FDレポート第12号 (PDF:9.3MB)

FD レポート第 12 号の発行にあたって
学長
石島
辰太郎
産業のグローバル化は質的変化を伴いながらその速度と規模を増している。特に、電力
の安定供給やコストに不安のある国内事情により、エネルギー多消費型の企業が国内に停
まり続ける事は極めて困難になり、製造業を中心として中小企業を含めて大規模な海外展
開が予測されている。そのとき、問題となるのは海外展開する企業の要求を満たすグロー
バル人材の質と量ということになる。産業技術大学院大学ではこうした予測の下に、グロ
ーバルな環境で活躍する高度専門職人材の育成を目指して、大学のプロジェクトとして
Asia Professional Education Network、 略 称 APEN を 構 築 し 、同 時 に 10 月 入 学 と 国際 コ
ー ス の 設 置を 決 定 し た。す で に 、APEN プ ロ ジ ェ ク トは ア ジ ア 11 カ 国( 5 月 時 点 )にネ ッ
トワークを拡大しており、大学のプレゼンスの向上に繋がる重要な成果を挙げつつある。
また、国際コースに関しても前田教授を中心としてカリキュラムが開発され運用が開始さ
れている。
今回のフォーラムで取り上げられた専門職大学院におけるグローバル人材像のありかた
と本学が目指そうとする国際コースでの教育というテーマは大変時宜を得たものであり、
フォーラム参加者にとって新鮮でおおいに参考となる視座を与えてくれるものであったと
思う。これまで、国内産業を支える高度専門職人材の人材像について我々は多くの時間を
費やし議論を重ねてきたが、目線をグローバルに移すと、全く新しい側面が見えてくるこ
とが再確認された思いがする。グローバル市場は国内市場の何十倍もある広大な市場であ
り、しかも国際社会は発達段階の異なる極めて多様な国々からなるローカルな市場のパッ
チワークで構築されている。こうした多様な市場を横断して活動する企業において、その
マネージメントに携わる高度専門職人材に求められる普遍的な能力とはなんであろうか。
石原先生の国連職員という国際専門職人材に関する情報には多くの示唆が含まれていると
考える。若干、我田引水ぎみに言えば、こうした人材に求められる能力はまさに、本学で
Competency と 呼 ぶ 能 力 で あ り、 PBL を 中 心 と す る本 学 の 教 育シ ス テ ム が求 め て き たも の
であるといえよう。したがって、国際コースのカリキュラムをさらに充実し、本学教育シ
ステムの柱として組み込むことにより特徴ある本学教育のグローバル化が達成できると言
えよう。本フォーラムを契機として本学の教育のグローバル化に対する議論がより一層活
発 に な り 、教 育 シ ス テム の 国 際 化に 大 き く 貢献 し て く れる 事 を 期 待す る と こ ろで あ る 。
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目
次
社会人に対する博士課程教育について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
産 業 技 術 研 究 科 長 川田 誠一
第 11 回FDフォーラム ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ 3
2011 年度後期「学生による授業評価」結果の概要報告 ・・・・・・・・・・・・・ 55
F D 委 員 会 委 員 成田 雅彦
2011 年度第3クォータ
教員各自のアクションプラン ・・・・・・・・・・・・・ 73
1 共 通 科 目 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2 情 報 ア ー キ テ ク チ ャ 専 攻 科 目 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3 創 造 技 術 専 攻 科 目 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2011 年度第4クォータ
75
77
91
教員各自のアクションプラン ・・・・・・・・・・・・・ 101
1 共 通 科 目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2 情 報 ア ー キ テ ク チ ャ 専 攻 科 目 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3 創 造 技 術 専 攻 科 目 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
103
105
115
2011 年度後期
専攻ごとのアクションプラン(PBL)・・・・・・・・・・・・
125
1 情 報 ア ー キ テ ク チ ャ 専 攻 P B L ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2 創 造 技 術 専 攻 P B L ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
127
128
FDレポート編集後記 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
F D 委 員 会 委 員 長 吉田 敏
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社会人に対する博士課程教育について
産業技術研究科長
川田 誠一
本 学 の 社 会人 学 生 の 比率 が 80%程 度 に な り、 大 学 新 卒者 と 社 会 人が 共 に 学 ぶ場 と し て の
大学の在り方として、あらためて社会人に対する大学院教育、特に博士課程の設置につい
て 考 え る 必要 を 感 じ てい る 。
政 府 の 中 央教 育 審 議 会に お い て は大 学 分 科 会に 大 学 院 部会 が 設 置 され 、平 成 24 年 1 月 17
日 の 第 60 回 大 学 院 部会 の 参 考 資料 と し て 「社 会 人 に 対す る 大 学 院教 育 に 関 する 参 考 資 料」
が 公 表 さ れた 。こ の 資料 で は 、まず 博 士 課 程へ の 社 会 人の 受 け 入 れ状 況 が 昭和 62 年 か ら 平
成 23 年 ま で の 統 計 値と し て 示 され て い る 。
こ れ を 見 ると 平 成 15 年 度 に 18,232 名 の 博士 課 程 へ の受 け 入 れ をピ ー ク と して 平 成 23 年
度 の 15,685 名 ま で 毎年 受 け 入 れ者 数 が 減 少し て い る こと が わ か る。 平 成 23 年 度 の 受 け入
れ 者 数 は 平成 11 年 度 の レ ベ ル まで 低 下 し てい る 。こ の理 由 に つ いて は 、ま だ分 析 さ れ て い
ないが、本学の在学生や修了生の博士課程設置に対する要望が高まっている認識との相違
を感じる。
次 に 、 グ ロー バ ル 化 社会 の 大 学 院教 育 ( 平成 23 年 1 月 中 教 審 答申 ) に つ いて 見 る と 、
『 < 社 会 人の 博 士 課 程へ の 入 学 の促 進 >
各 大 学 院 にお い て は ,専 攻 分 野 や業 種 な ど に応 じ て 各 大学 と 産 業 界等 が 積 極 的に 連 携 し ,
特に,博士課程(後期)において,社会人にとって魅力的なプログラムの構築を図るとと
も に , 入 学後 に 補 完 的な 教 育 を 提供 す る こ とが 必 要 で ある 。』
『 < 標 準 修業 年 限 や 修得 単 位 数 をは じ め と する 制 度 の 検討 >
産業界等の研究経験を経て博士課程(後期)に入学する社会人や他大学院からの進学者
等 に 求 め られ る 科 目 履修 の 考 え 方が 確 立 さ れて い な い こと な ど か ら,・・・標 準 修 業 年 限や
修 得 単 位 数の 在 り 方 につ い て , 今後 検 討 が 必要 で あ る 。』
などの答申が提出されており、社会人のための博士課程について、既存の博士課程に存在
す る 問 題 点を 認 識 し た上 で 、 検 討課 題 が 示 され て い る 。
特に、現在の博士課程(後期)の受け入れでは、同じ大学の同じ研究科に設置された博
士前期課程を修了してただちに進学する学生を想定しているため、社会人や他大学院から
の進学者に対する科目履修の考え方が確立されていないことが問題であると考えられてい
る。
本学のような専門職学位課程修了者が他大学の博士課程に進学する場合の障壁を考える
と 、 産 業 技術 大 学 院 大学 に ふ さ わし い 博 士 後期 課 程 の 設置 が 喫 緊 の課 題 と 考 える 。
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第11回FDフォーラム
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第 11 回(2011 年度第 2 回)FD フォーラム
平 成 24 年 2 月 23 日
産 業 技 術 大学 院 大 学 にて 開 催
参加者
[招聘 講 師 ]
石原 直紀
立 命 館 大 学国 際 関 係 学部 教 授 同 大学 院 国 際関 係 研 究 科教 授
[産 業 技 術 大 学 院 大 学 ]
石 島 辰 太郎
川田 誠一
秋口 忠三
加藤 由花
小山 裕司
嶋田 茂
瀬戸 洋一
戸沢 義夫
成田 雅彦
福田 哲夫
管野 善則
小山 登
前田 充浩
学長
産業 技 術 研 究科 長
教授
教授 F D 委員 会 委 員
教授
教授
教授
教授
教授
教授
教授
教授 F D 委員 会 委 員 長
教授
中鉢
越水
舘野
慎
土屋
長尾
森口
網代
陳
村尾
欣秀
重臣
寿史
祥揆
陽介
雄行
聡子
剛
俊甫
俊幸
准教授
准教授
准教授
助教
助教
助教
助教
助教
助教
助教
※ 肩 書 き は FD フ ォ ー ラ ム 開 催 当 時 の も の で あ る 。
■ 開 催 内 容:
FD フ ォ ー ラ ム テ ー マ:「 本 学 にお け る グ ロー バ ル 人 材の 育 成 」
<第 1 部>
14:00 学 長 挨 拶 「 国際 化 へ の 期待 」: 石 島学 長
14:10 趣 旨 説 明 、 講師 紹 介
14:15 講 演 「 専 門 職大 学 院 が 育成 す べ き 国際 的 な 人 材像 」: 石 原直 紀 氏
15:15 質 疑 応 答 ・ 講演 テ ー マ に関 す る デ ィス カ ッ シ ョン
~休息~
<第 2 部>
16:00
講 演 「 AIIT グ ロ ー バ ルコ ー ス が 育成 を 目 指 す人 材 像 」:前 田 充 浩 教授
16:45
質 疑 応 答 ・ 講演 テ ー マ に関 す る デ ィス カ ッ シ ョン
17:05
ま と め : 加 藤委 員
17:10
閉 会 挨 拶 : 川田 研 究 科 長
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■ 第 11 回 ( 2011 年 度 第 2 回 ) FD フ ォ ー ラ ム
テーマ「本学におけるグローバル人材の育成」
小 山 ( 登 ) FD 委 員 長 : 定 刻 に なり ま し た ので 、 第 11 回 、 2011 年 度 と し ては 第 2 回 目の
FD フ ォ ー ラ ム を 開 催し ま す 。本日 の 進 行 は私 、小 山 と、後 半 は 加藤 で す 。よろ し く
お 願 い い たし ま す 。
■学長あいさつ「国際化への期待」
小 山 FD 委 員 長 : まず 、 学 長 から ご あ い さつ を い た だき た い と 思い ま す 。 よろ し く お 願い
します。
石 島 学 長 : 皆 さ ん 、 こん に ち は 。今 日 は ふ だん の FD フ ォ ー ラ ムと は 若 干 テー マ が 違 うか
もしれませんが、国際化というテーマを掲げ、立命館大学の国際部長を務められて
いる石原先生においでいただきました。立命館といえば、国際化に向けて戦略的に
動き始め、非常に先見的な試みをしている大学として有名ですので、石原先生から
い ろ い ろ とお 話 を 伺 える の で は ない か と 思 って 楽 し み にし て お り ます 。
「国際化への期待」ということで話せと書いてあるんですね。先ほど少し石原先
生ともお話ししたのですが、国際化ということを大学が考えるときには、大学の性
格と無関係に国際化を語ることはできないだろうと思っております。特に私ども産
業技術大学院大学は、社会人を含めた高度専門職人材の知識面やスキル面だけでな
く 、さ ら に人 間 的 な 要素 も 含 め 、我 々 は そ れを コ ン ピ テン シ ー と 総称 し て い ます が 、
コ ン ピ テ ンシ ー 強 化 とい う こ と を挙 げ て い ます 。
コンピテンシー強化のために一つだけ非常に特徴的なこととして、これまでの通
常の大学や初中等教育機関などでやられている個人学習といいますか、個人を対象
とした学習ではコンピテンシー強化は図れないと。コンピテンシーそのものがどち
らかというと、ほかの人間との関係や社会とのかかわりなど、相互関連の中から出
て く る よ うな 能 力 で すか ら 、そ れ を 個 人 学 習に よ っ て 強化 す る こ とは 非 常 に 難し い 。
したがって、私どもの大学院大学では、共同の作業をすることによって人とのかか
わりを持ちながら、その中でコンピテンシーを高めていく。コミュニケーション能
力など、さまざまなコンピテンシーがあるわけですが、我々が掲げる能力を高めて
い く と い うこ と を 目 的に し て い るわ け で す 。
個人で得る知識、例えば語学の能力もその一つかもしれませんが、それは、さま
ざまな教材がありますから、個人学習でも高めていけるだろう。それから、いろい
ろな社会制度に関する知識など、知識面であればいろいろな代替手段がある。しか
し、そういう意味の代替手段がなく、グループ学習に頼らざるを得ないようなもの
を す る と いう こ と で 、プ ロ ジ ェ クト ベ ー ス の教 育 と い うこ と を 掲 げて い る わ けで す 。
こ の PBL を や る と いう こ と を 通じ て 初 め てコ ン ピ テ ンシ ー が 強 化さ れ る と 考え て い
ますから、いわゆる国際的ということとこのことをあわせて考えると、国際的なプ
ロジェクトにかかわる作業を通じた教育というか訓練が、私どもが掲げる本質的な
国 際 化 に なる の だ ろ うと 考 え て いま す 。
そうはいっても、もちろん語学も必要だし、講義の英語化ということも必要では
あるのですが、それよりも一番重要なことは、今申し上げましたように、国際的な
プ ロ ジ ェ クト ベ ー ス の学 習 が で きる よ う な 環境 を 整 え てい く と い うこ と で す 。
個人的に言えば、すべて日本語で、日本人だけでやったとしても、国際的なプロ
ジェクトをこなすのであれば、それは国際的な教育になるだろうと思っており、私
どもの大学ではそういうスタンスで国際化ということをとらえるべきだろうと。し
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たがって、皆さんも既にご存じだと思いますが、アジアのできるだけたくさんの大
学と協定を結ぶことによって、そういう国際的なプロジェクトをするためのプラッ
ト ホ ー ム をつ く っ て いこ う と 。
このプラットホームづくりそのものも、国際的なプロジェクトではある。そうい
うことを大学がやることによって、学生、あるいは我々が目指している地域社会の
発展につながる産業振興のようなことも含めて、そのプラットホームが機能するの
で は な い かと い う こ とで 、 こ れ まで 進 め て きた わ け で す。
その中で、後ほど講演をしていただくことになっていますが、前田先生にも尽力
いただいています。それから、国際的な環境を利用した国際プロジェクトについて
も、国際コースを設置することによって、その中でこのプラットホームを生きる形
で 使 っ て いた だ け る のだ ろ う と 思っ て お り ます 。
APEN と い う 仕 組 み が動 き 始 め たと こ ろ で こう い う 企 画を や っ て いた だ く の は、
非常にありがたいことだと思っています。石原先生にお話を伺いながら、我々の立
ち位置をもう一度確認して、今後の活動の大きなマイルストーンの一つが得られれ
ば と 考 え てお り ま す 。
そういうことで、本当はメモを用意してきたのですが、長くなりそうですのでこ
の 辺 で 終 わり ま す 。 今日 の FD フ ォ ー ラ ムに 対 す る 期待 と い う 形で 述 べ さ せて い た
だ き ま し た。 ど う も あり が と う ござ い ま す 。
小 山 FD 委 員 長 : あ りが と う ご ざい ま し た 。
■趣旨説明、講師紹介
小 山 FD 委 員 長 : それ で は 、 今回 の FD フ ォ ー ラ ムの 趣 旨 を 私の ほ う か ら申 し 上 げ ます 。
ま ず 、テ ーマ は「 本 学に お け る グロ ー バ ル 人材 の 育 成 」で す 。本 学は グ ロ ー バル PBL、
APEN、国 際 コ ー ス の設 置 な ど 、着 実 に グ ロー バ ル 化 を進 め て い ます が 、今 回の FD
フォーラムではグローバルな教育カリキュラムの一層の充実を目指して、活発な討
議 を さ せ てい た だ き たい と 思 い ます 。 よ ろ しく お 願 い しま す 。
今日は、第1部として外部から立命館大学の石原先生をお招きし、第2部では本
学の前田先生にお話しいただくということで、2部構成になっております。それで
は 早 速 、 始め た い と 思い ま す 。
まず、第1部の講師の先生をご紹介します。立命館大学国際部長の石原直紀先生
で す 。私 のほ う か ら 簡単 に 経 歴 をご 紹 介 さ せて い た だ きま す 。1975 年 、早 稲 田 大 学
を 卒 業 さ れ 、 そ の 後 、 国 際 基 督 教 大 学 ( ICU) の 修 士 、 博 士 。 そ の 後 、 私 も 昔 、 あ
こがれていたんですけれども、試験に通らなかったので行けなかったのですが、フ
ルブライト奨学生としてコロンビア大学大学院の博士課程に留学されています。そ
の 後 、国 際連 合 の 日 本政 府 代 表 部の 専 門 調 査員 を 経 て 、国 連 事 務 局で 15 年 間 、ご 勤
務されました。その間、国連の平和維持活動、国際連合カンボジア暫定統治機構に
も参加されました。現在は、国連を中心とした国際機関の平和活動、あるいは人道
支援を中心に研究を行っておられます。現在の肩書は、立命館大学の国際部部長と
伺 っ て お りま す 。
お 時 間は 60 分 た っ ぷ り 用 意し て あ り ます 。 そ れ から 、 先 ほ ど聞 き ま し たと こ ろ 、
先生は学生が居眠りしてしまうので暗くしないようにパワーポイントは使わないと
いうことですので、お話が中心となりますが、おもしろい話がたくさん聞けるので
は な い か と思 っ て お りま す 。 そ れで は 、 マ イク を 石 原 先生 に お 渡 しし ま す 。
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■第1部講演 テーマ「専門職大学院が育成すべき国際的な人材像」
石 原 講 師:は じ め ま して 。立 命 館大 学 の 石 原で す 。
講師:
過 分 な ご 紹介 を い た だき ま し て 、あ り が と
立命館大学
う ご ざ い ます 。 た だ 、学 生 が 居 眠り し て し
国際関係学部
ま う 云 々 とい う の は 小山 先 生 が 修飾 さ れ た
教授
話 で 、 確 かに 私 は 授 業で は パ ワ ーポ イ ン ト
石原直紀氏
を あ ま り 使わ な い の です が 、 そ の理 由 は 、
大 教 室 で パワ ー ポ イ ント を 使 い ます と 、 得
て し て 学 生は ス ク リ ーン の ほ う を見 て い る
か 、 下 を 見て い て 、 こち ら が 話 して い て も
彼らの表情、反応もわからないということです。私自身が若干ローテクということ
もあるのですけれども、授業というのは対話だということを強調しつつ、学生とも
フェース・ツー・フェースで話すという講義形式をとっております。決して学生が
寝てしまうからなどということは言いませんでしたので、誤解のなきようにお願い
い た し ま す。( 笑 )
本日は前田先生からお誘いをいただいたのですが、前田先生とは、政策研究大学
院大学というところに私がおりましたときに、前田先生もそちらで教員をされてい
たというご縁です。今回のお話は、久しぶりに前田先生がご帰国されて、今はこち
らでお仕事をされているということでご連絡をいただきまして、懐かしさの余り、
二つ返事で「はい」と言ってしまいました。後でテーマをいただいて、専門職大学
院大学が育成すべき国際的な人材像について話せということで、はて、どうしたも
の だ ろ う と大 変 困 り まし た 。
ただいまのご紹介にもございましたように、私はこの分野で研究をしている研究
者でもなく、今はたまたま大学で国際部長という仕事をしておりますが、先ほど石
島学長がおっしゃったように、大学の国際的な展開を大所高所から考えているとい
うよりは、留学生をどう受け入れ、どう送り出せばいいかというような具体的なこ
と、あるいは外国の大学からの訪問者の対応など、日常的な業務にエネルギーと時
間を費やす仕事です。ですから、皆様のご期待に沿えるようなお話はできないので
は な い か とい う 懸 念 を先 ほ ど か ら強 め て お りま す 。
そういうことで、特に専門的な知見を持ち合わせている人間でもございませんの
で、私の経験に基づいて皆様に話題を提供することで、第2部の前田先生の前座を
務めさせていただき、質疑応答で皆様と一緒に議論させていただければと考えてお
ります。的外れ、期待外れの話になったら、その責任はすべて前田先生にございま
す の で 、 私を 責 め な いで く だ さ い。( 笑 )
今申し上げたように、私はずっと国連で仕事をしていた実務者です。こちらの産
業技術大学院大学でもいろいろと国際的なご展開を考えておられるということで、
国連が国際的な活動の典型であるとは必ずしも思いませんけれども、私がいわゆる
国 際 公 務 員と し て 仕 事を し て い た経 験 か ら 、国 際 公 務 員の 仕 事 と はど う い う もの か 、
ということを中心にお話をさせていただきます。恐らく皆様は国際公務員という仕
事にはあまりなじみがないと思いますが、世界にはそういう仕事もあるということ
で、その一端を知っていただければ、と思います。国際公務員、あるいは国際機関
で働く人間のキャリアとしての専門性、それを培うための専門職大学院の役割、そ
れからそこで仕事をしている人間の国際的な側面ということを中心にお話をさせて
い た だ き たく 思 い ま す。
「 1 . 職業 と し て の国 際 公 務 員」 と い う 麗々 し い タ イト ル を つ けま し た ( 30 ペ ー
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ジ 参 照 )。皆 さ ん が 国際 公 務 員 とい う 言 葉 を聞 か れ て どう い う イ メー ジ を 持 たれ る か
はわかりませんが、行政学の専門家の人に聞いても、国際公務員の定義というもの
は必ずしも明確ではないようです。国家公務員、地方公務員など、公務員の仕事と
いうのはそれぞれの国でかなり明確に規定されているのですが、国際公務員という
仕 事 に つ いて は そ れ ほど 明 確 な 定義 は 存 在 して い な い とい う こ と です 。
一般 的 に は 特に 国 際 機 関の 事 務 局 で仕 事 を し てい る 人 間 、あ る い は 国連 機 関 ほ か、
前 田 先 生 もお 仕 事 で 随分 か か わ られ た OECD や ASEAN、 AU、 EU― ― EU の 場 合
は国際機関を超えたものがありますが、いろいろな国際機関がございます。常設事
務局を持って活動をしている国際機関の事務局で仕事をしている人間、というのが
一 般 的 な 理 解 と い う こ と か と 思 い ま す 。 国 連 の 場 合 は 現 在 、 193 と い う 世 界 の ほ と
んどの国が加盟していますので、普遍性を持っているとは言えますが、国連はもち
ろん世界政府ではないので、果たしてその事務局で仕事をしている職員が厳密に公
務員であるかどうかということになりますと、そこは議論のあるところかと思いま
す。
ただ、その辺はさておきまして、実際に国際公務員とは具体的にどういう仕事を
している人種なのかということです。これは学生諸君にも説明のときによく使って
い る 比 喩 です が 、行 政官 や 外 交 官、場 合 に よっ て は NGO も 含 め 、国 際 協 力 に携 わ っ
ている専門家という側面をあわせ持った仕事であるということでご理解いただけれ
ば と 思 い ます 。
国際公務員制度というのは、大げさに言いますと、人類の歴史に登場してからた
か だ か 100 年 で す 。も と も と 国際 機 関 と いう の は 、19 世 紀 の 後 半 、ヨ ー ロッ パ の 国
際河川、あるいは共通の農業問題や保健問題を国家間が協力して扱っていくために
作 ら れ て きた メ カ ニ ズム に 起 源 があ る と 言 われ て い ま す。し か し 、今 日( こ んに ち )、
国連機関を中心としてイメージされる国際公務員制度というのは、第一次大戦後、
国 際 連 盟 がつ く ら れ たと き か ら です 。
このときに連盟の常設事務局をジュネーブに置くということで、そこで勤務する
国際公務員をどのように性格づけ、実際にどうやってその人たちを採用するかとい
うことについて、当時の連盟の主要加盟国であったイギリスとフランスの間で議論
がありました。フランスは、各加盟国の政府から出向型で、事務局に一時籍を置い
て仕事をするようにしてはどうかという主張をしました。当時の事務局の仕事は会
議サポート的なものであり、本来の意味での事務局的な色彩が強かったのですが、
フランスはそう主張したわけです。それに対してイギリスは、そうではなく、それ
ぞれの加盟国の政府からは独立した公務員として直接リクルートすべきであると主
張し、結果的にはイギリスの主張に基づいて国際連盟の事務局が設立されたわけで
す。
皆さんご存じのように、国際連盟というのはいろいろな問題がありました。アメ
リカが参加しなかったということもあって、結局は挫折の運命をたどるわけです。
そ う い う 経 験 も 踏 ま え 、 第 二 次 世 界 大 戦 後 に 今 日 ( こ ん に ち ) の 国 際 連 合 ( United
Nations)が 作 ら れ たわ け で す が、そ の 人 事制 度 は 、基本 的 に は 国際 連 盟 時 代の 人 事
制 度 を 踏 襲し た も の です 。
その特徴としては、中立性、ノーブルメア原則、地理的配分の原則の三つが挙げ
られるかと思います。中立性とは言うまでもなく、国際機関の事務局に勤務してい
る人間は、日本やアメリカ、インドなど、自分の出身国の利害とは関係なく、独立
して中立的な立場で仕事をする。つまり、国際公務員のリーダーというのは、国連
でいえば事務総長、その他の国際機関では事務局長という人たちであって、決して
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自分の母国の政府のトップではないという中立性ということが大原則としてありま
す。
それ は 、 国 連憲 章 の 第 100 条 の 第 2 項 に 「 各国 際 連 合 加盟 国 は 、 事務 総 長 及 び職
員の責任のもっぱら国際的な性質を尊重すること並びにこれらの者が責任を果たす
に当ってこれらの者を左右しようとしないことを約束する」とあります。翻訳調で
ちょっとわかりにくいのですが、要するに、出身国の国益あるいはその他の利害団
体から決して影響を受けてはいけないし、影響を行使しようとしてはいけないとい
う 原 則 が 書か れ て い るわ け で す 。
現 在 の 国連 の 事 務 総長 は 、ご 存じ の よ う に、潘 基 文( パ ン・ギ ムン )さ ん とい う 、
韓国の元通商外交相で、もともと外交官の方です。当然、彼は韓国の外務大臣のと
き に は 北 朝鮮 と は 丁 々発 止( ち ょう ち ょ う はっ し )、やり 合 っ た と思 う の で すけ れ ど
も、現在、国連の事務総長としては、北朝鮮も国連加盟国の一つですので、韓国の
立場とは関係なく、韓国にも北朝鮮にも等距離で対応するということになっている
わけです。事務総長をはじめ、事務局の人間である国際機関の職員、国際公務員は
そ う い う スタ ン ス で 仕事 を す る とい う こ と にな っ て お りま す 。
次の ノ ー ブ ルメ ア 原 則 とは 何 か 。第 101 条 の 第 3 項 、こ れ は 国 際公 務 員 の リク ル
ー ト の 原 則を 述 べ て いる 条 項 で すが 、
「 職 員 の 雇 用 及 び勤 務 条 件 の決 定 に 当 って 最 も
考慮すべきことは、最高水準の能率、能力及び誠実を確保しなければならないこと
で あ る 」とい う 規 定 があ り ま す 。
「 最 高 水 準の 能 率 、能力 及 び 誠 実」と は ど うい う も
のか、どういう人間がそれを持っているのかといいますと、なかなか具体的には想
定しにくいと思います。恐らく国連のみならず、どこの組織でも人を採用するとき
にはこういう資質を持った人間が望ましいと考えるでしょう。言うまでもなく、私
のような人間でも務まったわけですから、国連事務局にそんな完璧な人間が集まっ
ているわけではありません。もちろん私より優秀な人間はたくさんいるのですけれ
ど も 、 こ の規 定 が 何 か特 別 な こ とを 言 っ て いる わ け で はあ り ま せ ん。
しかし、実はこれがノーブルメア原則とかかわってくるのですが、こういう人間
を国際機関の事務局に現実的にリクルートする場合にはどうすればいいかというこ
と で す 。皆さ ん は 国 際機 関 の 職 員、国 連 職 員の 給 与 は どれ ぐ ら い だと 思 わ れ ます か 。
か な り い い給 料 を と って い る の では な い か と思 っ て い らっ し ゃ い ます か 。前 田 先 生 、
ご 存 じ で すか 。
前 田 : 知 らな い で す 。結 構 と っ てい る ん じ ゃな い か と 思い ま す け ど。
石原講師:実はノーブルメア原則とは、給与水準を決める原則なのですね。ノーブルメア
とは、先ほど申し上げましたように、国際連盟ができ、その事務局に人をリクルー
トするときに、給与原則をどうするかということが話し合われたのですが、その話
し合いを主宰した当時のフランス大使がノーブルメアさんという方だったのです。
そのときに国際機関の職員の給与水準の原則が決まりまして、基本的に今の国連に
ま で 踏 襲 され て い ま す。
どういうものかといいますと、加盟国の政府の公務員の中で一番高い給与水準に
準 ず る と い う 原 則 で す 。 国 連 の 場 合 、 193 加 盟 国 が あ り ま す け れ ど も 、 加 盟 国 政 府
の 公 務 員 で給 与 の 一 番高 い 国 に 準じ て い る わけ で す 。 どこ だ と 思 われ ま す か 。
前 田 : 日 本で す か 。
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石原講師:そうではないですね。実はこの基準となる国は国連の創設時から変わっていな
いのですけれども、アメリカです。アメリカの連邦政府の公務員給与です。ワシン
ト ン と ニ ュー ヨ ー ク では ニ ュ ー ヨー ク の ほ うが 若 干 物 価が 高 い も ので す か ら 、
(給与
も)ワシントンの連邦政府の公務員より5%ぐらい高い。もちろん、アメリカの連
邦政府の公務員が常に一番高いと決まっているのかといいますとそうではなく、日
本の人事院と同じようなメカニズムが国連にもありまして、そこで定期的に各加盟
国の公務員の給与水準をいろいろな指標に従って、どこが一番高いのかを調べてい
ます。
もちろん給与には、いろいろな要素があります。日本もそうだと思いますが、家
族 の 扶 養 手当 や 教 育 手当 を ど う する か 、あ る い は 有 給 休暇 が ど れ ぐら い あ る かな ど 、
いろいろな要素があって、それを全部押しなべて客観的に評価するのは簡単ではあ
りません。一説には、日本やドイツのほうがアメリカよりも高いのではないかとも
言われているのですが、一方では、国連の人件費をあまり膨らませたくないという
加盟国側の思惑もあり、基本的にはアメリカの連邦政府の公務員給与に準じている
と い う こ とで す 。
アメリカの連邦政府の公務員がどれぐらいの給与か、皆さんがどういうイメージ
をお持ちかはわかりませんが、私もかつてそうだったのですが、特に日本人が働い
ている場合、具体的にどうなのかということです。ニューヨークの本部で仕事をし
ているときには当然、毎月の給料は米ドルでもらいます。ニューヨークに住んで仕
事をしているときには、アメリカ的には本当に真ん中ぐらい、中産階級の生活水準
だと思いますが、特に問題はありません。しかし、たまに日本に帰国しますと、ド
ルと円の為替レートということが問題になってきます。中には日本に家族を置いて
おられる方、あるいは教育費を仕送りしておられる方もおられ、そうすると為替レ
ー ト と い う要 素 が 大 きい の で す ね。
皆さ ん も よ くご 存 じ だ と思 い ま す が、私 が カ ンボ ジ ア の PKO、国 連 カ ン ボ ジ ア暫
定 統 治 機 構( UNTAC)で 仕 事 をし た と き のト ッ プ で 、国 連 職 員 の日 本 人 の 草分 け と
言われた明石康さんという方がおられます。彼が若くして日本人職員の第1号とし
て 1957 年 に 国 連 に 奉職 し た と きに 、そ の とき に は ま だ下 の ほ う のレ ベ ル で 入ら れ た
わけですが、当時彼がもらっていた給料は当時の日本国総理大臣の給料より高かっ
たらしいです。それは当たり前というか、当時、日本は戦後の復興をやっと始めた
段 階 で あ り、 な お か つ当 時 の 円 とド ル の 為 替レ ー ト は 360 円 で 固 定 さ れ て いま し た
の で 、 円 に換 算 す れ ばそ う い う こと も あ り 得た の で し ょう 。
ただ、今日(こんにち)のレートを考えていただくとおわかりのように、そうい
うことはもうなくなっています。イメージとしては、前田さんのような日本の高級
官僚の方はもう少し給料がよかったのではないかと思いますが、まあ公務員並みの
給 料 で あ ると い う こ とで ご 理 解 いた だ け れ ばと 思 い ま す。
三つ目の地理的配分の原則ですが、実はこれが国際公務員特有の原則です。これ
は 国 連 憲 章、 第 101 条 第 3 項 の後 段 の ほ うで す 。 国 際機 関 の 職 員を 雇 う と きに は 、
「なるべく広い地理的基礎に基いて採用することの重要性については、妥当な考慮
を 払 わ な けれ ば な ら ない 」。こ れも ち ょ っ と変 な 日 本 語で す け れ ども 、例 え ば日 本 の
国家公務員を雇うときには、別に北海道から何人とか東京から何人ということは全
くありませんし、地方公務員もその県の出身者でなければ雇わないということはな
い の で す が、国 際 公 務員 の 場 合 、特 に 国 連 の事 務 局 の 場合 に は 、国際 公 務 員 の構 成 、
つまり国連事務局の職員は国際社会を文化的にも宗教的にも反映するような形で構
成 す べ き であ る と い うこ と が 、 この 地 理 的 配分 の 原 則 なの で す 。
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つまり、純粋に狭い意味での行政効率だけを考えて、例えばイギリスやアメリカ
など、欧米や英語圏の人たちを集めて、しかも同じような教育バックグラウンド、
同じような行政カルチャーの人たちだけで仕事をすれば、ある意味では非常に効率
的かもしれません。しかし、それでは国際社会の多様性をきちんと反映していない
ということで、できるだけ世界の多様性を反映する形で事務局スタッフを構成しな
さ い と い うこ と で す 。
具体的にどういうことかといいますと、国連事務局の運営費、いわゆる分担金と
呼 ば れ て いる の で す が、こ れ は 各加 盟 国 が 世界 の GDP に 対 し て 占め る 割 合 に応 じ て
割 り 振 る ので す 。今 、一 番 大 き な拠 出 国 は アメ リ カ の 22% で 、続 い て 日 本の 12% で
す。その拠出に見合った形で、それぞれの国に望ましい専門職、プロフェッショナ
ルのスタッフの数を割り当てているのです。日本の場合、最近、経済も力が衰えて
いますので、若干右肩下がりの傾向にはあるのですけれども、国連事務局に関して
は 、 日 本 人は 250 名 前 後 の 専 門職 が 望 ま しい と さ れ てい ま す 。
とこ ろ が 実 態と し て は 、私 が い た 当時 か ら 120 名 、 130 名 あ た り を行 っ た り 来た
りしており、あまりふえてもいないという現状があります。日本は、この地理的配
分の原則、拠出金の比率に応じた職員数の配分からすると、著しくスタッフの数が
少ないという現実がございます。これが時々メディアで日本人職員の数が少ないと
言われる根拠なわけです。国際公務員、国際機関の場合はこの三つの原則に基づい
て ス タ ッ フが 構 成 さ れて い る と いう こ と で す。
次に、国連で仕事をするにはどういう資質や資格が必要かということです。資質
のことはさておきまして、どういう資格が必要か。ここからが本題に若干かかわっ
て く る と ころ で す 。
まず、残念ながら、国際機関では日本語で仕事はできません。国連の場合、公用
語は六つ指定されています。大学の先生方に学生並みの質問をするのは失礼かと思
う の で す けれ ど も 、 ご存 じ で す か。 前 田 先 生は ご 存 じ です か 。 OECD が ど う か は 知
ら な い の です が 。
前 田 : OECD は 英 仏 だ け で す 。英 仏 は 入 って い ま す よね 。
