2-(3)-4 反応槽への送風方法を変更した 送風量削減調査結果について

2-(3)-4
反応槽への送風方法を変更した
送風量削減調査結果について
東部第二下水道事務所
葛西水再生センター
島田誠一、石井健一、小谷野正雄、渡部昇
1
はじめに
環境確保条例による温室効果ガス排出量削減義務や改正省エネ法による事業者全体とし
てのエネルギー管理が平成22年4月1日からスタートした。これを受け、各水再生セン
ターでは送風量削減に伴う電力削減への取組が求められたことから、当センターでは、平
成22年度にDO設定値の見直しやビーカー実験による送風量削減の可能性に関する調査
を実施した。その結果、A回路から最終回路の送風量を段階的に絞った方法(以下、テー
パ ー ド 法 と い う 。)で は 、ア ン モ ニ ア の 硝 化 時 間 が 短 縮 で き 、送 風 量 削 減 に 繋 が る 可 能 性 が
確認できた。本報告は、平成22年度調査で効果が確認できた条件での、実施設における
検証結果について報告するものである。
2
平成22年度ばっき実験調査結果(各回路ごとの送風量の違いによる硝化実験)
送風条件を表1に、調査結果を図1、図2に示した。
表1 各送風条件
写 真 の 装 置 に 反 応 槽 混 合 液 5 Lを 入 れ 、 条 件 1 か ら
3 の 方 法 で ば っ き を 行 い 、 1 時 間 ご と に NH 4 -N 、
NO 2 -N、 NO 3 -N等 の 測 定 を 行 っ た 。
条件1、2に差が見られなかったが、条件3は8時
間 後 の NH 4 -N 濃 度 が 1.0mg/L を 下 回 る 結 果 が 得 ら れ
た 。さ ら に 、NO 3 -Nに つ い て も 、条 件 3 の 方 が 他 の 条
件 よ り も 約 5mg/L高 い 結 果 が 得 ら れ た 。
1
図1
条 件 別 の NH 4 -N 濃 度 の 挙 動
図2
条 件 別 の NO 3 -N 濃 度 の 挙 動
調査の結果、テーパード法は、硝化時間の短縮が可能となり、結果的に送風量の削減に
繋がることが期待できると判断した。
3
平成23年度検証調査
3.1
北1系
調査方法と削減達成目標
北2系
図3に検証調査実施施設等を示した。
北2系7号(テーパード法)を検証施設に
8号(制限ばっ気法)を対照施設として、削
減達成目標は対前年同月比5%(空気倍率で
比較)とした。
1号
2号
3号
4号
検証調査水槽
また、空気弁の開度設定の変更や処理状況
を連続で確認するために、B回路にイオン電
5号
6号
7号
8号
NH4計
対照水槽
極 式 NH 4 計 ( セ ン ト ラ ル 科 学 製 ) を 設 置 し て
図3
検証調査実施施設等
連続測定を行った。
ただし、当センターでは、平成23年3月の震災の影響で水処理施設(第一、第二沈殿
池)が大きく損傷し、放流水質にも影響があったために、年度当初は検証調査に取組めな
い状況にあった。
さらに、7月中旬からみやぎ受泥に伴う汚泥循環が長期間継続したために、本格的な検
証調査の開始は9月以降となった。
表2
3.2
7号反応槽のライザ管の開度設定
表2に検証施設の北2系7号(テーパード
A回路
法)の空気弁の変更前後の開度を示した。
調整前の制限ばっ気の開度設定をA回路~
最終回路の空気弁の開度を段階的に絞り、7
月 1 1 日 に 空 気 弁 の 全 開 の 数 を A :B :C を
B回路
5:3:1に設定して検証調査を行った。
なお、調整前の空気弁の開度の設定は、制
限ばっ気としていた7、8号の空気弁の設定
開度である。
C回路
2
検証調査時の空気弁の開度調整
元弁開度
1
2
3
4
5
6
7
8
元弁開度
1
2
3
4
5
6
7
8
元弁開度
1
2
3
4
5
6
7
8
調整前
15
2/9
2/9
2/9
2/9
2/9
2/9
2/9
2/9
50
6/9
6/9
6/9
6/9
6/9
6/9
6/9
6/9
45
7/9
7/9
7/9
7/9
7/9
7/9
7/9
7/9
