こちら - 株式会社AZE

2015
CONTENTS
第 4 脳室血腫除去シミュレーション:SlidingThinSlabMIP 法による最適穿頭部位の決定 ………………
3
負荷心筋 Dynamic CT Perfusion と Coronary CTA の fusion 画像の有用性 ……………………………
4
CT 検査における肺血流マップ(LungSubtraction の有用性)…………………………………………………
5
乳房再建腹直筋皮弁における CT 細血管解析を用いた下腹壁動脈穿通枝の描出方法…………………………
6
MICS における左内胸動脈走行の位置情報を支援する術前 3D イメージングについて ……………………
7
“ 血管表示下仮想気管支内視鏡画像 ” 肺野末梢性病巣に対する経気管支肺生検(TBLB)の支援画像 ………
8
椎骨動脈解離の評価に役立つ BPAS 画像の 3 次元化を利用した Fusion 画像 ………………………………… 9
胸腔鏡補助下手術において深部微小肺病変部の術中の位置特定に仮想気管支鏡ナビゲーションが有用だった 1 例 … 10
歯科解析を使用した曲面部位への CPR 画像の有用性 …………………………………………………………… 11
心臓 CT による冠動脈支配灌流領域の定量評価の有効な活用法………………………………………………… 12
石灰化を伴った両側腎動脈瘤………………………………………………………………………………………… 13
回盲部における回腸側隆起病変の描出……………………………………………………………………………… 13
仮想内視鏡画像におけるポリープと残渣の色分け………………………………………………………………… 14
coronary VE strategy にて PCI に成功 ………………………………………………………………………… 14
マルチボリューム内視鏡を用いた eTSS の手術支援画像の検討 ……………………………………………… 15
肺塞栓症と急性心筋梗塞を合併した症例において CT 検査において右心房と肺静脈のシャントが描出された一例… 15
非侵襲的微少血管減圧術支援画像 CT/MRI Multi Modality fusion の有用性 ……………………………… 16
3D、T2 強調画像による Volume 画像を用いたダヴィンチ前立腺全摘術の術前シュミレーション ……… 16
水腎症の原因検索に画像処理が有用であった症例………………………………………………………………… 17
直腸がんの仮想注腸像による RS、RA、RB 分類支援画像 …………………………………………………… 17
ムンテラ用 右冠動脈と左冠動脈の multi-volume-view ~全ては患者様のために~ ……………………… 18
MinIP を使用し、3D-Black-Blood 画像を自由自在に表現する方法 ………………………………………… 18
腹部大動脈ステントグラフト内挿術後 typeⅡ endoleak …………………………………………………… 19
魚骨迷入し、内視鏡・喉頭ファイバーにて同定できず単純 CT にて明瞭に確認できた症例………………… 19
大腸癌術前 3D きれいに早く ……………………………………………………………………………………… 20
肺部分切除術のための VE 及び 3DCT 画像 ……………………………………………………………………… 20
閉塞血管に対する Slab MIP ………………………………………………………………………………………… 21
安全に経鼻挿管を行う為の、CT 画像を用いたローゼンミュラー窩の描出 …………………………………… 21
コイル塞栓術後の緊急動脈瘤クリッピング:マルチボリューム内視鏡モードの応用………………………… 22
造影剤減量での、S 状結腸癌術前 3D 血管構築の症例 ………………………………………………………… 22
腹腔鏡下術前 CT-Colonography ………………………………………………………………………………… 23
肺血流シンチグラフィと DynamicCT の重ねあわせによる画像支援 ………………………………………… 23
心臓 CT におけるカラーマップを用いた distal embolism の予測についての検討 ………………………… 24
大動脈解離における真腔・偽腔の血流評価………………………………………………………………………… 24
大動脈腸骨動脈閉塞症の画像表示法………………………………………………………………………………… 25
AZE 展レポート 2015 No.5 001
CT color mapping fusion image を用いた、骨折椎体の視覚的治療効果判定方法… ………………………
当院における腎細胞癌の術前シミュレーション検査…………………………………………………………………
T2 Volume 画像と TOF 画像の Fusion による、椎骨脳底動脈の評価… ………………………………………
MR 細血管解析を用いた神経根の描出… ……………………………………………………………………………
頚椎後方固定術における椎骨動脈とペディクルスクリューの位置関係の評価……………………………………
同期を用いた単純胸部 CT 撮影による左房形態評価…………………………………………………………………
3T-MR による高コントラスト機能画像および高分解能形態画像を用いた膵臓癌進展範囲の可視化…………
悪性リンパ腫と骨髄浸潤を視覚的に分離した SUV カラースケール 3D 画像……………………………………
Non-subtraction 法における FSBB-3D 画像の描出… …………………………………………………………
小児の生体肝移植に対する手術支援画像………………………………………………………………………………
オリーブオイルを注入し腹臥位にて撮影を行った膀胱腫瘍の症例…………………………………………………
PLIF における手術支援画像……………………………………………………………………………………………
副腎静脈の 3D 構築から術前支援について… ………………………………………………………………………
マスク画像のフュージョンを用いた CARTO 用画像の有用性… …………………………………………………
マルチモダリティーによる脊髄硬膜動静脈瘻の治療支援画像………………………………………………………
非造影 MRI における VATS(胸腔鏡下肺切除術)前 virtual imaging…………………………………………
同時マルチソフトウェア処理による簡便、時短、術前画像作成……………………………………………………
尺骨神経……………………………………………………………………………………………………………………
中咽頭 Car に対する前外側大腿皮弁採取撮影… ……………………………………………………………………
002 AZE 展レポート 2015 No.5
25
26
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28
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29
29
30
30
31
31
32
32
33
33
34
34
第 4 脳室血腫除去シミュレーション:SlidingThinSlabMIP 法による最適穿頭部位の決定
医療法人社団 水光会 宗像水光会総合病院 脳神経外科 木下 良正
最優秀賞
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
Fig1
Fig2
Fig4
Fig3
部位
頭頚部
胸部
モダリティー
心臓
CT1 列
CT2 列
CT4 列
CT320 列
MR 0.5T
未満
CT6 列
CT8 列
CT10 列
CT16 列
CT32 列
CT40 列
CT64 列
PET
超音波診断
装置
●
腹部
CT128 列
■
下肢
その他
CT256 列
MR 0.5T 以上 MR 1.0T 以上 MR 1.5T 以上
1.0T 未満
1.5T 未満
3.0T 未満
MR 3.0T
以上
SPECT
画像作成時間
(応募時の段階、不慣れなオペレータの場合)
画像作成時間
(ルーチン化した場合、慣れたオペレータの場合)
応募作品の説明:本症例はくも膜下出血の重
症例で、緊急血管内手術によるコイル塞栓術
に引き続いて脳室内の鋳型状の血腫除去を行
う必要があった(Fig1 上段)。特に第 4 脳室
内に著明な血腫が存在し、この血腫を除去す
るためには神経内視鏡を Monro 孔、第 3 脳
室、
中脳水道を経由して挿入する必要がある。
血腫除去時は血清髄液のために視界が悪いこ
と、Monro 孔の周りに脳弓があり損傷をお
こさないこと、中脳水道周囲の重要組織を損
傷しないため、穿頭部位から Monro 孔、中
脳水道入口部を直線状に神経内視鏡を挿入す
ることが非常に重要である。従来の手法では
正面、側面の画像から作図(Fig1 下段)を
行って穿頭部位を決定するが、より正確な穿
頭部位を決定するためにワークステーション
上で Sliding Thin Slab MIP 法を用いて穿頭
部位を決定した(Fig.2)
。Sliding Thin Slab
MIP 法を用いると簡便に、短時間で最適な穿
頭部位を決定でき、引き続いて AZE Virtual
Place Raijin 上でスムーズに内視鏡モードで
脳室内の内視鏡の動きをシミュレーションす
ることが可能(Fig3)であり実際の手術で
も安全に実施できた(Fig3,4)
。
その他
11 〜 20 分
10 分以内
審査員コメント:臨床医の視点とワークス
テーションスキルから生み出された、手術
精度を高めるという明確な目的が伝わって
くる画像である。最適な治療を行うために
様々な工夫がなされていて、最適空間を決
定するためのツールとしての sliding 法の
活用が素晴らしい。短時間で簡便に作成で
きる点も評価できる。
AZE 展レポート 2015 No.5 003
負荷心筋 Dynamic CT Perfusion と Coronary CTA の fusion 画像の有用性
愛媛大学医学部附属病院 診療支援部診療放射線部門 西山 光
優 秀 賞
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
Fig.1
Fig.2
Fig.3
Fig.4
部位
頭頚部
胸部
モダリティー
心臓
CT1 列
CT2 列
CT4 列
CT256 列
CT320 列
MR 0.5T
未満
CT6 列
CT8 列
CT10 列
CT16 列
CT32 列
CT40 列
CT64 列
CT128 列
MR 3.0T
以上
SPECT
PET
超音波診断
装置
その他
●
腹部
下肢
その他
MR 0.5T 以上 MR 1.0T 以上 MR 1.5T 以上
1.0T 未満
1.5T 未満
3.0T 未満
■
画像作成時間
(応募時の段階、不慣れなオペレータの場合)
画像作成時間
(ルーチン化した場合、慣れたオペレータの場合)
応募作品の説明:近年、冠動脈疾患の灌流機
能評価に対して、MDCT を用いた負荷心筋
血流解析法が有用であると報告されている。
当院では 1 回転で左室心筋全体を撮影する
ことが可能な 8cm のディテクタ幅を有する
Philips 社製 Brilliance iCT 256 slice-MDCT
を使用している。この特徴を生かして、我々
の施設では、ATP(adenosine triphosphate)
負荷下で、収縮期に合わせた連続 30 心拍の
心電図同期心筋 Dynamic 撮影を行い、薬剤
負荷心筋 CT Perfusion(CTP)検査を施行
している(Fig.1)。CTP の評価は Dynamic
撮影の中で、正常心筋と虚血心筋で最もコン
ントラストがついた相を用いている。
症 例 は 60 歳 男 性。CAG で #6 高 度 狭 窄、
RCA、LCX に有意狭窄があり三枝病変と診
004 AZE 展レポート 2015 No.5
断、CABG(LITA-LAD, Ao-SVG-PD) を 施
行 し た。MRI Perfusion で は 負 荷 時 心 基 部
〜心尖部前壁中隔に高度虚血、内膜側に遅
延造影を認める(Fig.2)
。術前後で施行さ
れ た ATP 負 荷 CTP と、 同 時 撮 影 の CCTA
の fusion 画像を供覧する。術前 CTP では前
