医薬品インタビューフォーム - バイエル薬品医療関係者向け情報

2010 年 10 月改訂(改訂第 30 版)
日本標準商品分類番号:876241
医薬品インタビューフォーム
日本病院薬剤師会の IF 記載要領 2008 に準拠して作成
広範囲経口抗菌剤
処方せん医薬品注)
処方せん医薬品注)
注)注意-医師等の処方せんにより使用すること
剤
形
フィルムコーティング錠
製 剤 の 規 制 区 分
処方せん医薬品
規
量
シプロキサン錠 100mg:1 錠中シプロフロキサシン 100mg 含有
シプロキサン錠 200mg:1 錠中シプロフロキサシン 200mg 含有
名
和名:塩酸シプロフロキサシン
(JAN)
洋名:Ciprofloxacin hydrochloride(JAN,INN)
一
格
・
般
含
製造販売承認年月日
薬価基準収載・発売年月日
製造販売承認年月日:1988 年 3 月 29 日
薬価基準収載年月日:1988 年 5 月 27 日
発 売 年 月 日:1988 年 7 月 4 日
開発・製造販売(輸入)・
製造販売元:バイエル薬品株式会社
提携・販売会社名
医薬情報担当者の連絡先
問 い 合 わ せ 窓 口
バイエル薬品株式会社・くすり相談
電話番号:0120-106-398 FAX:06-6344-2249
医療関係者向けホームページ
http://www.bayer-hv.jp/hv/
本 IF は 2010 年 10 月改訂の添付文書の記載に基づき改訂した.
最新の添付文書情報は,医薬品医療機器情報提供ホームページ http://www.info.pmda.go.jp/にて
ご確認ください.
IF 利用の手引きの概要
-日本病院薬剤師会-
1. 医薬品インタビューフォーム作成の経緯
医療用医薬品の基本的な要約情報として医療用医薬品添付文書(以下,添付文書と略す)が
ある.医療現場で医師・薬剤師等の医療従事者が日常業務に必要な医薬品の適正使用情報を活
用する際には,添付文書に記載された情報を裏付ける更に詳細な情報が必要な場合がある.
医療現場では,当該医薬品について製薬企業の医薬情報担当者等に情報の追加請求や質疑
をして情報を補完して対処してきている.この際に必要な情報を網羅的に入手するための情
報リストとしてインタビューフォームが誕生した.
昭和 63 年に日本病院薬剤師会(以下,日病薬と略す)学術第 2 小委員会が「医薬品インタ
ビューフォーム」(以下,IF と略す)の位置付け並びに IF 記載様式を策定した.その後,医
療従事者向け並びに患者向け医薬品情報ニーズの変化を受けて,平成 10 年 9 月に日病薬学術
第 3 小委員会において IF 記載要領の改訂が行われた.
更に 10 年が経過した現在,医薬品情報の創り手である製薬企業,使い手である医療現場の
薬剤師,双方にとって薬事・医療環境は大きく変化したことを受けて,平成 20 年 9 月に日病
薬医薬情報委員会において新たな IF 記載要領が策定された.
2. IF とは
IF は「添付文書等の情報を補完し,薬剤師等の医療従事者にとって日常業務に必要な,医
薬品の品質管理のための情報,処方設計のための情報,調剤のための情報,医薬品の適正使
用のための情報,薬学的な患者ケアのための情報等が集約された総合的な個別の医薬品解説
書として,日病薬が記載要領を策定し,薬剤師等のために当該医薬品の製薬企業に作成及び
提供を依頼している学術資料」と位置付けられる.
ただし,薬事法・製薬企業機密等に関わるもの,製薬企業の製剤努力を無効にするもの及
び薬剤師自らが評価・判断・提供すべき事項等は IF の記載事項とはならない.言い換えると,
製薬企業から提供された IF は,薬剤師自らが評価・判断・臨床適応するとともに,必要な補
完をするものという認識を持つことを前提としている.
[IF の様式]
① 規格は A4 版,横書きとし,原則として 9 ポイント以上の字体(図表は除く)で記載し,
一色刷りとする.ただし,添付文書で赤枠・赤字を用いた場合には,電子媒体ではこ
れに従うものとする.
② IF 記載要領に基づき作成し,各項目名はゴシック体で記載する.
③ 表紙の記載は統一し,表紙に続けて日病薬作成の「IF 利用の手引きの概要」の全文を
記載するものとし,2 頁にまとめる.
[IF の作成]
① IF は原則として製剤の投与経路別(内用剤,注射剤,外用剤)に作成される.
② IF に記載する項目及び配列は日病薬が策定した IF 記載要領に準拠する.
③ 添付文書の内容を補完するとの IF の主旨に沿って必要な情報が記載される.
④ 製薬企業の機密等に関するもの,製薬企業の製剤努力を無効にするもの及び薬剤師をは
じめ医療従事者自らが評価・判断・提供すべき事項については記載されない.
⑤ 「医薬品インタビューフォーム記載要領 2008」(以下,「IF 記載要領 2008」と略す)に
より作成された IF は,電子媒体での提供を基本とし,必要に応じて薬剤師が電子媒体
(PDF)から印刷して使用する.企業での製本は必須ではない.
[IF の発行]
① 「IF 記載要領 2008」は,平成 21 年 4 月以降に承認された新医薬品から適用となる.
② 上記以外の医薬品については,
「IF 記載要領 2008」による作成・提供は強制されるもので
はない.
③ 使用上の注意の改訂,再審査結果又は再評価結果(臨床再評価)が公表された時点並
びに適応症の拡大等がなされ,記載すべき内容が大きく変わった場合には IF が改訂さ
れる.
3. IF の利用にあたって
「IF 記載要領 2008」においては,従来の主に MR による紙媒体での提供に替え,PDF ファイ
ルによる電子媒体での提供を基本としている.情報を利用する薬剤師は,電子媒体から印刷
して利用することが原則で,医療機関での IT 環境によっては必要に応じて MR に印刷物での
提供を依頼してもよいこととした.
電子媒体の IF については,医薬品医療機器総合機構の医薬品医療機器情報提供ホームペー
ジに掲載場所が設定されている.
製薬企業は「医薬品インタビューフォーム作成の手引き」に従って作成・提供するが,IF
の原点を踏まえ,医療現場に不足している情報や IF 作成時に記載し難い情報等については製
薬企業の MR 等へのインタビューにより薬剤師等自らが内容を充実させ,IF の利用性を高める
必要がある.また,随時改訂される使用上の注意等に関する事項に関しては,IF が改訂され
るまでの間は,当該医薬品の製薬企業が提供する添付文書やお知らせ文書等,あるいは医薬
品医療機器情報配信サービス等により薬剤師等自らが整備するとともに,IF の使用にあたっ
ては,最新の添付文書を医薬品医療機器情報提供ホームページで確認する.
なお,適正使用や安全性の確保の点から記載されている「臨床成績」や「主な外国での発
売状況」に関する項目等は承認事項に関わることがあり,その取扱いには十分留意すべきで
ある.
4. 利用に際しての留意点
IF を薬剤師等の日常業務において欠かすことができない医薬品情報源として活用して頂き
たい.しかし,薬事法や医療用医薬品プロモーションコード等による規制により,製薬企業
が医薬品情報として提供できる範囲には自ずと限界がある.IF は日病薬の記載要領を受けて,
当該医薬品の製薬企業が作成・提供するものであることから,記載・表現には制約を受けざ
るを得ないことを認識しておかなければならない.
また製薬企業は,IF があくまでも添付文書を補完する情報資材であり,今後インターネッ
トでの公開等も踏まえ,薬事法上の広告規制に抵触しないよう留意し作成されていることを理
解して情報を活用する必要がある.
(2008 年 9 月)
目
Ⅰ. 概要に関する項目
次
2. 製剤の組成
1. 開発の経緯 ··························
1
(1) 有効成分(活性成分)の含量·······
8
2. 製品の治療学的・製剤学的特性 ········
1
(2) 添加物 ··························
8
(3) その他···························
8
3. 懸濁剤,乳剤の分散性に対する注意·····
8
4. 製剤の各種条件下における安定性·······
9
9
Ⅱ. 名称に関する項目
1. 販売名
(1) 和
名 ··························
3
5. 調整法及び溶解後の安定性·············
(2) 洋
名 ··························
3
6. 他剤との配合変化(物理化学的変化)···· 9
(3) 名称の由来 ······················
3
7. 溶出性 ······························ 10
2. 一般名
8. 生物学的試験法 ······················ 10
(1) 和
名(命名法) ·················
3
9. 製剤中の有効成分の確認試験法 ········ 10
(2) 洋
名(命名法) ·················
3
10. 製剤中の有効成分の定量法 ············ 10
(3) ステム ··························
3
11. 力
3. 構造式又は示性式 ····················
3
12. 混入する可能性のある夾雑物 ·········· 10
4. 分子式及び分子量 ····················
3
13. 治療上注意が必要な容器に関する情報 ·· 10
5. 化学名(命名法) ·····················
3
14. その他 ······························ 10
6. 慣用名,別名,略号,記号番号 ········
3
7. CAS 登録番号 ·························
3
価 ······························ 10
Ⅴ. 治療に関する項目
1. 効能又は効果 ························ 11
Ⅲ. 有効成分に関する項目
2. 用法及び用量 ························ 11
3. 臨床成績
1. 物理化学的性質
(1) 外観・性状 ······················
4
(1) 臨床データパッケージ ············ 11
(2) 溶
解
性 ······················
4
(2) 臨床効果 ························ 12
(3) 吸
湿
性 ······················
4
(3) 臨床薬理試験:忍容性試験 ········ 12
(4) 融点 (分解点),沸点,凝固点 ·····
5
(4) 探索的試験:用量反応探索試験 ···· 13
(5) 酸塩基解離定数 ··················
5
(5) 検証的試験 ······················ 14
(6) 分配係数 ························
5
(6) 治療的使用 ······················ 19
(7) その他の主な示性値 ··············
5
2. 有効成分の各種条件下における
安定性 ······························
5
3. 有効成分の確認試験法 ················
6
4. 有効成分の定量法 ····················
7
Ⅵ. 薬効薬理に関する項目
1. 薬理学的に関連ある化合物又は
化合物群 ···························· 20
2. 薬理作用
(1) 作用部位・作用機序 ·············· 20
Ⅳ. 製剤に関する項目
1. 剤
(2) 薬効を裏付ける試験成績 ·········· 20
(3) 作用発現時間・持続時間 ·········· 25
形
(1) 剤形の区別,規格及び性状 ········
8
(2) 製剤の物性 ······················
8
(3) 識別コード ······················
8
(4) pH,浸透圧比,粘度,比重,無菌の旨
及び安定な pH 域等 ···············
Ⅶ. 薬物動態に関する項目
1. 血中濃度の推移・測定法
(1) 治療上有効な血中濃度 ············ 26
8
(2) 最高血中濃度到達時間 ············ 26
(3) 臨床試験で確認された血中濃度 ···· 26
(4) 中毒域 ·························· 27
(5) 食事・併用薬の影響 ·············· 27
(6) 母集団(ポピュレーション)解析に
より判明した薬物体内動態変動要因 ·· 27
2. 薬物速度論的パラメータ
(1) コンパートメントモデル ·········· 27
(2) 吸収速度定数 ···················· 27
(3) バイオアベイラビリティ ·········· 27
(4) 消失速度定数 ···················· 28
(5) クリアランス ···················· 28
(6) 分布容積 ························ 28
(7) 血漿蛋白結合率 ·················· 28
3. 吸
収 ······························ 28
4. 分
布
(1) 血液-脳関門通過性 ·············· 29
(2) 血液-胎盤関門通過性 ············· 29
(3) 乳汁への移行性 ·················· 29
(4) 髄液への移行性 ·················· 29
(5) その他の組織への移行性 ·········· 30
5. 代
謝
(1) 代謝部位及び代謝経路 ············ 32
(2) 代謝に関与する酵素(CYP450 等)
の分子種 ························ 32
(3) 初回通過効果の有無及びその割合 ·· 32
(4) 代謝物の活性の有無及び比率 ······ 33
(5) 活性代謝物の速度論的
パラメータ ······················ 33
6.排
泄
(1) 排泄部位及び経路 ················ 33
(2) 排泄率 ·························· 33
(3) 排泄速度 ························ 34
7.透析等による除去率 ··················· 34
Ⅷ. 安全性(使用上の注意等)に関する
項目
1. 警告内容とその理由 ·················· 35
2. 禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)··· 35
3. 効能又は効果に関連する使用上の注意と
その理由 ···························· 35
4. 用法及び用量に関連する使用上の注意と
その理由 ···························· 35
5. 慎重投与内容とその理由 ·············· 36
6. 重要な基本的注意とその理由及び
処置方法 ···························· 37
7. 相互作用
(1) 併用禁忌とその理由 ·············· 37
(2) 併用注意とその理由 ·············· 38
8. 副 作 用
(1) 副作用の概要 ···················· 43
(2) 重大な副作用と初期症状 ·········· 44
(3) その他の副作用 ·················· 48
(4) 項目別副作用発現頻度及び
臨床検査値異常一覧 ·············· 49
(5) 基礎疾患,合併症,重症度及び
手術の有無等背景別の副作用
発現頻度 ························ 50
(6) 薬物アレルギーに対する注意及び
試験法 ·························· 53
9. 高齢者への投与 ······················ 54
10. 妊婦,産婦,授乳婦等への投与 ········ 54
11. 小児等への投与 ······················ 54
12. 臨床検査結果に及ぼす影響 ············ 54
13. 過量投与 ···························· 55
14. 適用上の注意 ························ 55
15. その他の注意 ························ 55
16. その他 ······························ 57
Ⅸ. 非臨床試験に関する項目
1. 薬理試験
(1) 薬効薬理試験(「Ⅵ.薬効薬理に
関する項目」参照) ·············· 58
(2) 副次的薬理試験 ·················· 58
(3) 安全性薬理試験 ·················· 58
(4) その他の薬理試験 ················ 59
2. 毒性試験
(1) 単回投与毒性試験 ················ 59
(2) 反復投与毒性試験 ················ 59
(3) 生殖発生毒性試験 ················ 60
(4) その他の特殊毒性 ················ 60
Ⅹ. 管理的事項に関する項目
1. 規制区分 ···························· 63
2. 有効期間又は使用期限 ················ 63
3. 貯法・保存条件 ······················ 63
4. 薬剤取扱い上の注意点
(1) 薬局での取扱いについて ·········· 63
(2) 薬剤交付時の注意(患者等に
留意すべき必須事項等) ··········· 63
5. 承認条件等 ·························· 63
6. 包
装 ···························· 63
7. 容器の材質 ·························· 63
8. 同一成分・同効薬 ···················· 63
9. 国際誕生年月日 ······················ 63
10. 製造販売承認年月日及び承認番号 ······ 63
11. 薬価基準収載年月日 ·················· 63
12. 効能又は効果追加,用法及び用量変更
追加等の年月日及びその内容 ·········· 64
13. 再審査結果,再評価結果公表年月日及び
その内容 ···························· 64
14. 再審査期間 ·························· 64
15. 投薬期間制限医薬品に関する情報 ······ 64
16. 各種コード ·························· 64
17. 保険給付上の注意 ···················· 64
ⅩⅠ. 文
献
1.引用文献 ····························· 65
2.その他の参考文献 ····················· 68
ⅩⅡ. 参考資料
1.主な外国での発売状況 ················· 69
2.海外における臨床支援情報 ············· 72
ⅩⅢ. 備
考
その他の関連資料 ························· 74
Ⅰ.
1.開発の経緯
概要に関する項目
シプロキサン錠はドイツ・バイエル社が開発した塩酸シプロフロキサシン
を主成分とするピリドンカルボン酸系の広範囲経口抗菌剤である.
本剤はピリドンカルボン酸系合成抗菌剤の中でもキノリン環を基本構造と
し,1 位へのシクロプロピル基,6 位へのフッ素,7 位へのピペラジン基の
側鎖導入により抗菌スペクトルの拡大,抗菌作用の増強が認められる.そ
の結果,同系薬剤のオフロキサシン,エノキサシンに比べ,さらに数段強
い抗菌力・殺菌力を示すこととなった.本邦では 1983 年 11 月より全国規
模の研究会が組織され,本剤が広い抗菌スペクトル及び強い抗菌力を有し,
呼吸器科,泌尿器科,耳鼻科,皮膚科領域の各種感染症に対し優れた臨床
効果を示すことが認められた.その成績は,1984 年 12 月,岡山において
開催された「第 32 回日本化学療法学会西日本支部総会」新薬シンポジウム
で発表され,高い評価を受けた.
そして,肺炎,慢性気道感染症,扁桃炎,複雑性尿路感染症,化膿性中耳
炎,浅在性化膿性疾患を対象とした多施設二重盲検比較試験において,本
剤の高い有用性が認められ,1988 年 3 月 29 日に承認を得,同年 7 月より
上市された.既に再審査期間が終了しその結果,効能・効果,用法・用量
とも「承認内容と同じ」であった(1996 年 3 月 7 日付薬発第 207 号).
なお,2001 年 12 月,炭疽の効能・効果が追加承認された.
また,
「適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて」
(平成 11 年 2 月
1 日付厚生省医薬審議第 104 号通知)に基づき,一部変更承認申請と行い,
2006 年 2 月にレジオネラ属の効能・効果が追加承認された.
2.製品の治療学的・製剤
学的特性
本剤の抗菌剤としての特徴は,その広範な基礎的・臨床的研究から,次の
とおりである.
1) グラム陽性菌から緑膿菌を含むグラム陰性菌まで幅広い抗菌スペクト
ルを示す(「Ⅵ.薬効薬理に関する項目」参照).
2) 主な臨床分離株に対し,同系統のオフロキサシン,ノルフロキサシン,
エノキサシンより 2~4 倍強い抗菌力を示し,また,その抗菌力は第 3
世代セフェム剤及びアミノグリコシド剤をも凌ぐ(「Ⅵ.薬効薬理に関
する項目」参照).
3) 各種病原細菌に対して殺菌的に作用する(「Ⅵ.薬効薬理に関する項目」
参照)
.
4) 良好な体液組織移行性を有し,各体液組織内濃度は MIC 値を上回る
(「Ⅶ.薬物動態に関する項目」参照).
5) 経口投与で各種感染症に対して優れた臨床効果を示す(「Ⅴ.治療に関
する項目」参照).
- 1 -
6) 副作用は 2.87%(498/17,359 例)
(臨床検査値の異常変動を含む)
<承認時及び使用成績調査>
主な副作用は,発疹 34 件(0.20%),胃不快感 36 件(0.21%)
,下痢
27 件(0.16%),嘔気 27 件(0.16%),食欲不振 25 件(0.14%)等で
あった(
「Ⅷ. 安全性(使用上の注意等)に関する項目」参照).
- 2 -
Ⅱ.
名称に関する項目
1.販売名
(1) 和 名
シプロキサン®錠 100mg,シプロキサン®錠 200mg
(2) 洋 名
Ciproxan®100,Ciproxan®200
(3) 名称の由来
キノリン環の 1 位へ導入した置換基の名称(シクロプロピル基)に由来する.
2.一 般 名
(1) 和 名(命名法)
塩酸シプロフロキサシン(JAN)
(2) 洋 名(命名法)
Ciprofloxacin hydrochloride(JAN)
Ciprofloxacin(INN)
(3) ステム
ナリジクス酸系の抗菌薬:-oxacin
3.構造式又は示性式
4.分子式及び分子量
分子式 C17H18FN3O3・HCl・H2O
分子量 385.82
5.化学名(命名法)
1-Cyclopropyl-6-fluoro-1,4-dihydro-4-oxo-7-(piperazin-1-yl)
quinoline-3-carboxylic acid hydrochloride hydrate (IUPAC)
6.慣用名,別名,略号,
記号番号
7.CAS登録番号
略
号 CPFX(日本化学療法学会)
治験番号 Bay o 9867
85721-33-1
- 3 -
Ⅲ.
有効成分に関する項目
1.物理化学的性質
(1) 外観・性状 1)
本品は白色~微黄色の結晶性の粉末で,においはなく,味は苦い.
