島70回目「原爆の日」
首相、核廃絶へ新たな国連決議案
日経新聞 2015/8/6 8:38
広島は6日、70回目の「原
爆の日」を迎えた。広島市中区の平和記念公園では「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」(平和記念式典)が開かれ、被爆
者や遺族、安倍晋三首相らが参加した。米国からは2年連続となるケネディ駐日大使に加え、軍縮問題を担当するガテマ
ラー国務次官が政府高官として初めて参列した。節目の年を迎え、被爆者の平均年齢は初めて80歳を超えた。広島市の
松井一実市長は平和宣言で、被爆によって日本人だけでなくアジアの人々や米軍の捕虜も死亡したことを指摘。核兵器の
廃絶について「自らの問題として真剣に考えてください」と世界に訴えた。日本政府には、広島を議論と発信の場とすること
を提案した。また2016年の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に先立つ外相会合が広島で開かれることに触れ、各国の為
政者に被爆地を訪れてほしいと要望。「核兵器禁止条約を含む法的枠組みの議論を始めなければいけないという確信に
つながるはず」と強調した。安倍首相はあいさつで「我が国は唯一の戦争被爆国として、『核兵器のない世界』を実現する
重要な使命がある」と強調。今秋の国連総会で新たな核兵器廃絶決議案を提出する考えを表明した。8月末から来年にか
けて広島で開かれる国際会議を通じて国際社会に力強く発信すると話した。原爆投下時刻の午前8時15分には平和の鐘
が鳴らされ、参列者が黙とうをささげた。慰霊碑にはこの1年に死亡、または死亡が確認された5359人の名簿が納められ、
広島の原爆死没者は29万7684人となった。式典には過去最多の100カ国と欧州連合(EU)の代表者が出席。核保有国で
は米国のケネディ大使のほか、英国、フランス、ロシアの代表者が参列した。中国は欠席した。
東北・東京間連系線、1120万kWに増強へ-広域機関が新ルート案
電気新聞 2015/08/06
NEW
電力広域的運
営推進機関(広域機関)は、東北電力エリアと東京電力エリアを結ぶ連系線を太平洋側に新設し、東北から東京向けの運
用容量を現在の500万キロワットから1120万キロワットに増強する方向で検討を進める。工事費は1390億円以上になる
見込み。既設の相馬双葉幹線の空き容量は2019年度以降はゼロになるが、計500万キロワット以上の電源が同区間の連
系線利用を希望しており、新ルート建設が不可避となっている。広域機関は9月にも基本要件を定めた後、他の事業者から
も案を募集する。広域機関がこのほど開催した「広域系統整備委員会」(委員長=古城誠・上智大学教授)で検討の方向
性を決めた。新設する送電線は約60キロメートル。東北電力西仙台変電所と南相馬変電所の間に新たに設ける50万V開
閉所を起点に南下し、東京電力福島第一原子力発電所から延びる福島幹線に接続する。
CNPCとシノペックが10月からイラン原油採掘事業を再開へ (15/08/03)2015/08/05
ロイターは匿名消息筋からの
情報として、中国石油化工(SINOPEC)と中国石油天然ガス集団(CNPC)が10月頃よりイラン南西部の2ヵ所の油田において
総計16万BDの石油採掘を行うと報道した。SINOPECはYadavaran油田第1フェーズ開発において8.5万BDの採掘を行ない、
CNPCもNorth Azadegan油田において採掘を開始する。中国は2010年末以降、米国を初めとする諸大国からの制裁を避
けるため、イランにおけるエネルギー事業の関連作業を凍結していた。(中国能源網 8月3日)
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国家能源局が太陽熱発電の推進に4項目の措置 (15/08/03)2015/08/05
国家能源局は計画指導、実証事業、
電力価格等の支援政策及び重点技術研究の4つの側面で太陽熱発電を強力に推進することになる。国家能源局の劉副
局長によると、4項目の措置とは次のようになる。(1) 太陽熱発電の資源調査と評価を引き続き推進し、太陽熱発電第13次5
ヵ年規画を適正に立案して、指導的な発展目標を提示し、産業発展に対する信頼を深める。(2) 一群の実証事業を速やか
に始動し、産業の大規模な発展のため基盤を固める。(3) 関連支援政策の策定に取り組み、特に実証事業の電力価格政
策の策定を急ぐ。(4) 太陽熱発電のキーテクノロジーに焦点を当て、各種リソースを統合してその重点研究をすすめ、太陽
熱発電技術をめぐる国際競争において機先を制するよう努める。(人民網 8月1日)
「中国価格」を確立しグローバル市場天然ガス市場で発言権を強化せよ (15/07/31)2015/08/05