壁中隔に内膜下優位の心筋血流低下があり、
fusion 像で LAD 近位部の虚血と分かる。術
後は外膜側優位に血流改善あるも、MRI で
遅延造影の見られた内膜側では血流改善がみ
られない(Fig.3, 4)
。
CCTA と 心 筋 SPECT の fusion 像 の 有 用 性
はよく知られているが、location のずれが生
じることは避けられない。呈示画像のよう
に一度の撮影で得られる CCTA と負荷心筋
CTP を fusion することにより、虚血域とそ
20 〜 30 分
10 〜 20 分
の責任血管を正確に結びつけることが可能で
ある。また CT は空間分解能が高いため内膜
側と外膜側を分けて観察することができ、こ
れまでどのモダリティにもなかった高い精度
で虚血を診断することが可能となるだろう。
審査員コメント:100ml の造影剤を有効
活用して心筋血流解析や冠動脈解析などが
行われており、1 回の検査で得られる情報
量が多いという点で高く評価できる。画像
処理時間短縮へのアプローチ方法や、被ば
く線量の程度について更なる考察がなされ
ることを期待したい。
CT 検査における肺血流マップ(LungSubtraction の有用性)
杏林大学医学部付属病院 放射線部 高橋 沙奈江
優 秀 賞
使用ワークステーション:ZIOSTATION
部位
頭頚部
胸部
モダリティー
心臓
CT1 列
CT2 列
CT4 列
その他
CT256 列
CT320 列
MR 0.5T
未満
CT6 列
CT8 列
CT10 列
CT16 列
CT32 列
CT40 列
CT64 列
CT128 列
MR 3.0T
以上
SPECT
PET
超音波診断
装置
その他
●
腹部
下肢
MR 0.5T 以上 MR 1.0T 以上 MR 1.5T 以上
1.0T 未満
1.5T 未満
3.0T 未満
■
画像作成時間
(応募時の段階、不慣れなオペレータの場合)
画像作成時間
(ルーチン化した場合、慣れたオペレータの場合)
応募作品の説明:CT の肺血流ヨードマップ
は既に Dual Energy にアドバンテージ持つ
Siemens 社から多くの発表がある。現在 DE
に関しては 4 大メーカーが分岐点を過ぎ各
の特性を出してきている。胸部などの長い撮
像範囲領域に関しては、東芝は不得手な分
野である。しかし、Lung Subtraction 法はそ
の弱点を克服する成果をあげていると感じて
いる。問題点は単純、造影の 2 回撮像の被
ばくであるが、応募画像にある撮像条件を参
照して頂きたい。ターゲットの疾患は PE や
CTEPH である。ポイントとして血管分離の
精度を考えた。そのため、当初は肺動脈・肺
静脈分離タイミングで撮像も検討したが、血
管分離は、体重別投与すると高速注入になる
傾向が強い。スクリーニングの延長で、なお
かつ静注確認時間がとれないか検討した。当
院のスクリーニングレベルは、520mgI・45
秒注入である。このデータで、動静脈分離を
ZIO・AZE・VINCENT で比較してみた。当院
の環境下では VINCENT が一番安定していた。
この結果から Fractional Dose を 17 に抑え
て造影条件プランを組んだ。CTEPH はとく
に右心不全傾向が強く、体内循環時間が読み
切れない。撮像に関しての注意点は、SVC か
らのアーチファクトであり、当院の約束を以
下に記述する。①尾頭方向に撮像する②肺尖
部撮像時間には混合注入(造影剤 40%+ 生
食水 60%)で造影剤アーチファクトを低減
させる③リアルプレップは使用しない、注入
11 〜 20 分
10 分以内
開始から 25 秒撮像開始の固定注入にする④
スキャノ撮像後に血管確保し素早く単純、造
影と撮像する。肺動脈 CT 値は、300 〜 400
程度に安定している。
(症例数が少なく検討
不十分である)今後は、カラーマップと血管
VR の Fusion を検討している。
審査員コメント:カラーマップによる血流
低下が視覚的に捉えやすく、全体にまとま
りがあり完成度の高さがうかがえた。症例
の多い検査のため、より簡便になり一般的
利用が可能となるよう期待する。将来的に、
肺血流シンチと置き換わる可能性も秘めて
いるといえよう。
AZE 展レポート 2015 No.5 005
乳房再建腹直筋皮弁における CT 細血管解析を用いた下腹壁動脈穿通枝の描出方法
王子会神戸循環器クリニック 放射線技術科 大西 宏之
特 別 賞
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
部位
頭頚部
胸部
モダリティー
心臓
CT1 列
CT2 列
CT4 列
CT320 列
MR 0.5T
未満
CT6 列
CT8 列
CT10 列
CT16 列
CT32 列
CT40 列
CT64 列
PET
超音波診断
装置
CT128 列
■
腹部
下肢
その他
CT256 列
MR 0.5T 以上 MR 1.0T 以上 MR 1.5T 以上
1.0T 未満
1.5T 未満
3.0T 未満
MR 3.0T
以上
SPECT
その他
●
画像作成時間
(応募時の段階、不慣れなオペレータの場合)
61 〜 120 分
画像作成時間
(ルーチン化した場合、慣れたオペレータの場合)
31 〜 60 分
応募作品の説明:乳房再建のための腹直筋皮
弁には、臍の周囲に数本の穿通枝動脈が存在
する。
術前検査の CTA の目的は、手術に必要な良
好な穿通枝動脈を同定することであるが、穿
通枝動脈の本数によっては術中に見誤る可能
性があり、全ての穿通枝動脈の描出が重要で
ある。
従来の作成方法では 1 本の穿通枝動脈を描
出、作成することは大変な労力を要した。
その理由として、膨大なデータから穿通枝を
同定し、リージョングローイングなどの機能
を利用し作成していたが、太い穿通枝動脈の
存在や良好な末梢血管の CT 値が得られて、
006 AZE 展レポート 2015 No.5
うまく機能する。それ以外の条件では、穿
通枝動脈の同定から描出までマニュアルで 1
枚ずつマスクを作成することになり長い作成
時間を要した。
上記のことから、当院では CT 細血管解析の
自動追跡とマニュアルを利用して元画上同定
できる全ての穿通枝動脈を描出している。
方法は、左右の総腸骨動脈から分岐している
下腹直筋動脈を数ポイント選択し自動追跡を
行う。あとは穿通枝動脈をマニュアルで作成
し、3D レイヤーへ移動し腹直筋を作成し完
成である。
作成後、形成外科医と共に、筋膜から皮下脂
肪側へ分岐する動脈と臍にポイントを描画し
術前画像として役立てられている。
この方法を使用することで、穿通枝動脈の同
定、描出が簡単になり、従来よりも短時間に
良好な画像が作成できるようになった。
審査員コメント:地道な作業になりがちな
細い穿通枝動脈の抽出に、日常使用してい
るアプリケーションを適応するというアイ
デアに満ちた作品で、高く評価できる。末
梢血管の描出を明確に表示できていること
から、開腹術などに有効な情報となる画像
処理と考えられる。
MICS における左内胸動脈走行の位置情報を支援する術前 3D イメージングについて
社会医療法人 友愛会 豊見城中央病院 放射線科 金城 一史
特 別 賞
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
部位
頭頚部
胸部
モダリティー
心臓
CT1 列
CT2 列
CT4 列
CT256 列
CT320 列
MR 0.5T
未満
CT6 列
CT8 列
CT10 列
CT16 列
CT32 列
CT40 列
CT64 列
CT128 列
MR 3.0T
以上
SPECT
PET
超音波診断
装置
その他
●
腹部
下肢
その他
MR 0.5T 以上 MR 1.0T 以上 MR 1.5T 以上
1.0T 未満
1.5T 未満
3.0T 未満
■
画像作成時間
(応募時の段階、不慣れなオペレータの場合)
画像作成時間
(ルーチン化した場合、慣れたオペレータの場合)
応募作品の説明:通常の開胸正中切開となる
と骨を大きく切るため骨髄からの出血や骨
の癒合不全、さらには骨の感染(胸骨骨髄
炎)という命に関わる危険な合併症が生じる
場合が稀ながら存在している。MICS(低侵
襲心臓手術)とは手術術式ではなく従来の手
術の質を維持し体への負担を少なくして手術
を行うかであり、多枝バイパスによる完全血
行再建術が可能(RITA も可能)で CABG の
基本を見誤りなく完全血行再建による良好な
長期予後を得る冠動脈バイパス術である為、
MIDCAB とは大きな違いがあります。
MICS CABG の特徴として ①骨を全く切ら
ずに肋間皮膚切開の開胸術で胸骨骨髄炎の可
能性の低い手術であること ②入院期間も短
く退院後に運動制限がなく、上半身の荷重運
動も問題ない状態で退院時の社会活動復帰が
121 分以上
121 分以上
当院へ紹介された。
可能となるメリットがあります。
このように患者さんニーズにこたえる 1 手 〈術式〉MICS-CABG(LITA-LAD、Ao-SVG#4PD)*左第 4 肋簡開胸(胸骨および肋骨
段として MICS CABG は非常に有用な手術
離断なし)*輸血なしで手術を終了(手術時
として取り組めるよう左胸小切開からみた内
間:5 時間 45 分)
胸動脈(ITA)剥離に必要な血管走行の位置
手術から 12 日後に退院となった。
情報について W.S を用いることで直感的に
みたイメージング構築が可能となった。実際
の術前 CT 検査からは左第二肋骨上に ITA の
中枢側点で内胸静脈が併走しており重要な剥
審査員コメント:侵襲性の低い手術には
離箇所としてマーキングされ視認性にすぐれ
視野が狭いなどの trade-off がつきものなが
た 3D 画像を提供することが可能となった。
ら、今回のような工夫でより安全な手術が
今回提示している症例の紹介
可能という点が素晴らしい。ワークステー
手術記録:患者は糖尿病性腎症による末期腎
ション活用における努力が感じられ、画像
不全で維持透析中で、生体腎移植を予定され
の有用性も高い非常に明確な画像処理とい
ており、その際の精査にて CAD が判明した。
えるだろう。今後は汎用性の向上に期待し
短期での血行再建が少ない抗血小板製剤の使
たい。
用で可能であることから CABG を希望され
AZE 展レポート 2015 No.5 007
“血管表示下仮想気管支内視鏡画像”肺野末梢性病巣に対する経気管支肺生検(TBLB)の支援画像
株式会社 AZE マーケティング部 阪本 剛
入
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
画像 2
賞
画像 3
画像 1
画像 4
画像 5
部位
頭頚部
胸部
モダリティー
心臓
CT1 列
CT2 列
CT4 列
CT320 列
MR 0.5T
未満
CT6 列
CT8 列
CT10 列
CT16 列
CT32 列
CT40 列
CT64 列
PET
超音波診断
装置
●
腹部
下肢
CT128 列
■
その他
CT256 列
MR 0.5T 以上 MR 1.0T 以上 MR 1.5T 以上
1.0T 未満
1.5T 未満
3.0T 未満
MR 3.0T
以上
SPECT
画像作成時間
(応募時の段階、不慣れなオペレータの場合)
画像作成時間
(ルーチン化した場合、慣れたオペレータの場合)
応募作品の説明:経気管支肺生検(TBLB)
とは気管支内視鏡下で肺病巣から直接細胞を
採取する検査法である。検査前に CT 画像を
元に経路を設定した後に仮想内視鏡表示に
よって、ある程度のシミュレーション画像を
得ることが可能である。しかしながら実際の
手技にあたって肺野末梢性病巣の場合は鉗子
が組織に到達しないケースや気管支が病巣に
到達していないケースも存在する。このよう
な場合、気管支壁を経由して細胞採集を行う
が、並走している肺血管(肺動脈)を避け生
検を施行する必要がある。しかしながら実際
の気管支内視鏡、及び従来の仮想気管支鏡の
表示方法では並走する動脈を同定することは
不可能である。このような事情を顧みて考案
された本手法はカラーマップを気管支内視鏡
008 AZE 展レポート 2015 No.5
表示において最適に調整することによって実
現できる。
画像
1. 右葉 B6b 抹消側に病巣部。ここに対して
仮想内視鏡のルートを作成(1 分)
。
2. 病巣部到達。緑の円は病巣部存在方向を
示す(VP のアノテーション機能を利用)
。
