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RFID World Watcher Monthly
March/April 2012
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目次
RFID 関連ニュース.................................................................................. 3
プロダクト ......................................................................................................................................3
ソリューション...............................................................................................................................5
規制・標準化...................................................................................................................................7
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RFID 関連ニュース
プロダクト
[ハードウェア]
ドイツの RFID システムベンダ Fraunhofer IIS 社はサッカー向けの RFID ソリューション
RedFIR を開発した。これは選手とボールに 2.4GHz の独自プロトコルアクティブタグを貼
付し、フィールドの周辺 12 箇所にアンテナを取り付け TDOA で測位することで、選手とボ
ールの位置をリアルタイムで測定、記録するもの。
U Grok It 社はスマホに接続して利用する RFID 物品探索システム Grokker を開発した。同様
のシステムは従来から存在していたが、アクティブタグを利用するため比較的高価だった。
Grokker は Gen2 タグを利用するため安価に探索対象を増やすことができる。また、リーダ
ーとスマホとの接続には安価なオーディオ端子を利用する。現在予約を受付中で、リーダ
ーと Gen2 タグ 25 枚のセットが 159 ドル。
Omni-ID は 1.3mm 厚の新たな金属タグ Flex LP と Flex AI を開発した。Flex LP は Higgs 3 を
搭載し、US と EU の 2 周波数対応、75mmx25mmx1.2mm で最大読み取り距離 4m。Flex AI
は G2iL を搭載し、US 周波数対応、70mmx19mmx1.5mm で最大読み取り距離 5m。価格は非
公開ですが 1 ドル以下とのこと。
RedPine Signals 社は 2.4GHz(802.11b/g/n)と 5GHz(802.11a)のデュアルバンド対応の WiFi タグ
WiseMote WM1-50 をリリースした。これは同社によると世界初のデュアルバンド WiFi タグ
で、今後 2.4GHz 帯の混信がひどくなるにつれ 5GHz を利用する必要が高くなることを見越
した製品。但し、競合ベンダは必ずしも 5GHz のニーズがあるとは考えていない。タグの単
価は 50 ドル、4 台のタグとリーダー、エキサイタを含む評価キットの価格は 5 千ドル。
フィンランドの Walki 社はアルミ製の UHF タグアンテナをレーザーで製造する技術を実用
化し、サービスの提供を始めた。従来のエッチングによる製造プロセスより 10 倍高速で、
エッチング液を使わない分環境にもやさしいとのこと。2013 年までにタグ 20 億枚の製造に
対応する設備を導入する予定。
NXP Semiconductors と韓国の PHYchips 社は共同で system-on-chip タイプの UHF Gen2 リー
ダー用チップ SLRC900 を開発した。このチップは組み込み用途を想定しており、例えば自
動販売機が商品を、あるいはプリンタがセットされたカートリッジを読むような近距離に
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特化している。現在チップのサンプル出荷を開始しており、来月には評価用ボードの出荷
も開始される。価格は未公表。
TexTrace 社は高級アパレルの単品管理用途を目的とした Gen2 タグを開発した。このタグは
18mm×10mm のコア部分をアンテナを兼ねる伝導性の糸で布に縫いつけたもので、通常の
衣服タグと変わらない見掛けで 6mm の読み取り距離を実現している。
アクティブ RFID 用の無線規格 IEEE 802.15.4f が今年の 2 月に承認されたのを受け、Zebra