石 原 講 師 : 英 仏 は 入 って い ま す 。
前 田 : そ れか ら 、 ア ラビ ア 語 、 ロシ ア 語 、 中国 語 、 あ と一 つ は 。
石原講師:スペイン語です。英語、フランス語、スペイン語、中国語、ロシア語、アラビ
ア語、これが公用語です。公用語とは、すべての公式会合において同時通訳がつき
ま す し 、 基本 的 に 国 連文 書 は す べて 公 用 語 に訳 さ れ ま す。
ただ、国連事務局の日常業務、あるいは外交団が交渉するときに使う言葉では、
ワ ー キ ン グ・ ラ ン ゲ ージ ( working language) と 呼 ん で い る の です が 、 こ れは 、 英
仏二ヶ国語です。いわゆるフォーマル・ミーティング(公式会合)では六つなので
すが、国際会議の場合、フォーマル・ミーティングの前に、本音のところでどこま
でなら妥協できるかということで、いろいろなインフォーマル・ミーティング(非
公 式 会 合 )を 持 ち ま す。 そ の 非 公式 会 合 の 場で は 、 英 語と フ ラ ン ス語 だ け で す。
た だ 、 こ れ は 国 際 機 関 に よ っ て ( 違 い ま す )。 例 え ば パ リ に ベ ー ス の あ る OECD
や ユ ネ ス コ、あ る い はジ ュ ネ ー ブに 本 部 の ある ILO、WHO、そ の 他 の 機 関 では 、も
っとフランス語が使われています。要するに、それぞれの国際機関所在地で雇われ
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ている秘書の人たちはフランス語圏の人たちが多いので、フランス語がある程度使
わ れ て い るの で す 。た だ 、現 実 に 、今 日( こ ん に ち )、仕 事 に 使 われ て い る 国際 機 関
の言葉は圧倒的に英語です。特に国連本部のあるニューヨークでは、ほとんど英語
だ と 言 っ ても 過 言 で はな い と 思 いま す 。
ただ、これにはいろいろとおもしろいエピソードがあります。今申し上げました
よ う に 、非公 式 会 合 で加 盟 国 の 代表 は 、例 えば 開 発 問 題で こ う い う決 議 を つ くろ う 、
この文面はどうするかという交渉をするときには大体英語でやるのですね。当然、
フランスの外交官もみんな英語を話せますし、非公式協議の場ではみんな英語でや
っ て い ま す。そ こ で 最後 に 、
「 じゃ あ 、非 公式 協 議 と して は こ の テキ ス ト で 皆さ ん に
合意をいただいたということで、公式会合に移して正式に採択しましょう。よろし
い で す ね 」と 議 長 が 言っ た 途 端 、や お ら フ ラン ス の 代 表が 手 を 挙 げま し て 、
「ム ッ シ
ュ・プ レ ジダ ン( Monsieur prèsident)、( 議 長 )」と 言い 出 し て 、そ こ か ら フラ ン ス
語 で 話 し 出す の で す 。
「国連のワーキング・ランゲージは英語とフランス語であると我々は承知してお
ります。しかるに、今、我々の前にあるテキストは英語だけです。我がフランス代
表としては、フランス語版が出てくるまでは決定に参加できません」と言って、会
議をとめてしまうわけです。国連の事務局にはフランス語のプロがたくさんいます
か ら 、 も のの 2~ 30 分 も あ れ ばフ ラ ン ス 語版 が 出 て くる の で す けれ ど も 。
何が言いたいかといいますと、基本的に英語が圧倒的に優位なのですが、やはり
フランス並びにフランス語圏の人たちは、フランス語の地位を国際的な言語として
維持するということに非常に腐心しております。率直に言ってあまり勝ち目のない
戦いだとは思うのですけれども、言葉というのは国にとって単にコミュニケーショ
ンのツールとしてだけではなく、ナショナル・アイデンティティ、あるいは文化的
なアイデンティティともかかわって、非常に重要な意味を持っているということの
一例です。
EU な ど で は も っ と す ごい ら し い です ね 。あ らゆ る 加 盟 国の 言 葉 が ほと ん ど 公 式言
語になっていますので、その翻訳や通訳をする人たちを雇う人件費が大変だと聞い
ております。いずれにしても、国際機関で仕事をする、あるいはいろいろな交渉を
するためには、どうしても言語の力、今日(こんにち)ではやはり英語の力が必要
に な っ て きま す 。
もう一つが、専門性ということです。先ほど石島学長が触れられた、言葉以外の
ところ、言葉ではない要素ですが、やはり専門性というものが非常に大事です。国
際機関の場合、専門性をどう判断するかといいますと、一つは学位、もう一つはそ
の学位と関連のある分野でどれだけ実際に実務経験を積んでいるかということが基
準 に な り ます 。
日本の場合、昨今は変わってきていますし、私がいる立命館大学、あるいはこち
らの産業技術大学院大学でもそうかと思いますが、日本ではまだキャリア形成とい
う視点からは、大学院へ進学するという考え方が、それほど一般的ではない。産業
技術大学院大学の場合はやはり理工系の方が多いのでしょうか。私自身は文系の人
間ですから、私が大学にいた当時は、大学院に行くのは変わった人間か、将来、研
究者になることを考えている人間ぐらいでした。そうでない人は、大学院をあまり
進 路 の 選 択肢 に 入 れ てい な か っ たの で す 。
昨今は日本の大学も変わってきております。変わってきているというのは、恐ら
く欧米の大学院的な考え方、つまり大学院で修士を取る、場合によっては博士とい
うこともあるのでしょうけれども、そのことが専門性の客観的なあかしの一つであ
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ると。つまり、そこで習得した高度な知識や知見などを専門家の一つの基準とみな
す よ う に なっ て き て いる わ け で す。
国連機関の場合も、学位ということを非常にうるさく言います。もちろん学位を
持っているということと、その人個人の能力あるいは経験としてどの程度の専門性
を蓄えているかということは、日本の場合、必ずしも同じではないだろうというと
ころはあるのですけれども、やはり欧米の場合は学位というものが決定的に重要な
意味を持ちます。したがって、国連機関で仕事をする場合には、基本的には修士号
を持っていなければ全く相手にされません。分野によって、国連機関にも経済の分
析をしたり、統計の専門家がいたりということで、博士号を持っている人たちもい
ますけれども、最低でも修士号は持っていないと国際機関の専門職の人間としては
認 め ら れ ない と い う か、 な か な か職 に つ け ませ ん 。
日本の場合、学位というものは、特に文系ではそれほど重要ではありません。前
田先生よりもうちょっと上の世代の方が多いのかもしれませんが、役所の高いポジ
ションについた方の略歴が新聞に出ますと、時々東京大学法学部中退というふうに
載っているわけです。従来の日本の発想では、そういう方は大変な秀才で大学を卒
業する前に公務員試験に通って官庁に勤めたということでしょうが、残念ながら、
世 界 に 出 て い く と 、 こ う い う 方 た ち は 学 士 の 学 位 ( B.A.) す ら 持 っ て い な い と い う
こ と に な りま す 。
東大ご出身の方がおられたら気を悪くしないでいただきたいのですけれども、ユ
ニバーシティ・オブ・トーキョーは日本で最難関の権威のある大学で、しかもそこ
を卒業する前に公務員試験をパスし公務員の幹部候補生になった、これこそエリー
トのあかしであるというようなことをたらたらと説明しても、なかなかわかっても
らえません。やはり国際的には学位というものが専門性の基準として非常に大事で
あ り 、 国 連も そ の 例 に漏 れ な い とい う こ と です 。
国連の仕事というと、皆さんは具体的にどういうことをイメージされるでしょう
か。紛争解決とか開発援助、あるいは人道支援、もちろんこれは国連機関の主要な
活動ですが、実は国連や国際機関の職員を実際に募集するときには、専門分野に基
づいて募集をします。国連事務局の例ですが、例えば紛争解決あるいは平和維持活
動をする部局で仕事につこうと思うと、やはり政治学、国際政治を学んだ人が求め
ら れ ま す 。法 律 分 野 、リ ー ガ ル ・ア フ ェ ア ーズ ・ オ フ ィサ ー ( legal affairs officer)
として仕事をしているのは、国連の場合はほとんど、ロースクールを出たローヤー
の人たちが多いです。経済分野であれば、少なくとも経済学、あるいは開発経済で
修 士 号 を 持っ て い る 人と い う こ とに な り ま す。
その ほ か に 、人 口 と か 統計 と か い ろい ろ な 専 門分 野 が あ りま す 。広 報の 領 域 で は、
ジャーナリズムあるいはメディア関係の学位と同時に、例えばジャーナリストの経
験がある、出版社で仕事をしたというような実務経験と学位をセットにして、あな
た は パ ブ リッ ク・イ ン フ ォ メ ー ショ ン の 専 門家 な の で すね と い う とら え 方 を しま す 。
同じように、日本でもそれぞれの組織に人事の方はいらっしゃいますが、大学で
パ ー ソ ネ ルマ ネ ジ メ ント ( personnel management)、 人 事 だ け を学 ぶ と い うよ う な
ことはあまりないと思います。しかし欧米の場合、国連機関を含めて、人事分野の
専門家もいます。同じように、財務専門の国連機関の職員には、銀行や投資銀行に
い た 、証 券会 社 で 働 いた と い う よう な バ ッ クグ ラ ウ ン ドを お 持 ち の方 が お ら れま す 。
それ か ら 、 IT も そ う で す 。 私 の 同僚 で 、 か つて IBM の エ ン ジ ニ アだ っ た 方 がや
はり国連職員として仕事をしておられまして、彼は言語間の自動翻訳のプログラム
を開発するような仕事に携わっていました。それから、国連事務局に対してアメリ
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カ政府は、巨大な官僚組織であまり仕事をしていない、効率が悪いとよく悪口を言
う の で す が、日 本 の 一 般 的 な 組 織に 比 べ ま すと 国 連 業 務の IT 化 は 、随 分 進 ん で い ま
す。人事管理や予算の管理・執行などはプログラム化されており、予算の運営につ
いてもすべてコンピュータでやっております。そのほかに、写真家やお医者さんな
ど 、 い ろ いろ な 専 門 職の 方 が お られ ま す 。
これはどういうことかといいますと、日本の場合、仕事を選択するときにはどう
してもそれぞれの専門性より個別の組織を選び、会社であれ役所であれ、組織に採
用してもらうという形が一般的です。これに対して、基本的に国連の人事制度とい
うのは欧米、あえて言えば英米の人事制度を骨格としてつくられていますので、あ
なたの専門は何かということがまずあるわけです。つまり、その人のプロフェッシ
ョ ン は 何 か 。 そ の プ ロ フ ェ ッ シ ョ ン を 生 か す 場 、 ジ ョ ブ ・ オ ポ チ ュ ニ テ ィ ( job
opportunity)と し て 、国 際 機 関 とい う も の が一 つ の 選 択肢 で あ る とい う 考 え 方で す 。
ですから、最近、日本の終身雇用制度も多少揺らいでいるようですけれども、日
本のように一たんある組織に帰属したら、基本的にその組織でキャリアを積んでい
くという発想ではなく、自分の専門を生かす場所、職場を選択していくというのが
欧米的な考え方です。つまり、例えばエコノミストの場合、国際機関でエコノミス
トの仕事もできるし、それ以外のシンクタンクでもできるし、大学でもできるとい
うように、職場の互換性というものを前提として英米の人事制度というものは成り
立 っ て い るわ け で す 。
今、私は大学の国際部の仕事をしていますが、欧米の大学では国際教育、あるい
は国際部のマネジメントを専門にやっているプロフェッショナルの方がたくさんい
て、その人たちは学会ともちょっと違うのですがそうした専門家の年次総会を毎年
開きます。そこには欧米のみならず、アジア、ヨーロッパからも参加するのですけ
れども、この分野のプロフェッショナルが一堂に会して、自分たちの大学の国際教
育 、 高 等 教 育 の 国 際 交 流 の あ り 方 と い う よ う な こ と を 議 論 す る 。 中 に は Ph.D.を 持
っ て い る 専門 家 も い ます し 、 多 くの 方 は 少 なく と も 修 士を 持 っ て いま す 。
彼らは当然、それぞれの所属している大学で日常の仕事をしているのですが、そ
ういうプロフェッショナルですから、別の大学にいいポジションがあったり、ある
い は 別 の 大学 か ら よ りい い 条 件 でオ フ ァ ー を受 け た り する と 、 動 いて い く の です 。
大学のマネジメントの専門家の例を挙げましたが、実は欧米の場合、企業も含め
て、こういうプロフェッショナルのサークルが組織横断で確立しており、縦の組織
は彼らがその都度選択していくという、横と縦のキャリアパスというものができて
います。その横を規定するプロフェッショナルの資格、あるいはプロフェッショナ
ルとしての質というものが非常に大事であり、それを決めるのが、先ほど申し上げ
た よ う に 、学 位 と 実 務経 験 と い うこ と に な って い る わ けで す 。
同時にもう一つの要素として、なぜそういうことが可能かといいますか、彼らの
職 場 で の 契約 の 多 く がフ ィ ッ ク スド・タ ー ム( fixed term:期 限 つ き )だ か らで す 。
日本では基本的に終身雇用のところがまだ多いと思いますが、欧米ではほとんどが
フィックスド・タームで、それを更新しながら勤めていくということです。当然、
更 新 さ れ ない ケ ー ス もあ り ま す 。
実は 私 が 国 連で 仕 事 を して い た と きに も 、期 限つ き の 契 約で し た 。時々 帰 国 し て、
サ ラ リ ー マ ン の 友 人 と 話 す こ と が あ っ た の で す が 、「 僕 の 契 約 は 2 年 だ 」 と 言 う と 、
「おまえ、よく平気だな」と言われたのですが、人間というのは大抵のことになれ
るのですね。ただ、この契約が切れたときにどうなるのだろうということは常に気
にしていました。ある意味、しょっちゅう就活をしているようなものなのですね。
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立命館大学に奉職してちょっと新鮮だったのは、定年までいられるのだということ
でした。もちろんいられるかどうかは保証の限りではないのですけれども、原則と
し て は い られ る と 。
国連 機 関 、英米 の 人 事 制度 の 場 合 は常 に 期 限 つき の 雇 用 が前 提 で あ る。そ れ か ら、
プロモーション(昇進)もそうです。日本ではどこの組織でも多くの場合、人事部
が 統 括 的 に組 織 の 人 事を 見 て い て、例 え ば 経済 産 業 省 であ れ ば 、
「前 田 さ ん 、今 度 は
課 長 と し てこ ち ら に 」と い う よ うに 、 人 事 部、 人 事 課 が異 動 を 決 めて い ま す 。
しかし、国連機関あるいは英米の場合は、上のポストに行こうと思ったら、空い
ているポストに手を挙げて応募しなければいけないわけです。そうでなければ、決
し て そ の ポス ト か ら 動け ま せ ん 。
「 石 原 君 、君 は よ く 頑張 っ た か ら、今 度 は 一つ 上 の
ポストに上げてあげよう」というようなことは決して言ってもらえません。ですか
ら、常に自分で上のポストを見ていて、そこに空きがあり、資格条件が合うとなっ
たら、みずから手を挙げて応募しなければいけないわけです。ですから、まさに就
活 み た い なも の な の です 。
したがって、プロモーションに関しても、あるいは契約の更新に関しても、欧米
の人たちは次のステップをどうするか、あるいは自分のポジションが安泰か、大丈
夫 な の か とい う こ と を常 に 気 に しな が ら 仕 事を し て お りま す 。
これ が 良 い・悪 い と い うの は 、い ろい ろ と 議 論が あ る と 思い ま す 。私の 経 験 で も、
もちろん日本のシステムのよさもあるし、いろいろだと思いますけれども、基本的
にそういう期限つきの契約と、その結果、横の職場のモビリティが大きい。その中
で 、 や は り専 門 性 と いう も の が 非常 に 重 視 され る と い うこ と に な って お り ま す。
次 に 、 国 連 職 員 に 求 め ら れ る コ ア バ リ ュ ー ( Core Values)、 核 心 的 価 値 観 と い う
ことについてお話しさせてください。国連事務局はスタッフに、国連機関の職員は
Integrity、 Professionalism、 あ る い は Respect for Diversity と い う も の を 尊 重 し
て 職 務 に 励め と 言 っ てい ま す 。Integrity と は 、日 本 語 で は「 誠 実 さ 」と い う 訳 語 が
使われており、何のことだかよくわからないのですが、要するに自分の職務に求め
ら れ て い るこ と を き ちん と 責 任 感を 持 っ て 果た す と い うこ と で す 。Professionalism
とは、専門能力、特に国連機関の場合、政治的な圧力という言葉が適当かどうかは
わかりませんけれども、政治的な配慮もしながら仕事をしなければいけない中で、
や は り Professionalism を 貫 く と い う こ とが 非 常 に 重視 さ れ て いま す 。
ただ 、 Integrity と か Professionalism と い う の は 、 基 本的 に は ど の組 織 に お いて
も 求 め ら れる 資 質 、 姿勢 だ ろ う と思 い ま す 。い か に も 国連 ら し い のが 、 Respect for
Diversity、多 様 性 の尊 重 で す 。先 ほ ど 申 し上 げ ま し たよ う に 、国連 機 関 に は世 界 じ
ゅうからスタッフが来ております。企業でも多国籍企業などの場合には随分いろい
ろな国籍の人がいますけれども、国連ほど国籍の多様性がある組織はないと思いま
す。常に文化的な多様性、あるいは宗教的な多様性を尊重し、敬意を払って仕事を
しなければいけない、そういうことに対してセンシティブ、敏感であれということ
が Respect for Diversity で す 。
また余談ですけれども、国連で休日がどう定められているか、ご存じですか。ニ
ューヨークの本部の場合ですが、土日は休みです。1年間の祝日をどう決めている
と思いますか。あるいは、国連のような組織ではどう決めればいいでしょうか。場
所 は ニ ュ ーヨ ー ク 本 部で す 。 で は、 ア メ リ カの 祝 日 に 準ず る の か 、ど う で し ょう 。
前 田 : す べて の 加 盟 国の 祝 日 を すべ て 休 み にす る 。
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石 原 講 師:そ う す る と、ほ と ん ど仕 事 し な いで 済 み ま す。
( 笑)こ れが Respect for Diversity
に関係してくるのです。一例を挙げますと、クリスマスです。クリスチャンのスタ
ッフが圧倒的に多いですし、欧米ではクリスマスは休日です。クリスチャンにとっ
て 恐 ら く 一番 大 事 な ホリ デ ー で す。と こ ろ がイ ス ラ ム 教徒 に と っ てみ れ ば 、12 月 25
日はジャスト・アナザー・デーで、特別な意味はないのです。なぜキリスト教徒の
祝日だけを休日にするのかという議論があり得るわけです。あり得るというか、実
際 に あ る ので す 。
国連の場合、1年に何日を祝日として指定するかということを総会で決めるので
す。どの日をそれに当てるかということは、クリスマスについては、世界のクリス
チャンの人口にかんがみて、国連のオフィスがあるところ、ジュネーブでもニュー
ヨ ー ク で も休 み に し よう 。イ ス ラム 教 徒 の 祝日 と し て イー ド・ア ル= ア ド ハ ー( Eid
ul-Adha)と い う も のが あ る の です が 、そ こも イ ス ラ ム教 徒 に 敬 意を 払 っ て 休日 に し
よう。それから、いろいろなローカルなオフィスは、そのオフィスが所在している
国の祝日を一定程度、何日かは祝日として選定してもいい。そういう決め方をして
い ま す 。 それ が ま さに Respect for Diversity で す 。 国 連 の よ うな 職 場 に いま す と 、
そ う い う こと を 常 に 意識 し て い ると い う こ とが あ り ま す。
以上が国連の組織あるいは国際公務員のあらましです。ここからは、専門職大学
院と国際性ということについて、個別の要素を抽出してお話しさせていただきたい
と 思 い ま す。
日本型人事制度と欧米型人事制度については、先ほど申し上げましたように、欧
米型の場合は専門性というものが大事であり、それをはかる基準として学位が非常
に重要視されるということです。先生方はよくご存じだと思いますが、英米といい
ますか、フランスもそうでしょうか、世界的な傾向だと思うのですけれども、いわ
ゆる専門職の大学院というものが世界的にふえております。日本で一番わかりやす
い の は ロ ース ク ー ル(法 科 大 学 院)で し ょ うか 。司 法 試験 制 度 が 変わ り ま し たの で 、
いろいろと課題はあるようですけれども、法科大学院に行かなければ司法試験には
受かりにくくなっており、日本でもある程度定着しつつあるのではないかと思いま
す。
もう一つ、特にアメリカなどで専門職大学院として存在感のあるのがビジネスス
ク ー ル で す。ビ ジ ネ スス ク ー ル に行 っ て 、MBA を 取 る 。日 本 で もビ ジ ネ ス スク ー ル
を持つ大学が幾つかあります。立命館も持っているのですが、学生を集めること自
体 も 課 題 です 。な ぜ 集ま ら な い のか と い い ます と 、ビ ジネ ス ス ク ール に 行 って MBA
を 取 る こ との メ リ ッ トを ど こ に 見出 す か と いう こ と で す。
英米などの場合は、先ほど申し上げましたように、修士号を持っている人は、つ
くことのできるポジション、それに伴う給与が、学士号だけの人とは決定的に違う
のですね。日本の場合、理系は違うかもしれませんけれども、文系の大学院では、
このごろはさすがに大学院を出たから不利になるということはなくなったようです
が、特段有利になることはない。スタートアップの給料は多少高いのですが、年齢
分ぐらいかなという感じで、修士号を持っているから企業や役所で優遇してくれる
か と い う と、 決 し て そう い う こ とは な い わ けで す 。
ただ 、英 米 の場 合 は 、MBA、ビ ジ ネ ス ス ク ール の 修 士 号を 持 っ て いれ ば 、そ れだ
け高いポジション、高い給料で仕事ができる。その結果、大学の学部を出て仕事を
し て 、 そ れか ら ま た ビジ ネ ス ス クー ル に 行 って MBA を 取 る こ とが 、 そ の 人の キ ャ
リア・ディベロップメントの大きなステップ、有利な条件をつくるわけです。です
か ら 、 多 くの 方 が ビ ジネ ス ス ク ール に 行 く わけ で す 。
- 17 -
日本でも当然、専門職大学院のメリットはあると思います。文系の分野でも専門
的な知識、高度な知識が求められるようになっている。そういう知識を習得する、
能力を身につけることの意味はあるのですれども、では、そのつけた能力を採用側
の企業あるいは組織がどのように評価してくれるのか。そういうところが日本では
ま だ 十 分 では な く 、専 門 職 の 大 学院 が 一 般 的に 定 着 し 切れ て い な い部 分 が あ りま す 。
それはビジネススクールやロースクールのみならず、英米ではメディカルスクー
ル(医学部)自体も専門職大学院という位置づけですし、私のいたコロンビア大学
にもティーチャーズカレッジというものがありました。小中高の教師としての経験
を積んでティーチャーズカレッジに来て、専門職の学位を取れば、校長や教頭にな
れるポジションとして学校の現場に戻っていく。そして当然、それに応じて高い給
料 が も ら える と い う こと で す 。
民主 党 が 2 ~3 年 前 と いう か 、 政 権を と っ て から で し ょ うか 、 日 本 の教 員 制 度 を
見 直 そ う とい う こ と で、 こ れ に 似た 提 案 を した こ と が あっ た の で すが 、 も ろ もろ の
政 策 と 同 様何 と な く しり つ ぼ み にな っ て い き、 ど う な った の か な とい う 感 じ にな っ
て い ま す 。し か し 、 欧米 で は 専 門職 大 学 院 は完 全 に 市 民権 を 得 て いま す し 、 そこ で
専 門 的 な 知識 、 知 見 、技 術 、 能 力を 身 に つ ける こ と が 大き な キ ャ リア ス テ ッ プに な
る と い う こと が 確 立 して い ま す 。
そういう意味でまだ日本は、大学というより、それを社会がどう活用し、大学院
で学ぶことの意味をどう積極的に認めていくかというところがもう一歩かなという
気 が し て おり ま す 。
もう一つ、これから専門職大学院が意味を持ってくると個人的に思っていますの
は、先ほど申し上げましたように、いろいろな分野で非常に高度な、あるいは細か
い専門性が求められるようになってきて、そういうことを学習する機会がどうして
も 必 要 だ とい う こ と があ り ま す 。
それ と 、大 学を 21、22、23 歳 あ た り で 出 て、定 年 が 65 歳 ぐ ら い と い う こ とに な
り ま す と 、40 数 年 、職 場 で 仕 事を す る わ けで す 。そ の間 に 2 年 ぐら い 、イ ギリ ス で
は1年で修士が取れるところも多いのですが、大学院に戻って、自分の仕事、ある
いはほかの分野、自分の経験をより客観的な広い視野で見直してみる。そして、そ
れを持ってまた職場に戻る、あるいは別の職場に移ってもいいのですけれども、自
分の仕事や社会というものを、日常的な業務の現場からちょっと距離を置いて見る
ことによって視点を広げることの意味は小さくないと思います。あるいは企業や常
日ごろ働いている現場とは異なった場所から物事を見てみることが、その人のプロ
フェッショナルとしての、あるいは企業人としてのキャリアにとっても非常に重要
ではないかと思っております。また、それはそういうスタッフを抱えている組織に
と っ て も 、結 果 的 に は大 き な プ ラス に な る ので は な い か、 と 思 う わけ で す 。
もう一つは、現場で特に学部生のような若い諸君と接していて日ごろ痛感してい
ることですが、ちょっと言葉を選んだほうがいいと思うのですけれども、豊かな社
会では社会的に一人前になるのにだんだん時間がかかるようになってきているので
はないか、という気がします。今の大学の学部学生は、端的に言えばちょっと幼稚
なところがあるのですね。それは基礎的な知識、高校までに学んでくる知識のレベ
ル 、 あ る いは 物 の 考 え方 、 あ る いは 人 間 と して の 成 熟 度と い う こ とで す 。
学部を出て就職して、最近は景気が悪かったりして数字は若干変わっているかも
し れ ま せ んが 、数 年 前ま で は 3 年間 で 離 職 する 率 が 30% ぐ ら い でし た 。そ れは み ん
ながみんなキャリアアップで転職していくわけではなく、企業に適応できなかった
り、なじめなかったり、いろいろな問題でやめてしまうということです。そういう
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こ と を 社 会全 体 で 見 たと き に は 、や は り 非 常に 大 き な ロス な の で すね 。
ですから、かつて日本の組織ではできるだけ若い人を、その人の持っている能力
のポテンシャルを見て雇って、組織の中でトレーニングして育てていくという発想
だったのですが、それがなかなかうまくいかなくなってきている。それは組織側の
変 化 、あ るい は 若 い 学生 諸 君 、大学 を 出 た 学生 諸 君 の 変化 、両 方 ある と 思 い ます が 、
そ れ が う まく 機 能 し なく な っ て いる と い う 気が し ま す 。
そういう意味で、大学の4年間だけで果たして企業や組織に入って社会人として
ひとり立ちできる能力が十分形成されるのかというと、もう少し時間をかけたほう
がいいのではないかという側面もあります。先ほど申し上げましたように、従来、
研究者になろうという人以外は大学院をあまり視野に入れなかったのですが、そう
いう事情も変化してきており、大学院の修士課程、博士前期課程でより高度なもの
を勉強してから社会に巣立っていく。あるいは、社会で一定の経験を積んでから、
また大学院で学びながら、あるいは仕事をしながら、修士号を取っていく。そのよ
うなキャリア形成のパターンが恐らくふえていくのだろうと思います。ただ、先ほ
ど申し上げましたように、それを社会がどう評価するかということが一つの決定的
な ポ イ ン トに な る の では な い か とい う 気 が して お り ま す。
最後 に 、国 際性 に つ い てで す 。こ れは 私 が 実 際に 経 験 し たこ と に 基 づい て の 話 で、
私もこの分野の専門家ではないので間違っているかもしれませんけれども、国際性
と は 何 か とい う こ と です 。
まず、国際機関のような場で仕事をする場合、先ほど申し上げましたように、ど
うしても語学力が必要になります。ただ、語学力というのは、英語ができる、ある
いはフランス語ができるという狭い意味での語学能力だけではなく、言葉の背後に
ある文化的なコンテクストというものをどれだけ理解しているかが大事だと思いま
す。先ほど申し上げましたように、その人の持っている宗教的な背景、あるいは国
籍や民族性、そういうものに対してイマジネーションがどれだけ働くかということ
です。
ご存 じ の よ うに 、中 東 問題 と い う のは 国 連 の みな ら ず 、世界 で 一 番 解決 し が た い、
長い紛争です。イスラエルとアラブ諸国、ユダヤの人たちとアラブ系の人たちとの
対立ということで、国連でも一番議論が過熱する問題の一つです。もちろんイスラ
エルはユダヤ系の人が大多数ですけれども、ほかの国のユダヤ系の人と会ったとき
にはなかなか難しいのですね。特にアメリカの場合はそうです。イスラエルの人口
は た し か約 700 万 強 で し ょ うか 。ア メ リカ に も 500 万 強 の ユ ダ ヤ 系 の 人が 住 ん で い
ま す 。 そ のう ち 5 分 の2 ぐ ら い 、200 万 人 ぐ ら い は ニ ュー ヨ ー ク にい る よ う です 。
ニューヨークでそういう人たちと会ったときには、まずこの人のバックグラウン
ドはユダヤ系か、そうではないのかということを考えます。もちろんそれはなかな
かわからないこともあります。わからないのに、いきなり反イスラエル的な話題を
持 ち 出 し たり す る と 、人 間 関 係 がう ま く い かな い わ け です 。
また 、
「 私 の国 籍 は キ プロ ス で す 」と い う 人 と会 っ て 話 をす る こ と もあ り ま す 。キ
プロスというのは、ご存じのように、ギリシャ系とトルコ系が非常に対立していま
す。どちらかに寄った話をしてはまずいのですね。その人がどちらから来ているか
わ か ら な い。
アラブ系の人たちとつき合うときに、アラブ系だからイスラム教だろうと決めつ
けるのも間違いです。一例をあげさせていただきます。実はかつて国連の事務総長
だ っ た エ ジプ ト の ブ トロ ス・ガ リ( Boutros Boutros-Ghali)と い う 人 は 、アメ リ カ
とけんかしてしまって、2期目が務められなかったのですが、この人のバックグラ
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ウ ン ド は 非常 に 変 わ って い ま す 。エ ジ プ ト 人で 、エ ジ プト の 副 首 相を 務 め た 人で す 。
国連の事務総長になるための条件というのはなかなか難しいのですが、一つおも
しろいのは、先ほどの言葉の問題にかかわるのですけれども、フランス語ができな
いとちょっと困るのです。なぜかというと、事務総長になるためには、最終的には
国 連 の 総 会 、 193 カ 国 の 総 会 の 場 で 投 票 に よ っ て 選 ば れ る の で す が 、 総 会 に 出 て く
る前に安全保障理事会の推薦を受けなければいけまえん。安全保障理事会というの
は 、ご 存 じの よ う に 15 カ 国 あ り ま し て 、その う ち の 五つ 、英 、米 、仏 、ロ シ ア 、中
国が常任理事国です。この常任理事国は拒否権を持っていますので、事務総長にな
ろうと思ったら、この五つの国から推薦を受けなければいけません。フランスは常
に 、 フ ラ ンス 語 が で きる 人 物 か どう か と い うこ と を 非 常に 気 に し てい ま す 。
ブトロス・ガリさんのときには、まだアフリカからは事務総長が一人も出ていま
せんでした。アフリカの人たちが「今度はアフリカの番だ」と非常に強く主張しま
した。ただ、アフリカは紛争も貧困も多くて、果たしてアフリカの国から事務総長
を出すことが妥当かという懐疑の目も向けられていました。その中でエジプトのガ
リ さ ん が 手を 挙 げ た わけ で す 。
エジプトは、地理的には文句なくアフリカです。ただ、いわゆるサブサハラ・ア
フリカの人たちが自分たちと同じアフリカだとみなしているかどうかというのは非
常にデリケートといいますか、あまりそうではないというところがあるのです。地
理的にはアフリカですので、エジプトの人間はアフリカの人間ではないとはほかの
ア フ リ カ の国 も 言 え ない わ け で す。
しか も ガ リ さん と い う 方は 、フ ラ ンス の ソ ル ボン ヌ で 国 際法 の 学 位 を取 っ た 方 で、
実は英語よりフランス語のほうが達者なのですね。ですから、フランスもその点は
問題なかったのです。そして、アフリカ地域の出身でもある。当然、エジプト出身
者なのでイスラム教だろうと。エジプト自体はイスラム圏で、イスラム教徒が大多
数 の 国 で すか ら 、ほ かの イ ス ラ ム圏 の 国 も 、エ ジ プ ト なら イ ス ラ ム圏 だ と 考 えま す 。
ただし、実はガリさんはイスラム教徒ではなく、コプト教です。これは、原始キリ
スト教というと語弊があるのですが、キリスト教の一派です。非常に小さい宗派な
のですけれども、そのコプト教の方です。ですから、彼自身はイスラム教徒ではな
く キ リ ス ト教 徒 な の です 。 さ ら に、 ガ リ 夫 人は ユ ダ ヤ 系と い わ れ てい ま し た 。
ですから、国連が求めているいろいろな資質をすべて満たす、ある意味、非常に
完璧に近いバックグラウンドを持っていたわけです。それで選ばれた。ただ、彼自
身のリーダーシップの特質といいますか、アメリカを相手にけんかしてしまったも
のですから、2期目はアメリカの支持が得られなくて、事務総長としては1期でや
め ざ る を 得な く な っ たわ け で す 。
事ほどさように、世界じゅうの人とつき合っていく上では、その人が単に国とか
民族だけでは割り切れない、複雑なバックグラウンドを持っているということを前
提 に つ き 合わ な け れ ばい け な い ので す 。当 然、最 初 に 会っ た と き には わ か り ませ ん 。
わ か ら な い段 階 で は 、そ う い う こと に 注 意 しな が ら 、瀬踏 み を し つつ 、
「 あ あ、こ う
いうバックグラウンドの人なのだな」と。そういうことも含めたコミュニケーショ
ン 能 力 と いう も の が 大事 に な っ てく る わ け です 。
それから、国連の人間というのはともすると根なし草になりがちのところもある
のですが、やはり自分の国の文化、自分の国のアイデンティティというものをきち
んと持っている、あるいはそれについての理解がある人でなければ、なかなか尊敬
さ れ ま せ ん。 根 な し 草に な っ て しま っ て は だめ だ と い う面 も あ り ます 。
それから、もう一つはユーモアのセンスです。これはある意味、日本人が一番苦
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手なところですが、国際会議やいろいろな交渉、あるいはその他の社交の場などで
話をするときに適度にユーモアのセンスを発揮するということは、会話、対話、交
渉事をスムーズに運ぶ上で非常に大切です。どうも日本人は、駄じゃれとか吉本興
業的な、別に吉本の悪口を言うつもりはないのですけれども、そういうユーモアが
一般的ですが、これは欧米のユーモアとはちょっと違います。しかもユーモアとい
う の は 、先ほ ど 言 い まし た よ う に、い ろ い ろな バ ッ ク グラ ウ ン ド 、政 治 的 、民族 的 、
宗教的な要素をネタにしたものも少なくないので、ある種、非常に知的な表現なの
ですね。ですから、ユーモアのセンスを交えて会話、対話をする能力があることも
と て も 大 事で す 。
次に、論理的思考力です。これは言うまでもないだろうと皆さんは思われるかも
しれませんが、単に知的な意味で論理的であるから大事というだけではなく、カル
チャー、イデオロギーが違う人たちとつき合うときにも、論理的な思考力というの
はある種の普遍性を持っているのです。そういう意味で、論理的、ロジカルに話を
す る と い うこ と が 非 常に 大 事 で す。
最後に、行動力です。お持ちしたレジュメでは括弧の中にいろいろな要素(発言
力、対話力、交渉力、リーダーシップ、調整力、バランス感覚)を並べてあります
が、それぞれが関係を持っていますし、何も国際的な場においてのみ求められるこ
とではないと思います。まず発言力。これは控えめをもって尊しとなすという日本
人のカルチャーとはちょっと異なっています。私もかつてそうだったのですけれど
も 、 な か な か 違 和 感 が あ っ て 、「 私 が 私 が 」「 私 の 意 見 は こ う で す 」 と い う よ う な こ