従来の仮想内視鏡表示及びカラーマップで
は病巣方向にどのような構造物が存在する
かを知ることは不可能である。
3. 本件で提案するカラーマップは気管支壁を
程よく透かすと同時に血管構造を強調する
事ができる。このため病巣方向に動脈の存
在が明らかになる。
4. 従来表示法と提案手法の比較。カラーマッ
その他
10 分以内
10 分以内
プをテンプレート登録しておけば表示変更
は一瞬で可能。
5. このような手法と同時に Raysum 表示に
ルートを描画する画像を表示することで、
実際の検査時における放射線透視画像も
シミュレートできる。病巣に対する最適な
ルート選択をサポート可能である。
審査員コメント:ワークステーションを活
かして、実際の気管支内視鏡下では確認で
きないような肺動脈の同定までできてお
り、出血等の検査の安全性にも貢献してい
るといえる。カラーマップの特性をよく理
解し、目的に合わせて良く調整された画像
解析だと感じた。
椎骨動脈解離の評価に役立つ BPAS 画像の 3 次元化を利用した Fusion 画像
翠清会 梶川病院 検査部 大屋 光司
入
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
部位
頭頚部
賞
モダリティー
胸部
心臓
CT1 列
CT2 列
CT4 列
下肢
その他
CT256 列
CT320 列
MR 0.5T
未満
CT6 列
CT8 列
CT10 列
CT16 列
CT32 列
CT40 列
CT64 列
CT128 列
MR 3.0T
以上
SPECT
PET
超音波診断
装置
その他
●
腹部
MR 0.5T 以上 MR 1.0T 以上 MR 1.5T 以上
1.0T 未満
1.5T 未満
3.0T 未満
■
画像作成時間
(応募時の段階、不慣れなオペレータの場合)
画像作成時間
(ルーチン化した場合、慣れたオペレータの場合)
応募作品の説明:当院では、椎骨脳底動脈の
解離疑いの患者に対して MRI で BPAS 撮像
を行っている。椎骨動脈は、左右いずれかが
もともと低形成なことがあり、椎骨動脈解離
に対する MRA では動脈解離と低形成の判別
は難しい。そこで BPAS を追加撮像し、椎
骨動脈が「MRA で描出なし &BPAS で描出
あり」のパターンであれば、解離もしくは血
栓形成が起きていることが診断できる。しか
しながら、従来の撮像法は、斜台に平行な厚
めのスライス(20mm 程度)を 1 枚だけロ
カライズするため 1 枚の画像で平面評価し
かできず、目的血管を走行に沿った角度で
撮像できなければ評価が難しいという問題
点がある。そこで、当院では FSE 系の 3D
撮像(heavy-T2SPACE)行い、その元画像
を MPR 処理し 5 枚程度の BPAS 画像とし
て再構成処理を行っている。今回、BPAS に
heavy-T2 SPACE を 用 い て い る 事 を 生 か
し、BPAS と MRA の元画像をワークステー
ションに送り、それぞれ VR 画像にし、フュー
ジョンを試みた。BPAS は脳槽内の血管を低
信号域として描出しているため、3D 化には
工夫が必要である。リージョングローイング
機能を使い、脳槽部の低信号域を画像として
抽出しオパシティを調整することにより、椎
骨脳底動脈の血管壁を 3D で観察することが
可能になる。
さらに、
MRA の 3D とフュージョ
ンすることにより、三次元で BPAS と MRA
の血管像を比較し、どの方向からも評価が可
能になる。通常の BPAS ではわからない前
後方向の解離や動脈硬化による狭窄などの鑑
別、患者へのインフォームドコンセントに役
立つ。また、椎骨動脈解離の診断以外にも、
11 ~ 20 分
10 分以内
血管走行の把握のためにも 3D-BPAS は有用
である。例えば、動脈硬化で血管の拡張、蛇
行が強い場合、MRA で乱流による信号欠損
で狭窄、閉塞に見える場合でも、BPAS の
3D 化で実際の血管構造を視覚的に捉えるこ
とができる。
審査員コメント:解離の診断は元画像だけ
では困難なこともあり、大変有用な方法
であると考えられる。血管内腔の 3D 画像
と、適切なオパシティーで作成された外形
の 3D 画像を fusion することで、病態が立
体的にわかり易く表現されている。それら
の輪郭の違いは興味深く、さらなる検討を
期待したい。
AZE 展レポート 2015 No.5 009
胸腔鏡補助下手術において深部微小肺病変部の術中の位置特定に仮想気管支鏡ナビゲーションが有用だった 1 例
ベルランド総合病院 放射線室 奥中 雄策
入
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
部位
頭頚部
胸部
モダリティー
心臓
CT1 列
CT2 列
CT4 列
CT320 列
MR 0.5T
未満
CT6 列
CT8 列
CT10 列
CT16 列
CT32 列
CT40 列
CT64 列
PET
超音波診断
装置
●
腹部
下肢
賞
CT128 列
■
その他
CT256 列
MR 0.5T 以上 MR 1.0T 以上 MR 1.5T 以上
1.0T 未満
1.5T 未満
3.0T 未満
MR 3.0T
以上
SPECT
画像作成時間
(応募時の段階、不慣れなオペレータの場合)
画像作成時間
(ルーチン化した場合、慣れたオペレータの場合)
応募作品の説明:
【背景・目的】微小肺病変 【方法】仮想気管支鏡ナビゲーションによる病
に対する切除術を胸腔鏡補助下で行う場合、 変部の位置特定は前日に行い、画像を PACS
へ保管し、術中に閲覧できるようにした。今
当院では術前に CT ガイド下でフックワイ
回は念のため手術直前に CT ガイド下でフッ
ヤーを使用し経皮的にマーキングを行う。し
クワイヤーを病変部付近の可能な限りの深さ
かし、病変部が深部に存在する場合、隣接す
に留置した。術中に病変部まで気管支鏡を到
る他臓器との解剖的位置関係から穿刺が非常
達させ、部屋を暗くし、気管支鏡の光によっ
に困難となる。そして、合併症として気胸や
て病変部を特定しマーキングし、胸腔鏡補助
出血、肺の血管が大きく損傷されることで起
下で切除した。
こる空気塞栓などの危険性がある。また、こ
れ以外の術前マーキングの方法としては、気 【結果】仮想気管支鏡ナビゲーションによっ
て、気管支鏡が病変部に速やかに到達し、位
管支鏡によってバリウムやリピオドールなど
置を特定することが可能であった。
を注入する方法もあり、病変部の特定には仮
想気管支鏡によるナビゲーションを使用した 【考察】フックワイヤーによる CT ガイド下
マーキングは、病変部が深い場合、正確に留
報告もある。今回、我々は深部微小肺病変の
置することが困難で、胸腔鏡下で肉眼的に肺
マーキングとして、術中に気管支鏡を用いて
表面のワイヤーを確認できても、胸膜に穴を
位置を肉眼的に特定した症例を経験し、仮想
開けた時点で肺が収縮し、表面と深部の位置
気管支鏡によるナビゲーションが有用であっ
関係は予測困難となってしまう。しかし、気
たので報告する。
010 AZE 展レポート 2015 No.5
その他
31 〜 60 分
21 〜 30 分
管支鏡が病変部位を的確に特定することで切
除が迅速に行えた。今回の深部微小肺病変
は抹消の気管支の近辺であったことが有利で
あった。しかし、気管支鏡を使用する上で、
仮想気管支鏡ナビゲーションを併用すること
の有用性が示唆された。
審査員コメント:治療に直結するワークス
テーションの活用法として臨床的有用性が
高い作品である。手術時間短縮ひいては手
術の安全性にもつながっており、手術支援
として 3D 画像解析が大きな役割を果たし
ている。仮想内視鏡モードは最近よく行わ
れる手法であるため、もう一工夫加えた活
用法に期待したい。
歯科解析を使用した曲面部位への CPR 画像の有用性
平鹿総合病院 放射線科 阿部 駿
入
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
IM1
賞
IM2
IM3
部位
頭頚部
胸部
●
●
腹部
下肢
モダリティー
心臓
CT1 列
CT2 列
CT4 列
CT320 列
MR 0.5T
未満
CT6 列
CT8 列
CT10 列
CT16 列
CT32 列
CT40 列
CT64 列
PET
超音波診断
装置
CT128 列
■
その他
CT256 列
MR 0.5T 以上 MR 1.0T 以上 MR 1.5T 以上
1.0T 未満
1.5T 未満
3.0T 未満
MR 3.0T
以上
SPECT
その他
●
画像作成時間
(応募時の段階、不慣れなオペレータの場合)
画像作成時間
(ルーチン化した場合、慣れたオペレータの場合)
応募作品の説明:肋骨や椎弓などの曲面部位
には、骨に対して 1 断面は全体を左右対称に
MPR で描出し比較できるが、それ以外の断
面は一部、もしくは片方のみで全体を左右対
称に描出できない。
(IM2)
今回歯科解析の CPR を使用することで、左
右対称に比較できる断面を追加し、CT での
診断能向上が期待できる画像の提供が可能と
なる。
画像作成方法は CT 画像を歯科解析で起動し、
ナビゲーター表示から目的部が左右対称にな
るようにスライス角度調節する。次に目的部
位に点をプロットする。最後に CPR 画面を
見ながらポイントの位置を左右対称になるよ
10 分以内
10 分以内
う微調整する。
(IM1)約 3 〜 5 分程度で画
像作成が可能で、同時に多断面を観察できる
ため、特に救急外来での頬骨・鎖骨・肋骨・
骨盤骨折が疑われる症例に有用性が期待でき
る。
(IM3)
審査員コメント:CT 歯科解析ソフトにこ
のような使い方があったのかと脱帽した。
発想や適応対象が良く、簡便で診断価値の
高い画像が得られるという点で高く評価で
きる。再現性が高いのであれば、AZE の
標準ソフトウェアに組み込んでも良いので
はないかと感じた。
AZE 展レポート 2015 No.5 011
心臓 CT による冠動脈支配灌流領域の定量評価の有効な活用法
名古屋ハートセンター 放射線科 坂倉 徳哉
入
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
部位
頭頚部
胸部
賞
モダリティー
心臓
CT1 列
CT2 列
CT4 列
CT320 列
MR 0.5T
未満
CT6 列
CT8 列
CT10 列
CT16 列
CT32 列
CT40 列
CT64 列
CT128 列
PET
超音波診断
装置
●
腹部
下肢
その他
■
CT256 列
MR 0.5T 以上 MR 1.0T 以上 MR 1.5T 以上
1.0T 未満
1.5T 未満
3.0T 未満
MR 3.0T
以上
SPECT
画像作成時間
(応募時の段階、不慣れなオペレータの場合)
画像作成時間
(ルーチン化した場合、慣れたオペレータの場合)
応募作品の説明: ボロノイ分割を用いた冠
動脈の支配灌流領域を割合(%)で表すこと
のできるソフトが新しく開発された。この技
術を CABG の術前シミュレーションに活用で
きるのではないかと考えた。
我々の施設では、CAG を施行し CABG が決
まった患者さんで腎機能が正常の場合、術前
に冠動脈 CT を積極的に施行している。目的
はより正確な吻合をするため CAG では分か
りづらい吻合予定部の詳細な形状評価と IMA
の形状評価である。CABG を施行するにあた
り、どのグラフトを吻合するかは術前に決め
て施行するが、なるべく支配灌流領域の大き
い冠動脈に吻合することが望ましい。その方
012 AZE 展レポート 2015 No.5
法は術者が術前の冠動脈造影(CAG)を見て
決定しているがそれを、このソフトを用いて
支配灌流領域を数字(%)で表すことで、よ
り確実に支配灌流領域の大きな冠動脈に吻合
することができると考えられる。
このソフトは日常のルーチンで作成した後に、
ワンクリックで支配領域の計測のモードに入
ることができ計測したい枝のどの場所からで
も、何か所でも簡単に計測することができる。
当院のグラフトデザインは RITA を LAD 領域
(前壁)
、LITA を LCX 領域(側壁)
、SVG で
RCA 領域(下壁)をカバーする完全血行再建
を前提としている。特に右冠動脈末梢や対角
枝周辺の吻合予定の場合、どちらを優先させ
その他
11 〜 20 分
10 分以内
て吻合するかの判断に非常に有用であると考
えられる。
審査員コメント:臨床に直結するアイデア