上海石油天然ガ
ス取引センターにおいてパイプラインガスやLNG等の銘柄の取引が始まった。取引規模の急速な拡大を促すとともに、天
然ガスグローバル市場における中国の発言権の増強にとっても有利である。中国の第2四半期の天然ガス生産量の伸び率
はわずか0.5%であり、2015年1~5月の天然ガス輸入量も前年同期比6.4%増に止まった。伸び率が二桁にならなかったの
は珍しいことであり、国内の天然ガス需要の軟調を意味している。中国は4月に「存量ガス」(2012年の実際の 使用量)と
「増量ガス」(2012年の実際使用量からの増加分)価格を一本化して天然ガス価格決定方法を合理的なものにしたが、下半
期は天然ガス価格の引き下げも実施されることになり、そうなれば、原油価格の大幅下落によって抑制されていた天然ガス
需要も回復することになる。加えて、各地の大気汚染対策も絶えず強化されており、クリーン・エネルギーとしての天然ガス
の優位が需要増を後押しすることになる。7月に上海石油天然ガス取引センターにおいてパイプラインガスやLNGの取引が
始まった。同センターの運営が順調に進むと、価格形成の上で機能を発揮し、国内天然ガス価格は市場の需給関係を通
して確定されることになる。一方、天然ガスグローバル市場における中国の発言権の増強にもつながり、「中国価格」によっ
て天然ガスグローバル市場に影響を及ぼすことになる。(新浪財経 7月31日)
発展改革委員会が天然ガス価格引下げについてCNPC等と協議 (15/07/31)2015/08/05
国際エネルギー価格が
過去1年間で大幅に下落し、企業の収益悪化が続き、天然ガスの生存空間は目に見えて縮小している。中国石油化工(SIN
OPEC)の専門家が明らかにしたところによると、国家発展改革委員会は天然ガス価格引下げについて検討を進めており、
非民生用天然ガス価格の下限価格を0.4~1元/m3引き下げることになる。発展改革委員会は目下中国石油天然ガス集団
(CNPC)等の石油企業と協議している。しかしながら、天然ガス価格引き下げは、環境保護、安定成長、企業の収益やエネ
ルギー構造の調整など様々な要請の間でバランスを取ることが難しく、そのため価格引き下げを短期間で確定することは難
しい。中国能源網の韓暁平首席情報官によると、現行の天然ガス価格は余りにも高いため、競争力が急激に低下しており、
直ちに値下げを行わなければ多くの市場を失うことになる。当面の天然ガス改革の方向性として、天然ガス価格を代替エネ
ルギー価格と連動させることになるが、石油価格と石炭価格の低迷もあって、業界では天然ガス価格引き下げの風聞が広
まっている。今年4月1日、中国の天然ガス価格が一本化され、天然ガス価格は初めて大幅に引き下げられたが、「それでも
まだ高すぎる」と韓暁平氏は言う。国内天然ガス価格は輸入LNGに比べてもなお高く、市場は急激に縮小し、多くの地方で
は「逆代替」現象が発生している。代替エネルギーは「白菜並みの価格」競争に入り、その一方で天然ガスの供給過剰傾向
がますます強まっている。中商情報網によると、2015年上半期の中国の天然ガス生産量は656億m3、前年同期比3.8%増
になり、天然ガス輸入量は293億m3、3.5%増になったが、一方、天然ガス消費量は906億m3、2.1%増に止まった。国家発
展改革委員会能源研究所の田智宇副研究員によると、数年前に多くの企業が天然ガス需要増を見越して大規模な事業
投資を行ない、地方政府も天然ガス消費を促進したが、今は生産能力の増加スピードが消費量の増加スピードを上回って
いる。また、中国経済の成長鈍化のため、2001~2010年に年平均15%に上っていた天然ガス消費の伸び率は今では10%
以下に下がっている。ゴールドマンサックスは、2015年下半期の天然ガス価格を3.3ドル/MMBTU、2016年を3.5ドル/MMB
TUと予想していたが、今週になって2.75ドル/MMBTUと3ドル/MMBTUに下方修正した。「天然ガス価格の引き下げは完全
に可能だが、当面の引き下げはだぶついている生産量と輸入量を消化するためだ」と田智宇氏は分析し、需給が再び平衡
すると天然ガス価格は再び引き上げられることになるとの予想を示す。業界関係者によると、経済下振れ圧力が強まり、企
業収益の悪化が続く中で、経済所管部門は天然ガス価格の引き下げを求めている。同時に価格引き下げを支持する声は
環境保護分野からも来ている。なぜなら天然ガスは炭素排出が石炭の半分程度であり、相対的にクリーンなエネルギーと
見なされているからである。韓暁平氏によると、天然ガス価格の高止まりは誤ったシグナルを発している。天然ガスは稼動か
ら使用まで少なくとも3年以上を要し、当面の高い価格のため市場が天然ガスの使用を断念することになれば、天然ガスは
