IBM i 7.2のご紹介

IBM i 7.2
のご紹介
■概要
2014 年 4 月、IBM i の最新リリース IBM i 7.2 が発表されました。IBM i は 1979 年発表のシステム
/38(S/38), 1983 年発表のシステム/36(S/36)を合わせた後継機として 1988 年に AS/400(OS/400)と
して発表されました。以降、OS 組込みのデータベースやセキュリティ機能など他の追随を許さない独
創的な機能に、レガシー系機能と Java をはじめとしたオープンテクノロジーの実装の両立、システム
上のユーザー作成オブジェクトの上位互換性など徹底した資産継承性、EOU を指向した真の垂直統
合型システムとして熟成を重ねてきました。
IBM i 7.2 ではデータベース、システム管理機能、可用性など多くの機能拡張が行われています。IBM
i 7.2 と同時に、IBM i 7.2 の機能を最大限に活用できる基盤として POWER8 プロセッサ搭載の新し
いハードウェアも発表されました。
今回は IBM i 7.2 で拡張された機能についてご紹介いたします。
■IBM i 7.2 の前提 H/W
・POWER6 以降のハードウェア
・IOP、HSL などの比較的古い H/W 機構はサポートされません
*POWER8 プロセッサは IBM i 7.1 TR8 以降、IBM i 7.2 をサポートします。
■データベース(DB2 for i )の拡張
・セキュリティの拡張
- 行/列レベルのアクセス制御
IBM i Option 47 IBM Adnvanced Data Security for i により提供(無償フィーチャー)
行への権限付与 と 列のマスク が可能
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マスキング
ステートメント
セキュリティ権限付与と権限実行の分離
セキュリティ管理者機能 QIBM_DB_SECADM(WRKFCNUSG コマンド等)に登録されたユ
ーザーはデータの参照はできないが、他のユーザーに対するセキュリティ権限設定を変更す
ることが可能となります。IBM i 7.1 以前では権限付与が可能なユーザーはその権限を使用
した操作も実行可能でした。
・SQL の拡張
- 動的コンパウンド SQL
- TRUNCATE ステートメント
- 自律型プロシージャ―
・クエリーの拡張
- XMLTABLE 表関数
- CONNECT BY
- Query/400, OPNQRYF の SQE サポート
・リモート RDB から SELEC を実行するための INSERT および CREATE TABLE AS のサポート
・3 部構成名の名前を使用して RDB 別名を直接 SQL ステートメント内で指定可能
・キャスト規則を使用した関数解決
・表および索引の KEEP IN MEMORY
・チェック制約の VIOLATION 節
・CREATE TABLE での LIKE 参照フィールド(REFFLD)生成
・複数イベントトリガー
・PREPARE および EXECUTE IMMEDIATE での式
・TRUNCATE ステートメント
・表、ビュー、索引に対する TRANSFER OWNERSHIP ステートメント
・GRANT および REVOKE ステートメントでの USER,GROUP
・組込みグローバル関数
・プロシ-ジャー、関数、およびトリガーのステートメントテキストの難読化
・プロシージャ―、関数の呼び出しでの名前付きパラメーター
・SQL スカラー関数での配列
・SQL ルーチン内の定数
・SQL スカラー関数用の統一デバッガー
・索引の最大サイズが 1.7TB に拡張
・タイムスタンプの精度指定(少数以下 0~12 桁)
・パーティションテーブルの更新時の自動的な行の再配置
・パフォーマンスの向上
SQE サポートによる OPNQRYF, QUERY/400
その他 SQE の拡張
・SQL 使用時のテンポラリーストレージ消費量の確認
-
FieldProc
TRANSFER OWNERSHIP
GRANT
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■ILE RPG の拡張
・フリーフォーマット対応が従来の C 仕様書以外にも H, F, D, P 仕様書に拡張
・フリーフォーマットへの変換ツール
Arcad Converter, Linoma Software
ctl-opt bnddir('ACCRCV');
•
dcl-f custfile usage(*update);
dcl-ds custDs likerec(custRec);
dcl-f report printer;
未経験者でも
未経験者でも違和感
でも違和感なく
違和感なく学
なく学
Ⅳ バージョン 7.1 と PTF
が必要
• C 仕様書以外に
仕様書以外に、H ・ F ・ D ・
P の各仕様書も
各仕様書も対象に
対象に
•
read custfile custDs;
dow not %eof;
if dueDate > %date(); // overdue?