と は 言 い にく い わ け です 。
しかし、人間が自分の考えとして言いたいこと、あるいは自分が所属している組
織の立場として、あるいはその利益として言いたいことがあるというのは、基本的
に一緒なのですね。ただ、それを相手によって、場によって、どう表現するかとい
う表現のモードが異なる。そのモードの切りかえができるかどうかということが、
や は り 大 事で す 。
当然、前田先生もご経験されていると思いますが、国際会議などの場では、とに
かく自分から発言する。そうでなければ、存在すら認めてもらえません。そういう
意 味 で 、いろ い ろ と リー ダ ー シ ップ を と っ たり 、イ ニ シア チ ブ を とっ た り し なが ら 、
発言していく。ただ、某アジアの国々はこういうパターンが多いのですが、自分の
言いたいことだけを一方的に言うのではなく、相手の言うこともきちんと聞く。そ
ういう意味でも、対話力を持って自分の立場を主張していく。さらに、交渉事であ
れば、いろいろなバランス感覚を持って、相手と共通するところは何で、どこまで
なら合意できるのかということを探りながら交渉を進める能力も身につけていく必
要 が あ り ます 。
このような能力を日本の大学、大学院も含めて、どういう形で身につけさせてい
けばいいかということはちょっと難しいところがあります。しかしながら一番大事
なのは、単にツールとしての言葉、ツールとしての対話能力ではなく、その人が持
っているもの――冒頭に石島学長がおっしゃったように、基本的なコアになるもの
をどう伝えていくかということです。ですから、まずは自分がいうべきことを持っ
ていることが大事である。ただ、持っているだけでも伝わる部分はあると思います
が、やはりそれを効果的なコミュニケーションの方法で伝えていかなければいけな
いということで、広い意味でのコミュニケーション能力や行動力というものが必要
に な り ま す。
社会 が グ ロ ーバ ル 化 し てき ま す と 、先 ほ ど APEN の 話 も あ り ま し たが 、い わ ゆ る
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マルチ、多国間の当事者の間で物事を話し合ったり、協議したり、交渉したり、あ
るいは一緒に何かをつくっていくということが非常に大事になります。伝統的な外
交というのは、バイラテラル、2国間です。その場合は相手が選べませんから、あ
る意味、単純なのですね。相手がどんなに言葉が稚拙で、何を言っているかわから
なくても、とにかくその人たちを相手にして、その人たちとの間で物事を決めてい
か な け れ ばい け ま せ ん。 で す か ら、 バ イ と いう の は 非 常に わ か り やす い わ け です 。
しか し マ ル チ、 多 国 間 の場 合 に は 、多 く の 国 際協 力 の 場 、APEN も 含 め て だ と思
いますけれども、だれが何を言い出して、ほかの人が何を考えていて、何が共通の
基盤で、何を一緒につくり上げていくのかということの探り合いを通じての交渉、
対話ということになります。そこでは、先ほど申し上げた多面的なコミュニケーシ
ョン能力が必要になってくるのではないかと思います。特に国連のような多国間交
渉の場では、そういう力量が非常に大事になってくるということを、私も経験的に
感 じ ま し た。
そろそろ時間が参りましたので、終わらせていただきます。ちょっとまとまりの
ない話で申しわけないのですが、ご質問やご意見、ご批判をいただいた上で、少し
議 論 を さ せて い た だ けれ ば と 思 いま す 。ご 清聴 、ど う もあ り が と うご ざ い ま した 。
(拍
手)
小 山 FD 委 員 長 : 石原 先 生 、 あり が と う ござ い ま し た。 ほ ぼ 時 間ど お り で す。 石 原 先 生か
らは、職業としての国家公務員、また専門職大学院に望むもの、役割、それから国
際 性 と い う三 つ の 観 点か ら い ろ いろ と お 話 をい た だ き まし た 。30 分 ほ ど 時 間を と っ
ていますので、講演に対する質疑でも結構ですし、テーマに関するディスカッショ
ン を ざ っ くば ら ん に やっ て い き たい と 思 い ます 。前 田 先生 に も 加 わっ て い た だい て 、
ぜ ひ 活 発 に議 論 し た いと 思 い ま す。
石 原 講 師:忌 憚 の な いご 意 見 、ご批 判 を い ただ け れ ば と思 い ま す 。
「 お ま え 、何 を 言 っ とる
か 」 と い うよ う な ご 意見 を い た だけ れ ば う れし い で す 。
小 山 FD 委 員 長 : それ で は 、 始め た い と 思い ま す 。 ご質 問 、 ご 意見 等 が ご ざい ま し た らど
うぞ。
川田研究科長:質問ですが、レジュメの「1.職業としての国際公務員」の最後のところ
に 、国 連 職員 に 求 め られ る Core Values と し て Integrity、Professionalism、Respect
for Diversity と い う も の が 掲 げら れ て い ます 。 こ の 大学 院 に は 創造 技 術 専 攻と い う
も の が あ り、そ の 最 初の 授 業 の 一つ と し て「技 術 倫 理 」と い う も のを や っ て いま す 。
その授業の中では、専門職人材は国際的には横のつながりみたいなものがあると。
日本では、石原先生がおっしゃるとおり、組織の中に入ってしまいますので分野横
断的なつながりがないのですが、欧米ではある専門職の人たちが横でつながってい
ますよね。
日本で唯一、横のつながりを持っているのは学協会なんですね。例えば機械学会
とか電気学会とか、そういう学協会が横のつながりの場となっているわけですが、
そういうところでは今、倫理綱領みたいなものをかなりつくっています。職業団体
は 綱 領 、キャ ノ ン( canon)と 言 わ れ る も のを 持 っ て おり 、そ の 組織 に 属 す る人 た ち
は何を守らなければいけないかということがかなり書かれています。その目的は、
職業の尊厳を守り、社会的に認知させるということが一番重要であり、それが自分
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たちの職業というか、プロフェッショナルなものを守るということになっているわ
けです。
ちょっと前置きが長くなったのですが、例えば国連職員全体が共有している綱領
の よ う な もの は あ る ので し ょ う か。
石原講師:恐らくコード・オブ・コンダクトのようなものかと思いますが、国連の場合、
書かれたものとしては、そういうものは必ずしも存在していません。非常に大ざっ
ぱ な 話 で はあ る の で すけ れ ど も 、Integrity、Professionalism、Respect for Diversity
というものが、国連職員が仕事をする上で常に心がけておくべきコアバリュー(核
心 的 価 値 観) で あ る とい う こ と です 。
マネジメントクラス(幹部職員)になると、リーダーシップなど、ほかの要素が
つけ加わるのですが、先ほど申し上げましたように、職業分野が多様なのですね。
いろいろな専門家がいて、お医者さんもいます。お医者さんは当然、医者としての
職業的倫理観を持っていると思います。それから研究者的な人、例えばエコノミス
トもいます。それぞれの職業分野で、今おっしゃったようなコード・オブ・コンダ
クトはあると思いますが、国連職員ということで横に切ったときに組織人として特
別 な も の があ る か と いい ま す と 、必 ず し も 規定 さ れ て いま せ ん 。
川田研究科長:むしろいろいろな専門職の方が集まっているという見方のほうがいいとい
う こ と で しょ う か 。
石 原 講 師 : そ う い う イメ ー ジ で すね 。
川 田 研 究 科 長 : あ り がと う ご ざ いま し た 。
小 山 FD 委 員 長 : ほか に ご 質 問、 あ る い はデ ィ ス カ ッシ ョ ン の ネタ み た い なも の が あ りま
し た ら 、 どう ぞ 。
森口:ふだんは聞けないような給与水準にかかわることまで、興味深いお話をどうもあり
がとうございました。国家公務員として必要なスキルやコンピテンシーなどをたく
さん紹介していただいたのですが、日本の企業では、その企業に合う人材になるよ
うに社内研修みたいなものをどこでもやっているかと思います。国際公務員として
ふさわしい人材になるように、入ってから行われる研修などは存在するのでしょう
か。
石原講師:それはイエス・アンド・ノーです。イエスの部分は、先ほどちょっと申し上げ
ましたように、例えばコンピュータで予算を管理するというシステムなど、いわゆ
る技術的なものを導入するときには当然、それをスタッフに習熟させなければいけ
ませんので、そういうトレーニングはします。ただ、日本の組織がやるような、組
織人として、あるいは組織の横の人と人とのつながりをつくっていくための研修と
い う の は ない で す ね 。欧 米 の 人 たち は 基 本 的に そ う い うも の を 嫌 がり ま す 。
先ほど申し上げましたように、そういうものがあったほうが、組織としての全体
のチームワークやパフォーマンスが上がる要素は確かにあると思います。日本の組
織はこれまでその強みを非常に生かしてきたと思いますが、逆に、特に最近の日本
の 若 い 人 たち も 、上 司に 飲 み に 行こ う と 誘 われ て も 、「 嫌 で す 」とか「 プ ラ イベ ー ト
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の 時 間 で す」 と か 言 うよ う で す ね。 基 本 的 に欧 米 人 は それ が も っ と強 い 。
です か ら 、例え ば ニ ュ ーヨ ー ク で は近 く に ロ ング ア イ ラ ンド と い う 保養 地 が あ り、
そ こ に 週 末 、 幹 部 職 員 を 招 き 、 リ ト リ ー ト ( retreat) と 称 し て 、 幹 部 職 の ト レ ーニ
ングをし、意思疎通を図るということが試みられたこともありますが、どちらかと
い う と 不 評で し た 。 まず 行 き た がら な い で すね 。 そ れ はあ ま り な いで す 。
森口:では、例えばユーモアのセンスなどは、日本人はなかなか苦手だというお話もあり
ましたけれども、入ってから自分で何とかするということでしょうか。そういうこ
とにたけている人を採るようなリクルートシステムがあるということではないです
よね。
石原講師:実際に人をリクルートする面接の場においてユーモア能力を試すということは
全くありません。それは、もちろん資質ということもあると思うのですけれども、
広い意味ではやはり教養の部分です。専門職大学院でユーモアのトレーニングをす
る と い う コー ス は あ まり 聞 い た こと が あ り ませ ん 。
欧米と日本で決定的に違うと思うのは、これは専門職大学院とある意味では表裏
の関係だと思いますが、教養ベースの教育といいますか。欧米の人たちは、私の情
報は国連にいる人たちが中心ですので限られているかもしれませんが、やはり教養
の幅がものすごく広いですね。学部レベルの教育というのは、アメリカの場合は基
本的にリベラルアーツです。日本のように、法学部、経済学部、工学部というよう
な学部制にはあまりなっていません。いわゆるメジャー(専攻)という形でエコノ
ミクス(経済)関係のコースを一定程度とるけれども、そのほかにも文学をとった
り 美 術 史 をと っ た り して 、 非 常 に幅 広 い 教 養を つ く る よう に し て いま す 。
英米の外交官もそうですが、例えばラテン語ができたり、ギリシャ文学にたけて
いたりします。ここに外務省の方はおられないですよね。前田先生は経済産業省で
す か ら い いと 思 い ま すが( 笑 )、日本 の 公 務 員試 験 は 法 律重 視 で 入 って く る の です ね 。
非常に優秀な方々が法律のロジカルなトレーニングをして、試験を受けて入ってく
る。それはそれである種の能力の担保にはなると思いますが、ユーモアのセンスも
含めて幅広い教養をつくるということは、日本の今の教育はちょっと弱いような気
がします。
そういうものがあって初めて、専門職大学院の専門性というものも対になって生
きてくるわけですので、やはり両方あったほうがいいような気がします。答えにな
っ て い な いか も し れ ませ ん が 。
森 口 : あ りが と う ご ざい ま し た 。専 門 職 大 学院 と し て 必要 な こ と もわ か り ま した 。
石 原 講 師 : 間 違 っ て いる か も し れま せ ん 。
小 山 FD 委 員 長 : ほ かに ご 質 問 、コ メ ン ト など は ご ざ いま す か 。
網代:今のお話に若干関連して、蛇足になってしまうかもしれませんが、ユーモアについ
て 2 点 、 お伺 い し ま す。 ま ず 、 吉本 と は 違 うと い う お 話が あ り ま した 。
石 原 講 師 : そ れ は 忘 れて く だ さ い。( 笑 )
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網代:いや、何となくわかるんですけれども、どこが違うのかということがあればお聞き
したいと思います。欧米の方々が使われているのは教養だということは、感覚とし
て は 何 と なく わ か る んで す 。で は、吉 本 の ほう は 何 な のか 。私 は 関東 で す け れど も 、
確 か に う るさ く 感 じ たり す る と きも あ る し 、NHK の 朝 の「 連 続 テ レ ビ 小 説 」な ど を
見ていますと、それなりに悪くはないのかなと思ったりもします。大阪の文化とい
うのも、戦国時代に多国籍の人が集まって商人都市をつくるときに笑いの文化がは
ぐくまれたというバックグラウンドがあるとも聞きます。国連でのユーモアと吉本
のユーモアは、先生から見てどういうところが違っているのか、もしあれば教えて
い た だ き たい と 思 い ます 。
2点目は、ダイバーシティというお話がありました。今まで欧米主導で来ていた
ところがあるのですが、ユーモアについても、これからアジアやイスラム、アフリ
カの人が入ってくることによって、何か変わりそうだなという気がしています。ユ
ーモアの面から変わってきたという傾向みたいなものをもし感じられていれば、
我々が欧米の人をまねてみても、どこか窮屈で肌についていないというか、そうい
う と こ ろ もあ っ て 、 その あ た り を聞 か せ て いた だ け れ ばと 思 い ま す。
石 原 講 師:ち ょ っ と 墓穴 を 掘 っ たよ う な 気 がす る の で すが 。
( 笑 )実 は 私 自 身、吉 本 の お笑
いは好きで、よく見ていますので、決して吉本を批判するつもりはありません。ユ
ーモアの比較については、私は専門ではないので合っているかどうかはわからない
のですが、基本的に国連の会議の場、あるいは外交の場、個人的なつき合いの場で
出すユーモアというのは、表現の仕方とか、いわゆる言葉の遊びの駄じゃれ、ある
いは身ぶり手ぶりではなく、あえて言えば非常に知的な要素なのですね。ユーモア
の背景にあるのは、アメリカであればアメリカの政治や社会などであって、そうい
う も の を 理解 し て い ない と 、 何 がお も し ろ いの だ と い うこ と に な るわ け で す 。
しかも、特に政治的な問題は、先ほど申し上げたように、一歩間違えれば大やけ
どしかねませんので、ユーモアのセンスで表現しつつ、しかし相手を傷つけないよ
うに、地雷を踏まないように表現するのはなかなか難しいのです。ポイントは表現
の 仕 方 よ りも 中 身 で すね 。話 と して 何 が お もし ろ い の か。英 語 で やっ て い ま すか ら 、
日本の駄じゃれ的なものは一切通用しません。吉本のお笑いにも、いわゆる大阪的
なユーモアがあって、関東の人にはなかなかわかりそうにないというものが時々あ
ります。彼らはそれ自体をネタにしていますけれども、そういうカルチュラルな背
景と一体なのです。ですから、一般論で言うのはなかなか難しいのですが、基本的
に は 中 身 がど う お も しろ い か と いう と こ ろ です ね 。そ れが ユ ー モ アで す 。で すか ら 、
非 常 に 知 的な も の だ と思 い ま す 。
多様 性 に つ いて は 、当 然、日 本 に は吉 本 だ け では な く 、落語 の 伝 統 もあ り ま す し、
いろいろなユーモアの伝統があると思います。ほかの国、ほかの文化のユーモアも
あって、ユーモアの多様性が国連の場で出ているかというと、そこまではなかなか
ないと思います。ただ、国連など、いろいろな国の人が集まっている場では、やは
り み ん な が理 解 し て いる こ と で なけ れ ば な かな か 一 緒 に笑 え な い ので す ね 。
ユーモアのバリエーションがどれだけ多彩なコミュニケーション、多彩なカルチ
ャーの中に出てくるかというと、ユーモアというのはある意味、カルチャーの中で
も洗練された部分でもありますので、国連で流通しているユーモアというのはもう
ちょっと表面的かもしれないという気がします。込み入ったユーモアをお互いに理
解できるようになるには、文化的な理解度を相当持っていなければ難しいのではな
いかという気がします。むしろ共通項を探り出して、あえて言えば、多少表面的で
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も共通項で対話し、共通のユーモアでという感じでしょうか。お答えになっていな
い か も し れま せ ん が 。
網代:ありがとうございました。知的なゲームであるというところはすごく共感できまし
た。吉本流、○○流ということではなく、相手を探っていくことが大事だというこ
と に も 共 感で き ま し た。 余 談 に それ て し ま って 、 す み ませ ん で し た。
石 原 講 師 : い え い え 、私 の ほ う こそ 無 責 任 なこ と を 言 って 申 し わ けあ り ま せ ん。
小 山 FD 委 員 長 : あ りが と う ご ざい ま し た 。で は 、 次 に中 鉢 先 生 。
中 鉢 : 情 報ア ー キ テ クチ ャ 専 攻 の中 鉢 と 申 しま す 。 今 日は お も し ろい お 話 を どう も あ り が
とうございました。非常に興味深く聞かせていただきました。私自身の専門は情報
技術ですけれども、現状、産業界において情報技術のエンジニアというのは大学で
情報技術のトレーニングを全く受けていない人が非常に多いんですね。この状況自
体、私は非常に困ったことだと思っています。できれば産業界が、情報技術に限ら
ず、専門職の趣旨をもっと認知してほしいと思っている次第なのですが、先日、大
学 院 説 明 会で お も し ろい こ と が あり ま し た 。
1人の学生が私に質問してきたんですね。まず私から、どうしてこの説明会に来
ら れ た の か と 聞 き ま し た と こ ろ 、「 仕 事 で 修 士 号 が 必 要 な ん で す 」 と 言 う ん で す よ 。
ああ、そうですか、すごいですね、結構ですねと私は思ったんですね。その次に来
たのが、
「そ ち ら の 大学 の 修 士 は海 外 で 通 用し ま す か 」と い う 質 問だ っ た ん です 。い
や、そこまで信用されていないのかなと一瞬へこんだんですけれども、よく聞いて
みますと、彼はドイツの製薬会社と一緒に仕事をしていて、向こうでインフォメー
ションサイエンスのマスターを求めていると。こちらで出すのはインフォメーショ
ンシステムなんだけど、通用するのかという趣旨だったわけです。最初に期待が大
きかったものですから……。もちろんしっかりと説明しまして、通用すると言いま
した。
本当に何の脈絡もない話でしたけれども、まさに専門職大学院の教員としてやら
なければいけないことの認識を新たにした次第です。今日はどうもありがとうござ
い ま し た 。( 笑 )
石原講師:大変興味深いコメントだと思います。私もよく日本の大学院生や学生から相談
を受けて国連などでは修士が必要だということはわかったけれども、やっぱり英米
の大学院に行ったほうがいいのですかと聞かれます。国連機関に関しては、決して
そんなことはないです。修士号を持っているということであれば、それはそれとし
て 評 価 し ても ら え ま す。も ち ろ ん大 学 の 中 で、ハ ー バ ード だ 、オ ック ス フ ォ ード だ 、
ケンブリッジだと世界的に知名度の高い大学はあるのですけれども、それはよく人
に知られているということだけであって、そこを出たからどうだというようなこと
は 決 し て あり ま せ ん 。
逆に言いますと、これまた東京大学ご出身の方は気を悪くなさらないでほしいの
ですが、国連の場で「私はユニバーシティ・オブ・トーキョーだ」と言ったところ
で、東京は日本の首都だから大学の一つぐらいあるでしょうという程度の認識なの
ですね。オーストリアの名門大学はどこかと聞かれたときに、皆さんはすぐに答え
られますか。オーストリアをご存じの方は知っておられるかもしれませんが、その
- 26 -
程 度 の 話 なの で す 。
もちろん、修士に限らず、大学によって違いはあると思いますが、そこまでは気
にしないですね。むしろ先ほどおっしゃったように、どの分野の修士号を持ってい
るのか。その人が修士レベルで勉強してきたこと、そこで身につけた能力が国連機
関の求めている仕事とどうマッチしているか。書類上はマッチしているのだけど、
本当にこの人間は大丈夫なのかということを面接で確認するわけです。そのマッチ
ングが問題なのであって、世界じゅうに大学は何万とあるのでしょうけれども、大
学 名 と い うの は 本 当 に気 に し な いで す ね 。
国連にも、やれハーバードを出たとか、オックスフォードを出たとかということ
を言う人はいます。日本の組織でもそうですが、職場で学歴を気にしているような
人 は 大 体 、仕 事 が で きな い 人 が 多い で す ね 。こ れ が 私 の経 験 則 で す。
小 山 FD 委 員 長 : あ りが と う ご ざい ま し た 。で は 学 長 、ど う ぞ 。
石島学長:おもしろい話の方向に行きそうですけれども、それはそれとして、今、秋入学
という話が、東京大学が言い始めたからかもしれませんけれども、関東の旧帝大を
中心に言われています。国際性との絡みで秋入学が必要なんだと。そこで言ってい
る国際性というのは、優秀な学生を獲得するための一種の仕組みとしてだけ必要だ
と い う よ うに 聞 こ え たり も す る わけ で す 。
もう一つショッキングだったのは、一橋大学は全く新しい方法を考えている。そ
れは、春入学なんだけど、秋まで授業をやらないというものです。実は学部は4年
間 で 構 成 され て い る ので す が 、一 橋 大 学 の 人た ち の 意 見に よ る と 3年 半 で 十 分だ と 。
それもまた変な話だと思っているんですけれども。国際性との絡みで、もちろん方
法論的なことも含めて、秋入学の方向性について、例えば石原先生個人としてはど
うお思いかということと、立命館大学さんとしてどのようなことをお考えなのか、
そ の 辺 を 伺い た い の です が 。
石原講師:私のほうから石島先生のご意見をお伺いしたいぐらいのトピックなのですけれ
ど も( 笑 )。ま ず 私 個人 と し て は、立 命 館 大学 に は 既 に制 度 と し て秋 入 学 と いう も の
があります。これは学部にも大学にもあります。ただ、それは英語基準で、基本的
に留学生を受け入れるためのものであって、日本人の学生はまだ圧倒的に4月入学
です。
今般、いま石島学長がおっしゃったように、東京大学、旧帝大、早稲田、慶應を
中心に出てきた議論というのは、立命館としても検討しなければいけないが、克服
す る の が 難し い 課 題 がい ろ い ろ ある 、 と い う立 場 だ と 思い ま す 。
私も報道の限りでしか知らないのですが、確かに欧米の大学と学期が合えば、学
部の在学生が留学しやすくなるというメリットはあると思います。また、今、学生
が留学をためらっている理由は、どうしても就活に不利になるということがあるわ
けです。外国の大学に行きやすくなる面と、行って帰ってきたときに就活に不利に
ならない。就活の部分は、企業サイドがどういう対応をとってくれるかということ
だ と 思 い ます が 。
ただ、9月入学にしたら、それでいきなり国際性が増すのかというと、恐らくそ
ういうことではないでしょう。ただ、先ほどの話ではないですけれども、学生の移
動、あるいは先生たちの移動、研究者同士の交流で、互換性がスムーズになること
はあるでしょう。しかし、それイコール、すぐに国際性が増すということにはなら
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な い と 思 いま す 。
もう 一 つ は 、私 大 の 場 合は 、 い わ ゆる ギ ャ ッ プタ ー ム ( gap term) で 学 生 が 入っ
てこないときにどうするかということがあります。特に立命館の場合、立命館だけ
ではないのですが、附属高校があるのですね。その場合はどうするのか。うちの場
合、附属高校からそのまま大学に進学してくる学生が多いのですが、その間は単に
身 分 な し で済 む の か 。も っ と 言 いま す と 、多く の 私 大 の場 合 、経 営、財 政 的 な面 で 、
そ の ギ ャ ップ と い う のは 簡 単 な 話で は な い 。
それから、一橋大学は4月に一応入学はさせますと言っているようです。入学さ
せるということは、大学では学生に学籍を与えるということです。学籍を与えるた
めには、授業料を徴収するわけです。皆さんには釈迦に説法だと思いますが、授業
料を徴収すれば当然、それなりの教育を提供しなければいけないわけですね。一橋
大 学 で は 、そ の 間 は 教養 教 育 と かと い う こ とを お っ し ゃっ て い る よう で す け れど も 、
そ れ で は 実態 と し て 9月 に 始 ま ると い う こ とで は な く なっ て し ま いま す ね 。
ですから、小学校を含めて全体が秋入学に変わるのであれば、それはそれでいい
と思いますが、その場合、何か不都合はあるのですかね。政府の会計年度というの
は 別 に 関 係な い と い う気 も し ま すが 。
石島学長:会計年度があったので、4月-3月にしたということですよね。日本も最初は
秋 入 学 だ った 。
石原講師:もともとはそうらしいのですが、それが入学や入社の時期とずれたところで、
そんなに大きな問題にはならないですよね。よくわからないのですが、確かに私学
と し て は 、録 音 さ れ てい る の で 言い に く い ので す が( 笑)、東 大 、幾 つ か の 旧帝 大 並
び に 早 慶 とい う の が 微妙 な 組 み 合わ せ だ な と思 っ た の です が 、早 稲田 、慶 應 は当 然 、
私学連盟としての立場もあるわけですよね。立命館もその一部ですが、いろいろな
大学が抱えている個別の事情、状況を考えますと、一遍に移行するというのはなか
な か 大 変 かな と 思 い ます 。
ただ、9月と4月の両建てとしたときにかかる労力やコストを考えると、それは
それですごいからサステイナブルではないだろう。かといって、大山鳴動してとい
うことになるのだろうかというと、うーんというところもあって、私もちょっとよ
く わ か り ませ ん 。 ぜ ひ教 え て い ただ き た い と思 い ま す 。
石島学長:立命館さんはそんなことはないと思いますけれども、私立大学では財政的に大
変ですよね。つなぎ資金を債券化すればビジネスになるかもしれないという話すら
あ り ま す から ね 。 立 命館 さ ん は 何か 結 論 を お持 ち か な と思 っ た の です が 。
石 原 講 師 : 公 式 に は まだ 結 論 は 出し て い ま せん 。 検 討 しよ う と は 言っ て い ま すけ れ ど も 。
小 山 FD 委 員 長 : あと 数 分 ご ざい ま す け れど も 、 ど なた か い ら っし ゃ い ま すか 。 ― ― よろ
しいですか。では、私からいいでしょうか。私はデザインをやっているんですけれ
ど も 、例 えば ド ラ イ ブス ル ー な ど、大 体 5 年、10 年 お く れ で 欧 米の ト レ ン ドが 日 本
に 入 っ て くる ん で す ね。企 業 も いっ ぱ い 海 外に 出 て い ます が 、海 外の 場 合 は 採用 も 、
アファーマティブ・アクションといって、その地域の住民比率とか、プロモーショ
ンで、自分で勉強して上がっていかなければいけないという動きが最近、随分あっ
て、自分のところではもう教えないと。昔は社内教育で、みんな同じように上げよ
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うと一生懸命やっていたのに、もうやらない、大変だと。伸びる人だけを育てよう
と い う 意 識に な っ て いる ん で す ね。
逆に言うと、こういう専門職大学院で教えないとプロモーションできなくなって
くるのではないかという気がしているのですが、石原先生はどういうお考えをお持
ち で し ょ うか 。
石原講師:ご指摘のとおりで、先ほど申し上げたように、国連も含めた欧米型の組織と日
本型の組織で決定的に違うのは、日本の場合は、まず組織に採用してからトレーニ
ングをして、経験を積ませて育てていこうとするわけです。欧米型は、外で既製品
としてできた人を、人事や財務、あるいはほかの分野、セールスでも広報でもいい
のですが、言葉はちょっと悪いのですけれども、組織にパーツとしてはめて機能さ
せ て い こ うと い う こ とで す の で 、社 内 で 育 てよ う と い う発 想 は あ まり な い の です ね 。
外でそれぞれの能力を身につけてくださいと。したがって、専門職大学院の役割は
非 常 に 大 きい わ け で す。
日本では従来はそうではなかったのですが、今はそれが少し変わろうとしている
ということです。これがどこまで変わるのかということは先生方のほうがよくご存
じだと思いますが、どうなのでしょうか。確かに専門職大学院で学ぶことの意味は
当然あると思いますし、それは個人にとって大事ですが、他方では、そこで学んだ
ことを社会や組織がそれなりに評価してくれる、あるいは学びやすい環境をつくっ
てくれるという条件が整わなければ、キャリアパスとして人の流れを専門職大学へ
導 い て く るこ と は ち ょっ と 難 し いの で は な いか と い う 気が し ま す 。
小 山 FD 委 員 長 : あり が と う ござ い ま す 。数 分 、 時 間が 過 ぎ て しま い ま し たが 、 こ れ で終
わ り た い と思 い ま す 。い ま 一 度 、石 原 先 生 にお 礼 に 拍 手を し た い と思 い ま す 。
(拍手)
どう も あ り がと う ご ざ いま し た 。それ で は 、ここ で 休 憩 に入 り ま す 。予 定 ど お り、
第 2 部 は 16 時 か ら 始 め ま す 。
(休憩)
- 29 -
■石原先生
資料1
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■石原先生
資料2
- 31 -
■ 第 2 部 講 演 テ ー マ 「 AIIT グ ロ ー バ ル コ ー ス が 育 成 を 目 指 す 人 材 像 」
小 山 FD 委 員 長 : 時 間に な り ま した の で 、 第2 部 を 始 め
ま す 。こ れか ら は 前 田先 生 に ご 講演 を い た だき ま
す 。石 原 先生 に は 聞 き手 に 回 っ てい た だ き 、ど ん
ど ん 突 っ 込ん で い た だい て 、お 2人 の 関 係 を暴 き
た い と 思 っ て お り ま す 。( 笑 ) よ ろ し く お 願 い し
ま す 。そ れで は 、第 2部 は 加 藤 先生 に バ ト ンタ ッ
チします。
加 藤 FD 委 員 : で は 、こ こ か ら は私 が 進 行 しま す 。 ま ず
は 前 田 先 生か ら ご 講 演を 45 分 ぐ ら い で お 願い し ま す 。
前田:最初に2点、お断りしておかなければいけないことがあります。第1点は、内輪の
会議ですので、わかりやすいということを主眼に置きました。相当ぶっちゃけた表
現、あられもない表現になっており、言葉が行き過ぎるとは思いますが、そこは大
人 の 対 応 で見 逃 し て くだ さ い と いう お 願 い です 。
第2点は、先ほどの石原先生のご講演で、ハンマーで頭を殴られたような大変な
ショックを受けたことがあります。日本の人材市場がぬるま湯ガラパゴスであるの
に 比 べ て 、国 連 な ど はこ ん な に 厳し い の か と。グ ロ ー バル 人 材 を 育て る と い って も 、
そのギャップがすごく大きくて、どうしたものやらということで完全にショックを
受けて、打ちのめされて、戦意を喪失しております。ボクシングでいうと、タオル
を投げられて、これから控室に帰って休んでいようかという状況で、これからしゃ
べれる状態では到底ないのですが、研究室に帰って寝ていますと言うと怒られます
の で 、始 め さ せ て い ただ き ま す 。
( 以 下 、パ ワ ー ポ イ ント 使 用:50 ペ ー ジ か ら 53 ペ
ージ参照)
タ イ ト ル は「 AIIT グ ロ ー バ ル コー ス の 目 指す も の ― グロ ー バ ル 人材 育 成 の 市場 タ
ー ゲ テ ィ ング 戦 略 ― 」と し ま し た。そ れ は いい ん で す けれ ど も 、そも そ も AIIT グ ロ
ーバルコースとは何かということです。多くの人々にとっては、できたらしいとは
聞いているけど、中身は聞いたことがないと。そもそも前田、おまえは何だ、去年
からうろうろしているのを見ているけど、何しに来ているんだということだと思い
ますので、最初はそもそもグローバルコースとは何かということからお話しして、
そ れ か ら 中身 に 入 っ てい こ う と 思い ま す 。
グローバルコースの経緯としては、本学において国際社会で活躍できる人材を育
成 す る た めの 高 度 専 門的 な 教 育 コー ス と し て、 2011 年 10 月 に 開 設 さ れ た とい う こ
とです。これが、先ほどの講演でとんでもなくハードルが高いということがわかっ
て、戦意が喪失したんですけれども、そういう人材を育成するための高度専門的な
教 育 コ ー スと し て 、 昨年 の 10 月 に 3 Q ( クォ ー タ ) から 始 め て いま す 。
中身としては、うちには情報と創造の両専攻しかありませんので、その学生の中
で、両専攻に加えてグローバルコースの習得を希望する者に対して講義を提供する
ということです。したがって、グローバルコースの講義は、情報・創造両専攻、ど
ちらからとっていただいても結構なんですけれども、情報・創造の専攻にとっては
選択ですが、グローバルコースにとっては必修ですので、とってもらわなければグ
ロ ー バ ル コー ス の 人 とは 認 め な いと い う こ とで す 。
した が っ て 、グ ロ ー バ ルコ ー ス の すべ て の 講 義の 履 修 者 、ま た は 、こ れ は ア ン ド ・
オ ア で す から 両 方 や って い た だ いて も 結 構 です が 、グ ロ ー バ ル コ ース の PBL の 履 修
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者に対して、将来的にはグローバルコースの修了証書でも出したいと思っています
が 、 ま だ 結論 は 出 て おり ま せ ん 。こ れ が グ ロー バ ル コ ース で す 。
それでは、グローバルコースの講義には何があるのか。去年はやらなかったので
す が 、 2012 年 度 、 今 年 の 6 月 から は 2 Q で「 グ ロ ー バル コ ミ ュ ニケ ー シ ョ ン特 論 」
と い う も のを や り ま す。3 Q、4Q は 今 年 度既 に や っ たも の で す が、
「 国 際 開発 特 論 」
と 「 国 際 経営 特 論 」 です 。 そ れ から 、 PBL を 1 本 や りま す 。
さて、ここからです。グローバルコースの目指すものは何か。このハードルが本
当に高いということがわかって打ちひしがれているのですが、要は、せっかくグロ
ーバルコースをつくりますので、学生の方々に国際社会について理解を深めてもら
う、国際社会の雰囲気を知ってもらうという、ぬるいことを言っているようでは専
門職大学院として許されませんので、目標は明確に、卒業生を国際場裡で就職させ
ることとしています。国際場裡で働かせるようにしなければ許されないということ
で 、 目 標 はそ こ に 置 いて あ り ま す。
では、国際場裡で就職させると勢いよく言ってもなかなか難しいので、そのため
には戦略を明確にしなければいけないということで、次のように考えております。
国際場裡といっても山ほどありまして、先ほどのお話の国際連合がそのトップだと
思いますが、とにかく就職先が拡散してしまいますので、どこに就職させたいのか
という就職先をまず明確にターゲティングします。そして、そのターゲットされた
就職先ではどういう資質が求められるかということを分析し、それを身につけさせ
るという方法です。これはグローバルコースにかかわらず、どこでもそういうもの
だ と 思 い ます 。
では、ターゲットは何か。多ければ多いにこしたことはないんですけれども、何
せ教育資源も限られていますので、とりあえずターゲットは二つに置いています。
ターゲット①は、先ほどそう簡単ではないと言われてしまったところですが、開発
援助関係です。具体的にはどういうところかといいますと、まず一つは各国の政府
や 政 府 関 係機 関 で す 。例 え ば 日 本で は JICA で す 。JICA は 日 本 の 機 関 で あ り、東 京
で働くことになるので、それが国際場裡で働いていることになるのかと言われると
あれですけれども、働くとなったら世界じゅうを飛び回りますので、一応これも国
際場裡で働くものだと見ることにします。それから、政府から派遣される専門家に
な っ て 、 世界 じ ゅ う で活 躍 し て いた だ く と いう こ と で す。
そ れ か ら、 注 目 し てい る の は NPO で す 。 NPO に は ア ド ボ カシ ー 系 と 実務 系 が あ