長期的に競争力を失うことになる。中国は過去数年間において、ロシアやカタール等と大規模な天然ガス契約を結んだが、
韓暁平氏は「契約価格は余りにも高すぎた」と言う。報道によると、2015年に入ってから国際天然ガス価格は暴落し、中露
両企業間に中露ガスパイプライン西線の天然ガス価格をめぐって大きな隔たりが生じ、同事業が先延ばしになっているとの
ことである。CNPCの天然ガス担当者によると、今なお価格交渉が続けられているが、西線の契約調印と着工がいつになる
のかは未だ確定していない。「当面やるべきことは相手方と改めて交渉を進めることだ。問題を解決するには市場を確保し
需要を増やすしかないことを理解する必要がある」と韓暁平氏は言う。韓暁平氏の説は中国企業にも当てはまる。中国の天
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然ガス価格が高いもう一つの原因には中間コストが高すぎることもあり、その原因は天然ガスの市場化の程度が低いことに
ある。天然ガスの輸送と配送プロセスは自然独占の性格が強く、パイプラインの建設と運営は少数の企業が独占している。
コストの計算は難しく、天然ガス価格引き下げに対する抵抗力は依然軽視できない。(新浪財経 7月31日)
一部の石炭液化事業に継続困難の局面 (15/07/31)2015/08/05
石炭液化は石炭を主要原料として、ガソリン、軽
油、灯油等の燃料油を生産するものである。石炭をわざわざ石油に変えなければならない所以は、根本的に石炭が豊かで
石油が乏しい中国のエネルギー構造がエネルギー需要に適応できないためである。近年、山西や内蒙古などで石炭液化
実証事業は大きな進展を遂げたが、記者の取材から、現在一部の石炭液化事業が継続困難の局面にあることが分かった。
石炭液化のコスト構成を仔細に分析すると、生産・操業コストが半分を占め、残りの半分は各種税金が占めていることが分
かる。油価が高い時期には石炭液化事業は利益を出すことが出来るが、国際油価の持続的低迷に伴い、石炭液化の収益
の余地はますます小さくなっている。幸いにも石炭価格も低い水準で推移しているため、関係企業は赤字には陥っていな
い。企業が石炭液化の研究開発に投資を行って、技術的にエネルギー転化率を高め、石炭化学工業の循環経済を実現し、
環境キャパシティの厳しい要求に適応するのはあくまで利益が確保された上でのことである。石炭液化事業は科学研究を
実証する使命を負い、エネルギーセキュリティを確保するという戦略的意義を有している。長期的観点から、科学技術サポ
ート、人材育成、仕組みの完備、課税政策といった面で「優遇措置」を適用して、石炭液化事業の拡大と成長を助けるべき
である。(中国国際入札網 7月31日)
中国の大中型石炭企業のうち7割以上が赤字 (15/07/31)2015/08/05
中国政府の7月30日の発表によると、大中
型石炭企業のうち赤字企業の比率は70%以上に達している。また、今年1~6月の石炭企業の利益は200.5億元で、2012
年上半期のわずか10.5%に過ぎなかった。石炭産業の深刻な問題を解決するため、国家発展改革委員会など12部門は先
日通達を出し、違法な建設と生産を行う炭鉱に対して合同で懲戒を実施し、炭鉱の生産秩序を正し、石炭産業の健全な発
展と需給の平衡を促進するよう求めた。下半期の石炭産業動向については、中国煤炭工業協会政策研究室の郭中華副
主任は次のように表明した。非化石エネルギーの急成長によって、通年の発電用石炭消費量は前年に比べ8,000万トン以
上、4%前後の減少になる。同時に経済構造の調整と環境保護対策の強化に伴い、鉄鋼と建材産業の石炭消費量はそれ
ぞれ前年比1%前後下がり、通年の石炭消費量も若干低下する公算である。(新浪財経 7月31日)
石炭規制政策によって2020年には2,000億元超の総合収益 (15/07/28)2015/08/05
中国が石炭規制政策を実
施した場合、収益はどのようになるのだろうか。清華大学能源環境経済研究所がまとめた《石炭消費総量規制目標の協同
効果》と題するレポートによると、石炭消費規制政策は水資源、環境、市民の健康、エネルギー転換、雇用や石炭産業の
面で総合収益性が顕著であり、総収益は2020年に2,514億元に達し、2030年には1兆1,462億元、2050年には2兆1,126億
元に達する。なお、同レポートは国際環境保護機関の天然資源防衛評議会 (NRDC) と世界自然基金(WWF)の助成を受
けた。レポートによると、近年石炭の転化において水使用量が急増しており、2030年には現在の水準を61.7%上回る1,048
億m3に達すると予想される。しかし、石炭規制政策を採用すると、石炭産業の水消費量を869億m3以内に抑えることが可
能になり、しかも2020年をピークとして現在の水消費量を27.8%節減することになる。さらに中国が石炭規制に加え、節水