が詰まった方法であるといえる。CT によ
る冠動脈の支配領域への評価は、今後必要
になってくる画像処理だと実感した。形態
(volume)に機能(梗塞心筋の除外など)
の factor が加味できればさらにステップ
アップできるのではないか。
2015
石灰化を伴った両側腎動脈瘤
松戸市立医療福祉センター 東松戸病院 放射線科 佐々木 寛人
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
左側腹痛にて受診し尿潜血 1+とエコー上では
左腎に小結石があり、KUB を撮影したところ両側
腎門部付近に顕著な石灰化がみられ、腫瘍等を鑑
別するため CT 施行となった。
動脈相の 3D-CT を AZE VirtualPlace 風神にて
作成し、両側腎門部付近にある顕著な石灰化は腫
瘍に伴うものではなく腎動脈との連続性もあり石
灰化を伴った両側腎動脈瘤であることがよくわか
る。
また、尿管 MIP の作成により石灰化を伴った両
側腎動脈瘤による腎盂・腎杯の圧迫・異常がない
ことがよくわかる。臨床的に有用な画像が作成で
きた。
回盲部における回腸側隆起病変の描出
徳島健生病院 放射線部 岩野 晃明
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
40 代女性。全身倦怠感、食欲不振のため近医より大
腸 CT 目的で紹介された。大腸の走行は S 状結腸が右
側でループし横行結腸から盲腸の走行が左腹部よりに
偏在していた。
背臥位の撮影は、回盲部回腸側が拡張不良で指摘で
きなかった。腹臥位の撮影は、大腸側バウヒン弁は正
常であったが、回腸側には隆起病変を認めた。2D 画
像は隆起病変存在の説得性に欠けるが、仮想内視鏡画
像は隆起病変の存在が明確となり後日に行われた内視
鏡画像と同様であった。
大腸内視鏡検査では長い大腸と変異のため盲腸への
到達は容易ではなかった。回盲部到達後バウヒン弁か
ら回腸側へと内視鏡を進めたが、死角となり隆起病変
の確認は難しかった。しかし、隆起病変の位置は大腸
CT にて判明しているため丁寧に観察すると確認でき
た。もし、最初に大腸内視鏡検査を行っていたら回腸
側隆起病変は見逃されていた可能性もあった。
この隆起病変は腸管が拡張されていない CT 画像で
は指摘困難で、大腸精密検査の中でも大腸 CT 検査の
みが指摘できる可能性があったと思われる。本症例
は、大腸 CT 解析時に 3D 画像のみでなく 2D 画像も
丁寧に観察し、小腸側へ経路を引いたことで回腸側病
変を見逃さず診断と治療に役立った。
AZE 展レポート 2015 No.5 013
仮想内視鏡画像におけるポリープと残渣の色分け
徳島健生病院 放射線部 岩野 晃明
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
仮想内視鏡画像における魚眼モードは半月ひだ
の裏表が同時に観察可能で有用である。しかし、
仮想内視鏡画像をカットした断面を同時に観察す
ることは不可能である。そこで、仮想内視鏡画像
上でポリープと残渣、残液を色分け可能にしたカ
ラーマップを作製した。
カラーマップ制作において朱色を粘膜面、緑色
をポリープ、白をタギング残渣と残液とした。展
開図においてもポリープと残渣が判別可能となっ
た。
カラーマップ作成時は、ビームハードニングの
影響から各色の閾値、不透明度の設定に苦労した。
完成したカラーマップにより、一目でポリープ
と便の判別が可能となり解析時に非常に有用と
なった。
coronary VE strategy にて PCI に成功
岡山旭東病院 放射線課 松本 武司
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
他院にて PCI ができず、bypass を薦められた
が断り、セカンドオピニオンで PCI を施行するも
cross せず。当院に相談があり、画像解析を行っ
た。CPR 像では難なく cross するように見えたが、
VE で走行を確認したところ、順行性には cross が
困難であることが判明。GW を aループにするこ
とで cross でき PCI に成功した症例である。患者
様も bypass をせずにすんだ。冠動脈を内腔から観
察することも重要であることが分かった。
014 AZE 展レポート 2015 No.5
2015
マルチボリューム内視鏡を用いた eTSS の手術支援画像の検討
地方独立行政法人 大牟田市立病院 中央放射線部 川口 悦郎
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
MRI により下垂体腫瘍の評価を行い、術式が
eTSS と決まれば、術前画像はナビゲーション用
の CT,MRI を撮影している。
eTSS の術前で得ておきたい画像情報は鼻粘膜、
鼻腔内、蝶形骨洞、トルコ鞍、内頚動脈、腫瘍な
どがある。術前で撮影されている画像よりこれら
の情報を得ているが、fusion させ、仮想内視鏡画
像を作成することにより、術中内視鏡画像に近い
画像が得られ術前のシミュレーションに有用と考
えた。術中内視鏡画像と CT-MRI fusion VE 画像
を比較したので報告する。
肺塞栓症と急性心筋梗塞を合併した症例において CT 検査において右心房と肺静脈のシャントが描出された一例
一宮市立市民病院 放射線技術室 長谷川 謙司
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
42 歳女性。失神、呼吸苦を主訴に救急搬送。経過及
び検査所見により肺塞栓症が疑われ、造影 CT を施行。
右肺動脈の上葉枝、下葉枝、左肺動脈の中葉枝、下葉
枝に血栓像を認め、急性肺塞栓症と診断された。また
心電図でⅡ、Ⅲ、aVF、V3 から V6 において ST 上昇
を認めた。また、心エコーでは D サインを認めず、前
壁中隔の壁運動低下を認めた。また、4chview など
で明らかな左右心房間シャントは認めなかった。緊急
PCI が施行され、LAD の血栓(赤色血栓)を吸引し再
灌流した。閉塞部に動脈硬化は認めず、吸引のみで終
了。急性心筋梗塞の理由を明確にするため、肺動静脈
を含めた心臓 CT を施行、右心房から肺静脈へのシャ
ントが明らかに認められた。3DCT 画像の赤色が肺静
脈、青色が右心房、黄色がシャント通路で肺静脈天井
と右心耳が繋がっていることがわかる。また、LAD
の開存も明瞭である。このことにより、急性前壁心筋
梗塞の原因は塞栓症であり、塞栓源は肺塞栓症合併か
らも、異常血管による一時的な右左シャントによる奇
異性塞栓によるものと思われる。今回の症例は CT 画
像からシャントが存在することがわかり、診断を決定
でき、非常に CT が有用な一例である。今回の症例を
通じて、我々、診療放射線技師は検査の目的を理解し、
CT 撮影、画像処理を行わなければならないと考えさ
せられる一例であった。
AZE 展レポート 2015 No.5 015
非侵襲的微少血管減圧術支援画像 CT/MRI Multi Modality fusion の有用性
函館脳神経外科病院 放射線科 藤本 勤
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
微少血管減圧術において横静脈洞や S 状静脈洞等、静脈
の走行や原因血管と神経の位置関係を術前に把握しておく
事は手術をスムーズに進める上で非常に重要である。画像
のポイントは、造影剤を全く使用しない非侵襲的な検査で
骨・静脈・動脈・神経を描出している点である。3DCT(骨)
をベース画像とし 3TMRI 3D-TOF 法(動脈)、PC 法(静
脈)
、神経 MRI(CISS 法)をそれぞれ fusion する。fusion
は Auto 機能で行い最終的に技師が目視で位置ずれが無い
か確認する。ただし、PC 元画像は血管の信号しか無く位
置合わせが難しいため、撮像時同時収集される位置情報が
同じ 3DTIW にてレジストレーションを行い、入れ替え機
能で PC を fusion した。顔面神経 VR はマスク修正機能の
マニュアルトレースにて抽出した。技師がマルチボリュー
ムで作成した手術支援 3D 画像で術前に医師が開頭範囲を
シュミュレーションをする。作成画像は PACS 上で動画で
観察できるようにしている。
fusion 画像と実際の術中写真を比較した。PICA と第 9.10
脳神経の位置関係、PICA と REZ の位置関係が fusion 画
像と術中写真と同じである。また術中写真では第 7.8 脳神
経が確認出来ないが fusion 画像では第 7.8 脳神経も確認出
来るため手術を行う上で有用であると担当医師から評価を
受けている。
3D、T2 強調画像による Volume 画像を用いたダヴィンチ前立腺全摘術の術前シュミレーション
聖路加国際病院 放射線科 鈴木 貴晴
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
前立腺の形はさまざまで、膀胱や尿道との間に
明確な境界があるわけではない。また膀胱と前立
腺は立体的に接している。そのため、経験に基づ
き、触診や視覚を頼りに切除境界を決めるが、ダ
ヴィンチを用いた手術ではその触診ができない。
MRI、3DT2 強 調 画 像 を 用 い て 膀 胱、 前 立 腺、
精嚢を 3D 構築することにより、術前に位置関係
を 3D で提供することができる。
また、複雑な知識を必要とせず、簡便に 3D 画
像が作成できる。
016 AZE 展レポート 2015 No.5
2015
水腎症の原因検索に画像処理が有用であった症例
小川赤十字病院 放射線科部 田中 達也
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
腎下極へ向かう腎動脈が尿管を釣り上げたこと
により通過障害が起こり、水腎症をきたした症例。
水腎症の原因検索目的で実施した腹部単純造影
CT 検査。単純 CT にて明らかな原因を示す所見
が無かったため、血管走行や尿管腫瘍を確認する
ために動脈相を含めた造影 CT を行った。CT 本
体モニターでのアキシャル画像で異常所見を見つ
けることができず、VirtualPlace 上にてサジタル
画像を確認したところ腎下極へ向かう血管が尿管
を釣り上げている所見を見つけた。画像診断医や
診療科医師が 1 画像で理解できるような画像処理
を心掛けた。ボリウムレンダリング上では腎下極
へ向かう原因血管を他の血管と色分けし、水腎に
なった腎盂・腎杯は元画像上で 1 枚ずつ抽出した。
腎盂・腎杯については輪郭のみのマスクも作成し、
原因血管が透けて見えるようにオパシティカーブ
を調整した。
直腸がんの仮想注腸像による RS、RA、RB 分類支援画像
JA 岐阜厚生連 岐北厚生病院 小倉 早紀
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
直腸がんは、他の結腸がんと比較すると肛門括約筋切除
により人工肛門を作らなければならない等、重大な後遺症
が残る可能性があるため難しいとされている。現在の直腸
がんの手術は、RS がんは前方位切除術、RA がんは低位前
方切除術、RB がんは直腸切断術+人工肛門造設術と 3 つ
に分類される。
そのため、直腸がんが RS、RA、RB のどこに存在して
いるかが、今後の治療方針に大きくかかわるため重要に
なってくる。
当院では、大腸内視鏡で手術の適応になる大腸がんが発
見された場合、大腸内視鏡の後にコロノグラフィーと造影
CT を行っている。特に大腸がんが、直腸にある場合は、
ワークステーションでコロノグラフィーの解析を行った
後、仮想注腸像を作成し、さらに CT の MPR に重ねるこ
とで、RS、RA、RB の分類を行っている。当院でコロノ
グラフィーがはじまる前は、直腸がんがあった場合、注腸
透視を行いがんの位置を確認していた。また、その後さら
に造影 CT を別で行っていた。しかし、コロノグラフィー
導入後は、大腸内視鏡の後すぐにコロノグラフィーと造影
CT を同時に行うため、一度で検査が終わるようになった。
注腸透視のためにもう一度前処置をする必要もなくなり、
患者の負担が減り、さらに被ばくの低減につながっている。
また、注腸透視では、大腸と骨の情報しか得られなかった
が、仮想注腸像と MPR を重ねることでさらに、骨盤腔内
の前立腺や膀胱等の臓器の位置や血管の走行、さらに周囲