りますが、どちらでも構いません。ご存じだと思いますが、ほかの分野は知りませ
んけれども、開発援助や国際政治系に関しては、なぜか日本はほかの先進国に比べ
て NPO が 弱 体 で す 。先 ほ ど 国 際連 合 で 働 く日 本 人 職 員が 少 な い とい う お 話 もあ り ま
し た が 、 NPO に 至 っ て は 、 そ もそ も 日 本 に存 在 す る NPO 自 体 が 少 な い です 。 そ こ
で働いている人も少ない。ほかの先進国に比べて、けたが違うくらい飛び抜けて少
な い の で 、こ れ は 我 々に と っ て も大 き な タ ーゲ ッ ト だ と考 え て お りま す 。
最後は、国際機関の職員です。国連がトップですよね。あとかっこいいところで
は 、 OECD と か 、 ア ジ ア 開 銀で も い い です し 、 世 界銀 行 な ん て言 う こ と ない で す よ
ね 。 何 で もい い ん で すけ れ ど も 、と に か く 国際 機 関 と いう も の を 考え て お り ます 。
ターゲット②は、ビジネスをやっていただくということです。ビジネスといって
も、アフリカなどはこちらも教える用意がありませんので、アジアにターゲットを
置きまして、アジアでビジネスをする人を育てたい。それは企業に就職していただ
いても結構ですし、これが一番期待するところですけれども、起業、会社を起こし
ていただく。あるいは、コンサルタントとして行っていただく。あるいは、金融の
- 33 -
ことをやっていただく。何でもいいので、とにかくアジアのビジネスで活躍してい
ただきたい。この二つをターゲットに置いて、そういう人材を何とか育てたいと考
え て お り ます 。
それでは、この二つにターゲットを置いた場合、どういう能力を身につけさせれ
ばいいのか。つまり、エンパワーメントということです。これは2種類あると思い
ます。
一つは、先ほど石原先生のレジュメの「3.国際性」のところに書いてあるよう
なことだと思いますが、この分野に携わろうと思えば、だれもが絶対に持っていな
け れ ば い けな い 最 低 限の 能 力 で す。 面 倒 な ので 、 以 下 はこ れ を BA( Basic Ability)
と 略 し ま す。
もう 一 つ は 、BA を 持 っ た 人 が 職 を求 め て 争 うわ け で す が、そ こ で 競争 に 勝 っ てい
た だ か な けれ ば い け ませ ん の で 、そ の た め には き ら り と光 る 、
「 こい つ は す ごい 」と
いうもの。それを経済学や経営学ではコンピテンシーというのですが、うちではそ
れ を 別 の 意味 で 使 っ てい ま す か ら、IQ( Inherent Quality)と 略 し ま す 。要 する に 、
きらっと光る、ほかの競争者が持っていないすぐれた特質ということです。この二
つ を 身 に つけ さ せ る とい う こ と かと 思 い ま す。
で は 、BA に は ど う い う も の があ る か と いう こ と を 順番 に 考 え てい き ま す 。こ れ は
ターゲット①に共通するところで、こうは書いていますけれども、石原先生のレジ
ュ メ で は 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 ( 語 学 力 も 含 む )、 論 理 的 思 考 力 、 行 動 力 で す 。
私 が 言 お うと し た の も、 こ れ と ほぼ 同 じ こ とで す 。
それらは共通ですが、ターゲット①の開発援助に関しては当然、開発援助の基礎
知識を持っていただかなければいけませんし、基礎実務能力も持っていただかなけ
ればいけないことになります。ターゲット②については、ビジネスですから、ビジ
ネスの基礎知識、基礎実務能力を持っていただかなければいけないだろう。最低限
でもこれを持っていないと、そもそも職にアプライできないわけです。逆に、これ
を 持 っ て いた だ く と 職に ア プ ラ イで き る と いう こ と か と思 い ま す 。
このあたりから念入りにお話ししていきたいと思います。パワーポイント4ペー
ジの上の部分については当然教えるわけですが、ここで本学の特色を出すのは難し
いと思います。どこに行くにしてもほぼ同じものを身につけていただかなければい
けないので、どこでも教えることを教えるということですが、本学の特徴を出さな
け れ ば い けま せ ん 。例 え ば 開 発 援助 や ア ジ アで の ビ ジ ネス を や り たい と 思 っ た人 が 、
日本にはあまたの大学や教育機関などがある中、なぜあえて産業技術大学院大学を
選ぶかというと、うちに来たら、よそでは絶対に教えてもらえない、きらっと光る
特質を教えてもらえるからだと。よそでは絶対に無理です、うちに来ないと絶対に
学 べ ま せ んと い う も ので す 。
では、それはどういうものかということです。まずターゲット①と②に共通のも
のとして、この辺は本当にご議論いただきたいのですが、一つ目は、国際関係に関
す る リ ア リス テ ィ ッ ク・ア プ ロ ー チ(( 現 実 論 的 )国 際 関 係 論 )と い う も の です 。例
えば私が国際機関の採用担当者だとしましょう。国際関係で開発援助をやりたいと
い う 人 が 来ま す よ ね 。動 機 は 何 です か と 聞 いた と き に 、
「 何 か よ くわ か ら な いん で す
け ど 、私 は 世 界 の 人 たち と 仲 よ くし た い か ら」と か 、「 世 界 の 人 たち と お 互 いに も っ
とよくわかり合わなきゃいけないじゃないですか」とか、ふわっとしたことを言う
や つ を 採 用す る か 。 それ は 「 は いは い 、 さ よう な ら 」 とい う 感 じ にな り ま す よね 。
一方、本当に国際社会の裏の裏を知り尽くしていて、国際社会とは本当はこうい
う も の だ とい う こ と を知 っ て い れば 、
「 あ っ、オ ト ナ じゃ ん 」と 。要 す る に「コ ド モ 」
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で は な く 、「 オ ト ナ 」を 育 て た いと い う こ とで す 。
オトナとはどういうことかといいますと、アカデミックでは(現実論的)国際関
係論という研究がちゃんとあるんですけれども、要は国際関係の見方の一つです。
例えば日々、大国間で戦争していますと。はっきり言って、すべての世界の国々は
自分の国さえよければよくて、ほかの国はどうなってもいい。自分の国をよくする
ために、隣の国の人間が死のうが、どんなにひどい目に遭わせようが構わない。す
きを見てわなに陥れるとか、そういうことばかりねらって、大国は毎日、にこにこ
笑いながらけんかをしているという認識で見る国際関係論です。テーブルの上でに
こ に こ 笑 って 握 手 を しな が ら 、テ ー ブ ル の 下で は 足 を け飛 ば す の はも ち ろ ん のこ と 、
靴の先に毒針でも仕込んでおいて、ぶすっと刺し殺すぐらいのことをやっている。
こ れ が 国 際関 係 の 本 質だ と 。
よほど小さい国でよほど貧乏なら、そんなにひどいことはせずに許してもらえる
か も し れ ませ ん け れ ども 、日 本 ぐら い の 経 済規 模 で 、これ だ け の 人口 が い る 国で は 、
好むと好まざるにかかわらず、周りを見ると、どこの国とは言いませんが、少しで
も日本をたたきつぶして自分はよくなろうと思っている国がたくさんありますよね。
そ い つ ら との 競 争 に 勝た な い と(い け な い )。ふ わ ふ わし た こ と を言 っ て い ると 負 け
る だ け で す。そ う い う こ と を 骨 の髄 か ら わ かっ て い る 人を 育 て た いと い う こ とで す 。
つ ま り 、性格 の 悪 い やつ を 育 て ると い う 言 い方 に な り ます か ね 。
(笑 )そ う いう 人 を
育 て て 、それ で 働 き たい と 言 っ てく れ る と 、
「 お っ 、こい つ は わ かっ て る な 」と い う
こ と に な って 、 い い ので は な い かと い う こ とで す 。
2番 目 は 、
「近 代 文 明 に対 す る 文 明史 の 視 座 」と 書 き ま した 。情 報 社会 学 な の で す
が、グローバリズムや発展途上国の近代化、新興国が出てくるなど、世の中ではい
ろいろなことがわーっと起きていますよね。それをどう見るかというときに、その
辺の週刊誌を読んで、つけ合わせのことをばらばらと言ってもあれなわけです。そ
こ で 深 く て一 貫 し た 、し っ か り とし た ア カ デミ ッ ク な こと が 言 え れば 、
「 お っ、こ い
つ 、 い い じゃ ん 」 と いう こ と に なる の で は ない か と い うこ と で す 。
情報社会学については、本学のような日本最高の情報系と創造系の教授の方々の
前で情報社会学を語るほど私も愚かではないんですけれども、例えばこういうこと
です。これは情報社会学の基礎的なことですけれども、例えば石原先生も行かれた
カ ン ボ ジ アの PKO と い う の は ナシ ョ ナ ラ イゼ ー シ ョ ン( nationalization)の 過 程 で 、
まだここが終わっていないから、ここを終えてこういうプロセスになろうとしてい
るという順番の話ができる。あるいは、よく言うのは5ページ下から7ページ(本
誌 で は 51 ペ ー ジ から 52 ペ ージ ) に か けて の グ ラ フで す よ ね 。産 業 化 に も三 つ の 波
があって、第一次産業革命、第二次産業革命、第三次産業革命はこんな感じになっ
ていると。この表を頭に入れているだけで、ちょっと小ましなことが言えるのでは
ないか。
よく 言 わ れ るの は 、ブ レジ ネ フ が 1970 年 代 、石 油 シ ョ ック で 西 側 が塗 炭 の 苦 しみ
のときに、
「 資 本 主 義は た そ が れで あ る 。ソ連 は 勝 っ た」と 言 っ たん で す ね 。な ぜ 勝
ったと言ったかというと、そのときに鉄鋼生産高が日本とアメリカを抜いて世界1
位 に な っ たか ら で す 。産 業 と い うの は 鉄 鋼 に尽 き る 、
「鉄 は 国 家 なり 」で 、その 生 産
で 世 界 1 位に な っ た のだ か ら 世 界1 位 ( の 国) に な っ たと 言 っ た わけ で す 。
しか し 、こ の図 式 を 知 って い れ ば 、そ れ は 1970 年 代 の こ と で 、ア メリ カ や 日 本で
は第一次産業革命である鉄鋼生産を一生懸命やるという時代はもう終わっていて、
コンシューマー・グッズ、自動車やテレビなどをつくることが重要な時期に入って
いるわけです。そんなときに鉄鋼生産高が1番になったと威張っても、それは時代
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の 認 識 が 間違 っ て い ると 言 っ て いる と 、 本 当に ソ 連 が つぶ れ て く れる と か 。
あ る い は、情 報 系 の話 で す け れど も 、森 政権 の と きに IT 化 を ど ん ど ん 進め 、日 本
は IT 大 国 に な る と 言っ て い ろ いろ と や っ たん で す け れど も 、そ れは す ぐ れ たコ ン ピ
ュータをたくさんつくりましょうということでした。しかし、コンピュータという
のはコンシューマー・グッズですから、テレビなどと基本は一緒です。そのときに
はアメリカなどは既に第三次産業革命に入っており、私が言うまでもなく、第三次
産業革命の典型はサービス産業や金融産業です。デリバティブなど、金融工学を使
っ た 何 か をア メ リ カは 2000 年 の 時 点 で もう や っ て いた 。そ ん なと き に こ れか ら す ぐ
れたコンピュータをたくさんつくりましょうと言っていたら、時代おくれだと。そ
う い う こ とを ち ら っ と言 え た り する と 、
「 こい つ は な かな か で き る」と い う こと に な
る の で は ない か と い うこ と で す 。
さらに、きらっと光る内容をそれぞれのターゲットについて見ていきますと、こ
れをしっかりと教えたいと思っています。ターゲット①は開発援助ですが、大半の
人々というか、恐らく大学でもそうではないかと思いますが、開発援助については
こう教えるのになれてしまっている人が多いです。先進国は金持ちで、発展途上国
は貧乏でかわいそう。先進国が助けてあげなければいけないから、お金をあげまし
ょ う 。 そ うす れ ば 、 発展 途 上 国 の人 は 大 変 喜ん で く れ ます 。 こ う いう こ と で す。
それはそれで間違いではないのですが、それが当てはまるのは貧困国です。確か
に世界には1日1ドル以下で暮らしている人もまだいますし、本当に貧乏で困って
いる人がたくさんいますから、彼らに対しては社会セクターを中心に、病院をつく
ってあげたり、井戸を掘ってあげたりすれば感謝してくれるので、それはそれで間
違いではないんですね。ただ、それだけで済むかというと、そうではなく、現在は
圧倒的に中進国や新興国が出てきているわけです。中進国や新興国とは、例えばベ
トナムやインド、中国でも何でもいいですけれども、あの辺です。彼らと先進国と
の関係がどうなっているか。そこでは、こちらは金持ち、向こうは貧乏でかわいそ
うだから、金をあげたら喜んでくれるという単純な図式は到底当てはまらないわけ
です。
現実に何が起きているかといいますと、これは私の好きな用語で、いろいろなと
こ ろ で 使 って い る ん です け れ ど も、相 手 が 中進 国 に な ると 、援 助 は金 を 出 す 側の「 土
下座競争」になる。要するに、お金をもらってくださいと言って土下座するわけで
す。これは冗談ではなく、私は経済産業省で援助関係の課長を6年間やりましたけ
れ ど も 、何 を や っ て いる か と い うと 、中 進 国 に 行 っ て 、「 お た く は 地 下 鉄 ○ ○号 線 を
つくるということですが、ついてはお願いですから日本から援助をもらってくださ
い 」と 私 が頭 を 下 げ るん で す ね 。そ う す る と向 こ う か らは 、「 い や ー 、気 持 ちは わ か
るんだけど、ドイツからも言われちゃってるし、フランスからも言われちゃってる
し 」と 言 われ て 、
「 いや い や 、そこ を 何 と か」と 。な ぜそ ん な こ とを す る か とい う と 、
援 助 を も らっ て い た だい て 、 日 本企 業 に 仕 事を 落 と し たい か ら で す。
何が言いたいかといいますと、貧乏な人たちを助けましょうという内容は開発経
済学の基本中の基本ですから、山のような文献がありますし、アカデミックにも山
のような業績があります。これを教える大学は、私が石原先生と知り合った政策研
究大学院大学も開発援助のコースを持っていましたし、立命館は特にアジアのこと
を九州でやられていますが、それはこちらの「貧困削減」が中心ではないかと思い
ます。それは世界じゅうのどこでも教えるといいますか、山のように教えているわ
けです。
一方、土下座競争は、世界で土下座競争がどういうメカニズムで行われており、
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そこで勝つためにどういうことをやっているのか、そして中進国側は先進国をどう
いうわなにはめて土下座をさせているのかということについては、アカデミックな
研 究 は 、 なか な か な いの で は な いか と 思 い ます 。
この研究は世界であまりないと自信を持って言うのは、私はここの大学に来る前
に 、 ワ シ ント ン D.C.の ジ ョ ン ズ・ ホ プ キ ンス SAIS( 高 等 国 際 問題 研 究 大 学院 ) と
ケンブリッジ大学に行って、両方とも援助関係のところに籍を置いて、こういうこ
とをプレゼンテーションしたのですが、みんな聞いたことがないと言うんですね。
ですから多分、研究が進んでいないことは間違いありません。ただ、考えてみます
と 、 援 助 とい う 場 合 、貧 困 国 向 けと 中 進 国 向け の 比 重 はど う か と いう こ と で す。
確かに、今もまだ世界に貧困者はいますが、ものすごい勢いで貧困人口は減って
き て い ま す。 2000 年 に 国 連 が Millennium Development Goals で 2015 年 ま で に 世
界の貧困人口を半減すると言ったのですが、多分実現します。主に中国とインドが
大 き く て 、今 か ら 10 年 後 と か には 、両 方 と も 人 口 の 1~ 2 割 ぐ らい に ま で 落ち る の
ではないでしょうか。要するに、世界から貧困というものがものすごい勢いでなく
な り つ つ ある わ け で す。
一方、貧困を研究する研究者はどんどん山のように生産されていくわけですが、
貧困を脱した中進国向けのことを研究する人は、システマティカルには生産されな
い。
何が言いたいかといいますと、これはニッチだぞと。貧困国向けは、ターゲット
は減るが研究者はふえるので、どんどん競争が激しくなる。中進国向けは、現実に
どんどんふえているが研究者の数は少ないので、これはチャンスだぞと。うちが育
てると、
「君 は そ ん なこ と を 勉 強し て き た のか 。産 業 技術 大 学 院 大学 は そ ん なこ と を
教 え て く れる の か 」 とい う こ と で、 こ れ は いけ る ん じ ゃな い か と 思う ん で す ね。
話の脱線ついでに言いますと、これは文化人類学の状況と同じではないかと思っ
て い ま す 。レ ヴ ィ = スト ロ ー スが 1960 年 代 に 文 化 人類 学 と い うこ と を 言 い出 し て 、
そ れ は お もし ろ そ う だと い う こ とで 、70 年 代 、80 年 代 に 世 界 じゅ う で も のす ご く 優
秀な人間が文化人類学者になりました。しかし文化人類学は、最近ではいろいろな
ことをやっていますが、最初は近代西洋社会と接触していない社会の構造を分析す
る と い う こと だ っ た わけ で す 。 とこ ろ が 1980 年 代 、 90 年 代 、 世界 じ ゅ う に近 代 西
洋 社 会 と 接触 し て い ない 社 会 が どこ に あ る のか 。
「 世 界ウ ル ル ン 滞在 記 」な どの テ レ
ビ番組でも、世界じゅうを必死に探し回ってようやくという感じです。にもかかわ
ら ず 、 研 究者 の 数 は ふえ ま す か ら競 争 が 激 化し た わ け です 。
ちな み に 、1人 当 た り の所 得 が 3000 ド ル ぐ ら い に な る と、先 進 国 に土 下 座 競 争を
さ せ る よ うに な り ま す。と こ ろ が OECD の 定 義 上 、1 人 当 た りの 所 得 が 1万 ド ル に
達するまでは途上国です。中進国や新興国に対して先進国が出す譲許的な資金とい
う の は 全 部開 発 援 助 です か ら 、 ター ゲ ッ ト はど ん ど ん ふえ る と い うこ と で す 。
もう一つ、産業技術大学院大学に来なければ絶対に学べないものとしては、開発
援助とビジネスの連続性、この二つを分けずに教えるということです。反論があれ
ばぜひお伺いしたいのですが、私は埼玉大学と政策研究大学院大学で開発援助のコ
ースの准教授をやっていまして、そこで教えた経験で言いますと、普通、開発援助
は最初から開発援助のコースで教えてしまうわけです。ビジネスのファイナンス、
開 発 フ ァ イナ ン ス は 、経 営 学 や 国際 金 融 論 など 別 の と ころ で 教 え るわ け で す 。
学生も全く違う種類の人間が来ます。開発援助をやろうという人は、世界の貧し
い人たちはかわいそうだから何とかしてあげたいということで、きらきらと目を輝
か せ た 人 が来 る 。ビ ジネ ス の ほ うは 、「 私 は 銀 行 家 に なっ て 、ぼ ろも う け し たい 」と
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いう人が来るわけです。全く違うディシプリンで学んでしまいますから、この二つ
は な か な か話 が 通 じ 合わ な い 。 現在 の 教 育 シス テ ム で はそ う な っ てい る ん で すね 。
ところが、よくよくきちんと調べますと、開発援助とビジネス、商業ファイナン
スが根本的に違うかというと、違わないんです。援助のほうが金利が低く、返済期
間が長いというだけの話で、その中間ゾーンが山ほどあるわけです。ですから、連
続しているんですね。そういうことで、これを徹底的に教えるわけです。発展途上
国のインフラ建設のために巨大な資金を貸し付けますよね。金利がすごく低くて償
還 期 間 が 長 い 場 合 は 、 ODA( 政 府 開 発 援 助 ) だ と 言 わ れ る わ け で す 。 そ こ か ら ち ょ
っと金利と返済期間が上がると、輸出信用というカテゴリーになります。そうなる
と、援助の人たちは「それは私の世界ではない」ということになります。しかし、
差はほとんどなく、重なっている部分があるわけです。さらに金利が高くなると商
業 フ ァ イ ナン ス と い うこ と に な って 、 普 通 のビ ジ ネ ス で教 え る ん です ね 。
し か し 、実 際 の ビ ジネ ス を 見 ます と 、こ こに PPP と 書 い て い ます け れ ど も、こ れ
は Public Private Partnership で 、 政 府 と 民 間 と が一 緒 に な って や る と いう も の で
す 。つ ま り、援 助 と 商業 資 金 の まざ っ た も ので す が 、そこ で は も うご ち ゃ ま ぜで す 。
例 え ば 発 展 途 上 国 の 大 き な 開 発 案 件 で 、 完 全 に 100% 、 開 発 援 助 の フ ァ イ ナ ン ス だ
けでやっているものがあったら見せてくださいといっても、あまりないですよ。必
ず民間のファイナンスや輸出信用など、さまざまなファイナンスの組み合わせにな
っ て い ま す。
従 来 、 開発 援 助 を 開発 援 助 と して 学 ん だ 人間 は ODA の 世 界 し か知 り ま せ んか ら 、
円 借 款 と か世 銀 の 融 資と か 、そ の辺 に は 詳 しく な る の です が 、民 間の 金 融 が 入る と 、
それは別の世界だということで終わってしまうんですね。それを産業技術大学院大
学 で 学 ん でい た だ い て、全 体 の スコ ー プ が 頭に 入 っ て いれ ば 、
「 全体 の フ ァ イナ ン ス
は こ う な って い ま し て、こ の 辺 は ODA、こ の 辺 は 輸出 信 用 、この 辺 は 民 間の フ ァ イ
ナ ン ス で す」な ど と 言う こ と も でき る 。そ うす る と か っこ よ く て 、「 お っ 、こ い つ は
い け る ぞ 」と 思 っ て もら え る の では な い か とい う こ と です 。
また 、最 近 、BOP ビ ジ ネ ス も 出 てき て い ま す。BOP と は Base of the Pyramid の
ことで、世界の貧困層、昔は商売に関係ないと思われていた、1日何ドル以下で暮
ら す 人 た ちで す 。ム ハマ ド・ユ ヌス( Muhammad Yunus)が バ ン グ ラ デ シ ュの グ ラ
ミン銀行でノーベル賞をとって有名になったのですが、ユヌスがやったのは、バン
グ ラ デ シ ュ の 貧 困 層 の 農 民 の 主 婦 の 方 々 に 1 人 20 ド ル と か を 貸 し 付 け た わ け で す
ね。それでビジネスになったわけでしょう。それによって貧困が大いに改善したと
言われているのですが、それはビジネスですよね。しかし、貧困層を減らすという
こ と か ら い う と 、 援 助 を 出 す 以 上 に 開 発 援 助 的 な 効 果 が あ る わ け で す 。 現 在 、 BOP
ビジネスがどうなっているのかなど、その辺について詳しくなっていただくといい
の で は な いか と 思 っ てお り ま す 。
次 に 、 ター ゲ ッ ト ②の ASEAN の ビ ジ ネ ス で す 。こ れ で ど うき ら っ と 光る も の を
出 す か 。まず 第 1 点 は、産 業 技 術大 学 院 大 学で 学 ん で いた だ い た 方々 に は 、現時 点 、
アジアにおいて動いている重要コンセプト、大体の相場観、土地カンを頭に入れて
いただこうということです。アジアでビジネスをしようといっても、何をやってい
い か わ か らな い じ ゃ ない で す か 。ASEAN 等 で は 閣 僚 級な ど い ろ いろ な と こ ろで エ ン
ドースされた重要プロジェクトがありますが、そういうものは生きのよさが勝負で
す。決定されたのが新しければ新しいほど生きがいいわけですが、それは閣僚会議
などをずっとフォローしていないとわからないんですね。やっている大学もあるか
もしれませんけれども、大学で一々国際会議のドキュメントやコミュニケを全部フ
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ォローして、今は何が一番旬かということをフォローしているところはなかなかな
い と 思 い ます 。 そ れ を全 部 教 え る。
あ る い は、ASEAN の 閣 僚 級 のも の で 、公式 に 発 表 され る 以 前 の、現 在 検 討が 進 め
られているという内部情報などを教え込む。例えば今の一番はミャンマーのダウェ
イ 港 開 発 な ど で す が 、「 そ れ を 特 に 注 目 し て い ま す 」 と 言 う と 、「 え っ 、 何 で 君 は そ
れに注目してるんだ」と。要するに、ビジネスをやっている人間の前でこのプロジ
ェ ク ト の 名 前 を 言 う と 、「 あ っ 、 こ い つ 、 わ か っ て る じ ゃ ん 」 と 。 そ し て 、「 何 で 君
は そ れ を 知 っ て る の 」「 産 業 技 術 大 学 院 大 学 で 学 び ま し た 」 と 。( 笑 ) そ う い う も の
を ど ん ど ん教 え 込 も うと い う こ とで す 。
2番目はファイナンスです。今、発展途上国のインフラ開発におけるファイナン
スのつけ方については日進月歩、次から次に新しい仕組みが出てきています。これ
が ゆ え に 、先 ほ ど ODA と い う 概 念 で 切 る のは も う 無 意味 だ と 申 し上 げ た わ けで す 。
例えばそれを最低限、プロジェクトファイナンスとしてとらえる。援助としてとら
えてしまうと、そこで固まって終わってしまいますから、すべてプロジェクトファ
イ ナ ン ス とし て 見 る 。ま た 、 先 ほど 言 い ま した PPP と か 、 証 券 化の 仕 方 も ここ 10
年でものすごく発達しました。やり過ぎて、アメリカでサブプライムがあんなこと
になったということはありますけれども、とにかく証券化の手法はいろいろとあり
ま す か ら 、そ う い う こと も 知 っ てい た だ く 。
それから、ここ数年、私がアメリカにいるときに流行っていて、すごく勉強した
のですが、ニューキャピタリスト、つまり投資家アクティビズムです。少額の投資
し か し て いな い け れ ども 、ネ ッ ト 環 境 な ど を使 っ て ば んば ん 発 言 する こ と に よっ て 、
全体の大きな投資方針に影響を及ぼすというものをニューキャピタリストというの
ですが、そういう最先端のものも学んでいただけばいいのではないかということで
す。
いろいろと偉そうなことを言ってきましたけれども、それをどうやって教えるの
か と い う こと で す 。 これ か ら コ ース と 組 み 合わ せ て 見 てい こ う と 思い ま す 。
まず基本的な能力として、英語力は何とか考えなければいけないのですが、コー
スには含めていません。それから、コミュニケーション力です。石原先生のレジュ
メ に も コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 と あ り ま す が 、「 グ ロ ー バ ル コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 特
論 」と い う、名 前 だ けは ど ん ぴ しゃ の 講 義が 15 コ マ あ り ま す ので 、あ る とこ ろ ま で
は そ れ で やり ま す 。 また 、 PBL で 入 ら れ た方 は PBL で 対 応 す ると い う こ とで す 。
それから、基礎教養や基礎学力です。石原先生のレジュメでは、論理的思考力や
行動力ということでしょうか。これは何か特別にするということはなく、大学院に
い ら っ し ゃっ て い る わけ で す か ら大 丈 夫 か なと 期 待 し たい と こ ろ です 。
ター ゲ ッ ト ①の 開 発 援 助の 基 礎 知 識と 基 礎 実 務能 力 に つ いて は 、「 国際 開 発 特 論」
で対応します。ビジネスのほうは「国際経営特論」で対応しています。おまえ、こ
の前まで政府の官僚をやっていたそうだけど、ビジネスのことをちゃんと教えられ
るのかとご心配でしょうが、ちゃんと外部講師としてプロ中のプロを呼んできて、
既 に ち ゃ んと や っ て もら っ て い ます 。
それから、発達途上国の類型とそれぞれに対する開発援助モダリティの違いにつ
いては、講義で教えていますし、日本政府やいろいろな国際機関でやっている最近
の研究成果が手に入るものですから、それを惜しげもなく出して対応しています。
開発援助とビジネスの連続性については、先ほど言いましたとおり、わらわらとこ
れ を 出 し て対 応 し て おり ま す 。
それから、最先端のファイナンスについてもいろいろと教えています。日本政府
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や国際機関ではいろいろな研究会をやっていますので、その資料もわらわらと出し
ています。
最 後 に 、少 し 時 間 があ り ま す ので 雑 談 め いた 話 を さ せて い た だ きま す 。 去 年の 10
月1日に国際コースを開発援助のほうから始めました。正直申し上げまして、最初
はどうなることかと思いました。うちの大学に情報か創造で入ってきた学生ですか
ら、開発援助を勉強しようと思って来ているわけではありません。最初の講義で、
開発援助で何かをやったことのある人がいるかどうかを聞いたところ、事実上、ほ
と ん ど い ませ ん で し た。ODA と は 何 か を 知っ て い る かと 聞 い て も、だ れ も 知り ま せ
ん で し た 。Official Development Assistance、 政 府 開 発援 助 で す よね 。
どうなることかと思ったのですが、結論を言いますと、私はグローバルコースに
大変期待しております。いけるのではないかという確信を持っております。なぜか
といいますと、学生が極めて優秀だからです。あえて宣伝させていただきますと、
うちの学生は、情報の学生も創造の学生も、開発援助やアジアのビジネスに関して
極 め て 優 秀で す 。
開発援助では、これで採点するからと言って、こういうレポート課題を出しまし
た。世界じゅうのどこでもいいから開発援助案件を一つ選んで、その事業計画書を
出せと。普通は修士論文のテーマです。最初は開発援助について何も知らなかった
人 た ち で すか ら 、 ど うな る こ と かと 思 っ た ので す が 、 まあ 見 て く ださ い 。
例え ば 「 南 アフ リ カ を 拠点 に し た 南部 ア フ リ カに お け る ASEAN 型 自 動 車 国 際生
産 ネ ッ ト ワー ク の 構 築」 と い う こと を 出 し た学 生 は 、「ASEAN 域 内 で 自 動 車の 分 業
構造ができています。それと同じことを、南アフリカを中心としたアフリカ南部で
できないかと思い、そのために必要な開発援助は何かということを考えました」と
言 う わ け です 。 腰 を 抜か し て 驚 きま し た ね 。
そ れ か ら 、「 ス マ ー ト ・ シ テ ィ 構 想 に よ る ジ ャ カ ル タ 交 通 渋 滞 の 解 消 」。 こ れ も お
も し ろ く て、
「 私 は 、発 展 途 上 国の 今 の 問 題は 大 都 市 の都 市 問 題 だと 思 い ま す。特 に
ジ ャ カ ル タを 例 に と りま し た 。ジャ カ ル タ の人 口 は 1000 万 人 で す が 、そ れ をす べ て
同時に助けるのは無理です。したがって、金持ちを数十万人選んで、それだけを助
け よ う と 思い ま す 」 と。
ほかにも、ブータンで一村一品運動をやりたいとか、バングラデシュ政府にたき
つけて、治外法権の租界をつくらせるというものもあります。それから「スワジラ
ン ド HIV 患 者 に 対 する ヤ ギ 供 与」 と い う のも お も し ろく て 、「 私は 、 ス ワ ジラ ン ド
に お い て 若い 女 性 の 何割 か が HIV に 感 染 し て い る こ とが 問 題 で あり 、こ れ を何 と か
し た い と 思い ま す 」と。い い こ とを 言 う じ ゃな い で す か。何 を す るの か と 思 った ら 、
「 彼 女 た ちに ヤ ギ を あげ る と い いと 思 い ま す」と 。ヤ ギ の 乳 が い いそ う な ん です ね 。
あと、アンゴラの資源を証券化して売り飛ばそうと。要するに、国家を証券化して
売 る 方 法 です ね 。
開発援助を勉強してしまった人には、こういう発想は出ないです。開発援助をか
じった人には、こんな自由な発想はできないです。真っさらの状態で来て、開発援
助とはこういうものだと聞いただけで好きなことを考えると、こんなことが考えら
れ る わ け です 。
ついでに、アジアにおけるビジネスプロジェクトの企画立案のほうもご紹介しま
す。こちらでは、こういう課題を出しました。この講義の点数はレポートでつけま
す。何でもいいからアジアのおけるビジネスプロジェクトを一つ考えて、事業計画
書をつくりなさいというのが課題です。これも次から次へといろいろなものが出て
きました。
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ミャンマーのダウェイ港がホットらしいということは講義で言ったんです。そう
すると何人かがミャンマーのダウェイ港を開発したいと言って、例えばアジアハイ
ウェイ構想のネットワークにくっつければいいのではないかと。また、スマート・
グリーン・インフラ構想ということで、野生のトラを保護するというもの。普通、
開発援助には自然を破壊するというイメージがありますが、ミャンマーのダウェイ
港開発では自然と共存し、インフラ開発を一つの文化的な発信として打ち出してい
っ た ら い いと 思 う と か、 い ろ い ろな こ と を 言う ん で す ね。
「カ ン ボ ジ アに お け る ポイ ン ト 制 医療 制 度 」とい う の は 、
「 カ ン ボ ジア の 人 々 は あ
まりにも貧乏なので、まともな医療が受けられなくて、病院に行けば助かる人がた
く さ ん 死 んで い る 。これ は 大 変 問題 な の で 、何 と か し たい と 思 い ます 」、こ こま で は
いいですよね。どうするかというと、娘を国家に売り飛ばして、国家がそれを看護
婦にし、給料は安いけれども看護婦としてずっと働く。親は娘を売り飛ばしたこと
に よ っ て 10 万 ポ イ ン ト と か の ヘル ス ポ イ ント が も ら えて 、そ れ で病 院 に 行 くこ と が
できると。
また、トンレサップ湖の全体を太陽光電池で埋めようとか、先ほど言いましたよ
う に 、ジ ャカ ル タ の 金持 ち だ け を数 十 万 人 選ん で 、夢 のよ う な 都 市を つ く ろ うと か 、
い ろ い ろ なも の が 出 て、 本 当 に 教官 冥 利 に 尽き る と い いま す か 。
打ちひしがれはしましたが、こんな感じでヨチヨチと頑張っておりますので、今
後 と も ご 支援 の ほ ど よろ し く お 願い し ま す 。以 上 で す 。( 拍 手 )
加 藤 FD 委 員 : 前 田先 生 、 非 常に 興 味 深 いお 話 を ど うも あ り が とう ご ざ い まし た 。 学 生が
優秀なのもあると思いますけれども、ここまで引き出せるのはやはり前田先生のお
力 だ と 思 いま し た 。
今回 は あ ま り時 間 が な いの で す が 、こ れ か ら 20 分 程 度 、質 疑 応 答 、あ る い は デ ィ
スカッションしてほしいという項目も幾つかありましたので、その辺をお話しして
いきたいと思います。まずは、質問等がおありだと思いますので、質疑応答をお願
いします。
石島学長:質問ではないのですが、申しわけないんですけれども、表に資料を出すときに
は 若 干 品 のよ い 表 現 にし て い た だけ れ ば 助 かり ま す 。
( 笑 )こ の 大学 は 今 ま で技 術 系
に近いような性格でしたが、こういう視点が入ってくることは大学の守備範囲を非
常に広げてくれると思いますし、学生にとっても、こういう刺激を受けることが…
…。
びっくりするような自由な発想があるというのは、学生は既成概念などにとらわ
れていないからということがあるわけですよね。逆に言えば、こういう思考をする
こと自体、学生にとっても非常にフレッシュだし、刺激になると思います。ぜひう
まく成功させていただきたいと思いますが、土下座何とかという名前は、いかに気
に入っていようと、やはりちょっと気になります。学術用語として穏やかでないも
の は ち ょ っと … … 。(笑 ) 申 し わけ な い ん です け れ ど も、 よ ろ し くお 願 い し ます 。
加 藤 FD 委 員 : ほ か に何 か あ り ませ ん で し ょう か 。
森口:学生さんの発表例がたくさん出てきたというお話は、とてもおもしろかったです。
学生さんが技術的なことを言っていて、中にはロジスティクスとかスマート・グリ
ーン・インフラ構想とか、情報系の学生や技術を持っている学生も自分の得意分野
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を 生 か し てい け る 分 野が あ り 、 私も と て も 勉強 に な り 、非 常 に 興 味深 か っ た です 。