技術と節水措置のさらなる普及を進めた場合、2020年のピークの水消費量を720.8億m3に引き下げることも期待できる。W
WF中国気候エネルギー事業総監の盧倫燕氏によると、石炭消費の規制は水資源と生態系の保護や大気環境の改善に
有効であり、市民の健康を改善し、環境水準を高めることにもつながる。石炭規制政策によって北京・天津・河北のPM2.5
濃度を14%引き下げると期待され、全国の大気環境の著しい改善にもつながる。清華大学のレポートは、石炭規制政策に
よって全国のPM2.5年平均濃度は27.36ミクロン/m3から25.11ミクロン/m3に下がると指摘している。市民の健康に関しても、
大気の質的向上によって慢性閉塞性肺疾患、虚血性心疾患、脳卒中や肺癌の罹患率を効果的に引き下げることになる。
NRDCのエネルギー・環境・気候変動担当上級顧問である楊富強氏も、石炭規制政策は環境と社会収益をもたらすのみな
らず、中長期的な投資の方向性を誘導し、クリーン・エネルギーの発展を基礎に新たな雇用機会も生むと表明し、中国のエ
ネルギー転換の重要政策の一つになると指摘した。(煤炭網 7月28日)
[世界] OECD事務総長、途上国における石炭火力への投資に警告
電事連2015年8月5日アンヘル・グリアOECD事務
総長は、2015 年7 月3 日、LSE(London School of Economics)およびAviva Investors 共催の講演で、今も勢いの衰え
ない石炭火力発電所への投資に対して、「石炭火力発電は、後の環境コストを考えれば決して安くはない。各国政府は石
炭火力発電所への投資が国民に良い結果をもたらすかどうか真剣に考えるべきである」と述べた。また、同局長はOECD
加盟国に対し、「途上国において、石炭火力発電のコストが再エネをはじめとする他の電源と比べて最も安いと判断された
ならば、先進国がそのコスト差を埋めるよう財政支援を行うべき」とも述べた。また同日、OECDとIEA は共同で「低炭素への
移行のための政策調整(Aligning Policies for a Low-carbonTransition)」を発表し、世界のエネルギー投資の3分の2が依
然として化石燃料につぎ込まれており、2℃シナリオ(地球温暖化を産業革命前に比べて2 度以下に抑制するシナリオ)か
ら大きく外れていることを示した。
[インド] カルパッカムの高速増殖炉が2015 年9 月に臨界予定
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電事連2015年8月5日2015 年7 月8 日付の報道に
よると、インド原子力庁傘下の公営企業であるバラティヤ・ナビキヤ・ビデュト・ニガム社は、カルパッカムの高速増殖炉(出
力:50 万kW)が2015 年9 月に臨界予定であると発表した。高速増殖炉の建設は完了し、設備には給電されており、同社
は「ナトリウム充填、燃料装荷および臨界後に営業運転するため、原子力規制局からの許可を待っている」と表明した。
[ミャンマー・バングラデシュ・インド] 天然ガスパイプライン協議を開催
電事連2015年8月5日ミャンマー政府は2015 年7
月6 日、ミャンマーとバングラデシュ、インドの3 国を結ぶガスパイプラインプロジェクト(Myanmar-Bangladesh-India(MBI)
Pipeline Project)について、今月中に政府間協議を行うと発表した。このプロジェクトは、ミャンマー南部の沖合にあるShwe
ガス田からインドに天然ガスを供給するため、ガス田の精製施設があるSittwe からバングラデシュ経由でインド東部のKol
kata 市に至るパイプライン(全長900km)を敷設するものである。政府間協議では、プロジェクトの費用分担のほか、天然ガ
スの供給量や取引価格(バングラデシュに支払う中継料金を含む)などが話し合われる。
米国:アメレン社がキャラウェイ2号機増設計画のCOL申請取り下げへ
原産新聞2015年8月5日call
米国のアメレン
社がミズーリ州キャラウェイ原子力発電所(=写真)における2号機増設計画の建設・運転一括認可(COL)取得を断念した
ことが、7月31日付けの同社の2015年第2四半期決算報告で明らかになった。この中で同社は、COL取得の努力を非継
続とするための損失引当金について言及。2015年の最初の6か月間と第2四半期中に、COL申請の取り下げにともなう特
別損失で継続事業の純利益が4,300万ドル減少したことを明記している。同社は2008年、フランス電力(EDF)が出資す
るユニスター社と提携して仏アレバ社製・欧州加圧水型炉(EPR)の建設を想定したCOLを米原子力規制委員会(NRC)