(2) 溶解性 2)
■各種溶媒に対する溶解性
溶
媒
水
メタノール
氷酢酸
エタノール
酢酸エチル
クロロホルム
n-ヘキサン
塩酸シプロフロキサシン
1g を溶解するのに要する溶媒量(mL)
31.0
やや溶けにくい
730
溶けにくい
1,240
極めて溶けにくい
3,300
極めて溶けにくい
>10,000
ほとんど溶けない
>10,000
ほとんど溶けない
>10,000
ほとんど溶けない
■各種 pH 水溶液に対する溶解性
塩酸シプロフロキサシンの pH 3~9 の緩衝液(25℃)に対する溶解性を
次に示す.
pH
3
4
5
6
7
8
9
(3) 吸湿性 2)
塩酸シプロフロキサシン
1g を溶解するのに要する緩衝液量(mL)
290
161
778
2,980
11,300
13,600
6,170
塩酸シプロフロキサシンを 25℃,30%,60%及び 75%RH に保存したとき
の吸湿曲線を示す.
- 4 -
(4) 融点(分解点)1),
280℃付近で黄褐色に着色したが,300℃までに明確な融点または分解点は
沸点,凝固点
示さない.
pKa1=6.5 (カルボン酸)
(5) 酸塩基解離定数
pKa2=8.9 (ピペラジン)
(6) 分配係数 2)
塩酸シプロフロキサシンのオクタノール− 緩衝液系での分配係数を吸光度
法により測定した結果を次に示す.
水
層
0.1 mol/L 塩酸
pH 3
pH 5
pH 7.4
pH 8
水
(7) その他の主な示性値 1,2)
分配係数
(有機層/水層)
0.042
0.017
0.014
0.094
0.093
0.025
旋光度:旋光性は示さない
pH:3.9
2.有効成分の各種条件下
における安定性
■安定性試験成績 1,2)
試験項目
保 存 条 件
長期
25℃75%RH
保 存 容 器
かっ色ガラス製
気密容器
耐
30℃
熱
40℃
かっ色ガラス製
気密容器
50℃
体
耐 湿
固
40℃75%RH
かっ色ガラス製
開放容器
40℃82%RH
状
態
耐
無色透明ガラス製
太陽光
気密容器
(約 10,000 ルクス)
かっ色ガラス製
気密容器
光
人工光線
キセノンランプ
約 50,000 ルクス/時
無色透明ガラス製
気密容器
溶液状態
かっ色ガラス製
気密容器
pH
3,5,7,9,11(37℃)
かっ色アンプル
熱
50℃,60℃
かっ色アンプル
- 5 -
試 験 時 点
試
験
結
果
0,3,6,9,12, 24 カ月間変化は認められず,安定で
18,24 カ月
あった.
12 カ月間変化は認められず,安定で
0,3,6,12 カ月
あった.
9 カ月間変化は認められず,安定で
0,3,6,9 カ月
あった.
3 カ月間変化は認められず,安定で
0,1,2,3 カ月
あった.
乾燥減量の増加は認められたが,その
0,2,4,6 カ月
他の項目については変化は認められ
なかった.
乾燥減量の増加は認められたが,その
0,1,2,3 カ月
他の項目については変化は認められ
なかった.
6 日の測定時点より,外観に極めてわ
ずかな着色が認められたが,その他の
項目については,変化は認められなか
0,3,6,10 日
った.
10 日間変化は認められず,安定であ
った.
8 時間の測定時点より,外観に極めて
わずかな着色が認められたがその他
の項目については,変化は認められな
0,4,8,12 時間
かった.
12 時間変化は認められず,安定であ
った.
14 日間保存後も含量低下は認められ
0,3,7,10,14 日
ず,安定であった.
14 日間保存後も含量低下は認められ
0,3,7,10,14 日
ず,安定であった.
■強制分解による生成物 2)
0.05 mol/L 塩酸溶液(1%)を 90℃で 16 時間加熱または 1%水溶液を
50,000 ルクス 12 時間曝光した時の分解物は次の 2 種である.
生成物[Ⅰ]
3.有効成分の確認試験法
生成物[Ⅱ]
(エチレンジアミン体)
1) 日局「赤外吸収スペクトル測定法(臭化カリウム錠剤法)」
塩酸シプロキサシンの参照スペクトル
2) 日局「薄層クロマトグラフ法」
条 件
吸 着 剤 :シリカゲル 60F254(蛍光剤入り,厚さ 0.25mm,メルク社製)
展開溶媒:ジクロルメタン・メタノール・強アンモニア水・アセト
ニトリル混液(4:4:2:1)
展開前にアンモニア蒸気中に 15 分間放置
塗 布 量:10μL(シプロフロキサシン 50μg 相当量)
展開距離:約 10cm
検 出 法:紫外線照射(主波長 254nm)
3) 呈色反応(塩化第二鉄試薬によりだいだい赤色を呈する)
4) 日局「定性反応:フッ化物(2)」
- 6 -
4.有効成分の定量法
液体クロマトグラフ法による.
条
件
検
出
器:紫外吸光光度計(測定波長 278nm)
カ
ラ
ム:内径 4.0nm,長さ 25cm のステンレス管に粒径 7μm
のオクタデシルシリル化シリカゲルを充てんする.
カ ラ ム 温 度:30℃付近の一定温度
移
動
相:リン酸緩衝液・アセトニトリル混液(87:13)
リン酸緩衝液:25m mol/L リン酸水溶液をトリエチ
ルアミンで pH 3.0 に調整したもの.
流
量:シプロフロキサシンの保持時間が約 12 分となるよ
うに調整する.
カ ラ ム の 選 定:標準溶液 20μL につき上記の条件で操作するとき,
シプロフロキサシン,α-ナフチルアミンの順に溶
出し,その分離度が 2.5 以上のものを用いる.
注
入
量:20μL(シプロフロキサシンとして 5μg 相当量)
- 7 -
Ⅳ.
1.剤
製剤に関する項目
形
(1) 剤形の区別,規格及
区別 錠(フィルムコーティング錠)
び性状
規格 表示量の 95~105%に対応するシプロフロキサシンを含む.
性状 錠:白色~淡黄色
直 径
(mm)
厚 さ
(mm)
重 さ
(mg)
シプロキサン錠 100mg
8
3.1
153
シプロキサン錠 200mg
10
4.0
305
販
(2) 製剤の物性
売
名
上
面
外
下
形
面
側
面
崩壊試験
日局崩壊試験法の白糖またはその他の適当なコーティング剤で剤皮を施し
た錠剤の試験を行うとき,これに適合する.ただし,補助盤は用いない.
(3) 識別コード
上記(1)の性状を参照
(4) pH,浸透圧比,粘度,
該当しない
比重,無菌の旨及び安
定な pH 域等
2.製剤の組成
(1) 有効成分(活性成分)
1 錠中シプロフロキサシンとして 100mg または 200mg を含有する.
の含量
(2) 添加物
添加物として結晶セルロース,トウモロコシデンプン,クロスポビドン,
軽質無水ケイ酸,ステアリン酸マグネシウム,ヒプロメロース,マクロゴ
ール 4000,酸化チタンを含有する.
(3) その他
3.懸濁剤,乳剤の分散性
特になし
該当しない
に対する注意
- 8 -
4.製剤の各種条件下にお
ける安定性
■長期保存試験
1)
保存条件
25℃75%RH
保 存 容 器
かっ色 PTP
+アルミ袋
試 験 時 点
0, 3, 6, 9, 12,
18, 24 カ月
試 験 結 果
24 カ月間変化は認められ
ず,安定であった.
■苛酷試験
保存条件
耐
40℃
熱
50℃
30℃75%RH
保存容器
かっ色ガラス製
気密容器
かっ色ガラス製
開放容器
試験時点
0,3,6,9 カ月
0,1,2,3 カ月
0,3,6,9 カ月
耐
かっ色ガラス製
開放容器
湿
40℃75%RH
0,2,4,6 カ月
かっ色 PTP
かっ色 PTP+アルミ袋
耐
無色透明ガラス製
気密容器
太陽光
(約 10,000 ルクス)
かっ色ガラス製
気密容器
光
人工光線
キセノンランプ
約 50,000 ルクス/時
5.調整法及び溶解後の安
かっ色 PTP
0,4,8,12 時間
無色透明 PTP
該当しない
定性
6.他剤との配合変化
0,3,6,10 日
該当資料なし
(物理化学的変化)
- 9 -
試
験
結
果
9 カ月間変化は認められず,安定で
あった.
3 カ月間変化は認められず,安定で
あった.
3 カ月の測定時点より,吸湿による
外観変化(斑点状の盛りあがり)が
認められたが,その他の項目につい
ては変化は認められなかった.
2 カ月の測定時点より,吸湿による
外観変化(斑点状の盛りあがり)が
認められたが,その他の項目につい
ては変化は認められなかった.
2~4 カ月の測定時点より,吸湿によ
る外観変化(斑点状の盛りあがり)
が認められたが,その他の項目につ
いては変化は認められなかった.
6 カ月間変化は認められず,安定で
あった.
外観に着色が認められたが,その他
の項目については変化は認められ
なかった.
10 日間変化は認められず,安定で
あった.
外観に極めてわずかな着色が認め
られたが,その他の項目については
変化は認められなかった.
外観に着色が認められたが,その他
の項目については変化は認められ
なかった.
7.溶出性
方 法:日局溶出試験第 2 法(パドル法)
条 件:回転数 50rpm,試験液 水
8.生物学的試験法
該当しない
9.製剤中の有効成分の確
日局薄層クロマトグラフ法により試験を行う.
認試験法
10.製剤中の有効成分の定
条件は原薬の確認試験法と同じ.
日局紫外線吸光光度法により試験を行う.
量法
11.力
価
シプロフロキサシンとして表示.
1 錠中
シプロフロキサシン 100mg(塩酸シプロフロキサシンとして 116.4mg)含有
シプロフロキサシン 200mg(塩酸シプロフロキサシンとして 232.8mg)含有
12.混入する可能性のある
「Ⅲ-2. 有効成分の各種条件下における安定性」強制分解による生成物 参照
夾雑物
13.治療上注意が必要な容
該当しない
器に関する情報
14.その他
特になし
- 10 -
Ⅴ.
1.効能又は効果
治療に関する項目
〈適応菌種〉
シプロフロキサシンに感性のブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,
腸球菌属,淋菌,炭疽菌,大腸菌,赤痢菌,シトロバクター属,クレブ
シエラ属,エンテロバクター属,セラチア属,プロテウス属,モルガネ
ラ・モルガニー,プロビデンシア属,インフルエンザ菌,緑膿菌,アシ
ネトバクター属,レジオネラ属,ペプトストレプトコッカス属
〈適応症〉
表在性皮膚感染症,深在性皮膚感染症,リンパ管・リンパ節炎,慢性膿
皮症,外傷・熱傷及び手術創等の二次感染,乳腺炎,肛門周囲膿瘍,咽
頭・喉頭炎,扁桃炎,急性気管支炎,肺炎,慢性呼吸器病変の二次感染,
膀胱炎,腎盂腎炎,前立腺炎(急性症,慢性症),精巣上体炎(副睾丸炎),
尿道炎,胆嚢炎,胆管炎,感染性腸炎,バルトリン腺炎,子宮内感染,
子宮付属器炎,涙嚢炎,麦粒腫,瞼板腺炎,中耳炎,副鼻腔炎,炭疽
2.用法及び用量
シプロフロキサシンとして,通常成人 1 回 100~200mg を 1 日 2~3 回経口
投与する.
なお,感染症の種類及び症状に応じ適宜増減する.
炭疽に対しては,シプロフロキサシンとして,成人 1 回 400mg を 1 日 2 回
経口投与する.
用法・用量に関連する使用上の注意
(1)本剤の使用にあたっては,耐性菌の発現等を防ぐため,原則として感受
性を確認し,疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること.
(2)小児の炭疽に対しては,米国疾病管理センター(CDC)が,シプロフロキ
サシンとして,1 回 15mg/kg 体重(ただし,成人用量を超えないこと)
を 1 日 2 回経口投与することを推奨している.
(3)炭疽の発症及び進展抑制には,米国疾病管理センター(CDC)が,60 日間
の投与を推奨している.
3.臨床成績
(1) 臨床データパッケージ
2009 年 4 月より前の承認品目なので,該当しない
- 11 -
(2) 臨床効果
総計 3,633 例について実施された臨床試験の概要は次のとおりである.
効能・効果
有効率
呼吸器感染症
効能・効果
有効率
耳鼻科領域感染症
咽頭・喉頭炎
93.2%(41/44)
中耳炎
64.4%(130/202)
急性気管支炎
75.4%(104/138)
副鼻腔炎
83.3%(75/90)
慢性呼吸器病変の二次感染
73.9%(430/582)
肺炎
81.6%(129/158)
小
計
小
計
70.2%(205/292)
皮膚科領域感染症
77.1%(861/1,117)
尿路感染症
表在性皮膚感染症
84.3%(75/89)
深在性皮膚感染症
90.8%(216/238)
腎盂腎炎
80.5%(136/169)
リンパ管・リンパ節炎
100.0%(17/17)
膀胱炎
85.0%(740/871)
慢性膿皮症
84.8%(112/132)
前立腺炎(急性症,慢性症) 86.2%(25/29)
小
計
88.2%(420/476)
精巣上体炎(副睾丸炎)
92.0%(23/25)
尿道炎
99.0%(101/102)
乳腺炎
75.6%(31/41)
85.7%(1,025/1,196)
肛門周囲膿瘍
87.5%(35/40)
外傷・熱傷及び手術創等
76.1%(86/113)
小
計
外科領域感染症
胆道感染症
胆嚢炎
79.2%(19/24)
胆管炎
75.0%(9/12)
腸管感染症
小
計
78.4%(152/194)
眼科領域感染症
感染性腸炎
小
の二次感染
計
97.8%(88/90)
麦粒腫
85.7%(30/35)
97.8%(88/90)
涙嚢炎
63.6%(7/11)
瞼板腺炎
83.3%(25/30)
* 炭疽に対する臨床試験は国内外とも実施されていない.
小
計
81.6%(62/76)
産婦人科領域感染症
子宮付属器炎
88.0%(44/50)
子宮内感染
89.4%(59/66)
バルトリン腺炎
72.5%(29/40)
小
合
(3) 臨床薬理試験:
忍容性試験
計
計
84.6%(132/156)
81.8%(2,973/3,633)
単回投与試験
健常成人男子志願者を対象にし,CPFX 単回投与時の安全性と吸収・排泄に
ついて検討した.本剤の投与方法は,単回投与では,200,400 及び 600mg
(各 n=5)を食前に 1 回経口投与した.また,食事の影響を検討するため 200mg
を食前及び食後に crossover 法(n=5)で各 1 回投与した.
自覚症状として,単回投与では 600mg 投与の 1 例に眠気が,200mg crossover
投与の食後投与時の 1 例に軽度の胸やけがみられた.その他の自他覚症状,
血圧,脈拍数,呼吸数,体温,心電図,血液一般・生化学・尿検査におい
て本剤投与に関連していると思われる異常所見は認められなかった.
反復投与試験
健常成人男子志願者を対象にし,本剤 1 回 200mg(n=5),1 日 3 回,7 日間
連続投与時ならびに本剤 1 回 300 及び 400mg(各 n=5),1 日 2 回,7 日間連
続投与時の安全性と吸収・排泄について検討した*.
自覚症状としては,200mg 連続投与群で 1 例に軽度の頭痛が,他の 1 例に
- 12 -
投与終了翌日の採血時に軽度の貧血様発作がみられたが,いずれも一過性
であった.臨床検査値においては 200mg 連続投与群の 1 例で GPT の上昇,
300mg 連続投与群の 1 例で GOT の上昇,400mg 連続投与群で 1 例に GOT,GPT
の上昇及び他の 1 例で GOT,GPT,γ-GTP の上昇がみられたが,これらはい
ずれも軽度かつ一過性のものであった.その他,自他覚症状,血圧,心拍
数,呼吸数,体温,心電図,血液一般・生化学・尿検査において,本剤投
与と関連すると思われる異常所見は認められなかった.また,300 及び
400mg 連続投与群については経時的に尿中結晶の折出の有無について検索
を行ったが,結晶折出は認められなかった.なお,200mg 連続投与群につ
いては,試験終了後,眼科的検査として眼底検査,網膜電位図,細隙灯検
査による眼球運動検査,色覚検査及び眼圧測定を行った.その結果,全例
とも本剤に起因すると考えられる異常所見は何ら認めなかった.
(*本剤の承認された用法・用量は「シプロフロキサシンとして,通常成人
1 回 100~200mg を 1 日 2~3 回経口投与する.なお,感染症の種類及び症
状に応じ適宜増減する.炭疽に対しては,シプロフロキサシンとして,成人
1 回 400mg を 1 日 2 回経口投与する.」である)
(4) 探索的試験:
用量反応探索試験
第二相臨床試験においては,第一相臨床試験,効力薬理試験及び吸収・排
泄試験の成績を基に,同系統の OFLX(ofloxacin)と ENX(enoxacin)の臨床治
験での用法・用量を参考にして,通常 1 日用量を 200~600mg(分 2 又は分
3)とし,各種感染症に対する本剤の有効性と安全性ならびに体内動態の検
討を行った.
その結果,以下に示すごとく,本剤は各種感染症に対して通常 1 回 100~
200mg の 1 日 2~3 回投与で有効かつ安全な薬剤であることが認められた.
また,この用量範囲で主要病原菌の MIC80 を上回る体液内及び各組織内濃度
が得られることが明らかにされた(日本化学療法学会 新薬シンポジウム)
.
1) 有効性検討対象 2371 例における本剤の 1 日投与量は,感染症の種類や
その重症度に応じて,100mg から 1200mg まで幅広く分布していた.そして,
1 日 600mg 投与が全体の 51.5%と最も多く,次いで 400mg(16.8%)
,300mg
(13.7%),200mg(6.8%)投与の順であり,投与量変更例を含め全例の
90%以上が 200~600mg の範囲にあった.
浅在性化膿性疾患に対する 1 日投与量別臨床効果をみると,600mg で 85.9%
(213/248 例),300mg で 89.3%(25/28 例),400mg で 92.6%(25/27 例)
とそれぞれ高い有効率が得られた.
呼吸器感染症に対しては主として 1 日 400~600mg が投与され,肺炎には 1
日 200~300mg,気管支拡張症の感染時やびまん性汎細気管支炎などの慢性
気道感染症には 800~1200mg の投与も行われた.上気道感染症に対する有
効率は 400mg で 87.5%(7/8 例),600mg で 90.5%(86/95 例)と共に高く,
下気道感染症に対しては 300mg で 66.7%(24/36 例)とやや低い有効率を
示した以外は,400mg で 85.7%(66/77 例)
,600mg で 72.5%(333/459 例),
- 13 -
800mg 以上で 70.5%(55/78 例)といずれも満足すべき効果が認められた.
尿路感染症のうち,急性の膀胱炎や尿道炎には主として 1 日 100~300mg が,
複雑性の膀胱炎や腎盂腎炎には主として 400~600mg が投与された.急性単
純性尿路感染症に対してはいずれの投与量でも 95%以上の極めて高い有効
率を示し,複雑性尿路感染症に対する有効率も 300mg で 81.3%(39/48 例)
,
400mg で 72.6%(154/212 例),600mg で 76.2%(99/130 例)とそれぞれ期
待すべきものであった.
耳鼻科領域感染症では 1 日 600mg,300mg,400mg 投与の順で症例数が多く,
それぞれ 77.3%(58/75 例),63.2%(12/19 例)
,100%(7/7 例)の有効
率が得られた.
胆道感染症,感染性腸炎,婦人科領域感染症及び眼科領域感染症に対して
は,1 日 300~600mg 投与が行われ,それぞれの投与量別効果に大きな差異
はみられず,75.0~100%の有効率であった.
2) 副作用は,安全性検討対象 2575 例中 77 例(3.0%)に認められ,その
症状としては,食欲不振,悪心などの消化器症状が 54 件と多く,めまい,
ふらつきなどの精神神経症状 11 件,発疹,瘙痒感などの過敏症状 10 件が
これに次ぎ,特に重篤なものはみられなかった.1 日投与量別副作用発現
率は,400mg 以下で 2.7%(31/1149),600mg で 2.7%(34/1271),800mg
以上で 8.0%(7/88)と,1 日 800mg 以上の投与例でかなり高率であったが,
いずれも消化器症状であり,精神神経症状などは認められなかった.
臨床検査値異常として,好酸球の増多,GOT,GPT の上昇などが見られたが,
用量相関性は認められず,臨床上特に問題となるものもなかった.
(5) 検証的試験
1) 無作為化並行用量反応試験
無作為化並行用量反応試験は行っていない.