コメントというか質問は、先ほど石島先生がストップをかけられた土下座競争と
いうことにちょっと関連するのですが、私も今までそういう言葉を聞いたことがな
か っ た の で、非 常 に ガツ ン と き たと い う か 、私 に と っ ては と て も 興味 深 か っ たで す 。
それで思い出したのが、最近、少しずつ言われるようになってきた新資源ナショ
ナリズムに代表される、アフリカを一生懸命支援している大国があると。それに比
べて日本の援助は、私たち素人からすると、見返りを求めないのが支援だろうとい
う感覚なのですが、それだけではだめなのではないかということを、新資源ナショ
ナ リ ズ ム とい う 報 道 から 感 じ て いま す 。先 生 も そ う い う立 場 で お 仕事 を さ れ てき て 、
なおかつこれから学生さんに指導されていくと思いますが、支援と国家戦略といい
ま す か 、 自国 の 利 益 との バ ラ ン スに つ い て もう 少 し 詳 しく お 聞 か せく だ さ い 。
前 田 : あ りが と う ご ざい ま す 。 欧米 で 援 助 をや っ て いる NGO や 政 府 の 人が い ま す よね 。
彼 ら 、彼 女た ち ― ― 女性 が 多 い んで す け れ ども 、彼 女 たち と 話 す と、
「 援 助 で自 国 の
資源の確保という汚いことを考えるからだめなんだよ。日本は何を考えてるんだ」
と言われるわけです。実際に日本は援助を自国の経済的利益に使っていると非難さ
れ ま く り です 。 OECD の 場 で 1970 年 以 降 、 ジ ャ パ ン・ バ ッ シ ング の 規 制 が次 々 と
入れられています。私はそれの政府代表をずっとやっていたのですが、今も言われ
続 け て お り、「 日 本 、い い か げ んに し ろ 」 と言 わ れ て いる ん で す ね。
ところが欧米は何をやっているかといいますと、やはり援助で資源をとっている
わけです。結論的には、貧困国向けと中進国向けを区別していないからです。それ
に 尽 き る んで す 。
要す る に 、井戸 を 掘 る とか 、水 と か HIV と か 、い ろ いろ と や り ます よ ね 。それ は
社 会 セ ク タ ー の 協 力 で す 。 こ れ は 援 助 機 関 が 出 て い っ て 、 グ ラ ン ト ( grant)、 た だ
でお金をあげる仕組みでやっているわけです。グラントですから。ここで自国の経
済 的 利 益 を出 す と 、
「お ま え 、何を や っ て るん だ 」と 徹底 的 に 非 難さ れ ま す 。欧 米 は
貧困国向けは完全にきれいにやるんです。一方、中進国向けは民間ファイナンスと
組 み 合 わ せる な ど し て、
「 こ れ は援 助 で は ない 。ビ ジ ネス の 話 だ 」と 言 い な がら 、援
助 の 金 も 大量 に ま ぜ てと っ て い るわ け で す 。
もう 一 つ の 問題 は 、 OECD に は 輸 出 信 用 ア レン ジ メ ン トと い う ル ール が あ り 、各
国はこういう援助はしていい、こういう援助はしてはいけないということが全部決
まっているんです。日本が過去やっていた、円借款で世界のビジネスをとるという
ことは、ほとんど禁止されています。一方、問題になっているのは、いまアフリカ
の 資 源 の お話 が 出 ま した が 、中 国で す 。中 国と イ ン ド です 。あ い つら は OECD で は
な い も の です か ら 、 やり た い 放 題… …
森口:一方でもらいながら、一方では出しているという感覚がありまして、その辺を教え
て い た だ けれ ば と 。
前 田 : も らい な が ら 出す ど こ ろ では な く て 、目 下 の OECD の 最 大 の 問 題 が 中国 対 策 で す 。
中国は援助だと言って金利の安い金を出すんですけれども、そのかわり中国企業に
落とすのは当たり前で、労働者も中国から連れていきますし、中国に援助を頼むと
中国に乗っ取られるという感じです。援助はするけれども、そのかわり資源の権益
の何割をくれということを当たり前のようにやっているわけです。これは我々
OECD の 人 間 に と って は 、 た まっ た も の じゃ な い で すよ ね 。
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日本 は そ れ がや り た く てし よ う が ない ん で す けれ ど も 、それ を 1980 年 代 に や った
が た め に OECD で 規 制 さ れ てし ま っ た わけ で す 。 最初 は 、 中 国を OECD に 加 盟 さ
せ て ル ー ルを 守 ら せ よう と し た んで す よ 。2006 年 に 中 国 の 輸 銀 の総 裁 を 呼 んで 、パ
リ で 大 会 議を や っ た ので す が 、中国 は 日 本 の失 敗 例 を 完璧 に 勉 強 して い ま す 。OECD
の中に入るとたたかれ過ぎてひどい目に遭うということを知っていますから、中国
政 府 の ポ ジシ ョ ン は 、OECD に な ん か 絶 対に 入 る も のか と い う もの で す 。 中国 は 途
上国なのに援助しているのだから、先進国が援助するのとは違うと。だから、中国
に対していかなる国がいかなる規制をかけることも絶対に反対と言って、入らない
わけです。
ところが、つい先週か先々週、アメリカと中国の共同提案、援助の世界に新しい
秩 序 を と 。OECD の ル ー ル は 捨て て 、 中 国や イ ン ド など の 新 興 国を 含 め て 、援 助 の
世界の新しいルールを、アメリカと中国が一緒になってつくろうと言い出したんで
す よ ね 。これ が い わ ゆる G2、ア メ リ カ と 中国 の 2 国 によ る 世 界 支配 の 動 き だと 思 っ
て 、 今 、 注目 し て い ます 。
森 口 : あ りが と う ご ざい ま し た 。
加 藤 FD 委 員 : で は 、ほ か に い かが で し ょ うか 。
川田研究科長:ものすごくわかりやすいんですね。大学院教育で国際化というと、学生の
国際化もあって、今は1割ぐらい中国の留学生も学んでいますよね。今の話は非常
に普遍性があると思っているんです。日本で発生する問題というのは当然、国際社
会のルール、いろいろな仕組みの中で出てきているわけで、それは日本独特の問題
で あ る と 同時 に 、 普 遍的 な 問 題 でも あ る 。 だか ら 、 今の G2 の 話 が 出 て きて い る わ
けです。そういうことを誤解なく留学生にもちゃんと理解してもらえるような内容
に す る と いう こ と に つい て は 、 どう い う お 考え が あ る でし ょ う か 。
前田:中国の人間が目の前にいますから、ものすごく気を使っています。脱線しますけれ
ど も 、援 助の 歴 史 を ずっ と 話 し てい た ん で すよ 。援 助 は賠 償 か ら 始ま っ て い ます が 、
中 国 は 賠 償を 請 求 し なか っ た で しょ う 。そ れが 日 本 に とっ て 助 か った わ け で すよ ね 。
そ う い う 話を し て 、
「中 国 は そ う言 っ て く れた ん で す よね 」と 言 って 、中 国 人の ほ う
を 向 い て にこ っ と 笑 った ら 、
「 先 生 、そ の とき の 中 国 のガ バ メ ン トと 今 の ガ バメ ン ト
は 違 い ま す」 と 。( 笑) そ れ は そう だ と 。
結論としては、私はケンブリッジでものすごく勉強したんですけれども、日本が
直面した問題は、日本が特別な国だったからではなく、新興国たたきです。イギリ
ス的な発想は、世界はすべて女王陛下のものであると。しかし、時々力をつけてき
て、イギリスがつくった国際秩序を壊そうとする不届きなやからがいるということ
で、そいつらのことを徹底的にたたくんですよ。それは新興国たたきであって、ど
んなところが出てきても基本的に同じやり方を、ちょっと変えるだけで使うんです
ね。
私がケンブリッジ、チャタムハウスで特に勉強したのは、冷戦のときです。ソ連
というやつが出てきて、けしからんから、それをたたいたわけですね。それは新興
国たたきなんですよ。ソ連という新興国をたたくときに使った方法のかなりの部分
を ジ ャ パ ン・バ ッ シ ング に 使 っ たん で す 。ソ連 を た た いて 、1991 年 に つ ぶ した と 思
っ た ら 、1990 年 代 に 日 本 が 出 てき て 、あ の調 子 で す から 、こ い つは け し か らん と い
- 43 -
うことで、似たような方法でつぶしたんですね。それでつぶれたじゃないですか。
そ う 思 っ てい た ら 、 今度 は 中 国 が出 て き た わけ で す 。
ソ連 を 相 手 に使 い 、日 本に 使 っ た のと 同 じ よ うな や り 方 を使 っ て い る。で す か ら、
決して日本だけが悪人で特殊なのではなく、新興国たたきの一つのエグザンプルと
い う 見 方 です 。
川 田 研 究 科 長 : よ く わか り ま し た。
加 藤 FD 委 員 : で は 、ほ か に い かが で し ょ うか 。
戸沢:前田先生のお話を伺っていると、いわゆる国益という裏に、日本という国の意識と
国 益 と い う意 識 が す ごく は っ き りし て い て 、そ れ が あ るの か な と いう 感 じ が しま す 。
私 は ず っと IBM に い て 、 IBM は ア メリ カ の 会 社な の で ア メリ カ の 国 益と 無 関 係 で
はないのですが、グローバルでの最適化という意識はちゃんとしているところがあ
ります。グローバルの最適化と国益ということが対立しそうな話をいろいろとされ
ていたのですが、前田先生の立ち位置はどちら側なのかということを知りたいんで
す け れ ど も。
前 田:そ れは 明 確 で 、日 本 の 国 益ば か り を 主張 し て い れば い い わ けで は な く 、か と い っ て、
多国籍企業の企業の論理だけを説明していればいいわけでもなく、すべては重なり
合 っ て い るわ け で す 。パ ワ ー ポ イン ト 7 ペ ージ の 下( 本誌 で は 52 ペ ー ジ )は情 報 社
会学の基本図式ですが、現在起きているさまざまなことは、国家が国際社会で国益
を増大させるためにいろいろとやっていることと、企業が世界市場で利益を増大さ
せるために頑張っていることと、新しい市民が世界市場で自分の発言の説得力を増
大させようとしていること、この三つが重なっているという図式にのっとっていま
す。
私は 20 何 年 、 国 家 公 務員 と し て 奉職 し ま し たの で 、 や はり nation states が 強 い
です。しかし、決してそのほかを無視しているわけではなく、それは併存、共存し
て 動 い て いる も の だ と思 っ て い ます 。
戸沢:私の感覚からすると、相手を説得しようと思ったときには、やはりどこかに立ち位
置をきちんと持っていることが基本ではないかと思うわけです。そこの感じなんで
す け れ ど も。
前田:立ち位置は明らかで、世界全体で協力し合ってよりよい社会をつくろう、でも日本
の国益も大事だというところです。日本の国益を損なってまで、世界の人々のため
に貢献する気はありません。しかし、本来はそういうものではないと思っていて、
国際社会というのは、それぞれの国の人間が自分の国益も増大させたいが、世の中
の人にもよくなってもらいたいと。世界全体をよくすることによって自国もよくな
ろうと思うぐらいのバランス感覚でみんながやることによって、世界がよくなるの
で は な い かと 。 こ れ は個 人 の 感 覚で す け れ ども 。
戸沢:それは理想的ではあるけれども、現実としてはほかの国がよくなってほしいと思っ
て い る 国 はな い と い う認 識 で は ない か と い うお 話 で す よね 。
- 44 -
前 田 : な いと い う か 、そ う い う 見方 も ち ゃ んと 視 野 に 入れ て お け とい う こ と です 。
加 藤 FD 委 員 : で は 、ほ か に い かが で し ょ うか 。
成田:非常におもしろいお話を伺って、言葉遣いも私とよく似ていますので、非常に共感
しました。
( 笑 )前 田先 生 の よ うに 非 常 に 賢い 方 が い らっ し ゃ っ ても 、日 本 がた た か
れ て 、 う まく い か な かっ た と い う理 由 を 教 えて い た だ けれ ば と 思 いま す 。
前田:もっとうまく国際会議で立ち回ればこんなことにはならなかったということです。
別に日本の官僚の能力が低いとは言いませんけれども、国益が左右される国際的な
新ルール、世界の新しいルールを決めるというプロセスに関しては、申しわけない
ですけれども、あまり褒められたものじゃないですね。これは勝手に言っているの
で は な く 、私 は チ ャ タム ハ ウ ス で徹 底 的 に 調べ た ん で すよ 。
チャ タ ム ハ ウス で 何 を やっ た か と いう と 、 先 ほど 言 い ま した よ う に 、OECD で は
何度も援助のルールが入っているのですが、それはすべてジャパン・バッシングな
んですね。日本の援助だけをねらい撃ちにしたルールがどんどん入っているわけで
す。私はその政府代表を何年もやっていて不思議だったのは、よその国はのうのう
と し て い るの に 、 何 で日 本 の 援 助だ け が こ んな に た た かれ る の か とい う こ と です 。
過去、どういうことをやったのかということを日本人に聞いても、自分が悪かっ
た、自分が負けたとは言わないでしょう。ですから、その当時の会議に出たヨーロ
ッパの人間にばーっとインタビューして回ったんです。結論は、日本の交渉のやり
方 が 拙 劣 だっ た と い うこ と で す 。こ れ は 否 定し が た い 。
中国はそれをよく勉強しています。日本は何年の国際会議でこういうばかなこと
を言って、論理を倒されて負けたからあんなことになったと。そういうことを本当
に よ く 勉 強し て い ま すか ら 、 今 の中 国 は 一 筋縄 に は い かな い で す 。
成田:それは何となくわかります。日本の場合、私の非常に限られた経験では、どちらか
というと外にはすごい人を出さないことが多いのかなと思います。それは具体的に
どういうことなのでしょうか。一つか二つ、例を出していただければ非常におもし
ろ い と 思 いま す 。
前田:私はそれを本に書いています。本に書いただけでなく、某民放がおもしろがって、
そ れ を テ レビ の ド キ ュメ ン タ リ ーに し ち ゃ いま し た 。何で し た ら その DVD を お 貸 し
し ま す 。それ は 1987 年 に 日 本 の援 助 だ け を禁 止 す る ルー ル が 入 った ん で す ね。そ れ
は な ぜ か と い う こ と を 調 べ た わ け で す 。 そ れ が 「 敗 北 外 交 」(「 敗 北 外 交 ― あ る 異 端
官 僚 の 逆 襲― 」)と い う タ イ ト ルで テ レ ビ の番 組 に な って し ま っ て、私 が 知 らな い う
ち に 放 映 され て 、 ど えら い こ と にな っ て し まっ た ん で すけ れ ど も 。
要するに、世界の国々が、日本が援助を使ってプロジェクトをとるのはけしから
んと言ったわけです。特にイギリスが言いました。そのときに彼らはどのように言
ってきたかといいますと、ちょっと複雑な話になるんですけれども、当時、日本は
低金利で、ヨーロッパ諸国は高金利でした。それまでは低金利国も高金利国も同じ
規制になっていたのですが、それは不平等だろう、各国の金利に合わせてやるべき
だと言ったわけです。ところが、それは低金利国である日本だけが不利になる仕組
みだった。
それに反論するためには、低金利国と高金利国を区別せずに、同じルールで規制
- 45 -
することが正しいと言わなければいけないわけです。これが先ほど石原先生がおっ
しゃった、国際社会の論理です。しかし、日本政府の人間はそういうことを言いま
せんでした。日本の援助は発展途上国の人々に喜ばれているからいいんだと言った
わけです。
もう少し詳しく言いますと、ボスポラス海峡の第2大橋というものを日本とイギ
リスで争った。結局、日本が日本企業とトルコ企業にしか落とせない仕組みで援助
を 出 し た ため に 、イ ギリ ス 企 業 が排 除 さ れ て、サ ッ チ ャー 首 相 が もの す ご く 怒っ て 、
サッチャー首相が根回しして新しいルールが決まったわけです。それが今言ったこ
とです。
そのときに日本が何を言ったかというと、日本の援助によって、普通の国際競争
入札だったら受注することができなかっただろうトルコ企業も受注でき、普通だっ
たら成長しないはずのトルコ企業も成長できたので、発展途上国のためになってい
ると。それは火に油を注ぎますよね。言われた論理に反論するのではなく、かえっ
て 火 に 油 を注 ぐ よ う なこ と を 言 って し ま っ たの が 敗 因 です 。
成 田 : わ かり ま し た 。
加 藤 FD 委 員 : 懇 親 会の 時 間 に でも ぜ ひ ( お話 く だ さ い)。
前 田 : そ の本 を お 渡 しし ま す 。(笑 )
加 藤 FD 委 員:で は 、残 り 時 間 が少 な く な って き て し まっ た の で すが 、せ っ かく で す か ら、
石 原 先 生 から コ メ ン ト等 は あ り ます で し ょ うか 。
石 原 講 師:前 田 先 生 の構 想 で 、産業 技 術 大 学院 大 学 で この コ ー ス を展 開 し て いた だ け れ ば、
それこそハーバード、ケンブリッジに匹敵するカリキュラムができるし、すばらし
い 人 材 が 輩出 さ れ る ので は な い かと 期 待 し てお り ま す 。
前田 先 生 の おっ し ゃ る こと は 、国 連の 場 、あ るい は 国 際 機関 、国 際 交渉 の 場 で も、
大ざっぱな言い方をすると、常識的な、リアリズムの側面があることは間違いない
のですが、特に学生がほわほわとコドモの思いで期待しているものと、オトナの関
係でリアリズムの中で展開しているものとは違うので、オトナを育てるということ
は、ある意味ではそのとおりですし、特に日本人はその辺でちょっとナイーブな面
が あ り ま すの で 、 そ の重 要 性 は 非常 に 大 き いと 思 い ま す。
ただ、国際関係というのは言うまでもなくいろいろな側面があって、世界の人と
仲よくしたいという側面もあるんですね。それをオトナの関係の中でどう実現して
いくかということが非常に重要です。オトナの関係、打算と策略だけで割り切って
しまえば、それで世界がうまくいくのかというと、決してそうではないところもあ
りますし、先ほど前田先生が言われた、国益と国際社会、いわば広い意味での公益
の 関 係 で すよ ね 。
まず国益というのはだれが定義するのかといいますと、もちろん政府が定義する
国益というものがあると思いますが、今の民主的な市民社会の中では必ずしも政府
だけが国益の定義の主体ではない。同時に、国益も国際社会の利益と調和する形で
追 求 さ れ るべ き で あ る。 こ れ は Enlightened National Interest( 啓 蒙 さ れ た国 益 主
義)という言い方をされているのですが、そういうものにも配慮しなければ自分た
ち の 国 益 自体 も 結 局 は損 な わ れ てし ま う 。
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その辺のバランスをどうとっていくかという中で、したたかなリアリズム、リア
ルなセンスというものを、ぜひ学生諸君に教育していただければいいのではないか
と い う 気 がし て お り ます 。 コ メ ント で す 。
加 藤 FD 委 員 : そ れ に対 し て 、 前田 先 生 は 何か あ り ま すか 。
前 田:要 する に 、
「 スー パ ー オ トナ 」を 育 てる と い う こと で す ね 。わ か り ま した 。お っ し ゃ
る と お り です 。
■フォーラムまとめ
加 藤 FD 委 員:そ れ では 、ま だ まだ 質 疑 等 はあ る か と 思い ま す が 、そ ろ そ ろ 時間 で す の で、
フォーラムのまとめに入りたいと思います。今まではアクションプランをつくって
いたのですが、今回は特にそういうものはなく、全体的にこういう話があったとい
う こ と を ざっ く り と まと め ま し た。
( 以 下 、 パワ ー ポ イ ント 使 用 : 54 ペ ー ジ 参 照 )
まず第1部では、石原先生から「専門職大学院が育成すべき国際的な人材像」と
いうことで、そもそも職業としての国際的人材像の具体例として国際公務員がどう
いうものかというお話をしていただきました。その中で私が特に感じたのは、専門
職大学院の役割が結構大きいのかなということです。専門職として国際的な仕事に
つくときには、専門職としての役割が非常に重要であり、語学力はもちろん必要で
すが、学位とともに、それがちゃんとできるということの裏づけとなる実務経験に
よって専門性が証明され、それによって国際機関における仕事が成り立っていくと
言 わ れ て いた と 思 い ます 。
その中で、専門職の基準としての学位、国際的な専門職大学院がふえている。日
本ではまだまだ位置づけが明確でなく、社会での評価が十分でない部分もあるので
すが、今後、私たちの努力によって、より重要な役割になっていくのではないかと
い う お 話 があ っ た と 思い ま す 。
国際性ということでは、他文化の背景の想像力が非常に重要なので、そういう特
性 も 身 に つけ て い く 必要 が あ る とい う こ と でし た 。
討議の中で出たのは、ざっとこういうことだと思います。上の二つは質問に対す
る答えです。組織内で共有している倫理規程があるか、教育研修が行われているか
ということです。一番のポイントは修士号の評価ということで、どの分野の修士号
を持っているか、その専門性が求められている仕事とマッチしているか、さらにそ
の学位に見合った能力があるかということが評価されるということですので、私た
ちとしてはこの辺を考慮しながら教育していくのがいいのではないかと思いました。
また、最近は企業内での教育がなかなか行われなくなってきており、外部で学ぶ
ことの意味が大きくなってきていることから、専門職教育の重要性が高くなってき
ているというお話を最後にまとめとしていただきました。今日のフォーラムの意図
に 非 常 に 合っ た 結 論 にな っ て い るの で は な いか と 感 じ まし た 。
第2部は、本学におけるグローバルコースについてです。グローバルコースは秋
に で き た ので す が 、こ れ ま で 前 田先 生 に お 話を 伺 っ た こと が あ り ませ ん で し たの で 、
非常に楽しく興味深いお話が聞けたと思います。目的としては国際社会で活躍でき
る人材を育成したいということで、具体的にどういうことを教育しているのか、ど
ういうことを目的に教育しているのか、あるいはコースの組み立てなどについてご
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紹 介 し て いた だ き ま した 。
討論では、お話の内容が興味深かったので、教育というテーマからは少し外れた
お話が多かったのですが、最後に、グローバルとしての最適化と国益の対立という
ことでは、世界全体をよくすることによって国益も上げるということを考えながら
教育しているということがありました。また、留学生が非常にふえてきていますか
ら、日本が直面している問題を普遍的な問題として定義し直すことができ、それを
教育していくことによってグローバル化につながっていき、教育の内容が発展して
い く と い うこ と が ま とめ に な る ので は な い かと 思 い ま す。
私か ら の 本 日の ま と め は以 上 で す 。
■閉会あいさつ
加 藤 FD 委 員 : 最 後 に閉 会 の あ いさ つ 、 川 田研 究 科 長 より コ メ ン トを お 願 い しま す 。
川田研究科長:非常にうまくまとめていただき、ありがとうございます。非常にいい振り
返 り に な りま し た 。
今日は石原先生には貴重な時間を割いていただきまして、ありがとうございまし
た 。ふ だ んの FD の 会 合 で は 絶 対に 話 題 に なら な い よ うな こ と を 聞か せ て い ただ き 、
非常によかったと思います。前田先生とご関係もあったということで、和やかな雰
囲 気 も あ った よ う な 気が し ま す 。( 笑 )
石 原 講 師 : そ こ は 前 田先 生 の 貢 献で ご ざ い ます 。( 笑 )
川田研究科長:今、まとめにありましたように、専門職の人材育成のための大学院を持っ
ていて、今日のディスカッションにありました、大学院の説明会に来た学生からの
「ここの修士は世界で通用するのか」という質問も、専門職学位だからこそ、学位
にインフォメーションシステムなどの名称がつくんですね。一般の大学の学位は、
ド ク タ ー も Ph.D.の よ う な も の で 、「 博 士 ( ○ ○ )」 で あ っ て 博 士 1 本 だ し 、 修 士 も
修士1本です。専門職大学院だけが分野を決めた学位を出せますので、むしろ国際
性 が あ る のは こ ち ら だと 堂 々 と 説明 会 で も 言っ て い け るわ け で す 。
また、コミュニケーションについても随分話題になり、その中では吉本の話も出
ました。私も大阪生まれの大阪育ちですから一言かんでおきたかったのですが、そ
れ は 別 の 機会 に し た いと 思 い ま す。
( 笑 )ただ 、コ ミ ュニ ケ ー シ ョン と は 、皆さ ん ご
存じのように、もともとはコミュニティとか、それこそ共産主義のコミュニズムも
そ う で す が、コ モ ン(common:分 か ち 合 う)が 語 源 であ っ て 、ただ 自 分 の 情報 を 伝
えたい、相手を説得しようとするというのは決してコミュニケーションではないわ
けです。分かち合う状況になれば、ユーモアというのはおのずと理解されるわけで
すね。
大阪でしか理解されないというのは、そこにコミュニティがあって、ある種の笑
いの文化があるし、私が東京に来たころには江戸前の落語というものが理解できま
せ ん で し た。こ ち ら に 20 年 以 上 住 ん で いる 中 で 、笑え る よ う にな っ て き た。そ れ が
まさにコミュニケーションだと思います。ですから、分かち合うという意味でのコ
ミュニケーションというものを今日、いろいろな意味で再確認できたのではないか
と 思 い ま す。
それから、前田先生の国際コースのお話ですが、中身は本当に的を射ていると思
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います。もし追加するとすれば、前田先生にお願いするのではないのですが、歴史
に 関 す る 教育 が 要 る ので は な い かと 思 い ま した 。
ご存 じ の 方 も多 い と 思 いま す が 、東ア ジ ア の 歴史 に 関 し ては 、東 大 出の 、ま だ 32
歳ぐらいの若い学者の『中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史』という本
がベストセラーになっています。それを読んでみますと、昔、内藤湖南が言ってい
たのと同じようなことなんです。要は、日本の歴史は応仁の乱以降だけを見ればわ
かる。つまり、応仁の乱以前の日本は外国と同じであり、我々日本人にも理解でき
な い と い うこ と で す 。
もう一つは、世界の統治機構の流れを見るのであれば、中国では宋の時代が転換
期だった。日本は遣唐使を送って唐を学んだけれども、それはあるシステムを入れ
ただけであって、統治システムとしては宋だと。今、大河ドラマで平家の話をやっ
ていますけれども、平氏は宋の統治機構をまねて、自分たちが支配するための仕組
みをつくろうとしたんだけど、結局、負けたために、源氏が今の日本のような統治
機 構 に し てし ま っ た と。 そ う い う見 方 も あ るわ け で す 。
そういう視点も、前田先生の国際的なお話と、もう一つは、非常に長い人間の歴
史がありますので、そういうものもあわせて学ぶようなチャンスがあれば非常にい
い の で は ない か と 思 いま し た 。
今日 は 今 ま でに な い FD フ ォ ー ラ ム に な りま し た 。 これ は 講 師 の先 生 方 の おか げ
と、会場の皆さんのディスカッションによるものだと思います。どうもありがとう
ご ざ い ま した 。( 拍 手)
小 山 FD 委 員 長 : あり が と う ござ い ま し た。 こ れ で 滞り な く FD フ ォ ー ラ ム が 終 わり ま し
た 。 最 後 に、 私 が こ れを 委 員 長 とし て FD レ ポ ー ト にま と め る とき に は 、 前田 先 生
の お 話 に は随 分 赤 ペ ンを 入 れ な けれ ば い け ない と 心 配 して お り ま す。
( 笑 )ま た そ の
節 は よ ろ しく お 願 い しま す 。
そういう冗談で締めますけれども、今日はご出席をありがとうございました。本
当 に 忌 憚 のな い 、い いデ ィ ス カ ッシ ョ ン が でき た と 思 いま す 。こ れで 第 11 回 FD フ
ォ ー ラ ム をク ロ ー ズ させ て い た だき ま す 。 あり が と う ござ い ま し た。( 拍 手 )
(了)
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■前田先生資料
1. AIITグローバル・コース
AIITグローバル・コースの目指すもの
:グローバル人材育成の市場ターゲティング戦略
1. 経緯
: AIITにおける 、 国際社会で 活躍でき る 人材を 育成する ための
高度専門的な教育コ ースと し て、 2011年10月に( 3 Q) 開設。
2 . 概要
: 情報、 創造両専攻の学生のう ち 、 各専攻「 に加えて」 グロ ーバル・
コ ースの習得を 希望する 者に対し て、 高度専門講義を 提供。
( グロ ーバル・ コ ースの高度専門講義は、 情報、 創造の両専攻
においては「 選択」 である も のの、 グロ ーバル・ コ ースにと っ ては
「 必修」 と なる 。 )
: グロ ーバル・ コ ースの全ての高度専門講義の履修者、 ま たは
グロ ーバル・ コ ースのPBLの履修者に対し て、
「 グロ ーバル・ コ ース修了証書」 を 付与する こ と を 検討。
2012年2月23日
AIIT FDフォーラム
前田充浩
1. AIITグローバル・コース
2. 基本戦略
グロ ーバル・ コ ースの目指すも の
: 卒業生を 、 国際場裡で就職さ せる こ と 。
そのためには?
①就職先を 明確にタ ーゲテ ィ ン グする こ と
( タ ーゲテ ィ ン グ)
②タ ーゲテ ィ ン グさ れた就職先において求めら れる 資質を
明ら かにし 、 それを 確実に身に付けさ せる こ と
( エン パワーメ ン ト )
3 . グロ ーバル・ コ ースの高度専門講義
①グロ ーバル・ コ ミ ュ ニケーシ ョ ン 特論( 2 Q)
②国際開発特論( 3 Q)
③国際経営特論( 4 Q)
④AIITグロ ーバル・ コ ース PBL
タ ーゲッ ト が多いと ただでさ え少ない教育資源が分散する ので、
当面、 タ ーゲッ ト は2 つ。
すなわち . . .
3. ターゲティング
4. エンパワーメント
タ ーゲッ ト ①
: 開発援助
・ 各国政府・ 政府関係機関の開発援助政策・ 実務担当者
・ 政府から 派遣さ れる 専門家
・ NPO( ア ド ボカ シ ー系、 実務系)
・ 国際機関職員
エ ン パワーメ ン ト と は. . .
: タ ーゲッ ト 先でグロ ーバル・ コ ース履修者が示すこ と のでき る 、
要求さ れる 必須能力( BA: Basic Ability) 、
及びラ イ バルを 超克する 高い能力( *) を 付与する こ と 。
タ ーゲッ ト ②
: ア ジ ア ・ ビ ジ ネス
・ 就職
・ 起業
・ コ ン サルタ ン ト
・ 金融
*経済学で言う competency。
こ こ では、 IQ( Inherent Quality) 。
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4. エンパワーメント
4. エンパワーメント
BA: Basic Ability
( タ ーゲッ ト ①②共通)
・ 英語力
・ コ ミ ュ ニケーシ ョ ン 力
・ 基礎教養・ 基礎学力
IQ: Inherent Quality
( タ ーゲッ ト ①②共通)
・ 国際関係に関する リ ア リ ステ ィ ッ ク ・ ア プ ロ ーチ
( ( 現実論的) 国際関係論)
→「 世界の人達と 仲良く し たい!」 式のほわっ と し た戯言を 言う 「 コ ド モ」 ではなく 、
「 現実が良く 分かっ ている 人間」 、 「 オト ナ」 を 育てる 。
タ ーゲッ ト ①
・ 開発援助の基礎知識
・ 開発援助の基礎実務能力
( 現実論的) 国際関係論
・ 国際社会と は、 全ての大国が、 隙あら ばラ イ バル国を 罠に嵌め、 蹴落と し て、
自国の国益を 増大さ せよ う と 虎視眈々と 狙っ ている 「 生き 馬の目を 抜く 」 戦場である
こ と を 骨の髄ま で思い知る 。
→戯言で ほわっ と し て、 日々展開さ れる 戦争を 不戦敗、 敗戦し 続ければ、 徹底的に
むし ら れ、 国益が大き く 損なわれる 。
タ ーゲッ ト ②
・ ビ ジ ネスの基礎知識
・ ビ ジ ネスの基礎実務能力
info-socionomics
4. エンパワーメント
-modernization
informatization
IQ: Inherent Quality
( タ ーゲッ ト ①②共通)
modernization
・ 近代文明に対する 文明史の視座
( 情報社会学)
industrialization
→現下のグロ ーバリ ズム、 発展途上国の近代化の方向性等について、 「 思い付き 」
と かジ ャ ーナリ ステ ィ ッ ク な流行ではなく 、 確かなア カ デミ ッ ク 基盤に則っ た
冷徹な視座を 持つ人間を 育てる 。
nationalization
1550
Emergence
1750
Break-
1950
2150
maturation
through
info-socionomics
info-socionomics
-industrialization
-industrial revolution 3 : information-communication
Industrial revolution 3
Maturation:virtual reality
Information-communication
Industrial revolution 3
industrialization
Industrial revolution 2
Break-through:ICT industry
consumption
Industrial revolution 1
Emergence:computer industry
production
1750
Emergence
1850
Break-
1950
2050
maturation
1950
through
Emergence
2000
Breakthrough
- 51 -
2050
2100
maturation
global
intelspace
info-socionomics
Field -informatization
(non-subjective system)
world
market
Information revolution 3
International
society
informatization
empowered
citizens
Information revolution 2
industrial
enterprises
Information revolution 1
Player
(subjective system) nation states
1950
Emergence
2050
Break-
2150
2250
maturation
17c
through
> 18c > 19c > 20c > 21c
4. エンパワーメント
4. エンパワーメント
IQ: Inherent Quality
タ ーゲッ ト ①
IQ: Inherent Quality
タ ーゲッ ト ②
・ 発展途上国の類型と それぞれに対する 開発援助モ ダリ テ ィ の違い
・ 現時点における 重要プ ロ ジ ェ ク ト
→貧困国向け社会セク タ ー中心の「 貧困削減」
中進国向けの経済セク タ ーにおける 「 土下座競争」 etc.
→ASEAN等において閣僚級でエ ン ド ースさ れている /さ れる 予定のプ ロ ジ ェ ク ト
・ 最先端のフ ァ イ ナン ス
・ 開発援助と ビ ジ ネスの連続性
→プ ロ ジ ェ ク ト ・ フ ァ イ ナン ス
PPP
証券化
ニュ ー・ キャ ピ タ リ スト ( ア ク テ ィ ヴィ ズム)
→融資における 譲許性基準( ODAと 商業フ ァ イ ナン スの連続性)
BOPビ ジ ネス
PPP
5. コースの組み立て
5. コースの組み立て
BA: Basic Ability
BA: Basic Ability
( タ ーゲッ ト ①②共通)
タ ーゲッ ト ①
・ 開発援助の基礎知識
→国際開発特論( 3 Q)の講義で対応
・ 英語力の教育
→含めない
・ 開発援助の基礎実務能力
→国際開発特論( 3 Q)の研究発表・ レ ポート で対応
・ コ ミ ュ ニケーシ ョ ン 力
→グロ ーバル・ コ ミ ュ ニケーシ ョ ン 特論( 2 Q)で対応
→PBLで対応
タ ーゲッ ト ②
・ ビ ジ ネスの基礎知識
→国際経営特論( 4 Q)の講義( 外部講師) で対応
・ 基礎教養・ 基礎学力
→大学院なので大丈夫( ?)
・ ビ ジ ネスの基礎実務能力
→国際経営特論( 4 Q)の研究発表・ レ ポート で対応
- 52 -
5. コースの組み立て
5. コースの組み立て
IQ: Inherent Quality
タ ーゲッ ト ①
IQ: Inherent Quality
タ ーゲッ ト ②
・ 発展途上国の類型と それぞれに対する 開発援助モ ダリ テ ィ の違い
・ 現時点における 重要プ ロ ジ ェ ク ト
→貧困国向け社会セク タ ー中心の「 貧困削減」
中進国向けの経済セク タ ーにおける 「 土下座競争」 etc.
