5.3.3 RC柱梁接合部

5.3 柱の断面設計
5.3.3 RC柱梁接合部
5.3.3
RC 柱梁接合部
INDEX: 柱梁接合部の短期許容せん断力・柱梁接合部の短期検定用せん断力・検定
ルート 3 以外の設計ルートの場合は柱梁接合部の一次設計を行う(X、Y 方向別に判定)。ルート
3 の一般階の場合は、保証設計により柱梁接合部の検討を行うため、一次設計は行わない。地下階
および塔屋階は、ルート判定の対象外につき、検討対象とする。
RC 柱の柱頭部分に対し、柱梁接合部の検定をする。最下階、および下柱が柱抜けの場合、柱脚部
分の接合部の計算は行わないので、注意する(警告メッセージ出力)。なお、耐力壁の周辺大梁が接
続する方向は接合部の検討を行わない。検討対象柱の上柱が解析モデル化されていない場合も、接
合部の検討を行わない。
(1)柱梁接合部の短期許容せん断力
短期許容せん断力は接合部の方向ごとに下式による。
Qa   A ( fs  0.5 )bj  D
・κ A
:柱梁接合部の形状による係数
┼字形接合部
κ A =10
┬形接合部
κ A =7
├形接合部
κ A =5
┌形接合部
κ A =3
左右に取り付く梁のレベルが大きく異なり、梁成の 1/2 以上が重ならない場合は├形、
┌形として検討する(=靭性保証)。
・fs
:コンクリートの短期許容せん断応力度
・bj
:柱梁接合部の有効幅(=靭性保証)
bj  b b  b a1  b a 2
下図による(柱梁接合部の両側の梁幅、心関係が異なるときの措置は靭性保証にならう)。
D
b 1 /2
D/4
b
b 1 /2
柱水平断面
梁
b 2 /2
D/4
bb
bj=(b b +b a1 +b a2 )
b 2 /2
b a2
図-5.3.3.1
・D
D b1
,
)
4 2
D b
 min( , 2 )
4 2
b a 1  min(
柱梁接合部の有効幅
:柱梁接合部の成(=直下の柱の成)
※丸柱の場合は丸柱を内接する正方形柱に置き換えて bj、D の値を計算する。
B-5.3.3-1
5.3 柱の断面設計
5.3.3 RC柱梁接合部
(2)柱梁接合部の短期検定用せん断力
短期検定用せん断力は部材座標系の方向ごとに下式による。
Qd=MIN[Qd1、Qd2]
Qd1  Qave
1

Qd 2  MAX[
i
上下の柱のせん断力で設計する式
My i
]  (1  )
jb i
柱梁接合部両側の梁の曲げ耐力で設計する式
ja

D
)
L
H(1 
・Qave
上下の柱のせん断力の平均値で、上柱がない場合は下柱のせん断力とする。
各柱のせん断力 Qc1~Qc3 は下式による。
Qave
=MAX(MIN(Qave(Qc1), Qave(Qc2)), Qave(Qc3))
ただし、建物共通の設計条件指定で、柱梁接合部Qd1 の 柱τ下限値を無視した場合は、上の式
で、Qave(Qc3))=0 とする。この場合、補助メッセージ(A)が出力される(デフォルトは柱τ下限値
考慮)。
Qave(Qc1)=MAX(Qave11, Qave12)
(CASE1、CASE2 における上下柱の平均値の大きいほう)
Q ave11 =(uQ c11 + lQ c11 ) / 2
(CASE1 における上下柱の平均値)
Q ave12 =(uQ c12 + lQ c12 ) / 2
(CASE2 における上下柱の平均値)
Qc11 