Technologies 社は UWB 方式の RTLS システム Dart の IEEE 802.15.4f 対応版を発表した。既
存の Dart 製品もファームウェアの書き換えで新規格に対応可能。従来 UWB RTLS は Zebra
のほか Ubisense, Time Domain, Decawave, Guard RFID などが独自規格のものを販売していた
が、IEEE 802.15.4f の成立により相互運用が可能になり市場の拡大が期待される。
Intelleflex は携帯電話の通信機能を内蔵してネットワーク接続無しで通信できる Gen2 リー
ダーCMR-6100 を発売した。CMR-6100 は GPRS か SMS を通じて読み取り結果を送信し、
利用者は Intelleflex 社のクラウドサービス Zest Data Services から読み取り結果を確認するこ
とができる。CMR-6100 は他にも GPS を搭載して自分の位置を送信したり、バッテリーや
太陽電池から給電することが可能。CMR-6100 の価格は 1,995 ドルで、別途携帯通信料と Zest
Data Services 利用料が発生する。
Alien は Gen2 チップの新製品 Higgs-4 の販売を開始した。Higgs-4 は感度の向上、読み取り
速度の増大のほか、複製が不可能な情報を埋め込む Dynamic Authentication というセキュリ
ティ機能を持つ。また、TID を用いたシリアル番号の採番にも対応する。
[ソフトウェア・サービス]
自動車用ガラスの販売会社 Mygrant Glass 社はペン型 Gen2 対応 RFID リーダーを用いた配達
システムを開発した。このシステムは、それぞれのガラスに貼付された Gen2 タグを配達時
にペン型リーダーで読み取って iPad に送信、続いて顧客がペンを用いて iPad 上で受け取り
のサインを行なうというもの。このシステムでは 5 センチ程度の狭くて確実な読み取り範
囲が必要とされ、IDBlue 社が昨年末にリリースした製品が採用された。タグは UPM の
ShortDipole。
生命科学業界向けのソフトウェアソリューションを提供している Virtual Chemistry は、同社
の実験動物管理アプリケーション Mosaic Vivarium に RFID 対応機能を追加した。これは
Allentown Inc 社の RFID ソリューションに対応することで行なわれたもので、Gen2 タグを
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飼育カゴに取り付けることで取り扱いを自動的に記録するもの。
アメリカのベンチャー企業 Vizualiiz はデータセンター管理アプリ LightsOn を開発した。こ
れは、データセンター内の特定のサーバの位置を 3D グラフィックで表示できるもので、サ
ーバに Gen2 タグを貼付、設置後にハンドヘルドリーダーで読み取り位置情報を入力する。
イギリスの輸送器材メーカーTransmon Engineering はフォークリフトと作業者の近接警告シ
ステム Pedestrian Alert System (PAS)を開発した。このシステムは 2.4GHz のタグを用い、フ
ォークリフトと作業者が指定した距離より近づいた際に警報音を発するもの。
Portable Technology Solutions 社は PC で動作する簡便な RFID ミドルウェア ClearStream RFID
を開発した。この製品は USB 接続されたリーダー経由でタグを読み取り、読み取ったデー
タを Excel や Access 形式で保存したり特定のルールに合わない読み取りに対してアラート
を出したりすることができる。価格は 2,500 ドルから。現在 Motorola の固定リーダーにのみ
対応だが対応機種を拡大予定。
大容量 Gen2 チップのベンダーTego 社はチップのユーザーメモリを OS 標準のファイルとし
て読み書きするためのアプリケーション TegoDrive を開発した。TegoDrive はアプリケーシ
ョンベンダが自社アプリケーションに組み込んで利用することを想定しており、TegoDrive
を用いることで大容量メモリを活用するアプリケーションが簡単に開発できる。TegoDrive
は Windows と Mac に対応しており、リーダーを含む開発キットは千ドル以下で提供される
予定。
ソリューション
[パッシブ]
アメリカの資源会社 Black Elk Energy 社は RFID による書類管理システムを導入した。資源
会社は権益の管理などで多量の紙文書を管理する必要があり、鉱区の進展によっては数十
年前の文書を引っ張り出す必要がある。同社は、紙と電子の文書を統合して扱える文書管
理システムとして Microsoft 社の SharePoint を導入。そして、文書の所在管理を RFID で行
なうために FileTrail 社が開発した SharePoint 向けのアドインを採用した。このシステムでは