2) 比較試験
細菌性肺炎,慢性気道感染症,扁桃炎,中耳炎,複雑性尿路感染症及び
浅在性化膿性疾患に対する CPFX の臨床的有用性を客観的に検討するた
め,多施設共同研究による 6 つの二重盲検群間比較試験を実施した.
- 14 -
①細菌性肺炎 104)
目的:本剤の有効性,安全性,有用性をバカンピシリン塩酸塩と比較し
評価する.
試験デザイン
無作為化,二重盲検群間比較試験(ダブルダミー法)
対
細菌性肺炎(とくに中等症以下)
象
主な登録基準
膿性痰の喀出,発熱,CRP 陽性化,白血球増多,胸部レ線所見などにより
明らかに感染症状・所見が存在すると考えられる症例
・18 歳以上,性別不問
・原則入院患者(確実な経過観察が可能な場合は外来患者でも可)
主な除外基準
試験方法
基礎疾患重篤例等
本剤 1 回 200mg,1 日 3 回あるいはバカンピシリン塩酸塩 1 回 250mg,1 日
4 回経口投与.原則 14 日間連続投与
主要評価項目
臨床効果
副次的評価項目
細菌学的効果
結
主要評価
果
本剤 83.3%(45/54),対照薬 88.9%(40/48)の有効率(小委員会判定)
であり,臨床効果において両群間の有効率に有意差は認められなかった
(χ 2 検定).
副次評価
細菌学的効果が判定できた症例での菌消失率は本剤 83.3%(15/18)
,対照
.
薬 56.3%(9/16)と両群間に有意差は認められなかった(χ2 検定)
副作用
群
発現率(発現例数/評価対象症例数)
シプロキサン群
8.4%(7/83)
バカンピシリン塩酸塩群
9.5%(8/84)
原
- 15 -
耕平 他:Chemotherapy 34(7),629-653,1986
②慢性気道感染症 105)
目的:本剤の有効性,安全性,有用性をセファクロルと比較し評価する.
試験デザイン
対
象
無作為化,二重盲検群間比較試験(ダブルダミー法)
慢性気管支炎,びまん性汎細気管支炎の感染性増悪,気道感染を伴った慢
性呼吸器疾患(気管支拡張症,肺気腫,気管支喘息,肺線維症)
主な登録基準
膿性痰の喀出,発熱,CRP 陽性化,白血球増多,胸部レ線所見などにより
明らかに呼吸器感染症が存在すると考える症例
・18 歳以上,性別不問
・原則入院患者(確実な経過観察が可能な場合は外来患者でも可)
主な除外基準
基礎疾患重篤例等
試験方法
本剤 1 回 200mg,1 日 3 回あるいはセファクロル 1 回 250mg,1 日 3 回毎食
主要評価項目
臨床効果
副次的評価項目
細菌学的効果
結
主要評価
後経口投与.原則 14 日間連続投与
果
本剤 84.5%(87/103)
,対照薬 61.9%(60/102)の有効率(小委員会判定)
であり,臨床効果において両群間の有効率において有意差が認められた(U
検定:p<0.0001)
.
副次評価
細菌学的効果が判定できた症例での菌消失率は本剤 75.0%(45/61)
,対照
薬 52.6%(30/59)と両群間に有意差が認められた(Fisher の検定:
p=0.0132)
.
副作用
シプロキサン群
群
発現率(発現例数/評価対象症例数)
5.6%(6/107)
セファクロル群
6.1%(7/114)
小林
- 16 -
宏行 他:Chemotherapy 34(10),1011-1037,1986
③扁桃炎 106)
目的:本剤の有効性,安全性,有用性をノルフロキサシンと比較し評価
する.
試験デザイン
対
無作為化,二重盲検群間比較試験(ダブルダミー法)
象
急性陰窩性扁桃炎
主な登録基準
・原則として 15 歳以上
・性別,入院・外来は不問
主な除外基準
初診以後来院しなかった例等
試験方法
本剤 1 回 200mg,1 日 3 回あるいはノルフロキサシン 1 回 200mg,1 日 3 回
毎食後経口投与.原則 7 日間連続投与(最短でも 3 日間投与)
主要評価項目
臨床効果
副次的評価項目
細菌学的効果
結
主要評価
果
本剤 75.2%(97/129),対照薬 74.8%(98/131)の有効率(委員会判定)
であり,臨床効果において両群間の有効率に有意差は認められなかった
(Fisher の検定)
.
副次評価
菌消失率は本剤 97.6%(82/129)
,対照薬 95.8%(91/131)と両群間に有
意差は認められなかった(Fisher の検定)
.
副作用
群
発現率(発現例数/評価対象症例数)
2.2%(3/135)
シプロキサン群
3.0%(4/135)
ノルフロキサシン群
馬場
駿吉 他:耳鼻と臨床 33(2),312-336,1987
④化膿性中耳炎 107)
目的:本剤の有効性,安全性,有用性をピペミド酸水和物と比較し評価
する.
試験デザイン
対
象
無作為化,二重盲検群間比較試験(ダブルダミー法)
急性化膿性中耳炎,慢性化膿性中耳炎急性増悪症,慢性化膿性中耳炎
主な登録基準
・原則として 15 歳以上
・性別,入院・外来は不問
主な除外基準
初診以後来院しなかった例等
試験方法
本剤 1 回 200mg,1 日 3 回あるいはピペミド酸水和物 1 回 500mg,1 日 4 回
経口投与.原則 7 日間連続投与(最短でも 3 日間投与)
主要評価項目
臨床効果
副次的評価項目
細菌学的効果
結
主要評価
果
本剤 60.3%(79/131),対照薬 50.8%(62/122)の有効率(委員会判定)
であり,臨床効果において両群間の有効率に有意差は認められなかった
(Fisher の検定)
.
副次評価
菌消失率は本剤 60.9%(70/131)
,対照薬 54.6%(59/122)と両群間に有
意差は認められなかった(Fisher の検定)
.
副作用
群
発現率(発現例数/評価対象症例数)
3.6%(5/138)
シプロキサン群
7.1%(10/140)
ピペミド酸水和物群
河村
- 17 -
正三 他:耳鼻と臨床 33(1),100-125,1987
⑤複雑性尿路感染症 108)
目的:本剤の有効性,安全性,有用性をノルフロキサシンと比較し評価
する.
試験デザイン
対
象
無作為化,二重盲検群間比較試験(ダブルダミー法)
尿路に基礎疾患を有する複雑性尿路感染症
主な登録基準
以下の条件を満たす患者
・16 歳以上(性別不問)
・投与前の膿尿≧5 個/hpf
・投与前の尿中生菌数≧104 個/mL
・入院・外来は不問
主な除外基準
投与前生菌数 104 個/mL 未満,初診以後来院しなかった例等
試験方法
本剤 1 回 200mg,1 日 3 回あるいはノルフロキサシン 1 回 200mg,1 日 4 回
経口投与.原則 7 日間連続投与
主要評価項目
総合臨床効果(UTI 薬効評価基準に準拠)
副次的評価項目
細菌学的効果
結
主要評価
果
本剤の総合臨床効果の有効率 79.4%(104/131)
,対照薬 66.9%(81/121)
であり,両群間の有効率(委員会判定)において有意差が認められた
(χ 2 検定:p=0.02).
副次評価
除菌率は,本剤 89.5%(170/190 株)
,対照薬 79.8%(138/173 株)と両
.
群間に有意差が認められた(χ2 検定:p=0.0124)
副作用
群
シプロキサン群
ノルフロキサシン群
熊澤
- 18 -
発現率(発現例数/評価対象症例数)
3.6%(6/165)
4.2%(7/168)
浄一 他:西日本泌尿器科 49(5),1619-1653,1987
⑥浅在性化膿性疾患 109)
目的:本剤の有効性,安全性,有用性をノルフロキサシンと比較し評価
する.
試験デザイン
対
象
主な登録基準
無作為化,二重盲検群間比較試験(ダブルダミー法)
浅在性化膿性疾患(外傷・熱傷・手術創などの二次感染を含む)
・16 歳以上
・性別,入院・外来は不問
主な除外基準
16 歳未満,前治療にノルフロキサシンを使用例等
試験方法
本剤 1 回 200mg,1 日 3 回あるいはノルフロキサシン 1 回 200mg,1 日 3 回
経口投与.原則 10 日間連続投与(皮下膿痬,化膿性汗腺炎,外傷・熱傷・
手術創などの二次感染等は原則 14 日間連続投与)
主要評価項目
最終全般改善度
副次的評価項目
細菌学的効果
結
主要評価
果
最終全般改善度(改善以上)は,本剤 87.9%(123/140),対照薬 82.4%
(117/142)であり,両群間に有意の差が認められた(U 検定:p<0.05).
副次評価
細菌学的効果が判定できた症例での菌消失率は,本剤 81.5%(66/81),対
照薬 67.4%(58/86)と両群間に有意差は認められなかった(Fisher の検
定)
.
副作用
群
シプロキサン群
ノルフロキサシン群
荒田
発現率(発現例数/評価対象症例数)
6.2%(9/146)
7.1%(11/155)
次郎 他:Chemotherapy 34(12),1272-1305,1986
3) 安全性試験
本剤は,新薬臨床評価ガイドラインに定められた長期投与試験及び
薬物依存性試験を要する医薬品に該当しない.
4) 患者・病態別試験
65 歳以上の高齢者のみを対象とした臨床試験を行っていない.
(6) 治療的使用
1) 使用成績調査・特定使用成績調査(特別調査)
・製造販売後臨床試験
(市販後臨床試験)
該当しない
2) 承認条件として実施予定の内容又は実施した試験の概要
該当しない
- 19 -
Ⅵ.
1.薬理学的に関連ある化
合物又は化合物群
薬効薬理に関する項目
ピリドンカルボン酸系合成抗菌剤
ナリジクス酸
ピロミド酸
ピペミド酸
シノキサシン
ノルフロキサシン
エノキサシン水和物
オフロキサシン
トスフロキサシン
ロメフロキサシン
フレロキサシン
スパルフロキサシン
レボフロキサシン
プルリフロキサシン
モキシフロキサシン
ガレノキサシン
2.薬理作用
(1) 作用部位・作用機序
細菌の DNA ジャイレースに作用し,DNA 合成を阻害する.抗菌作用は殺菌的
で溶菌作用が認められる.最小発育阻止濃度は最小殺菌濃度とほぼ一致し,
細菌の対数増殖期だけでなく休止期にも作用する 3).
(μg/mL)
薬剤
MIC
ID50(supercoil)
ID50(relax)
シプロキサン
オフロキサシン
ノルフロキサシン
0.006
0.05
0.05
1.0
3.1
2.4
0.017
0.34
0.52
ID50:50%阻害濃度
(2) 薬効を裏付ける試
験成績
1) 臨床分離株に対する抗菌力(in vitro)4,5)
グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し広い抗菌スペクトルを有し,ブドウ
球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,腸球菌属,淋菌,炭疽菌,大腸菌,赤
痢菌,シトロバクター属,クレブシエラ属,エンテロバクター属,セラチ
ア属,プロテウス属,モルガネラ・モルガニー,プロビデンシア属,イン
フルエンザ菌,緑膿菌,アシネトバクター属,レジオネラ属,ペプトスト
レプトコッカス属に対して優れた抗菌作用を示す 4,5,6).
ほとんどの臨床分離株に対して同系統のオフロキサシン,ノルフロキサシン及
びエノキサシン水和物より 2~4 倍強い抗菌作用を示し,その作用はまたセフェ
ム剤(セフタジジム水和物)
,アミノグリコシド剤(ゲンタマイシン)
,カルバ
ペネム剤(イミペネム水和物)より優れた抗菌作用を示す 3,4,15,16,100,101).
- 20 -
■グラム陽性及び陰性球菌
菌
種
MIC(μg/mL)
50%
0.39
0.39
0.78
0.78
25
50
薬剤
株数
S.aureus
CPFX
OFLX
ENX
NFLX
PPA
NA
(997)
(741)
(376)
(676)
(467)
(278)
Range
≦0.05-6.25
≦0.05-3.13
0.10-12.5
≦0.05-12.5
6.25->100
6.25->100
S.epidermidis
CPFX
OFLX
ENX
NFLX
PPA
NA
(195)
(152)
( 62)
(157)
(140)
( 70)
≦0.05-3.13
≦0.05-3.13
≦0.05-3.13
0.10-25
3.13->100
3.13->100
0.20
0.39
0.39
0.78
12.5
50
0.39
0.78
1.56
1.56
25
50
S.pneumoniae
CPFX
OFLX
ENX
NFLX
PPA
NA
(
(
(
(
(
(
70)
31)
31)
70)
70)
70)
0.39-6.25
0.78-3.13
3.13-25
1.56-50
25->100
25->100
0.78
1.56
6.25
6.25
25
25
3.13
3.13
12.5
12.5
>100
>100
S.pyogenes
CPFX
OFLX
NFLX
PPA
(
(
(
(
91)
91)
91)
91)
0.20-3.13
0.78-3.13
0.78-25
100->100
0.39
0.78
1.56
100
0.78
1.56
3.13
>100
E.faecalis
CPFX
OFLX
ENX
NFLX
PPA
NA
(381)
(267)
( 91)
(303)
(236)
(118)
0.10-6.25
≦0.05-6.25
0.39-25
0.20-50
6.25->100
25->100
0.78
1.56
3.13
3.13
>100
>100
1.56
3.13
6.25
6.25
>100
>100
N.gonorrhoeae
CPFX
OFLX
NFLX
PPA
(131)
(120)
( 51)
( 20)
Legionella spp.
CPFX
OFLX
EM
RFP
(
(
(
(
39)
37)
39)
37)
≦0.0125-0.20
≦0.0125-0.10
≦0.0125-0.39
0.39-1.56
0.015-0.125
0.008-0.06
0.25-0.5
≦0.002-0.008
90%
0.78
0.78
3.13
3.13
100
>100
≦0.0125
0.025
0.025
0.78
0.025
0.05
0.20
0.78
0.06
0.06
0.5
≦0.002
0.125
0.06
0.5
0.008
106cfu/mL
■腸内細菌科
菌
種
薬剤
株数
E.coli
CPFX
OFLX
ENX
NFLX
PPA
NA
(1165)
( 889)
( 469)
( 900)
( 556)
( 271)
Range
≦0.05->100
≦0.05-6.25
≦0.05-25
≦0.05->100
≦0.05->100
0.78->100
K.pneumoniae
CPFX
OFLX
ENX
NFLX
PPA
NA
(
(
(
(
(
(
≦0.05-12.5
≦0.05-50
≦0.05-25
≦0.05-100
≦0.05->100
≦0.05->100
837)
674)
355)
710)
462)
276)
MIC(μg/mL)
50%
≦0.05
0.10
0.20
0.10
1.56
3.13
≦0.05
0.20
0.20
0.20
3.13
3.13
90%
0.10
0.20
0.78
0.39
3.13
12.5
0.20
0.39
0.78
0.78
12.5
12.5
(続
- 21 -
く)
■腸内細菌科
菌
種
薬剤
株数
K.oxytoca
CPFX
OFLX
ENX
NFLX
PPA
NA
(
(
(
(
(
(
69)
64)
10)
65)
65)
10)
Range
≦0.05-0.10
≦0.05-0.20
0.10-0.20
≦0.05-0.20
0.78-3.13
1.56-3.13
Shigella spp.
CPFX
OFLX
ENX
NFLX
PPA
NA
(246)
(246)
(147)
(109)
(246)
( 10)
≦ 0.025-0.39
≦ 0.025-0.78
0.10-6.25
≦ 0.025-0.39
0.20-25
1.56-3.13
C.freundii
CPFX
OFLX
ENX
NFLX
PPA
NA
(282)
(229)
( 60)
(248)
(213)
( 33)
E.cloacae
CPFX
OFLX
ENX
NFLX
PPA
NA
E.aerogenes
MIC(μg/mL)
50%
≦0.05
0.10
0.20
0.10
1.56
1.56
90%
≦0.05
0.20
0.20
0.20
3.13
3.13
≦0.025
0.05
0.20
0.05
1.56
1.56
≦0.025
0.1
0.39
0.05
3.13
1.56
≦0.05-6.25
≦0.05-50
0.10-50
≦0.05-50
0.78->100
3.13-100
≦0.05
0.20
3.13
0.20
3.13
3.13
0.78
12.5
25
12.5
100
12.5
(432)
(340)
( 87)
(404)
(332)
( 87)
≦0.05-50
≦0.05-50
≦0.05-6.25
≦0.05-100
0.78->100
1.56->100
≦0.05
0.20
0.20
0.20
1.56
6.25
0.39
0.78
3.13
1.56
12.5
25
CPFX
OFLX
NFLX
PPA
NA
(
(
(
(
(
≦0.05-1.56
≦0.05-1.56
≦0.05-6.25
1.56-25
3.13-25
≦0.05
0.10
0.20
3.13
3.13
0.10
0.78
0.78
6.25
12.5
P.mirabilis
CPFX
OFLX
ENX
NFLX
PPA
NA
(727)
(658)
(341)
(633)
(397)
(211)
≦0.05-12.5
≦0.05-25
0.10-6.25
≦0.05-25
0.39->100
1.56-100
≦0.05
0.20
0.39
0.10
3.13
6.25
0.20
0.39
1.56
0.39
6.25
12.5
P.vulgaris
CPFX
OFLX
ENX
NFLX
PPA
NA
(307)
(239)
( 80)
(289)
(200)
( 93)
≦0.05-1.56
≦0.05-6.25
0.10-6.25
≦0.05-12.5
0.78-25
0.78->100
≦0.05
0.10
0.20
0.10
1.56
3.13
0.10
0.39
0.39
0.39
6.25
6.25
M.morganii
CPFX
OFLX
ENX
NFLX
PPA
NA
(298)
(216)
( 58)
(256)
(201)
( 55)
≦0.05-6.25
≦0.05-6.25
0.10-12.5
≦0.05-50
0.78-100
0.78-100
≦0.05
0.10
0.39
≦0.05
1.56
1.56
0.20
0.39
0.78
0.39
3.13
6.25
P.rettgeri
CPFX
OFLX
ENX
NFLX
PPA
NA
(144)
(140)
( 23)
(128)
(105)
( 10)
≦0.05-6.25
≦0.05-12.5
0.39->100
≦0.05->100
0.78->100
1.56->100
≦0.05
0.39
0.78
0.20
3.13
3.13
0.39
3.13
6.25
1.56
25
6.25
S.marcescens
CPFX
OFLX
ENX
NFLX
PPA
NA
(954)
(800)
(417)
(811)
(506)
(197)
≦0.05-50
≦0.05->100
≦0.05->100
≦0.05->100
0.78->100
0.78->100
0.39
0.78
0.78
0.78
12.5
6.25
6.25
25
50
50
>100
>100
80)
40)
68)
67)
27)
106cfu/mL
- 22 -
■ブドウ糖非発酵菌+嫌気性菌+その他
菌
MIC(μg/mL)
50%
0.20
1.56
0.78
0.78
12.5
>100
種
薬剤
株数
P.aeruginosa
CPFX
OFLX
ENX
NFLX
PPA
NA
(1248)
(1069)
( 606)
(1058)
( 745)
( 249)
Range
≦0.05->100
≦0.05->100
≦0.05->100
≦0.05->100
0.78->100
12.5 ->100
A.calcoaceticus
CPFX
OFLX
ENX
NFLX
PPA
NA
( 120)
( 86)
( 37)
( 120)
( 120)
( 44)
≦0.05-6.25
≦0.05-3.13
0.39-100
0.10-100
3.13->100
0.78-100
H.influenzae
CPFX
OFLX
ENX
NFLX
PPA
NA
(
(
(
(
(
(
147)
115)
66)
122)
122)
73)
Peptostreptococcus spp.
CPFX
OFLX
CXD
(
(
(
91)
91)
91)
≦0.20-12.5
≦0.20-25
≦0.20->100
0.78
0.78
3.13
3.13
12.5
25
CPFX
OFLX
ABPC
(
(
(
22)
22)
2)
0.03-0.06
0.03-0.06
0.03-0.125
0.03
0.06
0.03
0.06
0.03
0.03
B.anthracis
8)
≦0.0125-0.10
≦0.0125-3.13
0.1 -0.39
0.025-0.10
0.39-6.25
0.39-3.13
0.20
0.39
3.13
3.13
100
3.13
≦0.0125
0.025
0.10
0.05
3.13
1.56
90%
0.78
6.25
3.13
3.13
50
>100
0.78
0.78
100
12.5
100
12.5
0.025
0.05
0.20
0.10
3.13
1.56
106cfu/mL
2) 殺菌作用(in vitro)6)
4 種の好気性菌に対する本剤の MIC 及び MBC の結果を下に示す.本剤の MIC
と MBC は一致するか,あるいは 1 段階の差しか認められなかった.