MIN n  (LgMR   RgML  ), cMu   cMl 
(CASE1 における上下各柱の Qc1)
h


Qc12 
MIN n  (LgMR   RgML  ), cMu   cMl 
(CASE2 における上下各柱の Qc1)
h
Qc2
=Q L +1.5Q E
Qc3
=τlim*cA
QL
:柱の鉛直荷重時せん断力(下柱柱頭、上柱柱脚)
QE
:柱の水平荷重時せん断力(下柱柱頭、上柱柱脚)
τlim
:柱せん断応力度の下限値 0.7N/mm2
cA
:コンクリート断面積(下柱、上柱)
柱頭は連なる梁と柱頭の降伏曲げモーメントのうち小さいほうの値、柱脚は柱自身の降伏曲げモ
ーメントを用いた場合の柱せん断力
ここに、
:MIN(n * (MR -(+) + ML -(+) ), cMu -(+) )を計算する節点の上に柱が存在するときは
n
n=0.5、存在しない場合は 1.0 とする。
L(R)gMR(L)
-
L(R)gMR(L)
+
:柱頭に連なる左側(右側)大梁右端(左端)に関して、図-5.3.3-3 の降伏モー
ド CASE1 における下引張(上引張)時の降伏モーメント
:柱頭に連なる左側(右側)大梁右端(左端)に関して、図-5.3.3-3 の降伏モー
ド CASE2 における上引張(下引張)時の降伏モーメント
B-5.3.3-2
5.3 柱の断面設計
5.3.3 RC柱梁接合部
cMu(l) -
:柱頭(柱脚)に関して、図-5.3.3-3 の降伏モードCASE1 における軸力(N L +N E )
下の降伏モーメント
cMu(l)
+
:柱頭(柱脚)に関して、図-5.3.3-3 の降伏モードCASE2 における軸力(N L +N E )
下の降伏モーメント
NL
:柱の長期軸力(組合せケース 1 番固定)
NE
:柱の部材座標に関して、z/ y各方向それぞれにおいて、水平荷重ケースで最
も大きなせん断力Qeが生じているケース時の、柱の水平荷重成分の軸力(N E
= (N l +N e ) - N L )。ただし、軸力の符号は、水平荷重成分の最大せん断力Qeの
符号が+(-)の場合はCASE1 においては-(+)N E 、CASE2 では+(-)
N E を用いる。
なお、上柱に関しては、下柱のN E 採用ケース時に生じるN E を用いる。
*上記において、NE は組合せケース 3,4,5,6 番(±EX, ±EY)固定とせず、すべての水平荷重
ケースを考慮している。
*上柱に関して、下柱の NE 採用ケースが上柱の設計組合せケースに指定されていない場合、
上柱の軸力は長期軸力となる。
・My i
梁iの柱フェイス位置での降伏モーメントで下式による。
RC造
My  0.9 ( y  at  sy  sat ) ( Db  dt )
S造
My  sy  Af  sj
SRC造
RC部分、S部分をそれぞれ上式で計算し、その和とする
ここに、
y
:梁の主筋強度
at
:梁の引張主筋全断面積
s
y
sat
s
y
:スラブの主筋強度
:スラブの引張主筋全断面積
:鉄骨強度
Af
:梁鉄骨フランジ断面積
sj
:梁鉄骨フランジ心間寸法
jb
:梁iの応力中心距離
jb  0.875( Db  dt )
・ MAX[
i
My i
]
jb i
次図 CASE1 または CASE2 の組合せによる和の大なる和をとる。
上引張
上引張
下引張
下引張
CASE2
CASE1
図-5.3.3.2
Qd2 の計算に考慮する梁の降伏モーメント
B-5.3.3-3
5.3 柱の断面設計
5.3.3 RC柱梁接合部
・ja
:左右の梁のjb 1 、jb 2 の平均値で、梁が片側しかない場合はその梁のjbとする。
なお、ここでのjbiは上引張My計算用と下引張用で異なる場合両者の平均とする。
・H
:y(z)方向を検討する場合はz(y)軸まわり曲げ剛性用の柱の長さをとり、上下の
柱での長さの平均値とする。上柱がない(RC、SRC 柱でない)場合はその柱の長さは
0 とする(柱長さ=梁心間距離)。
・D
:検討方向の下柱の成(=柱梁接合部の成)
・L
:左右の梁の長さの平均値で、梁が片側しかない場合はその梁の長さとする
(梁長さ=柱心間距離)。
・h
:H 同様検討方向での上下各柱の内法高さ(危険断面位置間距離)
・Db
:梁成
・dt
:梁の引張側主筋中心位置(引張縁からの)
・Q ave を計算する際のQcに考慮する降伏モードは、以下のCASE1、CASE2 の 2 ケースとする。また、
曲げ勾配としては図-5.3.3.3aを想定している。
上引張 uLgMR+
上引張 uRgML上梁
下引張 uLgMR-
ucMu-
ucMu+
(軸力 NL-NE)上 柱
hu
ucMl下引張 mLgMR-
上引張 mRgML中梁
lcMu-
(軸力 NL+NE)
上引張 mLgMR+
lcMu+
(軸力 NL-NE)下 柱
hl
下引張 uRgML+
ucMl+
下引張 mRgML+
(軸力 NL+NE)
lcMl-
lcMl+
下梁
CASE1
図-5.3.3.3
CASE2
柱のせん断力を計算する降伏モード
上梁
上柱
中梁
下柱
下梁
CASE1
図-5.3.3.3a
CASE2
降伏モードにおける曲げ勾配の想定
B-5.3.3-4
5.3 柱の断面設計
5.3.3 RC柱梁接合部
(3)検定
柱梁接合部は個別に「検定する/検定しない」指定ができる。
y、z各方向ごとに
Qa≧Qd
であれば「OK」とし、そうでない場合は「NG」とする。
B-5.3.3-5