のリンパ節の状態等を総合的に判断できるようになり多く
の情報が得られるようになった。
AZE 展レポート 2015 No.5 017
ムンテラ用 右冠動脈と左冠動脈の multi-volume-view 〜全ては患者様のために〜
協仁会 小松病院 放射線科 浦木 隆行
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
当院は月間 140 件の冠動脈 CT 検査を実施している。解
析は VR 像、Angio 像、Curved 像、Lumen 像を作成しており、
患者様の説明用として VR 像を利用している。VR 像は冠
動脈模型や心臓模型と併用し説明する事で患者様に伝わり
やすく、治療を要するような狭窄を認める場合は、患者様
に治療の必要性を理解してもらいやすく、スムーズに心臓
カテーテルへと進める。
当院では冠動脈 CT 検査の 1 割〜 2 割ほどだが、左右冠
動脈を別 Ph で作成しなければならない。この場合、VR
像が 2 つになってしまい、患者様がイメージしにくい状況
になっている。この状況を簡単に解決できるのが「ムンテ
ラ用 右冠動脈と左冠動脈の multi-volume-view 〜全ては
患者様のために〜」である。作成はシンプルで、右冠動脈
の最適 Ph で右冠動脈を作成、左冠動脈の最適 Ph で左冠
動脈と心臓、大血管を作成し、両者を合成すれば完成であ
る。両者を作成していれば合成に要する時間は 2 〜 3 分と
手間もかからない。
提示した症例は合成 VR 画像の一例である。左下降枝 #6
に Curved 像と Lumen 像で高度狭窄を疑ったため、心臓
カテーテル検査の必要性をこの VR 像を用いて患者様に説
明したところ、即日カテとなった。結果、IFR0.83 であり
ステント治療となった。
3D 画像は病変と周囲の関係性が解り易く、医師の術前
把握等に役立つ。よって、作成する技師は医師のために
3D 画像を作成している感になりがちだ。もちろん医師の
ために作成する事は、結果として患者様のためになるが、
技師として患者様の身になって作成する 3D がもう少し
あってもいいのではと感じている。「患者様のための画像」
これが最大のアピールポイントである。
MinIP を使用し、3D-Black-Blood 画像を自由自在に表現する方法
製鉄記念八幡病院 放射線部 大下 剛史
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
MRI にて頚部 3D-Black-Blood 法を冠状断で撮
像した場合、後処理として長軸矢状断 MPR を作
成する。この場合、通常はダブルオブリークを使
用し、なるべく長く血管が描出されるように作成
する。しかし、この方法では断面を決定した方向
のみ角度を変えることが可能で、何度も角度の調
整が必要になる。今回、提案する方法は MinIP を
使用しボリューム全体で画像を作成するものであ
る。方法は、黒く描出された対象とする血管をな
るべく直線状になる角度に表示し、その血管に対
し平行に MPR を作成することで、簡単かつ明瞭
に長軸の血管描出ができる。しかも MinIP 画像は
血管の全体像が描出されているため、CPR を容易
に作成することができる。CPR 画像では、エコー
と同じように血管を描出でき、狭窄率の解析も可
能である。3D-Black-Blood 画像を MinIP 処理す
ることで、3D 画像情報を最大限にひきだすことが
できたと考える。
018 AZE 展レポート 2015 No.5
2015
腹部大動脈ステントグラフト内挿術後 typeⅡ endoleak
社会医療法人 敬愛会 中頭病院 放射線部 井戸 昭博
使用ワークステーション:ZIOSTATION
腹部大動脈ステントグラフト内挿術後の
endoleak 確 認 CT で SMA か ら ア ー ケ ー ド を 介
して IMA からの造影剤の流入が見られ、typeⅡ
endoleak を指摘される。瘤径の拡大も見られるた
め、IVR にて塞栓術を行う前にカテーテルの長さ
を決定するために W,S にて鼠径部〜 IMA、IMA
〜ステント内の距離計測を行い、塞栓術のサポー
トを行うことができた。
魚骨迷入し、内視鏡・喉頭ファイバーにて同定できず単純 CT にて明瞭に確認できた症例
国保日高総合病院 放射線科 竹内 希
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
和歌山の特産物のクエで起こった魚骨の迷入症
例。鯛などでは報告もあるが、クエでも骨の形状
が似ており、放置しておくとどんどん先が迷入し
ていく事がわかった。警鐘を鳴らす意味でも報告
する価値があると思い、症例報告した。一度誤飲
すると、咽頭喉頭内や消化管での穿刺のリスクが
あり、もし穿刺がおこると、このようにどんどん
先が迷入し、数日もすれば膿瘍形成に至ることも
あるため、早期の抜去が必要である。今回は、内
視鏡や喉頭ファイバーでも確認できず、また CT
にて魚骨の先端が甲状腺を貫いていることが診断
の決め手となり、外来処置は不可能と判断し、3
次救急病院へ搬送となった。あらためて、魚骨は
不用意に飲み込まないように注意喚起を行ってい
きたい。
(CT5:声帯、CT6:食道、CT7:甲状腺
との位置関係を示す)
AZE 展レポート 2015 No.5 019
大腸癌術前 3D きれいに早く
JA 岐阜厚生連 揖斐厚生病院 放射線科 平松 達
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
消化管領域において、腹腔鏡手術の術前検査として
血管走行の 3D 描出は日常行われている。当院におい
ては、腫瘍にむかう動脈と静脈の描出を行う。動脈は、
動脈相において比較的容易に描出することが可能であ
る。静脈は以前、平衡相にて作成していたが、静脈と
動脈、周囲臓器の CT 値差が小さく分離するのに苦労
した。今回、動脈相にて、静脈の描出を試みた。動脈
相を使用するため、多時相をマルチボリュームにて重
ね合わせた場合のミスレジストレーションがない画像
が作成可能である。
動脈相は、動脈と腫瘍が濃染されているタイミング
の画像を使用することにより、静脈と動脈、周囲臓器
の CT 値差は大きく 3D 表示し易い。方法としては、
造影されていない静脈にコメントツールの赤のポイン
トをつけていき走行を確認しカットツールにて不要な
部位をカットしていき静脈のみを作成する。動脈は、
造影されているため容易に作成でき、マルチレイヤー
にて重ね合わせ表示をし、術前支援画像を作成する。
同一時相にて作成するためミスレジストレーションが
ない画像が作成できる。
肺部分切除術のための VE 及び 3DCT 画像
社会医療法人 北海道恵愛会 札幌南三条病院 放射線部 平野 真理
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
当院では視覚や触診で確認できない小さな病変の
部分切除の際、バリウムでマーキングしている。気
管支鏡下でバリウムを留置し VATS(video assisted
thoracic surgery)により部分切除を行う。今回バリ
ウムを留置する気管支の特定及び気管支鏡のナビゲー
ト、手術のための画像をワークステーションで作成し
た。安全で迅速な手術の一助となった画像を紹介す
る。部分切除のためのバリウムは病変と適切なマージ
ンを取り、胸膜に近い位置に置かれることが望まれる。
気管支は複雑な走行をしているので AX 画像で気管支
を特定し、特定した気管支にバリウムを留置するのは
度々困難である。
①マーキングに適した気管支を特定するために有用な
画像を作成した
②部分切除を行う外科医、バリウムを留置する内科医
がマーキングをする気管支を決定した
③気 管支鏡下でのバリウム留置をナビゲートするVE
画像を作成した
④バ リウム留置後CTを撮影し、手術を支援する画像
を作成した
紹介した症例は計画通りの気管支にマーキングで
き、適切な範囲を切除できた。
020 AZE 展レポート 2015 No.5
2015
閉塞血管に対する Slab MIP
三愛病院 放射線科 池田 一樹
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
今回の症例では下部腹部大動脈〜大動脈壁の石
灰化が目立ち、右の外腸骨動脈及び総腸骨動脈の
完全閉塞が見られ DAS にて右大腿動脈にて閉塞
部の貫通を試みるため、補助となる画像の作成を
行った。
方法
画 像 表 示 法 と し て Slab MIP お よ び VR +
Reformat 画像の fusion 画像を作成した。冠動脈
CT において Slab MIP は CTO など血管閉塞病変
の形状把握など MIP や VR では把握が困難な部位
に有用である。DSA 透視下で認識できない血行が
把握できるためガイドワイヤーの進行の補助とな
る。
Slab MIP は下肢領域においても画像表示法とし
て同様の有用性があると思われる。さらに VR +
Reformat 画像の fusion 画像と合わせて使用する
事で、より正確に閉塞部位の形状把握が期待でき
る。
安全に経鼻挿管を行う為の、CT 画像を用いたローゼンミュラー窩の描出
近畿大学医学部附属病院 中央放射線部 小西 達郎
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
当院において経鼻挿管を行う際、鼻腔内から出血が起き、
挿管が困難であった事例が発生した。後にその患者の CT
画像を検証すると、鼻腔内のローゼンミュラー窩が非常に
大きく、その中にカテーテル先端が入り込んでいたことが
推察できた。
危険回避のため、経鼻挿管前に CT 画像(過去に検査を
行っている場合)でローゼンミュラー窩の形状を確認した。
なお、CT 画像は thin slice の Axial 像を用いた。これは、
ローゼンミュラー窩は非常に小さい例もあり、通常のスラ
イス厚の画像では確認が困難なためである。
更に、ローゼンミュラー窩の大きな症例では、Volume
Rendering や Virtual Endoscopy を作成することで、より
視覚的に確認しやすい画像を提供できた。
Volume Rendering で は、 空 気 の み 抽 出 す る Opacity
Curve で表示し、ローゼンミュラー窩の形状を確認しやす
くした。また、ローゼンミュラー窩の形状のみではなく、
咽頭内の形状も確認できるよう、広範囲での作成を行った。
矢印で示す奥に突出している部分がローゼンミュラー窩
である。
今回のように、外見からは確認できないローゼンミュ
ラー窩の情報を手技前に提供することは、臨床現場におい
て大変実用的である。また、広範囲の Volume Rendering
を用いることで、大量の thin slice 像を確認するより、容
易に咽頭内部の情報も提供できる。今回作成した支援画像
は、安全な経鼻挿管を行う上で有用であると、医師の評価
も高い。
AZE 展レポート 2015 No.5 021
コイル塞栓術後の緊急動脈瘤クリッピング:マルチボリューム内視鏡モードの応用
医療法人社団 水光会 宗像水光会総合病院 脳神経外科 木下 良正
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
以前より臨床現場でマルチボリューム内視鏡の
必要性を感じ開発を要望していたが、本手法が可
能になり有用な症例を経験したので報告する。本
症例は重症のくも膜下出血症例であり、血管撮影
時に動脈瘤からの出血が持続していることが判明
し緊急で出血部位のみコイル塞栓を実施した。非
常に脳圧が高いため、時間をかけて十分なコイル
塞栓術ができないと判断してコイル塞栓術に引き
続いて脳内血腫除去および残存動脈瘤に対する緊
急クリッピング手術が施行された。コイル塞栓術
前の 3DCTA 画像にコイル塞栓術後の単純ヘリカ
ル CT をフュージョンして血腫除去の手術シミュ
レーションを行った。続いて、コイル塞栓時の回
転 DSA の原画像にコイル塞栓術後の CT 画像マル
チ内視鏡モードで合成して動脈瘤内のコイル形状
を画像化してクリップをかけることが可能か検討
した上で手術が実施できた。
造影剤減量での、S 状結腸癌術前 3D 血管構築の症例
社会医療法人 生長会 府中病院 放射線室 山野 英司
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