3) 耐 性
継代培養による耐性獲得実験において,本剤は他のピリドンカルボン酸系
に比べ耐性が獲得されにくいことが認められている 7).
- 23 -
4) 感染防御実験(in vivo)
マウス全身感染 8)
各種のマウス実験的感染症治療試験において,オフロキサシンと同等もし
くはそれ以上,ノルフロキサシン,ピペミド酸より優れた治療効果を示す.
試 験 菌
攻撃菌量
(cells/マウス)
〔×MLD〕
3.0×105
(2.3)
S.aureus
Smith
6.8×103
(7.0)
E.coli
C11
7.6×103
(7.6)
K.pneumoniae
3K25
5.0×106
(5.0)
S.marcescens
No.2
6.5×103
(12.0)
P.aeruginosa
E7
MIC*(μg/mL)
薬 剤
0.1
0.19
0.39
12.5
≦0.025
≦0.025
≦0.025
0.78
≦0.025
0.1
0.1
3.12
≦0.025
0.19
0.1
1.56
0.1
1.56
0.78
25
CPFX
OFLX
NFLX
PPA
CPFX
OFLX
NFLX
PPA
CPFX
OFLX
NFLX
PPA
CPFX
OFLX
NFLX
PPA
CPFX
OFLX
NFLX
PPA
ED50
(mg/マウス)
95%信頼限界
0.03 〔0.02-0.04〕
0.06 〔0.05-0.09〕
0.25 〔0.18-0.35〕
1.60 〔1.15-2.22〕
0.000787(0.000484-0.001278)
0.0198(0.0153-0.0258)
0.0530(0.0409-0.0687)
0.2828(0.2272-0.3522)
0.23 〔0.16-0.34〕
0.31 〔0.29-0.34〕
1.70 〔1.18-2.46〕
>12.80
0.01 〔0.0068-0.0145〕
0.463 〔0.402-0.533〕
1.33 〔0.89-1.98〕
12.4 〔8.19-18.8〕
0.377 〔0.260-0548〕
0.252 〔0.224-0.282〕
0.565 〔0.480-0.666〕
1.695 〔1.288-2.231〕
ED50 比
他剤/CPFX
1.0
2.0
8.3
53.3
1.0
25.2
67.3
359.3
1.0
1.3
7.4
> 55.7
1.0
46.3
133
1240
1.0
0.7
1.5
4.5
*接種菌量 106cells/mL
5) 肺炭疽発症抑制試験(in vivo)9)
雌雄アカゲザル(体重 5.8-13.0kg)に炭疽菌芽胞を吸入曝露させた後,吸
入曝露 24 時間後よりシプロフロキサシンを 30 日間経口投与した結果,非
治療群(10 例中 9 例死亡:吸入曝露後 3~8 日以内)と比較し,シプロフ
ロキサシン投与群(9 例中 1 例死亡:投与終了 6 日目)で有意な死亡率の
低下が認められた.
アカゲザルにおける実験的炭疽菌吸入曝露後の肺炭疽発症抑制試験
実験方法
雌雄アカゲザル
(体重 5.8-13.0kg)
に炭疽菌芽胞を吸
入曝露させた後,
薬剤を 30 日間,
vaccine を 1 及び
15 日目に投与
投与群
投与量
Control
P*
9/10
Vaccine
PC
炭疽死亡数
/全例
180000U
死亡日
(吸人曝露後)
3-8 日目
8/10
> 0.1
5-10 日目
3/10
< 0.02
39-50 日目
1/9 注 1)
< 0.002
36 日目
1/10
< 0.002
58 日目
0/9 注 2)
< 0.0002
1日2回
CPFX
250mg 単回
125mg 1 日 2 回
DOXY
60mg 単回
30mg 1 日 2 回
DOXY
60mg 単回
30mg 1 日 2 回
+vaccine
*
P :vs. Control (Fisher's exact test)
注 1)吸入曝露後 5 日目に死亡 1 例が認められたが,剖検後,炭疽の発症が認められなかったため除外
注 2)吸入曝露後 36 日目に死亡 1 例が認められたが,剖検後,炭疽の発症が認められなかったため除外
炭疽菌に対する CPFX の MIC=0.08μg/mL
- 24 -
(3) 作用発現時間・持続
該当資料なし
時間
- 25 -
Ⅶ.
薬物動態に関する項目
1.血中濃度の推移・測定法
(1) 治療上有効な血中濃度
感染部位,起炎菌の感受性等により異なる.
(2) 最高血中濃度到達時間
健康成人(n=21)に本剤 100~400mg を空腹時単回投与した時の Tmax はい
ずれの用量においても約 1 時間であった.
(3) 臨床試験で確認され
1) 健常成人における単回投与時の血中濃度
た血中濃度
健常成人にシプロキサン 100~400mg を空腹時単回経口投与した際の血中濃度 4,10,11,12)(血清)
(Bioassay 法)
Two compartment open model で解析した際のシプロキサンの
pharmacokinetic parameter(健常成人,空腹時単回経口投与)
(平均値±S.E.)
Cmax
投与量(mg)
例数
(μg/mL)
100
8
0.56±0.06
200
21
1.21±0.08
400
5
2.23±0.33
- 26 -
T1/2
AUC
(hr)
(hr)
(μg・hr/mL)
1.18±0.22
3.02±0.26
2.08±0.17
1.08±0.07
3.68±0.27
4.59±0.18
1.25±0.13
5.71±0.96
9.67±0.80
Tmax
2) 腎障害患者における血中濃度
間欠的腹膜透析中の腎機能障害患者等 3 例に 200mg 単回経口投与した場
合,クレアチニンクリアランスの低下とともに t1/2 が延長,また投与 24
時間までの尿中排泄率も各々32.6,13.9,0.04%と低下する 40).
腎機能障害者における CPFX の血清中濃度
(4) 中毒域
該当資料なし
(5) 食事・併用薬の影響
健常成人 14 例に本剤 200mg をクロスオーバー法により空腹時又は食後に単
回投与し,血中濃度の推移を検討した.空腹時投与に比べ食後投与で若干
の Cmax の低下,Tmax の遅延がみられたが,概して食事の影響は少なかっ
た.
(6) 母集団(ポピュレー
該当資料なし
ション)解析により
判明した薬物体内動
態変動要因
2.薬物速度論的パラメータ
(1) コンパートメントモ
2 コンパートメントモデルにて解析した[Ⅶ-1(3)の項]参照
デル
(2) 吸収速度定数
該当資料なし
(3) バイオアベイラビリ
健常成人男子に本剤を経口及び静脈内投与した際のバイオアベイラビリティ
ティ
1,13)
は,82.5%であった(200mg 経口・静注(n=6,クロスオーバー法))
.
- 27 -
<外国人のデータ>
健常成人男子に本剤を空腹時経口及び静脈内投与した際のバイオアベイラ
ビリティは約 60~70%であった(250mg 経口・100mg 静注(n=6,クロスオ
ーバー法),259mg 経口・107mg 静注(各群 n=6,群間比較))
.
(4) 消失速度定数
該当資料なし
(5) クリアランス 1)
<外国人のデータ>
腎クリアランスはクレアチニンクリアランスと正の相関を示す.また,プ
ロベネシドの併用により 1/2 に低下する.
■種々の腎機能障害患者に 250mg を単回経口投与した際のクリアランス
(平均値±S.D.)
クレアチニンクリアランス(mL/min)
腎クリアランス(mL/min・kg)
>70
(n=5)
4.1±0.8
40~70
(n=6)
1.6±0.8
10~14
(n=3)
0.4±0.1
<10
(n=8)
0.2±0.1
■健康成人に 500mg を単回経口投与した際のクリアランス(プロベネシドの影響)
(平均値±S.D.)
プロベネシド併用
腎クリアランス(mL/min・kg)
無
4.5±0.8
有
2.2±0.3
(二重盲検クロスオーバー法,n=8)
(6) 分布容積 14)
200mg 経口投与時:2.3L/kg
(7) 血漿蛋白結合率 1,15,16)
<外国人のデータ>
健常人プール血漿を用いた in vitro 蛋白結合率(遠心法,限外濾過法,
透析法)は約 20~40%(濃度:20~200μg/mL)であり,本剤の濃度とは
無関係であった.
3.吸
収
吸収部位 腸 管
吸収率
1)
健常成人男子(n=5)に本剤 200mg を空腹時単回経口投与後 24
時間までの腸管吸収率は少なくとも 63.4±3.4%である.
- 28 -
動物での吸収 1)
投与量
動
物
マウス
測定法
(mg/kg)
(投与法)
B.I.1)
B.I.
ラット
HPTLC2)
R.I.3)
イ
ヌ
B.I.
HPTLC
サ
ル
R.I.
使
成
用
績
動 物 数
匹/時点
Tmax
(hr)
Cmax
(μg/mL)
initial
terminal
AUC
(μg・hr/mL)
5(p.o.)
14)
0.17
0.2
-
ca.1
-
50(p.o.)
4)
1
T1/2 (hr)
0.25
1.31
-
-
-
5(s.c.)
14)
0.33~0.5
0.8
-
ca.1
-
5(i.v.)
14)
-
-
-
ca.0.5
-
20(p.o.)
1
4)
0.5
0.4
-
ca.1
-
20(s.c.)
14)
0.5
2
-
1.5
-
5(p.o.)
2
0.33
0.25
-
3.0
0.67
5(i.v.)
2
-
-
0.42
2.2
2.7
5(p.o.)
5
-
3.3±0.9
0.90±0.3
25(p.o.)
5
0.93±0.15 0.28±0.20
1.0±0.3
1.80±0.93
-
2.8±1.6
4.9±1.5
5(i.v.)
5
-
-
0.91±0.15
4.0±0.7
3.2±0.2
10(p.o.)
2
2
1.05
-
ca.1.5
-
80(p.o.)
4
2
3.5
-
ca.3
-
30(p.o.)
1
3
0.88
-
4.4
4.2
30(i.v.)
1
-
-
-
4.3
68
30(p.o.)
1
2.0
1.8
-
7.2
9.5
30(i.v.)
1
-
-
-
4.7
67
1)B.I.:生物学的定量法
2)HPTLC:高性能薄層クロマトグラフ法
3)R.I.:ラジオアイソトープ法
4)プール血清(n:3~5)
(注)小動物の B.I.法及び HPTLC 法における parameter は測定法上同一動物で経時的に資料を採取し
測定した血漿中濃度より算出した値でないためあくまでも参考値である.
4.分
布
(1) 血液-脳関門通過性
該当資料なし
(2) 血液-胎盤関門通過
分娩前本剤 200mg 単回経口投与時(n=33)の臍帯血清中濃度は母体血と比
性
17)
例し,ピーク値は 2 時間 45 分後の 0.75μg/mL で,26 時間後は 0.02μg/mL
が認められた.
羊水中では,7 時間 28 分後にピーク値 1.83μg/mL が認められ,26 時間後
に 0.28μg/mL が認められた.
(3) 乳汁への移行性 18)
<外国人のデータ>
授乳期の婦人 10 名に本剤 750mg を 12 時間毎,3 回経口投与した際の乳汁
中濃度は血清中濃度より高値を示し,投与終了 2~12 時間後の乳汁血清比
は 160~214%であった.
(4) 髄液への移行性 19)
泌尿器科疾患のために腰椎麻酔下手術を必要とした患者で CNS 感染のない
例(n=17)に本剤 200mg 単回経口投与後 3 時間の髄液中濃度は,0.056±
0.009μg/mL であり,対血清比は 6.9%であった.
- 29 -
(5) その他の組織への移
行性
1) 尿中濃度 4)
投与 0~2 時間後に用量依存性の最高尿中濃度が得られる.
投与量(mg)
最高尿中濃度(μg/mL)
100
200
141.3±39.5
255.6±35.2
(平均値±S.E.)
2) 糞中濃度 20)
健常成人男子各 10 例に本剤 100mg 及び 200mg を 1 日 3 回,5 日間連続
経口投与した際の糞中濃度は,投与終了 1 日後がいずれも最高値を示し
(248.9±28.1,553.7±42.2μg/g),両投与群間に用量相関性がみられ
た.
3) 喀痰中濃度 21,22)
慢性気道感染症患者 2 例に本剤 200mg を経口投与した際,最高喀痰中濃
度は投与後 1~4 時間に得られ,0.26~0.69μg/mL であった.喀痰血清
比は 28.9~78.4%に分布した.
また,慢性呼吸器感染症患者 7 例に本剤 1 回 200mg を 1 日 3 回連続経
口 投 与 し た 際 の 最 高 喀 痰 中 濃 度 は , 0.13 ~ 0.65μg/mL ( 平 均 値
0.38μg/mL)で良好な値を示した.
4) 胆のう組織内及び胆汁中濃度 23,24,25,26)
本剤 200mg 単回(n=4)及び 200mg 1 日 3 回,3~4 日間連続経口投与(n=5)
後 4~7 時間の胆のう組織内濃度は,血清中濃度より高値を示し,それ
ぞれ平均 2.01μg/g,2.43μg/g であった.胆のう胆汁中濃度は 200mg
単回投与で 0.71~9.45μg/mL,200mg 連続経口投与で 5.84~23.2μg/mL
に分布した.
また,T-tube 挿入例に本剤 200mg(n=15)を経口投与した際平均胆汁
中濃度のピーク値は 4.41±0.76μg/mL であり,同時に測定した血清中
濃度の約 10 倍の濃度を示した.
5) 涙液中濃度 27)
健常成人に本剤 200mg を単回経口投与(各時間 n=2~5)した際の涙液
中濃度は 1.5 時間にピークがあり,ピーク値は 0.75±0.25μg/mL であ
った.
6) 口蓋扁桃及び上顎洞粘膜内濃度 28)
口蓋扁桃摘出を目的として入院した成人患者 6 例及び上顎洞根本手術
を目的として入院した成人患者 3 例に本剤 200mg を単回経口投与した場
合,口蓋扁桃組織では 60 及び 120 分後で 0.78~2.23μg/g,上顎洞粘
膜では 90 及び 120 分後 0.36~0.80μg/g の濃度を示し,特に口蓋扁桃
組織へは血清中濃度とほぼ同等かそれ以上の組織移行を示した.
- 30 -
7) 鼻腔・副鼻腔組織 29)
鼻・副鼻腔手術患者 19 例に本剤 200mg を単回経口投与した場合,40
分~148 分後組織内濃度は鼻粘膜で平均 0.50μg/g,鼻ポリープ 0.39
μg/g,副鼻腔粘膜 0.98μg/g であり,鼻腔・副鼻腔粘膜への移行濃度
は血清と同等またはそれ以上であった.
8) 皮膚組織内濃度 30,31)
皮膚疾患患者(n=17)に本剤 200mg を単回経口投与した際の皮膚組織内
濃度は,50 分~2 時間後検出限界(0.02μg/g)以下~6.40μg/g とば
らつきがあるものの,血清中濃度より高値を示す例も少なくなく,皮膚
組織への移行は良好であった.
9) 男性性器内濃度 32,33)
前立腺肥大症手術患者(n=6)に本剤 200mg 単回経口投与後 2 時間の前
立腺組織内濃度は,0.41~2.78μg/g(平均 1.25±0.75μg/g)に分布
し,対血清比は平均 2.22 と良好な組織移行を示した.
同様に前立腺癌・副睾丸炎手術患者(n=3)に本剤 200mg を単回経口投
与した際の副睾丸組織内濃度(2 時間後)は,0.58~1.77μg/g に分布
し,血清中濃度と同程度かやや高い値を示した.
10) 女性性器内濃度 17)
子宮全摘出術施行患者(n=14)に本剤 200mg 単回経口投与後 1 時間 50
分~約 15 時間の子宮動脈血と肘静脈血の濃度はほぼ一致しており,そ
のピーク値は 1.06~1.08μg/mL であった.子宮各部位の濃度は 0.06~
1.65μg/g で,付属器各部位では 0.16~1.80μg/g の濃度が認められた.
11) 創液中濃度 26)
乳癌術後患者(n=5)に本剤 200mg を単回経口投与時,創部浸出液中濃
度は 3 時間後から測定され,6 時間後に平均 0.5μg/mL に達した.
- 31 -
動物での分布 1)
ラット・20mg/kg 経口投与
5.代
謝
(1) 代謝部位及び代謝経
路 1,34)
(2) 代謝に関与する酵素
該当資料なし
(CYP450 等)の分子種
(3) 初回通過効果の有無
該当資料なし
及びその割合
- 32 -
(4) 代謝物の活性の有無
及び比率
1)
抗菌活性及び一般薬理作用において,代謝物はシプロフロキサシン以上の
活性は示さない.
(5) 活性代謝物の速度論
該当資料なし
的パラメータ
動物での代謝 35)
ラット及びサルにおける〔14C〕-シプロフロキサシンの代謝
動物種
ラ ッ ト
(SD 系)
投与量
〔投与経路〕
試
料
固定
定量方法
回収率(% of dose)
10mg/kg
〔p.o.〕
尿
(0-8hr)
糞
(0-24hr)
未 変 化 体
抱 合 体
未 変 化 体
8.2%
5.0%
81%
10mg/kg
〔i.v.〕
尿
(0-8hr)
32%
2.4%
18%
7.5%
0.7%
尿
(0-72hr)
未 変 化 体
抱 合 体
未 変 化 体
BAY q 3542
BAY q 3964
未 変 化 体
BAY q 3542
BAY q 3964
未 変 化 体
BAY q 3542
糞
(0-72hr)
未 変 化 体
BAY q 3542
10%
3.7%
30mg/kg
〔p.o.〕
サ
ル
(アカゲ)
30mg/kg
〔i.v.〕
薄層
クロマトグラフィー
尿
(0-72hr) 高速液体
クロマトグラフィー
同位体逆希釈分析
糞
(0-72hr)
50%
1.3%
1.8%
43%
8.6%
〔ラジオアイソトープ法〕
6.排
泄 1)
(1) 排泄部位及び経路
尿中及び糞中
(2) 排泄率 1,10,20,36)
大部分が未変化体のまま尿(約 40~50%)及び糞便(約 40%)中に排泄さ
れる.
1) 尿中排泄(健常成人)
シプロキサンを 1 回 100mg または 200mg を経口投与した場合,尿中濃度
は,投与後 0~2 時間目に最高濃度を示し,それぞれ平均 141.3μg/mL,
255.6μg/mL であり,24 時間までの尿中排泄率は約 40~50%であった.
- 33 -
尿中濃度及び累積尿中排泄率(単回投与)
2) 糞便中排泄(健常成人)
シプロキサン 100mg または 200mg を 1 日 3 回 5 日間連続経口投与した場合,
糞便中濃度は投与終了 1 日目に最高濃度を示し,それぞれ平均 249μg/g,
554μg/g であり,投与終了 6 日後ではいずれも検出限界以下である.
糞便中濃度(5 日間連続投与)
(3) 排泄速度
7.透析等による除去率 37)
該当資料なし
腹膜透析
該当資料なし
血液透析
血液透析による除去率 約 30%
透析クリアランス
57.2mL/min
直接血液灌流
該当資料なし
- 34 -
Ⅷ.
安全性(使用上の注意等)に関する項目
1.警告内容とその理由
該当なし
2.禁忌内容とその理由
■禁忌(次の患者には投与しないこと)
(原則禁忌を含む)
(1) 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
(解説)
臨床試験において重篤な過敏症状を呈した症例はなかったが,本剤の
成分に対し過敏症の既往歴のある患者では副作用の発現が容易に予
測されるため,投与を避ける必要がある.
(2) ケトプロフェンを投与中の患者 [「相互作用」の項参照]
(解説)
シプロキサン錠とケトプロフェンとの併用による痙攣発現症例が 2 例
報告されている 38).
(3) チザニジン塩酸塩を投与中の患者 [「相互作用」の項参照]
(解説)
チザニジンの Cmax が 7 倍,AUC が 10 倍それぞれ上昇し,血圧低下,
傾眠,めまい等があらわれたとの報告がある 39).
(4) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人 [「妊婦,産婦,授乳婦等
への投与」の項参照]
(解説)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に対する使用経験がなく,ヒ
トの妊娠中の投与に関する安全性は確立されていない.