sendOverdueNotice();
write reportFmt;
exec sql insert :name, :duedate into
mylib/myfile;
endif;
read custfile custDs;
enddo;
*inlr = '1';
RPG
べる
RPG
dcl-proc sendOverdueNotice;
sendInvoice (custDs : %date());
end-proc;
・英数字フィールドの CCSID サポート
データ構造に CCSID(*EXACT) または CCSID(*NOEXACT) キーワードを指定することによ
って、 外部記述データ構造の英数字サブフィールドの CCSID を制御できます。
・%SUBDT (日付、時刻、またはタイム・スタンプの一部の取り出し)関数の拡張
■JTOpen Lite(JTLite)
モバイル用のオープンソース版 Java Toolbox for the Mobile
・従来の Toolbox for Java よりスモールフットプリントで実行可能
・Java 環境でのモバイルサポート機能を提供
・よくつかわれる機能にフォーカス
データベース JDBC(SQL) と レコードレベルアクセス(DDM)
IFS の open , read, write, delete
RPG, COBOL, サービスプログラム等のプログラム・コール
コマンド実行
ジョブ属性の取得
メッセージ(DSPMSG QSYSOPR)
ディスク情報(WRKDSKSTS)
オブジェクト属性(WRKOBJ)
ユーザー(グループ)プロフィール情報
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■Zend Server for IBM i V6 が稼働
■SAMBA が稼働
・CIFS ファイルサービングの提供
・SMB2.0 サポート
・ただし、SWMA など IBM でのサポートはありません。
■DB2 Web Query 新リリースのサポート
・新しいビジュアライゼーションのサポート
ヒートマップ、バブルチャート、ストリームグラフ、タグクラウド等
ジオマップ
・エクスプレスエディションとスタンダードエディションの2つに集約
・ロールベースの権限
・実行時のライブラリーリストの制御
・シンプルなダッシュボード
シンプルなダッシュボード、モバイルダッシュボード
・シングルサインオンサポート
・DB2/z, DB2 for Linux/Unix/Windows へのアクセス
・REST Web サービスアプリケーションとの統合機能
■ミドルウェアの拡張
・IBM HTTP Server の Apache 2.4 対応
パフォーマンス向上
SNI サポート
OCSP サポート
サブシステムが独立
・IBM i 統合アプリケーション・サーバーで WebSphere Liberty 8.5 サポート
従来の WAS より軽量な(TOMCAT ライクな)アプリケーションサーバー
Java 7 & 7.1 で稼働
仕様の更新 JCA 1.6, JSR 236
開発ツール含む他プラットフォームとの互換性
・WebSphere 製品サポート
WebSphere Application Server V8.0, V8.5, V8.5.5 (Liberty, Express, Base, ND)
WebSphere MQ 7.1.0.5
・IBM ソーシャル/コラボレーション製品サポート
Domino 9.0.1
Traveler 9.0.1
Sametime 9.0
Connections Next
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■システム管理機能
・IBM Navigator for i の機能拡張
ブラウザーインターフェースの IBM i 管理ツール
IBM i サーバーのパフォーマンス管理
- パフォーマンスのグラフ表示
- メトリックスによる管理
- バッチワークロードのモデリング
PTF 管理
メッセージ・キューモニター
システム・モニター
データベース操作
- 関数・プロシージャ―作成
- パフォーマンスメトリックス作成)
*クライアントにアプリケーションをインストールするタイプの管理ツールである IBM i Navigator は
IBM i 7.2 以降での機能拡張はされない予定です。
・IBM i モバイル・アクセス
IBM i 7.2 発表時点ではテクノロジープレビューの位置づけ
iPhone, iPad, Android, Surface から IBM Navigator for i と同様な GUI インターフェースでのシス
テム操作機能を提供
5250 インターフェースの提供
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■クラウド/仮想化
・VIOS なしでのイーサネットアダプターの仮想化機能
SRIOV(Single Root I/O Virtualization) for Ethernet