に申請した。しかし、翌2009年には「新たな州法により建設中利子の回収目処が立たない」として審査の一時中断を要請。
これを受けてNRCはキャラウェイ2号機計画のCOL審査活動を停止していた。現地の報道によると、子会社であるアメレン
・ミズーリ社のM.モーン社長は今回の判断の理由について、発電設備の長期的な必要性に関する評価や代替発電技術
のコスト低下、ミズーリ州の規制枠組を挙げるとともに、ベンダーによる許認可手続の支援状況が変化したことを指摘。アレ
バ社が昨年の決算で48億ユーロの年間損失を計上し、2月に米国仕様のEPRに関する設計認証(DC)で審査活動の一
時停止をNRCに要請したことを示唆した。同社長はまた、親会社のアメレン社は最先端の原子力技術開発を含めたクリー
ン・エネルギー源への投資を引き続き行う考えであり、電源多様化の努力は継続すると述べた模様。アメレン・ミズーリ社は
現在、ウェスチングハウス(WH)社と組んで、WH社製・小型モジュール炉(SMR)の初号機をキャラウェイ原子力発電所敷
地内に建設する計画を進めている。
オルキルオト3号機建設計画の遅延による賠償調停で、事業者とサプライヤーが請求額を改定
原産新聞2015年8月5日
フィンランドのオルキルオト原子力発電所で3号機(OL3)を増設中のティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は8月3日、同
計画の遅延により被った追加費用を巡り国際商工会議所(ICC)の仲裁裁判所に申し立てていたサプライヤーへの賠償請
求額を7月末付けで26億ユーロ(約3,500億円)に改定したと発表した。OL3で通常運転の開始が可能になる最新日程
である2018年12月までに被るコストと損失を計算したもので、昨年10月の請求額から3億ユーロの増額になったと説明し
ている。一方、TVOによると、同建設工事を請け負った仏アレバ社と独シーメンス社の企業連合がTVOに対して請求して
いる額は、34億ユーロ(約4,600億円)と昨年11月時から変わっていない。ただし34億ユーロのうち、TVOがアレバ社ら
との契約に基づいて支払うべき未払い金と7月末までの支払遅延利息は14億ユーロで2億ユーロ増えたのに対し、同企業
連合が被ったとする損益は1,000万ユーロ減の1億4,000万ユーロに留まった。こうした状況からTVOは、この調停手続
はさらに数年を要するとともに、請求額も再び改定される可能性があると指摘している。世界で初めてアレバ社製・欧州加
圧水型炉(EPR)を採用したOL3の建設工事は2005年に開始され、当初の完成予定年は2009年だった。しかし、フィン
ランドとフランスの許認可方式の違いによりコンクリート打設や機器の製造に遅れが生じ、特にフィンランド放射線・原子力
安全庁(STUK)による計測制御(I&C)系の検証作業は長期化した。これに伴い、約30億ユーロという固定価格のターン
キー契約だった総工費は倍以上に膨らんだと言われており、TVOは追加経費の支払いを拒否。このため企業連合側が20
08年に仲裁要請をICCに行っていた。
電中研
世界最高レベルの加振性能を持つ共振振動台を公開
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原産新聞2015年8月
電力中央研究所(電中研)は8月4日、日立製作所と共同で
開発し千葉県我孫子地区の同研究所内に設置した大型振動試験設備「共振振動台」
のデモンストレーションを報道陣に公開した。バルブなど原子力重要機器の振動実験を
行い、耐震安全性確認に利用していく。同設備は、電中研が考案した二重ばね別置き
方式による基礎反力を利用することで振動の加速度を増幅させ、世界最高レベルとなる20G(重力加速度)での加振性能
を実現した。従来の試験設備の上限であった10Gを大幅に上回り、極めて過酷な条件下での原子力施設用重要機器の耐
震安全性評価が可能となった。最大搭載重量は10トンで、テーブルサイズは2.0メートル×1.8メートル。酒井理哉電力
中央研究所地球工学研究所地震工学領域(構造信頼性グループ)主任研究員は、「今まで10Gまでしか実験できなかっ
たが20Gの条件での安全性も確認できるようになり、PRA(確率論的リスク評価)に取り入れていく」と語った。なお、振動台
の基礎に振動低減装置(セミアクティブマスダンパー)を2基併設し、振動台と逆の位相の振動を発生させることで設備周辺
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への地面振動を抑制し、近隣の環境にも配慮した設計となっている。
ロシア:ベトナム初の原子力発電所建設計画で第1段階を実行する枠組協定締結
原産新聞2015年8月4日
ロシアの