S 状結腸癌に対する腹腔鏡下手術の術前 3D 血管
構築の CT オーダー。
術 前 の 採 血 結 果 で eGFR41 で あ っ た た め 造 影
剤 減 量 の 指 示 が あ り、 通 常 術 前 3D 画 像 作 成 の
注 入 造 影 剤 量 は 650mgI/kg の と こ ろ、2 割 減 の
520mgI/kg で行った症例。
IMA の抽出は容易である一方、IMV、SMV の
抽出は動脈、腸管との分離に時間を要するが、閾
値モードとリージョングローイングを活用しマル
チレイヤーで合成することで容易に作成する事が
可能であった。
022 AZE 展レポート 2015 No.5
2015
腹腔鏡下術前 CT-Colonography
東京勤労者医療会 東葛病院 放射線室 安藤 健一
使用ワークステーション:Extended Brilliance Workspace
当 院 で は、Philips 社 製 40 列 CT と 同 社 の 純 正 WS を 使 用
し て お り、 い わ ゆ る third party WS は 未 導 入 で あ る。CTColonography で必要とされる、大腸用自動炭酸ガス送気装置、
専用 WS・大腸解析専用ソフト等は有していない。そうした制
約のある状況の中で、外科医の要望に応え、臨床的に有用な
術前検査を目指し、それぞれの専門性をいかした検査ストラテ
ジーを構築した。
1.腸管残液の除去
背臥位 1 方向撮影とするため、腸管残液の排泄に着眼した。
具体的には CT 検査直前に X 線透視下にて大腸を中等度拡張
させ体位変換を駆使して残液を深部結腸より S 状結腸肛門側に
移動させ、そのままトイレで空気の圧力を利用して残液を排泄
させる。精度の高い手技により、残液をしっかり除去する事が
でき残液による鏡面状態を回避できた。
2.腸管拡張
CT 寝台にて軽度の体位変換を併用してルームエアを用手的に
注入し残液鏡面像の無い、均一で良好な腸管拡張を得た。ここ
までの一連の手技は注腸 X 線検査に習熟した技師が担当した。
3.支配血管の同定
支配血管の同定については、末梢描出を考慮し、空間分解能
を高めるため、小焦点を選択し、また高フラクショナルドーズ
と亜硝酸スプレーの使用を組み合わせることにより確実に末梢
血管まで描出することができた。
4.画像再構成と画像表示
大腸解析専用ソフト等がなく、fusion 機能が使用できないた
め、CTA 像と Air 像を同時に表現するテンプレートを opacity
等の調整により自作で作成し、大腸 Air 像と病変、支配血管を
明確に表示することができた。
今症例では、腹腔鏡術前に必要とされる、大腸の全体像・病
変の局在、大きさと深達度、明瞭で正確な血行支配領域の同定
が可能で、手術支援画像と患者 IC に有用な検査であった。
肺血流シンチグラフィと DynamicCT の重ねあわせによる画像支援
一宮市立市民病院 放射線技術室 鈴木 悠介
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
44 歳男性、眩暈にて他院受診。肺塞栓症にて紹
介となった。
肺血流シンチグラフィを行い乏血領域を確認し、
後日 DynamicCT を行った。
肺血流の検査として肺血流シンチグラフィや
CT が一般的に行われている。しかし、CT のみで
は血栓の評価は可能であるが血流の評価は難しい。
また、肺血流シンチグラフィでは CT 撮影も行っ
ているのだが、当院の SPECT-CT は列数が少な
いため撮影時間が長く息止めが難しいため血管の
評価が難しい。
そこで 2 つの画像をワークステーションにて重
ね合わせることで、より詳細な病態評価が可能に
なる。
今回の患者に関しては右の中葉に血流の欠損を
認め、CT における血栓部位とマッチしている。
更に別々で作成した VR 画像を重ね合わせるこ
とにより、どの枝が乏血領域の責任血管であるか
が判別しやすい画像の提供を行うことができた。
AZE 展レポート 2015 No.5 023
心臓 CT におけるカラーマップを用いた distal embolism の予測についての検討
一宮市立市民病院 放射線科 稲波 由浩
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
安 定 狭 心 症 に 対 し て、PCI や POBA を 行 っ た
場合、distal embolism が原因と考えられる slow
flow や no reflow を時折経験する。
我 々 の 施 設 で は、AZE の ワ ー ク ス テ ー シ ョ
ン 風 神 を 使 用 し、 心 臓 CT に お い て、Positive
remodering, ring-like appearance, などを認めた場
合はカラーマップを用いて、任意のスライス断面
で色分けを行い、赤色と黄色が多い場合は円グラ
フを活用し、事前に distal embolism が考えられ
るため、末梢の内腔径などを計測し最初から末梢
保護デバイスを留置している。
大動脈解離における真腔・偽腔の血流評価
神戸市立医療センター西市民病院 放射線技術部 宇都宮 隆
使用ワークステーション:SYNAPSE VINCENT
大動脈解離の診断ポイントとして、どこから解
離しているかと、真腔と偽腔の血流走行と支配領
域が重要となる。それを評価するにはアキシャル
画像でマウスを動かしながら何度もみて真腔・偽
腔を評価していた。VR でも確認するが、血管が
同一の色だと偽腔がすぐにはわかりにくい。
この症例は、下行大動脈から解離が認められる
症例だが、右の腎動脈は偽腔より分岐している。
これを VR でさらに真腔と偽腔を色分けすること
により VR 一枚ですぐに支配領域が直観的にわか
るようになった。
この検査は特に凝った撮影や WS 処理をするわ
けでもなく、大体の WS で作成することができる
ところがポイントである。
024 AZE 展レポート 2015 No.5
2015
大動脈腸骨動脈閉塞症の画像表示法
三愛病院 放射線科 谷口 亮太
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
今回の症例では、典型的な Leriche 症候群を認
める。
腎動脈分岐から遠位側において大動脈の完全閉
塞あり。
IMA も閉塞。
内腸骨及び外腸骨動脈も広範囲に閉塞している。
腹壁動脈及び、SMA を介した collateral の発達
あり。
VR + Reformat 画像の fusion 画像を用いる事で、
より閉塞部位の形状把握が期待でき、画像表示法
として有用であると思われる。
CT color mapping fusion image を用いた、骨折椎体の視覚的治療効果判定方法
独立行政法人 国立病院機構 呉医療センター・中国がんセンター 中央放射線センター 定岡 大祐
使用ワークステーション:SYNAPSE VINCENT
椎体骨折での骨癒合評価は、最終的には X 線動態撮影による
不安定性の有無で評価されることが多い。また、CT 検査も一般
的で椎体の骨癒合過程をある程度判別可能であるが、海綿骨あ
るいは皮質骨のどの部分でどの程度骨量が増加したかまでは分
かり得ない。そこで、受傷時とその後経時的に撮影した CT 画
像から CT color mapping fusion image を作成することで、骨
癒合過程をより詳細に把握する新しい視覚的評価方法を考案し
た。対象は新規椎体骨折を受傷し、受傷時とその後経時的に CT
を撮影した患者で 1. 受傷時撮影された CT 画像を WS へ転送。
2. MPR 機能により骨折椎体を上、中、下部のそれぞれ水平断面
で、椎体の中心部とその前後左右の 5 点に取った計 15 点の ROI
の平均値を海面骨の CT 値とし、同様に椎弓・椎弓根の皮質骨 3
点に取った計 9 点の ROI の平均値を皮質骨の CT 値とした。3. そ
れぞれを WW の下限・上限値として WL を決定。これをベース
ラインカラーマップとし、経時的に撮影された CT 画像に WS
上でフュージョンし MPR にて評価を行った。症例は、テリパラ
チド製剤未使用(プラセボ症例)、テリパラチド週 1 回製剤投与
(テリボン症例)、テリパラチド連日製剤投与(フォルテオ症例)
による保存的治療を行った 3 症例である。プラセボ症例につい
ては非骨折椎体・骨折椎体ともに 12 週の時点でも CT 値の変化
はごく僅かであるが、テリボン症例・フォルテオ症例について
は非骨折椎体では 12 週の時点でも CT 値の変化は見られないの
に対し、骨折椎体では 4 週の時点から CT 値の増加を認め 12 週
の時点ではさらにその変化量が増大し、範囲も拡大しているこ
とが一目瞭然であり、視覚的理解が容易である。本法は比較的
簡便に骨量の経時的・視覚的な変化を把握可能であり、今後骨
粗鬆症性椎体骨折の治療効果判定に用いられる一つの有用な手
法となり得ると考えられる。
AZE 展レポート 2015 No.5 025
当院における腎細胞癌の術前シミュレーション検査
北海道社会事業協会 帯広病院 画像診断科 堀内 努
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
症例は腎細胞癌疑いで精査のため planeCT+3phaseCT
がオーダーされた。当院では腎精査の 3phase の撮影タイ
ミングは、動脈相・腎実質相・排泄相である。しかし、こ
の症例の場合、planeCT にて腎細胞癌を疑わせる所見に加
えて同側の腎静脈奇形の所見も見られた。術前シミュレー
ションの血管 3D 再構成をするには、腎静脈の状態を考慮
するとそれを腎実質相のデータから作成するのは困難であ
ると判断し、動脈相と腎実質相の間に静脈相として追加撮
影した。通常の術前シミュレーション 3D には、被曝を考
慮して追加撮影せずに腎実質相のデータを用いている。今
回は追加撮影することで高い CT 値が得られ、詳細な 3D
を作成することができた。しかし、追加撮影による被曝を
無視することはできないので、静脈相の線量は他より低い
値とし再構成フィルター・3D フィルターを使用すること
で画質を向上させた。腎摘出術は、通常 1 本の静脈を止め
ることで施行されるが、この症例のような奇形の場合には
分岐後の 2 本を止める必要があり、その手術のシミュレー
ションとしてこの画像が非常に有用である。この症例は検
査後のカンファレンスの結果、部分切除となり血管に触れ
ることはなかったが、摘出術を選択されていればこの画像
が有用であったであろう。また今回の撮影では静脈相の線
量を抑えたが、3D に使用しない腎実質相・排泄相の線量
を抑えた 4phase 撮影を施行することで被曝線量を増加さ
せずに 3D の画質を担保できる方法を検討して、術前シミュ
レーションとしてのルーチン撮影法にしていきたい。
T2 Volume 画像と TOF 画像の Fusion による、椎骨脳底動脈の評価
医療法人社団 松弘会 トワーム小江戸病院 放射線科 田代 真吾
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
頭 部 MRA に て、TOF 法 に よ る VR 画 像、MIP 画
像にて、稀に椎骨動脈が描出不良になり、低形成であ
るか、狭窄であるか鑑別が困難な場合がある。
当院では、T2 Volume image の Flow void 特性を
利用した椎骨脳底動脈の血管内腔評価を行なってい
る。
TOF 法による、VR、MIP 画像で描出されない部位
も T2 Volume image にて血管構造が把握でき、狭窄
の診断に役立てている。
AZE ワークステーションを使用し、TOF 画像と T2
Volume 画像を fusion させることにより、血管腔の内
部構造と flow の視覚的評価が容易になる。
今回の症例では MIP、VR 共に右椎骨動脈−脳底動
脈合流部の狭窄が疑われる。T2 Volume 画像で血管
内腔は保たれているが、Fusion 画像から、血管腔内の
Flow が周囲の血管 Flow に比べ低下していることが明
白になり、血管内腔の狭窄が示唆される。血管構造の
低形成化は否定できる。
この事から、TOF 法による VR、MIP 画像の補助的
な画像解析法として有用だと思われる。
026 AZE 展レポート 2015 No.5
2015