(5) 小児等 [「小児等への投与」の項参照]
(解説)
低出生体重児,新生児,乳児,幼児又は小児に対する安全性は確立して
いないので,小児等には投与しないこと.
ただし,妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び小児等に対して
は,炭疽に限り,治療上の有益性を考慮して投与すること.
3.効能又は効果に関連する 「Ⅴ.治療に関する項目」を参照すること.
使用上の注意とその理由
4.用法及び用量に関連する 「Ⅴ.治療に関する項目」を参照すること.
使用上の注意とその理由
- 35 -
5.慎重投与内容とその理由
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1) 本人又は両親,兄弟に気管支喘息,発疹,蕁麻疹等のアレルギー症状
を起こしやすい体質を有する患者
(解説)
本剤の投与により過敏症等があらわれることがあるので,本人または両親,
兄弟にアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者では,本剤を慎重
に投与する必要がある.
(2) 高度の腎障害のある患者[高い血中濃度が持続するので,投与量を減
量するか,あるいは投与間隔をあけて使用すること.
(「薬物動態」の
項参照)]
(解説)
間欠的腹膜透析中の腎機能障害患者等 3 例に 200mg 単回経口投与した場合,
クレアチニンクリアランスの低下とともに t1/2 が延長,また投与 24 時間ま
での尿中排泄率も各々32.6,13.9,0.04%と低下する[Ⅶ-1-(3)臨床試験で
確認された血中濃度の項参照]40).
(3) てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣を起こ
すことがある.]
(解説)
ニューキノロン系抗菌剤には,中枢神経における抑制神経伝達物質である
GABAA(γ-アミノ酪酸)の受容体を阻害する作用があり,中枢神経系の興
奮性の上昇していることが考えられるてんかん等の痙攣性疾患,またはこ
れらの既往歴のある患者,高度の脳動脈硬化症のある患者においては,痙
攣が起こりやすいと考えられるため,慎重に投与する必要がある 41).
(4) 重症筋無力症患者[症状を悪化させることがある.]
(解説)
安定期にある重症筋無力症患者において,シプロフロキサシン錠を服用し,
重度の嚥下障害等の重症筋無力症症状を悪化させたとの報告がある
42,43,44)
.
作用機序については不明である.
(5) 高齢者[
「高齢者への投与」の項参照]
(解説)
本剤は主として腎臓から排泄されるが,高齢者では腎機能が低下している
ことが多いため,高い血中濃度が持続するおそれがあるので,用量ならび
に投与間隔に留意し,慎重に投与する必要がある.
(6) QT 延長を起こすおそれのある患者[QT 延長を起こすことがある.
(「重大な副作用」の項参照)]
- 36 -
(解説)
一般に,キノロン系抗菌剤は QT 間隔に影響を及ぼすことが知られている.
シプロフロキサンにおいても QT 延長を起こすおそれがあるが,機序につい
ては不明である.
6.重要な基本的注意とそ
該当しない
の理由及び処置方法
7.相互作用
(1) 併用禁忌とその理由
本剤はチトクローム P4501A2(CYP1A2)を阻害するので
45)
,本酵素で代謝
される薬剤の代謝を阻害し,血中濃度を上昇させるおそれがある.
(1) 併用禁忌(併用しないこと)
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
ケトプロフェン
痙攣を起こすことがあるので,併用し
併用により,ニューキノ
ロン系抗菌剤の GABAA 受
容 体への阻 害作 用が増
強され,痙攣が誘発され
ると考えられている.て
ん かん等の 痙攣 性疾患
又 はこれら の既 往歴の
ある患者,腎障害のある
患 者では特 に注 意する
こと.
オルヂス
ないこと.
カピステン等
(解説)
本剤等ニューキノロン系抗菌剤は,中枢神経系における抑制性神経伝達
物質である GABA の受容体である GABAA レセプターへの結合を阻害するた
め
46,47,48,49)
,GABA 応答が抑制され
50)
,痙攣を起こすことがある.さらに
その抑制作用は非ステロイド性消炎鎮痛剤により増強されると考えられて
いる.しかし,この痙攣は GABA アゴニストで抑制困難であったり,in vivo
での痙攣誘発性と in vitro 実験での GABAA レセプター遮断活性とは乖離す
る場合もあることから別の機構も考えられている 51).
シプロキサン錠とケトプロフェンとの併用による痙攣発現症例が国内で 2
例報告されているため 38),併用しないこと.
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
チザニジン塩酸塩
チザニジンの Cmax が 7 倍,AUC が 10
テルネリン等
倍それぞれ上昇し,血圧低下,傾眠,
チ ザニジン の肝 での代
謝を阻害し,チザニジン
の 血中濃度 を上 昇させ
ると考えられている.
めまい等があらわれたとの報告があ
る.チザニジンの作用を増強させるお
それがあるので,併用しないこと.
(解説)
本剤は,チトクローム P4501A2(CYP1A2)を阻害するので
45)
,本酵素で代
謝されるチザニジンの代謝を阻害し,血中濃度を上昇させることがある.
海外における健常人 10 名を対象とした無作為化クロスオーバー試験にお
いて,シプロフロキサシン(経口投与)とチザニジンの相互作用について
検討した結果,シプロフロキサシンとの併用によりチザニジンの Cmax が 7
倍(範囲:4~21 倍)上昇し,AUC が 10 倍(範囲:6~24 倍)増加した.
- 37 -
また,収縮期血圧及び拡張期血圧はそれぞれ 35mmHg 及び 24mmHg 低下(プ
ラセボ投与時ではそれぞれ 15mmHg 及び 11mmHg 低下)し,傾眠,めまい等
が認められた 39).
(2) 併用注意とその理由
(2) 併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
テオフィリン
テオフィリンの Cmax が 17%,AUC が
テオフィリンの肝での代謝
アミノフィリン
22%それぞれ上昇したとの報告があ
を抑制し,クリアランスを
水和物
る
52)
.テオフィリンの作用を増強させ
減少させるためと考えられ
る可能性があるので,併用する場合に
ている.
はテオフィリンを減量するなど適切な
肝障害のある患者,高齢者
処置を行うこと.
では特に注意すること.
(解説)
シプロフロキサシンとテオフィリンとの併用により血中濃度が上昇したと
の報告がある 52).
作用機序は,肝でテオフィリン代謝に主要な働きをするチトクローム P450
の酵素系をシプロフロキサシンが阻害するためと考えられている 53).
薬剤名等
カフェイン
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
カフェインの血中濃度が上昇すること
カフェインの肝での代謝を
がある.
抑制し,クリアランスを減
少させるためと考えられて
いる.
(解説)
本剤がカフェインとの併用により,健常成人女性においてカフェインの AUC,
血中濃度の上昇,全身クリアランスが低下したとの報告がある.作用機序
はカフェインの肝での代謝を抑制し,クリアランスを減少させるためと考
えられている 110).
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
フェニル酢酸系
痙攣を起こすおそれがある.症状が認
併用により,ニューキノロ
非ステロイド性
められた場合,両剤の投与を中止する
ン系抗菌剤の GABAA 受容体
消炎鎮痛剤
など適切な処置を行うこと.
への阻害作用が増強され,
ジクロフェナ
痙攣が誘発されると考えら
ク,アンフェ
れている.
ナク等
てんかん等の痙攣性疾患又
プロピオン酸系
はこれらの既往歴のある患
非ステロイド性
者,腎障害のある患者では
消炎鎮痛剤(ただ
特に注意すること.
し,ケトプロフェ
ンとは併用禁忌)
ロキソプロフ
ェン,プラノ
プロフェン,
ザルトプロフ
ェン等
(解説)
本剤等ニューキノロン系抗菌剤は,中枢神経系における抑制性神経伝達物質
- 38 -
である GABA の受容体である GABAA レセプターへの結合を阻害するため 46~49),
GABA 応答が抑制され
50)
, 痙攣を起こすことがある.さらにその抑制作用を
非ステロイド性消炎鎮痛剤が増強することが考えられている.しかし,この
痙攣は GABA アゴニストで抑制困難であったり,in vivo での痙攣誘発性と
in vitro 実験での GABAA レセプター遮断活性とは乖離する場合もあったこと
から別の機構も考えられている 51).
本剤と非ステロイド性鎮痛剤(NSAIDs)の併用による痙攣誘発作用がマウ
スを用いた検討で認められている 54,103).
■各種 NSAIDs とシプロフロキサシン(1,000mg/kg)を併用経口投与し
た時の痙攣発現(マウス)54)
非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)
分類
一般名
サリチル酸系
アスピリン
アントラニル酸系
メフェナム酸
フェニル酢酸系
インドール酢酸系
その他の酢酸系
酸性
フェニルプロピオン酸系
その他のプロピオン酸系
痙攣発現
○?
アンフェナク Na
○
ジクロフェナク Na
○?
フェンブフェン
▲
インドメタシン
◎
スリンダク
○
トルメチン Na
○
イブプロフェン
○
フルルビプロフェン
▲
ケトプロフェン
▲
ロキソプロフェン Na
◎
ナプロキセン
▲
プラノプロフェン
○
チアプロフェン酸
○
オキサプロジン
◎
ザルトプロフェン
オキシカム系
非酸性
ピロキシカム
塩酸チアラミド
○*
エピリゾール
▲:60%以上の動物に間代性痙攣発現
○:40%未満の動物に間代性痙攣発現
*:NSAIDs 単独投与で興奮状態
◎ :40%以上の動物に間代性痙攣発現
? :NSAIDs 単独投与で興奮傾向
空白:併用して興奮・痙攣を認めない
投与方法:NSAIDs(300~500mg/kg),シプロフロキサシン(1,000mg/kg)併用(同時あるいは
NSAIDs10 分前経口投与)
- 39 -
■マウスにおけるフェンブフェンとシプロキサン注との併用による痙
攣発現-ENX 経口投与との比較-103)
投与薬剤 投与経路 投与方法*
CPFX
ENX
静注
ニューキノロン薬投与量
痙攣発現数/
(mg/kg)
検討数
10
0/10
30
0/10
100
10/10
30
4/10
1 時間後
経口
直後
*NSAIDs 投与後,ニューキノロン系抗菌剤を投与するまでの時間
薬剤名等
シクロスポリン
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
相互に副作用(腎障害等)が増強され
るおそれがあるので,頻回に腎機能検
査(クレアチニン,BUN 等)を行うなど
患者の状態を十分に観察すること.
発現機序の詳細は不明であ
るが,相互に肝での代謝を
抑制し,一方又は両方の血
中濃度が上昇するためと考
えられている.
肝障害のある患者,高齢者
では特に注意すること.
(解説)
発現機序は不明であるが,シプロフロキサシン錠とシクロスポリンの併用
により血中シクロスポリン濃度の上昇と腎毒性が認められたとの報告
55)
,
及びシクロスポリン濃度は上昇しないにもかかわらず腎毒性がみられたと
の報告 56,57)がある.一方,シプロフロキサシン 1g/日 58,59,60)あるいは 1.5g/
日 61)の 4~7 日間の併用により,シクロスポリンの体内動態及び腎機能への
影響は認められなかったとの報告もある.
薬剤名等
ワルファリン
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
ワルファリンの作用を増強し,出血,
発現機序の詳細は不明であ
プロトロンビン時間の延長等があらわ
るが,ワルファリンの肝で
れることがある.本剤を併用する場合
の代謝を抑制し,クリアラ
は,プロトロンビン時間国際標準比
ンスを減少させるためと考
(INR)値等を測定するなど,観察を十
えられている.
分に行うこと.
(解説)
シプロフロキサシン錠とワルファリンとの併用により,ワルファリンの作
用が増強され,出血,プロトロンビン時間の延長等があらわれることがあ
るとの報告がある 62).
発現機序の詳細は不明ですが,シプロフロキサシンがワルファリンの肝で
の代謝を抑制するためと考えられている 63).
長期間ワルファリンを服用している患者 9 名において,シプロフロキサシ
ン 1 日 1g を 7 日間経口投与しプロトロンビン時間の変動を検討したところ,
最も延長した例で 22%,最も短縮した例では 12%でした.平均では有意な
変化は認められなかったが,シプロフロキサシンの投与量がさらに多い場
合あるいは投与期間が長い場合には,有意な変化がおこる可能性がある 64).
- 40 -
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
グリベンクラミ
グリベンクラミドの作用を増強し,低血
グリベンクラミドの肝での
ド
糖があらわれることがある 82,65).
代謝を阻害するとの報告 82)も
あるが,発現機序の詳細は
不明である.
(解説)
シプロフロキサシンがグリベンクラミド代謝に関連する酵素の一つである
チトクローム P-450 分子種 CYP3A4 の競合的阻害薬であり,併用することに
よりグリベンクラミドの血中濃度が上昇し,低血糖を発生したものと考え
65)
.一方,NIDDM 患者 12 名にシプロフロキサシン
られるとの報告がある
500mg×2 回/日とグリベンクラミド朝 10mg1 回または朝 10mg または夕 5mg
を 7~9 日間併用投与した場合,グリベンクラミド濃度及び,空腹時血糖値
に有意な変動はみられなかったとの報告もある 66).また in vitro の試験に
おいて,シプロフロキサシン及びノルフロキサシンは P-450 分子種 CYP3A,
CYP1A を競合的に阻害することから,これらの薬剤濃度が異常に高くなる
ような場合においてのみ,CYP3A を介した薬物間相互作用が誘発される可
能性があるとの報告
67)
もあり,両剤併用による相互作用の詳細な発現機序
は不明である.
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
ロピニロール
薬剤名等
ロピニロールの Cmax が 60%,AUC が
併用により,ロピニロール
塩酸塩
84%それぞれ上昇したとの報告がある.
の肝での代謝が阻害される
ロピニロールの投与中に本剤を投与開
ためと考えられている.
始又は投与中止する場合には,必要に応
じてロピニロールの用量を調節するこ
と.
(解説)
海外においてシプロフロキサンとの併用により,ロピニロールの血中濃度が
上昇したとの報告があり,ロピニロールの作用が増強される可能性がある.
作用機序としては,チトクローム P-450 分子種 CYP1A2 の競合的阻害薬とし
て知られているシプロフロキサンによる肝での代謝阻害が考えられる 68).
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
メトトレキサー
メトトレキサートの血中濃度が上昇し,
発現機序の詳細は不明であ
ト
作用が増強されるおそれがある.併用す
るが,メトトレキサートの
る場合には患者の状態を十分に観察す
腎尿細管からの排泄が阻害
ること.
されるためと考えられてい
る.
(解説)
海外においてシプロフロキサシン錠との併用によりメトトレキサートの血
中濃度が上昇し,作用が増強される可能性があるとの報告がある 69).
メトトレキサートの腎排泄機序は,糸球体濾過及び尿細管分泌であり,ま
た,本剤は主として腎臓から排泄されるため,メトトレキサートの排泄が
競合的に阻害される可能性があると考えられるが,明らかな発現機序の詳
細は不明である.
- 41 -
薬剤名等
アルミニウム又は
マグネシウム含有
の制酸剤等 70)
ケイ酸アルミニ
ウム,水酸化ア
ルミニウムゲ
ル・水酸化マグ
ネシウム,スク
ラルファート水
和物等
鉄剤 71)
カルシウム含有製
剤 72)
マグネシウム含有
製剤
ジダノシン錠 73)
臨床症状・
措置方法
本剤の吸収が低下
し,効果が減弱さ
れるおそれがある
ので,本剤服用後 2
時間以上あけるな
ど注意すること
70)
.
機序・
危険因子
多価金属イオン含
有製剤を併用した
場合,難溶性のキ
レートを形成し,
本剤の消化管から
の吸収を減少さ
せ,血中濃度を低
下させるためと考
えられている.
(解説)
アルミニウムまたはマグネシウム含有の制酸剤あるいは鉄剤,カルシウム
含有製剤,マグネシウム含有製剤との併用により,シプロキサンの吸収が
低下し,効果が減弱するおそれがある.作用機序は主として金属カチオン
とニューキノロン系抗菌剤の 4-オキソ-3-カルボキシル基間でキレートを
形成し,消化管の吸収を減少,血中濃度を低下させることによるものと考
えられている.
これらの相互作用を回避するには,金属イオンを含まない消化器官用薬の
併用を行うか,金属イオンを含む制酸剤,鉄剤,カルシウム含有製剤を本
剤服用後,2 時間以上あけて服用する等注意が必要である 71,72,73,77,99).
薬剤名等
カルシウムを多量
に含有する飲料
牛乳等
臨床症状・
措置方法
本剤を空腹時に
カルシウムを多
量に含有する飲
料と同時に服用
すると 74,75),本剤
の吸収が低下し,
効果が減弱される
おそれがある.
機序・
危険因子
多価金属イオンと
難溶性のキレート
を形成し,本剤の
消化管からの吸収
を減少させ,血中
濃度を低下させる
ためと考えられて
いる.
(解説)
空腹時に本剤をカルシウムを多量に含量する飲料(牛乳,カルシウム強化オレ
ンジジュース)のみで服用すると,本剤がそれら飲料に含まれる多価金属イオ
ンと難溶性のキレートを形成するため,本剤の消化管からの吸収が減少し,本
剤の血中濃度が低下したとの報告(牛乳:Cmax 36%低下 74),ヨーグルト:Cmax
47%低下 74),カルシウム強化オレンジジュース:Cmax 47%低下,AUC 38%低
下
75)
)がある.したがって,空腹時に本剤を服用する場合,カルシウムを多
量に含有する飲料の摂取との間隔を 2 時間以上あける必要がある.
一方,カルシウムを多量に含む食事のあとに本剤を服用,または食後に本
剤を牛乳等で服用した場合には,本剤の吸収は大きく影響されないことが
- 42 -
示唆されている 76,77).
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
クラスIA 抗不整 本剤を併用した場合,相加的なQT延長が 機序不明
脈薬
みられるおそれがある.
キニジン,プロ
カインアミド等
クラスⅢ抗不整
脈薬
アミオダロン,
ソタロール等
(解説)
一般に,キノロン系抗菌剤は QT 間隔に影響を及ぼすことが知られている。シ
プロフロキサンにおいても相加的な QT 延長がみられるおそれがあるが,機序
については不明である.
薬剤名等
セベラマー塩酸塩
炭酸ランタン水
和物
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
本剤の吸収が低下し,効果が減弱される 左記薬剤を併用した場合,
おそれがあるので,本剤服用後2時間以 難 溶 性 の キ レ ー ト を 形 成
上あけるなど注意すること.
し,本剤の消化管からの吸
収を減少させ,血中濃度を
低下させるためと考えられ
ている.
(解説)
シプロフロキサシン経口投与は,セベラマー塩酸塩との併用で,シプロフロキ
サシンのバイオアベイラビリティーが 48%減少したとの報告 111),炭酸ランタ
ン水和物との併用で、ランタンの AUC を 54%、Cmax を 56%減少させたとの報
告がある 112).
薬剤名等
クロザピン
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
クロザピン及びその代謝物の血中濃度 併用により,クロザピンの
が29%と31%それぞれ上昇したとの報 肝での代謝が阻害されるた
告がある113).クロザピンの投与中に本 めと考えられている.
剤を投与開始又は投与中止する場合に
は,必要に応じてクロザピンの用量調節
をすること.
薬剤名等
シルデナフィル
クエン酸塩
臨床症状・措置方法
シルデナフィルのCmax及びAUCがそれぞ
れ約2倍上昇したとの報告がある114).
機序・危険因子
CYP3A4阻害によりクリアラ
ンスが減少するとの報告も
あるが,発現機序の詳細は
不明である.
8.副作用
(1) 副作用の概要
承認時及び使用成績調査での調査症例 17,359 例中 498 例(2.87%)に副
作用(臨床検査値の異常変動を含む)が認められ,主な副作用は,発疹
34 件(0.20%)
,胃不快感 36 件(0.21%),下痢 27 件(0.16%),嘔気 27
件(0.16%)
,食欲不振 25 件(0.14%)等であった.
- 43 -
(2) 重大な副作用と初期
症状
(1) 重大な副作用(0.1%未満)
1)ショック,アナフィラキシー様症状:ショック,アナフィラキシー様
症状(呼吸困難,浮腫,蕁麻疹等)があらわれることがあるので,観
察を十分に行い,異常があらわれた場合には投与を中止し,適切な処
置を行うこと.
(解説)
ショック,アナフィラキシー様症状はアレルギー反応により発現すると考
えられているが,予測が困難であり,安全で確実な予知可能な方法はない.
本剤投与の際にはアレルギーの既往歴,その他の薬剤や食物によるアレル
ギーの既往についての問診を確実に行う必要がある.