原子力総合企業ロスアトム社は8月3日、ベトナム初の原子力発電所となるニン・トゥアン省フォック・ディン村の第1発電所
計画で建設工事の第1段階を実行に移すため、同社のエンジニアリング子会社であるASE-NIAEP社がベトナム電力公
社(EVN)と一般枠組協定(GFA)を締結したと発表した(=写真)。同プロジェクトに関する両国共同作業グループの第1
回会合が7月30日にハノイで開催されたのに合わせ、ロスアトム社とベトナム商工省代表の立ち合いの下でNIAEP社の上
級副総裁とEVNの副総裁が調印したもの。今後の進め方に関する詳細は明らかにしていないが、ASE-NIAEP社は第
1発電所の建設に向けた最も重要なステップの1つと明言した。また、ロシアとベトナムの関係者はともに、国際的な安全要
件や品質要件すべてを満たした第1発電所は、ベトナムにおいて最も効率的な発電施設になると確信していると強調。出
力120万kWのロシア型PWR(VVER)シリーズ「AES-2006」を2基建設するという同プロジェクトが具体的に動き出すこ
とを示唆している。ベトナムでは石炭、天然ガス、石油といった化石燃料資源に恵まれているものの、2020年以降はエネル
ギー輸入国に転じるとの需給見通しがあり、同国の首相は2006年に、200万kW以上の原子力発電設備を2020年までに
導入し、国内資源と組み合わせて利用する必要があるとの基本方針を承認した。2008年には、南部ニン・トゥアン省のフォ
ック・ディンを第1サイト、ビン・ハイを第2サイトとしてそれぞれ原子炉を2基ずつ、2020年以降の運転開始を目指す計画を
政府が決定。ベトナムは2010年に第1サイトの建設パートナーをロシア、第2サイトは日本を選定した。ロシア政府は第1発
電所をターンキー契約で建設するにあたり、国家融資の提供を約束しており、2011年に両国は融資契約に調印していた。
しかし、耐震性など安全性への懸念や関連法整備と人材育成の遅れなどにより、2014年に着工して2020年に1号機、20
21年に2号機を稼働させるという第1発電所計画は大きく遅延。グエン・タン・ズン首相は2014年1月、第1発電所の着工を
2020年頃に延期する可能性に言及しており、日本が担当する第2発電所のスケジュールにも影響が出ると見られている。
英規制当局:UK-ABWRの設計認証審査スケジュールを調整
原産新聞2015年8月4日
英国原子力規制局(ONR)
は7月31日、日立GE社の要請により、同社製UK-ABWRの包括的設計審査(GDA)の日程を当初計画から若干調整
すると発表した。GDAは英国の原子炉新設計画で建設候補となっている設計の認証審査に相当し、全4ステップにわたる。
UK-ABWRについては総合的な評価作業である第3ステップの審査が昨年夏から進行中。2017年12月にはすべての
審査を終えて最終的な設計容認確認書(DAC)を取得するという日程に変更はなく、8月末までの予定だった第3ステップ
期間を10月末まで延長する一方、その分、第4ステップ期間を短縮することになると説明した。ONRは今年6月、DACの
発給において必ず解決する必要がある規制上の重要課題(RI)をUK-ABWR設計について初めて提起。通常運転時に
おける核分裂生成物の挙動と放出量、および種類に関するものだったが、7月中旬には2件目のRIを同設計の確率論的
安全解析(PSA)に関して提起した。審査日程の調整は、これらの課題について綿密な対応を取るためのものと見られてい
る。日立GE社は2012年に買収したホライズン社を通じて、英国西部のウィルファとオールドベリーの2サイトで少なくとも合
計540万kWの原子力発電設備建設を計画。採用予定の130万kW級ABWRについて、安全セキュリティと環境保全、放
射性廃棄物管理の面から英国の規制基準に準拠しているかの審査を受けている。
自然エネルギーが未来を拓く―自然エネルギー電力・熱で世界をリードするアジア 2015年8月6日
REN21事務局「REN2
1—21世紀のための自然エネルギー政策ネットワーク)は、6月に『自然エネルギー世界白書2015年版』を発表した。白書は、
2014年が自然エネルギーにとって記念すべき年であったことを改めて示すものとなった。まず、自然エネルギーの大躍進
により、過去40年で初めて、経済成長を続けながら、CO2の排出量を横ばいに転じることができた。世界の発電容量の純増
分59%を自然エネルギー電力が占め、いくつかの国々ではそれよりもはるかに高い割合で自然エネルギー電力の増加が
記録された。そして、世界の発電容量における自然エネルギー比率は、年末時点で推定27.7%に達した。これは、世界の
電力需要の推定22.8%を自然エネルギー電力が供給したことになる数値だ。自然エネルギーは、年間で135GW(1億3千5
百万kW)が新設され、世界全体で合計1,712 GW(17億1千2百万kW)、前年比8.5%増という結果になった。過去10年間、