6月30日
40
全開
全開
2/9
全開
2/9
全開
2/9
全開
40
全開
2/9
2/9
全開
2/9
2/9
全開
2/9
25
2/9
2/9
2/9
6/9
6/9
2/9
2/9
2/9
7月1日
40
全開
全開
2/9
全開
2/9
全開
2/9
全開
30
全開
2/9
2/9
全開
2/9
2/9
全開
2/9
25
2/9
2/9
2/9
全開
6/9
2/9
2/9
2/9
7月11日
40
全開
全開
2/9
全開
2/9
全開
2/9
全開
40
全開
6/9
6/9
全開
6/9
2/9
全開
2/9
25
2/9
2/9
2/9
全開
6/9
2/9
2/9
2/9
4
検証調査結果及び考察
4.1
水質の状況
9 月 1 3 日 か ら 1 0 月 2 1 日 の 7 号 と 8 号 の NH 4 -Nの 測 定 結 果 を 表 3 に 示 し た 。
8 号 処 理 水 の NH 4 -N濃 度 は 9 月 2 0 日 6.4mg/L、9 月 2 9 日 1.4 mg/Lと 1mg/L以 上 を 2 回
検出した。
一 方 、7 号( テ ー パ ー ド 法 )に つ い て は 、NH 4 -N濃 度 が 1.0mg/L以 上 を 4 回 検 出 し て い る 。
この理由は、7号はB~C回路にかけて全開の数が少なく設定しており、流入水の濃度変
動 に よ っ て 、 NH 4 -Nの 硝 化 が 十 分 進 ま ず に 上 昇 し た と 考 え ら れ る 。 た だ し 、7 号 の NH 4 -Nの
上昇は一過性で長期間継続することもなく、8号と同程度の硝化が行われていることを確
認した。
表3
7号、8号の水質測定結果
7B
7A
月日
9月13日
9月14日
9月15日
9月16日
9月20日
9月21日
9月27日
9月28日
9月29日
9月30日
10月4日
10月4日
10月4日
10月4日
10月4日
10月5日
10月6日
10月7日
10月11日
10月12日
10月13日
10月14日
10月18日
10月19日
10月20日
10月21日
4.2
時間
天気
10:00
10:00
10:00
10:00
10:00
10:00
10:00
10:00
13:30
10:00
10:00
12:00
14:00
16:00
18:00
10:00
14:30
10:00
10:00
14:00
10:00
10:00
10:00
10:00
10:00
10:00
晴
晴
晴
晴
曇
NH4-N
NH4-N
10.7
13.0
10.5
13.3
7.8
0.5
8.8
11.3
12.1
9.6
14.9
10.8
11.1
11.6
13.1
10.8
7.9
5.3
10.9
0.9
16.3
11.1
9.5
9.3
9.3
10.2
雨
曇
晴
晴
晴
晴
曇
曇
晴
晴
晴
晴
晴
曇
曇
曇
曇
4.8
7 .9
5.3
8 .8
8 .9
0.5
4.4
4.2
6.3
4.0
3.6
3.3
3.8
4.7
6.3
5.3
3.1
3.1
4.0
0.6
7 .4
4.9
5.1
4.9
5.8
4.6
NH 4 計 ( 現 場 設 置 ) の 精 度 確 認
8C
NH4-N
NH4-N
(MT-1)
3.7
6 .1
4.5
6 .9
7 .2
1.5
4.9
4.9
6.0
4.6
0.9
3 .1
0.9
4 .3
9 .0
0.5
0.7
0.7
0.8
0.8
0.7
0.7
0.7
0.7
1.0
0.8
0.4
0.6
0.5
0.6
3 .1
0.7
0.7
0.7
0.8
0.7
4.4
5.2
7.1
6.1
7.0
4.4
5.0
1.9
7 .4
5.8
5.9
5.9
6.9
5.9
0.8
0.9
1.0
1.0
6 .4
0.6
0.7
0.8
1 .4
0.8
0.9
1.0
0.5
0.8
0.9
0.7
0.6
0.8
0.8
0.7
0.9
0.7
mg/L
10
9 月 1 3 日 ~ 2 1 日 に 測 定 し た NH 4 -N