パーティション毎に QoS を制御可能
SRIOV で仮想化されたイーサネットアダプターは LPM(Live Partition Mobility)には使用できませ
ん。
・WAN over LAN サポート
FAX など最新の H/W ではサポートされなくなった WAN 接続用デバイスを使用可能になります。
RFC2217 準拠の RS232 ポートを持つイーサネット・デバイス・サーバー経由で WAN 接続を
サポート
WAN アプリケーションのための仮想シリアル・ポートを提供
5798-FAX IBM ファクシミリ・サポートもサポート
非同期プロトコルのみサポート
BSC プロトコルなど同期プロトコルはサポートされません。
1 つのイーサネットアダプターで LAN 用 TCP/IP と WAN プロトコルの共存が可能
PureFlex, BladeCenter 上の IBM i 7.2 区画でも利用可能
2014 年 7 月現在、IBM US ロチェスターで稼働確認した機器は以下です。
-
-
Digi PortServer TS 4 (firmware version 82000747_V2 01/29/2013)
http://www.digi-intl.co.jp/products/serialservers/portserverts.html
Perle IOLAN SDS4 (firmware version 4.5)
http://www.perle.co.jp/products/IOLAN-SDS-Terminal-Server.shtml
■セキュリティ
・POWER8 イン・コア暗号化パフォーマンス・アクセラレーター
暗号化のための追加 H/W 不要で暗号化アルゴリズムに従った暗号化処理を実行
・ AES & SHA-2 メッセージ・ダイジェスト
SSL, VPN、ソフトウェアでのテープ暗号化、暗号化 API などでパフォーマンス向上が期待で
きる
暗号化キー・ストレージはサポートされません(別途、暗号化コプロセッサーが必要です)
・TELNET , FTP での Kerberos サポート
■印刷機能
・CPYSPLF コマンドの拡張で IFS への出力が可能に
PDF への変換も可能
・バーコードサポート
BCOCA で定義済の全バーコードサポート
HPT およびトランスフォームサービス(PDF)でのバーコードサポート
DDS BARCODE キーワード拡張
・カラー・イメージサポート
HPT において PCL 5C サポート・プリンターでのカラー印刷サポート
ポピュラー・イメージ・フォーマットのサポート(JPEG, TIFF, GIF)
・PSF for i のカラーサポート
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■制限値の拡張
・仮想 SCSI 接続における仮想ディスク接続数を 16→32 に拡張
・メモリプールサイズは最大 2TB
・ジョブテーブル・サイズシステム値 QMAXJOB 485,000 → 970,000
・IFS 上の QOPT ファイル 4GB→10TB
・ PowerHA 管理ドメインで管理可能な MRE(Monitored Resource Entries) 最大数 25,000 →
45,000
・ロードソースのディスク・サイズの最小値が 17.5GB→70,5GB へ引上げ
■PowerHA の機能拡張
・PowerHA SystemMirror for i Express Edition ハイパースワップ
2 台の DS8000 間で IBM i 区画を切り替え稼働が可能に
LPM で IBM i が別筺体に移動する場合、合わせて DS8000 も切り替え可能
DS8000 シリーズのみサポート
IASP のサポートなし(DS8000 間のコピーはシステム ASP のみサポート)
・PowerHA 7.2 の機能拡張
SYSBAS オブジェクト複製の拡張
- オブジェクト権限と所有者情報を管理ドメインで同期
ダウンタイムの短縮
- DSPASPSTS コマンドの改善
- IASP の Vary On 時の UID, GID チェックプロセス改善
PowerHA 環境のバックアップ機能拡張
- IASP のリモート保管が可能に。
- たとえば遠隔地で Power サーバーが存在しない、ストレージだけの IASP 環境へのバックア
ップが可能になります。
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■BRMS
BRMS エンタープライズ
- すべての BRMS システムのダッシュボードを提供。管理システムから一元管理。
GUI による拡張管理機能
BRMS による保管機能の拡張
メディア・サービス機能の拡張
BEMS による復元機能の拡張
■保管機能の拡張
ジャーナルにおいて復元時ハンドリング機能の追加
バックアップ時の SELECT パラメーターの拡張
ASYNCBRING パラメーターのサポート
保管されたスプール・ファイルの有効期限設定の機能拡張
スプール・ファイルの増分保管サポート