特に太陽光発電は、驚異的な速度で成長した。2004年には発電容量2.6 GW(2.6百万kW)だったものが、2014年には177
GW(1億7千7百万kW)と、68倍も増加した。風力発電も、2004年の48 GW(48百万kW)から2014年の370 GW(3億7千万k
W)へと、ほぼ8倍という大きな伸びを見せた。2014年の太陽光発電設備への年間投資額の国別トップ3に名を連ねたのは、
上から順に、中国、日本、米国だ。日本は推定9.7GWの太陽光発電を新設し、国内の太陽光発電総容量を23.3 GW(23.3
百万kW)に押し上げた。風力発電については、世界全体で51 GW(51百万kW)以上、前年比44%増の追加容量が記録さ
れた。なお、この追加容量のうち45%が中国における新設容量である。また、アジアは現在7年連続で風力の世界最大の
市場となっており、総容量で欧州を抜いている。熱利用に使われたエネルギーは2014年の世界の最終エネルギー消費の
約半分を占めたが、その25%以上が自然エネルギーによって供給された。そのうち3分の2以上は伝統的なバイオマス利
用が占めた。残りの3分の1は近代的な自然エネルギーによって供給されたが、これは世界の最終熱需要の約8%にあたる
数値だ。また、熱利用部門において近代的な自然エネルギーを最も活用している地域はアジアであり、主に、インドや他の
アジア諸国での工業用バイオ熱エネルギー消費に起因するものだ。2014年の自然エネルギー由来の電力と燃料(50MW
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以上の大規模水力発電は除く)に対する世界の新規投資は2,702億米ドル、前年比で17%の増加となった。大規模水力を
含めれば、自然エネルギー由来の電力と燃料への投資額は3,010億米ドルとなる。自然エネルギー拡大の状況については、
REN21のウェブサイト(www.ren21.net/gsr)でより詳しく紹介しており、『自然エネルギー世界白書2015年版』に関する日本
語版プレスリリースも公開している。また、詳細で多岐にわたる国別データは新たに改定されたREN21自然エネルギーイン
タラクティブマップ(www.ren21.net/map)で閲覧できる。
JEPIC海外電力調査会:海外情報20150803
■2015. 7.27イタリア:大手電力Enel、世界初となる地熱とバイオマスの複合発電を開始 2015年7月27日付報道によると、
イタリア大手電力のEnelは世界で初めて地熱とバイオマスの複合発電を開始した。この発電は、イタリア中西部のトスカー
ナ州にある既設のCornia第二地熱発電所(1万3,000kW)に、新たにバイオマス発電所(5,000kW)が設置されて行われた。
バイオマス発電所の排熱回収により地熱発電所の蒸気が約150度から約370度に上がり、年間発電電力量が300万kWh増
え、年間CO2排出量が火力発電した場合に比べて13,000t少なくなると見込まれている。
■2015. 7.23イラン:石油・ガスプロジェクト、2020年までに1,850億ドル 2015年7月23日付の報道によると、イランは202
0年までに石油・天然ガス開発に1,850億ドルの投資を計画していることが明らかとなった。国連安全保障理事会が「包括的
共同行動計画(Joint Comprehensive Plan of Action: JCPOA)」を承認する決議を7月20日に採択したことから、イランに
対する経済制裁が解除される見通しが高まり、欧州企業等による投資を期待したものと見られている。
■2015. 7.22ブラジル:風力発電と太陽光発電プロジェクト、1,379件が入札に エネルギー調査公社(EPE)は2015年7
月22日、2015年度の第2回リザーブ電源入札(LER)は、風力発電と太陽光発電プロジェクト1,379件が対象になると発表し
た。プロジェクトの総発電設備容量は3,891万kWで、風力1,796万kW、太陽光2,095万kWである。州別のプロジェクト件数
は、バイア州435件、リオグランデ・ノルテ州281件、セアラー州129件などで、北東部地域が中心となっている。現在、入札
参加企業の審査が行われており、最終的な落札企業は2015年11月13日に決定する見通し。
■2015. 7.21英国:英国政府、国内のエネルギー安定供給に向け今後も原子力を推進 英国エネルギー・気候変動省(D
ECC)は2015年7月21日、国内のエネルギー安定供給に向けて、新規原子力発電所の建設を進めると発表した。DECCは、
新しい国内エネルギー供給源の拡充の必要性を訴え、現在協議中であるヒンクリーポイントC原子力発電所建設計画に言