2)大腸炎:偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれること
がある.腹痛,頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止す
るなど適切な処置を行うこと.
(解説)
偽膜性大腸炎は,抗菌薬投与により,腸内細菌叢,特に嫌気性細菌叢が乱
され,菌交代現象に伴いクロストリジウム・ディフィシル菌が異常増殖し,
産生するエンテロトキシンによって惹起される.腹痛,頻回の下痢が認め
られたら,本剤の投与を中止し,バンコマイシンまたはメトロニダゾール
の経口投与を行う 78).
3)横紋筋融解症:筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグ
ロビン上昇を特徴とし,急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があら
われることがあるので注意すること.
(解説)
横紋筋融解症は,骨格筋の融解,壊死によって筋細胞成分が血液中に遊出
する病態である.このとき筋細胞成分中のミオグロビンも大量に遊出する
ため,腎臓において,ミオグロビンによる尿細管の負荷が起こり急性腎不
全を合併することがある.主な臨床症状としては,全身症状として発熱,
倦怠感,体動困難,金縛り症状,脱力感,四肢・関節症状として,筋肉痛,
筋肉のこわばり,手足のだるさ,節々の痛み,消化器症状として食欲不振,
下痢,また,赤色尿などがあげられる.臨床検査値では,血中,尿中ミオ
グロビンの上昇が特徴的で,血中 CK(CPK),LDH,AST(GOT),アルドラー
ゼなども急激に上昇する.
軽度の場合は飲水奨励,重症の場合には脱水の改善,循環動態の安定を目
的とした生理食塩水の点滴,及び酸性尿下で出現するヘマチンによる尿細
管障害の防止を目的とした尿のアルカリ化が有効と考えられている.
- 44 -
4)間質性肺炎:発熱,咳嗽,呼吸困難,胸部 X 線異常,好酸球増多等を伴
う間質性肺炎があらわれることがあるので,このような症状があらわ
れた場合には投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処
置を行うこと.
(解説)
間質性肺炎は発熱,咳嗽,呼吸困難などで発症し,早期からの crackle ラ
音聴取が多く認められる.胸部 X 線上は間質性の陰影としてびまん性の粒
状斑状影や線状網状影を呈することが多く,ときに肺胞性陰影を伴う.肺
機能検査及び動脈血液ガス所見では,まず一酸化炭素拡散能(DLco)の低
下として現れ,続いて PaO2 の低下,さらに拘束性換気障害を呈する.特に
DLco の低下は必発である.血液所見としては,白血球数増加,赤沈値亢進,
CRP 上昇,LDH 上昇,IgG・IgE の増加,また時に好酸球数増加が認められる.
治療の基本は原因薬剤の投与中止で,中等症~重症の場合は副腎皮質ホル
モン剤を投与する.
5) 低血糖:重篤な低血糖があらわれることがある(高齢者,特にグリベ
ンクラミド併用患者であらわれやすい)ので,観察を十分に行い,異
常があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
(解説)
発現機序としてインスリンの過剰分泌が関与していると考えられる 79,80,81).
とくに,腎機能が低下していることが多い高齢者では,血中濃度上昇によっ
て発現する可能性も考えられることから,投与にあたっては腎機能に注意す
る必要がある.また,シプロフロキサシン錠とグリベンクラミドとの併用に
より低血糖が認められたとの報告
82,65)
もあることから併用例においても十
分に注意する必要がある.
6) 骨髄抑制 83),汎血球減少 84),無顆粒球症 83),血小板減少:骨髄抑制,
汎血球減少,無顆粒球症,血小板減少等があらわれることがあるので,
観察を十分に行い,異常があらわれた場合には投与を中止し,適切な
処置を行うこと.
(解説)
急性顆粒球減少症の大部分は薬剤起因性であると推定されており,シプロ
フロキサシンを含め大部分の薬剤は投与量に依存せず,発症の予測が困難
であり,一種の薬剤過敏症であると考えられている.
汎血球減少の発現機序としては,骨髄における血球の母細胞である幹細胞
に対する障害と,流血中の血球に対する障害に大別されるが,いずれの機
序が関与しているかは明らかでない.
7) 劇症肝炎,肝機能障害,黄疸:劇症肝炎,著しい AST(GOT),ALT(GPT)
等の上昇を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察
を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置
を行うこと.
- 45 -
(解説)
シプロキサンの重篤な副作用として劇症肝炎,著しい AST(GOT),ALT(GPT)
等の上昇を伴う肝機能障害,黄疸が報告されている.観察を十分に行い,
異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行う.
発現機序として薬剤そのもの,あるいは代謝物による中毒性肝障害と,薬
剤に対する過敏性反応によるアレルギー性肝障害が知られているが,本剤
においても同様の発現機序の可能性が考えられている.海外では重大な副
作用として,肝壊死の報告がある 89).
8) 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN),皮膚粘膜
眼症候群(Stevens-Johnson 症候群),多形紅斑の副作用があらわれる
ことがあるので,観察を十分に行い,異常があらわれた場合には投与
を中止し,適切な処置を行うこと.
(解説)
治療は,補液による水分,電解質の補給,皮膚・粘膜等のびらん部からの
二次感染防止のため,抗生物質,抗菌剤の投与を行う.重症例では副腎皮
質ホルモン剤の投与を行う.また治療にあたって投薬する薬剤は,既投与
薬剤と化学構造の異なる薬剤を選択する 85).
9) 急性腎不全,間質性腎炎の副作用があらわれることがあるので,観察
を十分に行い,異常があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置
を行うこと.
(解説)
シプロフロキサシンによる急性腎不全発現症例には,発熱,発疹,関節痛
等のアレルギー症状,好酸球増多,血尿,好酸球尿などが発現する急性間
質性腎炎の報告例が多く
86)
, 治療は副腎皮質ホルモンの全身投与が有効と
考えられている.
10) 痙攣の副作用があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常
があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
(解説)
ニューキノロン系抗菌剤は強弱に差はあるものの中枢興奮作用があり,AUC
の高い薬剤ほど中枢神経系副作用が発現しやすいことが報告されている.
本剤は主に腎臓より排泄されるため,特に腎障害患者,高齢者などの腎機
能低下例では,排泄が遅延し,血中濃度の上昇にともない中枢神経系へも
高濃度に薬剤が移行し,副作用が発現しやすいと考えられる.したがって,
投与量の調節,投与間隔をあける等(
[Ⅶ-1-(3)の項],
[Ⅷ-9 の項]参照)
,
慎重に投与する必要がある.また,中枢神経系の興奮性の上昇が考えられ
るてんかん等の痙攣性疾患,またはこれらの既往歴のある患者,高度の脳
動脈硬化症のある患者においても同様に起こりやすいと考えられるため慎
重に投与する 41).
- 46 -
痙攣の対処法として,気道確保と薬剤治療(ジアゼパム,フェニトイン,
フェノバルビタール)を行う.
11) アキレス腱炎,腱断裂等の腱障害の副作用があらわれることがあるの
で,観察を十分に行い,異常があらわれた場合には投与を中止し,適
切な処置を行うこと.
(解説)
詳細な発現機序については不明であるが,ニューキノロン系抗菌剤の直接
毒性や腱中のコラーゲン分泌細胞へのサイトカインを介する作用などが考
えられている.
症状としては,膝や足の関節や腱周辺に腫脹,肥厚,瘙痒感,発赤,結節
性紅斑を伴う疼痛が生じた症例と
87)
,これらの随伴症状がなく,突然の疼
痛だけで発症している症例が報告されている
88)
.腱の罹患筋はほとんどが
アキレス腱であるが,海外では二頭筋長頭,長母指伸筋でも報告がある.
また,半数以上は両側性に症状が出現している.
12) 錯乱,抑うつ等の精神症状の副作用があらわれることがあるので,観
察を十分に行い,異常があらわれた場合には投与を中止し,適切な処
置を行うこと.
(解説)
海外においてシプロフロキサシン錠投与による錯乱,抑うつの報告があ
る 90).観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適
切な処置を行うこと.
13) 重症筋無力症の悪化の副作用があらわれることがあるので,観察を十
分に行い,異常があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行
うこと.
[Ⅷ-5 慎重投与内容とその理由の項]参照
14) 血管炎の副作用があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異
常があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
(解説)
血管炎の発現機序としては,薬剤がハプテンとなり抗体が産生され,形成
された免疫複合体を介する機序(Ⅲ型アレルギー)が主体と考えられてい
る.免疫複合体が血管壁に沈着し,補体が活性化され,化学走性因子によ
り多核白血球が集積し,コラゲナーゼやエラスターゼなどのリソゾーム酵
素が放出され,血管壁の障害や壊死が起こると考えられているが,詳細は
明らかでない.
血管炎が皮膚に限局している場合の予後は良好で,原因薬剤を中止後治療
は不要であり,腎障害などの内臓の血管炎があれば,副腎皮質ホルモン剤
の投与が必要と考えられている.
- 47 -
15) QT 延長,心室頻拍(Torsades de pointes を含む)
:QT 延長,心室頻
拍(Torsades de pointes を含む)があらわれることがあるので,観
察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処
置を行うこと.
(3) その他の副作用
以下のような副作用があらわれた場合には,症状に応じて適切な処置を行
うこと.太字の副作用については投与を中止すること.
0.1~5%未満
過
敏
症 発
疹
腎
臓
肝
臓 AST(GOT)上昇,
ALT(GPT)上昇,
Al-P 上昇,LDH 上昇,
γ-GTP 上昇
器
循
環
血
液 好酸球増多
消
化
感
覚
器 食欲不振,下痢,胃
不快感,嘔気
器
精神神経系
そ
の
他
0.1%未満
頻度不明※
光線過敏症,蕁麻疹, 固定薬疹,血清病様反
瘙痒,発熱,発赤(結 応
節性紅斑),浮腫(末
梢,血管,顔面,咽頭)
BUN 上昇,クレアチニ 血尿,結晶尿
ン上昇
頻脈,失神,ほてり,
低血圧,片頭痛
白血球減少,赤血球 貧血,血小板増加,白
減少,ヘモグロビン 血球増加,点状出血,
減少,ヘマトクリッ プロトロンビン量増
加,溶血性貧血
ト減少
口内炎,嘔吐,腹痛, 消化不良,膵炎
腹部膨満感
眼内異物感,
無嗅覚,嗅覚錯誤,一
味覚異常
過性難聴,耳鳴,視覚
異常
振戦,頭痛,めまい, 無力症,不眠症,不安,
眠気
発汗,悪夢,幻覚,精
神病,失調,末梢神経
ニューロパシー(しび
れ感等),筋緊張亢進,
頭蓋内圧亢進,激越,
意識障害
関節痛,倦怠感,
モニリア症,呼吸困
筋肉痛
難,胸痛,背部痛,関
節障害,高血糖,筋無
力症,CK(CPK)上昇
※自発報告又は海外のみで認められている副作用については頻度不明とした.
- 48 -
(4) 項目別副作用発現頻
度及び臨床検査値異
1) 副作用
常一覧
承認時
4,216
136
169
3.23
検討症例数
副作用発現症例数
副作用発現件数
副作用発現率(%)
承認時
症
状
件数
過
敏
症
状
消
化
器
症
状
発現率
(%)
市販後
件数
発現率
(%)
合
件数
計
市販後
13,143
110
143
0.84
承認時
症
発現率
状
件数
(%)
発現率
(%)
合 計
17,359
246
312
1.42
市販後
件数
発現率
(%)
合
件数
計
発現率
(%)
発疹
14
0.33
20
0.15
34
0.20
めまい
5
0.12
3
0.02
8
瘙痒
3
0.07
7
0.05
10
0.06
頭痛
5
0.12
1
0.01
6
0.03
発熱
3
0.07
1
0.01
4
0.02
ふらつき
4
0.09
2
0.02
6
0.03
蕁麻疹
1
0.02
1
0.01
2
0.01
舌のしびれ感
3
0.07
0
3
0.02
湿疹
0
2
0.02
2
0.01
精
のぼせ
2
0.05
0
2
0.01
紅斑
0
2
0.02
2
0.01
神
頭重感
1
0.02
1
0.01
2
0.01
下肢浮腫
0
2
0.02
1
0.01
1
0.01
紅斑性発疹
1
眼瞼浮腫
0
顔面浮腫
0
小計
22
0.02
0.52
0
2
0.01
神
四肢のしびれ感
0
1
0.01
経
口唇のしびれ感
1
1
0.01
症
顔面のしびれ感
0
状
1
0.01
1
0.01
1
0.01
眠気
1
37
0.28
59
0.34
冷汗
0
0.02
0
1
0.02
1
0.01
0.01
1
0.01
1
0.01
0.01
1
0.01
0
1
0.05
胃不快感
18
0.43
18
0.14
36
0.21
振戦
0
1
0.01
1
0.01
下痢
15
0.36
12
0.09
27
0.16
失見当識
0
1
0.01
1
0.01
12
0.09
34
0.20
8
0.06
8
0.05
0.02
嘔気
14
0.33
13
0.10
27
0.16
小計
22
食欲不振
17
0.40
8
0.06
25
0.14
肝機能障害
0
0.52
胃痛
9
0.21
4
0.03
13
0.07
倦怠感
2
0.05
2
0.02
4
嘔吐
4
0.09
4
0.03
8
0.05
関節痛
1
0.02
1
0.01
2
0.01
軟便
6
0.14
2
0.02
8
0.05
筋肉痛
0
1
0.01
1
0.01
腹痛
4
0.09
3
0.02
7
0.04
咳
1
0.02
0
1
0.01
腹部膨満感
6
0.14
2
0.02
8
0.05
気管支痙攣悪化
1
0.02
0
1
0.01
心窩部痛
3
0.07
1
0.01
4
0.02
嗄声
1
0.02
0
1
0.01
胸やけ
3
0.07
1
0.01
4
0.02
発汗
1
0.02
0
1
0.01
口内炎
3
0.07
0
3
0.02
耳鳴
2
0.05
0
2
0.01
腹鳴
2
0.05
0
口角炎
1
0.02
1
0.01
0.01
2
0.01
そ
苦味
2
0.05
0
2
0.01
2
0.01
の
動悸
1
0.02
0
1
0.01
他
血圧低下
1
0.02
1
0.01
眼球充血
0
1
0.01
1
0.01
便秘
2
0.05
1
3
0.02
口唇のあれ
1
0.02
0
1
0.01
0
下腹部痛
1
0.02
0
1
0.01
耳閉感
0
1
0.01
1
0.01
季助部痛
1
0.02
0
1
0.01
耳下腺腫大
0
1
0.01
1
0.01
便意
1
0.02
0
1
0.01
下肢脱力感
0
1
0.01
1
0.01
胃潰瘍
0
口渇
1
吐血
血便
小計
112
1
0.01
1
0.01
黄疸
0
1
0.01
1
0.01
1
0.01
2
0.01
腎機能障害
0
1
0.01
1
0.01
0
1
0.01
1
0.01
膣カンジダ症
0
1
0.01
1
0.01
0
1
0.01
1
0.01
菌交代現象
0
1
0.01
1
0.01
74
0.56
186
1.07
小計
13
20
0.15
33
0.19
0.02
2.66
- 49 -
0.31
2) 臨床検査値異常
承認時
臨床検査値異常
血
液
検
査
肝
機
能
検
査
腎機能検査
尿
検
査
赤血球減少
ヘモグロビン減少
ヘマトクリット値減少
白血球減少
白血球増多
好酸球増多
好中球減少
単球増多
血小板減少
CPK 上昇*
AST(GOT)上昇
ALT(GPT)上昇
Al-P 上昇
ビリルビン上昇**
LDH 上昇
γ-GTP 上昇
BUN 上昇
クレアチニン上昇
市販後
発現例数/
症例数
1/2,500
1/2,497
1/2,505
9/2,521
0/2,521
43/2,055
3/2,005
1/2,052
4/2,201
2/70
69/2,416
78/2,416
14/2,330
2/1,704
8/1,357
7/1,075
9/2,336
3/2,287
発現率
(%)
0.04
0.04
0.04
0.36
2.09
0.15
0.05
0.18
2.86
2.86
3.23
0.60
0.12
0.59
0.65
0.39
0.13
発現例数/
症例数
2/3,384
3/3,359
3/3,324
6/3,534
3/3,534
12/1,901
0/1,910
1/2,005
2/3,071
―
34/2,858
41/2,846
7/2,481
―
9/2,490
10/2,139
6/2,652
2/2,555
2/1,802
6/2,266
1/1,502
0.11
0.26
0.07
0/2,682
―
―
顕微鏡的血尿
尿蛋白陽性**
尿糖陽性**
合計
発現率
(%)
0.06
0.09
0.09
0.17
0.08
0.63
0.05
0.07
―
1.19
1.44
0.28
―
0.36
0.47
0.23
0.08
発現例数/
症例数
3/5,884
4/5,856
4/5,829
15/6,055
3/6,055
55/3,956
3/3,915
2/4,057
6/5,272
2/70
103/5,274
119/5,262
21/4,811
2/1,704
17/3,847
17/3,214
15/4,988
5/4,842
発現率
(%)
0.05
0.07
0.07
0.25
0.05
1.39
0.08
0.05
0.11
2.86
1.95
2.26
0.44
0.12
0.44
0.53
0.30
0.10
―
―
2/4,484
6/2,266
1/1,502
0.04
0.26
0.07
*1998 年剤型(細粒)追加時のみ測定
**市販後調査では検査項目でないため,承認時での調査結果を示す.
バイエル薬品集計(1988 年承認時,1996 年 3 月再審査結果及び 1998 年追加時)
(5) 基礎疾患,合併症,
承認より 6 年間に,全国 1,908 施設より集積された 13,143 例を副作用(臨
重症度及び手術の有
床検査値を含む)について患者背景より層別解析した結果は以下の通りで
無等背景別の副作用
あった(統計解析方法:Fisher's exact test).
発現頻度
1) 性 別
性別の解析において「男性」群と「女性」群間に有意差は認められなか
った.
性
症
例
数
副作用発現
症 例 数
副作用発現
件
数
副作用発現
症例率(%)
男
6,265
94
141
1.50
女
6,878
98
143
1.42
計
13,143
192
284
1.46
- 50 -
2) 年 齢
年齢別の解析において,「65 歳以上」の高齢者群において,副作用発現
率が有意(p<0.001)に高かった.(シプロキサン錠の小児への投与は
禁忌である.
)
「65 歳以上」群においては,肝臓・胆管系障害,消化管障害の副作用が
多く,高齢者は生理機能が低下しており,その影響と思われた.
年齢
15
歳
未
症
例
数
副作用発現
症 例 数
副作用発現
件
数
副作用発現
症例率(%)
満
86
2
2
2.33
15 歳以上 65 歳未満
9,388
114
157
1.21
65
上
3,668
76
125
2.07
明
1
0
0
0.00
13,143
192
284
1.46
歳
以
不
計
3) 1 日投与量
1 日投与量別では,
「200mg 以下」群の副作用発現率が有意(p<0.001)
に高かった.
「200mg 以下」群では,1~2 回服用後副作用が発現し,服用を中止した
症例が 8 例中 5 例あり,これらの 5 例を除いた発現率は,3.90%であっ
た.この発現率は他の群と比較して極端に高い発現率でもなく,又,調
査症例数も非常に少ないことより,「200mg 以下」群で有意に副作用発現
率が高かったという結果は臨床的意義に乏しいものと考える.
1 日投与量
症
例
200 mg 以下
数
副作用発現
症 例 数
副作用発現
件
数
副作用発現
症例率(%)
82
8
22
9.76
300 mg
1,097
15
19
1.37
400 mg
1,303
17
28
1.30
600 mg
10,444
144
203
1.38
800 mg
142
4
5
2.82
900 mg
4
1
3
25.00
1200 mg 以上
計
71
3
4
4.23
13,143
192
284
1.46
4) 使用期間・総投与量
「15 日以上」群においてわずかに高かったが,これ以外の各使用期間群
では大きな差は認められなかった.