MR 細血管解析を用いた神経根の描出
医療法人社団 松弘会 三愛病院 放射線科 大塚 忠義
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
当症例は腰椎第二神経根と第三神経根の外側型
ヘルニアによる圧迫症例である。
今回、MR-Myerography 像から、MR 細血管解
析を使用して、同神経根を Curved MPR にて表示
することにより神経根の圧迫、狭小化の度合いを
評価してみた。
また、VR 画像を作製することができ、患者本
人にとって病態について理解していただくことに
有用と思われる。
頚椎後方固定術における椎骨動脈とペディクルスクリューの位置関係の評価
医療法人 慈愛会 梶浦病院 検査部 木村 保之
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
頚椎の環椎軸椎亜脱臼の症例において、スクリュー
挿入に際し、椎骨動脈の走行は必要不可欠な術前情報
である。そのため、術前ルーチン検査として 3DCTA
検査を行っているが、この画像と、術後ルーチン検査
である単純 CT をフュージョンすることで、術後のス
クリューと椎骨動脈の位置関係を簡易的に評価した。
術後に 3DCTA を行った場合、スクリューによるメ
タルアーチファクトで血管走行の評価が困難になる。
これを避けるためには、カテーテルによる血管撮影検
査が必要となり、患者様の負担も大きくなるが、アー
チファクトの影響がない術前 3DCTA の椎骨動脈を
フュージョンさせることで、スクリューとの位置関係
を簡便に評価できた。
椎骨動脈は骨の中を走行するため、姿勢による影響
を受けにくいため、比較的正確な評価ができたと考え
る。
「術者からのコメント」
簡易的とは言え、画像処理のみで、追加の検査無く、
術直後にスクリューと血管の位置関係を評価出来る事
は、術者に安心感を与えるものであり、今後もこの応
用があらゆる手術に適応できれば幸いである。
AZE 展レポート 2015 No.5 027
同期を用いた単純胸部 CT 撮影による左房形態評価
医療法人 五尽会 岡山ハートクリニック 放射線科 河本 拓人
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
心房細動の治療において肺静脈隔離術(PVI)は非常に有
効であり、PVI を施行するにあたり左房の形態情報は重
要である。そのためには造影 CT を用いた 3D マッピング
が有用であるが、造影剤アレルギーや腎機能低下がある患
者には使用出来ない。当院ではそのような患者に対し、同
期を用いた胸部単純 CT を撮影し、PVI で必要な左房の形
態情報を 3D 画像で作成している。また、術後三か月目に
follow up における単純 CT でも 3D 画像で評価を行ってい
る。
作成した同一患者の同期・非同期の単純 CT と造影 CT
での 3D 画像を図に示す。当院では当初は非同期で 3D 画
像を作成していたが同期を用いることで、画像のブレなど
が軽減され組織との境界が明瞭になることで、鮮明にかつ
作成時間を短縮して 3D 画像を作成できるようになった。
造影 CT による 3D 画像と比較しても単純 CT でも同期を
用いることにより形態情報が評価出来ることがわかる。
しかしながら、単純 CT での形態評価には①作成に時間
がかかる。②息止めや不整脈に画質が左右されることがあ
る。③細かい部分などの評価が困難。などデメリットもあ
げられる。
だが、造影剤が使用できなかった心房細動の患者が PVI
を施行出来るようになったことは非常に大きなメリットで
はないかと思われる。
今後は不整脈による画質低下の対策やより作成時間の短
縮など、よりハイクオリティな画像を提供出来るよう一層
努力していきたいと考えている。
3T-MR による高コントラスト機能画像および高分解能形態画像を用いた膵臓癌進展範囲の可視化
千葉大学医学部附属病院 放射線部 安藤 浩樹
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
本症例では、MRI における最新技術である「局所励起法併用
型 拡 散 強 調 画 像(FOCUS)」と「Computed diffusion weighted
imaging(cDWI)」による高コントラスト機能画像と 3 Tesla MR
装置(3T-MR)による高分解能形態画像を FUSION させること
で、診断の難しい進行型膵癌の進展範囲を「誰がみてもわかりや
すい画像」で描出する試みを行ったので報告する。
MRI は多彩な撮像方法で病巣の性状に即した様々なコント
ラストの機能画像を得ることが可能であるため、その臨床的有
用性は非常に高い。また、3T-MR の普及による MRI の高分解
能化や撮像技術および解析手法の革新は著しい。本症例では、
MRI の最新技術を 2 つ用いている。1 つは、従来の DWI の問
題点であった画像の歪みや低い SNR を解決し、高分解能 DWI
を撮像可能な FOCUS である。2 つ目は、撮像後の DWI から細
胞間に存在する水分子の拡散の低下をより強調した画像(つま
り、悪性腫瘍の特徴を描出した画像)に変換可能な cDWI であ
る。この 2 つの技術を用いて、腫瘍の進展範囲(炎症の広がり)
を描出した画像と膵癌自体を描出した画像の 2 つの機能画像を
作成した。しかし、この 2 つの機能画像は周囲組織との位置関
係の把握が乏しい画像であるという欠点がある。そのため、作
成した機能画像に 3T-MR の特徴をいかした高分解能 MRCP の
volume rendering を FUSION し、位置情報を明確にした。こ
れにより、膵臓癌進展範囲が明瞭に描出された 3D 画像が作成さ
れた。
本画像の意義は、熟練した放射線科医でも困難な進行癌の進
展範囲を直感的に把握できることである。MRI の最新技術と 3D
画像作成技術をコラボレーションさせることで、画像診断が臨
床に貢献できる役割はさらに大きくなると考える。
028 AZE 展レポート 2015 No.5
2015
悪性リンパ腫と骨髄浸潤を視覚的に分離した SUV カラースケール 3D 画像
福山市民病院 医療技術部放射線科 平田 清士
使用ワークステーション:ZIOSTATION
悪性リンパ腫に加えて多発骨髄浸潤を伴う場合、体幹全
体に複数の集積を伴うことにり、特に傍大動脈や腋窩など
リンパ腫と骨が密接する場所では両者の集積が混在した状
態となる。MIP や PET のグレースケール・2D 画像におい
てこの 2 つの病変を視覚的に分離することは煩雑であり、
CT との Fusion 画像においても容易とは言い難い。患者
さんの立場からすると、視覚的な理解はさらに困難となっ
ていると考えられる。今回作成した 3D 画像では、悪性リ
ンパ腫と骨髄浸潤を別のカラースケールで表示することに
よって容易に病変部を分離して確認することが可能とな
る。さらに、3D 表示であることから、診察の際に Dr 側か
らは説明しやすく、患者さん側では理解しやすい画像であ
ると思われる。カラースケールも SUV を反映させたもの
であり、集積の程度は 2D と同様となっている。
また、この画像を治療の前後で作成することによって、
各部位の治療効果が明瞭に確認できるのではないかと考え
ている。
画像作成においては PET 画像から CT 画像の骨を引き
算することで簡単にリンパ腫と骨病変部の分離表示するこ
とが可能となっており特別な技術は必要とされない。た
だ、SUV を反映するカラースケールが用意されていないの
が問題としてあるが、使用機器とワークステーションとの
カウントに対する変換係数を出しておけば各症例に対して
常に反映することが可能となる。
Non-subtraction 法における FSBB-3D 画像の描出
医療法人 河内友紘会 河内総合病院 放射線部 難波 昭典
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
TOF で左中大脳動脈 M1 完全閉塞を疑い Flow
Sensitive Black Blood(FSBB)法で閉塞部以降の
血流の有無を確認した。
Flow Sensitive Black Blood(FSBB)法は血流信
号を Dephase させ血流の早いものから遅いものま
で、血流のある血管を黒く描出する撮影法である。
しかし、血管のみならず空気(副鼻腔)や骨も黒く
描出される為、3D-Minip 表示は非常に難しく、
2D-Minip で観察するのが主であった。また、3D
画像を作成する場合は条件の異なる FSBB 法用い
て Subtraction をする方法しかなかった。
そこで今回、ワークステーションを用いてセミ
オートで任意の臓器を抽出する機能を使用し、脳
実質のみを抽出することで、簡単に 3D-Minip 画
像が作成できた。また、グレースケールを反転す
ることで、TOF などで馴染みのある White Blood
の 3D 画像で血管評価を行うことが出来た。
今回の症例では閉塞部位の同定や閉塞部以降の
血流の存在、側副血行路の走行などを 3D 画像で
明瞭に描出することができ非常に有用であった。
AZE 展レポート 2015 No.5 029
小児の生体肝移植に対する手術支援画像
独立行政法人 成育医療研究センター 放射線診療部 今井 瑠美
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
当センターでは、親から子への生体肝移植が開院以来 300 例
を超え、件数・実績共に世界でもトップレベルといえる。CT 部
門では、移植肝の Volume を計測し、手術時のサポートを行っ
ている。ドナーから取り出した移植肝は、通常、レシピエント
の体重の 1 〜 4%移植する。術中、移植予定の肝臓の重量を計
測し、それを体積として計算している。通常は、全肝臓と外側
区域の体積を計測するが、近年は、体の小さな小児に対しては、
S2 領域をトレースして移植することにより術後の経過が良好に
なると報告されている。また、肝移植の際に、肝動脈や肝静脈、
門脈の走行まで脈管の情報も重要である。今回、S2 領域の肝臓
Volume を計測した 1 例を報告する。
37歳男性:
使用造影剤:オイパロミン370
造影タイミング:4ml/sec注入、29-54-84sec後撮影
再構成法に MBIR 法(veo)を利用したことにより、従来から
使用している逐次近似を応用した画像再構成法(ASiR)よりノイ
ズ成分が除去された。また、コントラスト分解能も向上し、3D
画像処理作成に有用な画像が得られた。
ワークステーションにてドナーの Volume 計測をすると全肝
臓の体積は 1215.72ml、外側区域の体積は 225.12ml だった。術
中の取り出した外側区域の重量は 246g で、ほぼ計測値と実測値
は等しい値が得られた。さらに、レシピエントの体重は 4.2kg
だったので、そのままの重量で移植するには少々大きくトレー
スが必要だった。S2 領域の計測値は 125.0ml、実測値は 146g だっ
た。S2 領域をトレースする際に重要な A2 は肝動脈より、A3 は
左胃動脈より分岐し、門脈・肝静脈の走行異常がないことが確
認できる。術前のサポートとして役に立った症例である。術後
は良好である。
オリーブオイルを注入し腹臥位にて撮影を行った膀胱腫瘍の症例
小川赤十字病院 放射線科部 髙井 太市
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
血尿を主訴とした 51 歳女性。膀胱腫瘍疑いで腹部
から骨盤の単純+造影の CT の依頼を受けた。
膀胱内に陰性造影剤としてオリーブオイルを注入し
て Scan を実施。単純 CT にて膀胱内右側壁から後壁
にポリープ状の隆起性病変を認めたため、病変部の形
状を明確にするために腹臥位にて Scan を行った。
膀胱壁の Vascularity や栄養血管を確認するために
動脈相を撮影した。また、病変部が尿管口に近いため、
排泄相の撮影を追加し、尿管への浸潤や位置関係を明
確にした。
画像処理は MPR 処理に加えて、仮想内視鏡は 3D
モードにて膀胱と尿管のマスクを分離して色分けした
ものを魚眼投影法で観察することで全体の位置関係を
明確にするように努めた。
VR では、動脈相で病変部および栄養血管、排泄相
で膀胱および尿管、オリーブオイル、膀胱内の空気を
