Twinkle:Tokyo Women`s Medical University

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アクリロニトリル中毒に関する研究 : その代謝およ
び吸収と排泄について
佐藤, 稔
東京女子医科大学雑誌, 51(8):969-970, 1981
http://hdl.handle.net/10470/4418
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http://ir.twmu.ac.jp/dspace/
97
(45)
氏名(生年月日)
佐 藤 稔(昭和21
ミノル
本
籍
学位の種類
医学博士
学位授与の番号
乙第438号
学位授与の日付
昭和56年1月16日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)
学位授与の要件
学位論文題目
論文審査委員
アクリロニトリル中毒に関する研究一その代謝および吸収と排泄について一
(主査)教授 石津 澄子
(副査)教授 石井 妙子,教授 久保田くら
論 文 内 容 の 要 旨
研究目的
結果および結論
アクリロニトリル(以下ANと略す)はアクリル系繊
1)20ppm ANを週i回繰り返し暴露させると,1~
維,合成ゴム,合成樹脂,塗料などの原料として現代化
3回目までは暴露ごとに,尿中AN排泄量は増加し,4
学工業での需要が多い化学物質の1つであるが,微:量暴
回目以後は平衡状態となる.
露による慢性中毒については,典型的な障害症状も把握
されておらず,その存在の有無についても定説がない.
そこで著者は20ppm(許容濃度)という低濃度AN蒸気
をウサギに間三景に繰り返し吸入させ,生態変化を観察
し,慢性障害の存在の有無を検討した.
実験方法
20ppm ANを雄性ウサギに1日8時間,週1回吸入さ
せ,これを8週間継続し,下記の検査を行なった.
1)尿中へ排泄された遊離AN量および代謝物質であ
るSCN量,
2) 尿中SCNイオン排泄量は初回暴露で,前野の約
6倍ぐらい急増するが,その後はほぼ,このレベルで平
衡状態となる.
3)肝のAN代謝能は1~3回と暴露を繰り返すごと
に低下する.
4)肝のSCNイオン蓄積量も1~3回と暴露を繰り
返すごとに減少する.
5)14C-ANを1回皮下投与すると,酸性煮沸しても
分離されないAN結合物が,投与48時間後でもなお,血
液,臓器に残留している,
2)AN吸入ウサギの肝臓を摘出,ホモジナイズし,
以上より,生体に吸収されたANの1部はシアノエチ
ANを添加して, in vit虻。でANからCNイオン, SCN
レーショソにより臓器と強固に結合し,この結合物が酵
イオンがどの程度生成されるかを測定する代謝能の測
素活性阻害などをおこし,AN代謝機能を低下させるこ
定.
’3)ANを吸入させたウサギ肝臓中SCNイオン蓄積
量.
4)14C・ANをウサギに1回皮下投与し,14Cの生体内
とが明らかとなった.したがって低濃度でもANに繰り
返し暴露されていれば,潜在性障害は十分おこり得るこ
とが立証され,許容濃度も改訂する必要があろうと思わ
れる.
分布と排泄量.
一969一
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論 文 審 査 の 要 旨
本論文は低濃度(許容濃度)アクリロニトリルをくりかえし吸入させた動物の肝臓の解毒代謝能が
漸次低下し,その原因はア.クリロ.二.トリルゐ一蔀がシアノエチレー’ションに.まって臓器に1強固に結合
し,残留しているためであることを明かにしたもので,学術上価値あるものと認める.
3)A・E・p・・三m・伽1.St・dy・n T・脚9・・iρE班ect。f
主諭文公表誌
アクリロニトリル中毒に関する研究
Cad頭μm(カドミ.ウムの催奇性に関する実験的研
一その代謝および吸収と排泄について一
究)
1ndu昌trial Health ll P。127~139(1973)
..日本衛生学雑誌・第33巻 第3号 497~505頁
4)亜硝酸ナトリウムのカテコラミソ代謝に及ぼす影
響一ダイ≠マイト工場作業者の狭心症様発作の発
(1978年8月)
副論文公表誌
1) アクリロニトリル中毒に関する研究一アクリロニ
.生機序との関連一
東京女子医科大学雑誌43(10) 832~837
トリル吸入実験成績について一
東京女子医科大学雑誌43(10)849タ855
(昭48)
5)金属水銀取扱い者の尿中水銀量について.
(昭48)
2)血屯尿中のアタリ・ニトリル,シアン,岳オシ
東京女子医科大学雑誌 48(2) 呈62~168
(昭邸)
アンリ定章法につい℃
産業医学 17(2).99~105(昭和50年3月)
一970一