→ASEAN等において閣僚級でエ ン ド ースさ れている /さ れる 予定のプ ロ ジ ェ ク ト
→国際開発特論( 3 Q)の講義で対応
→国際経営特論( 4 Q)の講義で対応
( 日本政府・ 国際機関の直近の研究成果)
( 国際機関と 連携: ERIA/ASEAN Comprehensive Asian Development Plan)
・ 最先端のフ ァ イ ナン ス
・ 開発援助と ビ ジ ネスの連続性
→融資における 譲許性基準( ODAと 商業フ ァ イ ナン スの連続性)
BOPビ ジ ネス
PPP
→プ ロ ジ ェ ク ト ・ フ ァ イ ナン ス
PPP
証券化
ニュ ー・ キャ ピ タ リ スト ( ア ク テ ィ ヴィ ズム)
→国際開発特論( 3 Q)の講義で対応
→国際経営特論( 4 Q)の講義で対応
( 日本政府・ 国際機関の直近の研究成果)
( 日本政府・ 国際機関の直近の研究成果)
6. FY2011の研究発表(例)
6. FY2011の研究発表(例)
国際開発
: 開発援助プ ロ ジ ェ ク ト の企画立案
国際経営
: アジ ア における ビ ジ ネス・ プ ロ ジ ェ ク ト の企画立案
・ 南ア フ リ カ を 拠点にし た南部ア フ リ カ における ASEAN型自動車国際生産ネッ ト ワーク
の構築
・ スマート ・ シ テ ィ 構想によ る ジ ャ カ ルタ 交通渋滞の解消
・ ブ ータ ン における 一村一品運動
・ バン グラ デシ ュ における 日本企業特区
・ スワジ ラ ン ド HIV患者に対する やぎ供与
・ ア ン ゴ ラ 資源の証券化
など など
・ ミ ャ ン マー・ ダウェ イ 港開発( ア ジ ア・ ハイ ウェ イ と の連結、 自然保護中心の
スマート ・ グリ ーン ・ イ ン フ ラ 構想、 マルチモ ーダル・ ロ ジ ステ ィ ク ス)
・ カ ン ボジ ア における ポイ ン ト 制医療制度
・ ト ン レ サッ プ 湖太陽光発電
・ ジ ャ カ ルタ 富裕者向け特区における 下水道処理
・ ミ ャ ン マー光フ ァ イ バー網
・ イ ン ド 客車権利の証券化
など など
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■加藤先生資料<まとめ>
第1 部
• 育成すべき 国際的人材像
– 職業と し ての国際公務員
• 国際機関の事務局で仕事を し ている 人間
• 資格: 語学力+専門性( 学位+実務経験)
• 専門職と し て就職( 職場の互換性)
FD フォーラムまとめ
– 専門職大学院の役割
産業技術大学院大学
FD 委 員 会
• 専門性の基準と し ての学位
• 国際的には専門職の大学院は増えている
• 日本社会における 位置付け, 社会側の評価
– 国際性: 他文化の背景への想像力
2 0 1 2 /0 2 /2 3
第1 部
• 討議その1
– 組織内で共有し ている 倫理規程:
存在し ない, プ ロ フ ェ ッ シ ョ ナルコ ミ ュ ニテ ィ ー毎
に存在, 専門家の集団である ため
– 組織内での教育, 研修等:
原則なし , 広い意味での教養教育が前提
– ユーモ ア の種類, 背景:
教養がベースにある . 表現の仕方よ り も 中身が重要
– 修士号の評価:
ど の分野の修士号を 持っ ている か, その専門性が求
めら れている 仕事と マッ チし ている か, その学位に
見合っ た能力がある か
産業技術大学院大学FDフ ォ ーラ ム
– 秋入学と 国際化:
留学生受け入れ, 日本人学生の留学を 促す, 学生・
教員のモ ビ リ テ ィ 向上を 促す, ただし 直接国際化に
は結びつかないのでは
– 専門職大学院での学び:
企業内での教育を 行わなく なっ てき ている , 専門職
教育の重要性
3
2 0 1 2 /0 2 /2 3
第2 部
4
• 討議その2
– 全体に対する コ メ ン ト :
大学の守備範囲が広がっ ている , 学生にも 刺激になっ
ている
– 日本における 開発援助のあり 方:
援助で資源を 取る , 社会セク タ ーの援助と 経済セク
タ ーの援助の区別
– 学生の国際化, 留学生への教育:
日本が直面し た問題は新興国に対する 普遍的な問題
– グロ ーバルと し ての最適化と 国益の対立:
企業が世界市場での利益を 最大化する /国益
世界全体を 良く する こ と によ っ て, 国益も 上げる
– AI I Tグロ ーバルコ ース
• 国際社会で活躍でき る 人材を 育成
• 修了生を 国際場裡で就職さ せる こ と が目標
• 就職先: 開発援助, NPO, 国際機関, ビ ジ ネス
– エ ン パワーメ ン ト
• BA: 職にア プ ラ イ でき る 能力, 他でも 教えている
• I Q: キラ っ と 光る 特質, 本学でし か学べないも の
現実論的国際関係論, 情報社会学
– コ ースの組み立て
産業技術大学院大学FDフ ォ ーラ ム
産業技術大学院大学FDフ ォ ーラ ム
第2 部
• 本学が育成を 目指す人材像
2 0 1 2 /0 2 /2 3
2
第1 部
• 討議その1
2 0 1 2 /0 2 /2 3
産業技術大学院大学FDフ ォ ーラ ム
5
2 0 1 2 /0 2 /2 3
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産業技術大学院大学FDフ ォ ーラ ム
6
2011 年度後期「学生による授業評価」
結果の概要報告
- 55 -
- 56 -
2011 年度後期「学生による授業評価」結果の概要報告
FD 委 員 会 委 員
成田
雅彦
2011年 度 第 3ク ォ ー タ ・ 第 4 ク ォ ー タ 「 学 生 に よ る 授 業 評 価 ア ン ケ ー ト 」 の 結 果 を 以 下 に
ま と め る 。前 回 に 引 き続 き 、1年次 の 授 業 評価 に 加 え 、2年 次 の 情報 シ ス テ ム学 特 別 演 習お よ
び 創 造 技 術特 別 演 習 につ い て も 授業 評 価 の 結果 を 提 示 して い る 。
2010年 度 か ら 、 授 業評 価 ア ン ケー ト の オ ンラ イ ン 化 を実 施 し て いる が 、 2011年 度 第 2ク ォ
ー タ か ら は、PBL科 目 を 含 め 全 ての 科 目 が オン ラ イ ン 化さ れ た 。PBL科 目 に つ い て は 、本 号
で は 情 報 アー キ テ ク チャ 専 攻 の 情報 シ ス テ ム学 特 別 演 習IIが 、創 造 技 術 専 攻 の創 造 技 術 特別
演 習 IIIが調 査 対 象 であ る 。
授業評価のオンライン化により、アンケートに回答する学生の利便性が向上し、データ
解析が効率化され、アンケートの実施期間、内容を柔軟に設定できる等の効果がある。一
方、回収率のリマインダメールを送付しているが、アンケートの回答率が低下する傾向が
み ら れ た ので 、 2011 年 度 第 1 クォ ー タ ・第 2 ク ォー タ で は 期限 前 に 4 回リ マ イ ン ダメ ー
ルの送付を行った。しかしながら、回答率の向上に改善には至っていないだけでなく、試
験期間中に頻繁にくるリマインドメールが煩わしいなど学生から指摘を受けた。この解決
の た め に 、第 3 ク ォ ータ ・ 第 4 ク ォ ー タ 期限 前 に 1 度だ け リ マ イン ド メ ー ルを 送 付 す る事
とした。結果、リマインダメールの回数は、アンケートの回収率のへ変化の要因とは言い
難い。今後、授業期間中のアンケートの実施、質問内容の検討、記名式(今まで無記名方
式であった)の有効性の検討など、回収率の向上と、オンライン化の特徴を生かしたより
効 果 的 で 有効 な ア ン ケー ト の 実 施方 法 を 検 討し て い く 。
1. ア ン ケ ー ト 調 査 の 方 法
ア ン ケ ー トの 調 査 項 目は 、過 去 のデ ー タ と の比 較 が で きる よ う に 、従 来 と 同 様の 項 目 を
用 い た 、 具体 的 な 評 価項 目 に つ いて は 2 章 で 説 明 す る。 学 生 授 業評 価 シ ス テム で は 、 シス
テ ム に ア クセ ス す る ため の URL と 回 答 期 限を 各 学 生 にメ ー ル で 通知 す る 。学生 は 、メ ー ル
に 書 か れ た手 順 に 従 い、 Web ブ ラ ウ ザ 経 由で ア ン ケ ート シ ス テ ムに ア ク セ スし 、 回 答 を入
力する。学生にとってアンケートへの回答は任意であるが、回答率を上げるために、1回
の リ マ イ ンダ メ ー ル を送 っ て い る。
PBL は 各 教 員 が 提 示し た テ ー マを 選 択 し た学 生 が 、少人 数( 5 名程 度 )で チー ム を 構 成
し、共同作業として行っている。そのため本来はチーム毎に評価を行うべきであるが、匿
名 性 が 守 ら れ な い 可 能 性 を 考 慮 し 、 全 教 員 分 を ま と め た 評 価 と し て い る 。 そ の た め , PBL
科 目 に 対 する ア ク シ ョン プ ラ ン は専 攻 ご と に作 成 し て いる 。
2. ア ン ケ ー ト の 内 容
ア ン ケ ー トの 質 問 項 目は 、一 般 講義 科 目 、情報 シ ス テ ム学 特 別 演 習/ 創 造 技 術特 別 演 習
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( PBL)と も に 前 回 と同 一 の 項 目で あ る 。それ ぞ れ の 項目 に つ い て、
「 1:全 くそ う 思 わ
な い 」 か ら「 5: 強 くそ う 思 う 」ま で の 5 段 階 評 価 で答 え る 部 分と 、 文 章 で自 由 に 記 述
す る 部 分 とで 構 成 さ れて い る 。自由 記 述 項 目に つ い て は、① こ の 授業 を よ り 良く す る た
め の 提 案 ②こ の 授 業 で特 に 良 か った 点 、他 の授 業 で も 取り 入 れ て 欲し い 点 な ど③ そ の 他 、
授 業 、カ リキ ュ ラ ム など に つ い て、の 3 項 目 を 用 意 し た。以 下 に 、一 般 講 義 科目 の 調 査
項 目 と 情 報シ ス テ ム 学特 別 演 習 /創 造 技 術 特別 演 習 の 調査 項 目 を それ ぞ れ 示 す。
□一般講義科目の調査項目
【 学 生 の 授業 に 対 す る取 組 に つ いて 】
問 1 こ の 授 業 への 出 席 率 は?
問 2 私 は 、 こ の授 業 に 意 欲的 ・ 積 極 的に 取 り 組 んだ 。
問 3 私 は 、 こ の授 業 を 適 切に 、 客 観 的に 評 価 す る自 信 が あ る。
【 授 業 に つい て 】
問 4 こ の 授 業 は、 目 的 が 明確 で 、 体 系的 に な さ れて い た 。
問 5 教 科 書 、 レジ ュ メ 、 黒板 、 PC、 ビ デ オ 等 の使 用 が 授 業の 理 解 に 役立 っ た 。
問 6 教 員 の 話 し方 は 聞 き 取り や す か った 。
問 7 教 員 は 、 果的 に 学 生 の授 業 参 加 (質 問 , 意 見等 ) を 促 して い た 。
問 8 教 員 は 、 学生 の 質 問 、意 見 等 に 対し 、 明 快 にわ か り や すく 対 応 し てい た 。
問 9 授 業 に 対 する 教 員 の 熱意 が 感 じ られ た 。
問 10 こ の 授 業 の選 択 に 当 たっ て シ ラ バス が 役 立 った 。
問 11 こ の 授 業 のテ ー マ は 自分 の 関 心 にあ っ て い た。
問 12 授 業 内 容 の難 易 度 は 、シ ラ バ ス から 読 み 取 れる 難 易 度 と比 較 し て 適切 で あ っ た。
【 授 業 に つい て の 満 足度 】
問 13 私 は 、 こ の授 業 を 受 講し て 満 足 した 。
問 14 私 は 、 こ の授 業 を 受 講し て 、 よ り興 味 を 持 ち、 深 く 学 びた い と 感 じた 。
問 15 私 は 、 こ の授 業 の 受 講を 他 の 人 に薦 め た い 。
□情報システム学特別演習/創造技術特別演習の調査項目
【 学 生 の 授業 に 対 す る取 組 に つ いて 】
問 1 コ ア タ イ ムに 参 加 し た時 間
週 ×時 間
問 2 コ ア タ イ ム以 外 で の 学習 時 間
問 3 私 は 、 こ の授 業 に 意 欲的 ・ 積 極 的に 取 り 組 んだ 。
問 4 私 は 、 こ の授 業 を 適 切に 、 客 観 的に 評 価 す る自 信 が あ る。
【 授 業 に つい て 】
問 5 10 個 の テ ー マ 設 定 ・内 容 は 適 切で あ っ た 。
問 6 チ ー ム の 決め 方 は 適 切で あ っ た 。
問 7 運 営 方 法 は適 切 で あ った 。
問 8 授 業 を 行 う環 境 は 十 分で あ っ た (部 屋 、 机 、PC、 サ ー バ 等 )。
問 9 プ ロ ジ ェ クト の 選 択 に当 た っ て PBL プ ロ ジ ェ ク ト 説 明書 が 役 に 立っ た 。
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【 授 業 に つい て の 満 足度 】
問 10
私 は 、 この 授 業 を 受講 し て 満 足し た 。
問 11
私 は 、 この 授 業 を 受講 し て 、 より 興 味 を 持ち 、 深 く 学び た い と 感じ た 。
問 12
私 は 、 この 授 業 の 受講 を 他 の 人に 薦 め た い。
3. ア ン ケ ー ト 結 果 / 回 収 さ れ た 調 査 票 の 扱 い と フ ィ ー ド バ ッ ク
学 生 授 業 評価 シ ス テ ムで は 、ア ンケ ー ト 結 果は 授 業 ご とに 集 計 さ れ、総 評 と とも に 閲 覧
が 可 能 で ある( 結 果 の表 示 例 に つい て は 別 添資 料 3 を 参 照 )。原 則と し て 専 任教 員 の 授 業 に
関 し て は 、全 教 員 に 結果 を 配 布 しお 互 い の 結果 を 共 有 する 方 針 が とら れ て い る。各 教 員 は、
ア ン ケ ー トの 結 果 を もと に 、次 回に 活 か す ため の ア ク ショ ン プ ラ ンを 作 成 し 、FD フ ォ ー ラ
ム な ど で 改善 方 法 な どを 議 論 す る。す ぐ に 対応 が 取 れ る改 善 項 目 につ い て は 、教 員 ご と に、
あ る い は FD 委 員 会 や 事 務 局 に おい て 、逐 次改 善 を 実 施し 学 生 に フィ ー ド バ ック し て い る。
4. 調 査 結 果 の 分 析
本稿に続いて、アンケート調査の結果をグラフ形式で掲載している。具体的な評価結果
についてはそちらを参照して頂きたい。また、個々の講義別の分析結果については、それ
ぞれの教員のアクションプランに詳述されている。ここでは、総合的な観点から、調査結
果 を 分 析 する 。
まず、最初のグラフは、クォータごとに各項目の評価点を加重平均して、年度ごとにま
とめたものである(前期と後期では講義科目が異なるため、年度ごとに前期の結果を比較
し て い る )。 両 専 攻 と も 、「 難 易 度 」 の 項 目 に お い て 評 点 が 低 く な っ て い る が 、 こ れ は 他 の
項 目 と 評 点の 付 け 方 が異 な る た めで あ る 。 難易 度 が 適 切で あ る と 評点 は 3 に な り 、 3 に 近
い ほ ど 良 い評 価 を 意 味し 、2009 年 度 ま で と計 算 方 法 が異 な っ て いる の で 注 意し て 頂 き たい 。
情 報 ア ー キテ ク チ ャ 専攻 で は 、 全体 的 に 4 点 前 後 の 評点 で あ り 、初 期 の 2006 年 度 、 2007
年 度 に 比 べか な り 向 上し 、 こ こ 4 年 を 見 る と 安 定 し てい る 。 こ れは , 授 業 評価 と ア ク ショ
ン プ ラ ン の作 成 に よる FD 活 動 が 、 教 育の 質 の 向 上に 効 果 を あげ 、 定 着 しつ つ あ る こと を
示していると言える詳細に見ると昨年度に比べ、全体的に若干評点が上がっている。前者
は 、2012 年 度 向 け に記 載 項 目 を改 善 し た 。後 者 は 、ばら つ き あ るい は 、年 度ご と の 学 生の
違 い と 推 測さ れ る 。
創 造 技 術 専攻 に つ い ては 、前 年 度に 比 べ ほ ぼ同 じ 4 点 強 の 値 で あ る。
「 シ ラ バス 」に つ い
て は 、 昨 年に 比 べ て 大き く 改 善 した 。
情 報 シ ス テム 学 特 別 演習( PBL)に つ い て は、全 体 的に 4 点 前 後 の 評 点 で 、2010 年 度 に
比 べ て 評 点 が 全 体 的 に 向 上 し て い る 。 と く に 「 満 足 度 」「 興 味 」「 推 薦 度 」 に つ い て は 高 得
点 で あ り 、学 生 の PBL に 対 す る 積 極 性 と 成果 の 高 さ が分 か る 。「説 明 書 」 につ い て は 相対
的 に 低 く なっ て い る ので 、次 年 度に 向 け に 取り 組 み を 検討 す る 時 期か も 知 れ ない 。ま た 、
「演
習 環 境 」「 運 営 」「 チ ー ム 決 定 」 は 相 対 的 に 低 い 値 を 付 け て い る の で 、 施 設 や 、 ツ ー ル の 改
善 の 余 地 があ る と 思 われ る し 、「チ ー ム 決 定」 の 方 式 変更 は 第 1 ク ォ ー タ ・第 2 ク ォ ー タ
に 引 き 続 き、 昨 年 度 に比 べ て 改 善さ れ て い るが 、 ま だ 改善 の 余 地 はあ る 。
創 造 技 術 特別 演 習( PBL)に つ い て は 、「チ ー ム 決 定」「 演 習 環境 」「 運 営方 法 」「 説明 書 」
等 の 評 点 が 低 く 、「 チ ー ム 決 定 」 を 除 く と 、 2010 年 度 と 比 較 し て 評 点 が 下 が っ て い る 。 演
習 環 境 は 2.64 点 と 第 1 ク ォ ー タ ・ 第 2 ク ォ ー タに 比 べ て も低 い 値 に なっ て い る ので 、 改
- 59 -
善 が 必 要 と言 え る 。学生 は 積 極 的に PBL 活 動 に 関 わ り満 足 度 も 高い の で 、こう し た 改 善に
よ り 満 足 度の 向 上 が 得ら れ る と 思わ れ る 。
追記――事務局より
第 3 ク ォ ータ の ア ン ケー ト 中 、
(教 員 に 対 する 意 見 で はな く )事 務局 へ 、① シラ バ ス の 誤
表 記 、② 教 材 の 入 手 に関 す る 手 違い の 2 点 につ い て 指 摘が あ っ た 。① に つ い ては 、Web 上 で
の転記ミスが原因で発生した。現在、複数の画面で別々に作成しているので、今後はリン
クによって同一の画面に導くことにより、作成作業を一元化するという対策を講じ、既に
改善した。
②については、関連する(委託業者職員の)講義支援スタッフと教材の配布について従
前 以 上 に ルー ル 化 を 図り 、 連 絡 等の 不 備 の ない よ う に 徹底 し た 。
- 60 -
分析グラフ
XX ペ ー ジ か ら XX ペ ー ジ の グ ラフ と 表 は ,XX ペ ー ジ , XX ペ ー ジ に 示 し たア ン ケ ー ト
の 回 答 を 以下 の 通 り 数値 化 し , 平均 値 を グ ラフ 化 し た もの で あ る .
「 5: 強 くそ う 思 う 」 「 4: そう 思 う 」 「 3: ど ちら と も 言 えな い 」
「 2: そ う思 わ な い 」 「 1: 全く そ う 思 わな い 」
【 情 報 ア ー キ テ ク チ ャ 専 攻 (後 期 )】
設問
出席率
意欲的
適切評価
目的明確
教科書等 話し方
学生参加
質疑応答
教員熱意
シラバス
テーマ関心 難易度
満足度
興味
推薦度
2006年度
後 期
4.74
4.35
4.13
3.97
3.75
3.97
3.82
3.92
4.07
3.59
3.59
3.60
4.00
4.13
2007年度
後 期
4.71
4.28
4.12
4.14
3.97
4.09
3.93
4.07
4.17
3.79
3.79
3.61
3.97
4.07
3.82
2008年度
後 期
4.61
4.19
4.12
4.24
4.12
4.14
4.11
4.16
4.35
3.97
4.14
3.58
4.11
4.20
3.96
2009年度
後 期
4.79
4.42
4.28
4.36
4.20
4.25
4.18
4.23
4.36
4.10
4.26
3.40
4.12
4.30
4.05
2010年度
後 期
4.56
4.07
3.98
4.12
4.00
3.94
3.92
3.97
4.13
3.92
4.11
2.54
4.07
4.17
3.88
2011年度
後 期
4.52
4.26
4.19
4.15
4.06
4.05
4.05
4.10
4.19
3.93
4.30
2.58
4.18
4.22
3.98
後期学生授業評価 平均値(2006年度~2011年度)
5.0 4.9 4.8 4.7 4.6 4.5 4.4 4.3 4.2 4.1 4.0 3.9 3.8 3.7 3.6 3.5 3.4 3.3 3.2 3.1 3.0 2.9 2.8 2.7 2.6 2.5 2.4 2.3 2.2 2.1 2.0 2006年度
後
期
2007年度
後
期
2008年度
後
期
2009年度
後
期
2010年度
後
期
2011年度
後
期
- 61 -
【 創 造 技 術 専 攻 (後 期 )】
設問
出席率
意欲的
適切評価 目的明確 教科書等 話し方
学生参加 質疑応答 教員熱意 シラバス
テーマ関心難易度
満足度
興味
推薦度
2008年度
後 期
4.62
4.32
4.27
4.37
4.27
4.51
4.37
4.42
4.48
4.03
4.25
3.37
4.18
4.20
4.12
2009年度
後 期
4.73
4.44
4.20
4.34
4.29
4.49
4.46
4.48
4.55
3.90
4.31
3.38
4.35
4.30
4.20
2010年度
後 期
4.62
4.34
4.18
4.26
4.20
4.33
4.33
4.28
4.39
3.92
4.28
2.66
4.24
4.28
4.16
2011年度
後 期
4.77
4.27
4.10
4.23
4.20
4.30
4.32
4.25
4.40
4.10
4.28
2.61
4.24
4.24
4.09
後期学生授業評価 平均値(2008年度~2011年度)
5.0 4.9 4.8 4.7 4.6 4.5 4.4 4.3 4.2 4.1 4.0 3.9 3.8 3.7 3.6 3.5 3.4 3.3 3.2 3.1 3.0 2.9 2.8 2.7 2.6 2.5 2.4 2.3 2.2 2.1 2.0 2008年度
後
期
2009年度
後
期
2010年度
後
期
2011年度
後
期
- 62 -
【情報アーキテクチャ専攻
設問
意欲的
適切評価
( PBL-情 報 シ ス テ ム 学 特 別 演 習 Ⅱ )】
テーマ設定 チーム決定 運営方法
演習環境
説明書
満足度
興味
推薦度
2007年度
後 期
4.35
3.95
3.50
3.55
3.25
3.2
3.55
4.25
4.05
3.90
2008年度
後 期
4.56
4.54
3.06
3.18
3.39
4.05
3.08
4.16
3.60
3.51
2009年度
後 期
4.71
4.41
3.35
3.59
3.35
3.12
3.59
4.41
4.12
4.18
2010年度
後 期
4.73
4.50
3.24
3.51
3.45
3.41
3.39
4.44
4.25
4.08
2011年度
後 期
4.54
4.24
4.00
3.97
3.81
3.81
3.65
4.41
4.49
4.35
後期学生授業評価 平均値(PBL:2007年度~2011年度)
5.0 4.9 4.8 4.7 4.6 4.5 4.4 4.3 4.2 4.1 4.0 3.9 3.8 3.7 3.6 3.5 3.4 3.3 3.2 3.1 3.0 2.9 2.8 2.7 2.6 2.5 2.4 2.3 2.2 2.1 2.0 1.9 1.8 1.7 1.6 1.5 2007年度
後
期
2008年度
後
期
2009年度
後
期
2010年度
後
期
2011年度
後
期
- 63 -
【 創 造 技 術 専 攻 ( PBL- 創 造 技 術 特 別 演 習 Ⅲ )】
設問
意欲的
適切評価
テーマ設定
チーム決定 運営方法
演習環境
説明書
満足度
興味
推薦度
2009年度後期
4.60
4.50
3.40
3.20
3.60
3.70
3.50
4.10
3.80
3.80
2010年度後期
4.65
4.59
3.48
3.26
3.55
3.81
3.44
4.22
4.04
3.91
2011年度後期
4.64
4.64
3.77
3.59
3.23
2.64
3.36
4.05
4.09
4.05
後期学生授業評価平均値 (PBL:2009年度~2011年度)
5.0 4.9 4.8 4.7 4.6 4.5 4.4 4.3 4.2 4.1 4.0 3.9 3.8 3.7 3.6 3.5 3.4 3.3 3.2 3.1 3.0 2.9 2.8 2.7 2.6 2.5 2.4 2.3 2.2 2.1 2.0 1.9 1.8 1.7 1.6 1.5 2009年度後期
2010年度後期
2011年度後期
- 64 -
別 添 資 料 1(「学 生 による授 業 評 価 」アンケート 見 本 )
※学 生 は以 下 のような web 画 面 にて、
アンケートに回 答 します。
学生による授業評価
【授業に対 するあなたの取り組みについて】
(1) この授 業 への出 席 率 は?
0-29%
30-49%
50-69%
70-89%
90%以上
(2) 私 は、この授 業 に意 欲 的 ・積 極 的 に取 り組 んだ。
全くそう思 わない
そう思わない
どちらとも言 えない
そう思 う
強くそう思 う
そう思 う
強くそう思 う
そう思 う
強くそう思 う
(3) 私 は、この授 業 を適 切 に、客 観 的 に評 価 する自 信 がある。
全くそう思 わない
そう思わない
どちらとも言 えない
【授業について】
(4) この授 業 は、目 的 が明 確 で、体 系 的 になされていた。
全くそう思 わない
そう思わない
どちらとも言 えない
(5) 教 科 書 、レジュメ、黒 板 、PC、ビデオ等 の使 用 が授 業 の理 解 に役 立 った。
全くそう思 わない
そう思わない
どちらとも言 えない
そう思 う
強くそう思 う
どちらとも言 えない
そう思 う
強くそう思 う
(6) 教 員 の話 し方 は聞 き取 りやすかった。
全くそう思 わない
そう思わない
(7) 教 員 は、効 果 的 に学 生 の授 業 参 加 (質 問 、意 見 等 )を促 していた。
- 65 -
全くそう思 わない
そう思わない
どちらとも言 えない
そう思 う
強くそう思 う
(8) 教 員 は、学 生 の質 問 、意 見 等 に対 し、明 快 にわかりやすく対 応 していた。
全くそう思 わない
そう思わない
どちらとも言 えない
そう思 う
強くそう思 う
そう思 う
強くそう思 う
そう思 う
強くそう思 う
そう思 う
強くそう思 う
(9) 授 業 に対 する教 員 の熱 意 が感 じられた。
全くそう思 わない
そう思わない
どちらとも言 えない
(10) この授 業 の選 択 に当 たってシラバスが役 に立 った。
全くそう思 わない
そう思わない
どちらとも言 えない
(11) この授 業 のテーマは自 分 の関 心 にあっていた。
全くそう思 わない
そう思わない
どちらとも言 えない
(12) 授 業 内 容 の難 易 度 は、シラバスから読 み取 れる難 易 度 と比 較 して適 切 であった。
易しすぎる
やや易 しい
適 切である
やや難 しい
難しすぎる
【授業についての満足度】
(13) 私 は、この授 業 を受 講 して満 足 した。
全くそう思 わない
そう思わない
どちらとも言 えない
そう思 う
強くそう思 う
(14) 私 は、この授 業 を受 講 して、より興 味 を持 ち、深 く学 びたいと感 じた。
全くそう思 わない
そう思わない
どちらとも言 えない
そう思 う
強くそう思 う
そう思 う
強くそう思 う
(15) 私 は、この授 業 の受 講 を他 の人 に薦 めたい。
全くそう思 わない
そう思わない
どちらとも言 えない
- 66 -
下記(16)~(18)へ 記述してください。
(16) この授 業 をより良 くするための提 案 を記 述 してください。
(17) この授 業 で特 に良 かった点 、他 の授 業 でも取 り入 れて欲 しい点 などを記 述 して下 さい。
(18) その他 、授 業 、カリキュラムなどについて、自 由 に記 述 して下 さい。
- 67 -
別 添 資 料 2(「学 生 による授 業 評 価 」アンケート 見 本 )
※学 生 は以 下 のような web 画 面 にて、
アンケートに回 答 します。
学生による授業評価(2 年用=PBL について)
【授業に対 するあなたの取り組みについて】
(1) コアタイムに参 加 した時 間 (1週 間 あたりの時 間 )
2時 間 以 下
2~3時間 以 下
3~4時 間以 下
4~5時 間 以 下
5時 間 以 上
3~4時 間以 下
4~5時 間 以 下
5時 間 以 上
(2) コアタイム以 外 での学 習 時 間
2時 間 以 下
2~3時間 以 下
(3) 私 は、この授 業 に意 欲 的 ・積 極 的 に取 り組 んだ。
全くそう思 わない
そう思わない
どちらとも言 えない
そう思 う
強くそう思 う
そう思 う
強くそう思 う
どちらとも言 えない
そう思 う
強くそう思 う
どちらとも言 えない
そう思 う
強くそう思 う
どちらとも言 えない
そう思 う
強くそう思 う
(4) 私 は、この授 業 を適 切 に、客 観 的 に評 価 する自 信 がある。
全くそう思 わない
そう思わない
どちらとも言 えない
授 業 について
(5) 10個 のテーマ設 定 ・内 容 は適 切 であった。
全くそう思 わない
そう思わない
(6) チームの決 め方 は適 切 であった。
全くそう思 わない
そう思わない
(7) 運 営 方 法 は適 切 であった。
全くそう思 わない
そう思わない
- 68 -
(8) 授 業 を行 う環 境 は十 分 であった(部 屋 、机 、PC、サーバ等 )。
全くそう思 わない
そう思わない
どちらとも言 えない
そう思 う
強くそう思 う
(9) プロジェクトの選 択 に当 たってPBLプロジェクト説 明 書 が役 に立 った。
全くそう思 わない
そう思わない
どちらとも言 えない
そう思 う
強くそう思 う
どちらとも言 えない
そう思 う
強くそう思 う
授業についての満足度
(10) 私 は、この授 業 を受 講 して満 足 した。
全くそう思 わない
そう思わない
(11) 私 は、この授 業 を受 講 して、より興 味 を持 ち、深 く学 びたいと感 じた。
全くそう思 わない
そう思わない
どちらとも言 えない
そう思 う
強くそう思 う
そう思 う
強くそう思 う
(12) 私 は、この授 業 の受 講 を他 の人 に薦 めたい。
全くそう思 わない
そう思わない
どちらとも言 えない
下記(13)~(15)へ 記述してください。
(13) この授 業 をより良 くするための提 案 を記 述 してください。
(14) この授 業 で特 に良 かった点 、他 の授 業 でも取 り入 れて欲 しい点 などを記 述 して下 さい。
- 69 -
(15) その他 、授 業 、カリキュラムなどについて、自 由 に記 述 して下 さい。
- 70 -
別 添 資 料 3 (「授 業 評 価 」集 計 結 果 の表 示 見 本 )
※授 業 評 価 は以 下 のような形 で集 計 され、
教 員 にフィードバックされます。
産業技術大学院大学 FD 委員会 アンケート管理
回答 期間
2012 年 2 月 13 日 ~2012 年 2 月 20 日
科 目 名 インダストリアル・デザイン特 別 演 習 Ⅳ
年 度 ・学 期 2011 年 度 ・第 4 クォータ
学部学科
創 造技 術 専 攻
教
小山 登
員
履修者数
19
総
前 年度 と比 較し、「教 科 書等」「話 し方」の値 が上 がっています。特 に、「シラバス」の値
が大 幅 に上 がっています。
評
「適 切評 価」「目 的明 確」「教 科書 等」「質 疑応 答」「難 易度」「推 薦度」はまだ改善 できる
余 地があります。
回答数
11 件
1
2
3
4
5
Q.1 出 席 率
0
0
0
3
8
Q.2 意 欲 的
0
0
1
4
6
4.73 4.67 4.64 4.76
Q.3 適 切 評 価
0
0
2
6
3
4.45 4.44 4.20 4.24
Q.4 目 的 明 確
0
0
2
5
4
4.09 3.89 4.04 3.97
Q.5 教 科 書 等
0
0
4
4
3
4.18 4.00 4.07 4.06
Q.6 話 し 方
0
0
1
5
5
3.91 3.44 4.06 4.04
Q.7 学 生 参 加
0
0
1
5
5
4.36 4.00 4.06 4.16
Q.8 質 疑 応 答
0
1
1
4
5
4.36 4.11 4.05 4.11
Q.9 教 員 熱 意
0
1
0
4
6
4.18 4.00 4.04 4.05
Q.10 シ ラ バ ス
0
0
2
4
5
4.36 4.22 4.24 4.31
Q.11
テーマ関心
0
0
0
7
4
4.27 3.44 3.85 3.84
難易度
0
0
7
3
1
4.36 4.22 4.17 4.10
満足度
0
0
0
7
4
2.55 2.56 2.57 2.57
設問
0
0 H 0 H 0 H
1 H 1 H 1 H 1 H 1 H
2 H 2 H 2 H 2 H 2 H
3 H 3 H 3 H 3 H 3 H
4 H 4 H 4 H 4 H 4 H
5 H 5 H 5 H 5 H 5 H
6 H 6 H 6 H 6 H 6 H
7 H 7 H 7 H 7 H 7 H
8 H 8 H 8 H 8 H 8 H
9 H 9 H 9 H 9 H 9 H
Q.12
Q.13
1 0 H 1 0 H 1 0 H 1 0 H 1 0 H
1 1 H 1 1 H 1 1 H 1 1 H 1 1 H
1 2 H 1 2 H 1 2 H 1 2 H 1 2 H
- 71 -
平均
前 年自 組
専攻
度
織
Q.14
興味
0
0
0
7
4
4.36 4.11 4.09 4.05
推薦度
0
0
3
5
3
4.36 4.22 4.13 4.07
合 計 ・ 平 均 (Q. 12 を 除 く ) 0
2
17
70
65
4.00 4.00 3.92 3.94
Q.15
1 3 H 1 3 H 1 3 H 1 3 H 1 3 H
1 4 H 1 4 H 1 4 H 1 4 H 1 4 H
~ 25% 25%~ 50%~ 75%~
4.28 4.05 4.11 4.12
~ 25% 25%~ 50%~ 75%~
~ 3.5 3.5~
4.00~ 4.5~
~ 2.25 2.25~ 2.50~ 2.75~
記述回答
Q.16 この授 業 をより良 くするための提 案 を記 述 してください。
• 全 体のスケジュールを前 倒しにして欲 しい。
• PBL 制 作 と時 期が被 るので、十 分 な作 業 スペースが取りにくい。制作 途 中の置 き場 所の確
保 も明 確 にしてほしい。
• もう 1 週 分 ぐらいあれば、モデルのブラッシュアップができたと感じます。
• モデルを制 作するに当 たってグループワークで行 う趣 旨 と理 解 しているが、フレームワーク
等、進 め方 の例をもっと紹 介 したほうが良いと思 う。
Q.17 この授 業 で特 に良 かった点 、他 の授 業 でも取 り入 れて欲 しい点 などを記 述 して下 さい。
• プレゼンテーション後 にモデルの最 終完 成 猶 予が10日 間 与えられたこと。
• モノづくりの授 業では特 にグループワークの振 り分けをバックグラウンドを考 慮して考 えられ
ているのは、バランスとしてよかった。
• デザインに関する一連 のプロセスがおさらいできた、1 年 の締 めくくりに相応 しい演 習だった
と感 じる。
• 実 際にモックアップを製 作して提 案 できた点。
Q.18 その他 、授 業 、カリキュラムなどについて、自 由 に記 述 して下 さい。
• PBLの最 終 提 案準 備 期 間と重 なるのが難 点。
• 履 修者 が異 なるためにしょうがないとは思 うが、グループワークメンバーが同じ顔 ぶれにな
ることがよくある。
- 72 -
2011 年度 第3クォータ
教員各自のアクションプラン
1
共通科目
2
情報アーキテクチャ専攻科目
3
創造技術専攻科目
- 73 -
- 74 -
■第3クォータ
1
アクションプラン■
共 通 科 目
- 75 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
国際開発特論
前田 充浩
1 良い評価を受けた点
・ 説明の仕方。学生とのコミュニケーション。
・ 学生のプレゼンテーションに対するフィードバックの機会を設けたこと。
・ 国際社会の現場の生の話をしたこと。
2 改善すべき点
・ 講義が 2 コマだけであること。
・ 資料をアップロードすべき。
・ パワポに英語が多い。
3 今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
・ 資料のアップロードについては、今後は実践する。
・ 講義数については教務と相談する。
・ 英語については、むしろ講義を英語でやることも検討しており、学生の英語力向上のた
めにも資料の相当量は今後も英語とする。
・ 学生とのコミュニケーションについては、一層の改善に努める。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
・全学生からのフィードバックを受けたいので、回収率の向上を検討すべき。
- 76 -
■
2
第3クォータ
アクションプラン
■
情報アーキテクチャ専攻科目
- 77 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
OSS 特 論
小山 裕司
良い評価を受けた点
今 年 度 の総 平 均 (Q12 難 易 度 以 外 )の 4.32 は昨 年 度 と同 じ評 価 であった。特 に、出 席 率 、意 欲 的 、
適 切 評 価 、テーマ関 心 、興 味 が高 い評 価 であった。
2
改善すべき点
学 生 参 加 が 3.71 で あ り 、低 い 評 価 で あ っ た 。シ ラ バ ス 、推 薦 度 も 4.00 で あ り 、こ れ ら も 改
善したいと思う。また難易度も若干難しすぎるという評価であった。
3
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
例 年 、学 生 の授 業 参 加 は高 い評 価 であったが、今 回 は評 価 が低 かった。学 生 参 加 、演 習 手 順 をい
ろいろと工 夫 しているがSkype等 では発 言 する学 生 が限 定 される。雑 談 がまざる等 、まだ改 善 できる
ところがあるので、今 後 も学 生 が積 極 的 に学 びたい環 境 を構 築 したい。Linuxソースコードに触 れる
機 会 の設 定 等 の希 望 を頂 いたので、次 年 度 以 降 ,検 討 してみたい。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
アンケートを記名式に変更する検討をしてもいいかもしれない。
毎 回 1〜 2 名 の 学 生 が ほ か の 科 目 の 評 価 と 思 わ れ る 回 答 を し て い る 。科 目 名 を 目 立 つ よ う に
する等の改善はできないだろうか。
- 78 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
ソフトウェア開発プロセス特論
秋口 忠三
良い評価を受けた点
昨年度に引き続きパーソナルソフトウェアプロセスにより個人のソフトウェア開発プロセ
スの改善に焦点を当てた講義と演習を実施した。毎回講義に対して演習があり、各課題に
ついて個人ごとのフィールドバックを行った点がよい評価を受けた。提出したレポートの
問題個所を具体的に指摘され修正すべき点が分かりレポートを作成するうえで非常に参考
になった、課題演習を通じてソフトウェアプロセスのデータの記録方法について理解が進
んだ、との意見があった。
2
改善すべき点
演習課題は英文の読解力が必要になり、プログラムの説明資料に日本語のヒントが欲しい
と の 要 望 が あ っ た 。し か し こ れ は 要 求 内 容 を 正 確 に 読 み 取 る た め の 訓 練 も 兼 ね て い る の で 、
あえて詳しい説明ははぶいている。プロセスの進め方で解釈の難しい項目に関する説明が
ほしい、見積り方法の実演があるとより効果が上がるとの指摘があり、これらの点につい
ては今後も講義内容と教材の改善を図りたい。
3
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
今回の講義と演習では、最終的な受講者が6名であり、一人ひとりの学生に対して、演習
結果に対するフィードバックを十分に行えた。この点が良い評価を得られた理由であった
と 思 わ れ る 。教 材 に 関 し て は 、7 回 の 演 習 課 題 の 負 荷 バ ラ ン ス を 考 慮 し て 見 直 し を 行 っ た 。
その結果ほとんどの学生が期待レベルの成果を出し、学習効果は良好であった。
来年度に向けての課題としては、課題の理解に関する負担を低減できるように教材の改
良を行うこと、データ収集作業の負荷を減らしかつ効果的なパーソナルプロセスの分析が
行えるように、演習支援ツールの整備を行う予定である。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
特になし。
- 79 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
ソフトウェア開発特論Ⅱ
中鉢 欣秀
良い評価を受けた点
本年度は、教材のスライドを全て見直し、再編成して授業を行った。特に、従来、演習
と講義とをミックスして教えていた箇所について、講義の回と演習の回を分けて行えるよ
うにした。また、内容についても整理した。
その結果、講義と演習が分かれていてよかったといった反応があった。また、授業全体
がわかりやすかったという評価も得た。
2
改善すべき点
テキストの再構成を行ったため、従来分割されていた全てのスライドファイルを 1 つの
フ ァ イ ル に 統 合 し た た め 、フ ァ イ ル の サ イ ズ が 大 き く な り 、扱 い づ ら い と い う 声 が あ っ た 。
こ れ は 、PowerPoint 2010 を 使 え ば 、セ ク シ ョ ン の 機 能 に よ っ て 改 善 さ れ る が 、ま だ 2010
が普及していないため、今後、改善が必要かもしれない。
3
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
今回、大きく改善させたが、今後も、必要に応じてよりよい内容にしていきたい。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
「学生による授業評価」が有効に機能しているかどうか、教員に対して匿名でアンケー
トをとってはどうか?