マスク分けし、フュージョンすることにより診断や術
中のシミュレーションとして使用できるよう努めた。
なお、明らかなリンパ節転移は画像上認められなかっ
たため VR での抽出は行っていない。
030 AZE 展レポート 2015 No.5
2015
PLIF における手術支援画像
奥州市総合水沢病院 放射線科 高橋 伸光
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
PLIF(Posterior Lumber Interbody Fusion: 後
方腰椎椎体間固定術)は、腰部脊柱管狭窄症など
で圧迫された脊髄の除圧や変形辷り症による不安
定腰椎の固定などを目的に行なう手術である。手
術は棘突起の切除、椎間板の摘出、椎弓根(ペディ
クル)スクリュー、ケージの挿入、固定等の手順が
ある。中でもペディクルスクリューの挿入は透視
下で刺入位置を確認し慎重に行われる。当院では、
執刀医の希望により、術前 3DCT 像に挿入位置の
マーキングを行ってきた。現在は、より安全な手
技、シミュレーションを目的に 3D-fusion 画像(CT
+3D MR myelography)作成と仮想スクリュー像
の提供を行っている。
2D-image にて椎弓根の位置の同定、おおよそ
のスクリュー挿入角度を決定。3D-image 上、ド
リルツールでドリリングし、マスクを反転する
ことで仮想スクリューを得る。今後、ME-PLIF,
TLIF などのシミュレーションにも有用な可能性
があると考えている。
副腎静脈の 3D 構築から術前支援について
社会医療法人 友愛会 豊見城中央病院 放射線科 金城 一史
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
当院ではこれまで原発性アルドステロン症(PA)の患者
様に対して、IVR にて行われる ACTH 負荷副腎サンプリ
ング検査(AVS)から外科的腹腔鏡下までの治療を約 100
症例経験してきた。共に手技的困難を要するのが、右副腎
静脈の下大静脈(IVC)にほぼ直下に分岐する細い静脈血管
であり静脈血管は個体差が大きいのが特徴であるため、造
影 CT による副腎静脈血管の 3D 構築が術前情報としての
役割は大きいのが現状となっている。
2014 年 2 月 ま で は SIEMENS 64 列 CT 装 置 に て ヨ ー
ド造影剤の投与量を 660mgI/kg とする単位時間あたり注
入量を可能な限り高めるために 23 秒注入固定で撮影を
行っていた。同年 3 月に 320 列 CT(東芝 Aquilion ONE/
ViSION Edition)が導入され、160mm 幅の Area Detector
CT(ADCT)によるボリュウムスキャンが行えることか
ら、横隔膜下の臓器の重なりを考慮した最大呼気の 1.5 秒
スキャンにおいて、管電圧を 100kV とするヨード造影剤を
600mgI/kg まで低減とした良好な結果で副腎静脈の 3D 構
築が行えるようになった。
右腎静脈から IVC に合流する点から IVC より合流する
右副腎静脈の椎体 Level と長さが AVS 手技のカテアプロー
チの目安となり、椎体と IVC に分岐する右副腎静脈血管を
示す 3D の位置情報はサンプリングまでの時間短縮と的確
なる採血率の向上となり患者負担も軽減される。また、柔
らかいノイズの少ない関数と AIDR 3D を用いた肝臓実質
と IVC について再構成し副腎静脈との重ね合わせで 3D を
構築することで、視野の狭い外科的腹腔鏡下の副腎摘出に
たいする術前情報としての役割は大きいことから術前まで
を考えた一連の造影検査を一回で提供できるようになっ
た。
AZE 展レポート 2015 No.5 031
マスク画像のフュージョンを用いた CARTO 用画像の有用性
平鹿総合病院 放射線科 阿部 駿
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
心房細動に対する PV isolation において CARTO を使用する
ことで心腔内局所電位・通電部位やカテーテルの位置情報を処
理し、リアルタイムに 3D 像を構成することができる。さらに
3D-CT を重ね合わせることで詳細な構造物の形態情報も同時に
得ることができ、手技の向上や合併症の軽減に役立つ。
しかし、3D-CT を使用するためには、治療開始前に CARTO
で CT 画像を読み込み、左房・右房・食道などを抽出処理し
3D-CT 作成する必要がある。左房焼灼後の食道傷害を起こさな
いために、左房と食道の位置関係を CARTO 上でも把握するこ
とが重要であるが、食道は左房・右房と違い周囲組織とのコン
トラストがつきにくいため、抽出には時間がかかり、CARTO
オペレーターの事前の作業負担が大きくなっている。
今回の CARTO 用画像を用いることで、CT 値による抽出処
理で 3D-CT 作成できるので、CARTO での作業時間が約 20 分
程度から 5 分程度に短縮できた。
CARTO 用画像の作成方法は、食道を抽出したマスクを反転
したマスク画像とマスク操作をしない通常の CT 画像をリスラ
イスで同じスライス厚・スライス間隔の thin slice 画像を作成す
る。作成した thin slice 画像からフュージョンを用いて平均化し
た画像を作成し、再度リスライスで thin slice 画像を保存する。
これにより食道の CT 値のみが−500 程度になる。さらに左房を
抽出した CARTO 用画像を作成する場合は、左房のみ抽出した
マスク画像を加算することで CT 値を引き上げることができる。
CARTO 用画像は、通常の 3D 画像作成に 5 分程度の時間で作成
が可能であり、さらに CARTO 上に AZE で作成した左房・右房・
食道などの 3D-CT と同等の 3DCT 画像を提供できる。
マルチモダリティーによる脊髄硬膜動静脈瘻の治療支援画像
新さっぽろ脳神経外科病院 放射線科 藤部 敏哉
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
マルチモダリティでの画像作成において 3DDSA を
用いられることはあまり多くはないが、今回の症例で
は CTA が描出不良であったため、精査 DSA の 3D 画
像を MRI と CT で fusion した。
3D fusion design
・M RミエロでCSFを抽出し処理をおこない硬膜とし
た。
・M Rミエロでは水成分以外は不鮮明なため、同一位
置でT2(dess法)を撮影。
・3D DSAでは位置合わせのためwide FOVで撮影、
画質をあげるため最大の512matrixで再構成。
・CTAが描出不良のため今回は骨のdataと位置合わせ
のみに使用。
CTA で は 得 ら れ な い 詳 細 な DSA の 血 管 情 報 と
3TMR による解剖学的な情報を fusion し提出すること
でドクターからは、綿密な治療計画や塞栓デバイスの
選択(今回はコイルと NBCA を使い分け、塞栓)
、塞
栓できなくてもスムーズな外科的治療への移行など術
者の心理的な負担も緩和できるとのことだった。
今回、マルチモダリティーによる脊髄硬膜動静脈瘻
の支援画像は非常に有用であった。
032 AZE 展レポート 2015 No.5
2015
非造影 MRI における VATS(胸腔鏡下肺切除術)前 virtual imaging
国家公務員共済組合連合会 熊本中央病院 放射線科 堀野 由香梨
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
近年 CT 装置の進歩により微小病変や淡いすりガラス陰
影を主体とする早期がんが増加した。これらを背景に典型
的な開胸手術から、より低侵襲な胸腔鏡手術へと移行しつ
つある。この胸腔鏡下手術は小さな創から行う手技であ
り、肺動静脈の剥離操作は高度な知識、技術が必要である。
このため、この手術において三次元的な把握は重要となる。
この肺動静脈を分離し三次元的に把握するのは造影剤を用
い、肺動静脈分離するタイミングで撮像可能な造影 CT が
優れているが、まれに低腎機能や造影剤アレルギーのため
造影剤を用いることができない患者も存在する。
今回は造影剤アレルギーのため造影 CT に代わり非造影
MRI で撮影した肺動静脈を、AZE 社ワークステーション
にて三次元化した。
SSFP 系のシーケンスで肺動静脈を撮影したものを、ま
ずは肺静脈を region growing 機能や 2D 上でのマニュアル
抽出し、そのあと全体から抽出した肺静脈を引き算した。
このことにより、同時相の肺動静脈分離が可能になった。
肺静脈の抽出に時間はかかるものの、肺動脈は正確に抽出
された肺静脈があれば、数分で作成可能である。
右 S1 にすりガラス影があり、右上葉切除術を施行する
予定であった。すりガラス影に直接関連する脈管は A1,A2
であり解剖学的所見では、A1,A3 は上幹動脈、A2 は中間
肺動脈幹より分岐しており、肺動脈、肺静脈ともに三次元
化された画像にてバリエーション確認も容易であり、この
シミュレーションのおかげで造影剤を用いずとも胸腔鏡下
手術を安全に行うことができた。
同時マルチソフトウェア処理による簡便、時短、術前画像作成
JCHO 九州病院 画像診断センター 川㟢 直正
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
当院では胸腔鏡下肺区域切除術前に肺動静脈 CTA 検査
を行い、術前マッピング画像作成を行っている。胸腔鏡は
視野が狭いことから肺動静脈の詳細な走行を把握すること
が必須であるが細部までの画像処理には時間と手間がかか
り技師間の差も生まれやすい。そこで AZE の特徴である
ソフトウェア間のレイヤーを活かせる機能を用いて複数の
ソフトウェアで同時に処理を行い、重ね合わせ画像を作
成する事とした。また画像処理しやすいデータ収集の工夫
として肺動静脈分離撮影を行った。当院は初期型の 64 列
CT 装置で検査を行っているがテストインジェクションに
て肺動脈と肺静脈のタイミングを測り、ハイピッチとハー
フ再構成を用いて一回の息止めで高速 2 回撮影を行い、少
量の造影剤で注入時間を限りなく短くすることで右心系の
造影と左心系の造影に分けることができた。これにより骨
除去のみでそれぞれの VR 作成がおわり、気管も 3D 気道
解析で簡便に描出し、マルチボリュームで重ね合わせする
ことで簡便かつ短時間で画像提供することができた。今回
の左上葉肺癌の症例を示す。左上葉に S1+S2 に 25mm の
mixed GGO を認め、肺癌と診断。左肺動脈は A3、A1+
2 分岐後に A1+2c が舌区動脈(葉間型)や A6 の分岐レベ
ルで独立して分岐している。左上葉肺静脈は semi-central
vein 型である。この画像を元に胸腔鏡下左上葉上区区域切
除術が行われ、安全な手術に貢献できた。今回の方法は簡
便でかつ短時間で処理が終わり、さらに技師の処理能力差
をなくすことができるため有用である。
AZE 展レポート 2015 No.5 033
尺骨神経
公立学校共済組合 関東中央病院 放射線科 天野 淳
使用ワークステーション:AZE VirtualPlace
肘を曲げた時に生じる神経の脱臼を検査した。
神経を描出するのに歪みを低減した RESOLVE を
使用し、尺骨神経を描出した。また神経のオリエ
ンテーションを把握するため 3D T1 強調画像を撮
影し、肘関節の骨部を抽出しフュージョンするこ
とによって神経と骨との関係、屈曲時の神経路と
の関係を描出した。症例は神経の脱臼は無かった
が、今後このような症例においての画像診断の一
助になると期待している。
中咽頭 Car に対する前外側大腿皮弁採取撮影
福山市民病院 放射線科 三好 孝昌
使用ワークステーション:ZIOSTATION
中咽頭 Car に対し前外側大腿皮弁採取を行う。
皮弁に使用する血管は外側大腿回旋動脈のため大
腿深動脈〜外側大腿回旋動脈にかけてを色分けし、
またその血管が末梢までしっかり造影させるため
に血管拡張剤(ニトログリセリン)を使用するとと
もに CT のスキャン速度を 0.75 と遅くすることで
タイミングをあわせ撮影することが出来た。また
血管と皮膚との画像を合わせることで位置関係を
把握するうえでも分かりやすい画像が出来た。
034 AZE 展レポート 2015 No.5