P-15 予後告知された乳がん合併妊婦への 支援 順天堂大学医学部附属

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P-15 予後告知された乳がん合併妊婦への
支援
順天堂大学医学部附属順天堂医院 母子医
育支援センター1)、順天堂大学 産婦人科 2)
礒﨑 悠子 1) 宮林 春佳 1) 廣田 則子 1)
根岸 万里子 1) 依藤 崇志 2) 牧野 真太郎 2)
近年、日本人の女性の乳がん罹患率は年々
増加し、当院においても妊娠期に乳がんを診
断され、治療を必要とする症例が増えてきた。
今回、妊娠判明後、進行乳がん(stageⅢC 期、
triplenegative 進行状態から手術困難)と診断
され、予後不良と告知された38歳初産婦に
対して、妊娠経過・乳がん進行状況を判断し
ながら、治療・妊娠・分娩・育児と倫理的問
題について検討し、支援を行った。乳腺科で
は化学療法の時期や使用薬剤について、産科
では分娩方針や時期など、小児科医師は抗が
ん剤の影響や在胎週数によるリスクなど、助
産師、がん専門看護師、臨床心理士も加わり、
チ-ムとしてカンファレンスを行い、患者家
族のサポートを検討し、がん治療と妊娠とい
う両面からのアプローチを行った。産科領域
としては、担当医師と助産師が継続的に患
者・家族と共に妊娠・分娩を前向きに捉えら
れ、よい思い出になるようなアプロ-チを検
討した。妊娠期にはアルバム作成、週数に応
じた胎児の大きさや発育状況を人形やカード
を使用してイメージが持つことが出来るよう
な指導を、分娩時はカンガルーケアを行った。
チームで継続的にかかわることで、乳がん治
療と並行して患者と家族の児への愛着形成や
育児準備などの支援がスムーズに実施できた。
妊娠初期からの患者・家族への支援を通して、
分娩前後のサポートについて検討を行ったの
で報告する。
東京母性衛生学会誌
第 29 巻 Suppl.1
P-16 早期母子分離状態となる母親への心
理的支援-胎児心疾患を指摘された事例を
通して-
杏林大学医学部付属病院 総合周産期母子
医療センター 産科病棟
先崎 未裕希、竹下 英里、東海林 淳子、
鈴木 瞳、森田 知子、増永 啓子
胎児診断を受けた妊産婦は、子どもの
NICU 入院等で母子分離を体験することが多
く、正常な子どもを出産した妊産婦よりも多
くの不安を経験することがわかっている。こ
のような妊産婦のケアに関する研究において、
心理的支援の必要性は明確であるとされてい
るが、事例によってかかわりは多様であり、
具体的に確立されているケアは少ないのが現
状である。私たちは、妊娠中に胎児先天性心
疾患を指摘され、分娩後他院へ新生児搬送と
なったケースを経験した。担当助産師は、ど
のように声をかけたらいいか等、かかわり方
に迷う場面があり、自分の行ったケアが効果
的だったのかということが気がかりであった。
今回、この母親の帝王切開当日から分娩後約
1か月間の言動を振り返り、母親がどのよう
な心理変化をたどり、その時どのような看護
を提供していたのかを明らかにし、分娩直後
に母子分離となった母親への看護について示
唆を得ることができた。
母親がショックや不安を強く感じやすい場
面では、看護者が気持ちに寄り添い場面を共
有すること、各々の母親に適した時期と環境
を提供し、母親自身が語ることは、不安や自
分の体験を受容する上で重要である。さらに
産前、産後、退院後と、可能な限り継続して
同じ看護者がかかわることが対象を支えるう
えで有効であると考える。今回パートナーへ
の支援について触れていないが、看護の対象
としてパートナーへのケアは重要であり、さ
らに検討は必要である。