各文書に Gen2 タグを貼付し、文書庫の出入口にリーダーを設置することで、書類の持ち出
し情報を自動的に記録する。
イギリスのベンチャー企業 LifeSync 社は RFID カードの読み取りを Facebook と連動させる
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ソリューションを開発した。このシステムでは、LifeSync 社が発行した LF もしくは HF の
RFID カードを店舗やイベント会場で読み取り、Facebook に"いいね!"投稿を行なうほか、投
稿の回数や投稿内のリンクがクリックされた回数を管理することができる。LifeSync は数社
と商談を行なっているほか、ロンドンで開催された Socialmedia Worldforum (SMWF) Europe
の会場で利用された。
韓国最大の製薬会社ハンミ薬品では Gen2 タグを用いた医薬品のトレーサビリティーを拡大
中。従来同社では 2 箇所の工場、500 品目、年間 6 千万アイテムでトラッキングを行なって
いましたが、これを 5 箇所の工場に拡大する。韓国政府は医薬品の公定価格を抜き打ちで
引き下げることがあり、その場合は流通中のものでも引き下げを行なう必要があるが、ハ
ンミ薬品は RFID によるトラッキングにより効率的に対応することができた。
Wired 誌が 4 月号に掲載されるレクサスの広告で NFC を利用した。これは、NFC タグを広
告に埋め込み、NFC 対応 Android でタグを読み込むと Youtube からビデオを再生するという
もの。
ディズニーが全世界のテーマパークとクルーズ客船でコスチューム貸与管理システムに
RFID を導入した。同社は 3 百万個の衣装・アイテムを対象に従来バーコードベースでの貸
与管理を行なっていたが、富士通フロンテックの Gen2 リネンタグ WT-A611 に変更。貸し
出しデスクの無人化や棚卸作業の省力化により投資を 1 年以内に回収できる見込み。
[アクティブ・RTLS]
プラスチックパレットのレンタル事業者 iGPS は、保有する全てのパレットに Gen2 タグを
貼付して管理を行なっているほか、一部のパレットに GPS と GPRS モデムを搭載したアク
ティブタグ導入して盗難や契約外利用の監視、および高度なビジビリティ情報の顧客への
提供を行なっている。同社はまた温度センサーを持つセミパッシブタグのテストを実施し
ている。
デンマークの郵便事業を受託する PostNord はアクティブタグを用いて郵便物の収集を管理
している。同社は Commotive が開発した 2.4GHz の独自双方向プロトコル(IEEE 802.15.4 ベ
ース)のタグをポストと収集車両、郵便局に取り付けた。各タグは 100m~200m の読み取り
距離を持ち、ポストタグは収集が行なわれた時だけではく収集車両が近くを通り過ぎた場
合にも情報を収集し、収集が行なわれた時点でそのデータを収集車両のタグに転送、収集
車両が郵便局に到着した際に全てのデータが吸い上げられて集配管理システムでに送られ
る。
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規制・標準化
EPCglobal の新しい議長に Sanjay Sarma 氏が選出された。Sarma 氏によると EPCglobal は組
織として従来と変わらず存続するがその活動はより GS1 と緊密に統合された形になる見込
み。
Alien、Impinj、NXP Semiconductors の 3 社がタグ ID から EPC シリアル番号を生成する手法
の互換性対策を発表した。各社とも変換ロジックに若干の違いがあるが、EPC シリアル番
号の先頭部分にチップベンダーの識別コードを付与することで重複がおきないようにする
というもの。ユーザは従来どおり自分自身で番号を発行・管理することもできるが、今回
の合意により手軽に重複しない番号を発行できる選択肢が増えたことになる。
イタリアのパルマ大学がスーパーやメーカーと共同で消費財サプライチェーンでの RFID
利用に関するパイロットを実施した。このパイロットでは消費財の段ボール箱に Gen2 タグ
が貼付され、メーカーの出荷から店舗への入荷まで、そして段ボール箱が廃棄エリアに置
かれたときに読み取りが行なわれた。このパイロットの結果、RFID の利用は店頭での品切
れ防止や新鮮さの保持に有効であることが確認できた。
ISO 18000-3M3、つまり HF Gen2 対応のタグ・リーダー製品の普及状況。HF Gen2 の批准か
ら半年経つが、現時点では対応しているリーダーは OptRFID 社の製品だけであり、タグに
ついては出荷はサンプルベースに限られている。現在 UPM RFID と Identive が NXP
Semiconductors の Icode ILT チップを利用したインレーを開発中であり、Identive や Frosch、
Feig はリーダーを開発している。
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