- 80 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
ソフトウエア開発特論Ⅲ
成田 雅彦
良い評価を受けた点
• 「テーマ関心」については適切である。 • グループによる調査は好評である。 2
•
•
改善すべき点
検索技術に関する解説を大幅に強化したが、内容的には検索エンジンに絞ったので、
本 年 度 は 「 教 科 書 等 」「 興 味 」 の 値 が 下 が っ て た 可 能 性 が あ る 。
「 学 生 参 加 」「 質 疑 応 答 」 に つ い て は 、 講 義 終 了 時 に 、 質 問 を 募 っ て お り 、 ア ン ケ ー ト
でも質問できるように配慮しているが、講義中に参加学生を氏名して発言してもらうと
いう形態は採っていない。
3 今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
• 「教科書等」
「 興 味 」に つ い て は 、新 規 追 加 の 検 索 技 術 の 解 説 を 、検 索 エ ン ジ ン だ け で な く 、
ク ロ ー ラ 、画 像 検 索 、検 索 結 果 の 表 現 や ビ ジ ネ ス な ど の 話 題 を 加 え る 事 で 充 実 す る こ と で 、
向上したい。
• 「 学 生 参 加 」「 質 疑 応 答 」 に つ い て は 容 易 に 絞 っ た の で 今 後 、 講 義 中 に 学 生 の 参 加 を 促 す
形を導入していく。
•
グループ演習は評価を受けているが、時間的な余裕が少ないとの意見もある。個人演習
課題を絞り、講義中にグループでの会話を増やすことで対応したい。
•
講義の内容、個人演習やグループ演習や進め方を事前に明確に説明することで、受講者
の期待との不一致を避け「満足度」の向上を図っていく。
4 「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
• 学 生 に よ る 評 価 の 内 容 と 、 学 生 の 年 齢 ・職 種 や 成 績 の 比 較 を 行 い た い の で 、 関 連 の 情 報 を
頂きたい。
- 81 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
ネ ッ ト ワ ー ク シ ス テ ム 特 別 講 義 II
加藤 由花・慎 祥揆
良い評価を受けた点
・ 「 テ ー マ 関 心 」「 興 味 」 の 項 目 は , 相 対 的 に 良 い 評 価 を 得 て い る 。
・ 前 年 度 と 比 較 し 、「 目 的 明 確 」「 話 し 方 」「 教 員 熱 意 」「 推 薦 度 」 の 値 が 上 が っ て い る 。
2
改善すべき点
・「 教 科 書 等 」「 学 生 参 加 」「 質 疑 応 答 」「 難 易 度 」 は ま だ 改 善 で き る 余 地 が あ る 。
3
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
・ 講 義 内 容 に つ い て は 毎 年 少 し ず つ 改 良 し て い る が 、全 体 的 に 評 価 点 が 上 が っ て き て い る
こ と か ら 、概 ね 問 題 な い 方 向 に 改 善 さ れ て い る と 考 え る 。特 に 、演 習 の 性 格 上 、ス キ ル
レ ベ ル ご と の グ ル ー プ 分 け 、少 人 数 グ ル ー プ 編 成 は 必 須 で あ り 、今 後 も レ ベ ル に 合 わ せ
たチーム編成を続ける予定である。
・ 実習中心の講義だが、自習用教材の作成等を今後検討していきたい。
・ 教 員 2 名 で 対 応 し た が 、履 修 者 数 が 多 く 、学 生 全 員 に き め 細 か な 対 応 を す る こ と が 困 難
で あ っ た 。来 年 度 か ら は 教 員 1 名 で 担 当 す る た め 、講 義 実 施 体 制 の 見 直 し を 行 っ て い く
予定である。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
・ アンケートの実施時期、実施内容等については、見直しが必要な時期にきている。
・ 回収率の問題等はあるものの、オンラインでの授業評価は概ね好評であると思う。
- 82 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
プロジェクト管理特論Ⅲ
酒森 潔
良い評価を受けた点
個々の項目別のポイントはすべてが 4 以上で
あ っ た 。 特 に 評 価 が 高 か っ た の は 、「 教 員 熱
意 」「 テ ー マ へ の 関 心 」「 満 足 度 」 で あ っ た 。
ま た 、 昨 年 度 4 ポ イ ン ト を 割 っ て い た 「適 切
な 評 価 」と 「学 生 参 加 を 促 す 」は ど ち ら も 本 年
度は 4 以上となった。
コ メ ン ト 欄 か ら は 、演 習 に つ い て の 良 い 評 価
が 寄 せ ら れ た 。演 習 の 内 容 や 量 が ち ょ う ど よ
いという指摘であった。
2
評価の項目ごとの分布
問1(出席率)
5.00
問2(意欲的)
4.00
問3(適切評価)
3.00
問15(推薦度)
問14(興味)
問4(目的明確)
2.00
1.00
問13(満足度)
2011年
問5(教科書等)
0.00
問12(テーマ関心)
2010年
問6(難易度)
問11(シラバス)
問7(話し方)
問10(教員熱意)
問8(学生参加)
問9(質疑応答)
悪い評価を受けた点
本年度評価の中で他に対して点が低かった
の は「 シ ラ バ ス 準 拠 」「 適 切 な 評 価 」「 学 生 参
加 」で あ る 。来 年 度 の シ ラ バ ス 作 成 に お い て
は、もう一工夫考えてみたい。
コ メ ン ト か ら は 、復 習 と 演 習 中 心 な の で 予 習
と講義中心のほうがよいのではという意見。
テ キ ス ト の 紹 介 、事 例 の 紹 介 を 増 や し て ほ し
いという意見があった。
5
4.47
4.79
4.17
4.46
4
3
2
評価平均値の年度推移
1
0
2008
3
2009
2010
2011
今後のアクションプラン(良い評価をさらに発展させる策、悪い評価には改善策)
昨年度評価の低かった「適切な評価」と「学生参加を促す」という項目について、意識し
た 対 応 を し て き た 結 果 、両 者 と も に 評 価 ポ イ ン ト の 平 均 が 4.3 ま で 伸 び た 。し か し ま だ こ の
2つは全評価項目の中では下位に位置している。さらにこの 2 点について重点的に講義内
容を改善して生きたい。
今年は連コマにして講義と演習を連続して行うメリットは出ているが、講義を聞かずに演
習に入る学生が多かった。来年度からはふたたび週 2 コマ講義で考えてみたい。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
講義を連コマにするほうがよいか週 2 回行うべきか、サテライトの講義の効果を上げるに
はどうしたらよいかという点について、ぜひFD委員会で議論の場を作っていただきたい
と思います。
- 83 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
高信頼システム特論
金川 信康
良い評価を受けた点
・ 実 際 に 採 用 さ れ て い る 事 例 や 技 術 例 が か な り 説 明 さ れ た こ と 。( 同 意 見 他 に 4 件 )
・高信頼システムの採用事例や規則などを学べよかったと思う。システムがただ動けばいいと
いうわけではないことを再認識することができ、勉強になったと感じている。
・ハード寄りの授業でしたが、1つくらいそういうのがあってもよいと思いました。しかも、
ハードの知識が全くなくても理解できるように配慮されていたのがうれしかったです。
2
改善すべき点
・配布の資料でもある程度学べる内容があると助かると思う。
・黒板への板書は見えないので、書画カメラを使って欲しい。
・ LMS に 教 材 を ア ッ プ ロ ー ド し て ほ し い 。
・論理的、技術的な側面を深堀した説明、数値計算事や証明の演習課題等を増やしてほしい。
・ System、 SW 系 だ け に と ど ま ら な い カ リ キ ュ ラ ム が あ る の は う れ し い 。 た と え ば 、 創 造 の 講 義
履修を、年で数単位、限定で認めるとか、お考えないのでしょうか?相互活用しないと勿体
ないし、広い視野を持てる技術者が育成できると思う。
・他の授業、PBLとの関係、どう活用・展開できるのかを明確にしていただきたい。
3
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
・ 書 画 カ メ ラ 、 LMS へ の 教 材 の ア ッ プ ロ ー ド と と も に 内 容 の 充 実 を 図 り ま す 。
・演習課題等の充実については検討いたします。
・上記改善を通して、難易度に関して、より理解しやすくなるように改善してまいりたいと思
います。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
講義内容の充実につながり良いと思います。
- 84 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
y
y
y
y
y
2
y
y
3
y
4
情報システム特論Ⅰ
戸沢 義夫
良い評価を受けた点
学生に意見を求める場が何回かあった
シラバスが妥当であった
運用を正面から取り扱っている
ITIL を 参 照 し て い る
遠隔授業を行った
改善すべき点
運用の現場のイメージがしにくかった
授業の内容がいまいち伝わらなかった学生がいる
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
シ ス テ ム の 運 用 を 中 心 に 講 義 を 行 う の だ が 、運 用 を 全 く や っ た こ と の な い 学 生 に と っ て
運 用 を イ メ ー ジ す る こ と は 困 難 で あ る 。運 用 で の 問 題 を 自 分 の も の と し て 理 解 で き る レ
ベ ル の 学 生 が 受 講 す る よ う に 、シ ラ バ ス で の 記 述 を は っ き り さ せ る と と も に 、講 義 の 初
回で受講対象者や講義スコープをきちんと説明するようにする
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
- 85 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
情報セキュリティ特別講義Ⅰ
瀬戸 洋一
良い評価を受けた点
・講義の水準、内容など完成に近づいた講義である。IT全般に関係するので、全学生に
履修を勧めたい。
・2 コマ連続で、講義と演習を実施し、ケーススタディが一環して実施している。
・ LMS の 活 用 、 受 講 生 の 意 見 や 要 望 に 誠 実 に 対 応 し て い る 。
・実践的な講義である。ビジネスに直結している。
・試験問題の質が優れていた。
2
改善すべき点
・問題に対応する時間の確保が必要。ケーススタディの時間的な配分にまだ問題がある。
学生が考え対応できる適正な時間を確保する必要がある。
・・てててn
3
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
・学生の質疑に如何に効果的に対応するか?あるいは、如何に学生の能力を引き出すか、
まだ道半ばである。これに対しては、さらに、講義の質を改善し、学生との対話の時間
を確保することが必要と考える。
・こ の 分 野 は 日 々 変 化 し て お り 、最 新 の 内 容 を 常 に ブ ラ シ ュ ア ッ プ す る よ う に 尽 力 し た い 。
・学生の意見にもあったように、本講義は情報セキュリティに限定するものでなく、IT
技術に関わる技術者全員に受講して欲しい。しかし、受講生数が、必ずしも増えていな
い ( 毎 年 10- 15 名 程 度 )。 も っ と 受 講 生 を 増 や す 努 力 が 必 要 と 自 覚 し て い る 。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
・よ い 評 価 も 悪 い 評 価 も 、教 員 の 自 覚 と ほ ぼ 一 致 し て い る 。講 義 中 に 学 生 の 意 見 を 収 集 し 、
講義実施中にフィードバックできるように努めたい。
- 86 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
情報ビジネス特別講義Ⅲ
福原 康司
良い評価を受けた点
「 Q.16 こ の 授 業 を よ り 良 く す る た め の 提 案 を 記 述 し て く だ さ い 」に つ い て 、履 修 者 か ら は
次 の 評 価 を 受 け た ( ア ン ケ ー ト 結 果 そ の ま ま 転 載 )。
・ケーススタディによるディスカッション、解説は、参考になる気付き、示唆が多かった。
・グループディスカッションが多く、受け身一辺倒にならなかったのが良かったと思います。
上記の結果は講義担当者が意図する通りの結果であり、講義の狙いをある程度達成したと
思われる。
2
改善すべき点
「 Q.17 こ の 授 業 で 特 に 良 か っ た 点 、他 の 授 業 で も 取 り 入 れ て 欲 し い 点 な ど を 記 述 し て 下 さ
い 」 に つ い て 、 履 修 者 か ら は 次 の 評 価 を 受 け た ( ア ン ケ ー ト 結 果 そ の ま ま 転 載 )。
・ス ラ イ ド の 電 子 フ ァ イ ル 、穴 埋 め 後 の レ ジ ュ メ は 教 材 と し て W E B へ ア ッ プ し て 頂 き た い 。可 能 で あ れ ば 、ケ ー ス
ス タ デ ィ 事 例 も 同 様 。講 義 で 紹 介 さ れ た 事 例 等 に つ い て 深 堀 り す る 為 の 参 考 文 献 、論 文 の 出 典 等 の 明 示 が あ れ ば 尚 よ
いと思う。
・レ ク チ ャ ー の 際 に も 随 時 、質 疑 を 受 け 付 け る よ う な 進 め 方 に し て い た だ け る と 良 い と 思 い ま し た 。レ ク チ ャ ー の 時
には一気に授業を進められていたので、質問を挟むタイミングがなかったのが残念でした。
上 記 の 意 見 に つ い て 、 ま ず 講 義 ノ ー ト や 事 例 な ど は 著 作 権 の 問 題 が あ る の で Web 上 に ア
ップするつもりはない。またこの旨は講義の中で履修者に説明済みである。次に、講義中
は自由に質問して構わないし、むしろ積極的に発言した欲しいと促したにもかかわらず、
あまりにも質問がないことに、むしろ担当者がフラストレーションを感じた。社会人の講
義なのだから、なぜもっと積極的に議論や質問をぶつけようとしないのか疑問だった。な
お、同じ講義スタイルであっても、一昨年までの履修者からは講義中に多くの質問や議論
が飛び交ったので、講義スタイルの問題というよりも、履修者の質の問題であると思われ
る。
3
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
上 記 1 お よ び 2 の よ う な 状 況 に あ っ て 、本 講 義 を 改 善 す る 積 極 的 な 意 味 は 見 い だ せ な い 。
よって、特に発展させることも、改善に結びつけることもないと思われる。
- 87 -
「学生による授業評価」調査結果 に対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
情報ビジネス特別講義Ⅳ
安井 和彦
1
良い評価を受けた点
講義内容について
・ 本授業のように、担当教官の生き様や蓄積された経験に基く授業こそ社会人にとって、
大きな価値を持つ
・ 本講義のように実務経験に裏打ちされ実社会に即した実践的な知識を提供し、
仕事の現場で今すぐ通用する思考を要請する講義を充実すべき
・ 経験、他社事例等をベースにした実践的、具体的なケース、フレームワークの紹介は
参考になった
・ この授業から得られる強みをもっと宣伝するべきである
講義の進め方について
・ 履修生の積極的な取り組みがし易い授業の雰囲気や質量ともに適度な課題が良かった
・ プレゼンがあり、実際に企業でどんな施策を行う場合に、どういった質疑が
行われるのかの想定をしやすかった
・ 積極的な議論が促され素晴らしい講義で、ポジティブで明るい授業である
・ チャートの密度と分かりやすさに感嘆します
2
改善すべき点
難易度について
・ 「難易度」の値が大幅に下がっている
講義内容について
・ ポイントを絞った体系的な授業内容だと濃淡をつけて絞り込んでも良いのではないか
・ コンサルタントの特別育成講座の位置づけであるともっと良かった
・ 時間数が足りずやや総花的な印象、特定のテーマをもう少し深堀するなどが考えられる
・ 1コマ1テーマという枠に縛られことなく重要な部分は数コマに渡っても
問題ないのではないか。仮設検証は演習を含めてじっくり扱う価値がある
配布資料について
・ もっと資料をそのまま出して欲しい
・ 講義内で使われるパワーポイントと配布資料が違う
・ 出来るだけ全ての授業のマテリアルが欲しい
- 88 -
3 今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
難易度について
・ 昨 年 度 の 評 価 の コ メ ン ト に は 、「 時 間 に 比 し て 内 容 量 が 多 い 感 じ が し ま す の で 、
消化不良の部分もある」とあり、今回ワンテーマを減らすや資料の数を減らし時間を
掛けて説明するなどにしたが、次回は学生の質を早い時点で判断して柔軟に対応する
講義内容について
・ ビジネス環境の変化をとらえて、企業の経営者が今何を考えているのか、何をしなけれ
ばならないのかなどについて具体的な情報や実例を提示しながら、経営レベルでの思考
や発想を醸成することに今後も重点を置いて実施していく
・ 受講生が自ら考えまとめて行く力を養えるように、グループディスカッションや
プレゼンテーションの場を可能な限り設けて質をあげていく
・ 今後求められる人材を視野に入れてマネージメントとしての育成をさらに
強化するための仮説検証の実習を強化する
・ テーマの絞込みや演習に時間をかけてという要望について、過去3回も含めて、
コース内容やテーマの洗練を行ってきたが、今後は、履修生の要望に応えていくために
は、演習コースへの分離やコンサルティング活動のテーマに特化したコースなどの新設
を考えていくことが必要なのかもしれない
配布資料について
・ 配布資料と説明資料の相違の指摘は毎回出ているが、可能な範囲でレジュメに
掲載してきており、むしろ出しすぎになりつつある
・ 手元に講義内容の資料があると安心して集中力が低下するため、
現状のレジュメ方式を踏襲する
・ また、逆に事前配布資料は要点のみで実際の講義で感覚的に理解出来る図式を多用した
講義形式は良く要点主体のシンプルな表現が役に立つとの意見もある
4
・
・
・
・
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
授業評価、FDは講義改善のために大変有効である
なぜそう思うのかが重要であることから、可能であれば、回答内容の特異な回答者に、
真実の声を聞く直接インタビューを実施する必要がある
学生のどのレベルに合わせるかは別として、声を理解し改善していることを
伝えることは重要である
- 89 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
情報科学特論
清水 将吾、土屋 陽介、長尾 雄行、森口 聡子、慎 祥揆
良い評価を受けた点
講義のテーマ・内容については概ね好評であった。これは助教 5 人のそれぞれの専門分野
に沿って講義を実施したため、より深い内容で講義ができたと思う。
情報分野の基礎的な講義が今までなかったので、情報系以外の出身の方からは来年度以降
も継続して欲しいという声をいただいた。
2
改善すべき点
15 回 の 講 義 を 、そ れ ぞ れ の 専 門 分 野 ご と 5 つ の テ ー マ に 分 割 し 、1 つ の テ ー マ あ た り 3 コ
マで実施した。そのため内容を詰め込み過ぎた部分があり、難易度が高くなってしまった
ところがある。また、課題の数も 1 テーマ 1 つとしたことで課題の負担が大きくなってし
まった。
3
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
それぞれの内容を吟味し、省けるところは省くなどして、内容を詰め込みすぎないように
する。
課 題 の 数 を 減 ら す の は 難 し い の で 、そ れ ぞ れ の テ ー マ の 最 初 に 課 題 の 説 明 を す る な ど し て 、
なるべく課題にかけられる時間が増えるように講義進め方を調整する。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
- 90 -
■
第3クォータ
3
アクションプラン
創造技術専攻科目
- 91 -
■
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
インダストリアル・デザイン特別演習Ⅲ
國澤 好衛
良い評価を受けた点
「 教 員 熱 意 」「 学 生 参 加 」「 質 疑 応 答 」「 難 易 度 」「 満 足 度 」 の 項 目 に つ い て 、 昨 年 度 に 比 べ
高 い 評 価 と な っ た 。こ れ は 、今 年 度 の 演 習 プ ロ グ ラ ム で 目 指 し た「 き め 細 や か な 個 別 指 導 」
が奏功したものと思われる。
また、導入、中間発表、最終プレゼンテーションまでを一貫したプロセスで実施できた点
も好評価につながった一因と思われる。
2
改善すべき点
履修者にデザイン未経験者もいることから、デザイン演習のための適切な初心者向け教材
を開発する必要がある。
最終プレゼンテーションでは、モックアップ製作、ポスター制作を要件としているが、期
末で、製作に必要な機材の利用者が多くなる時期と重なるため、今後製作スケジュールの
調整などの対策が必要となる。
3
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
昨年度、デザイン演習を充実させるためにプログラムを再編し、今年度も昨年同様に学生
が個人個人でじっくりとデザインに取組めるよう組み立てた。この手法は好評価につなが
っており次年度以降もこの考え方を基本に以下を考慮し進めたい。
演習のマイルストーンとなる中間発表と最終発表については、より細かくステップを区切
り進めることを検討する。
演習の最初の段階で、最終のゴールイメージを共有できるよう努めたい。
デザインに取り組む姿勢、考え方、手法を理解できるプログラムにしていきたい。
履修者の個人差を吸収できるプログラムとしたい。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
- 92 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
インテリジェントシステム特論
中川
雅史
良い評価を受けた点
・ 授 業 の 半 分 以 上 に 、「 輪 講 」と「 グ ル ー プ ワ ー ク 」を 取 り 入 れ 、学 生 参 加 度 の 高 い 授 業 を
行った。このパートに関しては、受講者の理系・文系に関係なく、やりがいをもって授
業に参加してもらうことができたようである。
2
改善すべき点
・授業の半分程度に、詰め込み型の「講義」を行ったが、学生/社会人学生/理系/文系
といった構成の受講者に対して、受講者の知識量(特に数学)に想定以上のばらつきが
あったため、特に文系の学生にとっては、難易度が高い授業だったというコメントを受
講 者 か ら 直 接 い た だ い て い る 。 結 果 と し て 、「 難 易 度 」「 興 味 」 の ポ イ ン ト を 下 げ て い る
と思われる。
・講 義 内 容 に 対 応 す る 教 科 書 が 複 数 に わ た る た め 、教 員 が 作 成 し た PDF 資 料 を 配 布 し 、学
生に印刷してもらったが、学内に印刷枚数の制限があるということがわかったので、こ
れ に 対 応 す る ( 今 年 度 は 、 後 半 の 講 義 か ら 、 大 学 院 側 で 印 刷 す る こ と で 対 応 し た )。
3
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
・授業内容は、理系寄りの学生にとっては簡単であり、一方で文系寄り学生にとっては、
難解な内容であったようなので、双方の学生にさらに考慮した授業内容に変更する(数
学 を 極 力 減 ら し 、 概 念 的 な 内 容 と 事 例 集 を 中 心 と す る )。
・社 会 人 学 生 に 遅 刻 者 と 欠 席 者 が 多 い こ と を 考 慮 し て 、1 回 完 結 型 の 授 業 を 行 っ た 。こ の ス
タイルは継続したい。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
- 93 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
システムインテグレーション特論
橋本 洋志
1 良い評価を受けた点
・授業の計画が良くなされており、進行がスムーズであった。
・授業中、先生から学生への質疑の仕方、その応答の仕方がとても良かった。
・ビデオなどを含め、他大学での研究の進み具合を知ることができたのは有益であった。
・興味深いテーマが多くあった。
2 悪い評価を受けた点
・昨年度と同じ内容であったが、学生の質が変わったのか、高い評価はあるが、低い評価
も増えた。
・範囲が広範すぎるとの指摘がある。
3 今後のアクションプラン(良い評価をさらに発展させる策、悪い評価には改善策)
・多様な学生に、完璧に対応することは難しいが、数回のレポート内容を通して、逐次か
つ個々に対応することとする。
・内容が多岐に渡ることは、授業科目の性質上避けられないため、もっと、上位の概念で
理解しやすいように工夫する。
4 「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
・年度によって、学生が有する知識・スキルの背景が大きく変動するので、このような調
査とそれに対するフィードバックをより積極的に行うことが必須と考えます。
・上の意見に加えて、授業途中でのアンケートも行えれば、フィードバックを実時間で行
えるかと考えます。
- 94 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
デジタル製品開発特論
舘野 寿丈
良い評価を受けた点
「 意 欲 」「 テ ー マ 関 心 」「 興 味 」 な ど が 向 上 し た 。 講 義 内 容 が 現 在 の 技 術 動 向 に 沿 っ た 内 容
になっていると判断できる。
「 教 科 書 」 に 関 し て も 高 い 評 価 を 受 け た 。 こ の 理 由 は 、CAE ソ フ ト の 使 用 説 明 書 を 作 成 し
たためと考えられる。
2
改善すべき点
「学生参加」に関して値が低い原因は、グループワーク等を取り入れていないためと考え
られる。
3
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
本 年 度 は 、 内 容 を 見 直 し 、 CAE(Computer-Aided Engineering)に 関 す る 内 容 と し た 。 良 い
評価を受けた点は、講義内容に関連することが多いことから、望ましい方向に変更できた
ものと思われる。この講義内容を継続したい。
「学生参加」を改善させる方法の一つとして、個人が作成したモデルの解析結果の発表な
どが考えられるので、検討したい。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
授業改善に役立つので、学生の負担にならない程度に継続すると良いと考える。
- 95 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
プロダクトデザイン特論
福田 哲夫
1 良い評価を受けた点
・日本の美意識など概念と向き合い、議論を通じ整理する事ができたこと。
・ 世代間の枠組みを超えた意見交換の場を設けたこと。
・ エコデザインについての理解ができたこと。
2 改善すべき点
・後半崩れてしまったブレスト→発表→講義の形式の維持。
・プレゼンテーションの位置付けと内容の見直し。
3 今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
・今年度はものづくりまでを課したがかえって内容がぼけてしまった。
・昨年度までのブレスト→発表→講義の形式に戻し、内容の充実を図る。
・日本のものづくりの背景にある美意識について増々思いを深めながら進めたい。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
- 96 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
技術開発組織特論
吉田 敏
1
良い評価を受けた点
・理解が困難な理論的な内容を事例を挙げながら、複数回、丁寧に解説を繰り返すこと
によって学生の理解を促していた点。
・グループ学習によって、学生たち自身が、人の意見を聞きながら、自分の考えをまと
めて人に伝えることによって、コミュニケーション能力を向上させる機会を得ること
ができた点。
・抽象的な理論を、質問に答えたり、事例や図示をすることによって、理解しやすい形
で伝えた点。
2
改善すべき点
・参考書の紹介が欲しかった。
・実際の企業活動をしている人たちの意見を聞きたかった。
・講義後半でグループ議論をすると、講義の終了時間が意識しにくく、毎回提出するレ
ポートを記入するタイミングがつかみにくい点。
3
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
・参考書の提示を進めていくこととする。ただし、各学生が異なる目的と基礎知識を持
っているため、一人一人必要とする内容を確認しながら対処していくことを検討する
ものとする。
・グループ議論は、時間の配分や取り方を注意深く検討する。
・実例や、実際の企業活動からの声をできるだけ紹介するように、研究を進めることに
よって対処していく。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
・学生の視点は、講義の向上に極めて有効性の高いものであり、講義の見直しに非常に
役立っている。
- 97 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
産業材料特別演習
管野 善則
1
良い評価を受けた点
実際に、本物の材料、それも、金属・セラミックス・高分子・複合材料とあらゆる種類
の材料に直接触れる事ができた。全種類の各種材料を1研究室で扱うことは殆どできない。
英語論文の書き方、論文購読後、未着手の研究ポイントの見つけ方に関する解説。
2
改善すべき点
一般文系卒の学生向けの授業ではないとの指摘があり。学部時代に工学教育を受けてい
ない学生からの指摘。
3
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
さらに多くの種類の材料、来年度、希望的には、本当の新素材を自分達の手で作り上げ
る喜びを経験させようと計画中。大学院の授業であり、学部時代に物理・化学を履修して
い な い 学 生 に 講 義 す る の は 至 難 の 技 。・ ・ ・ こ れ に 関 し て は 、 無 理 が あ る と 思 う 。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
これからも正確・公平な判断をされることを望む。
- 98 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
信頼性工学特論
越水 重臣
良い評価を受けた点
調査票の設問に対し、以下の項目で良い評価を受けた。
・「 目 的 明 確 」「 教 科 書 等 」「 話 し 方 」「 学 生 参 加 」「 質 疑 応 答 」「 教 員 熱 意 」
実製品を用いたグループワークを 2 回行ったことが高評価につながったようだ。
また、自由回答によれば、テーマごとに演習を行ったことや質問がしやすい雰囲気であった
ことが高評価に結び付いていることがうかがえる。
2
改善すべき点
理論、数理的解説(確率・統計論や集合論)および演習、グループワークとの組み合わせで
講義は進むがそのバランスによって、受講者の感ずる評価は異なるようだ。今回は、グルー
プワークを 2 回に増やしたため、グループワークが多いという受講生の意見も聞こえた。今
後、講義と演習のバランスを最適化していきたい。
3
今後のアクションプラン(良い評価をさらに発展させる策、悪い評価には改善策)
・ 「テーマ関心」の評点が前年度より低くなっている。信頼性工学は広範囲な学問分野で
あるが、本講義では製品安全を大きなテーマにしている。来年度は、その重要性をさら
に強調していきたい。
・ 今 年 度 は 実 製 品 を 使 っ た グ ル ー プ ワ ー ク を 2 回 行 っ た ( 昨 年 度 ま で は 1 回 )。 自 由 回 答 で
も 、実 製 品 を 使 っ た 実 践 的 な 授 業 が 高 評 価 を 得 て い る の で 、今 後 も こ の 演 習 を 充 実 さ せ て
いきたい。
・ 多くの項目で前年度より点数が下がっているので、さらなる改善を図りたい。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
授業の見直し・改善に有効である。
- 99 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
組込みシステム特論
村越 英樹
良い評価を受けた点
多 数 の 評 価 項 目 が 4.0 以 上 な の で 、 概 ね 良 い 評 価 を 受 け た と い え る 。
「 シ ラ バ ス 」、「 テ ー マ 関 心 」 は 、 昨 年 度 よ り 良 い 評 価 を 受 け た 。
2
改善すべき点
「 教 科 書 等 」、「 話 し 方 」、「 教 員 熱 意 」、「 推 薦 度 」、「 難 易 度 」「 満 足 度 」、「 推 薦 度 」の 評 価 が
昨年度より下がっている。
昨年度の履修者が 1 名、今年度の履修者が 2 名なので、受講者が少ない点が最大の改善す
べき点であると認識した。
3
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
こ れ ま で は 、 組 込 み ソ フ ト ウ ェ ア 技 術 者 の 開 発 プ ロ セ ス 改 善 を 目 指 し て 、 PSP(パ ー ソ ナ ル
ソ フ ト ウ ェ ア プ ロ セ ス )の ト レ ー ニ ン グ を 講 義 と し て 実 施 し て き た が 、 受 講 生 の 興 味 に 合 致
していないようだ。次年度以降は、組込みシステムの基礎を学習する講義科目として、大
幅な内容変更を予定している。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
- 100 -
2011年度
第4クォータ
教員各自のアクションプラン
1
共通科目
2
情報アーキテクチャ専攻科目
3
創造技術専攻科目
- 101 -
- 102 -
■第4クォータ
1
アクションプラン■
共 通 科 目
- 103 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
国際経営特論
前田 充浩
良い評価を受けた点
・経済学、経営学を中心に、多岐にわたる内容が盛り
込まれている。
・外部講師の質が高かった。
・対話型の講義方式が優れていた。
評価項目別の分布
2
改善すべき点
・大量の内容を盛り込んでいるため、幾つか説明不十
分の内容があった。
・学生にレベルの高い発表を要求する以上、インセン
ティブについて考えるべきである。
評価平均値の年度推移
3
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
・次 回 は さ ら に 多 く の 内 容 を 盛 り 込 む 予 定 で あ る た め 、全 体 の 構 成 を 精 査 し 、説 明 の 詳 し
さを均等化させるとともに、メリハリのついた構成とする。
・外部講師について、ワンランク質の高い講師を集める。
・インセンティブについて、海外派遣を含め、外部での発表機会を検討する。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
・大変重要で、意義が高いと思います。
・ 少 な く と も 専 攻 内 で は 、 FD に 関 す る 議 論 を 増 や す べ き と 考 え ま す 。
- 104 -
■第4クォータ
2
アクションプラン■
情報アーキテクチャ専攻科目
- 105 -
「学生による授業評価」調査結果 に対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
プロジェクト管理特別講義
酒森 潔、森口 聡子
良い評価を受けた点
学 生 参 加 、話 し 方 、質 疑 応 答 、教 員 熱 意 が ポ イ ン ト 4.38
でよい評価を得た。これらは昨年と比較してもほぼ同
じかよくなっている。
自由コメントからも、シミュレータを利用したグルー
プワークが良かったという意見や、演習と宿題のバラ
ンスが良いという評価を得た。
評価項目別の分布
2
改善すべき点
シラバス、満足度、興味、推薦度がポイント4前後で
あり、昨年度よりも下がっている。
自由コメントからは、最後に提出させた計画書のフィ
ードバックが無かったというコメントが多かった。実
際はフィードバックを行なっているので、その方法を
今後は改善していく必要がある。
3
評価平均値の年度推移
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
今 回 の フ ィ ー ド バ ッ ク は 、毎 回 の 講 義 レ ポ ー ト に 個 別 に 記 入 し て 返 却 す る 方 法 を と っ た が 、
昨年度のように全員に見せる形のほうが、効果があると思われるので改善したい。