NH4計計器値
8
の 手 分 析 ( MT-1) と B 回 路 に 設 置 し た イ
オ ン 電 極 式 NH 4 計 の 測 定 値 を 使 っ て 、 精
度確認を行った結果を図4に示した。
実測値と計器の相関係数は、R
NH4-N
7C
6
4
R² = 0.7647
2
2
0
0
=0.7647 と 良 好 な 結 果 で あ っ た 。
2
4
6
8
10
NH4-N実測値( MT-1 )
3
図4
NH 4 計 の 精 度 管 理( NH 4 計 と MT-1 )
4.3
NH 4 計 に よ る 硝 化 制 御 の 可 能 性
7 号 B 回 路 に 設 置 し た NH 4 計 の 測 定 値
と 最 終 回 路 の NH 4 -N 濃 度 の 関 係 を 図 5 に
示した。
図5の赤の破線で示したとおり、現状
の 空 気 弁 の 条 件 で は 、 B 回 路 の NH 4 -N 濃
度 を 6.5mg/L以 下 に 制 御 す る こ と で 、 最
終 回 路 の NH 4 -N 濃 度 を 1.0mg/L 以 下 ま で
処理することが可能になると判断した。
NH 4 計 に よ る 管 理 方 法
図5
今 後 、 NH 4 -N濃 度 に よ る 送 風 量 制 御 が 可
能になれば、現状のDO制御よりも送風量の削減が期待できると考えられる。
4.4
表4
凝 集 剤 ( PAC) の 削 減 効 果
7号におけるテーパード法は、A回路
における生物学的なりんの吐き出しは、
北 系 反 応 槽 処 理 状 況 ( 10 月 20 日 )
号
回路
1
B
A
ほとんど見られない。
表4は、10月16日の降雨後にりん
2
処理が不安定になった10月20日の北
3
系全反応槽各回路ごとの窒素とりんの水
質分析結果である。
4
7 号 以 外 は PO 4 -P 濃 度 が 1mg/L 以 上 を
検出していたが、7号については窒素、
5
りんの処理は良好に行われていた。
6
図 6 に 、 北 1 、 2 系 の PO 4 -P 計 の 測 定
結果(時間毎)を示した。
7
北1系については、17日~18日に
か け て 数 時 間 PO 4 -P 濃 度 が PAC 注 入 開 始
8
NO2
NO3
PO4-P
DO
13:30
13:30
13:30
13:30
14.7
欠測
0.0
欠測
0.0
欠測
18.3
0.3
1.1
欠測
C
1.7
0.3
11.3
2.0
2.0
A
15.8
0.0
0.0
18.7
0.4
B
11.6
0.0
1.4
9.6
1.5
C
1.0
0.3
10.2
1.8
3.0
A
14.2
0.0
0.0
16.4
0.3
B
9.1
0.0
2.0
6.0
1.2
C
0.8
0.0
12.2
1.3
3.3
A
15.1
0.0
0.2
15.9
0.4
B
10.5
0.2
2.5
8.2
1.8
C
0.8
0.0
13.6
1.9
3.1
A
14.8
0.0
0.2
15.2
0.3
B
10.1
0.0
2.3
7.4
1.2
C
1.0
0.4
10.8
1.2
2.1
A
15.0
0.0
0.2
9.9
0.3
B
9.0
0.5
5.2
4.8
2.3
C
0.9
0.5
14.0
1.6
3.1
A
12.3
0.0
0.9
3.6
0.5
B
5.9
0.3
5.7
0.4
1.2
C
0.6
0.0
10.8
0.1
1.6
A
14.6
0.0
0.7
14.2
0.4
B
10.0
0.2
3.8
7.4
1.3
0.8
0.2
13.8
2.4
1.9
mg/L
C
DO設定値
濃 度 の 2mg/L を 超 過 し た こ と か ら 、
NH4
13:30
2.5
mg/L
5,057Lの PACが 注 入 さ れ た 。
しかし、2系については制限ばっ気であ
る こ と や 、 表 4 の と お り 7 号 の PO 4 -P 濃 度
は 0.1mg/Lと 良 好 に 処 理 さ れ て お り 、 2 系