(症例数については累積症例数でカウントし,副作用発現症例数は,初
発副作用発現時までの投与期間でカウントした症例数とした)
- 51 -
使用期間
症
例
数
副作用発現
症 例 数
副作用発現
件
数
副作用発現
症例率(%)
1 ~ 3日
13,143
58
78
0.44
4 ~ 5日
12,576
41
56
0.33
6 ~ 7日
9,800
38
60
0.39
8 ~14 日
6,535
35
58
0.54
15~29 日
1,708
31
46
1.81
30~59 日
426
8
15
1.88
60 日以上
95
1
2
1.05
5) 併用薬
併用薬の有無別の解析において,「有り」群が有意に(p<0.01)に高か
った.併用薬のうち,テオフィリンとの併用 386 例中副作用が発現した
のは 10 例(2.59%)で,振戦,ふらつきが各 1 例,消化器障害 3 例で,
その他は臨床検査値異常であった.プロピオン酸系消炎鎮痛剤について
は,1,433 例中副作用が発現したのは 15 例(1.04%)
(内ケトプロフェ
ン併用例 52 例では副作用発現せず)
,
フェニル酢酸系消炎鎮痛剤では 480
例中副作用が発現したのは 8 例(1.67%)であったが,いずれも消化器
障害,臨床検査値異常等であった.なお,いずれの症例も痙攣等の中枢・
末梢神経系障害の発現が有意に高いという結果は認められなかった.
併用薬の有無別の解析において,
「有り」群が有意(p<0.01)に高かっ
た.
併
用
薬
症
例
数
副作用発現
症 例 数
副作用発現
件
数
副作用発現
症例率(%)
無
し
3,542
32
46
0.90
有
り
9,598
160
238
1.67
不
明
計
3
0
0
0.00
13,143
192
284
1.46
6) 合併症
合併症の「有り」群が有意(p<0.001)に高かった.
合 併 症 を 国 際 疾 患 分 類 ( ICD:International Classification of
Diseases)に準じて分類し検討してみると,肺結核等の「感染症及び寄
生虫症」を合併する症例で 3.32%,貧血等の「血液及び造血器の疾患」
を合併する症例で 4.35%,腎不全,前立腺肥大症等の「泌尿生殖系の疾
患」を合併する症例で 2.97%と,副作用発現率がやや高い他は特別な傾
向は認められなかった.
合
併
症
症
例
数
副作用発現
症 例 数
副作用発現
件
数
副作用発現
症例率(%)
無
し
7,436
74
102
有
り
5,702
118
182
2.07
不
明
5
0
0
0.00
13,143
192
284
1.46
計
- 52 -
1.00
7) 特異体質
特異体質の「有り」群が,有意(p<0.001)に高かった.
特 異 体 質
症
例
数
副作用発現
症 例 数
副作用発現
件
数
副作用発現
症例率(%)
無
し
12,181
161
239
1.32
有
り
315
16
21
5.08
不
明
647
15
24
2.32
13,143
192
284
1.46
計
8) 使用理由
使用理由別では,浅在性化膿性疾患 0.45%(6/1,333 例),外科領域感
染症 0.38%(2/525 例)
,眼科領域感染症 0%(0/140 例)と低く,その
他の疾患 2.63%(28/1,065 例)のみが有意に副作用発現率が高かった.
その他の疾患群は,感染予防や種々の分野の感染症に投与された患者群
であり一定の傾向は認められなかった.
使 用 理 由
(6) 薬物アレルギーに対
する注意及び試験法
症
例
数
副作用発現
症 例 数
副作用発現
件
数
副作用発現
症例率(%)
浅在性化膿性疾患
1,333
6
7
0.45
外科領域感染症
525
2
4
0.38
呼 吸 器 感 染 症
5,293
81
127
1.53
尿
路
感
染
症
3,255
55
83
1.69
胆
道
感
染
症
106
1
1
0.94
感
染
性
腸
炎
560
8
12
1.43
婦人科領域感染症
415
3
3
0.72
眼科領域感染症
140
0
0
0.00
耳鼻科領域感染症
523
9
11
1.72
そ の 他 の 疾 患
1,065
28
38
2.63
■禁忌(次の患者には投与しないこと)の抜粋
(1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
■使用上の注意の抜粋
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1)本人又は両親,兄弟に気管支喘息,発疹,蕁麻疹等のアレルギー症
状を起こしやすい体質を有する患者
2.重大な副作用(0.1%未満)
1)ショック,アナフィラキシー様症状:ショック,アナフィラキシ
ー様症状(呼吸困難,浮腫,蕁麻疹等)があらわれることがある
ので,観察を十分に行い,異常があらわれた場合には投与を中止
し,適切な処置を行うこと.
- 53 -
3.その他の副作用
以下のような副作用があらわれた場合には,症状に応じて適切な処置
を行うこと.太字の副作用については投与を中止すること.
0.1~5%未満
過
9.高齢者への投与
敏
症 発
疹
頻度不明*
0.1%未満
光線過敏症,蕁麻疹, 固定薬疹,血清病様反
瘙痒,発熱,発赤(多 応
形紅斑,結節性紅斑)
,
浮腫(末梢,血管,顔
面,咽頭)
本剤は主として腎臓から排泄されるが,高齢者では腎機能が低下している
ことが多いため,高い血中濃度が持続するおそれがあるので
ならびに投与間隔に留意し,慎重に投与すること
40),91)
,用量
92)
.
(解説)
[Ⅷ-5 慎重投与内容とその理由の項]参照
10.妊婦,産婦,授乳婦等
への投与
(1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと.[妊娠
中の投与に関する安全性は確立していない.]
(解説)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に対する使用経験がなく,ヒトの
妊娠中の投与に関する安全性は確立されていない.
(2)授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが,やむを得ず投与す
る場合には授乳を避けさせること.[母乳中へ移行することが報告さ
れている 18).]
(解説)
[Ⅶ-4(3)乳汁への移行性の項]参照
11.小児等への投与
低出生体重児,新生児,乳児,幼児又は小児に対する安全性は確立してい
ないので,小児等には投与しないこと.
[「その他の注意」の項参照]
(解説)
幼若ラット及び幼若イヌにシプロフロキサシンを反復経口投与した場合,
関節への影響が認められていることより,幼児への投与により関節毒性を
発現する可能性があるので,乳幼児,小児には投与しないこと.
12.臨床検査結果に及ぼす
該当しない
影響
- 54 -
13.過量投与
徴候と症状: 腎毒性があらわれたとの報告がある.
処
置:腎機能をモニターするとともに,本剤の吸収を減少させるために
マグネシウム,カルシウム等を含む制酸剤を投与し,水分及び電
解質の補充を行う.シプロフロキサシンは腹膜透析,血液透析で
は少量(10%程度)しか除去されない 102).
(解説)
シプロフロキサシンの過量投与による腎障害の発現例を報告した外国文献
が 2 報ある.
症例 194) 29 歳の女性.本剤 21g を服用.嘔気・嘔吐,関節痛,無尿,
発熱,クレアチニン上昇(急性腎不全)を認め,プレドニン
を投与.関節痛,乏尿は回復し,クレアチニン値も正常化.
95)
症例 2
16 歳の男性.本剤 12g を服用.嘔気,心窩部痛,嘔吐,手の振
戦を認め,活性炭とソルビトールを 2 時間間隔で 2 度投与し,
0.45%塩化ナトリウム(150mL/h で 48 時間)を点滴して回復.
(対応策)93) 催吐,胃洗浄にて空胃にし,十分な経過観察と支持療法を行
う.適切な水分補給を行う.血液透析や腹膜透析では少量
(10%程度※)が除去されるのみである. ※投与経路・注射
14.適用上の注意
薬剤交付時:PTP 包装の薬剤は PTP シートから取り出して服用するよう指
導すること.
[PTP シートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘
膜へ刺入し,更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併
症を併発することが報告されている.]
15.その他の注意
(1) 動物実験(幼若イヌ,幼若ラット)で関節異常が認められている.
(解説)
幼若ラット及び幼若ビーグル犬を用いた反復投与試験(経口)において,
関節軟骨のびらんなどが認められた.成熟動物(サル)を用いた反復静脈
内投与試験においてはいずれの試験でも関節毒性は認められなかった.
(2) 大量投与[750mg/回以上(経口剤)]により結晶尿が認められたとの報告
がある.
(解説)
シプロフロキサシン錠 1 回 750mg 以上の高用量投与で,結晶尿の報告はあ
るが,いずれも軽症で投与中止後消失した 94).
- 55 -
(3) 遺伝毒性については,in vitro 試験の一部(マウスリンパ腫細胞を
用いた遺伝子突然変異試験,ラット肝初代培養細胞を用いた不定期
DNA 合成試験,チャイニーズハムスターCHL 細胞を用いた染色体異常
試験)成績において,陽性を示したとする報告がある.
(解説)
以下の変異原性試験の内,tk 試験及び in vitro での染色体異常試験及び
不定期 DNA 合成試験でのみ陽性であったが,全ての in vivo 試験を含め他
の試験では陰性結果が得られている.
遺伝子突然変異誘発性を指標とす 細菌を用いる復帰突然変異試験及び哺乳
る試験
類細胞を用いる遺伝子突然変異試験
(HGPRT 試験及び tk 試験)
染色体異常誘発性を指標とする試 マウスを用いる小核試験,染色体異常試
験
験(in vitro 及び in vivo 試験),マウス
を用いる優性致死試験
DNA 損傷性を指標とする試験
不定期 DNA 合成試験(in vitro 及び in
vivo 試験),細菌を用いた DNA 修復試験
その他の変異原性試験
in vitro 形質転換試験
(4) 光遺伝毒性については,ネズミチフス菌 TA104 を用いた復帰突然変
異試験,チャイニーズハムスターV79 細胞を用いた染色体異常試験,
マウスリンパ腫細胞を用いたコメットアッセイにおいて陽性を示す
所見が認められている.
(解説)
細菌を用いる復帰突然変異試験,チャイニーズハムスターV79 細胞を用い
る染色体異常試験,コメットアッセイ(マウスリンパ腫細胞及びチャイニ
ーズハムスターV79 細胞)
,DNA 酸化損傷試験及び DNA 一本鎖切断試験にお
いて,類薬(ノルフロキサシン,ロメフロキサシン,フレロキサシン)と
比較して弱いか同程度の光変異原性を示すことが報告されている 96).
■シプロフロキサシン及び他剤についての光変異原性試験の結果
試験項目
(使用細胞)
処理濃度
(μg/mL)
光照射強度
(mJ/cm2)
シプロフロキサシン
変異コロニー数は,
最大で非照射群の
復帰突然変
異試験
10,31.6,100 90,300,600 約 2 倍まで増加し
(TA 104)
た(10μg/mL 注 ),
300mJ/cm2)
染色体異常細胞の出
染色体異常
現頻度は,13μg/mL
試験
6.5,13,25,
の濃度で非照射群の
500
(チャイニー
50,100,200
約 4 倍,50μg/mL の
ズハムスタ
濃度で約 5 倍まで増
ーV79 細胞)
加した.
10μg/mL の濃度よ
コメットア
り,ほぼ全細胞が顕
ッセイ(マ
3,10,30,100
500
著な DNA 鎖切断を示
ウスリンパ
腫細胞)
した.
結果
フレロキサシン
変異コロニー数は,
最大で非照射群の約
1.5 倍弱まで増加し
た(100μg/mL 注),
600mJ/cm2)
染色体異常細胞の出
現頻度は,13μg/mL
の濃度で非照射群の
約 6 倍,50μg/mL の
濃度で約 15 倍まで増
加した.
30μg/mL の濃度よ
り,ほぼ全細胞が顕
著な DNA 鎖切断を示
した.
注)31.6μg/mL からは抗菌作用のため,変異コロニー数は減少した.
- 56 -
ロメフロキサシン
変異コロニー数は,
最大で非照射群の約
1.5 倍弱まで増加し
た(100μg/mL 注),
600mJ/cm2)
染色体異常細胞の出
現頻度は,13μg/mL
の濃度で非照射群の
約 35 倍,50μg/mL
の濃度で約 45 倍まで
増加した.
10μg/mL の濃度よ
り,ほぼ全細胞が顕
著な DNA 鎖切断を示
した.
(5) プロベネシドによる影響
プロベネシドとの併用により,本剤の最高血中濃度は大きく変化しな
かったが,t1/2 の延長と AUC の増加が認められたとの報告がある.
(解説)
シプロフロキサシン 200mg を,無作為クロスオーバー法により,併用又は
非併用下で単回静注投与した.その結果,プロベネシド併用時,シプロフ
ロキサシンの AUC(血漿中濃度-時間曲線下面積)(μg・h/mL)は 5.73 から
10.01 に増加,消失半減期(h)は 3.40 から 5.15 に延長したが,Cmax に大き
な変化はみられなかった 97).
16.その他
- 57 -
Ⅸ.
非臨床試験に関する項目
1.薬理試験
(1) 薬効薬理試験
(「Ⅵ.薬効薬理に関
する項目」参照)
(2) 副次的薬理試験
該当資料なし
(3) 安全性薬理試験
分類
試 験 項 目
動 物
投 与 量
投与経路
(mg/kg)
マウス
100~1,000
p.o.
300mg/kg までほとんど作用なし.
1,000mg/kg で軽度抑制.
マウス
100~1,000
p.o.
1,000mg/kg まで作用なし.
マウス
100~1,000
p.o.
1,000mg/kg まで作用なし.
マウス
100~1,000
p.o.
300mg/kg まで作用なく,500mg/kg
以上で用量依存的な延長.
マウス
100~1,000
p.o.
1,000mg/kg まで作用なし.
ラット
100~300
p.o.
300mg/kg まで作用なし.
10~100
p.o.
100mg/kg まで作用なし.
自発運動量
Animex
回転カゴ
中
協調運動
試
験
成
績
抗痙攣作用
枢
最大電撃痙攣
ペンテトラゾール痙攣
神
睡眠増強作用
経
(ペントバルビタール)
系
鎮痛作用
Haffner 変法
熱板法
体温
脊髄反射
麻酔ラット
麻酔ネコ
循 環 器 系
平滑筋系
末梢神経系・その他
血圧
麻酔ネコ
10~100
p.o.
100mg/kg まで作用なし.
血圧・心拍数・心拍
出量・全末梢血管抵
抗・左室内圧・左室
内圧上昇速度・動脈
血 CO2,O2 分圧
麻酔イヌ
10~100
p.o.
100mg/kg までほとんど作用なし.
イ ヌ
40~80
p.o.
80mg/kg までほとんど作用なし.
10 ~10
g/mL
in
vitro
軽度の筋弛緩作用がみられたが,
ヒスタミンによる収縮に作用なし
10~100
p.o.
100mg/kg まで作用なし.
胃腸管収縮運動
-7
摘出気管
神経筋伝達
モルモット
麻酔ラット
麻酔ネコ
-5
血小板凝集・血液凝
固・血液成分
ラット
10~100
p.o.
100mg/kg まで作用なし.
血糖値・血清トリグ
リセライド値
ラット
1~100
p.o.
100mg/kg まで作用なし.
尿・電解質排泄
ラット
10~100
p.o.
100mg/kg まで作用なし.
- 58 -
(4) その他の薬理試験
該当資料なし
2.毒性試験
(1) 単回投与毒性試験
LD50(mg/kg)
動
物
マ
投与経路
経
口
静
脈
内
筋
肉
内
ウ
ス
ラ
ッ
ト
サ
ル
♂
♀
♂
♀
♂
♀
>5,000
>5,000
>5,000
>5,000
>5,000
>5,000
275
258
300
325
──
──
──
──
(259~291) (240~277) (279~323) (299~354)
>1,000
>1,000
>1,000
>1,000
主たる毒性症状としては,自発運動抑制,眼瞼下垂,横臥,腹臥,強直性
または間代性痙攣が認められ,死亡例では呼吸困難ないし呼吸麻痺が,剖
検で肺のうっ血が認められた.これらの所見から,死因としては呼吸抑制
であると推定される.
(2) 反復投与毒性試験
使用動物
ラット(Wistar)♂♀
サル(アカゲザル)♂♀
幼若イヌ(Beagle)♂♀
投与期間
4 週間
(1 日 1 回 週 7 回)
13 週間
(1 日 1 回 週 7 回)
4 週間
(1 日 1 回 週 7 回)
投与経路
p.o.
p.o.
p.o.
溶
0.5% MC
注射用蒸留水
ゼラチンカプセルに充填
投与量
(mg/kg/day)
媒
0,30,100,300
0,15,45,135
0,30,70,100
薬物に
起因する
毒性所見
血漿中の Heinz 小体
↑(傾向):300mg/kg
血漿中尿素↑,クレアチニン↑:135mg/kg
尿中に黄色針状結晶*:135mg/kg
腎組織に異物反応,尿細管に束状結晶*:
*
CPFX 由来の結晶
135 mg/kg
関節毒性以外の所見なし
最 大
無影響量
(mg/kg/day)
100
45
≧100(関節毒性所見を除く)
ラット 4 週間経口亜急性毒性試験における最大無影響量は 100mg/kg,サル
13 週間経口亜急性毒性試験における最大無影響量は 45mg/kg であり,幼若
イヌ 4 週間経口亜急性毒性試験における最大無影響量は,幼若動物のみ特
異的に認められる関節毒性の発現を除くと 100mg/kg であった.
使
用
動
物
投
与
期
間
投
与
経
路
溶
媒
投与量(mg/kg/day)
ラット(Wistar)♂♀
26 週間(1 日 1 回 週 7 回)
p.o.
0.5% MC
0,20, 100, 500
薬物に起因する毒性所見
尿中に黄色針状結晶*:500mg/kg
最大無影響量(mg/kg/day)
≧500**
*
**
CPFX 由来の結晶
結晶尿(CPFX 由来)の所見を除く
- 59 -
サル(アカゲザル)♂♀
26 週間(1 日 1 回 週 7 回)
p.o.
注射用滅菌水
0,10, 30, 90
腎組織に異物反応,尿細管に束状の
結晶*:90mg/kg
30
26 週間経口慢性毒性試験における最大無影響量はラットでは 500mg/kg 以
上,サルでは 30mg/kg であった.
回復試験
該当資料なし
(3) 生殖発生毒性試験
1) ラットの妊娠前及び妊娠初期経口投与試験:100mg/kg/日までの用量で
は,雌雄親動物の生殖能,胎仔,出産仔の生後発育及び生殖能力に及ぼ
す影響は何ら認められなかった.
2) ラット器官形成期経口投与試験:100mg/kg/日の用量で体重増加抑制が
認められた以外母獣,胎仔,出産仔の生後発育及び生殖能に何ら影響は
認められず,また催奇形性作用も認められなかった.
3) マウス器官形成期経口投与試験:100mg/kg/日の用量では母獣及び胎仔
に及ぼす影響は何ら認められず,また催奇形性作用も認められなかっ
た.
4) ウサギ器官形成期経口投与試験:30mg/kg/日以上の用量において母獣毒
性が認められ,100mg/kg/日群では 2 次的影響として妊娠率の低下及び
胎仔発育の抑制を認めた.しかし,母獣毒性を示す投与用量においても,
催奇形性作用は認められなかった.なお,一般に抗生物質及び抗菌剤を
経口投与した場合,腸内細菌叢に影響を与え特にウサギでは極めて忍容
性が悪いことが知られている.
5) ラット周産期及び授乳期経口投与試験:100mg/kg/日までの用量では母
獣に対する影響ならびに胎仔,出産仔の生後発育及び生殖能には何ら影
響を示さなかった.
(4) その他の特殊毒性 1)
1) 依存性
ラット及びサルを用いた経口投与亜急性及び慢性毒性試験において,本
剤の依存性を示す所見は何ら認められておらず,臨床例においても依存
性を示唆する所見は認められていない.
2) 抗原性
Hartley 系モルモットを用い,本剤を単独及びモルモット血清存在下で
Freund's complete adjuvant または水酸化アルミニウムゲルとともに
感作し,本剤に対する抗体産生の有無を全身性アナフィラキシー反応,
受身赤血球凝集反応及び受身皮膚アナフィラキシー反応により検討し
た.その結果,本剤は単独及び hapten としても抗原性作用を示さなか
った.
- 60 -
3) 変異原性
本剤の変異原性試験として,細菌及び哺乳動物細胞を用いた in vitro
試験ならびにマウス及びラットを用いた in vivo 試験を実施した.
細菌を用いて行った in vitro 試験では,本剤は Ames 試験及び Pol A−
試験のいずれにおいても陰性の成績を示した.
哺乳動物細胞を用いて行った in vitro 試験では,本剤は HGPRT 試験
及び DNA 組換え誘発試験においては陰性の成績を示したが,前進型突然
変異試験及び不定期 DNA 合成試験においても陰性の成績を示した.
一方, in vivo 試験では,本剤はマウス小核試験及び優性致死試験な
らびにラット不定期 DNA 合成試験のいずれにおいても陰性の成績を示
した.