及しつつ、これまで通り、原子力推進の姿勢を維持していくことを強調している。また、原子力が今後のエネルギーミックス
において、同じく拡充が進められているものの、出力変動の課題を残す再エネ電源の増加を補完するベースロード電源と
して重要であるとしている。
■2015. 7.20フランス:EDF ENが風力発電開発で住民参加型の資金調達に成功 フランスの再エネ大手EDF Energies
Nouvelles(EDFの再エネ子会社)は2015年7月20日、同社初のクラウドファンディング(インターネットを通じて不特定多数の
人から資金を調達する方法)が成功したと発表した。今回の資金調達は、フランス東部で2016年に建設開始予定のBois d
e Belfays風力発電所(2万kW)の開発に地域住民の参加を促すことを目的としている。再エネ専門のクラウドファンディング
サイトLendosphereで、融資期間2年、年率4%(地元住民は7%)の条件で募集され、当初目標とされた10万ユーロを上回る
13.5万ユーロが集まった。資金提供者は18~83歳の198人で、地元2県の住人がその4割を占め、全体の半分の資金を提
供した。
■2015. 7.20米国:Southern社、電力業界で最も高い配当利回り 米国南部の大手電力持株会社Southern社は2015年7
月20日、9月に実施する四半期の配当について、一株当たり0.5425ドルとすることを発表した。その結果、年間配当は2.17
ドルとなり、配当利回りは5.0%となった。これは電力業界で最も高い数字であり、以下Brookfield InfrastructurePartners社
の4.7%、Empire District Electric社の4.5%と続くと紹介されている。なお、配当利回りは、株価に対する配当の割合を示
す指標で、一株当たりの配当金額を株価で割って求める。7月29日におけるダウ平均の配当利回りは2.161%(過去12か
月)、東証一部全銘柄の平均配当利回りは1.46%(前期基準)となっている。
■2015. 7.15中国:6月の消費電力量、前年比1.8%増 国家能源局は2015年7月15日、6月の電力需給状況を発表した。
6月分の消費電力量は前年比1.8%増の4,723億kWhとなった。1~6月の累計消費電力量は同1.3%増の2億6,624万kWh
で、第一次産業用は同0.9%増の441億kWh、第二次産業用は同0.5%減の1兆9,242億kWh、第三次産業用は同8.1%増
の3,397億kWh、生活用は同4.8%増の3,545億kWhで、第三次産業の伸びが目立つ。1~6月の発電設備の利用時間は1,
936時間で、前年より151時間減少した。水力は1,512時間で前同82時間増、火力は2,158時間で同217時間減であった。1
~6月に新規運開した発電設備容量は4,338万kWで、水力506万kW、火力2,343万kWとなった。
■2015. 7.14タイ:再エネ発電導入、今年の目標は達成確実 代替エネルギー開発・効率局(DEDE:Department of Alte
rnative Energy Development and Efficiency)は2015年7月14日、5月末時点の再エネ発電所の設備容量は735万1,000k
W(小水力:300万kW、バイオマス:250万kW、太陽光:130万kW、バイオガス:32万6,000kWおよび風力:22万5,000kW)と
なり、年末までに数カ所の発電所が完成すると見込まれることから、今年の再エネ発電導入目標である900万kWを達成す
るのは確実になったと発表した。同局は、再エネ発電に対する優遇措置により、2036年までに再エネ発電所の発電設備容
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量を1,960万kWに引き上げるとしている。
■2015. 7.10米国:ニューヨーク市、行政関係施設のすべてに100%再エネ供給を計画 ニューヨーク市長ビル・デ・ブラ
シオ氏は、市の行政関係の施設のすべてに再生可能エネルギーによる電力を供給したいと考えている。同市は2015年7月
10日、100%再生可能エネルギーという野心的な目標を達成するため新たな電源を確定することを目的としたRFI(情報提
供依頼)を発した。市は現在、年間6億ドルから6.5億ドルの電気代を支払っており、この購買力を活用することで、再生可
能エネルギーによる新たな電源開発への触媒となり、温室効果ガスの排出量を削減する方針を立てている。同市は2050年
までに温室効果ガス排出量80%を削減する取り組みを促進する。RFIへの応募は2015年9月10日に締め切られる。
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