計画書を提出させ、チームでの議論をして発表もさせているが、それでも「正解」を求め
る意見が多い。講義中に「正解」は無いということを説明しているが伝わっていないよう
である。今後は、第15回目の講義時間を、提出物のフィードバックや講義全体について
の意見交換の時間にしたい。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
今回のアンケート回収率が例年に無く悪かったようである。アンケートの締切りを延ばし
たのが理由ではないだろうか。締切りはやはり講義終了直後にすべきかもしれない。
「シラバスが適切か」という項目が両専攻ともにいつも悪い。本学のシラバスは決して質
の悪いものではないと思うので、なぜ「シラバス」の評価が悪いのか、個別の講義ではな
く 研 究 科 全 体 の 問 題 と し て FD 委 員 会 で 具 体 的 に 調 査 し て い た だ き た い 。そ の 結 果 必 要 で あ
ればシラバスの記述項目の改善や指導につないでほしい。
本レポートの記述欄が狭くなった。タイトル部分を調整して記述欄を増やしてほしい。
- 106 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
データベース構築特論
戸沢 義夫
良い評価を受けた点
・情報処理技術者試験を教材に使用している。
・言葉の意味に立ち返り、考えさせる。
・ 毎 回 Reading Assingment を 貸 す こ と に よ り 講 義 の
密度が高い。
・データベース技術のみならず、業務との係りについ
ても重きを置いている。
評価項目別の分布
2
改善すべき点
下記のような改善コメントが寄せられている。
・教材の試験問題を学生を含めたディスカッションの
テーマとしても良かったのではないか。
・近年、データベースとしてRDB以外の選択肢も増
えてきています。本授業でいうデータベースはRD
Bですので、授業の名称を「関係データベース」と
した方が本授業のスコープが明確になると思いま
す。
3
評価平均値の年度推移
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
担当教員が交代するので,新教員に期待する
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
特になし
- 107 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
ネットワークシステム特別講義Ⅲ
真鍋 敬士
良い評価を受けた点
シラバスの評価が高くなっているのは、グループワー
クやセキュリティについて明確に記載したことによる
ものと思われる。目的の明確さについては学生の嗜好
によるところが大きいという理解であり、講義として
のビジョンの低さは否めない。
評価項目別の分布
2
改善すべき点
評価には現れていないが、今年度は座学講義での時間
の使い方が非常に悪く、事前の準備不足が否めない。
また、この数年は専門知識の多い学生が毎年数名履修
しており、グループワークでは濃淡のある対応が必要
と感じている。
3
評価平均値の年度推移
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
新鮮な話題を採り入れていくこととシラバス内容の明確化のバランスを取りながら進めて
いく。座学講義で新しい話題を取り上げた際には、毎回の講義後のアンケートで明示して
学生からの意見を得る機会を高める。また、学生から直接意見があった点として、ディス
カッション時間を強制的に割く等、グループワークでの各人の役割の明確化についてもう
少し講師が介入することも検討したい。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
今年度は学生との会話が比較的多く、率直な意見が出てくることもあった。そのことが評
価につながっている可能性も考えられる。第三者を介したフィードバックが、講義終了後
多少時間をおいて得られることで、冷静な振り返りをする機会となる。このフィードバッ
クがシラバスにも反映できるようなスケジュールになっているとさらに良いと思う。
- 108 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
ネットワーク特論Ⅱ
加藤 由花
良い評価を受けた点
・ 「教員熱意」
「満足度」
「 興 味 」の 値 が 相 対 的 に 高 い 。
・ 際 立 っ て 良 い 評 価 ,悪 い 評 価 を 受 け た 項 目 と も に な
い。
評価項目別の分布
2
改善すべき点
・ 前年度と比較し、全体的に評点が下がっている。
・ 「 目 的 明 確 」「 シ ラ バ ス 」「 満 足 度 」「 興 味 」 の 値 が
下がっている。
・ 「 難 易 度 」の 値 が 特 に 下 が っ て お り 、改 善 の 余 地 が
ある。
3
評価平均値の年度推移
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
・ ネ ッ ト ワ ー ク コ ー ス に お け る 本 講 義 の 位 置 づ け 、毎 回 の 講 義 の 全 体 に お け る 位 置 づ け を
明 確 に 説 明 す る こ と を 意 識 的 に 行 っ た 。学 生 の モ チ ベ ー シ ョ ン 向 上 に つ な が っ て い る と
思うので、今後とも続けていきたい。
・ 講 義 の 内 容 は 、例 年 と ほ ぼ 同 様 の 難 易 度 で あ っ た が 、難 易 度 が 高 い と い う 評 価 を 受 け た 。
履修者に合わせた講義レベルの設定を工夫していきたい。
・ 座 学 が 多 く な り が ち な の で 、課 題 の 他 、適 宜 実 機 を 利 用 し た 演 習 な ど も 取 り 入 れ て い き
たい。また、討論の時間を増やす等、今後、学生参加を促す工夫をしていく。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
・ 今 回 か ら 、ア ク シ ョ ン プ ラ ン に 評 価 項 目 値 の グ ラ フ を 追 加 す る こ と に し た 。ア ク シ ョ ン
プランは、評点を参考に作成する旨が徹底されることが目的の 1 つである。
・ 記名式のアンケート実施等、次年度以降の活動に期待したい。
- 109 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
マイニング技術特論
嶋田 茂
良い評価を受けた点
・データマイニング理論の基礎から応用に至るまでの
広 い 範 囲 の 説 明 を 体 系 的 に 行 い 、深 い 知 識 と し て 教 授
できたこと。
・単にマイニング理論の説明だけに留まらず、例題に
よ る 数 値 実 験 の 演 習 や 、実 際 の マ イ ニ ン グ ツ ー ル を 用
い た 演 習 を 実 施 す る こ と に よ り 、学 生 の 理 解 が 深 め ら
れたこと。
評価項目別の分布
2
改善すべき点
・講義で取り上げる項目がやや多いためか、講義内容
の理解が必ずしも十分ではない学生がいたこと。
・マイニング理論を説明するのに、情報量や統計的測
度 な ど を 数 式 を 用 い て 行 っ て い る が 、こ れ ら の 数 式 に
なじまない学生が多く見られた。
・レポート課題の自由度が広すぎて学生の取組がやや
浅い。
3
評価平均値の年度推移
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
・学習状況の評価用として課すレポートの課題範囲をもう少し制限し、一連のレポートに
も 課 題 間 の 関 連 を 持 た せ る こ と に よ り 、学 生 の 学 習 進 捗 状 況 が 詳 細 に 把 握 で き る よ う に す
る。
・演習として用いているマイニングツールとして、ライセンスが制限される商用のものの
他 に 、オ ー プ ン ソ ー ス の も の を 多 数 取 り 入 れ る こ と に よ り 、学 生 に よ る 自 習 が 実 施 し や す
いような演習環境を整備する。
・データマイニング理論の数式を用いた説明部分では、数式の持つ厳密性よりは、その数
式をどのように展開して実用化していくかの適用方式を中心にして行う。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
・パイチャートは、前年度との単純な比較を行う目的で行われているようであるが、調査
回 答 学 生 の 構 成 に よ る 信 頼 性 の 確 率 ( 出 席 学 生 の GP 値 等 ) を 付 加 し て 評 価 す べ き と 思
う。
・その理由として、前年度の講義内容とそれほど遜色のない内容にもかかわらず、今年度
の全体の評価状況が向上しているのは、前年度に比べより理解ができる学生が多く出席
したことによるものと判断され、講義内容の修正による効果は必ずしも反映されていな
いように思われる。
- 110 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
基幹システム開発論
中鉢 欣秀、土屋 陽介
良い評価を受けた点
グラフから、教員熱意等の数値が向上したことがわか
る。
評価項目別の分布
2
改善すべき点
とくになし。
評価平均値の年度推移
3
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
とくになし。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
学生からのコメントを見ると、教員の説明を理解していないと見受けられるものがある。
いつもここで書いていることだが、不明なことは教員に直接質問して欲しい。そもそも一
方通行の評価には限界がある。教員と学生とが対話的に授業を改善させる方法など、検討
してほしい。何度も同様の趣旨でコメントをしているが、一向に改善されないのは問題で
はないか。なお、この時期にアクションプランを計画しても、すでに来年度のシラバスは
提出済みであり、改善点を反映できない。シラバスは半年ごとに提出するなど、検討され
たい。
- 111 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
z
z
情報セキュリティ特別講義Ⅲ
丸山 満彦、白濱 直哉、大場
敏行、尾嶋
博之
良い評価を受けた点
専門的な内容を経験談や実例を踏まえて講義して
いたこと。
課題を行うことにより理解を深めることができた
こと。
評価項目別の分布
2
z
z
z
z
改善すべき点
経験談、ケーススタディの不足
グループ討議の方法
各分野間の資料のばらつきや内容の重複
課題の期限(現状 1 週間)
評価平均値の年度推移
3
z
z
z
z
4
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
資 料 お よ び 講 義 に お い て 、で き る だ け 実 例 、最 新 の ネ タ を 豊 富 に 取 り 入 れ 、実 務 経 験 が
少ない人でもイメージしやすいような配慮をする。
課題の内容およびグループ討議の方法について見直す。
教員間の連携をとり、資料のばらつきや内容の重複を無くす。
学 生 を 参 加 さ せ る こ と を 意 識 し た 授 業 に す る( 質 疑 応 答 を 積 極 的 に さ せ る 。学 生 に そ の
場 で 考 え さ せ る よ う な 授 業 )。
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
講義に対する客観的な評価を行うことにより、現状の課題が明確になり、より具体的に今
後の改善・アクションプランの検討を行えるので良いと思います。
- 112 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
情報セキュリティ特別講義Ⅱ
瀬戸 洋一
良い評価を受けた点
・演習を取り入れた点
・話し方、質疑応答
・学生参加の授業の構成
評価項目別の分布
2
改善すべき点
・成績評価(グループ評価、個人評価)の方法、講義
の内容への関心度の向上。
・セキュリティシステムに関する設計理論(手法論)
で あ り 、具 体 性 を 持 た せ る こ と が 教 え る 上 で 難 し く 、
この点について学生から要望がでていると受け止め
ている。
3
評価平均値の年度推移
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
・学生からの指摘は重々承知しているが、本講義は、非常に高度な内容で、教え方が難し
い。ケーススタディなどの開発も難しい。以下のような対策を考えている。
・手法と具体的な開発をセットでカリキュラム構成を考える。次年度より具体的な開発と
してセキュアプログラミング特論を設置した。この効果を次年度以降計測したい。
・情報セキュリティ特論 2 に関しては、内容をもう少し減らし、学生が余裕をもって考え
る時間を確保できるようにする。
・ケーススタディに関して、新しいテーマを開発する。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
・ 母 数 が 少 な く ( 11 人 受 講 、 4 名 回 答 )、 適 正 な 授 業 評 価 に な っ て い る か 疑 問 が 残 る 。
・授業評価を全員実施するように義務つける必要がある。
- 113 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
標準化と知財戦略
成田 雅彦
良い評価を受けた点
・ 目的、教科書、熱意、シラバス、関心、満足度、
興味、推奨度について良い評価を得られた。
・ 難易度については適切なレベルになった。
評価項目別の分布
2
改善すべき点
・話し方、学生参加については改善すべきところがあ
る (平 均 と の 差 が 0.2 以 上 あ る も の の み )。
評価平均値の年度推移
3
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
・ グ ル ー プ 学 習 に つ い て は 、評 価 は 良 い が 、次 回 以 降 、調 査 だ け で な く 戦 略 立 案 を 含 め て
より実践的なものとしていく。
・ 質 問 と 回 答 に つ い て は 、 秋 葉 原 キ ャ ン パ ス の 人 へ も QAし た り 、 回 答 を LMSな ど に ア ッ プ
して後から参照できるようにする。
・ 学 生 参 加 に 関 し て は ア ン ケ ー ト に よ る フ ィ ー ド バ ッ ク を 行 っ て い る が 、入 力 可 能 時 間 を
延長したり、入力したかどうかの確認を入れるなどの改善を考えている。
・ 話し方については、アンケートにて気になる点を収集してフィードバックしていく。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
・ 評価値と具体的な理由がリンクするようなシステムが望まれる。
- 114 -
■ 第4クォータ
3
アクションプラン■
創造技術専攻科目
- 115 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
インダストリアル・デザイン特別演習Ⅳ
小山 登
良い評価を受けた点
15 あ る 評 価 項 目 の ほ ぼ す べ て の 項 目 に お い て 、良 い 評
価を受けることができたと思う。特に、昨年度低めの
評価を受けたシラバスについては、改善され良い評価
を得ることができたと思う。これは、全面的に見直し
たことが評価されたようだ。また、教科書、話し方、
満足度なども良い評価となり、理想的な状態により近
づいたと思う。
評価項目別の分布
2
改善すべき点
評 価 ポ イ ン ト で は 、総 合 ポ イ ン ト が 4.05 か ら 4.28 へ
ア ッ プ し た 。特 に 目 立 っ て 悪 い 評 価 を 受 け た 項 目 は な
い が 、 日 程 が PBL の 発 表 会 前 と 重 な り 、 最 終 の モ デ
ル づ く り の 時 に 夢 工 房 な ど で の 作 業 が 重 な り 、作 業 に
支 障 を き た し て い る と の 記 述 コ メ ン ト が あ っ た 。肯 定
的な意見のモデルの提出期限を 1 週間延ばすなどの対
応を引き続き検討する必要があると思う。
3
評価平均値の年度推移
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
全体的に学生が大変興味を示しているモデルづくりの時間をもう少し取れるように、全体
のスケジュールを調整して、要望に応えるようにしたい。また、実際の企業などで実施し
ているアイデアの検討会などは、引き続き取り入れ、より実践的な演習としたい。
改 善 ポ イ ン ト に も 記 載 し た が 、 こ の 授 業 の ス ケ ジ ュ ー ル が 、 PBL 演 習 の 作 業 時 間 と バ ッ テ
ィングして、作業スペースや工具などの使用制限が出ている点は、作業スペースの確保や
授業専用の最低必要限の工具は確保できるよう努力したい。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
FD 委 員 会 の 委 員 長 と し て 、率 先 し て FD フ ォ ー ラ ム な ど で 得 た 外 部 な ど か ら の 意 見 や コ メ
ントを積極的に取り入れ、授業やカリキュラム全体の見直しなどに取り組んでいきたい。
また、改善成功事例などを教員間で話し合える場面なども作っていくと効果的横展が図れ
ると思う。
- 116 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
サービス工学特論
橋本 洋志
1 良い評価を受けた点
・国内外からの視点を持った説明にグローバル化の
考え方を持つことができた。
・先端研究の内容を知ることができた。
・感覚的な部分を工学的に客観的または定量的評価
する考え方を学べてよかった。
・個々のレポートに対するコメントが適切であった。
評価項目別の分布
2 改善すべき点
・内容やボリュームが多すぎる。
・レポートの負荷が大きい。
・他の授業との関連が強い部分については、ついて
ゆけないことがあるので、再度、解説してほしい。
評価平均値の年度推移
3 今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
・おおむね,良い評価をいくつか得ているが,時代や学生の思考変化に適合するような例
題を豊富に用意する。
・悪い評価を受けた点の,1点目については,サービス工学が幅広い学際領域であること,
ま た , 学 生 に 事 前 学 習 を 促 し て も , 社 会 人 で あ る こ と と , 2 回 /週 授 業 で , 負 担 が 大 き い と
の 声 が 学 生 か ら 聞 い て い る こ と ,な ど の た め ,学 際 領 域 の 項 目 を 丁 寧 に 解 説 す る こ と と す る 。
・一人の学生のみから、低い評価を受けているが、そのほかの学生からは高い評価を受けて
おり、わずかな特異な事象と捉えて良いかどうかを課題とする。
4 「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
学生の知識背景が毎年変わり、かつ、学生間のばらつきも大きいため、これをどのように
授 業 で 対 応 で き る か 、毎 年 の 悩 み で あ り 、こ の こ と の 対 処 策 を 考 え る こ と が 大 事 と 考 え て い る 。
そ の た め に 、 常 に FD 活 動 を 行 い 、 教 員 へ の フ ィ ー ド バ ッ ク は 不 可 欠 で あ る と 考 え る 。
- 117 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
デザインシステム計画特論
國澤 好衛
良い評価を受けた点
今 年 度 は 、昨 年 度 と 比 較 し 、「 意 欲 的 」「 教 科 書 等 」「 教
員 熱 意 」「 満 足 度 」 の 値 が 上 が っ た 。
特に、
「目的明確」
「話し方」
「学生参加」
「質疑応答」
「シ
ラ バ ス 」「 テ ー マ 関 心 」「 興 味 」「 推 薦 度 」の 値 が 大 幅 に
上がった。
昨年は、履修証明プログラムとの相乗りで授業がやや
混乱したが、今年度は分けて実施することで、本来の
目的どおりに実施できたこと。さらには、昨年実施時
の課題をふまえ内容を大幅に改善したことなどが奏功
したものと思われる。
2
改善すべき点
今年度は昨年に比べ、グループ学習・演習時間を多く
したが、もう少し増やすことを検討したい。
難易度評価でやや難しいとの回答が半数弱あり、この
点 は 改 善 余 地 が あ る と こ ろ で あ り 、内 容 を 見 直 し た い 。
3
評価項目別の分布
評価平均値の年度推移
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
昨年度に比べ評価がかなりあがっていることから、今年度の授業内容の見直しは妥当なも
のと評価できる。
したがって、来年度においてもこの方向性を意識しつつ改善していきたい。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
- 118 -
「学生による授業評価」調査結果 に対するアクションプラン
講義名: デザインマーケティング特論
氏
1
名:
福田
哲夫
良い評価を受けた点
・ 毎回の配付資料を充実できたことに良い反響を
得ることができた。
評価項目別の分布
2
改善すべき点
・ 一週間に 2 回の講義進行と宿題の量の多さに不満の
ある学生がいた。
・ グループワークによる演習のしやすい教室が欲し
い と の要望があがっている。
3
評価平均値の年度推移
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
・毎回の配付資料を充実できたことに良い反響結果を得ることができた。
しかし講義中のキーワードから自分自身の手で情報検索し共有する努力を促したい。
・ 深堀しにくいとの意見もあったが、スピード感があり集中できるとの感想もあった。
講義はこれまで通りスピード感を持って進めたい。
・ 但 し 、 デ ザ イ ン プ ロ セ ス か ら 理 解 を 促 す 意 味 に お い て 、 カ リ キ ュ ラ ム 編 成 で の 3 Q、
または2Q への入れ替えの必要性も感じる。
4 「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
・ アンケート結果では昨年度より良い評価となったが、
昼間の講義のため集計母数が少
なく判断が難しい面もある。
- 119 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
技術経営特論
吉田 敏
良い評価を受けた点
・外部の先生のお話が聞けたところが良かった。
・グループ議論。教員や他の生徒の考え方や知見を得
たうえで、自分の考え方をまとめ、グループ全体で
課題に対する答えの方向性を打ち出していった点。
・ PBL に 繋 げ る た め に も 、 グ ル ー プ 学 習 は 良 い 。
評価項目別の分布
2
改善すべき点
・他のクォータの授業と重複する点があったので、そ
の分新しいトピックスがあっても良かった。
・プレゼンテーション前のグループ議論を、テーマご
とに2グループでのディベート形式にすることで、
議論の内容を深め、それをまとめることで、より濃
い内容のプレゼンテーションができるのではないか
と思う。
3
評価平均値の年度推移
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
・外部の講師による講義も織り交ぜながら講義を構成することを検討するようにする。
・グループ議論は、学生の意見を確認しながら、できるだけ慎重に時間の配分や取り方
を注意深く検討する。
・できるだけアップデートした知見や情報を駆使しながら、実例や、実際の企業活動に関
する内容を取り上げていくように心がける。そのためには、研究を可能な限り進め、最
先端の知見を得るべく努力していく。
4 「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
・学生の意見は、自分が気づかない部分に関する講義の向上に極めて有効性の高いもので
あり、講義の見直しに非常に役立っている。
- 120 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
設計工学・プロトタイピング特別演習
舘野 寿丈
良い評価を受けた点
昨 年 に 比 べ て 参 加 者 数 が 少 な か っ た が 、参 加 者 に お い て は
出席率が高く、意欲的に取り組んだ学生が多かった。
評価項目別の分布
2
改善すべき点
演 習 で の 開 発 対 象 を マ イ ク ロ マ シ ン と し て い る が 、実 際 に
は 活 動 時 間 が 少 な く 、部 品 の 加 工 や 調 達 も 困 難 な 例 が 多 い
の で 、あ ら か じ め 機 能 モ ジ ュ ー ル を 準 備 す る な ど 、工 夫 し
たい。
評価平均値の年度推移
3
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
グ ル ー プ 単 位 で の 演 習 科 目 で あ る の で 、遅 刻 者 が 居 る と グ ル ー プ 活 動 が 乱 れ る こ と に な る 。
昨年度はその例が多かったのに対し、今年度は少なかったため、活動が円滑に進み、評価
も高くなったと考えられる。遅刻者を減らす工夫を考えたい。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
調査は有益であるので、学生の負担にならない程度に継続すると良いと思う。
- 121 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
先端材料特論
管野 善則
良い評価を受けた点
意欲的に講義し、目的が明確、評価も適切。
評価項目別の分布
2
改善すべき点
前年度よりも講義の難易度が下がったとの評価あり。
評価平均値の年度推移
3 今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
意欲的に講義し、教科書も併用し、実験・実習も取り入れる。
質疑応答を何度も繰り返し、徹底的に理解できるよう指導する。ただ、講義レベルが少し下
が っ た と の 意 見 が 出 て き た の で 、ア ド バ ン ス 学 生 に 対 す る 、課 題 を 設 け る 必 要 が あ る と 考 え る 。
4 「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
ある程度、回数を重ねて行く事により、改善方向に向かっていると考える。
- 122 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
動的システム工学特論
川田 誠一
良い評価を受けた点
推 薦 度 が 3.9 以 外 は す べ て 4 以 上 の 高 い 評 価 を 受 け た 。
総合点は、昨年度と同様であり、一昨年度までよりも
高い評価で留まっている。
評価項目別の分布
2
改善すべき点
難 易 度 が 中 程 度 と な っ て お り 、改 善 す る と す れ ば 、少 し 、
高度な内容に授業内容を変更する必要がある。本学が、
様 々 な 背 景 を 持 つ 学 生 を 受 け 入 れ て い る と こ ろ か ら 、授
業内容をある程度標準よりも容易な内容で設計してき
たが、そろそろ再検討する時期に来たと判断する。
3
評価平均値の年度推移
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
難 易 度 を 除 い て 、特 に 大 き な 問 題 が な い こ と か ら 、授 業 内 容 を よ り 高 度 な 物 に 変 更 し た い 。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
本 学 の FD 活 動 に お い て 、 重 要 な 位 置 づ け に あ り 今 後 も 推 進 し た い 。
- 123 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
品質工学特論
越水 重臣
良い評価を受けた点
平 成 22 年 度 に 比 べ 平 成 23 年 度 は 、 す べ て の 項 目 で 評
点が向上している。自由記述もおおむね好意的な回答
が多く、来年度以降もこれを持続したい。
評価項目別の分布
2
改善すべき点
グループワークの演習において、グループで討論する
内容をさらに増やすことを試みたい。今年度の演習で
は、時間的な余裕がなく、深い思考ができなかったと
反省している。
評価平均値の年度推移
3
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
機能性評価の演習において、こちらが用意した課題を実習するだけでなく、各グループで
討論して実験計画を立てるような展開を試みたい。そうすることにより、目的である効率
の良い技術開発の方法を考えることにつなげたい。
4 「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
講義内容の見直し、改善に有効である。
- 124 -
2011年度
後期
専攻ごとのアクションプラン(PBL)
1
情報アーキテクチャ専攻 PBL
2
創造技術専攻 PBL
※PBL とは……
学生が担当教員毎のグループに分かれ、1年かけて行う実践型プロジェクト演習のこと。
テーマは教員毎に異なる。他大学のゼミに相当する、本学の特徴的プログラムの一つで
ある。
- 125 -
- 126 -
「学生による授業評価」調査結果に 対するアクションプラン
講義名:
氏 名:
1
情 報 シ ス テ ム 学 特 別 演 習 Ⅱ ( 情 報 ア ー キ テ ク チ ャ 専 攻 PBL)
戸沢 義夫(代表して記述)
良い評価を受けた点
・チ ー ム メ ン バ ー そ れ ぞ れ が 意 欲 と 責 任 感 を 持 っ て 取 り 組 む
必要がある。
・本学に入る前に期待したもの以上の学びがあった。
・一つの課題(テーマ)を複数人で担当したこと。
・ PBL 作 業 だ け で は な く 、 実 際 の プ ロ ジ ェ ク ト を 進 め な が
ら、先生からいろいろ知識を教えて下さる。
・学外の組織との連携
・解 答 が な い も の に 対 し て 、自 ら 研 究 し て 解 答 を 導 き 出 す 点
・各アクティビティを成果ドキュメントとしてまとること。
・指導が丁寧だった。親身になって考えてくれた。
・毎 回 、先 生 が 学 生 の デ ィ ス カ ッ シ ョ ン を 聞 い て 、助 言 を く
れる。
・担 当 教 員 が 高 慢 で な く 、学 生 の 意 思 や 意 見 を 大 事 に さ れ た
・適切なタイミングでアドバイスがもらえた。
評価項目別の分布
評価平均値の年度推移
2
改善すべき点
下記のような改善コメントが寄せられている。
・何らかの企業等外部との共同作業があると良い。
・ PBL に 必 要 な 知 識 を き ち ん と 身 に 着 け て PBL を 履 修 し た ほ う が 良 い 。
・ 他 の PBL の 状 況 を 知 る チ ャ ン ス が 欲 し い 。
・学習、実習、まとめを 1 年で行うのがなかなか難しい。
・研究室間で成果物の求められ方や集まり方の取り決めに差がある。
・PBLの人数を均等にしたほうが良い。
・ 23 時 を 超 え て 続 く こ と が あ り 、 施 設 利 用 予 約 か 時 間 外 利 用 届 の ど ち ら か を 提 出 。
・他チームと共有の演習室は騒がしい時もある。
・ iPBL の ユ ー ザ ビ リ テ ィ に つ い て 改 善 願 い た い 。
3
今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
全 教 員 が 参 加 す る PBL 研 究 会 を 実 施 し ,PBL の 方 法 に つ い て よ り 良 く な る よ う に デ ィ ス カ
ッションする。
4
「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
特になし。
「学生による授業評価」調査結果に対するアクションプラン
- 127 -
「学生による授業評価」調査結果に対する アクションプラン
講 義 名 : 創 造 技 術 特 別 演 習 Ⅲ ( 創 造 技 術 専 攻 PBL)
氏 名 : 橋 本 洋 志 ( PBL 取 り ま と め 担 当 教 員 )
1 良い評価を受けた点
・プロジェクトを遂行する難しさを学べるプロセス
を体験できた。
・ひとつのチームで長期的にプロジェクトを行える
こと。
・第3者評価を得られる機会を得られたこと。
評価項目別の分布
2 改善すべき点
・社会学、人文学の必要性を感じることと、理工学の
強化が必須と考える。
・ 事 前 に プ ロ ジ ェ ク ト 管 理 を 全 員 が 学 ぶ こ と で 、 PBL
特別演習がもっとスムースに進行すると考える。
・発表準備に要する期間とプロジェクト進行期間の
バランスを考えなおして欲しい。
評価平均値の年度推移
3 今後のアクションプラン(良い評価を発展させる策、改善すべき評価には改善策)
改善すべき点において、
1番目について、現在のところ、各授業の見直しを行ってもらっている。さらに、コース
別の特色がでるような改善も図っている。
2 番目について、専攻科としての課題として取り上げる予定である。
3 番目について、発表形式の自由度の増加により対応する予定である。
4 「学 生 に よ る 授 業 評 価 」調 査 活 動 に 対 す る 意 見 、 FD 活 動 に 対 す る 意 見
学生の背景が広い分だけ、様々な要求や意見がある。その中でも、真摯に耳を傾けるべき
意見があり、授業をよりよくするためには、このような意見を迅速に取り入れ、即応的に
授 業 に 反 映 さ せ る た め 、 こ の よ う な FD 活 動 は 必 須 と 考 え て い ま す 。
- 128 -
FD レポート編集後記
今 回 の FD レ ポ ー ト の内 容 は 、2012 年 2 月 23 日 に 実 施 さ れ た 、第 11 回( 2011 年 度 第 2
回 ) FD フ ォ ー ラ ム が主 な も の とな っ て お りま す 。
今回のフォーラムは、現在急速に必要性が高まっていると考えられるグローバル化への
対 応 を テ ーマ に し た 内容 と な り まし た 。
様々な技術や社会状況がグローバル化の方向性を強める昨今、資源立国ではない日本の
これからは、海外に対して積極的に連携を試み、より大きな発展を目指す必要があると考
え ら れ ま す。東 京 都 も、東 京 が 目指 す 21 世 紀 の 都 市 戦略 を 世 界 に示 す た め 、
「 10 年 後 の 東
京」の中で、アジア諸都市との連携・連帯を通じてダイナミックな発展を目指すとしてい
ます。そのような中で、海外の多くの地域との協働を推し進め、国と国、地域と地域の垣
根を取り去るような活動を行っていき、日本の将来を明るい方向に導くような人材の育成
が 重 要 な 課題 で あ る と考 え ら れ ます 。こ れ らの 視 点 か ら、
「 高 度 職業 人 材 の 育成 」と い う 面
を担っている本学としても、アジアを中心として留学生を受け入れることや海外大学との
相 互 協 定 に基 づ き PBL の 共 同 実 施 な ど 教 育研 究 活 動 の充 実 に 努 めて い ま す が、今 回 の フォ
ーラムを通し、教員一同が、その目指す方向性を再認識し、より高い角度で貢献していく
た め に 何 が必 要 か を 理解 で き た ので は な い かと 考 え て おり ま す 。
当委員会としては、これからも必要な視点を取り入れながら、今回のように積極的に新
規 性 の 高い FD 活 動 を 推 進 して い き た いと 考 え て おり ま す 。 そし て 、 全 教員 の 協 力 を得 な
が ら 、 よ り充 実 し た FD 活 動 の 成 果 を 目 指 す所 存 で ご ざい ま す 。
FD 委 員 会 委 員 長
吉田
- 129 -
敏
[執 筆 者 ]
産業技術大学院大学
石島
川田
加藤
酒森
秋口
小山
嶋田
瀬戸
戸沢
成田
福田
管野
國澤
小山
橋本
前田
村越
吉田
中鉢
越水
舘野
清水
慎
土屋
長尾
森口
大場
尾嶋
金川
白濱
福原
真鍋
丸山
安井
中川
辰太郎
誠一
由花
潔
忠三
裕司
茂
洋一
義夫
雅彦
哲夫
善則
好衛
登
洋志
充浩
英樹
敏
欣秀
重臣
寿丈
將吾
祥揆
陽介
雄行
聡子
敏行
博之
信康
直哉
康司
敬士
満彦
和彦
雅史
産業技術大学院大学学長
産業技術大学院大学産業技術研究科長
産業技術大学院大学産業技術研究科長補佐
産業技術大学院大学教授
産業技術大学院大学教授
産業技術大学院大学教授
産業技術大学院大学教授
産業技術大学院大学教授
産業技術大学院大学教授
産 業 技 術 大 学 院 大 学 教 授 FD 委 員 会 委 員
産業技術大学院大学教授
産業技術大学院大学教授
産業技術大学院大学教授
産業技術大学院大学教授
産業技術大学院大学教授
産業技術大学院大学教授
産業技術大学院大学教授
産 業 技 術 大 学 院 大 学 教 授 FD 委 員 会 委 員 長
産業技術大学院大学准教授
産業技術大学院大学准教授
産業技術大学院大学准教授
産業技術大学院大学助教
産業技術大学院大学助教
産業技術大学院大学助教
産業技術大学院大学助教
産業技術大学院大学助教
産業技術大学院大学非常勤講師
産業技術大学院大学非常勤講師
産業技術大学院大学非常勤講師
産業技術大学院大学非常勤講師
産業技術大学院大学非常勤講師
産業技術大学院大学非常勤講師
産業技術大学院大学非常勤講師
産業技術大学院大学非常勤講師
産業技術大学院大学非常勤講師
公立大学
産業技術大学院大学
AIIT FD レ ポ ー ト 第 1 2 号 2 0 1 2 年 8 月
発 行 : 産 業 技 術 大 学 院 大 学 FD 委 員 会
〒 140-0011 東 京 都 品 川 区 東 大 井 1-10-40
http://aiit.ac.jp/
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石油系溶剤を含まないインキを使用しています。