以上の成績から本剤には DNA 合成阻害作用は認められるが,変異原性作
用はないものと判定した.
4) がん原性
本剤には変異原性作用がないこと及び既存のピリドンカルボン酸誘導
体においても発がん性を示す報告がないことから,本剤には発がん性作
用はないものと推定される.
5) 関節毒性
幼若ラット及び幼若ビーグル犬を用いた反復投与試験(経口)において,
関節軟骨のびらん等が認められた.成熟動物(サル)を用いた反復静脈
内投与試験においてはいずれの試験でも関節毒性は認められなかった.
6) 眼毒性
サルを用いた 4,13,26 週間反復静脈内投与試験において,いずれの試
験でも眼毒性を示唆する所見は認められなかった.
ネコを用いた 2 週間静脈内投与試験において,ERG(網膜電位図)及び
VEP(視覚誘発脳波)に関して異常は認められなかった.
7) 腎毒性
ラット及びサルを用いた反復静脈内投与試験において,それぞれ高用量
群[ラット(4 週間:80mg/kg/日,26 週間:20,40mg/kg/日)
,サル(4
週間:30mg/kg/日,13 週間:18mg/kg/日,26 週間:20mg/kg/日,4 週間
/点滴静脈内投与:20mg/kg)]で尿中に排泄されたシプロフロキサシン
が再結晶化したことに起因すると考えられる尿細管変化が認められた.
また,ウサギを用いた反復静脈内投与試験において 30mg/kg/日群で正
常ウサギに尿細管拡張が,腎障害ウサギに病理組織学的所見の悪化がみ
られ,無毒性量は 10mg/kg/日であった.
8) 光毒性
マウスに静脈内投与後 UVA を照射したが,光毒性は 100mg/kg/日におい
- 61 -
ても認められなかった.
9) ヒスタミン遊離能
ラット腹腔肥満細胞及びヒト皮膚肥満細胞を用いた in vitro 試験 98) に
おいて,200μg/mL 以上の高濃度ではヒスタミン遊離が認められた.
10) 非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)との相互作用
CPFX1000mg/kg と各種 NSAIDs(300~500mg/kg)をマウスに同時経口投
与あるいは CPFX 投与 10 分前に投与し,痙攣誘発試験した結果を以下
に示す.
各種 NSAIDs とシプロフロキサシン(1,000mg/kg)を
併用経口投与した時の痙攣誘発(マウス)54)
NSAIDs
分類
サリチル酸系
アスピリン
アントラニル酸系
メフェナム酸
フェニル酢酸系
インドール酢酸系
その他の酢酸系
酸
一般名
性
フェニル
プロピオン酸系
その他の
プロピオン酸系
痙攣誘発
○?
アンフェナクNa
○
ジクロフェナクNa
○?
フェンブフェン
▲
インドメタシン
◎
スリンダク
○
トルメチンNa
○
イブプロフェン
○
フルルビプロフェン
▲
ケトプロフェン
▲
ロキソプロフェンNa
◎
ナプロキセン
▲
プラノプロフェン
○
チアプロフェン酸
○
オキサプロジン
◎
ザルトプロフェン
オキシカム
非酸性
ピロキシカム
塩酸チアラミド
○*
メピリゾール
投与方法:NSAIDs(300~500mg/kg),シプロフロキサシン(1,000mg/kg)併用
(同時あるいは NSAIDs10 分前経口投与)
▲:60%以上の動物に間代性痙攣発現
○:40%未満の動物に間代性痙攣発現
*:NSAIDs 単独投与で興奮状態
- 62 -
◎:40%以上の動物に間代性痙攣発現
?:NSAIDs 単独投与で興奮傾向
空白:併用して興奮・痙攣を認めない
Ⅹ.
1.規制区分
管理的事項に関する項目
製剤:シプロキサン錠 100mg,200mg
有効成分:塩酸シプロフロキサシン
処方せん医薬品注)
注)注意-医師等の処方せんにより使用すること
2.有効期間又は使用期限
使用期限 4 年
3.貯法・保存条件
室温で遮光した気密容器に保存すること.
4.薬剤取扱い上の注意点
(1) 薬局での取扱いにつ
本剤は粉砕して使用しないこと(刺激性の苦みがある).
いて
(2) 薬剤交付時の注意
(患者等に留意すべ
き必須事項等)
PTP 包装の薬剤は PTP シートから取り出して服用するよう指導すること.
[PTP シートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔を
起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている.]
5.承認条件等
なし
6.包
100mg PTP 包装 100 錠(10 錠×10),500 錠(10 錠×50)
装
200mg PTP 包装 100 錠(10 錠×10),600 錠(10 錠×60)
7.容器の材質
PTP:ポリプロピレン(PP),アルミニウム
8.同一成分・同効薬
同一成分薬:なし
同
効
薬:ノルフロキサシン,エノキサシン,オフロキサシン,トスフ
ロキサシン,ロメフロキサシン,フレロキサシン,スパルフ
ロキサシン,レボフロキサシン,プルリフロキサシン,モキ
シフロキサシン,ガレノキサシン
9.国際誕生年月日
1987 年 1 月
10.製造販売承認年月日及
◇製造販売承認月日
1988 年 3 月 29 日
◇承
錠 100mg 16300AMY00066
び承認番号
認
番
号
錠 200mg 16300AMY00067
11.薬価基準収載年月日
1988 年 5 月 27 日
- 63 -
12.効能又は効果追加,用
効能・効果追加
法及び用量変更追加等
適応菌種:炭疽菌,適応症:炭疽(2001 年 12 月)
の年月日及びその内容
■用法・用量
炭疽に対しては,1 回 400mg,1 日 2 回
用法・用量に関連する使用上の注意
(2) 小児の炭疽に対しては,米国疾病管理センター(CDC)が,シプロフ
ロキサシンとして,1 回 15mg/kg 体重(ただし,成人用量を超えない
こと)を 1 日 2 回経口投与することを推奨している.
(3) 炭疽の発症及び進展抑制には,米国疾病管理センター(CDC)が,60
日間の投与を推奨している.
適応菌種:レジオネラ属(2006 年 2 月)
13.再審査結果,再評価結
再審査結果公表年月日:1996 年 3 月 7 日
果公表年月日及びその
内容:
「効能・効果」,
「用法・用量」等いずれの承認内容も変更なし
内容
再評価結果公表年月日:2004 年 9 月 30 日
内容:適応菌種名,適応疾患名の読み替え
14.再審査期間
6 年(1988 年 3 月 29 日~1994 年 3 月 28 日)
15.投薬期間制限医薬品に
本剤は厚生労働省告示第 99 号(平成 14 年 3 月 18 日付)による「投与期間
関する情報
16.各種コード
に上限が設けられている医薬品」に該当しない.
厚生労働省薬価基準収載医薬品コード,HOT(9 桁)番号,レセプト電算コード
販売名
HOT 番号
厚生労働省薬価基準
収載医薬品コード
レセプト電算コード
シプロキサン錠 100mg
111397601
6241008F1023
616290155
シプロキサン錠 200mg
111398301
6241008F2020
616290156
17.保険給付上の注意
- 64 -
ⅩⅠ.
1.引用文献
文
献
1)バイエル薬品承認時審査資料
2)高橋良典他:医薬品研究 17(4),726-735,1986
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6)西野武志他:Chemotherapy 33(S-7),39-63,1985
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8)五島瑳智子他:Chemotherapy 33(S-7),18-30,1985
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11)鈴木恵三他:Chemotherapy 33(S-7),632-670,1985
12)芦原義久他:Chemotherapy 33(S-7),76-80,1985
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14)松本文夫他:臨床と微生物 14(2),153-158,1987
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20)本廣 孝他:Chemotherapy 33(S-7),100-139,1985
21)宍戸春美他:Chemotherapy 33(S-7),533-547,1985
22)那須 勝他:Chemotherapy 33(S-7),548-558,1985
23)由良二郎他:Chemotherapy 33(S-7),885-891,1985
24)谷村 弘他:Chemotherapy 33(S-7),892-910,1985
25)山本 博他:Chemotherapy 33(S-7),927-931,1985
26)酒井克治他:Chemotherapy 33(S-7),911-926,1985
27)矢田浩二他:Chemotherapy 33(S-7),1022-1024,1985
28)森 慶人他:Chemotherapy 33(S-7),978-985,1985
29)斉藤 寿他:Chemotherapy 33(S-7),995-1009,1985
30)渡辺晋一他:Chemotherapy 33(S-7),932-939,1985
31)藤田恵一:Chemotherapy 33(S-7),940-945,1985
32)北野太路:基礎と臨床 20(2),1340-1342,1986
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114)Hedaya MA.,et al.:Bull Pharm Sci.Assiut University.28:
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2.その他の参考文献
- 68 -
ⅩⅡ.
参考資料
1.主な外国での発売状況
ドイツ,イギリス,アメリカ等 86 ヵ国で発売されている(2009 年 8 月現在).
本邦における効能・効果,用法・用量は以下のとおりである.外国での承認状況とは異なる.
■ 効能・効果
<適応菌種>
シプロフロキサシンに感性のブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,腸球菌属,淋菌,炭疽菌,大腸菌,
赤痢菌,シトロバクター属,クレブシエラ属,エンテロバクター属,セラチア属,プロテウス属,モルガネ
ラ・モルガニー,プロビデンシア属,インフルエンザ菌,緑膿菌,アシネトバクター属,レジオネラ属,ペ
プトストレプトコッカス属
<適応症>
表在性皮膚感染症,深在性皮膚感染症,リンパ管・リンパ節炎,慢性膿皮症,外傷・熱傷及び手術創等の
二次感染,乳腺炎,肛門周囲膿瘍,咽頭・喉頭炎,扁桃炎,急性気管支炎,肺炎,慢性呼吸器病変の二次
感染,膀胱炎,腎盂腎炎,前立腺炎(急性症,慢性症),精巣上体炎(副睾丸炎),尿道炎,胆嚢炎,胆管
炎,感染性腸炎,バルトリン腺炎,子宮内感染,子宮付属器炎,涙嚢炎,麦粒腫,瞼板腺炎,中耳炎,副
鼻腔炎,炭疽
■ 用法・用量
シプロフロキサシンとして,通常成人 1 回 100~200mg を 1 日 2~3 回経口投与する.
なお,感染症の種類及び症状に応じ適宜増減する.
炭疽に対しては,シプロフロキサシンとして,成人 1 回 400mg を 1 日 2 回経口投与する.
用法・用量に関連する使用上の注意
(1)本剤の使用にあたっては,耐性菌の発現等を防ぐため,原則として感受性を確認し,疾病の治療上
必要な最小限の期間の投与にとどめること.
(2)小児の炭疽に対しては,米国疾病管理センター(CDC)が,シプロフロキサシンとして,1 回 15mg/kg
体重(ただし,成人用量を超えないこと)を 1 日 2 回経口投与することを推奨している.
(3)炭疽の発症及び進展抑制には,米国疾病管理センター(CDC)が,60 日間の投与を推奨している.
- 69 -
国名
会社名
販売名
剤型・含量
発売年
効能・効果
ドイツ
ドイツ・バイエル バイタル社
Ciprobay
フィルムコート錠:250mg,500mg,750mg
1987 年
成人
グラム陰性菌による下気道感染
- 慢性閉塞性肺疾患の増悪
- 嚢胞性線維症か気管支拡張における気管支肺の伝染病
- 肺炎
慢性中耳炎
グラム陰性菌による慢性副鼻腔炎の急性増悪
尿路感染症
淋菌性尿道炎・子宮頸管炎
淋菌による睾丸副睾丸炎
淋菌によるものを含む骨盤内感染症
淋菌によると考えられるか,または判明している性感染症では,シプロフロキサシンの耐性率の
地域の情報を得て,感受性試験に基づく耐性率を確認するのは特に重要である.
消化管感染病(例:旅行者下痢)
腹腔内感染症
グラム陰性菌による皮膚・軟部組織感染症
悪性外耳道炎
骨・関節感染症
好中球減少患者感染治療及び予防
髄膜炎菌による侵襲性感染症の予防
肺炭疽(曝露後予防使用及び治療)
小児及び青年
治療は嚢胞性線維症及び重症感染症の治療経験がある医師によって開始されるべきである.
緑膿菌による嚢胞性線維症における気管支・肺感染症
複雑性尿路感染症,腎盂腎炎
炭疽吸入(曝露後予防使用及び治療)
用法・用量
適応症
下気道感染症
中耳炎・慢性副鼻腔炎
悪性外耳道炎
単純性膀胱炎
成人に対する投与量
500~750mg×2 回
500~750mg×2 回
750mg×2 回
250~500mg×2 回
閉経前婦人では 500mg 単回の場合もあり
500mg×2 回
500~750mg×2 回
500mg 単回
500~750mg×2 回
500~750mg×2 回
500mg×2 回
500~750mg×2 回
500~750mg×2 回
500~750mg×2 回
複雑性膀胱炎,単純性腎盂腎炎
複雑性腎盂腎炎,前立腺炎
淋菌性尿道炎・子宮頸管炎
睾丸副睾丸炎・骨盤内感染症
グラム陰性菌による腹腔内感染症
赤痢・ビブリオなどその他消化器感染症
皮膚・軟部組織感染症
骨・関節感染症
好中球減少患者感染治療及び予防
(適切な抗菌薬と併用すべき)
髄膜炎菌による侵襲性感染症の予防
500mg 単回
小児または青年
嚢胞性線維症・その他の重症感染症
20mg/kg(ただし 1 回投与量 750mg を超えない)
複雑性尿路感染症・腎盂腎炎
10~20mg/kg(ただし 1 回投与量 750mg を超えない)
炭疽
成人
500mg×2 回
小児
10~15mg/kg (ただし 1 回投与量 500mg を超えない)
治療は炭疽菌の吸入疑いあるいは確定後ただちに行うべきである.
(2009 年 9 月現在)
- 70 -
国名
会社名
販売名
剤型・含量
発売年
効能・効果
アメリカ
バイエル ファルマシューティカルコーポレーション
Cipro
フィルムコート錠:250mg,500mg,750mg
1988 年
成人
尿路感染症:大腸菌,肺炎桿菌,エンテロバクター・クロアカ,セラチア・マルセッセンス,プロテウ
ス・ミラビリス,プロビデンシア・レットゲリ,モルガネラ・モルガニー,シトロバクタ
ー属,緑膿菌,メチシリン感受性表皮ブドウ球菌,腐性ブドウ球菌,腸球菌
女性の急性単純性膀胱炎:大腸菌,腐性ブドウ球菌
下気道感染症:大腸菌,肺炎桿菌,エンテロバクター・クロアカ,プロテウス・ミラビリス,緑膿菌,
インフルエンザ菌,パラインフルエンザ菌,ペニシリン感受性肺炎球菌.モラクセラ・
カタラーリスによる慢性気管支炎の急性増悪の治療(肺炎球菌に対しては 2 次的使用)
急性副鼻腔炎:インフルエンザ菌,ペニシリン感受性肺炎球菌,モラクセラ・カタラーリス
皮膚・皮膚組織感染症:大腸菌,肺炎桿菌,エンテロバクター・クロアカ,プロテウス・ミラビリス,
プロテウス・ブルガリス,プロビデンシア・スチュアルティイ,モルガネラ・
モルガニー,シトロバクター・フレインデイ,緑膿菌,メチシリン感受性黄色
ブドウ球菌,メチシリン感受性表皮ブドウ球菌,化膿レンサ球菌
骨・関節感染症:エンテロバクター・クロアカ,セラチア・マルセッセンス,緑膿菌
複雑性腹腔内感染症:(メトロニダゾールと併用で使用)大腸菌,緑膿菌,プロテウス・ミラビリス,
肺炎桿菌,バクテロイデス・フラジリス
感染性下痢:大腸菌(腸管毒性株),カンピロバクター・ジェジュニ,赤痢菌
腸チフス熱(腸管性の熱):チフス菌
淋菌性子宮頚部,尿道感染症
小児(1~17 歳)
複雑性尿路感染症,腎盂腎炎
成人及び小児
炭疽吸入(曝露後)
用法・用量
成人投薬ガイドライン
感染症
尿路感染症
慢性細菌性前立腺炎
下気道感染症
急性副鼻腔炎
重症度
急性単純性
軽症/中等症
重症/複雑性
軽症/中等症
軽症/中等症
重症/複雑性
軽症/中等症
- 71 -
1 回投与量
250mg
250mg
500mg
500mg
500mg
750mg
500mg
投与間隔
12 時間毎
12 時間毎
12 時間毎
12 時間毎
12 時間毎
12 時間毎
12 時間毎
成人投薬ガイドライン(つづき)
皮膚・皮膚組織感染症
骨・関節感染症
腹腔内感染症*
感染性下痢
腸チフス熱
淋菌性子宮頚部,尿道感染症
炭疽吸入**(曝露後)
*
**
軽症/中等症
重症/複雑性
軽症/中等症
重症/複雑性
複雑性
軽症/中等症/重症
軽症/中等症
単純性
500mg
750mg
500mg
750mg
500mg
500mg
500mg
250mg 単回
500mg
12 時間毎
12 時間毎
12 時間毎
12 時間毎
12 時間毎
12 時間毎
12 時間毎
12 時間毎
メトロニダゾールとの併用
曝露が確認又は疑われる場合,可能な限り早急に投与を開始すべきである.
小児投薬ガイドライン
感染症
1 回投与量
投与間隔
10~20mg/kg
12 時間毎
複雑性尿路感染症
腎盂腎炎
(最高 750mg:51kg 以上の
患者でも最高量を超えない)
炭疽吸入(曝露後)
15mg/kg(最高 500mg)
12 時間毎
(2009 年 9 月現在)
2.海外における臨床支援情報
妊婦に対する海外情報(FDA,オーストラリア分類)
本邦における使用上の注意「妊婦,産婦,授乳婦などへの投与」の項の記載は以下の通りであり,米,
FDA,オーストラリア分類とは異なる.
【禁忌】
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照]
【使用上の注意】「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと.[妊娠中の投与に関する安全性は確
立していない.]授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが,やむを得ず投与する場合には授
乳を避けさせること.[母乳中へ移行することが報告されている.]
分類
FDA:Pregnancy Category
C(2009 年 8 月)
オーストラリアの分類(An Australian categorisation of risk of drug use in pregnancy)
B3
(2009 年 8 月)
- 72 -
参考:分類の概要
FDA:Pregnancy Category
C:Animal reproduction studies have shown an adverse effect on the fetus and there are no
adequate and well-controlled studies in humans, but potential benefits may warrant use
of the drug in pregnant women despite potential risks.
オーストラリアの分類:(An Australian categorisation of risk of drug use in pregnancy)
B3:Drugs which have been taken by only a limited number of pregnant women and women of
childbearing age,without an increase in the frequency of malformation or other direct
or indirect harmful effects on the human fetus having been observed.
Studies in animals have shown evidence of an increased occurrence of fetal damage, the
significance of which is considered uncertain in humans.
小児等に対する記載
本邦における使用上の注意「小児等への項」等への記載は以下のとおりであり,米国及び欧州の添付
文書とは異なる.
【禁忌】
小児等[「小児等への投与」の項参照]
【使用上の注意】小児等への投与
低出生体重児,新生児,乳児,幼児又は小児に対する安全性は確立していないので,小児等には投
与しないこと.[「その他の注意」 の項参照]
【その他の注意】
動物実験(幼若イヌ,幼若ラット)で関節異常が認められている.
出典
米国の添付文書
(2009 年 2 月)
記載内容
Pediatric patients (1 to 17 years of age):
Complicated Urinary Tract Infections and Pyelonephritis due to Escherichia coli.
NOTE: Although effective in clinical trials, ciprofloxacin is not a drug of first
choice in the pediatric population due to an increased incidence of adverse events
compared to controls,including events related to joints and/or surrounding
tissues.
Ciprofloxacin, like other fluoroquinolones, is associated with arthropathy and
histopathological changes in weight-bearing joints of juvenile animals.
Adult and Pediatric Patients:
Inhalational anthrax (post-exposure): To reduce the incidence or progression of
disease following exposure to aerosolized Bacillus anthracis.
欧州の SPC
The use of ciprofloxacin in children and adolescents should follow available
(2008 年 10 月 23 日) official guidance.
Ciprofloxacin treatment should be initiated only by physicians who are experienced
in the treatment of cystic fibrosis and/or severe infections in children and
adolescents.
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ⅩⅢ.
備
その他の関連資料
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考
資材記号
(201009)CIP-0.3(KM/DI)
CIP・10・9003