全 体 の PO 4 -P の 濃 度 が PAC 注 入 設 定 濃 度 の
2.0mg/Lを 超 過 し な か っ た こ と か ら 、 PAC注
入が無かった。
特に、7号のテーパード法は、A回路で
のりんの吐き出しがほとんどないことから、
処 理 水 の PO 4 -P 濃 度 が 大 き く 上 昇 す る こ
とがないために、凝集剤の削減効果も期待
できると考えられる。
図6
4
北 1 、 2 系 の PO 4 -P 計 の ト レ ン ド
4.5
送風量削減効果(送風倍率での比較)
平成22年と23年の7月から9月の北
表5
平 成 22 年 7 月 ~ 9 月 の 送 風 倍 率
系1号から8号の送風倍率結果を表5、6
北1系
北2系
に示した。
降水量
降水量や汚泥循環等があり単純比較は難
1号
2号
3号
4号
5号
6号
7号
8号
しいが、北2系7号(テーパード法)の送
H22.7月
77
4.1
4.4
5.4
5.2
4.9
4.7
5.4
5.0
風倍率は対照である8号よりも低く、7月
H22.8月
24.5
4.9
5.6
5.9
5.7
5.7
6.0
5.9
5.4
は 7.4% 、 8 月 は 11.9% と 前 年 同 月 比 ( 送
H22.9月
368
4.4
4.3
4.1
4.3
3.5
4.3
4.3
4.2
風倍率)で5%を上回って削減を達成して
いた。
表6
なお、9月における削減率については、
平 成 23 年 7 月 ~ 9 月 の 送 風 倍 率
平 成 2 2 年 9 月 は 360mm の 降 雨 が あ り 、 単
北1系
純比較は難しい。
降水量
そこで、対照である8号と比較したとこ
ろ 7 号 の 方 が 送 風 倍 率 が 0.4 倍 高 い 結 果 で
あったことから、原因等について検証調査
を継続しているところである。
5
1号
2号
北2系
3号
4号
5号
6号
7号
8号
H23.7月
42
5.9
5.3
5.2
5.6
5.3
5.0
5.0
5.3
H23.8月
198.5
5.6
5.1
5.2
5.2
5.3
5.2
5.2
5.4
H23.9月
139.5
4.3
4.5
4.1
4.3
4.6
4.8
4.9
4.5
まとめ
今回の実施設を使った検証調査を行った結果、以下のことが分かった。
① テーパード法は、制限ばっき法と同程度の硝化が行われていた。
② テ ー パ ー ド 法 は 、A 回 路 で の 生 物 学 的 な り ん の 吐 き 出 し は ほ と ん ど な く 、降 雨 時 も 他
の 反 応 槽 と 比 較 し PO 4 -Pの 処 理 が 安 定 し て い た こ と か ら 、凝 集 剤( PAC)の 削 減 効 果 も
期待できる。
③ テ ー パ ー ド 法 の 7 月 、8 月 の 送 風 倍 率 は 、前 年 同 月 比( 送 風 倍 率 比 )5 % を 超 え て 削
減 目 標 を 達 成 し た が 、9 月 は 対 照 槽 よ り 0.4 倍 高 い 結 果 で あ り 、現 在 、原 因 等 調 査 を
継続している。
④ イ オ ン 電 極 式 NH 4 計 と 手 分 析 ( MT-1) の NH 4 濃 度 に は 、 良 好 な 相 関 が 確 認 で き た 。
⑤ 今 回 の 空 気 弁 の 開 度 条 件 の 場 合 、 B 回 路 ( 中 間 部 ) の NH 4 -N濃 度 を 6.5mg/L以 下 に 処
理 で き れ ば 、 最 終 回 路 の NH 4 -N濃 度 は 1.0mg/L以 下 ま で 処 理 が 可 能 で あ る 。
⑥ 最 適 な 空 気 弁 の 開 度 調 整 や NH 4 計 を 活 用 し た 送 風 量 制 御 を 行 う こ と に よ り 、 さ ら に 送
風量の削減効果が期待できると考えられる。
今後も、硝化状況と送風量の詳細な関係について、調査を継続し、テーパード法の有効
性を十分検証した上で他の反応槽への展開を図って、効果的な送風量削減を目指す予定で
ある。
5