オブジェクト属性による Include/Exclude サポート
バックアップ制御グループでのサイズ順サポート
Domino DAOS (Directory Attach Object Services) オブジェクトの増分保管指定
BRMS での保管処理における UPDHST パラメーターのサポート
バックアップ制御グループにおける Serial/Serial-parallel/parallel-parallel backup の混在サ
ポート
BRMS での保管処理における QDTA パラメーターのサポート
ASP 装置名のサポート強化
TSM サーバー再試行サポート
制限状態への移行失敗時の自動 IPL 実行機能
制限状態強制開始時における活動ジョブの Abnormal End までの待ち時間設定
2038 日より大きい満了期間のサポート
媒体クラスのテープ・ライブラリー選択機能強化
STRBKUBRM コマンドの自動再試行
IASP 上の SAVF への保管サポート
BRMS でのシステム・オブジェクト QPTFOBJ1/QPTFOBJ2 の自動ハンドリング
■復元機能の拡張
リストを利用した RSTLIBBRM による復元のサポート
回復報告書での削除済みライブラリーの非表示サポート
回復報告書における作成日順でのボリューム一覧表示
位置決め時の最大 12 個のメディア・ファイル・サポート
回復報告書での UPDTCPINF コマンド実行指示サポート
回復報告書での CFGDEVASP コマンド実行指示サポート
RSTBRM コマンドにおける Domino DAO リカバリー・オブジェクト・リストのサポート
スプール・ファイル詳細ファイルでのタイム・ゾーン情報保持
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■媒体機能管理の拡張
ボリューム再利用時の選択基準アルゴリズムの強化
MOVMEDBRM におけるボリューム作成日の*RESET サポート
MOVMEDBRM における複数ロケーションのサポート
DUPMEDBRM における SBMOPT パラメーターのサポート
DUPMEDBRM における COMPACT パラメーターのヘルプ・テキスト追加
DUPMEDBRM における FILEGRP パラメーターでの総称指定
DUPMEDBRM のメッセージ BRM1553 での 1000 入出力ボリューム・サポート
期間満了時の媒体の自動初期化サポート
LTO5 および LTO6 テープ・ドライブのサポート
仮想光メディア・ライブラリーのサポート
移動ポリシーにおける複製マークが付けられたボリュームの移動設定
・その他の機能拡張
ネットワーク機能での FQDN (Fully Qualified Domain Name) サポート
ALTER TABLE 採用による BRMS 導入時の初期化 (INZBRM *RUNPRDINZ) 実行パフォ
ーマンスの改善
STRMNTBRM における BRMS ネットワーク外システムが所有する満了媒体の別システムへ
の所有権変更サポート
STRMNTBRM における RGZBRMDB パラメーターでの*BATCH サポート
STRMNTBRM におけるより詳細な媒体情報削除基準の設定サポート
PRTRPTBRM *CTLGRPSTAT でのヘルプ・テキスト
システム・ポリシーにおける BRMS Flight Recorder サイズ指定のサポート
IASP がオフに構成変更されている状態での DSPASPBRM/WRKASPBRM におけるアスタ
リスクでの情報表示サポート
PTF 導入履歴のトラッキング(IBM i Navigator for i GUI での管理)
USB デバイスからの D-モード IPL サポート
■アップグレードについて
たとえば IBM i 6.1 からアップグレードする場合、特定の PTF をロード・適用してオンラインのソフト
ウェア契約条項を受け入れする必要があります。
IBM i 7.2 のインストールまたはアップグレードを計画する際には IBM DeveloperWorks wiki の
IBM Tehnology Updates セクション内の Required PTF’s for upgradeing to IBM i 7.2 のトピックを
必ずお読みください。
■IBM i 7.2 でサポートされない磁気テープ、光ディスク装置、その他ハードウェアがあります。
OUTFILE や OUTPUT(*PRINT)時の変更点、OS コマンドや API の変更など細かい変更点が存在し
ます。
詳細は IBM i プログラム資料説明書を参照し、リリースアップ、バージョンアップに際して既存システ
ムに影響が無いかをご確認ください。
http://www-01.ibm.com/support/knowledgecenter/ssw_ibm_i_72/rzaq9/rzaq9printme.htm?lang
=ja
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